2017年6月30日金曜日

Il a déjà tes yeux

監督が リュシアン・ジャン=バテイスト、
共演がアイサ・マイガ、
ヴァンサン・エルバーズ、
とくれば、見ないわけにはいきません。

Il a déjà tes yeux

https://www.youtube.com/watch?v=7mNuKbk01ZA

これは、黒人夫婦が、白人の赤ちゃんを養子にするというお話です。
楽しかったです。

セネガル系のサリと、
マルチニック系のポールには、
子供ができませんでした。
で、養子を申請して、待つこと数年、
ついにASEから連絡が。
でも、紹介された赤ちゃんは、
かわいい白人のバンジャマンでした。
二人は大喜びで赤ちゃんを受け入れますが、
サリの両親、
またASEの担当者も、
この縁組に不満を持っています。
(ただしASEには、多くの賛成者もいます。)
この縁組は、うまくいくのか? という物語です。

コメディですから、結末はハッピーで、
そこに至るまでの紆余曲折こそが映画なわけです。
もちろん小ネタもちょいちょい出てきて、
たとえばサリの母親は、バンジャマンという名前を、
かってにベンヤミンと発音し、
「これってちょっとユダヤ的じゃない?」
(あのベンヤミンはリアルにユダヤ人でしたね)
と言ってみたり、
リアル・ユダヤ人であるヴァンサン・エルバーズに、
「こどもを連れてスーパーで買い物してる姿っていうのは、
ユダヤ-キリスト教的世界観じゃない?」
なんて言わせてみたり。

そして個人的に印象的だったのは、
サリが出身地を聞かれる場面。

T’es de quelle origine ?   
Créteil. Val-de Marne. 

やっぱり、リュシアン・ジャン=バティスト監督は、
クレテイユが好きなんですね。
(ただし今回は、クレテイユのメルクマールは見つかりませんでした。)

そういえば、アラブ系のNaidra Ayadi が、
ASEの係員として登場していました。

une autre

と思ったら、
もう一人(?)、今日発見しました。
別の寄せ植えです。


こちらはまだ体調1センチちょっとくらいで、
昨日の子よりもっとチビちゃんです。

寄せ植え、カマキリたちに人気です!

2017年6月29日木曜日

une petite mante religieuse


これは、一週間くらい前の写真。
寄せ植えが、
なかなかきれいに咲いていました。

で、この写真の向かって左端の、
実はガーデニングのプロに作ってもらった一番きれいな寄せ植えに、
このごろ、
ひとり(?)住人がいます。
わかるかな?


ちょうど写真の真ん中に、
ちいさなカマキリの赤ちゃんが、
頭を下にしてぶら下がっています。
かわいいです💛

Marie et les Naufragés

パメラ・ポンズ見たさだけで見始めたのは、

Marie et les Naufragés (2016)

です。

https://www.youtube.com/watch?v=uzclWC7teX8

(この bande-annonce は面白そう、なんですけど。)

この監督は、以前日本でも公開された、
『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』
を撮った人です。
このとき同様、
登場人物が唐突に自分史を語ったりするのですが、
わたしはうまく波に乗れませんでした。

Bienvenue à Marly-Gomont

フランス映画で活躍するアフリカ系俳優と言えば、
やはり真っ先にオマール・シーが思い出されますが、
じゃあ女優では?
と考えると、わたしなら、
アイサ・マイガのことを考えます。
たとえば、

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/04/pret-tout.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/05/aujourd-hui.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/04/blog-post_29.html

で、彼女が出ている去年公開の映画、

Bienvenue à Marly-Gomont

を見てみました。


舞台は、ベルギー国境に近い小さな村、マルリー=ゴモン。
1975年のある日、
キンシャサ出身の夫婦と子供二人が到着します。
この父親は、つい最近、
フランスで医師免状を取得したばかり。
そして何とかフランス国籍も得ようと、
この医師不在に悩まされていたこの村に赴任することを選んだのでした。
(で、家族はキンシャサから呼び寄せて。)
でも、
村人たちは、初めて見る黒人に恐怖を覚え、
無論誰一人診療になど行きません。
どうすれば彼らはこの村に「同化」できるのか……?
というお話です。

この映画は実話に基づいていて、
主人公の医師の幼い息子が、
今はラッパーとして活躍しており、
しかも、「マルリー=ゴモン」という、
おもしろい歌も発表しています。
(村の描写自体は、
♪ オラ、こんな村やだ~、
に近いかな?
もちろん状況は全然違うのですが。)

https://www.youtube.com/watch?v=GGPXjiwlWZc

アイサ・マイガは、
堂々としていて、よかったです。

2017年6月27日火曜日

『フランツ・ファノンと戦後日本』

明後日です。

*******************

講演会
『フランツ・ファノンと戦後日本  
        ~非西洋は西洋とどのように対話するのか』

セルア・リュスト・ブルビナ パリ第7(ドニ・ディドロ)大学

06/29/2017|木|15:20–17:00
明治大学駿河台キャンパス 12号館2054教室
使用言語|フランス語(日本語通訳付)
入場無料|予約不要|来聴歓迎

Seloua Luste Boulbina 氏プロフィール
 
 哲学アグレジェ。コレージュ・アンテルナシオナル・ド・フィロゾフィ(国際哲学コレージュ)における「知の脱植民地化」プログラム主任。パリ・ディドロ大学社会政治変化研究所共同研究代表研究者。政治・文化面における植民地問題及びポストコロニアルを研究。
 
 氏は、脱植民地化を考察するにあたり、歴史的な出来事や政治的現象だけに頼らず、人々の経験、内に抱えているもの、互いのコミュニケーションにも目を向ける。ポストコロニアルを「二つの世界の間」とみなし、外からの客観的な関係だけではなく、内的で主観的な関係だとする。

**********************



2017年6月26日月曜日

29連勝

今日の藤井四段の相手は、
こちらも「天才」と呼ばれていた増田四段でした。
14歳と19歳の、「天才」同士の対決です。
ちょっと前には、
東大生の学生王者との対局が話題になりましたが、
おそらく、ちょっと将棋を知っている人は、
学生(つまりアマチュア)では敵うはずがない、
と思ったはずで、実際そうなったわけですが、
今回は、ちがいます。
増田四段は、プロの世界でも指折りの若手です。

で、4時過ぎから、
対局終了の9時過ぎまで、
ずっと ameba の中継を追ってしまいました。
序盤、増田四段が押していたように思ったのですが、
いつのまにか、
逆転されて、そのままねじ伏せられました。
この「いつのまにか」感が、
藤井マジックと言われるところなのでしょう。

今日の一局はいわゆる「力戦」(=定石から外れた対戦)でしたが、
藤井四段の勝ちっぷりは、いわば「寄り切り」。
危なげなく、危険を冒さず、着実に勝ちに近づいていきました。
増田四段にも勝ったとなると、
連勝はともかく、
八段クラスとの対戦が始まるまでは、
もうあまり負けないのかもしれません。
これは「天才」ですね。

2017年6月25日日曜日

Papa ou Maman

2015年のヒット・コメディ、

Papa ou Maman

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=CXIzQmPps48

大雑把に言えば、
『ローズ家の戦争』
的な、つまり夫婦間の「戦争」を描いた映画です。
その夫婦とは、
マリナ・フォイスとローラン・ラフィットが演じる、
フロランスとヴァンサン。
二人は離婚を決意し、
それを3人の子供たちに話そうとするのですが、
なかなかそれができない。
でも、やっとのことで話し、
子供たちの行き先は、
子供たち自身に選ばせることにしたのですが、
というのも、
実は夫は(国境なき医師団に参加し)ハイチへ、
妻は昇進してデンマークへ、
旅立ちたがっていて、
なんとか子供たちを元配偶者に押し付けたい、
つまり自分では引き取りたくないと思っているからなのです。
そしてここから、
この母と父の、
「子供たちに嫌われるための大作戦」が始まるのです……。

まあ、エンタメですから、
どうということもないのですが、
ブラック・コメディとしては、たしかになかなかおもしろくて、
楽しめました。
「2」があるので、こちらも見てみるつもりです。

*離婚手続きをする公務員として、
Anne Le Ny が出演しています。

2017年6月24日土曜日

「はてなの中高年は今井絵理子の発言を理解できない」

ああ、これ、
ちょっと思い当たるところがあります。

https://anond.hatelabo.jp/20170624022831

AEDと巨人と玩具

今日は朝9:00 から、大学で、
AED講習を受けてきました。
3年ぶり、2回目です。
説明を受けた後、胸骨圧迫も、人工呼吸も、
AED使用の模擬練習もして、
たっぷり3時間、
中身のある講習でした。
胸骨圧迫は、最近では、
1分間に100~120回が良いとされているそうです。
で、100回未満は良くなくて、
100回以上なら、
効果に差はないとのことでした。
これでわたしも、
「市民救命士」です。
(まあ、2度目なんですけどね。)

そして午後は、
わたしの研究室の院生N君と、
こちらもみっちり4時間かけて、
『巨人と玩具』を見ました。
にぎやかで躍動感のある映画なのですが、
提示されているのは、
「明るいニヒリズム」だと思われました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/09/blog-post_13.html


2017年6月23日金曜日

Fureur

Fureur (2003)という映画を見ました。
これは……、もっと早く知っていなければならない映画でした。
見落としていたことを反省しています。

https://www.youtube.com/watch?v=sBnUCPWDQ5w

映画のストーリーも、人物造形も、その他もろもろも、
特筆すべきことはないんです。
ただ一点、ヒロイン(ユー・ナン)の背景と、
パリ13区のアジア街という舞台の出会いが、
映画史的には完全に要チェックだと思います。
オランピアッド広場も、オスロ商店街も、ユーロパズィも出てきます。

話しは込み入っていますが、
縦糸は、やはり「恋愛映画」の側面に現れる物語でしょう。
男はラファエル・ラミレス。
スペイン系フランス人で、
死んだ親が残した自動車修理工場を、
弟とともに切り盛りしています。
ただ、経営はかなり苦しい様子。
女はチン。
中国系ですが、生まれはカンボジア。
その後兄と二人で(おそらくは内戦を)タイへと逃れ、
さらに彼女は、一人中国に。
そして5年前から、パリにで暮らしています。
そしてこの二人の恋愛を邪魔するのが、
中国系有力者の息子、トニー・トランです。
彼は、映画の始まりにおいては、
まずはチンのフィアンセであり、
ラファエルのガレージを買い取ろうとする実業家(ワカゾーですが)です。
チンは、トニーなんか嫌いなんですが、
世話になっている親戚夫婦に恩返しするつもりで、
彼らの言いなりになって、結婚するつもりだったのです。
が、ラファエルと出会い、チンは変わります。
「わたしは売り物じゃない!」
と言い残し、親戚夫婦の家を飛び出します。
目覚めたんですね。
そして振られたトニーは、
怒り狂ってラファエルのガレージに放火してしまいます……

このメイン・ストーリーに絡むのが、
ラファエルの弟マニュと、チンの兄トイです。
この二人はそれぞれ、キックボクサーです。
マニュは、経営不振のガレージのため、
トイは、労働許可証を持っていないため、
違法な賭けキックボクシングに選手として参加します。
負けたマニュは、その時の殴られ方があまりにひどく、
命を落とすのです……

この映画、「激情」というタイトルで、
以前、フランス映画祭で上映されたことがあるようです。
13区を舞台にした映画としては、
代表的な1本と言えると思います。
(やっぱり見るのが遅かった! J'ai honte !)

『彼女が消えた浜辺』

ファルハディ監督の、
2009年の作品、

『彼女が消えた浜辺』

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=p5JYzTrO_aQ

イランの海岸に遊びに来た3つの家族。
そしてそのうちの一人の母親が、
自分の子供が通う幼稚園の女性の先生、エリを誘っていました。
ドイツから一時帰国している友人男性に、紹介するためです。
でも、その二日目、エリは姿を消します。
溺れた子供を救おうとして海に飲まれたのか、
黙って家に帰ったのか……

この映画の、わたしにとっての面白さは、
イランの人たちの「生活と信条」が伝わってくるところでした。
夫婦間のなんでもない会話、
彼らのまなざし、
特に女性たちの、
楽し気な、あるいは堂々とした態度。
まったく当たり前ですが、
すごく友達になれそうだと思いました。

群像劇風ですが、
主役はといえば、
エリを誘った母親、セピデーを演じる、
ゴルシフテ・ファラハニでしょう。
彼女は、ここでも主役の一人でした。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/04/just-like-woman.html

そしてこの映画、
(今気づいたんですが)
日本版がありました。
『マリリン&モナ』
です。
これ、面白いんですよね!

2017年6月22日木曜日

BWV1060

Mozart を聞いているときはMozart がいいし、
Brahms を聞いているときは Brahms がいいのですが、
それでも、
強いて一人を挙げるとするなら、
わたしは Bach が好きです。
で、
その中でも、
これもカナリ強いて挙げれば、
BWV1060 の、
2台のチェンバロのための協奏曲(第1番)
が好きです。
(2, 3日前、ラジオを聞いていて、
唐突にこの曲が始まり、
昔からの友人と、
その時いた新宿駅のホームでばったり会ったかのような気がしました。)

https://www.youtube.com/watch?v=KDn7kNOZ-E0&list=PL2CD9B01526286169 C mineur

ほんとに、名曲だと思います。
(ふだん愛聴しているのも、まさにこのピノック版です。
もちろん、CDの音はもっときれいです。)


そしてこの曲は、原曲があるとされていて、
それが、
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲
だとされています。
ただこちらの曲は、楽譜がなく、
仕方ないので、「2台のチェンバロ」を編曲して、
今あるこの曲が作られました。
(というか、復元されました、というべきでしょうか?)

https://www.youtube.com/watch?v=178rHC7EZEQ  D mineur

これもまた素晴らしいです。

そしておもしろいのは、
「2台のチェンバロ」はハ短調なんですが、
「オーボエとヴァイオリン」のほうは、
ハ短調ばかりでなく、
(このYouTubeのように)
ニ短調で演奏されることも多いということです。
というのも、
バッハが自分でチェンバロ用に編曲する際には、
全体が一音下げられていることが多く、
もしそれに倣うなら、
「オーボエとヴァイオリン」のほうは、逆にハ短調から一音上げて、
ニ短調になるんじゃ?
と考えられているようです。

たとえばホリガーは、
クレーメルとはハ短調で、
グリュミオーとはニ短調で、
録音しています。
個人的には、ハ短調のほうが好きです。
(ホリガーとヒラリー・ハーンの組み合わせで聞いてみたい、
ハ短調で!)

mersi は

「ありがとう」は、

mersi

なんですね、ペルシャ語では。
音は merci と同じに聞こえますが、
つづりが違うわけです。
これはフランス語からの借用語のようです。

<ペルシャ語における、フランス語からの借用語リスト>
https://fr.wikipedia.org/wiki/Liste_de_mots_persans_d%27origine_fran%C3%A7aise

イランが少し近くなりました。

2017年6月20日火曜日

陣野さん登場!

23日です。

<シャルリ・エブド襲撃事件について (いまだ)考え続けていること >

http://www.meiji.ac.jp/humanity/info/6t5h7p00000o8uhq-att/6t5h7p00000o8ujo.pdf

学外の方も参加可能です。
(要電話)

Bon Appétit

1か月ほど前にリリースされて、
今週もまたMouv' でかかり続けているこの曲、
Katy Perry のBon Appétit。

https://www.youtube.com/watch?v=dPI-mRFEIH0

ずっとラジオで聞いていて、
遅ればせながら今日MVを見てびっくり。
これ、いろいろマズイですね。
しかもご丁寧に、MVの始まりに、

NSFW  (not safe for work 「職場で(の閲覧)は危険」)

というネオンまで輝かせて。

まあ、彼女の品がないのは、
これが初めてってわけでもないんですけどね。


2017年6月18日日曜日

Histoire d'un amour

Marseille - de guerre lasse の挿入歌、
1958年の歌のようなので、
つまりアルジェリア戦争当時の歌ですね。

https://www.youtube.com/watch?v=zCPDJfDd9eU

Mon histoire
C'est l'histoire d'un amour
Ma complainte
C'est la plainte de deux cœur
Un roman comme tant d'autres
Qui pourrait être le votre
Gens d'ici ou bien d'ailleurs

C'est la flamme
Qui enflamme sans brûler
C'est le rêve
Que l'on rêve sans dormir
Un grand arbre qui se dresse
Plein de force et de tendresse
Vers le jour qui va venir.

C'est l'histoire d'un amour
Eternel et banal
Qui emporte chaque jour
Tout le bien, tout le mal
Avec l'heure ou l'on s'enlace
Celle ou l'on se dit "adieu"
Avec les soirées d'angoisse
Et les matins merveilleux.

Mon histoire
C'est l'histoire que l'on connais
Ceux qui s'aiment
Jouent la même, je le sais
Mais naïve ou bien profonde
C'est la seule chanson de monde
Qui ne finira jamais...

Marseille - de guerre lasse

マルセイユを舞台にした映画、

Marseille - de guerre lasse (2014)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=GnV9SNFXNHE

舞台はマルセイユ、2008年。
そしてこの映画の骨格は、
フィルム・ノワールの定番に沿っていて、
まずは、マルチアーノと、ヴェルニョー(チャッキー・カリョ)という、
二人の親分がいます。
で、ヴェルニョーの息子アレックスは、
4年前、マルチアーノの弟を殺し、
その追ってから逃れるため、
外人部隊に入隊しました。
さらに彼の父親も、
それ以上の追跡を止めることの見返りとして、
経営するすべての店の権利を、
マルチアーノに譲りました。
そして、4年後の今、
戦闘によるPTSDを抱えたアレックスが、
「街」に戻ってきます。
それは、恋人だったKatia(サブリナ・ウアザニ)と再会し、
彼女と一緒に逃避行に出るためでした。
けれど、アレックスが戻ったという知らせは、
あっという間にマルチアーノの耳に入り……
というわけです。

ただしこの映画、これは物語の1つの面で、
もう1つ、これと同じくらい重要な面があります。
それは、家族の秘密にかかわる物語です。
実はヴェルニョーは、
かつてアルジェリアで植民者として生きた、
ピエ・ノワールなのです。
しかも、今の彼のパートナーは、
当時彼の家にいたメイドだったアラブ系のライッサ(ヒアム・アッバス)で、
二人の3人の子供(アレックス、カティア、ラシッド)のうち、
アレックス以外は、ライッサと当時の夫との間の子供なのです。
アルジェリア戦争が終わった時、
ピエ・ノワールはヨーロッパに逃げ、
彼らの家で働いていたアラブ系の人たちは、
対仏協力者として、
アルジェリアを追われたわけです。

というわけで、このフィルム・ノワールと家族の物語の結合が、
この映画を独特なものにしています。が、
やはり見ていて、複雑すぎる、と感じないわけにはいきませんでした。
ちょっと詰め込み過ぎたかもしれません。

ただ、マルセイユを選んだ理由についての、監督のこの言葉、

"Un bon décor, ce n’est pas quelque chose de joli qui passe bien à l’image –
c’est un lieu qui raconte une histoire"

これはまったく同感です。

そして、作品が多少複雑すぎるにしても、
今回の俳優陣は、とてもよかった。
しかも馴染みの人たちが多く出ていて、

ジャリル・レスペール(Le Petit Lieutenant) ←母親はアルジェリア系
チェッキー・カリョ(『ニキータ』)
ヒアム・アッバス(『シリアの花嫁』)      ←アラブ系(イスラエル人)
サブリナ・ウアザニ(Mohamed Dubois )   ←アルジェリア系
ムアメッド・アゼルキ(Cheba Louisa)     ←アラブ系
オリヴィエ・ラブルドン(『君を想って海をゆく』)

こんな感じです。
みんなよかったですが、
特に、サブリナは今回、
堂々としていてよかったです。

2017年6月17日土曜日

遅すぎる新年会、また楽しからずや

昨日は、久しぶりの会議デーで、
10:30から5時過ぎまで、
なんと6つの会議がありました。
でもまあ、
一番長引きそうだった会議が意外にあっさり終わり、
おかげで6時過ぎとかにはなりませんでした。
(よかった!)

で、そのあとは、
われらが総合文化教室の、
遅すぎる新年会! でした。
去年は、忘年会もできませんでしたから、
こんな会は久しぶりです。
(昇格した先生のお祝いも兼ねています。)
出張中の先生たちもいて、
全員とはいきませんでしたが、
そこそこ盛り上がり、
楽しかったです。
(この総文の集まりは、
いつだって楽しいんですけどね!)

2017年6月15日木曜日

@池袋ジュンク堂

新しい帯の『フラ語入門』、
ついに本屋さんに並んでいます。
これは今日の、池袋ジュンク堂。



素晴らしい!
ジュンク堂にも、白水社にも、
Merci beaucoup !!

ちなみに、この赤い帯は、
この2,3か月程度使い、
その後は、緑のものに変えていく予定です。

2017年6月12日月曜日

「ひよっこ」

四月に、ふと見始めた「ひよっこ」。
朝の連続テレビをちゃんと(=録画して)見るなんて、
ずいぶん久しぶりだと思ったら、
そう、「ちゅらさん」以来です。
そして「ひよっこ」の脚本は、
「ちゅらさん」同様、
岡田惠和なのでした。

岡田惠和のドラマで印象深いのは、
「彼女たちの時代」です。
今調べたら、1999年でした。
これはなにかちがう、
と思ったのを覚えています。
山田太一もやっぱり好きですが、
この脚本家も好きです。

「ひよっこ」、
今では毎日の楽しみになっています。

『エール!』

カリン・ヴィアールとフランソワ・ダミアンの共演なら、
まあ、外れることはないだろうということで、

エール! (La Famille Bélier

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=3xWH1ljOJLg

なかなかいいお話で、
これが「ハート・ウォーミング」というやつなのでしょう。
安心して見られました。

(完全に「重箱の隅」的なことを言うなら、
一家がパリに着いた時、
まずビル=アケム橋を渡り、
そのあとエッフェル塔を間近に見て、
それからラジオ・フランスに到着したわけですが、
まあ、ビル=アケムから見て、
両者は反対方向ですね。)

2017年6月11日日曜日

「トランプ時代の中東」

今、BS・NHKで、
「トランプ時代の中東」
というドキュメンタリーを見ました。


とても引き込まれる内容で、
現場の空気が伝わってきました。
いろいろ記事は読みますが、
やはり、街の雰囲気というのは、
映像のほうがよく伝わります。
まとめ方もわかりやすく、
学生にも見せたいと思いました。
このところNHKは、
「大本営だ」という声も聞かれますが、
この番組はよかったです。
再放送されればいいと思いました。

Vilaine

2008年のフランス映画、

Vilaine

を見てみました。
このタイトルは、形容詞 vilain の女性形ですが、
意味は、映画の中のいろんな文脈に当てはまるので、
一つには決められません。
ロワイヤルの訳語を使うなら、
見苦しい/下劣な/いたずらな
という感じです。
なかなか面白い映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=v9Bt4jUZ-xQ

メラニーは、やや太っていて、
きれいじゃない子、という設定。
で彼女は、あまりに気持ちがやさしく、
周囲の人間たちは、近所の人も、
母親も祖母も、祖母のホームの老人たちも、
メラニーが働くダイナー風の店の店長も、
女友達たちも、みんな遠慮なく彼女を利用します。
でも、ついに、
メラニーは気づきます、これじゃだめだ! と。
その日から、彼女の復讐の物語が始まります……

コメディーですから、復讐と言ってもオモシロ系です。
特に、店長を嵌めるエピソードは面白くて、
彼がメラニーに書かせた求人広告に、
彼が口述させた言葉そのものではなく、
白人至上主義のラシストで女好きの彼の本音を書き、
それを掲示させたところで、
労働監視局に通報する、というものでした。
「求む、なんでもやってくれるホール係、
白人で金髪で25~35歳」
これはまずいですね。

この映画、見ればすぐに気づくのですが、
『アメリ』に似ています。
というか、そのパロディーみたい。
ヒロインの名前も似てるし。
(Mélanie Lupin と Amélie Poulain)

メラニー役のマリウー・ベリーは、
ジョジアーヌ・バラスコの娘で、
なんとリシャール・ベリの姪でした。
ということは、クロアチア系でもあり、アラブ系でもある、
ということになるのでしょう。
また、3人の女友達のうちの一人は、
『最強のふたり』にも出ていたジョゼフィヌ・ドゥ・モー。
もう一人は、『最高の花婿』で、
長女役をやっていたフレデリック・ベルでした。

もう9年も前の映画で、
部屋の棚でずっと眠っていたんですが、
見てよかったです。

「対米従属テクノクラートの哀しみ」

http://blog.tatsuru.com/2017/06/11_0910.php

Robots

ソフトバンクが買った、という話ですが、
それよりも、
そもそもロボットがこんなことになっているのを、
知りませんでした。
この動画、驚きでした。

https://www.msn.com/en-us/money/companies/softbank-buys-robotics-leader-boston-dynamics-from-alphabet/ar-BBCkltE

さらば、TGV ?

TGVから、inOui に、名前が変わるという話題。

http://toyokeizai.net/articles/-/174464

この記事の中にもある通り、inOui は、まずは、

inouï  (前代)未聞の (← in + ouïr「~を聞く」 の過去分詞) 

なんでしょうが、
確かに中に oui が入っています。
ただどうも、
あんまり評判がよくないみたいですが……

http://www.leparisien.fr/economie/tgv-renomme-inoui-la-sncf-critiquee-et-moquee-28-05-2017-6990561.php

2017年6月10日土曜日

『おとなの恋の測り方』

おお、このタイトル、

『おとなの恋の測り方』

と打つだけで、かなり恥ずかしい感じがありますが、
それはともかく、
来週、この七五調タイトルの映画が公開されます。

http://otonanokoi.jp/

で、これ、
少し前にここで触れた、これです。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/02/un-homme-la-hauteur.html

つまり、「測り方」あたりは、
なかなか上手いとも言えるわけなんですね、
恥ずかしいなんて書いちゃいましたけど。

とにかく、主演二人が魅力的なのは、
間違いありません。

2曲

まあちょっとイマサラ感があるのは否めませんが、
ラジオ(Mouv')を聞いていて、
今日もヘビロテで登場するのはこの2曲。

https://www.youtube.com/watch?v=KjGI3FyG3FY

https://www.youtube.com/watch?v=CTFtOOh47oo

たしかに、いいですねえ。

2017年6月9日金曜日

Yasmine

2004年のイギリス映画、

Yasmine

を見てみました。
いい映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=4BgbGugDUkk

時は2001年。
舞台は、ウエスト・ヨークシャーのKeighley。
その、パキスタン系の移民街に暮らすYasmineは、
敬虔な老いた父と、
心の通わない(つまり、親から押し付けられて結婚した)夫と暮らしています。
ただし彼女は、
この家庭内では「よきムスリマ」ですが、
養護関係の職場では、
通勤途中でババッと着替え、
Tシャツにジーンズという、いわば「ふつう」の格好。
つまり彼女は、二重の生活、二重の価値を生きています。

ただ、ヤスミンと夫は、
まったくうまくいっていません。
それどころか、ある夜など、
夫は彼女に無理やり襲いかかり、拒絶されると、
殴りさえします。
ヤスミンは、離婚を決意しますが、
父親は決してそれを許しません、家族の名誉のために。
そんな中、あの9.11 の日がやってきます。
ヤスミンが職場に行ってみると、
彼女が仕事で使うヴァンには、
「タリバンのヴァン」と落書きされ、
彼女の写真には、濃い髭が落書きされていました。
そして翌日には、
武装した警官隊が彼女の家を急襲。
彼女に、夫はどこだ、と迫ります。
そしてヤスミンも、父親も、
たまたま来ていたヤスミンの男友達も、
そして夫も、
みんな警察に連行されてしまいます。
生活能力さえ危うい夫は、実はテロとは全く無関係だったのですが、
テロ組織の一人の電話番号を知っていたという、
それだけがこの急襲の理由でした。
つまりヤスミンは、
二重の生活の、
その両方から拒絶されたのです……

もっともっと知られていい映画だと思いました。

2017年6月5日月曜日

クラシック局

月曜日は中野キャンパスへ。
で、電車の中で、
本が読めないときは、
インターネット・ラジオを聞いています。
ヒップホップなら、先日挙げたMouv' です。
クラシックなら……

インターネット・ラジオは、
星の数よりは少ないけれど、ずいぶんたくさんあります。
で、
クラシックに特化した局だけでもけっこうあるし、
もちろん全部聞き比べたわけではないのですが、
わたしが電車内などでよく使うのは、
まずはこれ。
ラジオ・スイス・クラシック。

http://www.radioswissclassic.ch/fr

なにしろ電車の中なので、
あまり長大な曲をかけられても全部聞けません。
で、この局のように、
楽章単位で流してくれるところが使いやすいです。
比較的落ち着いた曲が多くて、そこも好きです。

もう一つは、ギリシャの、バロック専門局。

http://stream.psychomed.gr/webstream%20baroque.html

いつ合わせてもバロックというのが、
とても安心。
ちょっと混んだ電車でも、落ち着きます。
これは、サイコメドという放送局の中の一つのチャンネル。
サイコメド自体には、ブルーズやラウンジのチャンネルもあります。

2017年6月3日土曜日

『アスファルト』

去年公開され、行けなかった映画、

『アスファルト』

を見てみました。

http://www.asphalte-film.com/

静かな映画ですが、
内面的なスリルとでも言うべきものがあり、
おもしろかったです。
3つの、言ってしまえば荒唐無稽な物語が並走するのですが、
その荒唐無稽さの中に、
たしかに「現実感」があり、
引き付けられます。
3つの話が、3つともイイのが、すばらしいところ。

中で、不時着した(?)宇宙飛行士の世話をするアラブ系女性が、
とてもサンパ。
彼女、マダム・アミダを演じるTassadit Mandi は、
映画の中でも現実でも、アルジェリア系。
そして彼女は、『アイシャ』シリーズの中では、
ゲイの息子を持った、
どちらかというと意固地な母親を演じていたのですが、
今回は、その優しさが全開しています。

1:08:57 のところ=自分の息子がゲイだと知って驚く場面
https://www.youtube.com/watch?v=-BawMiXNdU0


2017年6月2日金曜日

『ドイツ三〇〇諸侯  一千年の興亡』

昨日から読み始めたのが、これ。

『ドイツ三〇〇諸侯  一千年の興亡』 (河出書房新社)

週に一度はランチをご一緒する大先輩、
Mr. ハプスブルクこと、菊池先生の新刊です。
菊池先生らしい、バランス感覚のいい、
そして読みやすい文章です。
具体的なもろもろの面白さもさることながら、
要所にピリッと挟まるコメントから、
「物を見る角度」の勉強になっています。
アナ―二事件からアヴィニョン捕囚の背後にいた、
フィリップ4世も登場します。

「21世紀の左派のマニフェスト」

これは興味深いです。

https://news.yahoo.co.jp/byline/bradymikako/20170531-00071556/

読もう読もうよ思って、まだ読んでないんですが、
このブレイディみかこさんの本、
読んでみたいと思います。