2017年9月17日日曜日

Critiques Presse

映画関連サイトの ALLOCINE には、
個別の映画に関する、
メディアの批評が集められていることがあります。
昨日見た Raid dingue もそうした1本でした。

http://www.allocine.fr/film/fichefilm-238378/critiques/presse/

予断を持つのがイヤなので、
映画を見る前に読むことはありませんが、
後から確認してみることはあります。
で、
今回ものぞいてみたんですが……

これが意外にキビシイ評価で、
たとえば Le Nouvel Observateur は、

A la fin, un carton rend hommage
"à toutes ces femmes et tous ces hommes
qui risquent leur vie afin de protéger notre joie de vivre".
Et rien, pas un mot pour nous, spectateurs,
qui avons tenu jusque-là. Raide, en effet !

と言っています。
ここで引用されているオマージュは、
映画の最後に出るもので、
たしかにこの映画は、
Raid というエリート警察組織の人たちに捧げられていて、
ここはわたしも、
ちょっとひっかかりました。
要は、この Nouvel Obs も、そして Le Monde も、
この警察集団に対する無条件の賛辞に対して、
違和感を表明しているのでしょう。

以前日本でも、いくつかの映画について、
これに近いコメントがありました。
国のために命を捨てることを賛美していいのか、
戦闘集団としての自衛隊を英雄的に描くのはどうなのか、
というわけです。
ただ日本では、
こうした指摘が、
大メディアで発せられることはほとんどなく、
そこがフランスにおける映画批評とのレベルの違いだと言えるでしょう。
飛躍しますが、
先日も France 2 のニュースを見ていたら、
「政治的正しさ」を求めすぎることの弊害について、
という話題がありました。
日本ではまだ、
「政治的な正しさ」を理解していないと思える政治家も多く、
こうしたニュースが流れるのはまだずいぶん先のように思えました。

話を Raid dingue に戻せば、
わたしはやはり、
ミソジニーを対象化したこと、
コメディーの主役に女性を置いたこと、
を評価したいと思います。
エリート警察の無条件の賛美はたしかに余計ですが、
弱点はむしろそれよりも、
ミソジニー男の救済が、
わりと安易に達成されてしまったことではないでしょうか?