2022年2月27日日曜日

戦争

第二次世界大戦以来、
ヨーロッパにおけるもっとも大きな戦闘、
との指摘がありますが、
まさにそういうことなのでしょう。
自分が生きている日常と地続きの空間で、
今、
戦争が起こっている、
という事実に、驚愕します。

シナリオ
(なんて言い方自体、いいとは思いませんが)
は、ほぼ見え見えで、
NATOもアメリカも出て行かないなら、
その通りになってしまうでしょう、残念ながら。

本来なら、国連軍に期待したいところですが、
こちらも機能不全。
世界の助けを待っているはずの人たちのことを思うと、
言葉もありません。
でもたしかに、
もしアメリカ軍が出ていったら、
はるかに大ごとになるのは明白で、
それはできない……
核で互いに牽制し合う中で、
局所的に侵略が成立してしまうという「安定・不安定の逆説」は、
わがままな権力者にとってはおいしい抜け穴なのでしょう。

大義なき戦争。
ロシアは、彼の暴走を止められないのでしょうか?

ハールズデン


(Google Map から)


イースト・ロンドンの多民族タウン、ハールズデン。
『ホワイト・ティース』
(←絶賛読書中!)
にハールズデンが登場し、ちょっと検索してみると……

おもしろかったのは、
ここハールズデンの小学校で、
かつてあのヴィヴィアン・ウェストウッドが美術の先生をしていた!
という記事。


ヴィヴィアンと(ピストルズと)『ホワイト・ティース』の登場人物たちが、
ハールズデンで繋がりました。
そう、ハールズデンに住んでいるのは、
若い音楽の女性教師です。
まさかと思うけど、
意識してる!?

ゲルギエフよ!

ゲルギエフ、降ろされたんですね。
「シェヘラザード」の指揮は彼が最高だと思っているものとしては、
残念です。


一般論で言えば、
政治的信条を理由に降板させるというのは、
筋違いだと感じます。
とはいえ今回は、戦争、侵略。
それを支持するとなると、
明らかに、いわゆる「政治的信条」の範疇を越えていて、
許容できなかったんでしょう。
テロリズムもそうですが、
越えられない「一線」はあるでしょう。

できれば、ゲルギエフ本人が、
プーチン批判をしてくれればよかったんですけどね。

2022年2月26日土曜日

核兵器

もしウクライナが核兵器を廃棄しなければ、
あるいは、
自前で作っておけば……
という点が話題になっているようですが、
Nobu Akiyama(秋山信将氏?)の twitter が興味深かったです。

*******************************

94年の時点でウクライナの残置されていた核兵器
宇政府単独で管理・運用不可能が不可能だったというのが、
研究及び政策当事者の間のオーソドックスとして定着しているので、
それを覆す論を張る側がまずは論拠を示すのが順番だよなー

例えば、ドイツなどNATOの核共有のメカニズムでは、
米国の核を置いていますが、
核兵器使用の決定は単独で行うことができないので、
NPT上は非核兵器国として扱われています。
もちろん、そこに条約違反だ、というクレームを出す国はいますが。)

さらに、
ブダペスト・メモランダム(覚書)を通じた安全の保証(保障ではない)と引き換えに
ロシアに核を引き渡したというのも、
外形的にはそのように見えるが、正確ではありません。
ウクライナは1990年の憲法で非核化を定め
1992年調印のリスボン議定書でNPTに非核兵器国として加入することを国際法上

ウクライナの場合も、
ソ連邦のウクライナ・ソビエト社会主義共和国に配備されていた核兵器は、
ウクライナ独立後に物理的にウクライナ共和国に置かれたままでしたが、
その核兵器を使用する権限も発射のためのキーもありませんでした。
これは、「核保有」とは言えないでしょう。

ウクライナと核に関して、
なぜか「ウクライナは世界第三位の核保有国だった」という表現が飛び交っていますが、
こういう乱暴な議論はやめた方がいいんじゃないかなと思います。
核保有とは何を意味するのか?
核兵器が所在していたというだけでは必ずしも保有とは言えません。



2022年2月25日金曜日

東京ドーム1136個分の杉林

どさくさまぎれ、
というつもりだとは思いたくないですが。


また見つかった、
何が?
時代錯誤の人たちが。

Tchernobyl など

ウクライナにはチェルノブイリがあります。
観光地化している地域もあるようですが、
まだまだ立ち入り禁止区域もあります。
危険は、完全に取り除かれてはいません。
ロシア軍が、何をするやら……


それにしても、
これっていつの時代?
というロシアのやり口。
もう全部、どこかで見た、聞いたような、
見え透いた作戦。
そしてそれが見え透いていることは重々承知の上で、
なおロシアは侵攻しました。

そして……
NATOもアメリカもそれを止められない。
止められないことを、プーチンは知っている。

アメリカは、ほんとにロシアを SWIFT から締め出すんでしょうか?
プーチンは以前、
「SWIFT からの締め出しは、宣戦布告と同じ」
と言ってましたが。
現時点では、もう遅いのかもしれませんが、
またクリミアのように、
うやむやにされてしまうんでしょうか。
先日も書いたことですが、
中国までこれを真似し出すと、
混乱は世界各地で起きることになるでしょう。

核兵器を持たない国は、独立国家じゃない……
と、プーチンは考えていると言われています。
核廃絶は、人類にはムリなんでしょうか?
理想主義が、マッチョに勝てないなんて。

(そして……
夕方の民放のニュースを見ていましたが、
一通りウクライナ関連の情報を報じた後は、
いつもの「うまいもの巡り」だの、
「激安ショップ」だの……、でした。
それ、今日やる必要ある?)

2022年2月23日水曜日

Poutine "est dans une forme de dérive autoritaire préoccupante"

先日はロシアに渡り、
米ロ首脳会談を実現させたと自画自賛していたマクロン大統領ですが、
あのプーチンに、
あっという間に反故にされ、
まあはっきり言って赤っ恥をかかされることになりました。
大統領選前のせっかくのパフォーマンスを台無しにされ、
今度は激オコ!
それでも自分で言うのはグッと堪えたんでしょう、
Le Drian 外務大臣に言わせました、

Poutine "est dans une forme de dérive autoritaire préoccupante"


欧米(の首脳)は、
世界を、
民主主義と権威主義の対立、
という構造で見ていると言われますが、
autoritaire という単語が使われているあたりに、
それが如実に出ていると感じます。
しかも dérive autoritaire ですから、
「権威主義的漂流状態」→方向を見失った権威主義 
という感じでしょうか。
で、「耐えがたい隣人」なのでしょう。

きわめて緊迫しているウクライナ問題ですが、
もちろん、米ロだけでなく、
独仏、そして中国などの思惑も深く絡み、
目が離せません。
それにしてもロシアは、
19世紀!?
という感じです。
今は静観している中国が、
いつかこれに続かないことを祈っています。

that shake って

今日は、
ネトフリと読書だけで1日を終えました。
いいですねえ、こういうのは。

『ハウス・オブ・カーズ』は、
シリーズ5に突入しています。
さすがにここに来て、
やや展開のスピード感が落ちている気がします。
基本、物語の展開が、ということですが、
今思うと、
人物の掘り下げもまた、
やや立ち止まっているようです。
つまり、
水平的にも、
垂直的にも、
ですね。

で、このドラマを見ていると、
英語ではなんて言っているんだろう、
と気になる箇所がいくつもあるんですが、
英語字幕を出せるので、
つい確認してしまいます。
知らなかった言い回しも多く、
おもしろいです。
つい昨日も、
品がなくて、150%セクハラなんですが、
ある男性が、立ち去ろうとする女性の後ろ姿に向かって、
「いいケツだな」
と言う場面がありました。
そしてその英語が、
この字幕から類推できそうなものにはまったく聞こえないのです。
で、確認すると、

How about some fries with that shake ?

なのでした。
「そのシェイクと一緒にポテトはどうだい?」
くらいなんでしょうが、
この shake、
おしりの「揺れ」と、
飲み物の「シェーク」がかかってるんでしょう。
Mmm...
聞き取れないわけだし、
もしも聞き取れても、
二重の意味だってすぐに気づくのは、
わたしには難しいです……

2022年2月22日火曜日

Fuji

昨日、ちょっと遠出して……


やっぱり、存在感がありますねえ。

2022年2月19日土曜日

『砂漠が街に入りこんだ日』

韓国系のグカ・ハンが、
外国語であるフランス語で書いた小説、

『砂漠が街に入りこんだ日』(リトルモア)

を読んでみました。
薄い本なので、あっという間に読めます。

これは短編集で、全部で8作。
最初は「ルオエス」というタイトルなんですが、
これって……?
と思っていたら、解説によると、
これはソウル(Seoul)のアナグラムで、
となると言ってみれば、
ソウルに似た架空の街、くらいなのでしょう。
(が、読んでいると、
どことなくパリも感じさせるのですが……。)
この短編集全体もまた、
基本的に韓国時代の記憶に基づいているようです。
そしてこれらの作品群は、
これが実に「文学」なのでした。

フランス語で、
こんなふうに韓国のことが書かれたというのは、
それ自体画期的なんでしょう。
ただ、
これは完全に無い物ねだりなんですが、
わたしとしては、
パリやフランスを描いたものが読みたかったです。

『アポカリプス・ベイビー』

ヴィルジニー・デパントの、2010年の小説、

『アポカリプス・ベイビー』(早川書房)

を読んでみました。
シスターフッド小説を読みたかったからです。
(レティシア・コロンバニの作品でお馴染みの、
斉藤可津子訳です。)

この小説のストーリーはシンプルです。
パリの、そこそこ知られた白人男性小説家の娘が、
ある日失踪。
そこで家族が、探偵を雇って探させる、というものです。
ただ、このストーリーには、
とくに変化も、
いわゆる「深まりゆく謎」もありません。
では読みどころは何かといえば、それは、
捜査の過程で登場する、
さまざまな階層のさまざまな人たちの、生活と意見、
これに尽きるでしょう。
経済資本がある層もない層も、
右も左も、
ヨーロッパ系もアラブ系も、
ネオリベも反グローバリズム主義者も、
ホモセクシャルもヘテロも、
ワカモノも老人も。
そして彼らのほとんどが、
社会に対して、あるいは彼らが置かれた状況に対して、
きつい毒を吐きます。
わたしたちは日本でそれを読み、
ああ、こういう屈折、こういう怨嗟がありえるのね~、
という発見があります。
こうした箇所は、たしかにおもしろいし、
フランスに興味があるなら、
読む価値はあると思います。

ただし、小説としてどうかとなると、
ちょっと微妙な気もします。
とても饒舌なんですが、
それが、ただ横滑りして、
深まらない部分も見受けられます。
また、一人称がさまざまに換わるのですが、
となるとやはり、そこに「作家の手」が見える時もあります。
もう一つ、実質の主人公である二人の女性が、
あくまでわたしにはですが、残念ながら、
それほど魅力的に感じられないのです。
ステレオタイプというか、
やはり作家の作り物っぽいというか。

でもたしかにこれは、
シスターフッド小説ではあるのでしょう。
それが読みたかったわたしとしては、
満足しています。

「ハウス・オブ・カーズ」・シーズン3

というわけで、シーズン3まで見終わりました。
半分まで来たことになります。

今回の3は、
後半、ほんの少しだけ重くなりますが、
それはそれでいい感じ。
主人公である、大統領のフランクと、
ファースト・レディーであるクレアの関係が、
いわば、薄皮が剥がれていくように、
その「正体」を現わし始めています。
彼ら自身さえ、それに気づいていなかったのです。
そして、3の最後では、
ついにクレアが「覚醒」したかのように見えます……

もちろんこれだけの長さがあるドラマなので、
第2、第3のストーリーも同時に流れていて、
そのそれぞれがスリリングで、
ちゃんとメインのストーリーにも絡んでいるところが、
この作品の優秀さです。

こんなに長いドラマ、
おそらく2度見る時間はないでしょうから、
じっくり味わって見ています。

2022年2月17日木曜日

公聴会

というわけで、修士論文公聴会、
無事終了しました。
今年は4人が発表したんですが、
そこで扱われていた題材は;

・ベンヤミンと建築
・『北京的西瓜』(大林宣彦)と『書を捨てよ街へ出よう』(寺山修司)
・村上春樹と大江健三郎
・藤枝静男

でした。
これらを、それぞれに工夫された角度から切って見せてくれたわけです。
力作揃いで、よかったです。

それにしても、なんというか、
わたしたちの世代にとって、
懐かしい顔ぶれが揃った感があります。
(ベンヤミンだけは、「懐かしい」なんておこがましいですが。)
とりわけ『書を捨てよ街へでよう』は、
1971年の作品で、
当時わたしは中学生。
で、たまたま買った映画雑誌で、
この映画と、
『闇の中の魑魅魍魎』が特集されていて、
子ども心に「なんだかすごいな~」と思った記憶があります。
もちろん、
その時は雑誌で眺めただけで、
見てはいないんですが。

藤枝を始め、いわゆる私小説は、
学生時代かなり読みました。
(まあ、当時の文学部の学生は、みんなそうだったと思います。
藤枝が私小説作家かどうかはともかく。)
葛西善蔵、好きでした。
もちろん大江も読みました。
『われらの時代』には、かなりショックを受けたのを覚えています。
今はスレテしまったので、
あの頃のようには感じないんでしょうけど。

なんだか、ワカモノたちが、
彼らの時代、のものではなく、
わたしたちが馴染んできたものを研究しているのは、
不思議な感慨があります。

院生のみなさん、お疲れさまでした。

2022年2月16日水曜日

2016の「ふらんす」

「webふらんす」の twitter が、
この写真をアップしてくれていました。



2016年。
この連載、わたしもとても楽しくて、
毎号張り切って書いていました。
とはいえ、いつもうまく書けたわけではなかったのですが、
ある時、
自分としては「これはうまく書けた!」と思った回がありました。
で、
そのときは、
いつもは厳しい同僚(というか、先輩ですが)が、
「今回はいいねえ!」
と言ってくれて、
今でも覚えているくらい嬉しかったです。

修士論文

先週は、
大学の雑用がぎっしりで、
なかなか落ち着いて何かをするということができませんでしたが、
今週は、
というか明日ですが、
今度は修士論文公聴会があり、
ずっとその準備にかかっていました。
準備、といってもそれは、
つまり論文を読んでおく、ということなんですが、
言及されている映画なども確認するので、
おもしろいですが時間もかかります。
で、
やっとさきほど準備ができました!


2022年2月15日火曜日

『ハウス・オブ・カーズ』・シーズン2


まで終了して、
今もう、
シーズン3の途中まで来ました。
Mmm...
これ、なかなかすごいです。
ぜんぜん緊張感が下がらない。
長くかかる、うねるような物語が複数あって、
それに絡まるような感じで、
比較的短い物語も次々語られていきます。
新たな人物が投入されたり、
あるいは、あの時のあの人がここで復活したり。

たしかに登場人物たちは、
それぞれに「問題」がありそうです。
でもそれは、
いわば計算された設計で、
決して彼らを高く掲げようということではないのでしょう。
その冷静な演出にも好感を抱きます。

このどらまの特徴の一つは、
折に触れて、
主人公であるフランクが、
カメラに向かってつぶやきかけることです。
「せっかく狼になれるチャンスだったのに、
彼が羊を選ぶとはね」
とか。
そして場合によっては、
単に目配せだけのことも。
もうこれはあからさまに、
視聴者に共犯関係を迫ってきているのです。
そしてわたしたちは、
なにか自分が特別な場所にいるかのような錯覚に陥り、
それはそのまま、
ドラマに没入することにも繋がっていくのです。
もちろん、
この手法自体は、すごく特殊というほどではありませんが、
ここでは、
それがとてもうまく機能しているように思います。

先は長いですが、楽しみです。

2022年2月14日月曜日

「異なる人々と接触し、それを通じて自分自身も変わっていくような生き方」

この記事、おもしろかったです。


正直なところ、
かつては、そんなにピンと来なかった思想家なのです。
が、
この記事はおもしろいと感じました。

2022年2月12日土曜日

『PARADISE TEMPLE』刊行記念 [管 啓次郎 朗読会]

YouTube で見られるなんて!!

Manon est en forme.

マノンは元気です。
午前中は窓辺で、


日向ぼっこしたり、
そのあと、クローゼットに隠れたり。

で、夜になると、
ソファで一緒にドラマを見て、
そのままそこでうたた寝です。


可愛いです♥

2022年2月11日金曜日

子音と母音とギター

中途半端な話なんですが……

先日、若い「音(信号)」の研究者と話していて、
(彼は、エド・シーランやスピッツ(!)が好きだって言うんですが)
おもしろいなと思ったこと、
それは、
人の声は言葉なので、子音と母音があり、
それは「音」として違うわけだけど、
たとえばギターの「音」は、
ぜんぶ母音。
つまり、
歌う時の抑揚や揺らぎみたいなものは、
子音と母音の分離を基礎にしているので、
それはギターの場合とはまったく違う、
というのです。

何の気なしに歌ったり弾いたりしてますが、
「音」で言えば、
そんな感じなんですね。

「で、音ってなに?」
「う~~~ん、粗密波ですかね、3Dの」
なるほど……

2022年2月6日日曜日

『ハウス・オブ・カーズ 野望の階段』・シーズン1

このところ、アメリカ・ドラマ

『ハウス・オブ・カーズ 野望の階段』

を見ています。
さっき、シーズン1を見終わったところです。
監督はデヴィッド・フィンチャーです。


このドラマ、
ある記事で触れられているのを読んで、
おもしろそうと思って見始めたら、
ほんとにおもしろいのでした。
ただ、
記事を書いたライターとわたしでは、
「おもしろい」と感じている点が違うようではありますが。


ホワイトハウスとその周辺を舞台にしているので、
基本、権力闘争ものであるのは間違いないでしょう。
中心にいるのはある上院議員フランク(ケヴィン・スペイシー)と、
ある団体を率いているその妻クレアです。
そこに、野心ある女性ジャーナリストや、
彼女のことが好きな同僚、
アル中気味の新人議員やその恋人、
フランクの右腕、
クレアにスカウトされた環境保護活動家、
そしてもちろん大統領や広報官なども関わってきます。

このドラマを見ていて、
そもそもドラマを見るということは、
映画を見ることよりも、
むしろ小説を読むことに近い気がしてきました。
ドラマの時間は、映画のそれとはまったく異質。
(そういえば、山田太一もそんなことを言ってましたが、
つくづくそう思います。)
ネトフリがこんな値段で見られるとなると、
小説はなかなか厳しい競争を強いられていることになります。
もちろん、言うまでもなく、
小説にはそれ固有の価値があって、
そのまま「等価」なわけではまったくありませんが。

『ハウス・オブ・カーズ』は、
シーズン6まであります。
先が長~~~~~いです!

『覚醒するシスターフッド』

今日の午後、近所のマルゼンに行って、
十数冊、本を買いました。
『バグダードのフランケンシュタイン』とか、
韓国人女性がフランス語で書いた小説、
『砂漠が街に入りこんだ日』とか、
カナダの大物、マーガレット・アトウッドによる、
『侍女の物語』のスピンオフ、『覚醒』とか。
そしてそれ以外にも、
『わたしたちに手を出すな』、
ネトフリにドラマもある『クイーンズ・ギャンビット』、
パリを舞台にした『アポカリプス・ベイビー』
なども買ったんですが、これらは、
この本を読んだ影響もあります。

『覚醒するシスターフッド』

これは、日本&海外作家による短編のオムニバス。
全部で10編あり、
1冊の本として、
とてもおもしろいと感じました。
ちなみにわたしは海外の3編、
「リッキーたち」、
「ケンブリッジ大学地味子団」、
(アトウッドの)「老いぼれを燃やせ」、
が特におもしろかったです。

なぜか昔から、
「シスターフッド」
には惹かれてきました。
ここ2年くらい?でしょうか、
「シスターフッド」という言葉を見る機会が増えて、
わたしにとっては、情報も増え、
喜ばしいことです。
先日読んだこの詩集、


の中にも、
まさにそういう、いい詩もあったし。

さて、どれから読むかな……

2022年2月4日金曜日

「わきまえない女」は今

このインタヴュー、よかったです。


****************************

日本という社会は、女性の類型を

「何でも許してくれるお母さん」か「何にも知らないお嬢ちゃん」

しか認めない。

「声をあげるおばちゃん」が本当に疎ましいんだと思う。

これまで発言の機会を奪っておきながら、

みんなが声を上げ始めれば

「なにムキになってるの?」「それはジェンダーの問題じゃないよ」

と議論をすり替える。

 男を赦(ゆる)し、癒やすだけの存在でいては、

アホな女のふりをしていては、

何も解決しないから、

私たちは怒りを言語化するようになった。

***************




2022年2月3日木曜日

『イカした人生』

MFFF 5本目、

『イカした人生』(2020)

を見てみました。
ベルギー映画です。
(原題は La vie démente 。
dément は意味が多様ですが、
オックスフォードによれば、
基本は mad, insane で、
文脈によっては fantastic や amazing にもなると。
Petit Robert には、familier として、
extraordinaire もあるので、
ここではその方向で訳しているのでしょう。)


夫婦がいて、そろそろ子どもをもとうとしている矢先、
夫の母親の「ぼけ」が始まり、
しかも急速に悪化していく中で、
夫アレックスは、子どもを持つ自信をなくしていき、
もう、生活の大部分が母親の世話に当てることで、
そのほかを顧みなくなり……
というお話。

もちろん、死と生を巡る物語で、
ほどけていく生としての死、
はリアルに伝わってきます。
アレックスは、視野は狭いけれども善人で、
その妻ノエミは聡明な人。
彼女が、この映画を救っているように感じます。

1つ、これは日本とは違うなと思ったのは、
ノエミとその両親が待っているところに、
病状が進んだアレックスの母親が、
紙パンツだけ付け、
上半身は裸で現れる場面。
この事態に、ノエミも両親も、
さらにはアレックスも、
なんだか、微笑ましいいたずらでも見つけたみたいな反応をするのです。
あわてて怒ったり、
極端に恥ずかしがったり、
隠したりとかいうのではなく。
もちろん、
これによって周囲の心理状態も表現されてはいるのでしょうが、
なかなか日本だとこうはならないような。

佳作、という感じでしょうか。

La Fracture

これ、見たいです。


思えば、fracture sociale という言い回しが聞かれ始めたのは、
もう20年も前のこと。
この頃、「社会的分断」とは、
グローバリズムの恩恵を受けられる層と、
受けられない層の「分断」だったわけです。
そして基本的構図は、
今も変わらないのでしょう。

フランスでは、3月16日、DVD発売です。

2022年2月2日水曜日

Jeanne CHERHAL : "Je vais faire mon cinéma"

RFI のニュースによれば、
Jeanne Cherhal が、
映画音楽だけを集めたコンサートを開いたと。

彼女は言っています。

« Je me suis rendue compte que j'avais un film intérieur, 
des images qui me reviennent. 
Certains films donnent à des musiques une autre dimension. 
C'est fou à quel point cette mémoire sensorielle est très forte. » 

インタヴューと、演奏場面(ちょっとだけですが)がありました。


フラ語の「ゴッドファーザー」。
初めて聞きました!

2022年2月1日火曜日

『スキャンダル』

ちょっと気分転換にアメリカ映画を。
というわけで見たのはこれ。

『スキャンダル』(2019)

公開時は、
カズ・ヒロの特殊メイクが話題になったのでしたね。


FOXニュースを舞台とした、
経営者ロジャーたちのセクハラと、
それを告発するに至る女性アナウンサーたちの物語です。
ロジャーとトランプが仲良しなのが、
現代的な装いをもたらしています。

見終わった時の印象は、
煮え切らない……
でした。
女性たちの訴えは認められ、
それなりの結果も出るのですが、
あくまでそれは「それなりの」であり、
なにか、革命的な変化ではまったくないのです。
それをリアルと呼べば呼べるのかもしれませんが、
この映画を作るなら、
そこが着地点じゃないようにも感じます。

そして物語に入っていきづらいのは、
基本、<FOX>的価値観に貫かれた世界の話だから。
登場人物はほぼ全員、保守系で共和党寄りなわけで……。
(もちろん、政治的立場の如何に関わらず、
セクハラを受けてもいいなんてことは、
1000%ありませんが。)

また、この手のアメリカ映画に「あるある」の、
機関銃のようなセリフ回しもやや気になりました。
まあ、それほど重要な内容を持ったセリフでもないのですが、
スピード感を出すためなのでしょう、
必要以上に速くて、
聞かせる気がないんじゃ? とさえ感じました。

アナウンサーたちを演じた3女優はみんな大物。
シャーリーズ・セロン、
ニコール・キッドマン、
マーゴット・ロビー。
マーゴット・ロビーはこの翌年、
ハーレイ・クインになるわけですね。
彼女らは、それぞれに存在感がありました。
(ただやっぱり、脚本そのものが弱い……)