2017年9月12日火曜日

Une histoire banale

Audrey Estrougo は、
気になる監督の一人です。
彼女の作品は、2作見ました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/09/regarde-moi.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/01/toi-moi-les-autres.html

これらは2作ともおもしろくて、
しかも雰囲気がまるで違っていて、
この監督の幅の広さに感心しました。
で、
ちょっと見るのが遅れてしまったこの作品、

Une histoire banale  (2014)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=MVABkdGrjgE

これは…… なかなか厳しい映画でした。
30歳で、
アフリカ系の恋人もいて、
仕事もあって、
友だち関係も充実している、
ヨーロッパ系の女性、ナタリー。
でも、
そうした幸福な日々が、
ある晩の事件をきっかけに、
壊れてゆきます。
彼女に付きまとっていた同僚の男性に、
レイプされてしまうのです。
人間恐怖症になり、
手首を切って危うく死にかかり、
恋人には、
わたしはあなたにふさわしくないから別れて、と泣きます。
見ていてつらいです……。

その後も彼女は、自棄的なこうどうに走ったりもしますが、
最終的には、
相手を告訴し、
自分の生活を再構築し始めるのです。
(よかった…… がんばれ……)

上に挙げた予告編にも使われていますが、
ベートーヴェンの交響曲7番の、
あの美しい第2楽章。
これが、
ラストのシークエンスで、
「事件」を乗り越えようと決意した彼女の背景で流れるのです。
この第2楽章は、
美しいだけでなく、
たしかに、
決然とした響きがこもっていることに、
今頃気づかされました。

いいとか悪いとか言えない、
リアルで強い映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=bqtPVEuAbzM