2008年11月9日日曜日

私小説的


東京は、だいぶ寒くなりました。もう11月も半ばなので、当然と言えば当然ですが。

今日は日曜ですが、ふと気が向いて学校に行ってきました。もちろんガラガラ、ではあるんですが、そこは理工学部、研究室がある5階のフロアーには、今日も(多分)実験に来ている学生の姿がありました。

実は2,3日前、研究室用の小さな電気ストーブをスーパーで買いました。机に向かっている時でも、足元に置いておけるくらいの小ささです。今日が、そのストーブの début となりました。

で今日読んだのは、『耕治人全詩集』です。この本は、約1ヶ月前、「バルベリ&谷口」の準備に入る直前に、1度読みました。が、1ヶ月も経つと忘れちゃいます。(ほんとにこの頃、どんどん忘れます!「としゃあとりたくねえねえなあ!」 by Shimura) とはいえこの本は、厚くもないし、作品も難解ではないので、読むのは楽です。

ちょっと面白かったのは、「自筆年譜」です。いや、面白かったというのは語弊があるかも。(たくさんの別れがあります。)なんだか、私小説を読んでるような感じなんです。

ああでも、「私小説」なんて言うと、それってどうよ、と感じるかたもいらっしゃるでしょう。私小説をけなすのは簡単です。でも、私小説の良さももちろんあります。

耕治人の年譜は、ほんとに小さな、ごく個人的なことがらが中心になって進んでいきます。でもその流れをよく見ていると、背後に戦争や、治安維持法や、結核の脅威や、社会的としか言いようのないことがらが滲み出してくるのです。

個人を書くときには社会を意識すること、社会を描くときには個人を意識すること……。これ、小説を書くときの、心得の一つだそうです。

さて、またまた一週間が始まります。だんだん年末も近づき、みなさんお忙しいことでしょう。今週も元気に過ごしましょう! 暖かくして!(ああ、でもまだ衣替えしてなかった……)

2008年11月8日土曜日

Contre lui


今日の東京は、イマイチのお天気でした。昨日の夜の時点では、今日はバリバリ仕事する予定だったのですが…… とはいえ、ミスドで100円のドーナツは食べました(?)。

今朝の朝日新聞に、「フランク永井とその時代」と題する、編集委員による署名記事が載っていました。――1957年の「有楽町で逢いましょう」は、それ以前には多かった「望郷歌」とは一線を画し、「都市へのあこがれをかき立てた。」 そしてそれに続く「ムード歌謡」の興隆によって、それ「以来(……)、望郷の歌はほとんど作られなくなった。」

なんだか分かりやすい流れで書いてあるので、ふとそんな気にさせられますが、これにはちょっと異論があります。まず、「都市へのあこがれ」を刺激するものとして、「有楽町~」の歌詞にある「デパート」や「ロードショー」などが挙げられていますが、これはすでに27年前、「東京行進曲」が扱った題材ですね。1957年は、「あこがれをかき立てた」というのにふさわしい時代かどうか…… 

そしてより大きな問題だと思うのは、望郷の歌が今ではほとんど作られていないかのような、記事の調子です。

彼の言う「望郷の歌」は、単に故郷に帰りたがっている歌を指しているのではありません。たとえば「東京だよおっ母さん」や「チャンチキおけさ」のような、都市暮らしの中で感じるある種のザセツまでも含めています。そういう意味で言うなら、あります、望郷の歌は。驚くほどたくさん作られていると思います。たとえば、ゆずの「君は東京」、チャットモンチーの「東京ハチミツオーケストラ」、ケツメイシの「東京」……

名前を呼ぶ 君の声が 今も胸に残る
東京の街に住んで 大人になってたって
今も 君を思い出す               (ケツメイシ「東京」)


これ、望郷ですね。しかも、ほとんど「様式」とさえいえるような。

う~ん、やっぱり誰でも、まあいいか、とスルーしにくい話題というのがあるんですね。このへんのことは、わたしには「どうでもいい」とは言えないことなんです。(なぜなんでしょう? 自分でもよくわかりません。)

さて、日本シリーズです。明日は大一番ですね!(画像は「新宿の目」です。)

2008年11月7日金曜日

伝説の優等生


やっと金曜日。みなさん、今週もお疲れ様でした。(土日のある方、ご苦労様です。)

ブログを書いてらっしゃる方ならお分かりだと思うんですが、日々暮らしていて、お、これはブログネタになるなあ、と思う瞬間、ありますよね。やっぱり、誰かと話したり、なんかやったりした時は、そういうネタが多く生まれるようです。

というわけで、例の日仏の会は、たくさんのネタを供給してくれたので、なんだかそのことをしつこく書きそうなんですが、どうぞお許し下さい。というわけで、あの夜のこと余話・1、です。

あの会には、わたしの知り合いも何人か来てくださいました。(この前書いた、ブログを見てきてくださった方も、もう「知り合い」です!)まずは、みなさんごぞんじ、杉山利恵子先生。(学部こそ違え、明治の同僚なんです。光栄です!)それから(覚えてらっしゃるでしょうか?)ンディアイさんの会の帰りに一緒にしゃべった、ジュンイチロウさん。そして多分20年振りくらいに会った大学の同級生、ジュンコさんです。

ジュンコさんは、素敵なお嬢さんと一緒に来てくれたのですが、実は彼女、大学時代は絵に書いたような優等生だったんです。忘れもしない、「フランス文明史」のノートを借りたことがあるのですが、そのノートは今でも記憶にあるくらい強烈な印象でした。というのも、黒板に書いてあることはもちろん、フランソワ先生がペラペラしゃべったことまで、ちょっと段をずらして書いてあり、さらに、ときどき囲みが挿入され、そこには鋭い「問い」が、書き込まれていたのです。しかもそれは、明らかに授業中に書いたとしか思えず……

あとで分かったことですが、彼女はかつて白百合高校を代表する才女で、フランス語を学ぶ高校生の間では伝説的な存在だったそうです。というのも、どの全国模試でも、フランス語のトップは「○○ジュンコ」と書かれていたからです! そうとは知らず、「ねえねえ、ちょっとノート貸して!」と甘える、タイダな学生もいたのでした…… 困ったことです……(でも、借りたのは「フランス文明史」だけですよね? ジュンコさん!)

そしてそのジュンコさんも、今は素敵なお嬢さんのママです。まったくわたしたちはみんな、時の旅人なんですねえ……(ジュンコさんから、ひとつ仕事を頼まれました。あるCDのライナーノーツです。書けたら、また紹介させていただきます!)

2008年11月6日木曜日

復習!


さて、昨日の会の復習です。

会は7時からでしたが、わたしたちの集合時間は6時でした。(あんまり変わりません!)で、開始までの1時間で、会の進行を打ち合わせるのですが、実際はバルベリさんとわたしの間で、かなりメールで調整してありました。まあ、だから1時間で大丈夫、と考えたわけです。

全員集合したのが6時5分ごろ。それから、早川書房の人たちとのご挨拶があり、飲み物の用意(じゃあみんなお茶でいいね。Chaud ou froid ?  chaud の人は? はいはいはい。froid は? はいはい。じゃあ、trois chauds et deux froid ね?)があり、わたしや通訳の福崎さんが「サインお願いします!」なんて言ってて、打ち合わせ開始は6時半!(画像)

原案はわたしが作っていったのですが、その中でバルベリさんが「それやめましょう」といったのは1つだけ。バルベリさんはミステリーが好きで、谷口さんも『事件屋稼業』などのハードボイルド風の作品があるので、ちょっと「ミステリー/ハードボイルド」に触れた後、「今」そういう作品を作る意味について訊こうと考えたわけです。谷口さんには、しばらく離れていたハードボイルドを、「今」ならどう描くのか、バルベリさんには、今の文学シーンがポストモダンだとするなら、そこでどんなミステリーが可能か、という風に。しかし!

「ポストモダンは定義がはっきりした試しがないし、ポストモダンについて話すのは嫌いなの。今わたしは、旧モダン風に生きてるし!」

というわけで、この話題はボツとなりました。で実際にOKが出たテーマは、

・mangaとBDの違い→日仏の小説の違い 読者の質の違い 2人が受ける理由

・「絵」のこと。(谷口さんがエドワード・ホッパーが好きと伺って、なんだかとても腑に落ちる気がしました。バルベリさんがオランダ静物画が気に入っているのは、予想通り。ただ、ペーテル・クラエスは日本でマイナーだと聞いて、驚いてましたね。でも完全にマイナーでしょう。)

・mangaや小説にとっての、映画の影響。(『歩くひと』は、もともと担当者から「小津風なものを」と注文された、とおっしゃっていたのが印象に残ります。でももちろん、谷口さんの何かと響きあったのでしょう。また、この話題をバルベリさんに振るとき、わたしが「短く!」と言ったのは、もちろん半分冗談ですが、実は打ち合わせのとき、「小津のことは3時間話したい!」と言っていたからでした。)

・日仏の家屋の違い~引き戸(ここでは「空間の分割の方法」をテーマにしてもらいました。谷口さんの言うコマ割りの方法は、わたしは始めて聞きましたが、常識なんでしょうか?「コマの大きさは時間を表わす。そして場面が続けば横に開く。変われば縦に移動。」

・自然と人間(山、海、犬猫、動物、クジラ…… 谷口さんの計画には、『白鯨』も入っていました! 楽しみ!)

・食(『孤独のグルメ』の食べ物は、いくつか食べたけどおいしくないんですよ、と谷口さんが言ってましたが、いいんでしょうか!? バルベリさんは、ご自身では料理しないとのこと。でも個人的には、やっぱり少し作ってみたほうが、より「食」の理解が深まような気が……)

・哲学を描くこと (『神々の山嶺』は、素晴らしく思想的だと、バルベリさんは絶賛していました。)

バルベリさんは、自分の本の宣伝のことなんかまったく考えてなくて、とにかくTaniguchi について語りたくて仕方ないのでした。ほとんど「神」を語るようでした!「わたしの本は消えてゆきます。でも『神々の山嶺』は消えません!」

こうして書いていると、昨日の記憶がよみがえります。実は告白しますが、谷口作品は今まで読んだことがなかったのです。でも今回、かなり(ン万円分)読みました。その結果、何人かから「ずいぶん前から谷口ファンだったんですね!」と言われました。でも、谷口マンガ、これはたしかに素晴らしいです。前にも書きましたし、バルベリさんも強調していた通り、『神々の山嶺』は、ぜひ読んでみて欲しいです。あんな男、ちょっといません……

それにしても、無事終わってほっとしました。今日は授業があったのですが、それ以外の時間は脱力していました。でもまた明日からは、「東京詩」に復帰するつもりです!

@日仏学院


というわけで、「バルベリ&谷口」、(わたしとしては)とてもいい会だったと思います。(このブログを見てきてくれた方も、何人かいらっしゃいました。Merci bien ! Ravi de vous voir !)ただ今日は満員で、階段にも座っていただきましたが、それでも30人くらい入れなかったようで、申し訳ありませんでした。

谷口さんは、評判通りとてもマジメな方で、こちらのあいまいな質問にも一生懸命答えてくださいました。終了後は、サインを求める長蛇の列。しかも並んでいる方の半数近くはフランス人。しかもサインをもらった彼らの嬉しそうな顔! フランスでの谷口人気は、本物なんですねえ。

そしてバルベリさん。とても気さくで、率直で、可愛らしくて…… つまり、チャーミングな人でした。会場がなごやかな雰囲気だったのは、主に彼女のキャラによるものなんでしょう。一部のフランス人ファンは、会えただけでも幸せ! と顔に書いてありました。(多分そう。)

同時通訳(仏→日)の福崎さんは、わたしもかつて教わったことがあります。ずいぶん前ですが、パリで2人で食事したこともあります。そんな福崎さんと一緒に仕事ができて、光栄の至りでした。おそらく彼女は、日本1の同時通訳者ではないでしょうか? 今日も聞いていて、ほれぼれしました。

内容的にも色々ありましたが…… それはまた明日にしましょう。A demain !

2008年11月4日火曜日

神は細部に


今日の「フランス映画ゼミ」では、「アメリ」を見ました。公開当時はだいぶ話題になりましたが、15人のゼミ生の中に、見たことのある学生はいませんでした。(じゃあちょうどいい!)それはともかく。

今朝校内を歩きながら、ある女子学生とちょっと駄弁りました。彼女は応用化学科の1年生です。

「どう、専門の授業面白い?」
「大変なんです!」
「まあ、1年生はね」
「あたし、道間違えたかも」
「道?」
「応用化学じゃなくて……」
「なくて?」
「文系にすればよかった!」

あらら、それはまたずいぶん違う道にきちゃいましたね!?

「社会が苦手だから、まだ数学の方がいいかなって。なんだか、文系に行ったともだちのレポートの課題、楽しそうなんだもん」
「というと?」
「『アリス』を読んで、その時代の背景に合わせて、お話を作ってくるとか」

なるほど、それはたしかに面白そう! ただ時代を調べるだけじゃなく、その時代を「生きる」試み、なんでしょう。その先生も、うまいこと考えました。

「ほら、神は細部に宿るっていうじゃない?」
「……言いません」
「言うんだよ」
「ア、アサミ! おはよう!」
「……」

という、楽しい会話でした!

                   ◇

さて、いよいよ明日は「バルベリ&谷口」です。2人の接点にこだわりつつ、2人の世界を堪能したいと思っています。See you @ 日仏!

2008年11月3日月曜日

点灯


というわけで、11月はいきなり3連休で始まりましたが、いかがお過ごしだったでしょうか? こちらはなんと、今日もまた仕事してしまいました。どうも小心者なんですねえ、例の日仏の会が水曜なので、読み残しのないようにせっせと読んでいます。今日は、やはり谷口の、『ブランカ』の1,2と『エミネーゴ』です。

『ブランカ』は、カサ・ブランカの「ブランカ」、つまり「白い」犬の話です。といっても、ただの犬じゃありません。強烈に作り上げられた超戦闘犬なのです。ブランカは、途方もない距離を駆け抜けようとします、ある目標に向かって……

『エミネーゴ』は、古い作品ですが、去年復刊していたので、これも読んでみました。これはまあ、一言で言えば「ハード・ボイルド」なんでしょう。(それにしてはややアクションが多い、かな?)まったく谷口ジローっていう manngaka は、ほんとにいろんなジャンルが描ける人です。

さて、とはいうものの、3連休の間一歩も外に出ないのもナンだろうというので、夕方から、近くのスタバに行きました。

その店は車道に面してなくて、こう、広場風の十字路の角にあります。で、その角の真ん中に、まさに今日、巨大なクリスマス・ツリーが運び込まれていました。もうそんな季節なんですね!

店内は一杯だったので、やや寒い外に座ったのですが、目の前で進むツリーの準備の様子に、見入ってしまいました。そして最後には、ツリーの天辺の星型のイリュミネーションが点灯し、なんだかこちらまでホッとしました。(ただその明かりは、すぐ消されてしまいました。試し点け(?)だったのでしょう。)

さあ、明日からまた一週間が始まります。といっても、1日少ないから楽ですね。とりあえず、はりきってまいりましょう!

2008年11月2日日曜日

遥かな町で


昨日今日は土日だったわけですが、なんと、かなりまじめに仕事しました。(えらい!)なぜか体調もよく、量も捗ったし、楽しかったので、よかったです。

仕事、なんていいましたが、これは昨日も書いた通り、バルベリさんと谷口さんのことを調べたり、作品を読んだり、という作業です。谷口さんがフランス語で受けているインタヴュー(1)とか、2007年にフランスで最も売れた作家10人(2)とか、あとは送ってもらった資料を読んだりとか、そんな感じです。



で今日読んだのは、谷口ジローの『遥かな町で』です。これ、日本でもフランスでも賞を獲ってるんですが、oui、とてもいい作品です。

主人公は48歳の会社員。彼は出張の帰り、ふとした気まぐれで郷里の鳥取に寄ります。で、懐かしいお寺の境内に入り…… 眼が覚めると、彼は14歳に戻っていました。なんて体が軽い! でもこれ、夢のはず……

でも夢じゃないらしい。ああ、妹がこんなにちっちゃい、それから…… ああ、お母さん! でも待てよ、僕が14の時って言えば、お父さんが失踪する年だ! どうしよう! 明日から新学期らしいし!

と、やたら「!」を打ってしまいましたが、ね、読みたくなったでしょ? この manga は1400円。必ず元はとります。mannga はどうも…… とおっしゃるあなたも、ここを読んでくださっているなら、ほぼ間違いなく面白いと思うと信じています。そして谷口ジロー恐るべし! と思うのは、あの『神々の山嶺』とは、まったく別の世界をきちんと描ききっている点です。

ついでに1つ。新潮文庫に、『リプレイ』という小説があります。これもまた、おじさんが、ある日18歳に戻る話です。こちらの主人公は、記憶を頼りに競馬や株をやり、大儲けします。そしてやがて「あの日」が近づき…… 目覚めるとまた、18歳から「リプレイ」することになるのです。これもまた、◎です!

さて、みなさんなら、どうします? 明日の朝目覚めた時、14歳になってたら……? 

Sakura-Momiji


Bonjour !  さわやかな日曜になりそうですね。さっきバルベリさんが、一昨日訪問した琵琶湖で撮った写真を送ってくれました。(Son mari est photographe.)サクラ(どうして咲いてるの!?)と紅葉が同居していますね。

では、Bon dimanche à vous !

2008年11月1日土曜日

宗方姉妹


このところ、完全に『優雅なハリネズミ』と谷口ジローにハマリきってます。で今日は、『ハリネズミ』に登場する小津安二郎の映画、『宗方姉妹』を見ました。(『むねかたきょうだい』と読ませるようです。)

これは、1950年の作品で、主役は画像の2人、田中絹代(左)と高峰秀子です。この2人が、「古い/新しい」価値観を代表していて、その父親は、おなじみ笠智衆です。ちなみに、田中の夫が山村聡、恋人(?)が上原謙。これはこれは、大変な豪華メンバーです。

この映画、初めて見ました。小津の中でも、マイナー作品と言っていいと思います。というのも、DVDボックスにも収められていないし、近所の2軒のレンタル・ビデオ屋さんには、置かれていなかったからです。(アマゾンで買いました、奮発して!)

『ハリネズミ』に出てくるのは、笠と田中がしゃべっている場面。苔寺を訪れたあとで、その庭が美しかったこと、特に、そこに落ちていた一輪の椿が鮮やかだったことを語り合います。

椿は、le camélia です。(『椿姫』なら La Dame aux camélias ですね。)この花が、『ハリネズミ』の中で何度となく現われ、さまざまな解釈を誘います。

そういえば昔、『都市空間の文学』という、とても話題になった本がありました。名著、と言っていいと思います。例えば『舞姫』なら、あのベルリンの大通り、ウンテル・デル・リンデン(でしたよね?)が、主人公の住む世界と、恋人の住む世界の境界線であり、それは現実のものでありながら、ある象徴的な価値をも負っている、というような話でした。

この『ハリネズミ』を読んで、久しぶりにそのことを思い出しました。というのも、主人公たちが住むアパルトマンは、空間的に上下左右に構成され、その廊下は、いくつもの世界を断ち切りながら、同時つなげているものとして出現しているからなんです。また管理人の部屋は、いわば二重構造になっていて、奥の部屋は(管理人の隠された美意識同様)外からは見えないのです。

バルベリさんが、どこまで意識的に組み立てたかはわかりませんけど、まったく無意識だったとも思えません。そう、そのへんも、水曜日に訊いてみましょう。

             ◇

実はわたし、この4月から今の明治大学理工学部というところでお世話になっているのですが、考えてみたら、まだここに来て7ヶ月しか経ってないんです。なんだか毎日濃いので、その何倍か経っている気がします。まあ8月までは、「まいにちフランス語」もあったし。

それはともかくあと2ヶ月。なんとか、しのぎ切りましょう!

2008年10月31日金曜日

バッキアーナス・ブラジレイラス


昨日、わたしにとって「世界一美しい歌曲」
( la plus belle oeuvre de chant au monde )は? 
と書きました。
で、つらつらつらつら考えました。
そして、後悔し始めました!

やっぱり、たとえ自分ひとりで決めていいと言っても、
「世界一」となると簡単じゃありませんね。
それでも、今日思い出せる中で選んだのは、
この曲、ヴィラ・ロボスの『ブラジル風バッハ』第5番です。
調べてみたら、you tube にいくつもありました。
(わたしが馴染んでいる人の歌はなかったけれど。)
でもこれで、十分に「美し」さは伝わると思います。
歌は3部構成です。
よろしければ、聞いてみてください。


う~ん、やっぱり素晴らしい曲ですね。
「美しい」です…… 
 
               ◇

そういえば今日はハロウィンでした。
昼休み、ドアを開けたままにして研究室にいると、
フランス映画ゼミの男子学生が2人、
Trick or treat ! と叫びながら入ってきました。
手にはレポートを持って。

仕方ないので、
愛用(?)の柿の種&ピーナッツの小袋を渡すと、
おお、まさかほんとにもらえるとは! 
しかもミョーにジャパニーズ! 
と叫びながら帰ってゆきました。
可愛いですねえ。 

2008年10月30日木曜日

Remember me...


『優雅なハリネズミ』の主役の一人、アパルトマンの管理人ルネが、「世界一美しい歌曲」というのが、パーセルの「ディドの死」です。

これは、『ディドとエネアス』という短いオペラのアリアです。この作品は、ヴェルギリウスの『アエーネアス(=エネアス)』をもとに作られたもので、カルタゴの女王ディドと、トロイアの王子エネアスの悲しい恋の物語です。

イタリア遠征の途上、エネアスはカルタゴに寄港。女王ディドと恋に落ち、結婚します。が、ディドに悪意を抱く魔女たちにだまされ、エネアスは再びイタリアに向かうはめに。2人は別れ、絶望したエネアスは自ら死んでゆきます。


というわけで、「ディドの死」は、2人が別れた後の場面です。歌詞はこうです。

Thy(=your) hand, Belinda(召使の名前), darkness shades me,
On thy bosom let me rest.
More I would, but Death invades me,
Death is now a welcome guest.


When I am laid in earth      わたしが土に横たえられるとき
May my wrongs create      どうかわたしの罪が
No trouble in thy breast.     あなたの心を苦しめませんように。
Remember me, remember me, 憶えていて、わたしを、
But ah ! forget my fate.      けれど、ああ! 
                     わたしの(不幸な)運命は忘れてください。

白黒ですけど、これはどうでしょう。美しきアルト、ジャネット・ベイカーです。(アルト、好きです。)


これは知らない人です。1箇所画像が乱れますけど、声はいいし、聞き取りやすいです。
                                         http://jp.youtube.com/watch?v=HRbFrOP8rgs&feature=related
                                              ……どちらも、切ないですねえ……

さて、あなたにとって「世界一美しい歌曲」はなんでしょう? わたしは…… じゃあそれは、明日までに考えましょう。(みなさんもね!)

@吉野家


今日は授業はなかったのですが、夕方6時から会議があって、それだけ行ってきました。

この会議はいつもわりと長いので、当然オナカがすきます。で今日は、大学近くの吉野家に寄りました。

5月にここで紹介した歌、

牛丼の並と玉子を注文し出てきたからには食わねばなるまい

を思い出さないではなかったのですが、今日は「牛すき鍋定食」(530円・画像)です。実はわたし、これけっこう好きです。

吉野家といっても、駅前ではなく、太い街道沿いの店。広い駐車場にはクルマは1台もありません。5時過ぎなので、あたりはもう真っ暗。

お客さんは、中学生くらいの男の子がひとりだけ。これから塾でも行くんでしょうか。静かに牛丼を食べています。

店員さんは、高校生のバイトらしい、色白の女の子がひとり、そして店長と思われる小柄な中年男性。そして店に流れる音楽は…… ジェニファー・ロペス。(けっこう好きです!)

でもすぐに、お客さんがやってきました。インパルスの堤下に似た若いサラリーマン(牛丼大盛り)、仕事が終わった感じのジャンパーのおじさん(牛丼、トン汁、ポテトサラダ)、ジャージ姿のおじいさん(牛丼並)。わたし以外みんな牛丼です!

これは書いたことがあるかもしれませんが、実はわたし、料理がそこそこできます。料理本は、何冊も使ったし、ネットで調べた料理を作ることもあります。

料理本は、わたしの経験から言うと、完全に書いてある通りに作っても、おいしくない本もあります。でもまあこれは(相対的には)当然で、たとえば親子丼1つにしても、本によって作り方はけっこう違います。肉じゃがも、餃子も、チリソースも。

で、わたしの1押しの料理本は、『ぜひ覚えたいおかず』(NHK出版)です。この本のレシピ、かなり色々やってみましたが、ホントにハズレがありません! 書いてある通りにやれば、おいしいんです。しかも1500円。カラー写真満載。安い!

(『フラ語シリーズ』の値段を決めるとき、実は個人的に意識しました。『ぜひ覚えたいおかず』より、高い値段を付けていいのか……? まあ、だれも比較しないでしょうけれど。)

堤下に似たサラリーマンは、忙しいのか、わたしが半分も食べていないのに、もう席を立ちました。そして中学生も、リュックを背負って出て行きました。

外は真っ暗。そしてわたしも、会議に向かいました。

2008年10月28日火曜日

『神々の山嶺』賛


『神々の山嶺(いただき)』は、夢枕獏作、谷口ジロー画の、なんというか、山岳マンガです。

全5巻で、しかもそれぞれの巻がそこそこ厚いので、読み応えがあります。1巻1000円なので、全巻揃えると安くはないです。が、ここには大事なもの、つまり感動があります。

舞台のほとんどはネパール、つまりエヴェレストのふもとです。そしてたまに、東京も出てきます。でも…… 

わたしは「東京派」なのですが、そんなわたしが見ても、エヴェレストの風景に比べると、どうも東京がせせこましく感じられます。冷たく厳しい山の様子は、もう「気高い」と言ってもいいくらいで、わたしは生まれて初めて、エヴェレストのような高い山に登ってみたいと思いました。(300%無理ですけど。)こんな想いが生まれるには、谷口ジローの絵が、どうしても必要だったと思います。

それにしてもこの作品は、表紙から受けた印象と、ずいぶん違っていました。こんなに緻密に、丁寧に積み上げてあるとは思っていなかったからです。

主人公は山岳カメラマン・深町。そしてもう一人、今は誰も行方を知らない伝説の登山家、羽生丈二。二人がカトマンドゥですれちがってしまったことが、この物語を引き寄せるのです。

重要な小物は、1924年製のカメラ、コダック・スペシャル。「そこに山があるから」で知られるマロニーが、エヴェレスト山頂付近で消息を絶ったとき、彼が持っていたはずのカメラです。

(マロニーの言葉に対して、羽生丈二はこう言います、「ここに俺がいるから」と。)

なんだかうまく紹介できなくてすみません。とにかく、印象に残るセリフも多いし、もちろんそういう絵も多いです。そして特に5巻には、清冽で激しいものが流れています。

素晴らしい作品だと思います。これがフランスで、manga として(Le sommet des dieux)評価が高いのも、嬉しいことです。さあ次は同じ谷口の、「『坊っちゃん』の時代」に突入します!

2008年10月27日月曜日

『優雅なハリネズミ』賛


気が向いたので、もう1つ。<ミュリエル・バルベリ&谷口ジロー>の対談、いよいよ来週の水曜日に迫ってきました。ところでバルベリさんの『優雅なハリネズミ』、これ、感動しました!

これ実は、350ページ以上あり、部分的にかなり抽象的な論議もあったりするのですが、はっきり言って、そこは斜め読みでも大丈夫。とにかく途中でやめないで最後までいけば、イイ場面がたくさん出てきます。陳腐で申し訳ないですが、心が暖かくなるのです。

主な登場人物は3人。まず、本当は教養ある女性なのですが、それをひた隠して生きる家政婦のルネ。でもなぜ隠すのか? 隠し続けることがほんとにいいことなのか……?

2人目はパロマ。この12歳半の天才少女は、今度の誕生日に自殺することにしています。だって、生きてたって、どうせ「金魚鉢」に入るだけだから! と彼女はいいます。彼女にはお金持ちのブルジュア両親と、「最悪の」姉がいます。

3人目が、日本人のオズさん。2人がいる高級アパルトマンに越してきます。そして……

正直言って、このまま難しくなったらまいるなあ、と思う箇所もあるんです。が、信じてください、読み続ければ、イイ場面が待っています。そして、それ以上です……

(あんまり言いたくないのですが…… 抽象的な話の部分は、やや訳が荒い箇所があるようです。原文を見たほうが分かりやすいのですが、原書は高いし……。だからちょっと分かりにくくても、ご自分を責めないように!)

では来週の水曜日、日仏学院で会いしましょう!

そんな恋愛映画


株価が下がってますね。画像を追加

株は、か~なり前、ちょっとやったことがあります。(今はやってません。)というわけで、カラ売り規制が入るのが遅いなあ、とか、もうアナウンス効果期待だけじゃだめじゃないかなあ、なんて、素人なりに思っていたのでした。

株が乱高下すると、必ず「経済評論家」が新聞などで「今後の見通し」を語ります。でもこれ、なかなか当たりません。もうずいぶん前ですが、「新春株価予想」みたいなアンケートに、ある評論家は「10万円」と答えてました。もちろん、東証平均が、です。今日7200円くらいなことを考えると、何の話? と思っちゃいますね。

『ロミュアルドとジュリエット』(画像)というフランス映画があります。なかなかいい映画で、「フランス映画ゼミ」でも見ました。ただこの映画、ある程度株のことが分からないと、ストーリーが見えません。

まずは「インサイダー取引」。これは単純ですね? で大事なのが、TOBです。これは、株の公開買い付けのことですね。映画を見る前に、いつも学生に説明するのですが、学生たちは、お金の流れも、株式そのものもリアルじゃないので、ちょっと時間がかかります。

この『ロミュアルドとジュリエット』では、乳製品会社が舞台になります。そして仕掛けられた食中毒事件が、株価の変動にかかわり、社長交代へと発展する、そんな恋愛映画(!)です。

そうそう、数年前にはドラマ「ハゲタカ」がNHKで放送されました。評判がよかったらしく、何度も再放送してますね。わたしも見ました。面白かったです。(「ハゲタカ」とは、外資系の乗っ取り屋のことです。)

というわけで(?)今日は一日、ロンサール(詩人です)の薔薇の詩ってなんだっけ、とか、そういえばリルケにも薔薇の長い詩があったはず、とか、そんなことを調べているうちに過ぎてしまいました。そしてこれからは、manga タイムです。今は「『坊っちゃん』の時代」を読んでいます。そういえば、同じ谷口ジローの『神々の山嶺(いただき)』、感動しました! 明日は、そのことを書きますね。

2008年10月24日金曜日

スライド・ショー


1時間目の授業は、朝8:50からなのですが、今日だけは8:30から始めました。というのも、『ニキータ』を見せたからです。そしてこの映画は117分なので、早く始めないと終わらないんです! でもまあ一応無事終了しました。

そして夜、今度は明大前の和泉校舎へ。ここに来るのは、この前図書館に来たとき以来2回目。今回は、トヨダヒトシさんのスライド・ショー。楽しみ!

トヨダさんは、「起きていることは、一瞬一瞬すぎてゆくわけだから、プリントして定着させるのは違和感かあるんです」と言うのです。で、作品をスライドで見せることにしたんだそうです。

「スライドは、そこにあるのだけれど、手を伸ばしても触れない。そこが、いい。」

たしかに。で、彼の2作品(それぞれ約90分)を見たのですが……

1枚約5秒で90分。見終わると、なんだか旅から帰ってきた時のような、心地よい疲れが残ります。トヨダさん自身、「映像日記」のようなもの、と言ってらした通り、そこにはゆるやかな物語がいくつか、絡むように寄り添うように映し出されます。見ているわたしたちは、彼の視線の動き、時には凝視する集中力と交感しながら、ある時間を追体験するようです。時間と空間の旅、というと平凡ですが、やはりそういえると思います。

4年間世界を放浪して出家した住職、その山深い禅寺、7年間世界を放浪して、今は警備員の松葉さん、彼のもう1つの顔はキックボクサー(ランキング8位)、ホームレスの人たちの営む養鶏場、そしてトヨダさんの世田谷の実家、ご両親、その朝食、家の前のサクラ、あるいはニューヨーク、9.11、窓辺の子猫、曲がりくねる河……

夜の東京は輝く海のよう。吹き上がる火の粉は祈りのよう。光を孕む湖面は記憶の容れ物……

というわけで、スライド・ショー初体験のわたしには、あっというまの3時間でした!

               ◇

雑誌「ふらんす」11月号に、レナさんの書いた「ふだん着のフランス語」が出てます。読んでみてください!

2008年10月23日木曜日

出会い


昨日のンディアイさんの帰り道のことです。

新宿駅で、ちょうど来ていた電車に乗り、鞄を網棚に載せてふと見ると、なんとほんとに目の前に、ンディアイさんの『みんな友だち』を読んでいる男性が。しかもそのコットンのマフラーは、さっき会場で見かけた気がします。で、ちょっと会の話がしたくなって声をかけてみると……

やはり彼も、会場からの帰り道でした。で話を聞くと、仏文専攻の大学院生で、7月まではリヨンで日本語を教えていたんだそうです。(こんな人なのに、なぜか「まいにちフランス語」を聞いてくれていました。「あの女性講師、オモロイですね~」。)

というわけで話は弾み、フランスでのマンガ人気の話、谷口ジローやメビウス(漫画家)のこと、小津安二郎のこと、彼の専門のクロソウスキーのこと、彼が日本語を教えるときに使っていた『みんなの日本語』(PSじゃないですよ。)のこと、など、色々話せて、楽しかったです。もちろん、彼が話しやすい人だったってことも大きいです。

そうそう、言い忘れてましたが、この前の土曜の朝日新聞の夕刊に、バルベリさんのことが大きく出ていました。「フランス語への愛、日本への恋」というタイトルで。まだ捨ててなかったら、どうぞご確認くださいませ。

で明日は、明治大学の和泉校舎(明大前)で、トヨダヒトシさんのスライドショーです。(詳しくは「3連発」の日を見てください。)わたしも授業は午前だけなので、ぜひ行こうと思ってます!

2008年10月22日水曜日

「特にありません」~マリ・ンディアイ


行ってきました、日仏学院の「マリ・ンディアイ」。とっても魅力的な人でした!

開始は19h.の予定だったので、少し前に到着して、とりあえず日仏の中にある本屋で立ち読み。するとふと隣りに人影がさし、あら、ンディアイさん本人です! チャンス! とりあえず持っていた本にサインしてもらいました。(ミーハーですけどなにか?)

で彼女、話す時じっとこちらの眼を見ます。うなづいたりはしません。でも、自分が話し終えたとき、とてもいい感じで微笑むのです。「惚れてまうやろ~!(wエンジン)」とまでは言わないけれど、とてもチャーミングでした。

で、肝心の話のほうはと言うと…… これは全部は書けないので、思い切って箇条書きにしましょう。

・川端の『雪国』は大好き。それを読んだときは、小説の中で1番(!)好きだった。
・谷崎の『細雪』も何度も読んだ。
・年に1度は必ず読み返す小説、それはフォークナーの『8月の光』。
・いわゆる「クレオール」の問題は、わたしとは関係ない。(グリッサンは尊敬してるけど。)ただ、「フランスの黒人」という問題は、わたしの問題の一つ。
・これは批判じゃないけど、フランスの小説は「知的」。
・「ヌーヴォー・ロマンがフランスの小説をダメにした」みたいな言い方は、まちがってると思う。
・ノーベル賞のル・クレジオ。『調書』は大好き。でもそれ以降のものは、ちょっとピンと来ない。
・プルーストは好き。réalité pragmatique (なんでもない現実)、たとえば眠ること、思い出すこと、田舎の家……みたいなことから、美を引き出すから。
・『源氏物語』大好き。あんな昔に、あそこまで繊細でありえたことが。
・悲しい終わりの話は嫌い、と娘が言うので、子供向けの小説は、ハッピー・エンドにしている。

とまあ、さすが「書くより読むほうが好き」というンディアイさんだけあります! たしかに彼女の短編「少年たち」の終わりなどは、言われてみれば川端的だと思います。つまり、「言わないでおく」感じの書き方です。そうそう、「あなたの作品全体を貫くメッセージは?」という質問に対して、彼女はこう答えました。

「特にありません」
                                               これは気取ってるのでも、謎めかせようというのでもありません。「わたしはわたしの分かるものを書きます、感じ取ってくれるのは読者です」ということのようです。いやあ、国語の試験問題の、「下線部について、筆者は何が言いたいのか」的な次元とは違いますね。

というわけで、なかなか充実した2時間でした!(しかも無料で……)

2008年10月20日月曜日

甘酢タイプ?


知り合いの女性(30歳)の一人に、何を思ったか、急にwebデザインに興味を持ち始めた人がいます。あわよくば、それで少しは稼げたらいいな、家でできるし! ということのようです。まあ確かに、オオ! というデザインも中にはありますね。

彼女の1番のごヒイキは、かの中村勇吾です。忘れもしない今年のエイプリル・フールに、NHKの「プロフェッショナル」に登場していました。

彼の作った数ある作品の中で、これは面白いなあ、と思うのは、amaztype です。


遊び方は簡単。searchword と書かれたところに、なんでも好きな言葉を入れます。例えば、「麻里」 とか、「LENA」とか。そしてあとは start search をクリックするだけです。とりあえず、トライしてみてください、ここで待ってますから。


……ね、面白いでしょ? もちろん最初の画面の MEDIA で music を選ぶと、CD が材料として使われるんですね。アマゾン+タイプ。面白いこと思いつくたし、それを実現しちゃうところがすごいですね。(かの女性は、これをある瞬間キャプチャーして、壁紙にしたりするそうです。)

                 ◇

レイズ、強かったですね。恐れ知らずの若い選手たちが、躍動していました。明々後日からのワールド・シリーズも、目が離せません!(わたしだけ?)

2008年10月19日日曜日

点描


日曜日。今日はほとんど家の中で過ごしましたが、午後3時ごろ、いつのもパン屋におやつを買いに行きました。

動物園帰りの親子連れなどで、小さい店はいっぱい。でも、お目当ての林檎のデニッシュはまだありました。帰ってコーヒー淹れて食べよう!

で店の外に出ると、モノレールと駐車場の向こう、長く伸びる駅のホームを警護するように立つ3本の桜の樹が、まばらに紅葉しているのに気づきました。よく見てみると……

これがほんとうに、うまい具合に「まばら」です。ちょうど点描画のように、紅い葉が点々と葉群れ全体に広がっています。春に、満開の花をつけていた時の姿と重ね合わせると、フシギな気がします。

点描と言えば、まずGeorges Seurat ジョルジュ・スーラを思い出しますが、わたしは岡鹿之助の絵(画像)も好きです。岡の絵は、部屋に飾るのもいいですね。(こんな言い方、画家は喜ばないかもしれませんが。)

みなさん、フランシス・ベーコンという画家、ご存知でしょうか? 岡の絵が端整で静謐なら、ベーコンの絵は歪んで苦しげです。なんだか物凄くゆがんでるなあ、と思うと、タイトルが「自画像」だったりします。若い頃は、ガツンときました。で、こんなベーコンの絵を、トイレに飾っている人がいました。

それはバルベリさんの『優雅なハリネズミ』に出てくる、あるブルジュア家庭です。こういう絵を飾れる神経って…… と読者が思えば、小説技法上の「小物の扱い」として、成功していると言えるのでしょう。

さて今週は、先日書いた3連発が控えています。あしたは、レイズvsレッドソックスの決戦もあるし。また忙しい週になりそうです。みなさん、はりきってまいりましょうね!

2008年10月18日土曜日

Vous êtes du soir ?


まあまあのお天気だった土曜日、いかがお過ごしでしたでしょうか?

土曜日曜は、朝はゆっくりしたいですよね。でもゆっくりしすぎると、あっという間に昼になり、ぼやぼやしてるともう夕方…… というのを避けるためには、やっぱり土日もそこそこの時間には起きないとですね。

ちなみに「ぼくは夜型なんです」は、Je suis du soir. と簡単に言えます。この du は de+le です。でここでの de は、「~に属している」という意味だと考えればいいと思います。(ドラマなんかで、「どなた?」「警察のものです」と言う時も、同じ意味の de を使って、Je suis de la police. (警察に属している。)と言っているようです。)

さて、上の画像、これなんでしょう? そう、目覚まし時計です。フランスの「女子向け」の雑誌のHPで見つけました。(仕事をしていただけなのに、PCがこのページを開いていたんです、勝手に!)商品説明はこんな感じ。

Personnellement, si je ne me lève pas dans les 24 secondes qui suivent le moment où j'éteins mon réveil, c'est foutu, je me rendors. Et je crois que je ne suis pas la seule (si ton seuil est à 38 secondes, je t'inclue dans le groupe quand même).

自分のことでなんだけど、目覚ましを止めてから24秒以内に起きなかったら、ハイおしまい、2度寝に突入しちゃいます。でもこれって、わたしだけじゃないでしょ。(言っとくけど、24秒が38秒になったからって、アタシはちがうなんて言わせませんからね。)

で、この目覚ましは、お分かりですね、パズルをきちんと嵌めないと、鳴り止みません! う~ん、これなら起きる、かな。説明の締めくくりはこうです。

Heureusement que ça reste simple, parce que si c'était un Rumik's cube, le réveil finirait vite explosé contre le mur.

でもまだラッキーだったのは、このパズルが簡単なこと。だってもしこれがルービック・キューブだったら、あっという間に目覚ましは、壁に激突してコナゴナになるのがオチです!

同感です。Et vous ?

2008年10月17日金曜日

照屋勇賢


21世紀も早8年目を迎えました。まあそれ自体にはたいして意味はないかもしれませんが、たしかに区切りはいいですね。

今日のランチは、仕出し弁当(680円)を、総合文化教室の仲間の先生たちと食べました。話題は『ゲド戦記』と、「惑星文学」と「赤ちゃんならまだしも高校生になった娘の写真を年賀状で送るってどうよ」などについて、でした。(むろん最後の話題には、みなしかめっ面で応じました!)

で、さらに話題は例の「共同研究」の話に。そのなかで、「21世紀に入って登場した新世代」のことが問題になり、じゃあ例えば、と言ったところで、写真が専門の倉石先生が、「照屋勇賢知ってる?」と言い出しました。

さて、この照屋の代表作の1つが、今日の画像です。これ、なんだと思いますか?

実はこれ、マックの紙袋、それを部分的に切り絵のように切り抜いて、樹にしてしまったものです。袋を、覗き込んでるんですね。いやあ、これはすごい!

もっと作品が見たいでしょ? それならこちら。


しかも、沖縄出身の彼は、ただキレイなものを作っているわけじゃなく、そこにはさまざまなメッセージも込められています。たとえば、一見沖縄の伝統的な柄に見える着物も、よく見るとそこにはヘリコプターが飛んでいたり、兵士らしき人がいたりするんです。

メッセージを、なんというか、ゴリゴリ押し付けてくるのはうざいけれど、こんな風にさりげなく、「しなやかに」(倉石さん)、作品化できるのは、いいですね。

でみんなで、PCで一通り照屋の作品を見たところで、倉石さんが立ち上がりました。

「じゃあ、ちょっとお先に」
「どっかいくんですか?」
「そう、ニューヨークに、ちょっと」

あら、購買部でも行くのかと思ったら! じゃ、Bon voyage !

2008年10月16日木曜日

Now on sale !


というわけで、先日予告いたしました『ハートにビビッとフランス語』、めでたく発売の日を迎えることができました。大きな本屋さんには並んでいると思います。CDと赤シートがもれなく付いています。よろしければ、活用してくださいませ。

CDというのは、ご存知の通り、素材としては100円程度ですね。ただこういう風に本に付けるとなると、もちろんスタジオ使用、編集、効果音作成、CDデザイン、それに声の出演者のギャラなどもあり、定価で言うと200~300円程高くなるのがフツーです。

ただ今回は、(というか割といつもそうなのですが、)やっぱりなるべくたくさんの人に使って頂きたいので、定価はなるべく安くするようにお願いしました。(レナさんも同じ意見でした。)本体も256ページ(ということは16折りですね。これ、16台という数え方です。)あるので、やや厚いです。でもね、編集長とA子さんが、ちょっと軽い紙を探してきてくれたので、重くはないと思います。もちろん、シャープペンでも書き込みやすい紙です。

また紙の色は真っ白ではなく、少~し黄色が勝ったものにしました。まぶしくないように。

ただページ数の都合で、普段のテキストの見開きのイラストが入れられませんでした。でもなんとか生かしたかったので、思い切って表紙の背景にもってきました。タイトルのフォントなどは、デザイナーさんのオリジナルです。

なんだか、色々書いちゃいましたが、これは宣伝のためじゃなく、こういう話が好きだからなんです。その点では明らかに古い人間で、モノとしての本が好きです。だから当然、本ができる過程も好きです。

ちなみにさっきレナさんからメールがきました。いつも通り元気そうでした。みなさんによろしく! とのことでした。(たしかに伝えましたよ!)

フウルス


今日はいい天気でしたね。久しぶりに洗車もし、すっきりして学校に行きました。

といっても今日は授業はないので、やらなきゃいけないことを粛々と進める予定、だったんですが……

研究室に着くと、なぜか眼に飛び込んできた『辻征夫詩集成』。いつも置いてあるのに、なぜか今日に限って呼んでいるような気がします。しょうがない、ちょっとだけ読んじゃいましょう。(もちろん、逃避ですね!)

でもやっぱり辻征夫はおもしろい。詩を読んでいて、声に出して笑うことがあるっていう詩人は、多くありません。(まあ、泣くほうが多いですね。)だって、春の海に「ヒネモス」が泳いでいたり、カラスの七つの子たちは、どうやら山の「フウルス」というところにいたりするんです!(フウルス? 古巣!)

それから、明治大学の講堂で行われた自作の朗読会のことを書いた詩では、前座として登場したダンサーが全員裸だった! という話が語られます。そしていつの間にか会場も全員全裸になり、自分だけが服を着ていて変だった、というんです!

そんなことあるんでしょうか!? と思ってよく見たら、小さな「*」が付いています。で注を見ると、「この会に関わったすべての人間が、この事実を否認している」(!)

おもしろいです。辻征夫、好きです!

                ◇

このごろ夜は、風呂で manga を読んでいます。そう、谷口ジローさんの manga です。今日は『神々の山嶺(いただき)』の第1巻を読みました。いや~、引き込まれました! 5巻まであるので、1日1冊の予定です。楽しみです!

2008年10月14日火曜日

3連発!!!


東京飯田橋の日仏学院、といえば、レナさんが教えている語学学校ですが、ここでは色んなイベントが開かれます。で来週の水曜・木曜、なかなかお目にかかれないお2人が連続登場という、めったにない事態に!

まず10月22日の水曜日には、マリ・ンディアイという女性作家(画像)。セネガル人の父親を持つ彼女は、フランスではすでに幅広く活躍しています。


今秋、彼女の作品が3点邦訳されるのですが、その内の1点、『ねがいごと』は、知り合いの編集者が担当していて、これが売れないと後が続かないんです! と唾を飛ばしています。まあ、編集者も力の入るいい作品だ、ということなんですね。

それから翌木曜日が、ナンシー・ヒューストン。彼女はカナダ出身で、英語でも書く人です。


こちらの進行係りの1人は、去年までの同僚の国分さんです。

(ほんとにどうでもいいことで恐縮ですが、彼の家が、わたしの仲良しの編集者のアパートと背中合わせだったことが判明したことがありました。今は編集者氏のほうが、deep Tokyo、町屋に越してしまいましたが。)

あと1週間あります。あわてて読んで、急いで参加! というのはいかがでしょう? 記憶に残る夜になるでしょう。(11月5日の、「ミュルエル・バルベリ&谷口ジロー」もお忘れなく!)
                ◇
                                               で終わりかと思いきや、実はその翌日の24日(金曜日)にも、今度は映像関係の面白そうなイベントがあります。
                                               ニューヨークを生活と活動の拠点に、何も跡を残さない"スライドショー"というスタイルにこだわって、映像日記を発表している写真家、トヨダヒトシ。今回は歴史を重ねた急勾配の階段教室が会場となります。場の記憶が濃密に漂うこの空間に、大きなスクリーンを設置し、つながりのある2作品を上映します。
■2008年10月24日 (金)■開場17時30分
■上映18時00分 - 19時30分 /『NAZUNA』 20時00分 - 21時20分 /『spoonfulriver』
■入場無料(入れ替え制)(各回とも席に限りがありますので、お早めのご来場をおすすめします)
■会場 明治大学和泉キャンパス第2校舎3番教室(京王線・井の頭線 明大前駅下車 徒歩3分)
■上映作品『NAZUNA』(2005 version/90min./silent)9.11.01/うろたえたNY/11年振りの秋の東京を訪れた/日本のアーミッシュの村へ/アフガニスタンへの空爆は続く/ただ、/やがて来た春/長くなる滞在/写真に撮ったこと、撮れなかったこと、撮らなかったこと/東京/秋/雨/見続けることー ある夏の、雨のブルックリンから始まる1年数ヶ月の日々を綴った  長編スライドショー
『spoonfulriver』(2008 version/80min./silent)2005年春先の、ニューヨークの平凡な道から始まる/このありふれた日/いくつかの旅をした/出雲崎/コペンハーゲン/グラーツ/残された言葉/今も/東京/水のように/思いを遂げることと幸せになることは同じではないのかもしれない/集めた光/去ってゆく音/ニューヨーク/ひと匙の河ー 500枚の写真からなる近作映像日記
                                               こうなったら、3連発、ぶちかましましょうか!

2008年10月13日月曜日

フランス語教育学会


Il y a longtemps !(久しぶり!) でもないか。

みなさんはどんな連休だったでしょう。こちらは予定通り、土日は京都の学会に参加してまいりました。(もしもプログラムに興味がおありでしたら、http://wwwsoc.nii.ac.jp/sjdf/Taikai/2008aki_programme.pdf  

です。)

色々参考になる話もありましたが、なんといっても一番印象に残るのは、この学会の情熱というか、熱気というか、そういう雰囲気です。

一般に、大学でフランス語を教えていらっしゃる先生たちの専門は、文学、言語学が大半で、あとは経済とか、歴史とか、なんです。(わたしもまた、一応文学が専門ということになります。)ただそうした中、言語教育学、という分野を専門にしている先生方も、わずかにいらっしゃいます。

言語教育学。読んで字のごとく。言語を教えてるときの方法について、さまざまな角度から研究し、より効果的で、体系的な方法を追求していこうとするわけです。話は、ごく細かな、たとえばこの項目の教え方はどうするか、から始まり、「ヨーロッパ言語共通参照枠」の理念とは、まで広がってゆきます。

彼ら、言語教育学を専門にする先生たちからすると、例えば文学を専門にしている先生たちの「フランス語」の授業は、方法に対する自覚が低いと感じられる場合もあるようです。わたしの周りには、授業に心を砕いてらっしゃる文学専門の先生もたくさんいますが、まあ全員そうかどうかは分かりません。ただ少なくとも、言語教育学の先生たちの意識が高いのは事実だし、大学生にとっては、ありがたい授業になっているだろうなあ、と思います。

会場で、今は北海道大学にいる先生と、10年ぶりくらいに会いました。彼女は、バリバリの言語教育学者です。その昔、彼女との雑談に出てきた、先生のための授業心得第1番、それは、

教室のドアを開けてから教卓に着くまでの間、教員は必ず微笑んでいること。

そうなんです、教育学は、こんなところからスタートしているんです! だから、授業の組み立てや、緩急や、小テストまで、本来はかなり緻密に計算されているものなんでしょう。もちろん、相手(=学生)のあることですから、それをその場で調節しながら。

わたしが参考書などを書くときも、こうした授業での経験を常にフィードバックさせるようには心がけています。ヒントを出したり、横に逸れたり、先回りしたり、意外性を狙ったり…… そう、一応考えてはいるんです、あんなものでも!

               ◇

というわけで、せっかく京都まで行ったのに、なんだか教室にいる時間が長くて、京都らしいことはほとんどしませんでした。唯一、京都の娘・シゲピョンに教わった、創業540年(銀閣寺が500年)という蕎麦屋、尾張屋に寄ってきました。混んでいるのに、あんまり急いでなくて、席もゆったりしてて、好感の持てるお店でした。

それから一つラッキーだったのは、とまったところが西武系だったので、ライオンズ優勝記念メニューというお安いディナーを出していたことです。(え? 小さい? たしかに……)

それにしても、原広司デザインの京都駅、もう10年になるんですね。今回は夜通ったのですが、あんなに暗くしているとは知りませんでした。東京には、あんな暗い駅はないでしょう。(暗い、って、比喩じゃないですよ。ほんとに暗いんです、夜みたいに!)ついつい、あのエレベーターを乗り継いで、11階まで上っていっちゃいました。おかげで、帰りの新幹線がギリになりました!

この京都駅、好きです。だけどやっぱり、安藤忠雄デザインの京都駅も、見たかったなあ……

2008年10月11日土曜日

ノーベル文学賞


みなさんご存知のように、ル・クレジオ(画像)というフランス語で書く作家がノーベル賞をとりましたね。このニュースについては、わたしよりも、mon éminent collègue である管さんのコメントを紹介しましょう。管さんはル・クレジオの翻訳もしています。


さて今日は、1時間目から授業があり、午後はまた波戸岡さんたちと「共同研究」の相談をしたり、という1日でした。

この前波戸岡さんとわたしで作った「導入部分」をメンバーに振ったところ、みなさんそれ以上のものを返してきました。仲間をほめるのもなんですが、やはりさすがです! でもそうなると、今度はもとの路線でわたしが書いた部分が、イマイチ全体との整合性がないものになってしまったのです。で、またもや相談相談、というわけです。

でもまあ、優秀な仲間に恵まれるのは嬉しい&ありがたいものです!

さて、実はこのブログ、始めてから今日まで皆勤なのですが、明日・明後日、初めてお休みを頂かねばなりません。京都外語大学での学会に参加するためです。なんだか天気予報はイマイチなんですが……

というわけで、よろしければ、また月曜に(文字上で)お目にかかりましょう。では、BON WEEKEND !

2008年10月9日木曜日

クラゲと牛乳


ここ数日、ノーベル賞の話題で盛り上がってますね。日本の先生方が獲得されたのは、

le prix Nobel de phisique (物理学賞)
          de chimie (化学賞)

でした。素晴らしいですね。ちなみに「クラゲ」は la méduse 。これ、あの見る人を石に変えてしまうというメデューサです。彼女の髪(は蛇なんですけど)が、クラゲの脚(?)のい似てるから、なんでしょう。

メデゥューサはついには首を刎ねられてしまいますが、その吹き上がった血から、あのペガサスが生まれます。(ペガサスの父親はポセイドンで、その奥さんがアテナで、アテナがメデューサを殺させたわけです。)また、メデューサを殺したペルセウスは、その帰り道、岩につながれたアンドロメダを見つけ、助け出して嫁にすることになります。

フランスでも、le prix Nobel de médecine (医学賞)をとったペアがいます。エイズウイルスを発見した、ということでした。

このエイズウイルス発見の功績については、ずいぶん長いこと、フランスが先か、アメリカが先かで、もめてきました。これでやっと、一応の結論が出た、ということのようです。

フランスの2人は、パストゥール(Pasteur)研究所につながる人たちです。Pasteur といえば……

みんさん牛乳は低音殺菌ですか? もしそうなら、おそらく牛乳パックのどこかに、pasteurized(パスチャライズド)と書かれているはずです。「低音殺菌された」というこの形容詞(過去分詞)は、ご覧の通り、Pasteur(画像) の名前からきています。

じゃあ今日の風呂上りは、パツトゥール研究所に敬意を表して、低音殺菌牛乳で一杯やるとしましょう!

2008年10月8日水曜日

蟹とわたしとコノワタ


わたしの住んでいるところは、かなり急な斜面に建つ2棟で構成されています。で……

やっぱり斜面、というかほとんど山なので、これが雨の後は、一番低いエンロランスあたりは、2、3日水が流れています。で……

今日が初めてというわけではないのですが、その流れの中に、小さな蟹を発見しました!

3年ほど前に引っ越してきて、最初に蟹を見たときは、「飼い蟹」が逃げたのかと思いましたが、どうもそうじゃないみたいなんです。蟹ですよ!

蟹とわたしの出会い(?)は、小学校の頃に遡ります。狭苦しい台所に、母親が立っていました。そしてその手には、蟹が。蟹はこれから起こることを知ってか知らずか、逞しい鋏で虚空を切り裂き続けています。

そして、ザブン。蟹は熱湯の中へ。彼の鋏が、寸胴鍋の内側を引っ掻きます。カリカリ、ゴリゴリ。でもそれも、ほんの短い間だけ。あとに残るのは、炎と、わずかに揺らめる熱湯の音だけ。

いや、小学生には、お湯の表面は見えなかったはずですね。でも覚えているということは、抱っこでもされて覗き込んだか、単に記憶をでっちあげたか。

その時、蟹が可哀想だとか、残酷だとか、思ったかどうか…… よく覚えてません。でも何度となく繰り返されたこの場面は、わたしにとってはやはり原風景の1つといえるのでしょう。

ああ、余計なことを思い出しました。近所にあった仲良しの魚屋さん、小学校から帰る途中のわたしを 呼び止めて、コノワタを啜らせてくれることがありました、まんまのナマコから、チュルチュルっと! 今思うと、ヘンな図ですが、これはうまかった記憶がはっきりあります。ああ、昭和は遠くなりにけり!

2008年10月7日火曜日

共同で


今日は午後の2時間ほどを使って、英語の波戸岡先生とミニ会議をしました。ま、出席者2人、ってことですね。

わたしの属しているのは、理工学部の中の文系の集団、「総合文化教室」というところです。総勢14人で、英語、ドイツ語、中国語、フランス語、写真、そして体育の先生たち、で構成されています。波戸岡先生は、実はその中で最年少ですが、周りからとても頼られています。(わたしも頼っています。)

波戸岡先生は、授業もずいぶん工夫して準備してるし、かと思うと今週末は学会発表だし、11月には中国で開かれる環境文学学会にも出る、いわゆる業務もちゃんとこなす、というわけで、ハチメンロッピの活躍中なんですが、どうもそれでもまだあきたらないらしく、新たな企画を主導しています。

それは、共同研究です。

文系の場合、研究と言うと個人単位が基本ですが、総合文化教室の場合、1つの大きなテーマを決めて、各自の専門分野に関連することを勉強し、それを持ち寄ってぶつければ、うまくいけばあるスパークが起こるんじゃないか、という期待ができます。それをやろうというわけです。

で今日、その大きなテーマ設定などについて、ああでもないこうでもないと、話したのでした。その内容は、まだ発表できるものではないんですが…… でもまあ、(わたし以外は)みんな優秀なので、なにか面白いことができればいいなあと思います。

                ◇

夕食のときに、スーパーで284円で買ったスパークリングワインの小瓶を飲みました。で昔、ある女性が、シャンパンのコルク押さえを使ってイスを作っていたのを思い出し、ちょっと作ってみました。意外にてこずりました。(って、その女性のことじゃないですよ!)

2008年10月6日月曜日

80歳?


今日は午後からちょっと陽も差して、気持ちがいい風が吹いてましたね。わたしも午後2時過ぎから出かけたのですが、ちょっと迷って、でも半袖にしました。

もちろんクルマだってこともありますけど、わたしは基本暑がりなので、かなり遅い時期まで半袖です。特に教室は、若者たちの熱でまだまだ暑いです。ま、そんなことはともかく。

今日は、古本で買った『耕治人全詩集』を読みました。昭和5年から55年までという、ちょうど半世紀をカバーする詩集です。

たとえばこんな詩はどうでしょう?

 
あいびき

省線の駅の出口は
陸橋になっていた
陸橋のふちにコンクリートの手すりがあり
その下を電車が走っていた
手すりにもたれて
丈の低い洋服を着た女が
立っていた
女は手すりの上に本をおき
すぐ目の下の
薄暗い線路を
のぞくようにして
うつむいていた
女は水色の上着をき
茶色のぼてぼてした靴下をはき
その脚はつつましく
不安そうに内側を向いていた

これは昭和22年の発表なので、水色の上着を着た彼女は、今80歳くらいでしょうか。お元気なんでしょうか? あの日の自分が、ある詩集の中でこうして生きていることを、ご存知なんでしょうか?

絵や写真もそうですが、こうして捉えられた時間は、作品の中で結晶してしまうのですね。もしかしたらみなさんも、みなさん自身が気づかないうちに、捉えられているのかもしれません、もしかしたら今日も!

そしてみなさんも、きっとある瞬間を捉えたのでしょう、今日も! さあそれは、どんな一瞬だったのでしょうか? わたしは…… 

まだ新鮮な記憶なので、思い出そうとするとけっこうたくさんの場面を思い出せるものですねえ。しいていえば、今日は…… いや、やめときましょう。(なにそれ?)

2008年10月5日日曜日

お会式


以前もちょっと書きましたが、わたしは大田区池上というところで生まれ、そこで中二まで過ごしました。この池上には、池上本門寺という、由緒正しいお寺があります。どれくらい正しいかというと……

実は本門寺は、療養のために常陸の国に向かう途上の日蓮が立ち寄り、そこでそのまま没した寺です。(なくなる直前に、日蓮本人が、開堂供養をしたらしいです。)それが1282年、10月13日。そう、来週ですね。

で、この日蓮の命日には、「お会式(おえしき)」という法要、というかかなり大規模なお祭りがあります。その人出、約30万人! 

わたしは特に祭り好きというんじゃないのですが、子供の頃は、たしかにお会式は楽しみでした。なんといっても、池上駅から本門寺まで、その参道は屋台で埋め尽くされます。その頃は、これが東京を代表するお祭りの一つだなんて知りませんから、お祭りとはこういうものだ、と思っていました。花咲く木に見立てたような万灯や、纏なども登場していましたが、子供の関心はもっぱら金魚すくいと綿あめでした。

中原中也には、「お会式の夜」という詩があります。出だしはこうです。

十月十二日、池上本門寺、
東京はその夜、電車の終夜運転、
来る年も、来る年も、私はその夜を歩きとほす、
太鼓の音の、絶えないその夜を。

これを書いた頃、中也は洗足池(池上から10分ほど)に住んでいました。まだ『山羊の歌』も出版されていなかった25歳の中也は、どうやら何度目かのお会式のようですね。そうそう、じゃあついでに芭蕉も。

御命講(おめいこう)油のような酒五升

御命講というのは、お会式のことです。酒、飲んでますね!(画像は広重の「お会式」)

こんなお祭りが、一週間後にあります。残念ながらわたしは、フランス語教育学会(@京都外国語大学)に出る予定なので、行かれないんです。みなさん、これはお金もそんなにかからないし、お勧めです。(詳しくは「池上本門寺」HPを。)

ああ、大事なことを忘れてました。池上駅徒歩30秒の浅野屋。ここの葛餅、かなりいけます! 

ああさらに、「池上線」という曲が昔はやりましたが、あの舞台はこの駅です。ただし駅前の果物屋(さんざん買いました)は、もうありませんが。

さ、また一週間、はりきっていきましょう!

2008年10月4日土曜日

Excuse me, he said.


一週間ほど前だったか、ポール・ニューマンの訃報がありました。新聞で紹介された出演作を眺めてみると、やっぱりほとんど見てるんですね。彼を追って見てた訳じゃないのに。それだけ作品に恵まれたってことなんでしょう。

ポール・ニューマン、一度だけ本物とすれちがったことがあります。あれはちょうど『ハスラー2』が公開されたいたころでしたから、今調べたら1986年だそうです。

そのときは旅行中でニューヨークにいて、そこからトロントへ向かうために国内便に乗ったのですが、その搭乗手続きの列の前の方に、なんだかいやにポール・ニューマンに似てる人がいました。一緒にいた学生仲間と、あれポールじゃねえ? などと冗談で言っていたら……

機内に乗り込むと、まずファースト・クラスの席を通り抜けるたのですが、なんと、本物だったんです! しかも、何を思ったかポールは席から立ち、通路を歩いてきます。そしてすれちがいざま、あの緑がかった瞳に微笑をたたえ、ポールは言いました。

Excuse me.

! ポールと話した!(と言えるか?)

わたしたちは舞い上がって、この奇跡をことほぎました……

というまあ、たわいもない話なのですが、もう書いちゃったので消しません!

                ◇

練馬のチカコさんから、渋谷川に関する情報を送っていただきました。わたしの全然知らないことでした。世の中には、アンテナの感度のいい人がいるんですねえ。Merci encore !

そういえばNHK出版のA子さんからも、エデュケーショナルのユキちゃん(アヤちゃんの後輩です。)からも、番組が終わってハガキがたくさん届いている、とのお知らせをいただきました。今度会うときに渡してくださるそうです。送ってくださったかた、je vous remercie d'avance ! (先に merci を言っておきます!)

2008年10月3日金曜日

落書きみたいな


今日は出席者の多い会議があったのですが、見るともなく見ていると、やっぱりネクタイ姿の先生も半数くらいいらっしゃいます。が、残りの半数はノー・ネクタイだし、中には襟がない服、つまりTシャツ系の方もちらほらまじっています。

ただしそれは、機械工学科とか応用化学科とか、いわゆる理系の先生のお話。理系に浮かぶ文系小島、わが総合文化教室の場合、ネクタイ着用は14名中2名。(最年長と最年少の先生。)中には緑のジャージの先生もいます。 Qui ça ? C'est monsieur Suga, bien sûr !

管さんと言えば思い出すのが、もう数年前のこと、ある春の打ち合わせのとき管さんが履いていた黄色いスニーカーが妙に気に入り、似たような(といってもパイソン柄でしたが)スニーカーを買ったことがあります。それはアディダスのロッドレイバーでした。(ちなみにそれが履きやすかったので、色違いのモノトーンのも買っちゃいました。(←喜びすぎ) 今ではその2足は、雨の日には水が漏れ入ってくるまでと、なり果てました。

いったいなんでこんなことを書いてるの? と自分の胸に聞いてみると、それはこの前街で見かけた、new balance の、黄色い地に落書きみたいな模様のあるスニーカーが気になってるからです! 今も売っているのかどうか、それさえ分からないんですけど。こうなったら、明日探しにいこうかなあ。(でもなあ、机を取り囲んで、読むべき本が要塞みたいに積みあがってるしなあ……)
Bon weekend !

2008年10月2日木曜日

バタフライガーデン


先日若き友人大洞君と話していて、東京の西郊にある多摩動物園の話になりました。彼が小学生だった頃、毎週水曜日に「タマドウ」に行ったというのです。(ちなみに今は水曜はお休みです。)

彼のお目当ては昆虫館。それはいわばガラスの半球で、中は1年中暖かく、木々の間を蝶が飛び、草むらをバッタが跳ねている、そういう空間です。

それならわたしも知ってます。人工的に集約された自然が、楽しげな音楽を奏でている感じ。

でひとつ思い出したのは、ずいぶん昔に読んだ日高敏隆の短いエッセイ「バタフライガーデン」です。今タマドウにある昆虫館の前身、まだ開園(ちょうど50年前)して間もなかった頃、彼もその完成に努力したというバタフライガーデン。その苦労が具体的に書いてありあます。

天井が高すぎては、蝶は舞い上がりすぎてガラスにぶつかり、やがては力尽きてしまう。温室が暑過ぎてもだめ。また卵も、自然に任せておいては寄生バチにやられてしまう。うまいタイミングで休眠サナギの目を覚まさないと、いつでもいる状態が作れない……

なんと、こうした問題すべてがクリアーされて、今の昆虫館に行き着くんですね。素晴らしい!

秋の1日、タマドウにお越しの節は、どうぞ昆虫館にも寄ってください。(入場料は大人600円。)ライオンバスもあります。オランウータンも、コアラも、美しいユキヒョウもいます。

2008年10月1日水曜日

『優雅なハリネズミ』


ああ、1日ってほんとにすぐ終わっちゃうなあ、と思う日って、ありますよね。今日はなんだかそんな日でした。

ほんとに、ちょっと読んで、ちょっと書いて、ちょっとメールの返信したら、もう10時半!(いや、今日はメールだけはちょっとじゃなかったかも。)

さて、今日は楽しみなお知らせがあります。来る11月5日(水)の夜、飯田橋の日仏会館で、フランスの若きベストセラー女性作家、ミュリエル・バルベリさん(画像)と、漫画家の谷口ジローさんによるトーク・イベントがあります。(日仏のHPには、まだアップされていないようです。)

これは、バルベリさんの新作、『優雅なハリネズミ』の出版を記念したイベントです。実はこの本、フランスでは爆発的なベストセラーで、いくつもの言語に翻訳されてもいます。日本では早川書房から、たしか来週発売されます。その内容は……

アートに造詣の深いアパルトマンの管理人、自殺志願の少女、そして紳士な日本人オヅさんを軸に、人生、恋、生と死の有り様に哲学的、感動的に迫る、京都在住女性著者の世界的ベストセラー小説。

だそうです。お勧めなのは、この『優雅なハリネズミ』と、前作の『至福の味』を読み、するときっとなにか著者に訊いてみたくなりますから、その質問をしに日仏に出かける、というパターンです。そしてもちろん谷口さんの mangas も読んでおけば、1粒で2度おいしいです! いいですねえ、いろんなお楽しみがあって!(当日、わたしも進行役として、ちょっとだけお手伝いする予定です。)

なんとまあ、「藝術の秋」にふさわしいんでしょう!

2008年9月30日火曜日

ワカモノよ!


というわけで今日からゼミ再開。「フランス映画ゼミ」の第1回は、90分で駆け抜けるフランス映画史、という感じで、まあごく大雑把な流れを紹介しました。

ただ「フランス映画」といっても、たとえば「アメリカ映画」の話をまったくしないというわけにもいかないし、イタリアのネオ・リアリズモだって、カンフーだって無関係じゃないわけなので、やや大風呂敷目に話しました。(まあね、「考える種」になりそうなことは、直接関係なくても話しちゃいますけど。)

で、フランス映画の歴史をサクッと知りたいとご希望? それならこれ、『フランス映画史の誘惑』(集英社新書)です。この本、とっても分かりやすいです。これを読んでから、めぼしい映画を30本も見れば、一応「フランス映画」というものが、あるパースペクティブをもって見通せると思います。

今日の学生の一人が、映画研究会所属でした。(実はわたしも、高校時代入ってました。)で彼女に言ったのですが、今の時代は、ビデオ屋さんもあって、昔の作品にアクセスするのはとっても手軽。でもそれは、「その映画は見てない」とは言いにくい、ということでもあるんですよね。

ワカモノよ、もしある日自分の見てない映画が話題になったら、帰り道にビデオやに寄り、その映画を借り、晩ご飯がすんだら即見てしまいましょう。そうすれば、今度それが話題になったときは、リアルに自分の感想を、誰かのそれと比べられます。楽しいです! がんばれ、ワカモノ!(もちろん、心のワカモノも!)

2008年9月29日月曜日

明大前へ


今日の夜11時からの「英語でしゃべらナイト」は、われらが美人ディレクター・アヤちゃんの、「まいにちフランス語」から移籍後の(初?)仕事です。ぜひ見ましょうね! 和田アキ子さん、奮闘するようです。

                  ◇

東京は一日しとしと降って、しかもかなり寒かったですね。もう冬に向かっているのが感じられます。

でこんな日は、一日家にいると元気が出ないので、あえて出かけました、明大前にある和泉校舎に。

明治大学のキャンパスは3つあって、まず理工学部のある生田(と、トップにもってきました、いつも最後なので!)、それから御茶ノ水の駿河台校舎、そして明大前のというわけです。

例の図書館検索をしたところ、探していた本が和泉校舎の図書館にあったのですが、どうもそれは稀少本らしく、「貸し出し不可」とのこと。で仕方なく、はるばる見に行ってきたというわけです。

明治の教員でありながら、実は和泉校舎を訪ねるのは初めてでした。駅からは近いんですが、今日は雨が降っていたので、甲州街道にかかる歩道橋は大混雑! でもまあみんな大人しく並んで、いい子でした。

予め連絡しておいたので、図書館の方が本を用意してくださっていました。Merci ! でついでに、昨日のことをお話しました、『異邦人』は、保存庫に入れたほうがいいんじゃないかしら、ということですね。そしてどうやら、その方向で調べてくれることになりました。貴重な本なので、そうなって欲しいと思います。

ちなみに今日見てきた本は、森山啓の『潮流』という詩集です。彼はプロレタリア系の詩人なんですが、この詩集自体は、すごくデキがいいというほどでもない気がしました。もちろんそれなりに面白かったですけど。ちゃんと汚さず返してきました!

さて、明日はゼミの初日、なんですが、なんと、「東京詩」のゼミは登録者がZÉRO ! で自動的に開講中止です。楽、というか、つまらない、というか…… (でもほんとは、この授業はやりたかったので、残念です!)

とりあえず、今週もはりきっていきましょう! 雨ニモマケズ!

2008年9月28日日曜日

びっくり!


ええ、ほんとに~!? ということが、目の前で起きました。

これはまったく無名な詩人で、植村諦(うえむら・たい)という人がいます。生まれは1903 です。

彼の代表的詩集に『異邦人』があります。これは 1932 に出てますから、フランスのアレより前ですね。植村はいわゆるプロレタリア派、というかアナーキストに近い人で、彼にとって昭和初期を生きることは、まさに「異邦人」として生きることだったようです。で……

復刻版でもあるかなあ、と思って明治の図書館を検索したところ、おや、本物が収蔵されています。ラッキー! さっそく配送をお願いして、先週届きました。で、読もうとしたのですが、

まず驚いたのは、本の扉に、著者自筆の献辞が書いてあったことです。

祖国なきよろこびと悲しみと  諦
豊島与志雄様

おお、あの岩波の『レ・ミゼラブル』の訳者、豊島与志雄宛だ! でもなぜこんな本が明治の図書館に?

でまあ、とりあえず通読。うん、これはなかなかいい。政治的過ぎず、純真な怒りも。なるほどねえ。

で今度は、ちょっと「植村諦」で検索してみると……

おや、豊島与志雄関連の項目が1番上に来てる。どれどれ。

見るとそれは、今読んだばかりの『異邦人』の書評でした。ちょうどいい! で読んでいくと……

植村君はその詩集の扉に、「祖国なきよろこびと悲しみと」と私に書いてよこした……

私に? それってもしかして…… この本のこと? 今目の前にある??

いやあ、驚きました。本当に本物です!(画像。さっき撮影。)

こんな貴重本、貸し出しちゃっていいんでしょうか? 保存庫に入れることをお勧めします、図書館様!

2008年9月27日土曜日

折って、折って


『ハートにビビッとフランス語』、印刷所からの細かい質問も来なくなり、ついに印刷が始まる気配です。

そういえば、出張校正というのも、何回か経験しました。フツーの校正が終わった後、最終の最終確認をしに、刷る直前のもの(「青焼き」といったり「白焼き」と言ったり。ちょっと違うのかな?)をチェックしにいくわけです。郵送したりしてる時間がないので、印刷所に行って、その場で何時間か見てくるわけです。

そういうときはたいてい、「あんまり直さないでくださいね~」と言われます。もちろん、なるべく直さないようにします。1行増やすなんて、ダメダメです。

中でも特に困るのが、索引です。これは1箇所直すと、どこまでもどこまでも波紋が広がり、そうなると、今度は何かの弾みで新たな誤植が生まれやすくなります。どうしても索引を直さなきゃならないときは、とにかく行が増えたり減ったりしないようにします。

場合によっては、さらに工場まで行き、試し刷りを見て色を調整したりもします。見本のときとは、びみょ~~に違う場合など、その場で直してもらうわけです。

印刷された紙は、かなり大きいものです。それを折って、折って、折ると、あ~らフシギ、16ページ分になりました。というわけでほとんどの本は、16の倍数のページ数です。(この16ページは、「ひと折り」と言います。)

でその紙は、今度は製本所に送られます。そこで折って、切って、閉じるんですね。

本ができてゆく過程は、決してブラック・ボックスではありません。そんなところも、本の可愛さの一つですね。

見本誌ができるのは10月6日です。楽しみなような、怖いような…… そんな感じです!

2008年9月26日金曜日

ボルネオ

今日は、ボルネオから戻られたヒフミ先生(中国語)の土産話を受け売りしましょう。


マレーシアはイスラムが強くて、基本禁酒ではあるんですが、中国系のレストランなどに行くと、お酒がおいてあるのがフツーだそうです。ただしボルネオはもう少しゆるいらしく、わりとどこでも買えるのですが、やっぱり中国系の方々の店で買うと安いんだそうです。

で、ちょっとそれらしいところに行くと、もう野生の天狗猿なんか樹の上のほうにたくさんいるし、奥の方にはオランウータンも。

オランウータンは、なんというか、綱渡りみたいなことをするイメージですが、ボルネオの森の中では、空間を歩いているような感じなんだそうです。枝が入り組んでいて、もう3次元的に絡み合っているんでしょう。オラン君は、その3次元空間をゆうゆうと歩いてゆく……

それから急に熱が出て駆け込んだ「赤新月社」(「赤十字」じゃなく)のお医者さんたちの、親切で手際のよかったこと! ともおっしゃってました。

ボルネオかあ…… 行く機会があるかどうか分からないけれど、ヒフミ先生は、「ぜひ行ってください!」 とのことでした。

ついでに言うと、ヒフミ先生は、中国語の本を何冊も書かれています。現地でフツーに売ってる本です。すごいですねえ! 

2008年9月25日木曜日

日仏で


始まりました、授業が! こんなに人がいたっけ? というくらい、キャンパスが賑やかです。夏休みとはちがいますね。(当たり前)

今日は研究室で、ある2年生に会いました。彼はこの前の春、日仏学院の講習で、レナさんとも知り合いになりました。彼が夏休み中に日仏に顔を出したときも、レナさんに会えたそうです。で、彼の友だちや、友だちのクラスのみなさん(大学生)も、ラジオを聞いてくれたそうです。Merci !

でもほんとに、わたしも学生の頃、レナさんに習いたかった! というか、もっとちゃんと勉強しとけばよかった! と、これはまあ誰でも思うみたいですねえ。Moi aussi !

そういえばわたしも昔、日仏に通ったことがあります。たしかシュルレアリスムのテキストを読む授業でした。それからそのだいぶ後、日仏の通信教育部の採点をしていたこともあります。そのせつは、キタナイ字で申し訳ありませんでした! 

ちなみに日仏学院は、カフェやレストランや本屋さんもあって、これは誰でも利用できます。

さて、明日は1時間目からです。ちゃんと起きられるか!?

2008年9月24日水曜日

Je suis menteur !


今日は家にいて、「新宿」のことを調べてました。前にもちょっと書きましたが、1929年(昭和4)に発表された「東京行進曲」、その「四」番の歌詞の背景が知りたいなあ、と思ったからです。

四 シネマ見ましょか お茶のみましょか
  いっそ小田急で 逃げましょか
  変わる新宿 あの武蔵野の
  月もデパート 屋根に照る

この中の「シネマ」、「お茶」、「デパート」が、実際は何を指しているのか、それを問題に設定してみました。

「シネマ」。これはほぼ間違いなく「武蔵野館」のようです。武蔵野館は1920に、今三越がある場所にできました。で28年に今の場所に移ってるのですが、洋画専門館として、ハイカラな人気があったようです。

「お茶」。これは確実とはいえませんが、おそらく「中村屋」です。中村屋は、1901に本郷でパン屋としてスタート。1907に新宿3丁目に支店を出し、09年に今の場所に。で、1915からは例のインド独立の闘志ボースを匿い、彼に教えてもらったカレーを出すのが1927。そしてそのために始めたのが、中村屋喫茶部だったようなのです。タイミングは、ぴったりですね。(ボース? 『中村屋のボース』(白水社)を!)

「デパート」。これはおもしろかったです。結論は3軒。三越(今のアルタの場所)、ほてい屋(画像。今の伊勢丹の場所)、新宿松屋、です。

三越は、1925に新宿駅が東口に移動するのに合わせ、アルタのところに分店を開業。(1930には、今の場所に。)ほてい屋は、大きくて立派な建物。(ただし1933には隣りに伊勢丹が建ち、2年後には吸収されます。)新宿松屋は、今の3丁目交差点から、ちょっと四谷方向に行った丸井側。実はこれ、京王線新宿駅の駅ビルだったんです。

? と思いましたよね。そうなんです、当時京王線は、こんなことろまで来てたんです! ただ松屋は、数年で撤退してしまいますが。

というわけです。なんだか、おもしろいですね? 新宿は、わたしにとては、1番なじみの都会です。でも、歌は知っていても、やっぱり調べてみないことには、往時の風景はよみがえってこないんですね。

           ◇

でなんと、明日から大学の後期の授業が始まります。うれしいなあ!(Menteur !)

2008年9月23日火曜日

J. ニコルソン


一昨日の夜遅く、ビデオ屋さんで借りてあった『ザ・ディパーテッド』という映画を見ました。(The departed =出発した人たち=死者。このカタカナ・タイトル、どうでしょうねえ……)

監督はマーティン・スコセッシ、主演はディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソンの3人。2年前の作品ですけど、オスカー作品なので、ご覧になった方も多いでしょう。

2時間以上あるんですけど、結論を言えば、あきないです。複数のサスペンス(宙吊り状態)をうまく連鎖させて、あっと言う間。ただちょっと「    」過ぎって感じはありますけど。(「 」内には、ネタバレな言葉が入りますので、ブランクです。)

ギャンググループに入った覆面捜査官と、警察内部にいるギャングのスパイ、この2人のそれぞれを中心とする2つの円が、やがて否応なく重なってゆく、というお話。明らかにもっと膨らますことができそうなエピソードも、湯水のごとく使っていきます。まあ、ぜいたくと言えばぜいたく、急ぎ足と言えば急ぎ足です。

もちろん、行動の背景には、さっきの2人、ギャングのボス、セラピストの女性、など、それぞれの美学の対立ということもあります。

ジャック・ニコルソンの映画はたくさん見ましたが、最近のものでは、『アバウト・シュミット』が好きでした。これは原作の小説もよかったので、映画を楽しみにしていたんですが、裏切られませんでした。

ああ、またヘンなこと思い出しました。ニコルソンの親友のロバート・エヴァンスという映画プロデューサーの書いた、『くたばれ! ハリウッド』という本があります。このエヴァンスという人は、『ある愛の詩』や『ゴッドファーザー』のプロデューサーとして知られている人です。(たしか彼をモデルにした映画も見た気がします。)その本を読むと、映画作りの大変さ、生臭さ、いやさしさ、などが、もろに伝わってきます。『ゴッドファーザーⅠ』の有名な最後の10数分の編集をしたのは、実はコッポラじゃないんだ、とか。もし『ゴッドファーザー』がお好きでしたら、おもしろい本です。

さあ、授業が始まる前に、あとなに見ようかな?(先週の『タクシー4』は、わたしにはハズレだったし……)

2008年9月22日月曜日

あの時SFジャイアンツ


大リーグ、お好きですか? 今年はなんだか忙しくて、なかなか見る時間がなかったんですが、数年前はよく見ました。やっぱり、松井がヤンキースに入って、テレビ中継が飛躍的に増えたのが大きかったですね。

で今日は、ヤンキースタジアムの最終試合でした。ああ、1度行っておけばよかったなあ…… あそこで見たかったです。きっと、アメリカの野球の歴史に参加してる気がしたでしょうねえ。まあ、ファー・イーストにいても、参加してはいるんですけど。

そういえば昔、東京球場っていうのがありました。(もうありませんけど。)子供の頃、そこに1度だけ連れて行ってもらったことがあります。忘れもしない、サンフランシスコ・ジャイアンツVS.読売ジャイアンツ、でした。ピッチャーは豪腕マリシャル(画像)。足を高~~く上げるのが特徴でした。

そうそう、その時、子供はSFジャイアンツの帽子がもらえたんです。黒地に、オレンジの糸で、SFと刺繍してありました。これはね、ちょっとした宝物でした。当時は、MLBのグッズなんて、なかなか売ってませんでしたから。ましてやSFジャイアンツとなると…… 

だからその頃の写真を見ると、必ずといっていいほど、その帽子を深く被っています。お調子者というか、バカというか、三つ子の魂というか……

というわけで今日は、ヤンキースタジアム最終戦を見て、何十年かぶりで、あの帽子のことを思い出しました。Everything reminds me of something...  歳取ると、何を見ても何かを思い出しちゃうんですね。(ああ、歳かなあ!)

2008年9月21日日曜日

世界の言語入門


日曜でした、が、やはり予想通り、一日中校正するはめになりました、日曜日なのに!

でももう、さっきコンビにから送り出し(バンザイ!)、一応わたしの役目は終わりました。(レナさんに電話したら、彼女は今日授業がたくさんあって、今やってるところ、とのことでした。終わらなかったら、明日届けます! ですって。Bon courage, Léna !)

               ◇
                                               ここでも何度か登場頂いた、「まいにちロシア語」の黒田先生が、講談社現代新書から『世界の言語入門』という本を出されました。う~ん、『世界の!』『言語入門!』です。これ書ける日本人は、黒田さん以外にいないでしょう。なにしろたった一人で(つまり誰かと分担するんじゃなく)、世界90の言語についてお話してくれています。

ただしこの本、決して難しい本じゃありません。へえ、こんな言葉があるんだ! という発見に満ちたエッセイです。気軽に読めて、世界が広がる。しかも、ここを読みに来てくださるマイナー言語理解者であるあなたなら、きっと共感できる哲学付き! これはお勧めします!(720円ぽっきり!)

さあ、わたしの日曜はこれからです。残り少ないです!(涙)くそー、ムリヤリ映画でも見よう!

2008年9月20日土曜日

勇敢な、一人


今日は、昨日の天気予報がいい方に外れ、わりと過ごしやすい天候でした。 土曜日だし、いい1日を過ごされたことでしょう。わたしは……

朝の9時に来た宅急便が、今日1日の予定をあっさり決めてくれました。一昨日報告した本の、最終ゲラが送られてきたのです、256ページ分! それを全部チェックして、明日の夜には発送しなければなりません。完全に、土日がつぶれました!(でもまあ、宅急便のおかげで、夜9時ごろまでにコンビニに行けば、翌朝午前には着くんですよね。助かります!)

                 ◇

そういえば一昨日、『ブレイブ・ワン』というアメリカ映画を見ました。主演はジョディ・フォスター。彼女と恋人がヴァイオレントな事件に巻き込まれ、恋人は酷い殺され方をします。その結果彼女が、自分の中にもう一人の自分、「勇敢な一人」を発見する、というお話です。もちろん、勇敢な彼女は、行動します。あるいは、行動しすぎる、と言うほうがいいのか…… 彼女は言います、「わたしがあんなことするなんて……」

相手役の刑事はテレンス・ハワード。あのオスカーの『クラッシュ』で映画プロデューサー役だった人です。ちょっといいですね、存在感があって、甘くて。

で監督は、あのニール・ジョーダン。『クライング・ゲーム』は、もうずいぶん前ですねえ。あの頃に比べると、画面が引き締まっている感じがします。もちろん、カメラマンの力も大きいに違いないですが。

でトータルとしては、なかなかよかったです。ハムラビ法典の時代からあるテーマを、現代NYに持ってきたわけですが、NYには、幸か不幸か、似合います。(ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズも、NY以外では成立しない物語でしょう。)

だいぶ違うけど、ちょっとだけ似てるのは…… レナさんは昔、ほんとにオットリしたマドムワゼルだったんだそうです。(本人語る。)でもそれが、フランスで予備学級&大学校(大学院レベルです)を過ごして日本に戻ったら、家族にも友達にも驚かれたんだそうです、強くなってて!

フランスでの生活は「戦い」だったから、とレナさんは言います、日本とは比較にならないくらい、フランス生活は「戦い」なんですよ! と。もちろん、日本にはない魅力もありますよ。でも、「戦い」なのは事実……

その結果レナさんは、自分の中の「勇敢な一人」に出会ったのですね。もちろんフランスまで行かなくたって、たとえば仕事でも、たとえば子育てでも、そういう出会いがやってくる可能性は十分ありますね。場合によっては、困難の多い恋愛とかも!?

でいったんそうなると、あああの頃の自分はナイーヴで、可愛かったなあ、と思うかもしれませんが、だからって昔に戻ってもしょうがないですね。ピーター・パンじゃないんだから!

みなさんの中にも、ブレイブ・ワン、いるんでしょうか?
※予告編は「ムービー」を cliquez, svp.

遠きにありて……


台風でこんな天気ですが、みなさんいかがおすごしでしょうか? 

今日は夕方から、新宿のジュンク堂に行ってきました。「トークイベント・細川周平~管啓次郎」を聞くためです。

メインは、細川さんが最近出版された『遠きにありてつくるもの 日系ブラジル人の思い・ことば・芸能』という本。この分厚い本は、細川さんの移民研究の集大成。膨大なフィールドワークと思考の結晶です。

「郷愁というのは、生き物みたい。たとえば、わたしは郷愁なんて関係ないわ、と言っていた女性が、たとえば身内の病気などがきっかけとなって、突如郷愁にかられる、なんてことが起きるんですね。なんだか、あの映画のエイリアンみたい、郷愁って。自分じゃどうしようもないことってあるけど、郷愁もそのひとつ」
「ブラジルという異国にいて、日本語しか話せないっていうのは、ひとつの負い目になりうるのね。でもそれが、短歌とか川柳みたいな<型>を使う日本語と親しむうち、その負い目が誇りに転化するってことがある」

なるほどねえ。そういうことってあるんでしょうね。ある気がします。

ところでこの「遠きにありて……」って、何日か前にここで話題にした室生犀星でしたね。この詩は、故郷に帰らない決意表明なんだ、と書きました。だから故郷は、もう帰らない、思うだけの場所=存在しない場所、なのだと。

ブラジル移民にとって、それは「つくる」ものだった。犀星が東京でただ「思って」いたのとはちがって、かれらはそこに「つくって」しまった。この違い、面白いですねえ。もちろんそこには、言葉の問題が深く関わってくるのでしょう。

いやまあ、それにしてもこういう話を聞くと、自分が何も知らないのに今さらながら驚きます。細川さん、管さん、ありがとうございました!

2008年9月18日木曜日

全面広告(デゾレ!)


今日は18日、「まいにちフランス語」の10月号の発売日ですね。実はそこに、レナさんが書いた「ジャガイモ」についての文章が出ています。なかなか面白いですよ。ぜひ読んでみてください!

で、その記事の最後に、細かい字で書いてあるのは……

ご好評いただいた「ナミのおいしいフランス語」が、装いも新たに再登場します!

『NHK CDブック ラジオまいにちフランス語 
   ハートにビビッとフランス語 清岡&レナ式初級講座』

そうなんです、この前の3連休を見事につぶしてくれたのは、この本のゲラでした。やっと校正も(一応)終わり、一安心したところです。(タイトルは、編集長が付けてくれました。)

この本(1900円です)の最大の売りは、やっぱり CD です。目一杯、78分近く入れてあります。オープニングとエンディングの音楽もやめて! しかもその2箇所には、レナさんの歌が入りました。(放送で歌った歌です。どれでしょう?) 可愛いですよ! ほんとはもっと入れたかったんですけど、収録時間が一杯で…… ちなみにスキットも新録音で、今度はレナさんも出演しています。

それから練習問題。これはレナさんが、あらゆる隙間を埋め尽くす感じで、増量しました。やりごたえあります!

よろしければ、可愛がってくださいませ。(10月中旬発売予定です。)