2023年9月30日土曜日

ヴィオラ・デイヴィス

『ペーパー・ハウス』でトーキョーを演じた、ウルスラ・コルベロ。
彼女が主演するドラマ、

『燃えさかる炎』

を見始めたんですが、
やや話が重く、展開も鈍い感じ。
ウルスラはキレイなんですけど、
演出がそれに頼ってるというか。
リタイアしそうです。

で、
ネトフリのオススメで出てきた

『ナイト&デイ』(2010)

を見始めました。
トム・クルーズとキャメロン・ディアズです。


ラブコメ要素の入ったスパイ・アクションで、
なかなか軽快に進みます。
で、途中で登場したCIA長官はアフリカ系女性。
ヴィオラ・デイヴィスでした。

最近、ネトフリのドラマ、

『殺人を無罪にする方法』


を、最初の何話か見たんですが、
このドラマの主演もヴィオラ・デイヴィス。
敏腕弁護士にして大学教員、
という役柄でした。
ただ、ふだんは「強くてクール」な彼女ですが、
愛人の前に出ると、急に「乙女」に大変身。
妙にリアル……
ただ、それはいいんですが、
演出があまりに慌ただしくて、
また、もったいぶる割には、
謎解きのオチが「ふつう」で、
さらには、
あまり魅力的とは思えない人物がいいポジションにいて、
トータルで、途中リタイアしてしまいました。

映画と違って、
ドラマは長いので、
かける時間に見合った「おもしろさ」がないと、
途中で離脱しがちです。
まあ、しょうがないですね。

2023年9月29日金曜日

『The Tunnel トンネル』シーズン2

シーズン1を見ずに2を見ることは、
めったにしないんですが、
今回、同僚からオススメされたドラマが、
アマプラでシーズン2、3しか見られなかったので、
とりあえず2を見てみました。


このドラマのタイトルである「トンネル」とは、
英仏海峡のトンネルのことです。
これは目の付け所がナイス。
で、
そこで事件が起こり、
フランスとイギリスの警察が協力、
あるいは対立しながら操作を進めてゆきます。
特に、
フランス側の女性刑事エリーズと、
イギリス側の刑事カール、
この二人が主役です。

やはりシーズン1を見てないので、
やや分かりづらいところがありましたが、
緊張感があって、おもしろいです。
フランス語と英語が使われているので、
フランス語を勉強したことがあれば、
見やすさもあります。

おもしろかったので、
シーズン1を探して見てみるつもりです。


2023年9月27日水曜日

授業開始して

授業が始まって1週間過ぎました。
メンバーが変わらないクラスも、
全員入れ替わるクラスもあり、
また新しいローテーション、という感じです。

明治大学理工学部の学生たちは、
概してマジメで、
わりとよく話を聞いてくれると感じています。
(まあ、覚えているかどうかはともかく。)
今日の「フランス語」の雑談では、
マリ、ブルキナ・ファソ、ニジェールと続く、
いわゆる「クーデタ・ドミノ」の話をしました。
背後には、
フランス植民地主義と、
この半砂漠であるサヘル地域の砂漠化
(←温暖化、人口増加、過剰伐採……)
があることについても。
ちょっと寝ちゃいそうな話題だったのに、
見たところ、誰も寝てませんでした。
優秀です。

2023年9月22日金曜日

『アウトロー』『ジャック・リーチャー』

ネトフリのオススメに上がってきて、
リチャード・ジェンキンスの顔が見えたので、
ああ、久しぶり、と思って見始めると、
主役はトム・クルーズでした!
『ミッション・インポッシブル』をコンプリートしたので、
オススメされていたこと、見始めてから気づきました。


アクション映画なんでしょうが、
なんというか、頭脳的な分析の部分も大きく、
しかもそれがクリアに描かれているので、
両作とも、楽しめました。

特に後者、
『ジャック・リーチャー never go back』は、
ワルモノに嵌められ収監されていた女性少佐ターナーを、
ジャックが脱出させ、
二人の協力の中で事件の謎が解き明かされていく過程が、
ストーリーとしてもよくできていて、感心しました。
しかもその「協力」も、
ジャックの男性中心主義的な態度にターナーが腹を立てたり、
単純ではありません。

映画の中に、
古い美学や、古い価値観が紛れ込んでいるのはたしかですが、
映画としてはおもしろかったです。

2023年9月21日木曜日

宮下先生、イグ・ノーベル賞!!

つい数年前まで、
大学院のデジタル・コンテンツ系で同僚だった宮下先生が、
快挙です!



すごい!
おめでとうございます!!

2023年9月19日火曜日

『ミッション・インポッシブル』シリーズ

公開中の『ミッション・インポッシブル』の新作、
見に行きたいのはやまやまなんですが、
180分と聞いてためらっています。

で、
ふと気づくと、ネトフリに、
ここまでの6作が全部揃っていることに気づきました。
それならということで、
全部見てみました!

結論から言うと、
1~3作はイマイチ。
4~6作はおもしろいと思いました。
一番できが悪いと感じたのは、
ジョン・ウーが監督した第2作。
「ミッション・インポッシブル」っていうのは、
スパイ・アクションものなのに、
なぜか心理劇が物語の中心に置かれていて、
違和感がありました。
派手な爆発シーンもあるんですが、
付け足し的だと感じました。

ブライアン・デ・パルマの第1作は、
エマニュエル・ベアールやジャン・レノなど、
フランスの有名俳優を起用してるんですが、
二人ともあまり生き生きしてません。

ただ、これはあくまで、
2023年的感想です。
女性エージェント(イルサ)が大活躍する第5作などは、
やっぱり「今」に近い感じがします。
この作品は2015年公開でした。

そして第6作になると、
再びイルサが登場するだけでなく、
CIAの長官はアフリカ系の女性で、
大物の武器仲介グループのリーダーも女性。
これが2018年。

そして新作、見に行きたいんですが、
180分、どうしましょう。

2023年9月17日日曜日

RRR

そう言えばこれも、
コロナ後で頭も体もイマイチなときに、
これなら見られるかなという感じで見た映画です。

『RRR』(2022)

180分ある映画なので、
これはもう、わたしなどには、
家で見る方がありがたいです。


監督・脚本は、S.S.ラージャマウリ。
かれは、『バーフバリ』2作の監督・脚本も担当していました。
まあ、雰囲気は、叙事詩的と言っていいんでしょうか、似てますが、
物語の構図は大きく違います。
今作は、1920年代、
つまりインドがイギリスの植民地だった時代が舞台で、
そのイギリスの支配を脱し、
インドがインドとして独立するまでを描いています。
分かりやすく、
植民者イギリス=無慈悲な悪、であり、
見ていると、
インドのアイデンティティーは、
イギリス支配からの脱却に原点があるんだろうなと感じます。
そういう意味では、
かなり国家主義的な映画です。

もちろん達者な監督ですから、
表面のお話は、なかなか奇想天外でおもしろいです。
ただ、主人公である二人の男性は、
「腐女子」が食いつきそうなコンビです。
ホモソーシャルと、ホモセクシャルの中間くらい?

ただしこの映画、
インドが舞台だけに、
ちゃんと理解しているかどうかあやしい場面もあります。
主人公の一人が、
ムスリムに化けて、街で働くシークエンスでは、
最初、その「化けて」いるということがわかりにくかったし。
ヒンドゥー、イスラム、仏教、シーク教……
それぞれのアイコンが散りばめられているんだと思うんですが、
全部を把握した自信はゼンゼンありません。
(冒頭近く、主人公の一人に追われる男性は、
シーク教徒なのだと思います。
舞台となった場所で、かつてシーク教徒が殺され、
反イギリスの大きな騒乱が起こっているからです。)

2023年9月16日土曜日

『地獄の花園』

たまたまネトフリで上がってきた

『地獄の花園』(2021)

冒頭だけのつもりが、
結局最後まで見てしまいました。
まあ、日本映画もチェックしないとですからね。


基本的は構図はいわゆる「任侠もの」で、
そこからの変更点は、
男たちを女性に置き換えたこと。
そして、その流れの中で、
舞台を、暴力団組織ではなく、
会社組織にしたこと、
だから女性たちは、
ことごとく「OLの世界」に属していること、
などでしょう。

もちろん、
戸惑う設定です。
というのも、
「ふつう」に見える会社の中に、
いくつもの女性派閥があり、
それらの序列は、暴力=喧嘩で決まるからです。
ありえないですね。
まあ、ありえないからこそ、
なにかの比喩なんだろうとは思いますが……

でもおもしろい点もあって、
それはたとえば、
「ふつうのOL」になりたかった女性が「覚醒」し、
おそろしいほどの喧嘩の強さを示すとか、
喧嘩の強さにアイデンティティーを置いていた女性が、
それを壊されて再生を目指すとか。

ただ、オチはあまりいいとは思いませんでした。
これだと、
なんだったの?
という感じも残ります。
脚本全体に、素人臭さというか、
あざとさがつきまとってもいるし。

でもトータルでは、
マンガ的で、おもしろかったということにしたいと思います。
女優たちの功績でしょう。

『犯罪都市 the roundup』

マ・ドンソク主演の

『犯罪都市 the roundup』(2022)

を見てみました。


第1作もエンタメとしてはおもしろかったですが、
この第2作も、楽しめました。
なんといっても、
マ・ドンソクの、強烈に強いんだけど、
ちょいちょい間が抜けていたり、
真剣なんだけれど、
悲壮にまではならない生き方とか、
チームの部下たちから、
恐れられつつ慕われている感じとか、
微笑ましく、
いわゆる「人間くさい」ところが魅力なんでしょう。
もちろん「暴力」は満載ですが、
陰惨とはほど遠く、
エンタメとしての節度が守られています。

マ・ドンソク、
韓流ドウェイン・ジョンソンだと、
わたしは思っています。

『オールド・ガード』

シャーリーズ・セロン主演のこの映画も、
たしか見た(数ヶ月前?)んですが、
やっぱり書き忘れていたので、
一応書くことにします。


この映画、
原作・脚本が、グレッグ・ルッカでした。
そうです、『ハート・オブ・ストーン』の脚本家です。

グレッグ・ルッカは、
わたしにとっては小説家で、
なんといってもアティカス・シリーズ全7作が印象深いです。
そしてわたしは迂闊にも知らなかったのですが、
今調べたら、彼は

2000年頃からワンダーウーマンやバットマン関連誌のライターとして活躍」

と紹介されていました。
「ブラック・ウィドウ」
「ワンダーウーマン」
「バットマン」
などのコミック・ノヴェルにも参加しているようです。
ゼンゼン知りませんでした。
わたしにとっては、
(まあ、同じ時期に読んでいたからですが)
ローレンス・ブロックや、
マイクル・コナリーなどと近い、
腕のいい小説家だとばかり思っていました。

で、『オールド・ガード』ですが、
考えてみたら、アティカスもまたボディーガードでした。
これはグレッグ・ルッカが得意なパターンなのかもしれません。

この映画、最近見たのに、
実はほとんど覚えていません。
シャーリーズ・セロンがかっこよかったこと以外!
グレッグ・ルッカ原作・脚本だと知った今、
もう一度そういう目で見直したくなっています。

シャーリーズ・セロンも、
グレッグ・ルッカを絶賛していました;

『ハート・オブ・ストーン』

『ワンダーウーマン』として知られるガル・ガドットが主演する、

『ハート・オブ・ストーン』

を見てみました。(ネトフリです。)
と言っても、実は見たのはしばらく前で、
書き忘れていたので、備忘のために書いておきます。


イスラエル人であるガル・ガドットは、身長178cm。
ちなみに、シャーリーズ・セロンも、
オルガ・キュリレンコも177cm。
アクションにはこれくらいが向いてるのかな、
とも思いますが、
アンジェリーナ・ジョリーは169cm、
ノオミ・ラパスは163cm !
やっぱり身長だけじゃないですね。

この映画は、
宣伝コピーにもあったとおり、
「女性版ミッション・インポッシブル」
という印象です。
イーサン・ハントも、
自らの失敗によってコトを複雑にしてしまったり、
同時に解決への意思を強く持ったりもしますが、
この映画のヒロイン、レイチェル・ストーンもまた、
物語としても心理としても、
そういう展開になります。

ところでこの映画、脚本担当の一人はグレッグ・ルッカ。
……グレッグ・ルッカ?
もしかして、あのアティカス・シリーズの!?

2023年9月14日木曜日

祝、アレ達成!

ついにアレが達成されました。
今日はわたしも、DAZNでじっくり観戦。
いや、いいチーム。強い!

で、
親友(とわたしは思ってるんですが)の一人に、
筋金入りの虎ファンがいて、
彼におめでとうのメールをしました。
You ARE the Champions !  と。

ウケたのはその返事。
優勝したのが信じられないので、
これからスポーツニュースをハシゴして、
どこでもほんとにアレしてるか確認する予定です、だって!

たぶん、大丈夫でしょう!
全国の虎ファンのみなさま、おめでとうございます!

2023年9月13日水曜日

デイヴィッド・ホックニー展

東京都現代美術館で開催中の、
デイヴィッド・ホックニー展、行ってきました。

(このところ、コロナの影響がほとんどなくなってきたので、
昨日のうちにネット予約していたんですが、
今朝は調子がイマイチで、
一瞬、キャンセルも思い浮かんだんですが、
朝食後、もう一度少し横になり、
それからマツキヨのドリンク剤を飲んで、
行ってきました!)


時代順に、展示作品の量もそれなりにあって、
なかなか見応えがありました。
お客さんもけっこう入っていて、
人気ぶりがうかがえました。

そう、ホックニーを見ていて感じるのは、
これは人気がでるだろうなあ、ということです。
なにしろ達者だし、わかりにくさが適度だし、
モチーフが身近で、しかもとりわけ花は魅力があるし、
さまざまな美術の歴史の痕跡みたいなものが、
さまざまな記憶を呼び覚ますし、
新たな技術を取り込むのをためらわないし、
ブルーノ・マーズまで描いちゃう(似てないけど!)幅の広さがあるし、
つまり、
観客がいることを強く意識していて、
やっぱり人気の出るってこういうことなんだなと感じたわけです。

i-pad を使って描いた絵が、何点もあります。
これ、見る前は、自分も描けるんじゃ?
と、ちょっとだけ思いましたが、
ホックニーの作品を見ると、
素人とプロの圧倒的な差に愕然として、
そんなこと思った自分が恥ずかしいです!

お土産に、
ホックニーの絵を使った卓上カレンダー(2024)を買って帰りました。
体調も悪くならず帰宅できたので、
ほっとしました。

2023年9月12日火曜日

モロッコ、リビア……

モロッコ、大変なことになってしまいました。
しかもムハンマド6世は、
フランスなどの支援を受け入れていません。
ここは、背に腹は代えられない、
と考えるべきところだと思いますが。
早く救助が行き届くことを願っています。

リビアでは洪水で、
2000人以上が亡くなったという報道もあります。
こちらも心配です。

また、これはまだフランスにいた頃に知ったニュースですが、
サウジアラビアの国境警備隊が、
エチオピアからの移民を銃撃した事件もありました。
場所はイエメンです。


ただしこれは、最近始まったことではありません。


日本の総理大臣が、
サウジで皇太子と握手していたのは7月でした。
日本の政府は、
サウジの国境警備隊のあり方について、
どういう態度を取るつもりなんでしょうか?
何か声明を発表したんでしょうか?
ネット上には見つかりませんが。

クッション

もう何年も前からですが、
飛行機に乗っていると、
おしりが痛くなります。
で、
いつもなんらかのクッションを持っていくのですが、
今回はこれを試してみました。


空気を入れて膨らませるのって、
なんだか頼りないけど……
と思いましたが、レヴューがいいので試してみたところ、
これ、よかったです。
パリまで15時間。
おしりが痛くならずにすみました。
(カフェに行くときも使えそうです。)

レヴューにも書いたあったんですが、
説明書に従って空気を7,8割入れるより、
ほぼ100%入れてしまった方が、
座りやすかったです。
ただこれだと、破損しやすいのかもしれませんが。

まあ、年齢がいってくると、
快適に過ごすためには、
いろいろ工夫が必要ですね。

2023年9月10日日曜日

北方小館



パリで、
一番馴染みの店といえば、
わたしにとってはこの北方小館です。
左は、海老の翡翠餃子。
中央は、セロリ水餃子。
右が空心菜の炒め物。
もちろん青島ビールと。


実は、この食事をしたのは、
パリに着いた初日の夜です。
アパルトマンに入った時点ですでに午後8時半だったし、
時差もあって、
自分のお腹が空いているのかどうかもはっきりしなかったので、
ここはとりあえず一番馴染みの店へ、
となったのでした。
この店で座ったとき、
ああ、パリに来たなあ、
とホッとしました。

ただ、頼んだのはいいけれど、やっぱりそんなに食べられません。
2皿を食べ、持ち帰れる翡翠餃子はパックに詰めてもらいました。
で、
ぶらぶら歩いて帰ったのですが、
(北方小館は、アール・ゼ・メティエ駅の近く。
アパルトマンは、そこから2駅、サンティエ駅の近くでした。)
その途中、
「お腹が空いています」
と段ボールに書いた中年男性が、
ビルの足下に座っていました。
中国風ラビオリ、食べます?
もちろん、もちろん。
で、翡翠餃子は、
彼の夜食となりました。
無駄にならなくてよかったです。

『キングスマン:ゴールデン・サークル』

Disney+ に、
『キングスマン』3作全部あったので、
とりあえず第2作も見てみました。

『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2017)

雰囲気は前作を踏襲し、
物語は少しだけ複雑になっています。
(分かりにくいということは、まったくないですが。)


イギリス的、
というとかなりいい加減な言い方になりますが、
いわば「モンティ・パイソン」的な、
ややゆがんだユーモアが、
細かい場面だけでなく、
大枠としての物語そのものにも感じられます。
(第1作にもありましたが、
今作の方がはっきり感じられました。)
それはつまり、
「悪」の側が抱いている選民思想に、
一定の理を持たせているからでしょう。

この第2作は140分もあるので、
単純にちょっと長いです。
エンタメとしては十分合格点だと思いますが、
第1作と比べてちょっと弱いと感じるのは、
「悪」のボス役の違いから来ているのかも。
今作のジュリアン・ムーアもいい女優なのでしょうけど、
サミュエル・L・ジャクソンと比べるとアクが弱いのは、
まあ、致し方ないでしょうね。

2023年9月9日土曜日

「音楽というのは非常に階級的なもの」

2年前の記事ですが、さっき読みました。
おもしろかったです。

メシアンに師事なさった先生なんですね。

***************************

よく、ヨーロッパでは音楽が社会と密接な関係にあるとか、
みんなが音楽を理解しているとか言いますけれど、
それは基本的には嘘です。
だって音楽というのは非常に階級的なものだし、
同時に階級を差別するものですよね。
ヨーロッパでどうやって階級が生じるかというと、
音楽的教養を持っているか持っていないかです。



『キングスマン』

あるエッセイを読んでいたら、
「女の子」だけではなく、
「男の子」だって「プリンセス」は好きなんだという指摘がありました。
で、
その例として上がっているのが、
まずは『ローマの休日』。
なるほどそうも言えそうです。が、
あの新聞記者は、当初、
なにか特ダネが得られそうだというのでアン王女に取り入るわけです。
もちろんその後、
二人は恋仲になるわけですが、
その際、
新聞記者がアンを好きになる要素として、
彼女が「王女」であることが含まれていたかどうか、
仮に含まれていたとしても、
その優先順位はどの程度のものなのか、
という気もしました。

また、映画

『キングスマン』(2015)

もその例に挙がっていたので、
これは見てみました。(ディズニー+)


この映画、
もともと見始めた動機を忘れてしまうくらいには、
十分おもしろかったです。
誰でも思うとことでしょうけど、
コリン・ファースが着ているイギリス風スーツがカッコイイし、
適当にブラックだし、
サミュエル・L・ジャクソンがいい意味で場違いだし、
マイケル・ケインもいつも通りだし。
これは拾いものだと思いました。
(いや、「拾いもの」なんて失礼かも。
わたしが不勉強で見てなかっただけで。)

で、
この映画の主人公は、
メインのミッションを遂行する過程で、
囚われていたスウェーデンの王女と遭遇し、
助けを求められます。
そこで、
「助けたらキスしてくれる?
王女とキスするのが夢だったんだ」
と言うようなことを言うのです。
上に挙げたエッセイでは、
この部分に、
男性のプリンセスへの憧れが見て取れる、と指摘されてます。

たしかに、それがこのセリフの表面上の意味だし、
またこのセリフには、とても違和感を感じるというわけでもないので、
その指摘自体が間違っているということはないと思います。
ただ、
実はこの後、王女は
「助けてくれたら、もっといいことしてあげる」
というフシダラな(!)セリフを吐き、
実際、それはその後現実となるのです。

この一連の場面の前提となっているのは、
スウェーデンの首相(男性)の、
「ぼくは共和主義者だから王女はどうでもいい」
という発言なのでしょう。
そして王女の現実の行為は、
いわばまさに「共和」的で、
まったく貴族的なものではありません。
つまりここでは、
君主制の否定が中心的テーマであって、
その前の主人公の「キス」云々は、
その前振り程度の意味かなとも感じるわけです。

……こう書きましたが、
そのエッセイが収められている本自体はとてもおもしろいです。
教えられることも多いし。
見てない映画は、
こうやって確認して、
見方の違いを楽しんでいます。

『ブラック・アダム』

ドウェイン・ジョンソン主演の

『ブラック・アダム』

を見てみました。(ネトフリ)


物語がスッキリしていて、
エンタメとしては見やすいし、
いいんじゃないかと思いました。
「王」というものが特別扱いされると、
それだけで器量の小ささを感じますが、
この映画の場合は、
「王」の扱いも、最終的には悪くないのかなと。

ブラック・アダムの「悪」、ないし「怒り」の部分を恐れ、
彼を抑えるべくジャスティス・ソサイアティーなるグループが現れます。
4人のチームなのですが、
この構成は、
ヴェテラン(白人男性)、
働き盛り(アフリカ系男性)、
新人(アフリカ系女性)、
新人(白人男性」)、
です。
それぞれの特殊能力やルックスも違いが明確で、
その点もわかりやすさに繋がっていました。
新人(男性)だけが、
やや「メタ」な位置にいます。

また、人間の側ですが、
主人公の男の子の母親アドリアナも、
その弟のカリムも、
さらには、悪の側のボスも、
見て分かるアラブ系です。
舞台となっている「カーンダック」というのは、
アラブ系の街がモデルなんでしょう。

2023年9月6日水曜日

『ロング・ロード・ホーム』

で、マイケル・ケリーの出演作を探してみたところ、

『ロング・ロード・ホーム』

というドラマが見つかりました。
さっそく見てみました。


事実に基づいたドラマですが、
その事実というのが、
2004年4月4日、イラクのバグダッド郊外のサドル・シティーで起きた、
「ブラック・サンデー事件」
です。
独裁を敷いていたフセインを倒した後、
けれども、アメリカがその存在を主張していた大量破壊兵器は見つからず、
米軍が、イラクの治安維持活動へと舵を切ってゆく頃です。

イラクという国は、そもそも
イギリスが自分たちの都合で勝手につくりあげたもの。
人口構成比を見ると、
北部のクルド人が2割、
中部のスンニ派のアラブ人が2割、
南部のシーア派のアラブ人が6割となっていて、
そのようなまとまりのないところを
1980年代からサダム・フセインが力で抑えてきた(高橋和夫)」
わけです。

なので、独裁者を倒してくれたアメリカは恩人でもあるけれど、
だからといって、
今の横暴なアメリカの言いなりになる気はない……
という人も多かったのでしょう。
(特にシーア派は。)
もちろん、
スンニ派であるフセインの残党などもいただろうし。

こうした状況の中で、
復興支援のつもりでイラクに向かった兵士たちは、
いきなり奇襲に遭い、
戦闘のまっただ中に投げ込まれることになります。

過酷な戦闘と、
アメリカで待つ家族、恋人……
どういう展開になるのかも、
何が描かれてゆくのかも、
当然予想できます。が、
それでもこのドラマには、
引きつけられました。
多くの人生が踏みにじられ、
蹂躙され、
希望はかすかです。

ある読書好きな兵士は、
アラン・シーガーの詩集をポケットにれていて、
あるとき、仲間から、
1つ教えてくれと請われ、
この詩を朗読します;

「ぼくは死に神と待ちあわせる」
I have a rendezvous with Death

  • Share on Facebook

I have a rendezvous with Death
At some disputed barricade,
When Spring comes back with rustling shade
And apple-blossoms fill the air—
I have a rendezvous with Death
When Spring brings back blue days and fair.

It may be he shall take my hand
And lead me into his dark land
And close my eyes and quench my breath—
It may be I shall pass him still.
I have a rendezvous with Death
On some scarred slope of battered hill,
When Spring comes round again this year
And the first meadow-flowers appear.

God knows ’twere better to be deep
Pillowed in silk and scented down,
Where love throbs out in blissful sleep,
Pulse nigh to pulse, and breath to breath,
Where hushed awakenings are dear...
But I’ve a rendezvous with Death
At midnight in some flaming town,
When Spring trips north again this year,
And I to my pledged word am true,
I shall not fail that rendezvous.


戦場にいる兵士が読むと、
胸に迫るものがあります。
ぼくは死に神と待ちあわせる……
もちろんヒロイズムでもあるでしょうが、
死を覚悟しながら、
戦いに赴く兵士の思いが辛いです。

それにしても、
戦争はダメです。
いいことなんか何もありません。
でも、イラク戦争も、
ウクライナ戦争も、
なんと、21世紀の出来事です……

『ジャック・ライアン』

おもに飛行機で見て、
帰ってきてからも見つづけ、
結局シリーズ4まで全部見ました。


「ジャック・ライアン」は伝説の人物で、
いくつもの映画に登場していますが、
このドラマのジャックは、
立場上はCIA の分析官でありながら、
ほとんどいつも現場にいる、
行動力満点の人物です。
そしてその行動の基準は、
CIA の利益ではなく、
より大局的な人命の尊重です。

4つのシリーズの中では、
わたしは、1が一番おもしろかったです。
舞台の多くがパリだったことも、
アリ・スリマンが出演していたことも、
わたしにとっては得点が高かったです。

(アリ・スリマンは、
では主役(アミン)を演じていました。
また、



などにも出てました。)

全体にスピード感もあっておもしろいんですが、
やや話が複雑で、
あまりにぼ~っと見てると分からなくなります。
(わたしはなりました!)
シリーズ2以降は、
ベネズエラ、
ロシア、
ナイジェリア、など、
「ホット」な地域が取り上げられています。

もちろん全体としてみれば、
「アメリカ賛美」的な部分はあるわけですが、
同時にアメリカに対する批判もかなりあって、
一応バランスは取れています。
また、イスラムについて言えば、
シーズン1での描かれ方は、
ステレオタイプだし、あまりいいとは言えませんが、
ただ、ジャックの直属の上司が、
アフリカ系のムスリムで、
この人物がなかなか魅力的に描かれているので、
これもまあ一応、バランスを取ろうとしているのは分かりました。
(これは不十分ですが。)

上司と言えばもう一人、
マイケル・ケリー演じる男性もいます。
マイケル・ケリーは、『ハウス・オブ・カーズ』で、
大統領を目指すケヴィン・スペイシーの右腕役でした。
好きな俳優です。

2023年9月3日日曜日

Le Petit Cambodge

レピュブリック広場からも歩ける
Le Petit Cambodge
も、パリに行けば必ず行く店です。
(近くの Le Cambodge にすることもあります。)


この店は、
あの2015年の事件の時に襲われ、
当時は、世界中のファンが心配していました。
今はもちろん、まったくそんな影はありませんが。



全部乗せボブンと、
カンボジア風カレー。
この時、ちょっと歩き疲れてあまり食慾なかったんですが、
ちょっと食べたら、
引き込まれるようにどんどん食べてしまいました。
おいしいです。

それにしても、ボブン、
10年近く前から、
日本でも流行るだろうと思ってるんですが、
今だにその気配がありません。
日本でウケる味だと思うんですけど。

リビア



リビア、と聞くと、どんなイメージでしょう?
わたしなどは、沿岸警備隊のニュースが思い出されます。


このニュースに限らず、
この沿岸警備隊は、
何度も非難されてきました。

ただ、リビア出身の人と長く話したことはなく、
つまりこの警備隊のことも、
ニュース報道を通したイメージに過ぎません。

今回マルタで、
なんどもウーバー・タクシーに乗って、
リビアからの移民が多いのに驚きました。
ある青年は、
「飛行機で30分。船でも3時間」
だと話してくれました。
「ただリビア自体が広いから、
飛行場まで結構かかったりするけど」
それにしても、「近いヨーロッパ」なのは間違いないでしょう。

そして言葉ですが、
マルタ語は、「70%アラビア語なんだ」と彼は言います。
だから彼らにとっては、
習得しやすいものなんでしょう。
(まあタクシー内では、英語しか使いませんでしたが。
もちろん、わたしがアラビア語もマルタ語もできないからですが。)

ある中年男性は、
自分の家族はもともとシリア出身で、
父親がアラビア語教師だったのでリビアに来て、
その後、マルタに渡ってきた、と言ってました。
彼は「国境」というものに懐疑的で、
「だって、フェニキア人のことを考えてみてよ。
どこにだっていたんだよ?」
まあ、「どこにだって」ではないにしても、
彼が言いたいことはよく分かります。
(英語で Phoenician
という単語をリアルに聞いたのは初めてな気がします。
実は、一瞬分からなかったんですが、
音の感じと文脈からそうだろうと。
タクシーを降りたらすぐにネットで確認しました。)

もう一人、これは陽気で元気な若いリビア出身者もいました。
彼は、イタリア人の彼女と暮らしているんだそうです。
彼女も仕事がなくてマルタに来たといいますが、
聞けば、彼女は弁護士なのです。
「弁護士だったら、どこに行っても仕事はあるんじゃない?」
「イタリア以外はね」
彼が言うには、
イタリアは恐ろしく仕事がなくて、
「その辺のレストランのキッチン見てみなよ。
みんなイタリア人だよ」
ちょっと大げさなんでしょうが、
でも、そんな言葉が出てくるような状況なんですね。

イタリアと言えば、
海辺で、
若いイタリア人カップルと話しました。
女性のほうはダンサーで、
日本にも踊りに行ったことがあると言ってました。
ラジオ講座で覚えた、
ほんとにカタコトのイタリア語を、
はじめて、リアルなイタリア人に言ってみました。
褒められました!