とはいうものの、
舞台は全編アビジャンという映画、
Bronx-Barbès
を見てみました。
ケ・ブランリ美術館の書籍部で、
たまたま見つけた映画です。
https://www.youtube.com/watch?v=hRtPgJhy2Q8&list=PLzVPz--bRuzahSZupYbuLJtK8ybWbCzve
DVDのジャケットには、
アフリカ系の3人のワカモノが写っていて、
短い解説文には、
2人のワカモノが、
ブロンクスのワル一味に加わり、
その後別れるも、
やがてバルベスで再会する、
というようなことが書いてあって、
おおそれなら、NYとパリを移動する、
なかなかおもしろそうな映画だ、
と思ったわけでした。
で、見始めたところ、
そこはコート・ジボワールの首都、アビジャンらしく、
しかも、10分経っても、20分経っても、
旅立つ気配がありません。
? と思ってもう一度解説文をちゃんと読むと、
(まあ、その時点ではうすうす気づいていましたが)
ブロンクスとは、アビジャンの一角にある、
ギャングが支配する地域で、
バルベスもまた、別のそうした地区であることが判明。
売り場の閉店時間が近づいていたとはいえ、
我ながらザツな読みに笑ってしまいました。
とはいえ、せっかく買ったので、
最後まで見てみました。
2人のワカモノとは、
クリスチャンのトゥーサンと、
ムスリムのニクソン。
学校もやめ、仕事も、未来も、まったく見えない2人。
彼らは、地元のワルに吹っ掛けられたケンカの最中、
事故的に相手を殺してしまいます。
で、かのブロンクスにかくまってもらうわけです。
そこでトゥーサンはめきめき頭角を現し、
ギャング内での地位を上げていきます。
一方ニクソンはうだつが上がらず、
一発逆転を狙って仕掛けた強盗にも失敗し、
あっという間に逮捕。
トゥーサンは、ニクソンの保釈金を払うため、
さらに大きな強盗を仕掛け……
というふうに、暴力の連鎖はとまらず、
人も死に続け、
レイプをきっかけに知り合った(!!)トゥーサンの恋人は、
彼の子を堕ろしてしまい……
こう書くと陰鬱な印象ですが、
なんといってもワカモノたちはエネルギーに溢れているので、
暗くはありません。
ただ、閉塞感は半端ないです。
そう、このエネルギーと閉塞感こそが、
Bronx-Barbès のテーマであるのでしょう。
女性監督のÉliane de Latour は、
人類学者でもあるそうです。
付録のメイキング映像には、
キャスティングの様子も収められ、
俳優たちがすべて地元の素人なのがわかります。
そして映画のタッチは、
とてもドキュメンタリーっぽい。
好みで言えば、わたしは計算されたもののほうが好きですが、
今回は、悪くないと思いました。
彼女は、
「あいまいな人道主義ではなく、
構築と破壊が繰り返されるその段階を追跡したかった、
と語っています。
なるほどね。
ともあれ、
アビジャン映画というのは初めて見たので、
早合点で買いましたが、結果オーライとなりました。