2018年11月15日木曜日

四季 ヴィヴァルディ

クラシックの曲としては、
おそらく日本でもっとも知られたものの1つである、
「四季」。
ものすごくたくさんの録音がありますが、
わたしがよく聞いてきたのは、
懐かしのパイヤールのものと、
アバド&クレーメルのものです。
で、
久しぶりに「四季」買いました。
これです。

https://www.amazon.co.jp/ヴァイオリン協奏曲集「四季」%EF%BC%9Aレイチェル・ポッジャー-、ブレコン・バロック-180グラム重量盤レコード-Channel-Classics/dp/B07H62P68G/ref=sr_1_fkmr0_1?ie=UTF8&qid=1542280759&sr=8-1-fkmr0&keywords=%E5%9B%9B%E5%AD%A3+%E3%83%93%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%80%80%E3%83%9D%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC

古楽器で、しかもたった8人だけ。
いい意味で鄙びていて、
でもそれがそのまま現代的でもあり、
わたしは気に入りました。
録音がいいのも、聞いていて気持ちいいです。

クラシックついでに書けば、
最近「あたり」だと思ったのは、これです。

https://www.amazon.co.jp/BACH-バッハ-J-S-バッハ-リュート編曲による作品集-トーマス・ダンフォード/dp/B07DKMRMBJ/ref=sr_1_5?ie=UTF8&qid=1542281359&sr=8-5&keywords=%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88+%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F

彼は、
あの Jonathan Dunford の息子なんですね。
ただ、バッハとリュートの組み合わせは大好きなので、
点数が甘くなってはいると思います。


2018年11月13日火曜日

スタン・リー

今朝、朝の通勤時、
フランスのラジオをザッピングしながら聞いていたとき、
唐突に、スタン・リーの訃報が流れ、驚きました。
アメリカでは、当然、大きなニュースになっているようです。


単なる偶然でしかありませんが、
昨日初めて、
ここでスタン・リーに名前に触れていたのでした。

今日の授業では、
追悼の意を込めて、
X-MENの話をしました。

これから、やっぱり、
X-MEN少しずつ見ていこうかと思います。

2018年11月12日月曜日

X-MEN フューチャー&パスト

先日見た『デッドプール』繋がりで、
X-MEN のなかの1作を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=sIfKHuhhfbo

2023年である「現在」から、
1973年である「過去」へと旅し、
過去を変更することで、
現在を変えようとするお話です。
この、バック・トゥー・ザ・フューチャー的な、
あるいはターミネーター的な構造の中で、
さまざまな超能力(ギフト)をもったミュータントたちが、
彼らのDNAをも利用して作られた強力ロボットとバトルを繰り広げます。
見どころは、
ミュータントたちのギフトの新奇さなんでしょう。
磁場を、金属を操ったり、
瞬間移動できたり、
誰にでも変身できたり。
マンガ的ですが、
もとがマンガですからね、当然です。

ミュータント(突然変異)は、
マイノリティーたちの比喩だと言われています。
マンガ原作のスタン・リーは、ルーマニア系ユダヤ人、
マンガが始まった60年代は、もちろん公民権運動の時代、
今回の映画の監督(ブライアン・シンガー)は、
カミング・アウトしたバイセクシャルでユダヤ人……

X-MEN は、ミュータントたちの「チーム」であるわけですが、
このチームは2つあって、
人間たちとの共生を目指すグループと、
自分たちを差別した人間たちと戦えというグループです。
これって、
公民権運動時代の、
キング牧師とマルコムXに相当する、
という指摘もあります。
そうなんでしょうね。

見る予定のDVDが、
50cm以上積みあがっているのですが、
短時間で、しかも楽に見られるので、
X-MENシリーズも見てしまいそう……

『ゲリラ』

「国家崩壊への三日間」
という副題を持った、
『ゲリラ』(ローラン・オベルトーヌ)
という翻訳小説を読んでみました。

舞台はパリ郊外。
警官が、郊外の荒れ果てた町で「ワル」に取り囲まれ、
殺されそうになり、ついに発砲し、射殺してしまいます。
これが、「国家崩壊」の引き金になります。

小説の前半、
いわゆるフランス的語彙が、
日本語として現れるのが新鮮で、おもしろかったです。
「ファシスト」とか「共同体」とか「多文化主義」とか、
これらは、日本で使ったときとかなりコノテーションが違う言葉です。
もちろん、フィクションですから、
誇張があるでしょうけれど。
翻訳も読みやすかったです。

ただ、後半になると、
なんというか、陰惨な描写が多く、
小説の構造としても、ぎくしゃくしている印象。
また、知的に深いかと言えば、
それは『服従』ほどではありません。
厳しく言えば、B級アメリカ映画的かもしれません。

そしてこういう本は、
パリの地図が付いていると、
もっとわかりやすいと思いました。

2018年11月11日日曜日

会田誠トーク


地元で、「文化祭」がありました。

http://newtown.site/

お目当ては、郊外をテーマにした企画展示と、
その関連イヴェントである会田誠のトークです。

会田誠といえば、
このときの印象があまりに強く、
今もまだ残っています。

http://tomo-524.blogspot.com/search?q=%E4%BC%9A%E7%94%B0%E8%AA%A0

実際のアーティストは、
軽くビールを飲みながらのフレンドリーな話しぶりで、
とてもサンパでした。
とはいえアーティストですから、
そういう表面だけではもちろん推し量れませんが。

郊外に関連した論議では、たとえば、
新潟を出てしまったことについて原罪意識がある、とか、
この地上のどこに住むべきか未だにわからない、とかいうあたりが、
おもしろかったです。
この後者の感覚は、
(ブロンズなどのような)ちゃんとした素材は苦手だ、
という感覚と、通底しているのかもしれません。
あとは、
NYにいる1%の富裕層に支えられているアメリカ現代美術、
のシステムとしての限界、
かたやそうはなっていない日本現代美術、
のいつ果てるともない困難、などについての言葉が、
リアルに感じられました。

そう、住みたいところはわからないけど、
それは「快適なスラム」であって欲しいと、
彼は言うのでした。
計画された都市に押し込められるのではなく、
計算された安全性を前提として、
無秩序にでき上っていく街、
そうしたところに住んでいたい、と。

2018年11月10日土曜日

Belleville Tokyo

このタイトル、

Belleville Tokyo (2011)『ベルヴィル トーキョー』

なら、
ふつうはすぐにも見るところですが、
見るのが今日になってしまったのは、
予告編があまりそそられなかったからです。
で、
やっぱりイマイチでした。



映画館 Grand Action で働くマリと、
映画評論を専門にしているジュリアンのカップルは、
フォーブール・サン・ドニ通りからちょっと入ったアパルトで暮らしています。
ある日ジュリアンは、
映画祭の取材にヴェニスに向かうのですが、
その別れ際の駅で、
別れを切り出します。
その時マリは妊娠中でした。

その後、このジュリアンというダメ男くんは、
二人の女性の間を行ったり来たり。
そして自分が父親になる準備もできていません。
わがままで、自己弁護ばかりのイヤなやつです。
ダメで、しかも魅力がないのが、ね。

一方マリは、誠実で、強くも弱くもあり、
好感が持てます。
こんな男と付き合わなければよかったのに、
と観客は思うのでしょう。

で、これだけの映画です。
ベルヴィルとトーキョーは?
これは、まあ詐欺みたいなもので、
トーキョーに旅行に行くと偽ったジュリアンが、
ベルヴィルからマリに電話するという、
それだけのことです。
別にベルヴィルじゃなくても、トーキョーじゃなくても、
どこでもいいのです。

この映画の監督は、
これも撮っています。

両作の共通点は、
ヒロインは好感が持てるけれど、
男がイマイチ、というところでしょうか。

Manon dessinée



マノン、ついにモデル・デビュー!?

描いてくださったのは、
カリグラフィー・アーティストの、松田圭子さん。

http://stylo-et-papier.fem.jp/

Merci beaucoup !

2018年11月9日金曜日

Les mauvais joueurs 

先日見た『海辺の詩人』は、
イタリアを舞台に、
福州出身の女性と、
ユーゴ出身の男性の交流を描いていました。
これは、
ヨーロッパにおけるアジア、
という視点からも捉えられる作品でしょう。

パリにおけるアジア、
ということなら、
『パリ移民映画』でとりあげた『恋々風塵』もそうだし、
『エキゾチック・パリ案内』でとりあげた、
『パリ・ジュテーム』の中の「ショワジー門」もそうです。
『パリ、ただよう花』も忘れるわけにはいきません。
そして、登場人物たちの中にアジア人がいた、
という程度で言うなら、
これはもう数えきれないほどです。
(Steve Tran はとてもたくさんの映画に出演しています。)

ただこれらの作品は、あくまで
ヨーロッパにおけるアジア、
であり、
アジアから見たヨーロッパ、
ではないわけです。
こういう視点に立つなら、
ジャ・ジャンクーの『世界』などが気になるところです。

今回見たのは、

Les mauvais joueurs (2005)

です。


この映画は、
サンティエのユダヤ人社会を舞台にしているんですが、
主人公の恋人を演じたのは、
リン=ダン・ファン。
彼女は、『インドシナ』、『真夜中のピアニスト』、
そしてTout ce qui brille にも出てました。
ユダヤ人の恋人にアジア系を持ってきたのは、
わたしの知る限り、
この映画だけです。
(アラブ系の男性とユダヤ人女性、
という組み合わせは、
Rengaine にありました。)

サンティエに暮らすチンピラ3兄弟。
長兄(シモン・アブカリアン)と末弟は、
アジア人女性たち
(人身売買的に移民してた女性たちです。
『海辺の詩人』のリーの場合と似ています。)
を使って洋服屋や中華レストランを経営する組織に加担し、
主人公である次兄(パスカル・エルベ)は、
もう首が回らない父親の生地屋を手伝い、
そして時には3人集まって、
路上でイカサマ博打を開いたりもします。

物語は、
リン=ダン・ファンの弟が不法にパリに到着したことで、
動き始めます。
この無鉄砲な少年を庇ううち、
次兄は、組織と対立する羽目になるのです。
ただ……

この作品は、
映画としてのデキはよくありません。
B級、と言っていいのでしょう。
音楽のセンスもイマイチだし、
場面ごとの時間の配分が間違っている感じです。

パリのユダヤ人社会とアジア系シンジケートの関係、
これが扱われている点は(わたしから見れば)◎なだけに、
残念です!

2018年11月8日木曜日

EN GUERRE

アラブ系の好きな俳優といえばロシュディ・ゼム、
そしてヨーロッパ系なら、
やはりヴァンサン・ランドンです。
まあ彼の場合、今や「名優」となってしまいましたが。

彼が主演した最新作、

EN GUERRE (2018)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=qOB9mroJ1zU

なんとこの映画、
プレス用素材として、
インタヴューなどと一緒に、
全シナリオがネット上で見られます。

http://diaphana.fr/wp-content/uploads/2018/04/asc658-en-guerre-diaphana.pdf

ただ、
これはおそらく、後から起こしたものなんでしょう。
というのも、
どうもきっちりしたシナリオはなくて、
ほとんど即興のセリフだったようだからです。
プロの俳優もランドン一人だけです。
(これは、今回と同じブリゼ監督による
『ティエリー・トグルドーの憂鬱』
の時と同じ試みです。
こちらはAmazon Primeも日本版もアリ。)

物語は、単純と言えば単純です。
ドイツに本拠を置くグローバル企業が、
フランスのアジャンにある工場の閉鎖を決めます。が、
実は2年前、
この工場で働く労働者と会社の間で、
ある取り決めが交わされていました。
週40時間働くけれど給料は35時間分、
ボーナスはカット、
その代わり、工場は少なくとも5年存続させる……
けれども今、会社はこの約束を反故にし、
1100人の労働者を解雇しようとしているのです。
労働者たちはこれに激しく抵抗。
本社の社長との話し合いを要求し、ストに入ります。
フランス政府やメディアも巻き込み、
大きな問題に発展しますが、
一方で、ストが長期化するにつれ、
組合内部でも意見の対立があり……
というお話。

世の中に、
ドキュメンタリー風の映画というものは多いですが、
これほどドキュメンタリーを見ているような気持になる作品は、
初めてでした。
テーブルに座っての交渉、
という場面も多いのですが、
その熱気に引き込まれました。

ヴァンサン・ランドンの主演作の中でも、
印象に残るものとなりました。

Le Prix du succès

ラシュディ・ゼム、
タハール・ラヒム、
マイウェン、
この3人が出ているとなれば、
ストーリーなど関係なく、
もう見るしかありません。

Le Prix du succès(2017)『成功の代償』

https://www.youtube.com/watch?v=moGQmedTdkk

アルジェリア系の兄弟、
兄とムラッドと弟ブライム。
ショウビズの世界で、
ユモリスト(ピン芸人?)として成功しているブライムと、
そのサポートをする兄は、
彼らの家族を含め、
強いきずなで結ばれていました。が、
ブライムに恋人ができ、
すると当然それなりのプライヴァシーが欲しくなり、
一方、前科もあるムラッドは、
羽目を外して騒いだり、
あまり発展性のない仕事を取ってきたり、
シャン・ゼリゼにレストランを開きたがったりと、
なかなか面倒な存在になってゆきます。
で、
恋人からの提案を受け入れ、
ブライムは、新たな演出家と組むことを選びます。
おもしろくないのはムラッドです。
彼は、ブライムの恋人にちょっとしたけがを負わせたり、
演出家を襲ったりと、
荒々しさが抜けません。
こうして、兄弟の間に深刻な亀裂が入ってしまい……
というお話。

いわゆる「ハートウォーミング」にも、
「予定調和」にもなっていない点が、
この映画のいいところでしょう。
大げさに言えば、
「成功」と「挫折」の人間的な意味を探っている、
ということなんでしょうけど、
そこには、それほどの深さはなくて、
やはり、「家族」の問題のほうに、
力点があるようです。

いくつかいいセリフがありましたが、
その1つは、マイウェンのものでした。
ブライムに家族を紹介されたんですが、
その時あまり歓迎されなかった。
そのことをブライムが謝ると、
彼女は言うのです、

Ça va. Je suis pas en sucre.  (平気。わたし、か弱くなんかないから。

直訳は「わたしは砂糖でできてるわけじゃない」。
フランスの女性、という感じですね。

そしてロシュディ・ゼム。
やっぱり彼はすごいです。
ダメダメな兄貴を演じて、
ここまで存在感があるっていうのは、
ただものじゃありません。
タハール・ラヒムも好きですが、
まだ、ゼムの域には達していないかな、
という印象でした。

2018年11月7日水曜日

La Petite Venise

以前から気になっていた映画、

La Petite Venise(2011)

をやっと見ることができました。
(日本語版DVD
ある海辺の詩人 -小さなヴェニスで』
があるのですが、
ずっと品切れ状態で、
中古もだいぶ高価で買えずにいたのですが、
フランス語版はふつうに20€で売っていることに気づき、
そちらを買いました。)

https://www.youtube.com/watch?v=QWtXr0t7i1A

舞台は、ヴェニスの南郊の海辺の街、キオッジャ。
そこに働きに来た中国人女性、リーと、
周囲から「詩人」とあだ名されている老人、ベピとの、
淡く深い関係を描いています。

リーは福州出身。
故郷の実家に、8歳になる息子を預けています。
リーの家は、代々漁師でした。
はっきりとは語られないのですが、
いうまでもなく経済的な困窮から、
リーは出稼ぎを選んだのでしょう。
しかもその際、
仕事を斡旋する組織から前借する形でイタリアに渡り、
働いたお金で返済するという契約をし、
だからその返済が終わるまでは帰れないし、
息子を呼び寄せることもできないし、
仕事を選ぶことすらできないのです。
当初ローマにいたリーは、
ボスの一言で、キオッジャに赴きます。
若い中国人女性

一方ベピは、
ユーゴスラヴィア出身で、
もう30年以上キオッジャに暮らしています。
(ただ、ユーゴといってもプーラ(現クロアチア)であり、
ヴェニスからなら海を隔ててたった80kmくらい。
かつてはヴェニス共和国の支配地だったこともある場所です。
チトー大統領が亡くなった後の混乱の時代に、
イタリアに来たようです。)
息子夫婦は、ヴェニスの西側のメストレにいて、
老いた父親の面倒を見る気はあるのですが、
元漁師のベピは、この海を離れることを望んでいません。
漁師を引退したばかりの友人とつるんで、
ささやかな楽しみの中で暮らしていました。

リーがあてがわれた仕事は、
海辺のバーのホール係でした。
ここは、地元の常連がたむろする店。
そしてその中にベピもいて、
リーはここで彼と出会うのです……

すごく単純に言って、
中国語とイタリア語がまじって聞こえてくること自体、
新鮮でした。
ベピとリーは、言葉は交わさなくても、
移民が背負うものはわかっているのでしょう。
一方、イタリアの叔父さんたちの中にも小賢しい人はいて、
こうして中国人たちがこの街にいるのは、
一種の帝国主義であり、
リーのような女性は中国マフィアの手先なのだと言ったりします。
帝国主義だと言うなら、
まったくそんなことはないとは言えないのでしょう。
ただ、リーを働かせている組織は、
搾取的ではあっても、
マフィアではありません。

ヴェニスですから、
もちろん「水」は大きな役割を果たします。
そしてその象徴性はアンビヴァレントで、
苦みがあります。
わたしはなかなかいい映画だと思いました。
(日本語版をがんばって買って、
授業で見せたい気もします。)

2018年11月6日火曜日

国境なき医師団

「忘れられた」と言われる中央アフリカ。
大国の利益になりそうなものが少ないため、
彼らの注目も浴びず。

でも中央アフリカには、
緊急の支援が必要です。

https://www.msf.or.jp/news/detail/headline/caf20181103ay.html

応援したいと思います。

『ゴッドタウン』

リチャード・ジェイキンスの出演作はとても多いのに、
『扉をたたく人』
以外はあまり知らないので、
ちょっと見てみたのが、

『ゴッドタウン』(2014)

です。

https://www.youtube.com/watch?v=K-lNef4ZyJs&t=74s

舞台は、1978年、
フィラデルフィア郊外の街、ゴッズ・ポケット。
(この「神のポケット」という地名が、
オリジナルのタイトルです。)
この街は、根っからの労働者の街。
ここで生まれ、喧嘩をし、
盗み、放火をし、結婚してから子供を殴り、
肉体労働と酒とギャンブルに首までつかり、
そして死んでゆく……そんな街。
ただし映画の中には、「よそ者」が二人。
それが、主人公のミッキーと、
ミッキーの美人妻ジーニーに言い寄るコラムニスト、リチャードです。

ある日、ジーニーの息子、レオンが事故死したという知らせが。
レオンは、どうしようもなくダメなワカゾーでしたが、
母親のジーニーはこの「事故死」に疑念を抱きます。
(実際それは、事故ではありませんでした。)
金欠で、友人と盗みを働いているミッキーは、
知り合いのワルに頼んで、
レオンの死の真相を探らせる一方、
レオンの葬儀のためのお金を競馬で全部すってしまいます。
そして地元紙のコラムニストも、
この不可解な死をめぐって動き出しますが、
このダメダメな記者は、
むしろ母親のジーニーに興味を抱き……
というお話。

ジーニーを中心に見ると、
3人の男たちがその周囲にいます。
ダメな息子、
ダメな(再婚した)夫、
ダメな愛人、
です。
この内大人二人は、「よそ者」なのですが、
ジーニーは「この街で生きるしかない」と言います。
そして夫は街から去り、
愛人は、コラムの内容が気に入らないと、
街の男たちから袋叩き似合います。
つまり、二人は「街」に拒絶されるわけです。
となると、このジーニーこそ、
「街」の擬人化であるように感じられてきます。
彼女は、男たちを受け入れるように見えながら、
結局は排除してしまうのです。

もう1点。
実はレオンを殺したのは、
黒人の老人です。
労働者仲間は、
彼をかばって嘘をつくのです。
一方、ワルたちは(おそらく)ユダヤ人で、
彼らはある老婦人によって撃ち殺されます。
つまり、「街」から排除されるのです。

こうして見ると、「街」の構成員が誰なのか、
わかってくるわけですね。

2018年11月5日月曜日

独立否決

注目されていた、
ニューカレドニアの独立を巡る住民投票、
結果的に独立は「否定」されました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181104-00000038-jij-asia

ニューカレ、行ったことないんですよねえ。
行きたいです。

「アジアにめざめたら」

今日は曇り空の下、
都心でランチを食べ、
たまたま通りかかった母校の文化祭をちょこっと覗き、
それから竹橋の近美へ向かいました。
見たのは、これです。

http://www.momat.go.jp/am/exhibition/asia/#section1-1

1960~90年代の、
アジアの10を超える地域で発表された作品が、約140点。
あまり見たことのない企画で、
おもしろかったです。


         <もしこのクラッカーが本物の銃だったらどうする?>

少しだけ意外だったのは、
アメリカに向かられた視線ははっきり感じられるのに、
ヨーロッパに向けられた視線は希薄なこと。
もちろん、90年代までということも、
関係してはいるのでしょう。

今、パリでは、
Mac Val と移民歴史博物館がコラボした企画展も行われているようです。
そしてそこには、
『エキゾチック・パリ案内』でも紹介した、
キム・ソージャの作品が出品されているはずです。
ここには、はっきりと、
アジアからヨーロッパへの視線があるわけですね。

2018年11月3日土曜日

骨折の行方

指、固定しているわけですが、
昨日の夜中、
あまりの痛さに目が覚めて、
しばらく眠れませんでした。
でも、いつの間にかまた眠っていて。

で、朝から夜までまったく痛くなかったんですが、
夕食後、なぜか急に痛くなり、
約1時間、ず~~っと痛くて、
これはけっこう辛かったです。
なんというか、でき立ての擦り傷に、
消毒用アルコールをかけられ続けている感じ。
でも、
痛み止めが効いたせいもあるでしょうが、
1時間したら、
もうまったく痛くない。
不思議です。

今夜は、夜中に痛くなりませんように!

また来春

先日ワールド・シリーズが終わり、
今日、日本シリーズも終わりました。
2018年の野球は、これで終わり。
本当はあと数試合見たかったけれど。

今回の日本シリーズは、
充実した内容だと感じました。
ただ、最後の試合、
先制点がスクイズだったのは、
(きっと褒められるのでしょうし、
結果的には正解だったと言えるのでしょうけれど)
ちょっとさびしさもあります。
スモール過ぎるベースボール、という印象です。
これでは、レッドソックスには勝てないでしょう。

今年、ベイスターズの成績はよくなかったですが、
2番ソトという攻撃的な布陣は、
見ていて楽しかった。
こうなると、
2番に、起用でバントのうまい小柄な選手を置く野球は、
つまらなく見えます。
そういう意味も込めて、
ラミレス監督とベイスターズには、
来年こそはカツンとやってほしいです。
期待しています!

2018年11月2日金曜日

jeune femme


カンヌでカメラ・ドールを獲り、
フランスのメディアからは絶賛された、

jeune femme (2017)

という映画を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=_PIJNf8fwkA

いろいろあってメキシコへ行っていたポーラが、
何年振りかでパリに戻り、
昔の彼氏に会ったり、
住み込みでベビーシッター兼家政婦をしたり、
大きなモールのランジェリーショップで働いたり、
そこのガードマンである黒人のウスマンと仲良くなったり……
というお話です。

ポーラは、「ちょっとおかしい」(←本人の説明)人で、
これはまあ、エキセントリック、というほどのことですが、
それが、映画全体の雰囲気を決しています。
(この点が、フランス映画界には新鮮に見え、
そこに作家性も感じられた、ということなのでしょう。
まあ、さもありなむ。)

パリはいろんな風景が映し出されますが、
基本的に、同定できないような撮り方です。
監督はそうしたかったのでしょうが、
わたしとしては、
もっと場所を語って欲しい気もしました。

*上の画像は、シモーヌ・ド・ボーヴォワール橋からの眺めでしょう。

またこの映画は、
オリジナルの曲が多く使われていて、
CD も出ています。
たしかに、音楽は印象に残りました。
たとえば;

https://www.youtube.com/watch?v=npb8eD9sE6g&index=4&list=PLSLN5gEzR2h6g08GVnWB1pz5pApq7QUoy

Aïe !

昨日のこと、
午後テニスをしていて、
ボールを追ったはずみで転倒してしまいました。
まあ、多少は痛かったですが、
そのままプレーは続行。
問題なく終わりました。

その後近くの空いてるマックでしばらく本を読んで、
ちょっと買い物もして帰ると、
転んでぶつけた肩と、右手薬指が痛くなってきました。
で、
指は冷やし、肩はボルタレンを塗り……

そして朝、
さらに痛みは強まっていたので、
もしかして?
と思って整形外科に行ってみると、
「肩の骨は折れてないね、
指は折れてるけど」
はあ? 折れてる、指が? やっぱり!
レントゲンを見ると、
第一関節のはじっこが、
豆粒分ほど折れています。
「これって、齢ですか?」
「いや、ここは高校生でも折れます」
そうなんですね。
でもまあ、
肩じゃなくてよかった。
チョー久しぶりに始めたテニス、
いきなりできなくなりましたが……

というわけで、
今、薬指は固定中で、
全治2か月ほどだそうですが、
指以外はふつうなので、
ふつうにしています。
散歩も行ったし!

でも考えてみたら、
これって、わたしにとっては、人生初の骨折です。
人生、いくつになっても、
なにが待ってるか分かりませんね!

2018年11月1日木曜日

Merci mille fois !

秋になり、
大事な大学業務が増えてきて、
その分、気を遣う場面も増えてきましたが、
そんな中昨日は、
とても嬉しいことがありました。

実は、今週末、還暦を迎えるのですが、
なんと、
今リバティー・アカデミーの講座に来てくださっている生徒さんたちから、
すてきなプレゼントを頂きました。
生徒さんたちが、
そのことをご存知だとさえ思っていなかったので、
とても驚いたのと同時に、
プレゼントまで用意していただいて、
だいぶ嬉しかった&おいしかったです!
(さらにまた、Joyeux Anniversaire の歌も歌ってもらいました!)

長く生きてると、
いいこともありますね……

Merci mille fois !!

2018年10月28日日曜日

In Jackson Heights

今公開中のドキュメンタリー映画、

『ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ』

を見てみました。
(フランス語字幕版。
アマゾン・フランスで買ったDVDです。)

http://child-film.com/jackson/#about

ジャクソンハイツというのは、
NYのクイーンズの西側、
つまりマンハッタン川の一地区で、
約13万人の人たちが住んでいる地区のことです。
映画の中では、
この地区内のさまざまなコミュニティー
(ムスリムの、ユダヤ人の、LGBTの……)
が映し出され、
その歴史や現状、
特に、再開発に絡む「危機」が描写されています。
見終わった後は、
質のいいフィールドワークに参加させてもらったような気分になります。

NY、そしてユダヤ人コミュニティーといえば、
たとえばこの映画が思い出されます。
この映画、好きです。

http://tomo-524.blogspot.com/2016/08/felix-et-meira.html

こちらはブルックリンでした。
そしてブルックリンならこれも。
あんまりおもしろくはないけど。

http://tomo-524.blogspot.com/2015/04/blog-post_23.html


ついでにもう1つ。

http://tomo-524.blogspot.com/2013/04/nous-york.html

この映画の場合も、
『ジャクソンハイツ』の場合も、
その土地そのものも重要ですが、
背後にある「移動」もまた、
重要な要素なのでしょう。

2018年10月27日土曜日

Bianco e nero


イタリア映画、

Bianco e nero (2008 『白と黒』)

を見る気になったのは、
ただ一点、
主演がアイサ・マイガだったからです。
しかもジャケ写は、まあまあいい感じ? だし。
で、がんばって探して、
英語字幕付きのDVDを見つけ、
やっと見ることができました。が……
いろんな点で、不満の残る映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=GKGy3AERaho

現代のローマ。
中心にいるのは2組の夫婦です。
まずは、カルロとエレナの白人カップル。
夫はPCなど電化製品の修理、
妻はNGOで、アフリカ支援に関わっています。
二人の間には、小さな女の子が一人います。
二組目は、ベルトランとナディーヌのセネガル系カップル。
ダカール出身の彼らは、
留学先のブリュッセルで知り合い、
今は子供二人とローマで暮らしています。
夫は、エレナと同じ組織にいて、
妻はセネガル大使館で働いています。
いわば、「白と白」、「黒と黒」のカップルですが、
白人の夫カルロと、
黒人の妻ナディーヌが、
恋に落ちます。
で……
それはそれぞれの配偶者の知るところとなり、
恋する二人は家から追い出されます。
(その間、なんと、
ベルトランとエレナも情事に落ちそうになります……)
そうして二人は、
互いの愛を確かめ、新たな人生に踏み出すかに見えるのですが、
周囲からの「白と黒」はうまくいくはずがない、
というプレッシャーもあり、
二人は、やっぱりどうしてもちがってる、と感じ、
それぞれ元の鞘に収まるのです。
ベルトランとエレナも、それを望んでいました。
で、こんなつまらないオチなのかと思っていたら、
ラストで、
たまたま公園で再会したカルロとナディーヌが、
やっぱり忘れられないと言って抱き合い、
それで終わるのです……

アフリカ支援のNGOで働く二人が、
パートナーの浮気を知った時、
その事実そのものよりむしろ、
相手が異人種だったことに強く反応するあたりは、
『招かれざる客』以来の、
イデオロギーというものの脆弱さの表現でもあるのでしょうが、
なんだか、今の時代とフィットしない気もします。
また、元の鞘に収まる辺りは、
なんともいえず気まずい感じ。
というのもそれが、
人種間の差異は乗り越えられない、
というメッセージになってしまっているからです。
そしてラストはと言えば、
もう、何がしたいのか分からない、という感じ……

というわけで、
いろいろイマイチな点はあるのですが、
その中でも一番ピンとこなかったのは、
そもそもナディーヌのような、
美しくて賢くて強い女性が、
カルロみたいな中途半端な男と恋に落ちることです。
この女性監督は、
こういうタイプが好きなのかもしれませんが、
まったく魅力がない。
となると、映画全体の説得力もないわけです。

アイサ・マイガはきれいでした。
彼女がイタリア語ができること、
初めて知りました。
(彼女が、夫や姉とフランス語で話す場面もありました。)

セネガルのネタが1つ増えたので、
それはまあよかったということにしましょう。

脱感作


2018年10月26日金曜日

『デッドプール』

このタイミングで見ないと、
もう見ることはないかも、と思って見てみたのが、

『デッドプール』

です。
そう、先に「2」を見てしまったので、
一応第1作も確認しておこう、と思ったわけです。

https://www.youtube.com/watch?v=f6K6OO8f5O4

やはり、こちらを見たほうが、
「2」の理解が深まるのは確かでした。
どうやって主人公がデッドプールになったのかとか、
なぜ今の外見になったのかとか、
金属男たちとの関係はどういうものなのかとか、
その辺がはっきりしたからです。

まあ、アメリカのエンタメ映画ですから、
そういう意味に限って言えば、
かなり「いい」と思いました。
メタなギャグもすでにありました。
PCがらみの発言は、
少ないですが、
これもありました。

でも、2作見てみて、
やはり、「コミック」なんだなあ、という印象です。
見終わった感じが、
コミックを読み終わった感じに近いというか。

X-Men 自体は、
たとえば60年代には、
反体制運動の比喩だったと言われますが、
(そう「本人」が言ってました、「2」の中で)
今回の2作を見て、
時代的な何か、の比喩だとは感じませんでした。
逆に「1」なら『美女と野獣』的な、
もっと普遍的なものに接続させたいのだろうと感じました。
まあ、それ自体、
やや手垢がついてもいますが。

25,000円

日本の平均株価が官製相場であり、
その意味でバブルであることは、
よく知られているのでしょう。
株自体がある種の「商品」である現在、
実体経済との間に乖離があっても、
それはそれ、という面もあるでしょう。

が、今回は、
やはりアメリカの実体経済の指標の悪化が、
連鎖的な株安を呼び込んでいるようです。

で、
今ほんのちょっと振り返るだけで、
過去の「プロ」たちの見立ての成否が、
興味深いことになっています。

たとえば東洋経済のこれは、

https://toyokeizai.net/articles/-/193288

2017年の年末までに、25,000円になると予想しています。
実際には、24,000円に届きませんでした。

で、その昨年末、
「プロ」たちはなんと言っていたのでしょう?
5月に25,000円、
年末は2万円台後半、
というのが彼らの見立てでした。

https://diamond.jp/articles/-/153364

5月については、未達成でした。

さて、
「今年の年末に25,000円へ」ということなら、
多くの「プロ」が予想していました。

まずは日経のこの記事。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31949420Z10C18A6EN2000/

これも日経。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31646910S8A610C1920M00/

これも。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO36466230T11C18A0EA3000/

まあ、日経はあくまで業界紙ですから、
その業界が盛り上がる記事を掲載したいという気持ちは、
ある程度理解できます。
話し半分、というところでしょうか。

ふたたび東洋経済。

https://toyokeizai.net/articles/-/235659

そしてこれは、「遅くとも来春」までには27,000円(!)だと言っています。

http://blogos.com/article/311604/

(現実ではなく「話し」の)景気の良さなら、
こちらも負けていません。

https://www.mag2.com/p/money/341364/2

最低でも、年末に25,200円、ということですね。

年末まで、あと約2か月。
どんな結果になるんでしょうか?

2018年10月25日木曜日

『デッドプール2』

ちょっと気になっていたアメリカ映画、

『デッドプール2』

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=gFiNL_CryDc

アメリカのヒーローもの、X-Men は、
もう10本ほど作られています。
ただ、今調べたところでは、
その間ずっとチームのメンバーだったキャラはおらず、
常にメンバー交代を繰り返してきたようです。
で、このデッドプールも、
そうしたメンバーの一人で、
今回はだから、
彼を主人公にしたスピンオフ作品ということになるそうです。

デッドプールは、死ぬことができません。
それが彼の強みであり、弱み。
そんな彼が、やはり超能力を持った少年を助けたり、
未来から来た強敵と戦ったりと、
そのへんは「王道」です。
が、この映画が見たかったのは、
かなり「メタ」な部分があると聞いていたからです。
さらには、「政治的な正しさ」を揶揄しているとも。

この2点は、まさにそうでした。
分かりやすいところでは、
突撃直前、
主人公はカメラに向かって、
「音楽、スタート!」
と言ったりもします。
またPCについては、
たとえば「X-Men」という名前について、
これはあまりに男性中心主義的だから、
「X-Force」に代えよう、という提案を、
主人公自身がしたりします。
この感じ、
主張そのものはたしかにPC的で、
それを論理的に否定するのは難しいけれど、
それをたた過度に行うことで、
昨今の過剰なPCをからかっているようです。
(日本の平均的な感覚からすると、
二段階進んでいるのでしょう。)

娯楽作品だし、
ふざけているのだけれど、
でも、こんな作品が出てくるところは、
アメリカ映画の厚みなのだろうと感じました。

2018年10月21日日曜日

Par instinct

アレクサンドラ・ラミー主演の映画、

Par instinct (2017)

を見てみました。


現実的ではないと、
もちろん言えば言えるし、
詰め込み過ぎた感がないわけではないし、
バランスが崩れているという指摘も頷けますが、
それでもわたしは、
とてもチャレンジングで、
見てよかったと思いました。

リュスィーは40歳の弁護士で、
夫は弁護士という恵まれた境遇。
アルマ橋からすぐのアパルトに住んでいます。
そしてやっとのことで妊娠し、
ベイビーは順調です。
一方、あまりに対照的な女性、ビューティーは、
ナイジェリア出身の18歳。
彼女の父親は、ビューティーのいとこが働く売春&人身売買組織に、
彼女を売りました。
そしてアルジェリアはタンジェに連れてこられる途中、
怪しげなブローカーにレイプされ、
タンジェに着いた今は、大きなおなかを抱えています。
でも、子供への愛着などまったくありません。

ある日、
リュスィーは仕事でタンジェに出かけます。
(夫は彼女の体を考え止めたのですが。)
彼女は、案の定滞在中のホテルで出血し、
駆け込んだ病院で流産してしまいます。
そしてちょうどその時、
路上で破水し担ぎ込まれたビューティーが、
小さな赤ん坊を生み、
そしてこの二人の女性は、
同じ病室に入ることになるのです。

当初、まったく赤ちゃんを世話する気のないビューティーを見かね、
リュスィーは赤ちゃんを可愛がります。
そしてやがてビューティーは、
リュスィーが身につけていた指輪や時計と、
赤ちゃんを交換してくれと言い出すのです。
その時にはすでに、
リュスィーは赤ちゃんに情が移っていました……

ここまでで、
ストーリー全体の 1/4 くらい。
つまり、まだまだ紆余曲折があります。

この映画でのタンジェの街は、
ほんとに迷路のうよう。
ただ、お店の人などはもちろんアラブ系なのですが、
ヒロイン二人がヨーロッパ系とアフリカ系で、
そうした出会いの場所として選ばれている感じは強くします。

ナイジェリア人であるビューティーが、
出産した病院で国籍を訊かれ、
セネガル、と嘘をつく場面があります。
でも看護師がそれを見破り、
フランスに行き易くしたいんでしょうけどそれはダメ、
と言われてしまいます。
ちょっと印象的でした。

ただ、わたしがいま一つだと感じるのは、タイトル。
「本能で」というのは、
ちょっと古い気がします。
これって、中心的には、
いわゆる「母性愛」のことを言ってるんでしょうけど、
ちょっとピント外れのような……

ちなみに監督のナタリー・マルシャックは、
俳優として『ロシアン・ドールズ』などにも出ています。

今夜の

おかずは、
鯛のソース・アメリケンヌ。


おいしゅうございました。

2018年10月20日土曜日

出席に!

クレテイユの高校での「事件」です。
仲間と一緒に授業をさぼった生徒の一人が、
パソコンで仕事中だった担当教員のもとを訪れ、
なんと拳銃で脅しながら、
おれを出席にして!
と要求したようです。
ヴィデオがあります。

https://www.bfmtv.com/police-justice/creteil-un-lyceen-menace-sa-prof-avec-une-arme-pour-qu-elle-le-note-present-1548469.html#xtor=AL-68

銃が本物かどうか、
まだ発表されていないようです。
60歳の女性教員は即日告訴し、
この生徒はすでに警察に事情を訊かれているようです。

That's the way !

高級ディスコ復活、なんですね。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181020-00000008-kobenext-ent

わたしたちが通っていた新宿のディスコは、
まったく「高級」じゃなかったし、
この記事で言及されている
1980年代後半から90年代前半
でもなくて、
1970年代の中盤のことでした。
10年以上の差があります。
で、
往年のヒット曲として、

That's the way ( I like it )
https://www.youtube.com/watch?v=Ag9V5p9Rth0

が挙げられていますが、
この曲はわたしたちがリアル・タイムで踊った曲で、
発表は 1975年。

(この曲は、「オールド・マン」という名の踊りで踊るのです。
https://www.youtube.com/watch?v=TQ9kmr2PIxQ

つまり、「高級ディスコ」でかかっていた(らしい)80年代後半時点では、
わたしたちにとってはすでに「懐メロ」だったわけです。
もちろん、
あとからやってきたディスコ・ファンにも愛される、
それだけ魅力ある曲だということなのでしょう。

ちなみに、
映画『サタデーナイトフィーバー』は 1977年。
高校生だったわたしたちとしては、
やっと映画になったのね、
という感覚でした。

L'Âge d'homme... maintenant ou jamais !

アイサ・マイガが出ているという1点で見てみたのは、

L'Âge d'homme... maintenant ou jamais !(2007)

です。

https://www.youtube.com/watch?v=IuXgcH6UXsc

パリ13区、
のんきなサミュエルは、
写真家のティナと暮らしていますが、
いつかティナにふられそうな予感がしてもいます。
で、
そろそろ落ち着こうかと思い始めているサミュエルは、
24時間以内に、
ティナともう一歩先(→結婚)に進むか、
もう別れることにするか、
決めることにします。
でもサミュエル君は……
たまたま知り合ったきれいな女性にふらふらし、
昔馴染みの女のことは un petit sexe を楽しみ……
という話です。

まあ、しょーもないといえばしょーもない。
そしてこの手の優柔不断男を演じさせたら当代一、
ロマン・デュリスその人がサミュエル役です。
それにしても、
彼ほど映画的ペルソナがはっきりしている俳優って、
そんなにいない気がします。

アイサ・マイガはきれいでしたが、
深さが求められる役どころではありませんでした。

*監督の ラファエル・フェジト  は、
ルイ・マルの『さよなら子供たち』で、
ジャン・ボネを演じていた人です。

Une saison en France

サンドリーヌ・ボネールは、
いわゆる「フランス映画」への出演も多いですが、
一方で、

https://tomo-524.blogspot.com/2018/08/prendre-le-large.html

のような映画にも出ていて、
その出演作をもう一度たどってみるのも、
なにか発見があるのではと思っています。
で、
今回は、彼女が大きな役で出ている、

Une saison en France(2018 1月)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=SQVUYZRIp2U

パリ郊外に住む、アフリカ系の親子3人。
かつて中央アフリカで高校の先生をしていた、
父親のアバス。
そして小学生の兄と妹です。
彼らは、中央アフリカでの内戦を避け、
旧宗主国フランスでやり直すため、
パリまでやってきました。
ただ子供たちの母親は、
その厳しい旅の途中で、殺されてしまいました。
アバスは今、
難民申請中の結果を待ちながら、
マルシェで働いています。
そして、同じマルシェで働くキャロル(S. ボネール)とは、
恋人関係です。
(キャロルもまた移民であり、
かつでパスポートの更新を拒まれかけた経験があります。)
けれど、申請は却下。
アバスには、OQTF が言い渡されます。

*OQTF :https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/F18362
     「フランス領土退去命令」

難民収容所を追い出され、
その後に借りたごく小さなアパルトも家賃が払えず、
結局3人はキャロルのところに。
けれどもやがてそこにも警察が現れ、
キャロルまで警察に呼び出されてしまいます。
(OQTFの人を手助けすることは、犯罪なのです。)
アバスは、キャロルに迷惑がかかることを恐れ、
子供二人と出て行くのですが……

まず、中央アフリカ、が1つのポイントでしょう。
フランスの移民映画に、
中央アフリカ出身者が出てくることは稀です。
公用語はフランス語だし、
かつての植民地だったのに、です。
1つには、中央アフリカ内戦による難民は、
チャドなど周辺国に移動するケースが多く、
ヨーロッパまで来る人は少ない、ということもあるでしょう。
ただ、もっと根深いというか、
状況に根差した無関心というものもあると感じられます。

これはとても参考になる記事でした。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20170710-00073097/

劇中にはもう一人、
アバスの友人である中央アフリカ出身者が登場します。
彼エティエンヌもまたかつての先生で、
二人は本の貸し借りをしているのです。
そしてエティエンヌは、
おそらくはヴィレット運河あたりの橋のたもとの空き地に、
自分でごく小さなバラックを建て、そこに住んでいます。
机には本が並んでいます。
けれどある日、彼が仕事から帰ってみると、
誰かのいたずらか、
彼の家は全焼していました。
しかも彼もまた難民申請を却下され、
行き場を失った彼は、難民センター内で、
焼身自殺を図るのです……

必死に生きようとする人たちの情熱と、
それをするための前提が失われたときの無力感が、
よく伝わってくる映画でした。

*OQTF といえば、『サンバ』です。
https://www.jiji.com/jc/v4?id=hssfranse-012-17030001

2018年10月16日火曜日

『無防備都市』

イタリアン・ネオリアリズモの代表作の1つ、
ロッセリーニの

『無防備都市』(1945)

を、大学院のゼミで見てみました。
タイトルは「無防備」ですが、
第2次世界大戦末期、
ローマ側のそうした宣言は実質上無視され、
ローマはドイツ軍の支配下にありました。
その時代の「恐怖」(ロッセリーニ)が描かれています。

https://www.youtube.com/watch?v=nmpAlVam8Uw

これを見たのは、
40年ぶり? くらいですが、
さすがの傑作だと感じました。
同じころに見た『自転車泥棒』も、
もう一度見たくなりました。

2018年10月14日日曜日

『ヴェニスの商人』

ヴェニスと言えば、
中世の封建時代においては、
代表的な自由都市であり、
自治的で、独立的な空間でした。
特に14、15世紀ごろには、
その最盛期を迎えたとされています。

シェークスピアの『ヴェニスの商人』は、
この自由都市を舞台として、1596年に発表されました。
16世紀末ですから、最盛期ほどではなく、
かといってナポレオンに征服されるのはまだ200年も先であり、
十分に自治都市として機能していた時代です。
自由都市なので、
各地で迫害されたユダヤ人もやってきたし、
キリスト教徒と言っても、
他の地域の信者とはまた一味違っていたという指摘もあります。

『ヴェニスの商人』を読んだのは30年以上前で、
ほぼまったく覚えていません。
で、今回は、
映画版を見てみました。
(繰り返し映画化されるシェークスピア作品ですが、
この『ヴェニスの商人』だけは、
ほとんど映画化されてきませんでした。)


物語の中心にあるのは、
クリスチャンの貿易商、アントーニオと、
ユダヤ人の金融業者、シャイロックとの対立です。
前者は今、全財産を貿易船に投じています。
上手くいけば大金を手にするだろうし、
船が難破したりすればすべてを失います。
一方後者は、ユダヤ人共同体の中で生き、
当然娘のジェシカもユダヤ人です。
けれどこのジェシカが、ある男と駆け落ちを企てていることを、
シャイロックは知りません。
そして前者は後者を、
「猿」だの「犬」だのと言って蔑んでいます。
利息を取るのは許せない、というわけです。
(自分たちは奴隷を使っているのですが。)
しかし……

ある時アントーニオは、
年下の友人バサーニオから、
資金援助を要請されます。
バサーニオには借金があり、
それを一気に片付けるため、
莫大なお金を相続したポーシャを射止めるため、
軍資金がいるのです。
しかしアントーニオには、手持ちのお金がありません。
彼は仕方なく、
ふだんは蔑んでいるシャイロックに借金を申し込みます。
シャイロックはあきれながら、
利息なしで貸してやろう、
その代わり期限に遅れたら、
おまえの肉を1ポンドもらう、と言い放ちます。
アントーニオは承諾します。

その後バサーニオの作戦は成功します。が、
期限内にお金を返却することはできず、
アントーニオは肉をはぎ取られることになります。
けれどその裁定の場に、ある博士が登場し、
一休さん風の裁定を下します。
肉は取っていい、が、血はダメだ、と。
もちろんそんなことはできませんから、
シャイロックは仕方なく、
(やっと用意できた)お金の受け取りで済まそうとしますが、
博士は、シャイロックが肉に固執したことを言い募り、
元金も返却する必要はない、と言い出すのです。
そしてついには、
アントーニオの命を脅かした罪で、
シャイロックの財産を没収するとまで。
(この博士とは、実は変装したポーシャでした。)

その後、アントーニオが「慈悲」を見せ、
シャイロックの財産没収は撤回されます。
でも、死後は、駆け落ちしたジェシカとその夫に、
財産が渡ることになります。
そしてその夫とは、
バサーニオの友人なのです……

『ヴェニスの商人』については、
おそらく膨大な先行研究があるのでしょうから、
ずぶの素人がなにかを書くのはかなりためらわれるのですが、
とにかく、いくつも疑問が残りました。

たとえば、バサーニオという人物。
高等遊民というのか、
消費的、快楽主義的で、
とくに何もしておらず、
金満世界をうまく泳いでいる男が、
大金を相続し、
男選びだけに専心している女と結びついたということ、
それは何を意味しているのか?
背景の家父長的な社会構造と、
どんな関係にあるのか?

また、変装したポーシャが裁定を下すというのは、
あまりに荒唐無稽で、
隠された意味があるのでしょうけれど、
それが何なのか、すぐにはわかりません。
今の目から見れば、
単なる大金持ちのお嬢さんの、
単なるデタラメです。
コメディということなのかもしれませんが、
これも現代の目から見れば、
ユダヤ人シャイロックが可哀そうすぎます。
まあ、民族差別的なわけだし。
(シャイロック自身もお金持ちだから、
経済的な格差による差別とは言えませんが。)
にもかかわらず、
ポーシャやアントーニオが麗しく、
清廉に描かれている。
これって皮肉?
それとも書き手が、
当時の時流に合わせた?

たしかに、
全財産を貿易に投じたアントーニオの不安は現代的だとか、
シャイロックの内面的多層性が現代的だとか、
バサーニオの消費的性向が現代的だとか、
一見かしずいているようで、
実際は主導している女性たちが現代的だとか、
は言えるでしょう。
でも、どうでしょう、
書き手の隠されたメッセージは、
わたしなどには読み取りにくいままです。

もっと勉強しないと。

2018年10月12日金曜日

『人生スイッチ』

アルモドヴァルが製作に加わっている映画、

『人生スイッチ』()

を見てみました。
まあ、Amazon Prime で無料だったので、
気軽に見てみたわけです。

https://www.youtube.com/watch?v=m5Zyf_J_ylE

舞台はアルゼンチン、ブエノスアイレス。
6つの物語から成る、
短編集のような映画なんですが、
どれもストーリーがおもしろくて、
感心しました。
監督と脚本を担当したダミアン・ジフロンは、
1975年生まれの若手です。
ブラックな面もあるのですが、
それは悪意というのとはちがって、
見ていてイヤになりませんでした。
(ただそれは、
やや甘い、という印象を与えないでもないのですが。)
俳優たちも全体に演技が正確で、
総じて、楽しめる作品だと思いました。

「タイキョの瞬間」

各方面から批判が噴出しているので今さらですが、
でもほんとにひどいです。
メディアの劣化、
というのは今では決まり文句になってしまいましたが、
これは単に質が落ちたという話ではなく、
マイナスに加担するという、
なんならフジテレビは消えてくれた方が人々のためになる、
という気持ちにさえさせるものですね。

https://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2018/181005-i380.html

特に副題の、
「出て行ってもらいます!」
というのは、サイテーだと感じます。
(まあ、他のチャンネルでも、
同じ精神で作られた番組を見た記憶はあります。
強権的で排外的な態度をとることに、
優越的で陰湿な喜びを感じる、
そういう心理を助長する態度、
ということです。)

2018年10月10日水曜日

『はじめてのおもてなし』続

もう、巷で言われていることなんでしょうが……

この映画は、
ナイジェリアからの移民の青年を、
ミュンヘンに住むブルジョワ家庭が受け入れる、
という話なわけですが、
この受け入れ家庭は、
医師のリヒャルトと、
もと校長先生であるアンゲリカの夫婦が中心です。
で、
リヒャルトと言えば、
そう、まずはリヒャルト・ワーグナーが思い出されます。
そして、彼が反ユダヤ的だったこと、
彼のオペラのでは、
ファルス中心主義的な人物が目立っていたことを考えれば、
この映画のリヒャルトは、
作曲家のリヒャルトをモデルにしたものだろうと考えられます。
ヒトラーも、ワグネリアンでした。

そしてアンゲリカですが、
彼女の思想のバックボーンにはキリスト教があり、
難民受け入れに熱心で、
まぎれもない「西洋の女」(←と自分で言うのです)であり、
名前が「天使」がらみだということを考えれば、
これは、
どうしてもアンゲラ・メルケルを考えないわけにはゆきません。
だとすると……
なんとこの夫婦は、
夫がリヒャルト・ワーグナー、
妻がアンゲラ・メルケルなのです!

ドイツで大ヒットしたというのは、
このあたりのこともあったのだろうと、
推察しています。

(そして実は、
映画のリヒャルトは性的に不能です。
これは……
彼のファルス中心主義は、
もう内部から崩壊しているということなのでしょう。
そう言えば、ウェルベックの小説では、
主人公の不能が、
ヨーロッパの衰退を象徴していました……)


2018年10月8日月曜日

『はじめてのおもてなし』

今日の大学院のゼミでは、ドイツ映画

『はじめてのおもてなし』(2016)

を見ました。
(この邦題、ちょっと「キモイ」です。
『ハートマン家へようこそ』ですね。
そもそも、「おもてなし」なんかじゃありません。)

https://www.youtube.com/watch?v=tmklOzR8LgI

ナイジェリア出身の難民ディアロが、
かなりのブルジョワであるハートマン一家に迎えられる、
というお話です。
が、
映画として、かなり大きな欠陥があると思いました。
要は、ディアロ君の描き方と、
ブルジョワ家庭のメンバーのそれとの間に、
大きな差があるのです。
かたやステレオタイプ、
かたや屈託ある内面を抱えた近代人。
というわけで、この映画は「問題あり」なんですが、
それはそれとして、
描かれていることがらの構造や意味などについて、
みっちり議論しました。
おかげで、終わったのは7時近かったのですが、
なかなか充実していて、楽しかったです。

2018年10月7日日曜日

Pattaya

フランク・ガスタンビッドと言えば、
俳優としての長編デビューはこれ、


そして監督としてのデビュー作は、


でした。
で、今日見たのは、
監督としての第2作目である

Pattaya (2016)

です。
これ、LES KAÏRA 同様の「郊外」のノリで、
辞書に出てない単語が満載の映画でした。
(ちなみに第3作目が Taxi 5)


ガスタンビッド自身が演じるフランキーは、
恋人(サブリナ・ウアザニ)にフラレタばかりで、
でも未練満載です。
彼のダチであるクリモもまた、
ぜんぜんカノジョができず、
ふたりは、もうこんな街出ていきたい!
と思っていました。
で、クリモのいとこのレザ(ラムジーが演じます)が、
タイのパタヤで「チョー楽しい」暮らしをしているのを知り、
どうしても行きたくなりますが、お金がない……
そこで目を付けたのが、
パタヤで行われる「小人タイ・ボクシング選手権」です。
ダチの小人であるカリムを選手に仕立て上げ、
主催者から招待してもらうことに成功します。
ただし、小人のカリムはまじめなムスリムで、
そんなことはまったく知らされていません。
「メッカに巡礼に行く」と聞かされています。
(3人ともアラブ系です。)
で、パタヤに着いたはいいのですが、
もちろん、本当の混乱はここから始まるのでした……

ノリはいいし、
それなりにスピード感もあるので、
まあ楽しんでみられるのですが、
単におバカなだけでもありませんでした。
小人のカリムは、
実はふたりの企みに気づいていたのですが、
彼らにいつか「敬意」というものを教えようと、
あえて企てに乗っていたのです。

この映画は、
「まじめ」な日本では公開の可能性はごぼゼロでしょう。
でも、これもフランスなのでしょう。

「全員野球」の「あの珍言」

新しい閣僚について、
今までの発言をまとめた記事がありました。
なかなか勉強になるので、
読めなくなる前に全文コピーして、
忘れないようにします。

ネタ元はここです。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/「杉田水脈さんは国家の財産ですよ」ほか、“全員野球”安倍内閣の“あの珍言”をもう一度/ar-BBO0oVi?li=BBfTvMA&ocid=spartanntp#page=2

書き手は大山くまお氏です。

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「杉田水脈さんは国家の財産ですよ」ほか、
“全員野球”安倍内閣の“あの珍言”をもう一度


大山 くまお 2018/10/06 07:00 


 102日、安倍晋三首相が内閣改造と自民党役員人事を行った。初入閣が12人にも及ぶ第4次安倍改造内閣について、「実務型の人材を結集した」と語った安倍首相は「全員野球内閣」と命名したが、評判は上々とは言えないようだ。さっそく新閣僚からはさまざまな発言が飛び出している。過去の発言もあわせて振り返ってみたい。



柴山昌彦文科相


「(教育勅語について)アレンジした形で、今の道徳などに使える分野があり、普遍性を持っている部分がある」

 初入閣した柴山昌彦文科相は就任会見で、戦前の教育で使われた教育勅語について「今の道徳などに使える」「普遍性を持っている部分がある」などと語った。「同胞を大事にするなどの基本的な内容について現代的にアレンジして教えていこうという動きがあり、検討に値する」とも述べた。


 教育勅語とは明治天皇の名前で1890年に発布されたもので、戦前から戦中にかけて思想面で国家総動員体制を支えた。「君主」である天皇が「臣民」の国民を諭す形をとっており、国民主権、個人の尊重を掲げた現在の日本国憲法とは根本から相容れない。1948年に衆参両院で排除と失効が決議された。衆議院の決議では教育勅語が基本的人権を損ない、憲法に反するものだと明確に位置づけている。


 教育勅語には親孝行や友愛などの徳目も含まれるが、ならば親孝行や友愛について教えればいいことであり、教育勅語にこだわる理由は1ミリもない。近現代史研究者の辻田真佐憲氏は、教育勅語が成立した歴史と内容について論じつつ、「部分的に評価できるところがあるからといって、『教育勅語』全体をそのまま公的に復活させようなどという主張はまったくのナンセンス」と結論づけている(現代ビジネス 2017123日)。


 柴山氏は5日の記者会見で「現在に通用する内容もあるが、政府として教育勅語の活用を(学校現場などに)促す考えはない」と語ったが(産経ニュース 105日)、そんなの当たり前のことだ。





過去に教育勅語を“推した”政治家たち



下村博文 自民党・憲法改正推進本部長


「(教育勅語には)至極まっとうなことが書かれており、当時、英語などに翻訳されて他国が参考にした事例もある」


産経ニュース 201449


稲田朋美 自民党・筆頭副幹事長・総裁特別補佐


「教育勅語に流れている核の部分は取り戻すべきだと考えている」


日本経済新聞 電子版 201738


 近年、積極的に教育勅語について発言していたのは、下村博文氏と稲田朋美氏だ。


 下村氏は文科相だった201448日の参院文教科学委員会で「(教育勅語を)学校で教材として使う」ことは「差し支えない」と発言。同日の記者会見でも「至極まっとう」と語っていた。稲田氏は防衛相だった20173月、参院予算委員会で「勅語の精神は親孝行、友達を大切にする、夫婦仲良くする、高い倫理観で世界中から尊敬される道義国家を目指すことだ」と発言していた(毎日新聞web版 201738日)。松野博一氏も文科相時代に「教育勅語を授業に活用することは、適切な配慮の下であれば問題ないと思います」と発言している(文部科学省ウェブサイト 2017314日)。


 自民党の和田政宗参院議員は下村氏の発言を下敷きに「教育勅語の精神を教育現場で活用することについて、柴山文科大臣の発言を批判している人がいるが、従来答弁を踏襲したもので、何ら問題はない」と柴山氏を擁護した(ブログ 104日)。なるほど、柴山氏は「政府として活用を促すことはない」と答えていたけど、自民党としては「教育勅語の精神(?)を教育現場で活用すること」に「何ら問題はない」と考えているわけね。


 なお、下村氏と稲田氏は、今回の党役員人事で要職に復帰しているところが共通している。下村氏は、安倍首相にとって悲願である憲法改正について具体案を議論する憲法改正推進本部の本部長に就任。稲田氏は総裁特別補佐に就任した。


片山さつき 地方創生相


「国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です」


ツイッター 2012127


 唯一の女性閣僚として初入閣した片山さつき地方創生相のツイッターより。この発言には「国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような前文にしました!」という続きがある。「前文」とは自民党の憲法改正草案の前文を指す。国家ありき、国民はその後という人権についての考え方なのだろう。


柴山昌彦 文科相


「(渋谷区に同性愛者が集まったら)問題があるというよりも……社会的な混乱が生じるでしょうね」


テレビ朝日『ビートたけしのTVタックル』201532


 これは当時、自民党のヘイトスピーチ対策プロジェクトチームで座長代理を務めていた柴山氏が渋谷区の同性パートナーシップ制度について議論する番組に出演したときの発言。このときは「同性婚を制度化したときに、少子化に拍車がかかる」とも発言し、エッセイストの阿川佐和子氏から「国のために役に立たない人間は認めないって話じゃないですか」と反論された。LGBTカップルのことを「生産性がない」と語った杉田水脈・自民党衆院議員とも通じる考え方だ。なお、柴山氏は2012年に「少し時間ができたので小川榮太郎氏の『約束の日 安倍晋三試論』を読み返す。闘志をかきたてられる一冊だ」ともツイートしている(108日)。


桜田義孝 五輪担当相


「(放射能汚染されたごみの焼却灰は)人の住めなくなった福島に置けばいいのではないか」


時事ドットコムニュース 105


 政府は東京五輪を「復興五輪」としているが、新たに五輪担当相になった桜田氏は文部科学副大臣だった2013年にこのような発言をしていた。桜田氏は5日の記者会見で過去の発言について「誤解されるような発言があったとすれば私の不徳の致すところだ」と陳謝したが、誰も誤解なんかしていない。


 なお、桜田氏は五輪担当相の就任会見の冒頭、「パラリンピック」と上手く言えずに4回言い直していた。臨時国会で審議予定のサイバーセキュリティ基本法改正案について答弁する予定だったが、首相官邸が桜田氏の答弁を不安視しており、別の閣僚への変更を検討しはじめたという(朝日新聞デジタル 104日)。



「黙れ、ばばあ!」が話題の平井卓也氏



平井卓也 科学技術・IT担当相


EM菌を使っている方がたくさんいるので幹事長を引き受けた。中身はよく知らない」


毎日新聞 103


 初入閣の平井卓也科学技術・IT担当相は、科学的裏付けのない有用微生物群(EM菌)の利用を目指す超党派の「有用微生物利活用推進議員連盟」の幹事長を務めている。EM菌は実態の定義も概念の意味も不明瞭な疑似科学で、何の効果もないと批判されている。記者会見でEM菌議連の幹事長を務めていることについて問われた平井氏は「中身はよく知らない」と釈明した。よりによってすさまじい人を科学技術相に選んでしまった。


平井卓也 科学技術・IT担当相


「黙れ、ばばあ!」


中日新聞プラス 2013629


 自民党ネットメディア局長時代の2013年には、「ニコニコ動画」上で生中継された党首討論で、社民党の福島瑞穂氏に対して「黙れ、ばばあ!」、日本維新の会の橋下徹氏の欠席が伝えられたときには「橋下、逃亡か?」などと書き込んでいたことが明らかになっている。安倍首相の発言の際は「あべぴょん、がんばれ」などと書き込んでいた。取材に対して「(国会の)やじみたいなものだ」と釈明している。これがIT担当相……。


桜田義孝 五輪担当相


「(従軍慰安婦は)職業としての売春婦だった。犠牲者だったかのような宣伝工作に惑わされ過ぎだ」


日本経済新聞 2016114


 桜田氏の発言をもう一つ。自民党の外交関係合同会議で、韓国との従軍慰安婦問題についてこう発言した。この前年12月末の日韓合意で政府は慰安婦問題に関し、旧日本軍の関与と責任を認めたばかりだった。


原田義昭 環境相


「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている時にもかかわらず、申請しようとするのは承服できない」


朝日新聞デジタル 2015102


 こちらはユネスコの世界記憶遺産登録をめぐる中国の動きへの対策を検討する自民党の国際情報検討委員会で、委員長だった原田氏の発言。原田氏はラジオ番組のインタビューでも「南京の虐殺というような評価にはまったく当たらない」などと発言していた(TBSラジオ『荻上チキ・Session-2220151019日)。


話題の“あの人”の擁護も……

原田義昭 環境相


「杉田さんは自民党だけではなく国家の財産ですよ」


『ジャパニズム』41210日発売)


 今年210日に発売された雑誌『ジャパニズム』で杉田水脈衆院議員と対談した原田氏は、「国家の財産」と絶賛した。原田氏はほかにも「僕なんか杉田さんが来るの夢みたいに待っていたんでね」「杉田さんの認識はきわめて一般的ですよ」などと語っている。


稲田朋美 自民党・筆頭副幹事長・総裁特別補佐


「ミサイル防衛で1発目のミサイルを撃ち落とし、2発目(が撃たれる)までに敵基地を反撃する能力を持っていない状況でいいのか」


朝日新聞デジタル 102


 これはつい先日の発言。北朝鮮問題のシンポジウムにゲストとして登場した稲田氏は、「北朝鮮は実は非核化の意思はないんじゃないか。経済制裁を緩めるべきではない」と圧力路線を主張。自衛隊による敵基地攻撃能力の保有を訴えた。日朝首脳会談の実現は稲田氏にとって眼中にないらしい。



安倍首相は「全員野球内閣」と言うが……

 第4次安倍晋三改造内閣について、プレジデントオンライン編集部は「“右寄りのお友達”で固めた安倍内閣」とストレートな見出しを打っている(104日)。共産党の小池晃書記局長は「全員野球内閣」というキャッチフレーズに引っかけて「首相と同じ毛色の政治家をそろえた右バッターばかりの『お仲間内閣』」と表現した(ツイッター 102日)。


 今回の内閣では、公明党所属の石井啓一国土交通相を除き、安倍首相と自民党所属閣僚の19人全員が「靖国」派改憲右翼団体と連携する「神道政治連盟国会議員懇談会」と「日本会議国会議員懇談会」の二つの議連のいずれかに加盟歴があることが明らかになっている(しんぶん赤旗 104日)。


 安倍首相は記者会見で「希望にあふれ、誇りある日本を創り上げ、世代に引き渡すため、内閣一丸となって、政策の実行に邁進する決意です」と語ったが(産経ニュース 102日)、いったいどのような国になってしまうのか注視していきたい。


(大山 くまお)

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