ウルグアイ戦でゴールしたグリーズマンは、
例のゴール・パフォーマンスを見せませんでした。
それは、ウルグアイ・チームに、
アトレティコ・マドリーの同僚にして、娘の名付け親である、
ディエゴ・ゴディンがいるからだ、
ということでした。
http://www.leparisien.fr/sports/football/coupe-du-monde/uruguay-france-griezmann-le-plus-uruguayen-des-bleus-02-07-2018-7803501.php
まあスアレスは、
「あいつはフランス人だ。ウルグアイ人とは違う」
と苛立っているようですが。
で……
そういえば、
ウルグアイが舞台になっている映画があったはず、
と思って積んであるDVDをかき分けると、
ありました、これです。
Une vie ailleurs(2017)
この映画、
フランスのメディアのウケはイマイチだったのですが、
わたしはよかったです。
https://www.youtube.com/watch?v=FTIyIlNPspU
シルヴィー(イザベル・カレ)は、
5年前に元夫(ウルグアイ人)が連れて行ってしまった息子フィリペを探し、
ついに、
ウルグアイのモンテヴィデオにいることを突き止めます。
今息子は9歳です。元夫は亡くなっています。
彼女は、assistant sociale(民生委員)のメディ
(という名前なら、アラブ系ですね。
ラムジー・ベディアが演じます。)
と一緒に、息子を奪還すべく、
ウルグアイに降り立ちます。
計画では、
メディがフィリペを連れ出し、
モンテヴィデオからブエノスアイレスまで船で密航
(フィリペのパスポートがないとウルグアイを出国できないので)
し、そこから、
飛行機でフランスに戻る予定です。
が、
計画はすぐに座礁します。
というのも、フィリペは今、
祖母と、若くてやさしい叔母に愛され、
またサッカー仲間の友だちも多く、
なんとも幸せそうに暮らしていたからです。
もともと、よき母親になれておらず、
今もそうなる自信のないシルヴィーにとって、
それはショッキングなことでした。
フィリペは、ここにいたほうが幸せかもしれない……
でも、だとしたらこの5年間、
自分は何を探していたのだろう……
まず、ウルグアイ人とフランス人のカップルがいる。
そして、その子供がいる。
かれはスペイン語とフランス語が(両親同様)できる。
そしてヨーロッパ系のフランス人女性は、
アラブ系フランス人男性と、
ウルグアイに向かう。
行ってみると、
アルゼンチン人の女優が演じるウルグアイ人が、
自分のキャリアをあきらめて、
甥を育てている。
彼女もまた、スペイン語とフランス語を話す……
ラムジー演じる民生委員がアラブ系であることに、
フランスのメディア評は触れません。
それは、PC的にまずいのかもしれないし、
まあラムジーは有名ですから、
言わなくても分かるということもあるでしょう。
でも日本でこの映画を見ていると、
その点をスルーすることはできない気がします。
日本の映画研究においては、
こうした指摘を「ラベリング」だとして、
避けることもあるようですが、
わたしはそうは考えません。
で、
1つおもしろかった場面。
ラムジーが、フィリペを含む子供たちに、
最高の選手って?
と訊いた時のことです。
最初の子は、「スアレス!」。
そして、「ロナルド!」。
そしてフィリペは、「ベンゼマ!」。
もちろんラムジーは、
嬉しそうな顔をするわけです。
このあたり、
ラムジーがアラブ系だからこそ、
生きるネタじゃないでしょうか?
世界は、交じり合っていますね。