2021年4月29日木曜日

これがスピーチ

欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長が、
25日、欧州議会で演説しました。
これがその時の様子。


(25分20秒あたりから。フランス語は33分20秒あたりから。)

最初が英語、それからドイツ語、それからフランス語、
で演説してます。
しかも!
言語ごとに内容を変えてる……

全文はここに挙がっています。


彼女は、医師でもあるんですね。多才!
(実は、彼女とは同じ歳……)


『イージー・マネー』


ネトフリにあったスウェーデン・ドラマ、

『イージー・マネー』(全6話)

を見てみました。
かつて、同タイトルの映画(3部作)がありましたが、
(それには原作小説があったのですが)
そのリメイク的な位置づけと考えていいのでしょう。
ただ、物語はずいぶん変更されていますが。


現代のストックホルム。
「スラム」と呼ばれる郊外の団地に暮らすアラブ系のレヤは、
幼いサムを育てるシングル・マザー。
度胸も才能もある彼女は、
自分の会社を立ち上げており、
有力な出資者を探し回っています。
同じ「スラム」には、レヤの亡夫の弟、ラヴィも住んでいます。
アフリカ系の彼は、地元の麻薬ディーラーのボスです。
そしてラヴィの手下の一人であるサリム。
シリアから来たという彼は、やがて、
レヤと恋に落ち、犯罪稼業から足を洗うことを考え始めます。
物語は、彼らに加え、
レヤの出資者となる新自由主義的拝金主義者、
ラヴィの組織の「パシリ」となる白人少年、
ラヴィと敵対する組織を率いる(ポーランド系?の)ダニ、
などが絡んで進んでゆきます。

で、その物語そのものは、
それなりにうまく作られていると思いますが、
中盤の息苦しさが強すぎて、
それはわたしからすると、
かなり大きな減点でした。
映画ではなく時間の長いドラマなので、
もっとなにか、
ウォームなサブストーリーが欲しかったです。

主演の Evin Ahmad、
スウェーデン人である彼女のことを調べてみると、
母親はイラク系、
父親はシリア系で、
すでに多くのテレビドラマ出演歴もある俳優でした。
またラヴィを演じた Dada Fungula Bozela は、
コンゴ・キンシャサ生まれで、
子どもの頃に一家でスウェーデンに移住したようです。
サリム役の俳優は、
両親や子供時代については口を閉ざしている、
という記事がありました。
サリムの仲間のアリは、
物語の中ではクルド人でした。

組織を抜けたいとボスに頼む時、
サリムはこう言うのです、
「ほかにも移民はたくさんいるだろう」と。
ということは、
サリムにとって、この麻薬組織は、
あくまで「移民」によって構成されているものなのです。
(だからこそ、白人のティムは重宝されたわけです。)
また、
レヤを含めほとんどの人物たちが、
ストックホルムの「スラム」に暮らしています。
が、レヤだけは、物語の中盤から、
出資者から提供を受け、
広くておしゃれな新築マンションに引っ越します。
つまり、
このドラマでも、
民族性と空間性は対応していて、
レヤはその「輪」を出て行こうとするわけです。
ただ、彼女は、
そこから完全に抜けることはできません。
その理由は、
さまざまなレベルでいくつも見つかりますが、
彼女もまた移民系であることは、
やはり無視できないのでしょう。

原作小説は 2006年の出版だと言いますから、
もう15年も前です。
そこでは、1990年代に増えたという、
ユーゴ系の移民が多く登場しているようです。
そして今、移民の民族構成は変化しました。
でも、彼らの置かれた社会的位置は、
それほど変わっていないのかもしれません。
このドラマが、2020年に再び撮られた由縁なのでしょう。

2021年4月28日水曜日

『シカゴ7裁判』

アメリカの、アメリカによる、アメリカのための映画賞、
とも揶揄されるオスカー。
わたしも、正直なところ、それほど大きな興味はないのですが、
ただ今回は発表がゼミの時間帯と重なり、
刻々と発表される受賞者、受賞作を横目で見ながら、
ゼミを進めました。

わたしは、コロナのこともあり、
まだ『ノマドランド』も『ミナリ』も見ていないのですが、
こうした傾向の作品に光が当たったのは、
よかったと思います。
(ネトフリで見た『ザ・ライダー』のことは、
先日ここで触れました。)
で、
ネトフリにある、
オスカー候補となっていた作品の中から、

『シカゴ7裁判』

を見てみました。
実際にあった裁判に基づいた法廷劇なんですが、
どうでしょう、
構図は単純で、
悪意もそれほど執拗ではなく、
アメリカ愛に溢れ、
類型的な人物たちが登場するこの映画は、
それほどピンと来ませんでした。
もちろん最後まで見ていられるし、
決してつまらないわけじゃないんですが、
なんというか、
本来は大きな広がりを持てる題材を、
ローカルに料理したというか。

韓国ドラマに戻ります!

2021年4月26日月曜日

AFFAIRE SARAH HALIMI

日本でも、
また多くの国でも、
「心神喪失」状態である場合、
罪に問われないという法律があるようです。
で、
フランスでは今、
ある事件の判決に対して、
激しいデモが起きています。


この問題については、
有名なユダヤ人俳優であるエリ・スムーンも、
専門家ではないと断りながらも、
法の改正を望むとコメントしています。


デリケートな問題で、
簡単にはいきませんが、
「無罪」となると、
違和感を感じる人がいるのは理解できます。

ジャン・ギャバン

緊急事態宣言が出て最初の授業日。
大学院の「映画と都市」はオンデマンドにしましたが、
ゼミは、相談の結果、いつも通り対面で決行。
それどころか、
ランチを挟んで2本の映画を見ることにしました。

今ゼミでは、1930年代の、
ジャン・ルノワール監督の7作品を全部見る!
という企画の途中で、
今日はまず『どん底』を見ました。
ギャバンとルイ・ジューヴェの共演で、
わたしも、何十年ぶりかで見ましたが、
十分おもしろかったです。
博士課程のN君も、
「とってもおもしろい!」
と言ってました。
没落してゆく貴族(階級)と、
「どん底」から抜け出してゆく「コソ泥」、
彼らが出会い、意気投合し、信頼し合い、
そしてそれぞれの方向に向かって分かれてゆく、
しかも「コソ泥」には、愛らしい恋人もいる、
というわけなんですが、
これは当時のフランスの、
人民戦線内閣誕生へ、という文脈抜きには、
その意味の深層を考えることはできません。
この時代のルノワールの映画は、
当時の政治状況の写し絵であり、
しかもそこには、過去も、未来も流れ込んでいるわけです。

で午後は、ちょっと息抜きに、
そしてギャバンはよく知らないという修士のT君のために、
今度はジュリアン・デュヴィヴィエ&ギャバンの、
『望郷』を見てみました。
この映画は、もちろん超有名作で、
わたしの世代の仏文の学生なら、
まず見ていると思います。が、
若い院生たちは、見ていないのです。
まあこれは「古典」なので、
とりあえず見ておくことにしました。
当時のアルジェリアとフランスの関係は、
当時のたとえば大連と日本の関係に似ているわけです。
それに気づいていたからこそ、
外地にいるものの心情に寄せて、
『望郷』という邦題も生まれたのでしょう。
(原題は、主人公の名前、Pépé Le Moko。)
完全に映画に、
つまり30年代のアルジェに入り込んでいたわたしは、
映画が終わった時、
自分が21世紀のゼミ室にいるのでびっくりしました。

そんな1日でしたが、
悪くはないですね。

2021年4月24日土曜日

大揺れ

緊急事態宣言が出されることになり、
大学も大きく揺れています。

明治大学では、HPで発表されている通り、
来週から5/5 までを移行期間、
それ以降 11日までをオンライン授業とし、
もし予定通り 11日を最後に宣言が解除されれば、
また対面授業に戻す予定、となりました。
今日は、午後早くに1つ会議があり、
その後、3時過ぎに連絡があり、
午後 20時から臨時 Zoom会議が招集されました。
わたしは会議後も居残って、
英語の先生と話したりもしたので、
終了したのは 23時。
ほかの先生は、
これから配布用の文章を作り、
朝前には一斉送信する、と言ってました。
(ちゃんと寝てくださいね!)

わたしとしては、
対面授業の良さを痛烈に思い出している今日この頃なので、
ちょっとショックなんですが、
この2週間でなんとかコロナが沈静化し、
対面授業に戻れることを祈っています。

それにしても……
インドでは1日30万人の感染が確認され、
(RFI のニュースによれば)
ほとんどの都市が蔓延状態なようです。
また、迫害を恐れ、
あるいは孤独に死ぬのを恐れ、
コロナの検査に行かない人も多いのだとか。
医療用品も完全に足りないと。
そしてインドで広がっている株は、
アジア人に、
今までとは違うフェーズの危機をもたらす可能性があるようです。
これは怖い話です。

夕方散歩に出ました。
風は爽やかで、緑は濃くなり、
美しい季節を迎えようとしています。

現実への対応を具体的に決める会議に出たあと、
でもふと、
長く続く悪夢を見ているような気持になる瞬間が、まだあります。

2021年4月19日月曜日

『麻薬王』

ソン・ガンホ主演の

『麻薬王』

を見てみました。
1970年代を中心に、
韓国・釜山で麻薬王としてのし上がってゆく男の一代記を描きながら、
同時に韓国の近代の一面も提示しようという試みです。
ただ……

ソン・ガンホが出ていれば、
80点は確実に取ってくる、という印象なんですが、
残念ながら、今回は違いました。
物語が説明的で、流れていってしまい、
せっかくのソン・ガンホの熱演が、
空回りしている部分もあったと思います。

主人公が満州生まれ、という設定は、
ちょっと印象に残りました。

『ハイエナ』再び

映画は、2回、3回、4回……
と見ることがありますが、
ドラマは長いので、
なかなか2度見ることはありません。
『不時着』も『梨泰院』も『バガボンド』も、
1度だけです。
(そういえば『ボイス』は、部分的に2度見ましたが。)
で、
初めて、ちゃんと2回目を見てしまいました、
『ハイエナ』を。

「父親殺し」という韓国ドラマの新境地、
みたいなことをちょっと前に書きましたが、
やはり、それは間違いないと感じました。
こまかい俳優の表情なども、
字幕は簡単に見ればいいので、
今回はじっくり見ることができました。
やっぱりよかったです。

さてでは、主役のチョン・グムジャ以外の女性たちはどう描かれているのか、
と考えてみると、
プ弁護士は、対立から共闘へ、とグムジャの生き方に近づき、
グムジャの個人的な助手であるイ・ジウンは、
自分(の人生)を救ってくれたグムジャを深く愛しています。
つまりこの二人は、
独立心も能力も行動力もあり、いい感じです。
(殺されるソ・ジョンファ、彼女の位置が難しい。
ブルジョワ資本家の3男を恋人に持ち、
一方その兄に監禁されることもあり、
また、企業の裏金のための美術品の管理をし、
最後は「父親」に殺される。
「父親」の犠牲者、
「父親」の犯罪の証明者、
ということになりでしょうか?
その近くにいたために?)
グムジャの上司に当たるキム代表も、
堂々としていて、
その分やや(悪い意味で)「男性的」なところがありますが、
構図としてはやっぱり「父親」の一人であるソン代表と敵対していて、
ベタなことを言うようですが、
父性に対する母性を象っているようです。

母性ということで言うなら、
ジウンにとっては、グムジャが母性そのものであり、
ユン・ヒジェにとっても、ある程度はそうでしょう。
彼は、男性で、エリートですが、
物語の終わりには、
つまり彼の2人の「父親」が(社会的に)死んだ後では、
グムジャ的な論理や価値観を生き始めます。
対極にある原理の側に移動したわけですね。

『ハイエナ』、わたしは 95点をつけます。

『復讐者のメロディー』


ベルギー・フランス映画、

『復讐者のメロディー』(2018)

を見てみました。


(まず残念だったのは、この邦題。原題は、

A Bluebird in My Heart   「わたしの心の中の青い鳥」

なのに。
別に直訳しろというわけではまったくないですが、
この、いかにもな感じ&ベタ&無内容&印象に残らない邦題は、
作品を貶めている印象さえあります。
こういう切り口で見せるのさ、
的な手癖が見えて、残念です。)

ベルギーの、フランス語圏の田舎町。
近隣の刑務所を仮出所し、
脚にGPS を付けられているダニーは、
当面の滞在先として月決めのモーテルを選ぶ。
経営している女性は、少女と二人暮らし。
この、特に人懐っこい少女と心を通わせたダニーは、
彼女が暴行されたと知った時、
犯人に対してブレーキをかけることができなくなり……
というお話。

物語は直線的だし、
特別に何かがある、というわけでもないのですが、
見始めると、終わりまであっという間でした。
ダニーが働いているシークエンスも、
少女が出てくるシーンも、
それぞれ魅力がありました。
荒涼とした町の風景も、
ちょっとでてくる犬も、
(まあ、特別な演出ではないにしても)
好感が持てました。
俳優たちもいい。

この映画、あまり話題になった記憶がないのですが、
傑作とは言いませんが、
ちょっとした拾い物、という感じで、
よかったです。

(バーのマダム役で登場する Lubna Azabal は、
完全に見覚えがあるなあ、と思って確認したら、
これらの映画に出ていました。
モロッコ系ベルギー人、なんですね。





どれも、(当たり前ですが)
アラブ系女性の役でした。
印象に残る俳優です。

2021年4月18日日曜日

Paris 2曲

先週の授業で、
「もう一つのフランス語の授業でなにをやった?」
と学生に訊くと、
「歌を聞いた」
とこたえるではありませんか?
「どんな?」
「なんか、古いやつ」
ああ、フランス語の教員としては、つい、
『シャリーにくちづけ』だの、
『あなたのとりこ』だの、
学生が聞いたことがありそうな曲を紹介してしまうのですね。
(わたしもそういう場合があります、もちろん。)
で、
それならということで、
新しい曲(っていうかラップ!)を聞かせました。
何も考えていなかったので、
実は、そんなに新しくない曲を選んでしまったのですが、
それはこれ。


なぜこれを選んだのか?
まあ、好きだからです!

すると授業後、
「あれ、なんていう曲ですか?」
と聞きに来た学生がいました。
気が合いそうです。

で!

今週の「パリ映画」の授業では、
この2曲を見せようと思っています。



前者は、彼ら PNL の自伝的な曲で、
エッフェル塔はパリの、あるいは成功の象徴であり、
そこから、彼らは遠く出身地であるパリ南郊の街、
レ・タルトレを見つめるのです。

後者は、わたしの好きな Doria の新曲。
わたしはこの zone を離れない、
と言ってますが、
彼女はナンテール出身です。

この2曲を見れば、
通常とは違う意味で、
「芸術の都」であると感じてくれるでしょう。

Sécurisé

Dadju でもう1曲。
と言っても今度は、
彼がフィーチャーされる側です。
Dadju って、この位置でもすごく輝く気がします。


こういう曲はすでにありましたが、
それにしても、
ギャングスタ・ラップからすると、やっぱり、
ラップもここまで来たのね~、
と思わされます。
だって、
おれの望みはたった一つ、
おれたちの生活を守ること……
というわけです。
お金も入り、借金も返し、子どももでき、
もうギャングスタではないのです。
(それは、社会性の喪失なのか、
ミドルクラスの安定なのか……?)

Sécuriser nos vies, yeah
Oh oh ah

[Refrain : Dadju]
Tu m'as aimé pauvre, je t'aime encore plus riche
En payant ta dot, je t'ai promis la suite
Par les actes ou les mots, je n'ai qu'une seule envie
Sécuriser nos vies, yeah
Il n'y a que la mort qui me fera mentir
Si Dieu me rappelle, je t'ai laissé mon fils
Par les actes ou les mots, je n'ai qu'une seule envie
Sécuriser nos vies

[Couplet 1 : Rohff]
L'amour prend toujours feu, me déclare pas ta flamme
Mauvais mari devant mauvaise femme
Meilleur rappeur devant mauvais fans
Si j'taime du fond d'mes entrailles, c'est qu'tu ne joues pas de mes failles
T'es mon avion donc je peux fly, ma paix quand j'rentre du travail
Le matériel n'est essentiel qu'pour celles qui n'savent pas faire à graille
Loyal quand j'étais sur la paille, t'as les clés de tous mes bails
Le bonheur est sans complication
Bonne mère donne bonne éducation
Bonne terre donne bonne végétation
Ma graine donne que des beaux garçons
Même au hebs, tu m'as follow, j'ai connu trop de folles
Crois-moi bébé, j'ignore encore comment elles ont eu mon phone Victime de ma célébrité
Vivons à l'abri des regards, leurs cœurs sont noirs mais deux étoiles ne brillent que dans l'obscurité

Tu m'as aimé pauvre, je t'aime encore plus riche
En payant ta dot, je t'ai promis la suite
Par les actes ou les mots, je n'ai qu'une seule envie
Sécuriser nos vies, yeah
Il n'y a que la mort qui me fera mentir
Si Dieu me rappelle, je t'ai laissé mon fils
Par les actes ou les mots, je n'ai qu'une seule envie
Sécuriser nos vies

[Post-refrain : Dadju & Rohff]
Ta famille est sécurisée (sécurisée), la mienne est sécurisée (sécurisée)
Nos enfants sont sécurisés, leur mère est sécurisée
Notre amour est sécurisé (sécurisé), tes rêves sont sécurisés (sécurisés)
Leur avenir est sécurisé, tout est sécurisé

[Couplet 2 : Rohff]
Si t'es mon âme sœur, je donnerai mon cœur mais jamais le mot d'passe
Frère j'suis vrai, j'prends trop les choses à cœur, évite les messes basses
Mort pas la main qui t'as nourri, baffée, tu mérites pas cette place
Tu veux tout manger, tout mélanger, t'auras beau tout cocher, il t'manque une case
Porte-bonheur, porte-flingue
Finis les parloirs, rien à craindre
Le pire est derrière, qui peut nous éteindre ?
Dieu donne à ceux qu'on n'entend jamais s'plaindre
On garde la foi comme Rohingya, sur nous la baraka
J'suis à découvert de love, soit ma sadaqa
Finis d'bruler nos skin dans des sappes et faire la fête
La mentale est hors de prix, aucun riche peut s'payer ma tête
On fera les choses comme il faut, bébé t'inquiète
J'changerai d'fusil d'épaule que tu puisses reposer ta tête

Tu m'as aimé pauvre, je t'aime encore plus riche (je t'aime encore plus riche)
En payant ta dot, je t'ai promis la suite (je t'ai promis la suite)
Par les actes ou les mots, je n'ai qu'une seule envie
Sécuriser nos vies, yeah
Il n'y a que la mort qui me fera mentir (il n'y a que la mort)
Si Dieu me rappelle, je t'ai laissé mon fils (je t'ai laissé mon fils)
Par les actes ou les mots, je n'ai qu'une seule envie (qu'une seule envie)
Sécuriser nos vies (nos vies, nos vies)

[Post-refrain : Dadju & Rohff]
Ta famille est sécurisée (sécurisée), la mienne est sécurisée (sécurisée)
Nos enfants sont sécurisés, leur mère est sécurisée
Notre amour est sécurisé (sécurisé), tes rêves sont sécurisés (sécurisés)
Leur avenir est sécurisé, tout est sécurisé

Tout ou rien du tout

Dadju は好きな歌手です、
ラップでも、いわゆるポップス的な曲でも。
で、
先月アップされた彼の新曲は、
絵にかいたようなラヴソング。
今回もなかなかいいです。


フランスのMV は、
往々にして作りが単純な気がしますが、
この曲の場合、
その単純さがうまくはまった感じ。
燃え上がる天井は、
お金はそんなにかかっていないのでしょうけど、
センスがいいと思います。

paroles は以下の通り。
もう、出だしのところに、
火花が炎になった、
とありますね。

Etincelle dev'nue flamme, pas d'monsieur sans madame
Le monde peut nous haïr, la difficulté m'attire
Rien ne m'éloignera de toi, les gens, les 'blèmes, etcetera
Sans toi c'est même plus possible, comment j'ai fait jusqu'ici ?

J'irai partout où tu iras, chez moi c'est entre tes deux bras
Mille et une manières de l'dire, mais j'préfère te l'faire ressentir
Tu as ma loyauté et mon corps de la tête aux pieds
Avec toi c'est tout ou rien, j'vois pas le verre à moitié plein


[Pré-refrain : Ocevne & Dadju]
Je veux tout de nous
Je veux tout de nous
Tout ou rien du tout
Tout ou rien du tout
Je veux tout de nous
Je veux tout de nous
Tout ou rien du tout
Tout ou rien du tout
Tout, tout
Je veux tout de nous
Je veux tout de nous ou rien du tout

Tu peux perdre la vue, devenir sourd
Pas besoin de m'prouver ton amour
Je peux facilement lire sur tes lèvres (sur tes lèvres)
T'as juste à les poser sur les miennes (sur les miennes)

Tu peux perdre la vue, devenir sourd
Pas besoin de m'prouver ton amour
Je peux facilement lire sur tes lèvres
 (sur tes lèvres)
T'as juste à les poser sur les miennes (sur les miennes)

[Couplet 2 : Dadju & Ocevne]
Montre moi ce que j'aime voir, dans le blanc de mes yeux noirs
Miroir mon miroir, tu reflètes le bien en moi
Tu es mon identité, tu n'as plus à t'inquiéter
Ta place est indélébile (nah-ah)

J'faisais plus confiance aux hommes, t'es l'exception à la règle
J'pourrais parler des heures, parler de nous sans arrêts
Fais-moi dire
 (on va le dire, tu vas le dire) : "Pour le meilleur et pour le pire" (pour le meilleur et pour le pire)

[Pré-refrain : Ocevne & Dadju]
Je veux tout de nous
Je veux tout de nous
Tout ou rien du tout
Tout ou rien du tout
Je veux tout de nous
Je veux tout de nous
Tout ou rien du tout
Tout ou rien du tout
Tout, tout
Je veux tout de nous
Je veux tout de nous ou rien du tout

2021年4月16日金曜日

「次の問いに答えよ」

このツイートがあまりにウケルので、
ついリツイート。

*********************

問1)よしお君を乗せた自動車が、
午後2時に時速40kmでA地点を出発した場合、
80km離れたB地点に到着する時刻を答えなさい。
答) 仮定の質問にはお答えを差し控える。

別解 a. よしお君のプライバシーにかかわるのでお答えは差し控えさせていただきます b. 個別の案件にはお答えしません c. 自動車の定義がありませんので d. いずれにいたしましても到着しているので問題はない e. すでに記録が廃棄されています


************************************

ナイス!

2021年4月14日水曜日

生き返る

月曜日、大学院のゼミと、大学院の授業、
火曜日、パリ映画ゼミとワールド映画ゼミ、
水曜日、1年生のフランス語3コマ、
無事こなし終えました。
学生たちは初々しく、若々しく、
そしてそのおかげで、
キャンパスが生き返りました。
そう、まさに、生き返った、という感じ。
たった1年のブランクでしたが、
ああ、これこそ、生きて「場」となるキャンパスなんだ、
と感じました。

そして廊下での雑談。
英語や中国語やドイツ語の先生たちとの、
授業に関するあれこれの雑談で、
わたしの教員としてのアイデンティティーも生き返ったようです。

そして!
わたしが所属する総合文化教室に、
新たなメンバーが加わったのですが、
彼、佐藤先生は、
元プロのテニス・プレーヤーです。


しかも彼の研究室は、
わたしの部屋の目の前で、
わたしのテニス好きを知っている先生からは、
「またよりによって清岡さんの部屋の目の前とは!」
と揶揄ってきます。
で、今日も、
インパクト時のグリップの握りの強さについて、
教えてもらいました!
わたしがもっとうまかったら、
もっといろいろ教えてもらえるのに、
それが残念です!

そうそう、
学内の感染予防対策は、かなりきちんと施されています。
わたしたちもマスク着用で授業をするわけですが、
これがなんと、思いのほか息苦しい。
話している内に、
なんとなくゼイゼイしてきます。
また、発音練習では、
たとえば rouge なんかを発音すると、
唇がマスクに当たり、
変な音になってしまいます。
どうしましょう。

ともかく、
生き返った「場」に参加できることは、
たしかに一つの喜びです。

2021年4月10日土曜日

対面(でいけるのか?)

先週の木曜から授業が始まっています。
金曜には、Zoom 会議が3つ連続してあり、
すでに授業を終えた先生がたの声も聞きました。
みんな、まだ恐る恐るという感じでですが。
わたしの担当する授業は月、火、水で、
特に水曜は、
1年生の「フランス語」が3コマあります。
1クラス50人以上いますが、
今のところ、ぜんぶ対面を予定しています。

実はここ数年、
基本「フランス語教員」でありながら、
1年生の「フランス語」は1コマだけで、
あとは映画や文学の授業をやっていましたが、
今年度は、久しぶりに3コマ担当することにしました。
わたしとしては、もうずっと対面のつもりなので、
途中で感染状況が悪化し、
「オンラインに変更」になって欲しくないのですが……

今、例の Google AI による感染予想を見てみました。
「東京都」の場合、
4月21日に1000人を越え、
4月29日に2000人(!)を越えることになっています。


大阪や兵庫も感染が広がっています。
兵庫も、人口比で言えば、
東京よりも危険な数字です。
(もちろん、東京の検査数が très limités である印象は強いですが。)

それにしても、
1年前とほとんど何も変わっていないことに、
ちょっと驚きます。
まあ、感染の広がりについては仕方ない部分もあるでしょう。
ただ、病院の整備などは、
改善する時間は十分あったはず。
それをしていないのは、罪が重いと感じます。
新自由主義に汚染されると、
そういう方向には動けなくなるのでしょうか?
小さなマスクを配ったり、
旅行割引をしたり、
聖火リレーをしたりするよりも、
先にすべきことがあると思います。

2021年4月7日水曜日

『ハイエナ』


韓国ドラマ、

『ハイエナ』

見終わりました。


『シグナル』の女性刑事を演じたキム・ヘス、
彼女の別の顔が見たくて選んだドラマでしたが、
これはまさに「画期的」で、
わたしが見た韓国ドラマの中では、
1,2を争う作品でした。

物語の構図はシンプルで、
地べたを這いつくばって生きてきたチョン・グムジャ(キム・ヘス)と、
最高裁長官を祖父(と父)に持つ一家の息子として、
エリート街道を驀進してきたユン・ヒジェ、
この二人が、騙したり、脅したり、対立したり、
激しく対立したり、やがて…… という物語です。

スペクタクルとしてのおもしろさは、
チョン・グムジャの行動力と、
歯に衣着せぬセリフ回しにあるのでしょう。
また、物語の作りとしてもそつがない
(=ツッコミどころが少ない)し、
脇役たちも粒がそろっていて、
それなりに魅力があります。

『ドクター異邦人』が、実質エリートたちの物語だったように、
この『ハイエナ』もまた、法曹界が舞台であり、
やはりエリートたちがほとんどわけですが、
その中心にいるチョンが、
「下品で金に汚い」ことになっているので、
別世界という感じはしません。
また後半、財閥を遇する相続税改正法案に対しての態度から、
彼女の庶民寄りの立場がより明確になります。
いい流れだと思いました。

<以下ネタバレします>

そしてやはりここでも、
「父親」の位置は極めて重要です。
チョン・グムジャの父親は、
絵にかいたようなDV男で、
彼女の母を殴り殺したようです。
もちろん、幼いチョンもまた、深い傷を負います。
一方ユン・ヒジェの父親はエリートで、
息子に、高潔であることの大事さを教え込みました。
この息子は高慢で、自信過剰ですが、
たしかに(ある論理の中では)高潔であろうとしています。
また、特筆すべきは、
こんな正確なのに、
素直なところ、
プライドが無駄に高かったりはしないところがあるのです。
そして……
まあ、込み入った事情があるのですが、
結果として、チョン・グムジャの父親は、
彼女を狙った刺客に殺されてしまいます。
父親は死ぬのです。
彼女は、泣きはしないのです、憎んでいたので。
(憎んでいたけど、
それでもたった一人の父親だから、
みたいな甘ちゃんではありません、彼女は。)
また、ユン・ヒジェの父親は、
ある事件の被告となり、
それは本来認めるべき罪なのですが、
そしていったんは「認める」と息子に約束するのですが、
土壇場で、父親は保身と奴隷根性に寝返ってしまいます。
ユン・ヒジェにとって、
これは父親の死、倫理的な死以外ではなかったでしょう。
さらに彼には、
仕事上の「父親」とも言うべき人物がいるのですが、
彼もまた、まさにユン・ヒジェの働きによって、
家父長的な権力から滑落します。
社会的な死を遂げた、と言ってもいいでしょう。
つまりユン・ヒジェにとっては、
二人の「父親」が死んだことになります。
韓国映画、韓国ドラマを多く見てきましたが、
わたしの知る限り、
ここまではっきり「父親殺し」を描いた作品はありません。
このドラマは、権威主義を、家父長主義を、
情けさえかけず、殺したのです。

キム・ヘスは、
もう数えられないくらいのドラマに出ています。
(映画では、『コインロッカーの女』に出ていました。
これは、映画自体はイマイチでしたが。

彼女の出演作、
もっと見てみたいです。

2021年4月6日火曜日

『ドクター異邦人』

韓国ドラマ、

『ドクター異邦人』

見終わりました。


きわめて優秀な「ドクター」たちの物語なので、
「ブラックジャック」的な雰囲気もあります。

主人公は4人、2カップルだと考えられるでしょう。
最初のカップルはフンとジェヒ。
有能な医師だったフンの父親が、
企みの中で北朝鮮へと追いやられたとき、
フンもまた北へ渡り、
その後の10年ほどをかの地で暮らすことになります。
で、そこで出会ったのがジェヒです。
医学の道を目指す二人は、深く繋がってゆきます。
第二のカップルは、ともに医師であるジェジュンとスヒョン。
スヒョンは大病院の娘で、
アメリカ帰りの「天才」医師ジェジュンは、
(なかなか明かされない過去を秘めたまま)
その大病院のトップを狙っています。
物語は、離れ離れになった第一のカップルが、
第二のカップルが働く病院で再会することで、動き出します……

長いドラマですが、
序盤はまあまあ、
前半から中盤、後半へ向かうあたりは◎、
で、ラストスパートでやや息切れ、
という感じでしょうか。

見ていてすぐ気づくのは、
2つのカップルを形成する4人はみな、
「父親」との関係で、その生を規定されていることです。
これは、韓国ドラマの(儒教的)王道と言えるでしょう。
あるものはその遺言を生きることを願い、
あるものは父親の復讐を果たすことを自分の人生としてしまいます。
(準主役で登場する中年医師もまた、
父親の遺言を生きていますが、
彼の場合、託された遺言そのものが世俗的なものでした。)

では母親は?
これは、父親に比べると圧倒的に影が薄い。
すぐに亡くなったり、ほとんど語られなかったり、
自分の意思を持てなかったり。
となると、2カップルの2人の女性たちがどうだったか、
考え直す必要がでてきますが、
ジェヒについては、愛があり、でも策謀もあるという設定。
ただしこの「策謀」は、あくまでフンのためであり、
自分のためではありません。
そしてスヒョン。
彼女は、自分の気持ちに素直で、
好感の持てる人物として描かれていますが、
それは裏を返せば、お嬢さん的な自由さという面もあり、
またラスト近くのさまざまな言動は、
まあ言ってしまえば脚本家の力量不足というか、
1つのキャラとしての整合性が保たれていない印象もあります。
総じて言えば、
女性たちの描き方は、
男性のそれに劣るということにならざるを得ないでしょう。

ちょっと厳しく書いてしまいましたが、
もちろん、いい場面、いい演出も、何度かありました。
破綻しているようなスヒョンも、
中盤過ぎまでは魅力的でした。
S とは言えませんが、
十分合格ラインには達していると思いました。

2021年4月4日日曜日

ベイスターズ初勝利

NPB が始まり、
もう1週間以上経ちました。
そしてついに、
ついに、
ベイスターズ初勝利です。
おめでとうございます!

そしてこの勝利は、
三浦監督にとっては監督としての初勝利であり、
また先発した坂口投手にとってはプロ初勝利でした。
となると、
ウイニング・ボールはどちらの手に?
というのが気になりますが……

試合後、
ちょっと注意して見ていたら、
クローザーの三嶋投手からボールを渡された監督は、
そのあとすぐ、
ほとんど押し付けるように、
ボールを若き坂口投手に手渡したのでした。
ああ、三浦監督、いいやつじゃん!
見直しました。

(そして坂口投手はそのボールを、
「女手一つで育ててくれた母」に渡すと、
インタヴューで答えていました。)

『ザ・ライダー』

今、『ノマドランド』が話題のクロエ・ジャオ。
1982年生まれという、とっても若い監督です。
で、
彼女の『ザ・ライダー』という作品が、
ネットフリックスで見られるのですが、
その公開が「4月6日まで」となっています。
まだの方は、どうぞお急ぎください!


サウス・ダコタの先住民居留区。
そこに住むラコタ(スー族とも)の人々の物語。
若きブラディ―は、ロデオ中に落馬し、頭蓋骨を骨折、
頭に金属板を埋め込む事故に遭います。
しかし彼は無断で病院を抜け出し、
元の生活、つまり調教師とロデオ乗りという生活に戻ろうとします。
が、指はいうことを聞いてくれません……
そんな彼は、父と、障害のある妹との3人暮らし。
妹の生活は彼が守る以外ありません。
また、彼が兄のように慕っていた、
スター・ロデオ乗りであるレインは、
重大事故の結果四肢が麻痺し、
今は入院してリハビリ中です。
ただ、それでもブラディーには、
馬との生活以外考えられません、
たとえ、次に落馬すれば、
再起不能になるとわかっていても……

正直に言うと、
映画の始まりの1/4くらいは、
どうかな? という感じだったんですが、
その後ぐんぐんよくなり、
終わってみれば、なかなかいい映画でした。
これなら、『ノマドランド』も見てみたいです。

2021年4月3日土曜日

新学期

というわけで昨日は、
総合芸術系のガイダンスが中野キャンパスでありました。
去年はガイダンスができず、
授業も完全オンラインでしたから、
修士の2年生たちにとっても、
みんなで集まるのはこれが初めてです。

ガイダンスと言っても、
事務的なことは別の機会があるので、
ここでは、院生一人一人が、
自分の研究テーマを紹介し、
また教員たちの方も、
研究に対する心構えのようなことを話します。

で、この先生たちの「お話」が、
それぞれ味わい深いんです。
みんな、それぞれの研究分野と結びつけながら、
(ちょっと大げさに言いますが)
世界の現状についての考えを提示するわけです。

わたしは、
個人的記憶と集団的記憶について話そうかと思っていたんですが、
その場で院生たちを見ていて、
話の内容を少し変えました。
わたしが高校生だった頃、ヴェトナム戦争が終わった、
大学生の頃、サッチャーが首相になった、
それぞれについて、もっと深く考えなかったこと、
もっと深く想像をめぐらさなかったことを、
今になって悔やんでいる、
今目の前で起こっている出来事が、
数十年後、思いもよらない大きな意味を持ってくるかもしれない、
だから、よく目を開けて、耳を開いておくこと、
それが個人的記憶になり、
のちに、たとえば国家によって、
フィクショナルな集団的記憶がでっちあげられようとした時も、
それを阻む防波堤になりえるからだ……

今、ワールド映画の授業では、
サッチャー&レーガンの話は必出です。
ほんとに、
もっとちゃんと、
サッチャーたちのことを注視しておくべきでした。

がんばれ、院生たち!