2008年10月6日月曜日

80歳?


今日は午後からちょっと陽も差して、気持ちがいい風が吹いてましたね。わたしも午後2時過ぎから出かけたのですが、ちょっと迷って、でも半袖にしました。

もちろんクルマだってこともありますけど、わたしは基本暑がりなので、かなり遅い時期まで半袖です。特に教室は、若者たちの熱でまだまだ暑いです。ま、そんなことはともかく。

今日は、古本で買った『耕治人全詩集』を読みました。昭和5年から55年までという、ちょうど半世紀をカバーする詩集です。

たとえばこんな詩はどうでしょう?

 
あいびき

省線の駅の出口は
陸橋になっていた
陸橋のふちにコンクリートの手すりがあり
その下を電車が走っていた
手すりにもたれて
丈の低い洋服を着た女が
立っていた
女は手すりの上に本をおき
すぐ目の下の
薄暗い線路を
のぞくようにして
うつむいていた
女は水色の上着をき
茶色のぼてぼてした靴下をはき
その脚はつつましく
不安そうに内側を向いていた

これは昭和22年の発表なので、水色の上着を着た彼女は、今80歳くらいでしょうか。お元気なんでしょうか? あの日の自分が、ある詩集の中でこうして生きていることを、ご存知なんでしょうか?

絵や写真もそうですが、こうして捉えられた時間は、作品の中で結晶してしまうのですね。もしかしたらみなさんも、みなさん自身が気づかないうちに、捉えられているのかもしれません、もしかしたら今日も!

そしてみなさんも、きっとある瞬間を捉えたのでしょう、今日も! さあそれは、どんな一瞬だったのでしょうか? わたしは…… 

まだ新鮮な記憶なので、思い出そうとするとけっこうたくさんの場面を思い出せるものですねえ。しいていえば、今日は…… いや、やめときましょう。(なにそれ?)