2023年6月30日金曜日

ナンテール

38歳の警官が、
制止を振り切ろうとしたクルマの運転手を射殺。
殺されたのは、17歳の少年、ナエルでした。
出回っているヴィデオを見ると、
その時点でクルマは止まっていました。


警官は、ひき殺されると思った、
と言っていますが。

ナエルの母親が、
抗議集会への参加を呼びかけ、
それが、かなり大規模な抗議運動に発展し、
フランスの各地に飛び火しています。
当初、沈静化のために動員された警察官は2000人ほどでしたが、
今は40000人になっているようです。


警察の暴力に反対する団体も、
もちろんこの抗議活動に加わっています。

ムバッペは、こう言っています。


そしてオマール・シーは


マチュー・カソヴィッツは


たしかに、『憎しみ』から約30年経ち、
状況は変わっていない……

2023年6月28日水曜日

管啓次郎×堀江敏幸、BIG対談

青山ブックセンターでのBIG対談、
行ってきました。

なんというか、すべて揃って、とてもいい会でした。
聴衆はみな耳をそばだて、
その張り詰めた空気の中、
お二人の声=言葉が四方に広がってゆく……
照明も空調も適切で。
そしてもちろん、
声=言葉の内容が、繊細で深い……
お二人によって生きられたものの重さが、
その言葉の背後に宙づりになっているかのよう。
なにかの先端に触れた気がしました。

ちなみにお土産は、
表参道駅のジャン・フランソワ、のバゲット。
これ、好きです。

2023年6月25日日曜日

ワグネル

ずっと気にかかっているウクライナ戦争。
昨日は、大きな転回がありました。
ワグネル、及びプリゴジンが、
<coup d'État> を起こした模様だという報道です。

ワグネル(ワグナー)については、
よくわかりません。
ただ、シリアやスーダン、そしてマリなどでも、
イスラム勢力と戦闘を行ない、
その無法ぶりはひどかったと言われています。

ワグネルがロシア国軍に勝てる見込みは、
ふつうに考えればないのでしょうが、
ただ、軍の内部に「味方」が多くいるなら、話はちがいます。 
とはいえ、万が一プリゴジンがプーチンの位置を簒奪したとしても、
状況がよくなるかどうかは分かりません。

第一に願うことは、
この機に乗じて、ウクライナの contre-offensive (反転攻勢)が、
うまくいくことです。

ロシアが内戦になり、
あるいは分裂し、
世界の情勢が変わってゆく可能性があるのでしょう。

それにしても、
BBCもCNNもすごく報道してます。
日本の報道は遅いし少ない。
そもそも日本には、ニュース・チャンネルがないし。
これで大丈夫……?

2023年6月23日金曜日

仏検

先週の仏検を受検したみなさん、
いかがだったでしょうか?

一昨日のフランス語の授業の後、
一人の学生(1年生です)が、
質問にやって来ました、手に仏検4級の問題を持って!

1年生は、まだ finir だの quand だのをやっている段階なのに、
もう4級受けた!?

で彼の質問は、ある仮定の文の、主節の動詞の形についてでした。
どうして仮定法(条件法のことだと思います。)にならないのか、
というわけです。
でもその文は、反実仮想ではないのです。
未来に関わるふつう仮定。
なので主節は、直説法単純未来形でいいのです。
ああ、そっかー!
と言ってましたが、
自分でそこまで勉強したんですね。

合格できたかな!? 

Pas mal.

1ヶ月ほど前、
今年度から始めている授業パターンについて書きました。


で、
それが今どんな感じかというと……
わりのいいんじゃないでしょうか!

学生たちには、可塑性というか対応力というか、があり、
最初はきっとメンドーだと感じたと思いますが、
慣れてくれば、
そこでちゃんとした質問も出るようになってきて、
彼らは自覚してないでしょうが、
わたしから見たら、成長していると感じます。
ちょっと詰め込みすぎなのは分かってるんですが、
半期の授業なので、
その間に少しでも成長してもらおうと思うと、
ついいろいろ要求してしまいます。

でもやっぱり、
学生の成長が感じられると、
嬉しいものです。


夏至@ストーンヘンジ

夏至でしたね。

フランス2のニュースでも、BBCでも、
ストーンヘンジのこのイベントが紹介されていました。


1年の内、この夏至の日だけ、
中には入れるのだと言っていました。

日が長いのは大歓迎ですが、
もう、これから短くなり始めるのかと思うと、
はやくもちょっとさびしい気もします。
でもまあ、夏はこれから!


2023年6月19日月曜日

管啓次郎 × 堀江敏幸トークイベント

来週、火曜です!


「管啓次郎 × 堀江敏幸」なんて、
めったにない豪華顔合わせですね。

2023年6月18日日曜日

『アメリカン・リポーター』

劇場未公開で、アマプラにあった

『アメリカン・リポーター』(2016)

を見てみました。
ティナ・フェイが主演で、
マーゴット・ロビーも出ています。


(これ、アマプラのと字幕が全然違います。
アマプラの方がいいと思います。)

舞台のほとんどはアフガニスタン。
ネトフリの紹介文は

人生に行き詰まったアメリカ人女性レポーターがアフガニスタンへ。
慣れない従軍取材に戸惑いながらも、特ダネ探しに奔走するうち、
本当の自分を再発見していく。

ああ、さすが、うまい。
特に最初の行が、いわゆる「ログライン」になっていて、
こんなログラインがあったからこそ、
製作が決定したんだろうなと想像します。
ハリウッド的。

映画は、最後まで見ましたが、
構成がゆるいというか、
物語の「展開」が多く、
「転回」が少ないというか。
また、アフガニスタンが舞台ですが、
つまりは「アフガニスタンのアメリカ人」の物語で、
アフガンの人々は背景です。
でもまあそれはそれとして、
マーゴット・ロビーが出てるのに日本で公開されなかったということは、
興行側が、
この映画は日本ではウケナイと判断したということなんでしょう。
アフガニスタンは、
そうでなくても「忘れられた戦場」なので、
動員力は弱いと。
(それが当たっているかどうかはともかく。)

印象に残ったのは、
ラスト近く、
NYに戻るヒロインと、
かつて彼女の通訳をしていた現地の男性との別れの場面。
彼女は、「アメリカならハグなんだけど」
と言いますが、彼はまったくそんな素振りは見せません。
アフガニスタンで、人前でそんなことをしたら大変です。
そして彼は、そっとスーツケースの把手を握り、
それを彼女の方に少し押しやります。
で、彼女もその把手を掴んだとき、
二人の手が、わずかに触れあうのです。
数瞬、二人は手をどけません。
なかなかいい別れの場面でした。

2023年6月17日土曜日

仏検

明日は仏検ですね。
東京の会場は青学のようです。
で、都心は32度の予想。
受験生のみなさん、
水分補給しながら、
Bon courage !!

青学といえば……

わたしが学生の頃ですが、
青学に行った友だちが、
学食がおいしいから食べに来ない?
と言うので、行ってみたことがあります。
味のことは覚えてないんですが、
そのとき友だちは、
カノジョを紹介してくれました。
有名政治家のお孫さんでしたが、
お高くとまったところはまったくなくて、
とてもいい感じの人でした。

友だちとそのカノジョには、
その後も何度か会いました。
二人は結婚して、
でもうまくいかなくて、
わたしはカノジョに相談され、
朝まで話したことも……

その後二人との連絡は途絶え、数十年経ちました。
それぞれに、
元気で、
楽しく、
やっていてくれればいいと思っています……

いやいや!
仏検の応援するつもりが、
こんな話しに。

青学と言えば、
同級生に青学の先生がいます。
仏文科の同級生なんですが、
彼女は英語の先生です。
卒業後、アメリカに留学して、
英語方面の博士号までとったと聞いています。
すごいですね~

トポスとしての青学。
無数の物語が生まれた場所に違いありませんね。

2023年6月16日金曜日

『スティルウォーター』

今や有名人となりましたが、
わたしにとっては『扉をたたく人』の監督&脚本家である、
トム・マッカーシー。
彼の最新作である、

『スティルウォーター』(2020)

を見てみました。
(一昨日見たマット・デイモン繋がりです。)


この映画、「映画」としてはなかなか掘り出し物でした。
英語とフランス語が混じっている感じもおもしろいし。

マルセイユで刑に服している娘、
アメリカにいるその父親は、
面会のために時々マルセイユを訪れます。
そしてあるとき、それは刑務所に入って4年経っていたのですが、
娘は自分の無実を証明できる道筋があると言い出すのです。
けれども、弁護士はまったく取り合わず、
父親は単独で、「捜査」に乗り出します。が……
というお話。

父親役であるマット・デイモンは、
高校中退で荒れた生活をしてきたわがままな男、ですが、
今は信心深い、娘を思う父親です。
そして彼は、マルセイユに滞在する中で、
ある母娘と仲良くなります。
特に9歳の娘とは、
英語とフランス語で話が通じないのに、
とても気が合うのでした。
(映画的には、この少女がかわいくて、ほっとします。)
この二人、ヴェロドロームにOMの応援にも行くのです。

ただし……
かなり強烈な批判もあります;


2007年、イタリアのペルージャで起きた、
イギリス人留学生の殺害事件にヒントを得ており、
しかも、無実となった人物を、
犯罪に加担した人間として描いている、というのです。
Mmm、これは、どうなんでしょう、
わたしにはすぐには判断できません……

そう言えば、
馴染みのフランス人俳優たちも出演しています。
『最強のふたり』のイヴォンヌ役の、アンヌ・ル・ニ、
強面のムーサ・マースクリ、
そしてカミーユ・コタンは英語が上手でした。

2023年6月14日水曜日

『ジェイソン・ボーン』

『シタデル』がイマイチだったので、
ここは口直し(?)に、
まずまず期待できるシリーズから、

『ジェイソン・ボーン』(2016)

を見てみました。


「ボーン・シリーズ」の雰囲気に、
ああ、これだよね、
という感じ。
安定のおもしろさです。

しかも今回は、ヴァンサン・カッセルも登場。
CIAの若手の女性を演じたアリシア・ヴィキャンデルも、
かっこよくて、でも浅はかでもかる感じをうまく出していたし、
『ザ・ディプロマット』でとてもよかったAto Essandoh も出ていて、
これはちょっとうれしかったです。
(『ザ・ディプロマット』の時の方が、ずっといいですが。)

『シタデル』とは、雲泥の差でした。

2023年6月12日月曜日

『シタデル』

アマプラで公開されている

『シタデル』

のシリーズ1を見てみました。
(シリーズ2は来年。)


主演は、今や有名俳優になっているリチャード・マッデン。
(わたしには、『エターナルズ』より、
こちらの印象の方が強いですが;


相手役は、ボリウッドのスター、
プリヤンカ・チョープラ-。
驚いたことに(と言ったら失礼かもしれませんが)
彼女のアクションはカッコイイのでした。
存在感もあるし、
「似たタイプ」の女優はすぐに思い出すない感じ。

で……

スパイもので、
前半(エピソード3くらいまで)は、
ちょっとワクワクさせられる感じでよかったのですが、
後半に入り、
ちょっと「理に落ちる」展開が増え始め、
同時に、種類の違う回想が頻繁に入り、
混乱し始めました。
いや、混乱まではいかないですが、
前後関係を理解するのに頭を使うため、
楽しんでいられないというか。
またオチも、ちょっとあざといし、ちょっと唐突だし、
だからといって So what ? なものだと感じられました。

もっと単純な物語でいいから、
もっと見せ場を。

2023年6月10日土曜日

Colombie : 4 enfants retrouvés sains et saufs

このニュースを見たとき、
アアッ! 
と声が出てしまいました。
ほんとによかったです。



この子どもたちが生きているんじゃないか?
というニュースが出て、
大規模な捜索が始まった1ヶ月ほど前、
フランスのニュースでは連日大きく報道され、
コロンビアの人たちはもちろん、
ニュースを見た人はみんな、祈るような気持ちだったと思います。
ただ、その後、見つかったという報道はなく……

そして今日、この知らせ。
ほんとによかったです!!

Merci !

先日、上智で行なわれた仏文カフェ、
参加頂いた方お二人から、
お葉書を拝受しました。
お二人とも、二年連続で来て頂きました。
ありがとうございました!

「フランスには?」
とのご質問がありましたが、
今年の夏は、コロナ前以来、
久しぶりにパリに行く予定を立てています。
どのくらい変わっているのか、いないのか。
楽しみにしています。
(あまり期間は長くないんですが。2週間弱?)

また、授業で紹介した『サンバ』をご覧になられたというお話も。
あの時も言いましたが、
『サンバ』の1つのポイントは、
サンバが収容所で知り合いになったジョナスでしょう。
ジョナス=ヨナ、は、
神の命令に背いて船に乗ったところ、
まあいろいろあって海に落ち、
そのままおおきな魚(鯨?)に飲み込まれ、
その腹の中で三日三晩を過ごした後、
改心し、陸に吐き出されます。
で……
この「三日三晩」後の「復活」の物語は、
イエスの復活の原形だという説もあるくらい。
そしてその「復活」の観点で『サンバ』を見ると、
なんと、ジョナスはほんとに水(サン・マルタン運河)に落ちるんです。
ただ、その「復活」の仕方には、
ヒネリが効いていて……
好きな映画です。

とりあえず、
お手紙を頂き、ありがとうございました!

2023年6月6日火曜日

Manon a tiré la langue.


シャッターを押したら、
ちょうど舌をペロリ!

『ジョン・ウィック 2』

『1』を見たので、
一応、と思って『2』を見てみましたが……

特に見所もなく、
ストーリーが分かりきっているのはいいとしても、
それを生かすこともなく、
何の新味もなく、
これはなんだったんでしょう?

またもや、殺人だけは、
おそろしく大量に行なわれました。
もう『3』は見ないでおきましょう。

2023年6月5日月曜日

失格!?

開催中のフレンチ・オープン、
加藤未唯選手、これで「失格」というんですが……


プロの世界の常識が分からないので、
あくまで素人意見ですが……

加藤選手が故意にぶつけてるわけじゃないのは、
誰の目にも明らか。
で、
これは言いにくいですが、
泣くほど強く当たってないような。
(痛かったというより、驚いたんでしょうけど。)
そしてこの video のコメント欄には、
英語やフランス語で、
加藤選手を擁護するコメントがズラッと並んでいます。
(抗議して加藤選手を失格に追い込んだ相手選手への "shame on you" と並んで。
たしかに、それはそう。)

ただ、わたしたち素人は、
相手にボールを渡すとき、
決してノーバウンドでは渡さないのも事実ですが。
(それでも、加藤さんの打ったボールは、
少なくとも避けられないようなスピードではないし、
繰り返しますが、
そんなに痛くないだろうと思います。
もっと強いボール、何度も体に当たってますが、
少なくともわたしは、なんでもありません。)

加藤選手、残念でした……

2023年6月2日金曜日

『ジョン・ウィック』

『Mr. ノーバディ』の脚本を書いたデレク・コルスタッド、
製作のデヴィッド・リーチは、
『ジョン・ウィック』シリーズを手がけたコンビでした。
で、
遡って、まずはその第1作を見てみました。

『ジョン・ウィック』(2014)

絵に描いたようなジャンル映画で、
宣伝文を見ただけでストーリーは誰でも分かります。
悪の稼業から足を洗っていたジョン・ウィック。
ただ、彼の愛妻が亡くなり、
彼女の最後のプレゼントにして彼の希望でもあった子犬が殺されたとき、
ジョン・ウィックは、
復讐のため、あの世界に戻っていきます……

見せ場はアクションなんでしょう。
主演のキアヌ・リーブスは若くて元気です。
ただ、なんと言っても、
殺される人の数が多い。
たぶん、100人以上は殺されています。
ジャンル映画とはいえ、
殺し過ぎだと思います。

そして話しの構造は、
『Mr. ノーバディ』ととてもよく似ています。
もちろん、それはなにも問題ありませんが。
そしてわたしは、
『Mr. ノーバディ』のほうが好きでした。

とりあえず、
『ジョン・ウィック』の2も見てみましょう。