マレ地区の、小さなアクセサリー店。
店の外に並べられた小物を見ていると、
妙齢の女性がにこやかに、
「ニイハオ!」
と声をかけてきました。
まあ、ありがちです。
で、いや、日本人なのでこんにちはです、
と答えると、
今度はいくつかの日本語が立て続けに出てきます。
これはもう、ずいぶん年季が入っている感じの言い方です。
でもまあそこから会話が始まり、
聞けば彼女(70歳くらいでしょうか?)は、
ハンガリーはブダペストの生まれで、
なんともう42年前にパリに来たのだとか。
「80年代は本当に日本人が多かったけど、
この頃は、中国人の方が多いわねえ。
まあ日本も、色々問題を抱えてるんでしょうよ」
とそこへ、常連客らしい男性が通りかかると、
マダムはなぜか慌てて彼を呼び止め、
「この人日本人なんだけど、フランス語喋るのよ!」
(続く)