2022年12月31日土曜日

『海炭市叙景』

佐藤の小説を原作とした、
いわゆる「函館3部作」。
順に

『海炭市叙景』
『そこのみにて光り輝く』
『オーバー・フェンス』

の3本です。
2作見たので、3本目も見ることにしました。
(順番的には、3,2,1の順で見たことになります。)
で、今回見たのは、

『海炭市叙景』


3作の中では、
いわゆるストーリー的には、一番ゆるく作られていますが、
もともと「叙景」とあるので、
むしろ当然と感じられました。
わたしはこういう感じ好きです。
(小説の場合の、
断章形式まではいかないんですが。)
そして多くの登場人物たちの中には、
例の、
壊す男と壊れた女、
も登場します。
ただここでは、男も女も、
それについての自覚が(おそらく)ない。
そこが、他2作と決定的に違うと感じました。
つまりこの作品の人物たちは、
自意識が低めというか。
そこもわたしは好きでした。

また、父親と息子、という組み合わせが、
少なくとも4組、登場します。
(父親であり、子でもある人物も1人います。
それが壊す男です。)
そして、なんということでしょう、
どの父子もうまくいっていません。

(『そこのみにて~』にも登場した場所は、
すでにこの映画で撮られていました。
螺旋状の階段。
大きな電光の広告。)

そしてこの映画では、
汽笛の音も良かった。
(まったく調べてませんが、
汽笛がよかったというコメントは、
多分とても多いのだろうと想像しています。)
わたしたちなどは、
つい『ペペ・ル・モコ』のラストを思い出してしまいますが。

というわけでわたしは、
3作の中ではこれが一番好きでした。

(小林薫、『ふぞろいの林檎たち』から、
ほとんど変わらないなあ、
と思いました。)

2022年12月30日金曜日

「朔太郎と歩く」

生田キャンパス内で行なわれた

「朔太郎と歩く」展

無事終了しました。
(コロナ禍で、一般の入場はできませんでしたが。)

中は、こんな感じです。


いいですよね!

で、「朔太郎と歩く」という冊子も作りました;


わたしもここに、詩を寄稿しました。
わりと長い詩で、
こんなに推敲したのは初めて、
というくらい直しました。
(もう、最初の形がなくなってしまうくらい。)

というわけで、2022年の記念に、
ここで発表してしまいましょう。
朔太郎の言う「群集」と、
今の渋谷の「群集」は同じじゃない、
という詩です。
長いですが、よろしければ。

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これはきみの群集ではない

 

私はいつも都会をもとめる

都会のにぎやかな群集の中に居ることをもとめる

                   (「群集の中を求めて歩く」)

 

米粒をはらはらと膝に散らしながら

倦み果てた若い人は

半ば閉ざされた目蓋の裏に映写する

遠き東京の明らむ街路

その日陰に陶然とたゆたう群集の浪に

爪先立ちで

溺れ込んでゆく甘い夢を

 

聖なる売淫はしない

(私の魂は空席じゃない)

植民地に君臨する神父はいない

(群れの「方角」は知らない)

浪は街路を塞いで横たわる

春の腫れぼったい海星にも似た

ヴィジオネールな巨体となって

まだ明るんだままの空の下

半透明なその輪郭と二重写しになった

うつろな女たちが

うろんな男たちが

ほの白く火照る街路の底を

言葉の形で歩いて行く

 

美しい東京

家郷を憎むものとして

西欧の異都に降り立てなかったものとして

若い人はやわらかい指を弄びながら

街の夜に裏切られる

もつれた足で凭れた真っ青な扉は

廃れた暗い廻廊に続き

じめじめした胎内めぐりのその果てにこそ

家郷はうずくまっていたのだから

 

米粒を膝に散らせ

食慾は口中を濡らす

桃色に輝く若い歯茎に指先が触れたとき

滲み出た血の味が舌を刺したとき

若い人の内に沸き上がってきたものは何か?

それをこそ聞きたかった

聞いてみたかったのに

 

さあ

これが二十一世紀

スクランブル交差点の宙空には

今夜も稲妻がひしめく

(軋む音が聞こえるだろう)

傾ぐ突端に堰き止められたものたちは

見えない竜巻が吹き上がる谷底へと

一斉に鎖を解かれる

渋谷の谷を旋回する靴音

影と影は翻り

透過しては交じり合う

(色彩の海が生まれる)

孤独は

ささやき声の火花のように騒ぎ立つ

あるいはチェンバロの

息もつけないフーガのように

影たちは動き続ける

とりどりの花弁を体内に宿して

その背中で燃えている声

呼び寄せる声

(遠くから、ここへ)

とめどなく湧き出るものたち

押し寄せてくるものたち

殺到してくるものたち

見よ

これはきみの群集ではない

さざめきではなく叫びだ

微光ではなく熱波なのだ   

 

群集の背に乗って

渋谷川を渡れば

もう家郷は見えない





『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』

今年の5月に公開された

『ドクター・ストレンジ/マルチバース……』

を見てみました。
まあ、気分転換ということで。


話は、いつも通り(!)やや分かりにくいです。
いわゆるMCU
(マーベル・シネマティック・ユニバース)
も、ここまで複雑化してくると、
ちょっとフォローしきれません。
特に今回は、「悪役」となったスカーレット・ウィッチの過去が、
ドラマ『ワンダヴィジョン』で説明されているようで、
これをまだ見てないので、
今ひとつ思い入れができないのでした。
(映画ならまだいいんですが、ドラマだと、
かなり時間がかかり、追い切れない……)
またわたしが、アヴェンジャーズ系より、
X-MENシリーズのほうを好んでいることもあります。

ただ、この映画のポイントの一つは、
ものすごいパワーを持った少女が、
ヒスパニック系だという点でしょう。
その名も、アメリカ・チャベス。
劇中では、「アメリカ」を呼ばれ、容姿はもちろんヒスパニック。
ここに、新しいナショナル・アイデンティティーの提示を見ることは、
不可能じゃないでしょう。
(ただし、この映画内では、彼女はまだまだかなり受け身。
最後に少しだけ意思を見せますが、
まだ一人前じゃなく、その後修行に入ります。)

今年もあと2日!

『そこのみにて光り輝く』

原作小説について、
先日見た『オーバーフェンス』とともに、
いわゆる「函館3部作」の1本、

『そこのみにて光り輝く』(2014)

を見てみました。


これ、構造は『オーバーフェンス』とよく似ています。
つまり、
壊れた女と壊した男、
の恋愛です。
そしてこの二人の周囲には、
さまざまな顔ぶれが配されています。

よくできてるし、
たしかにいいショットもあると思います。
ただ、特に後半が、
ちょっと失速した感がありました。
2時間の作品ですが、
あと20分くらいは短くてもいいような気も。
いいショットがある分、
意味ではなく、ショットを見せたいんだろうな、
と感じられる部分が目に付き、
そこでの時間が長すぎると感じられたわけです。

菅田将暉はとてもよかった。
『ああ、荒野』もよかったですが、違う意味でよかったです。


池脇千鶴もよかったんですが、
彼女に対する演出が、
その着せられている衣装も含めて、
性的存在であることの指示が強すぎるかもと感じました。
(セックス・シーンも長すぎるし。)
で、主役が、いまひとつピンと来ませんでした。
なぜこの俳優を選んだのか?
わたしには、魅力が感じられませんでした。

ただ、この映画は函館の話なんですが、
ある普遍性を感じたのも事実です。
どんな国の、どんな地域にも、
こういう物語が潜んでいるという感じはしました。
その意味では、成功作なんだろうと思います。

2022年12月29日木曜日

『息の跡』

日本のドキュメンタリー作品、

『息の跡』(2017)

を、
これは先週の大学院ゼミで見てみました。
(院生の推薦による選択です。)
見終わったときに、
ああ、いい映画を見たなあ、
という気持ちになりました。


なにしろ、
主人公である男性が魅力的。
カメラも、距離を変化させながら、
でもつねにいい距離で、彼を追って行きます。
無駄に意味ありげなショットなどはなく、
なんというか、誠実だと感じました。
小森はるか監督、ほかの作品も見ようと思います。

(少し、日本映画を見る量を増やそうかなと思っています。)

2022年12月28日水曜日

『シー・ハルク:ザ・アトーニー』

ディズニー+ のドラマ、

『シー・ハルク:ザ・アトニー』

を見てみました。
なかなか波に乗れない弁護士のジェニファーが、
ある交通事故を起こしたとき、
従兄弟であるハルク(!)の血に触れてしまい、
彼女もまたシー・ハルクになる、というお話です。


女性のスーパー・ヒーローものですから、
とりあえずわたしは「合格」にしちゃう(!)んですが、
実際いろいろおもしろい点もあります。
中で、なんといっても目立つのは、
このドラマの強烈なメタ感です。
『デッド・プール』も『ハウス・オブ・カーズ』も『フリーバッグ』も、
主人公が画面越しにわたしたちに話しかけてきます。
これはおもしろかった。
でも今回のジェニファー/シー・ハルクは、
話しかけてくるだけじゃなく、
物語世界とは別の「現実」(ドラマの制作部とか!)に入りこんで、
「現実」の人間達と話したりもするんです。
(ここで「第四の壁」なんていう言い回しも使われますから、
あきらかに意識してこんなことをやっているわけです。)
で、わたしたちはそれを見るわけですが、
こうなってくると、これはフィクションと現実の二重構造ではなく、
三重構造になっているのが分かります。
つまり、現実と、「現実」と、フィクションです。
こういうものそれぞれにも名前はあるのでしょうけど、
わたしは知りません!

『クルエラ』もそうだったんですが、
女性が内包する二層性、
みたいなことがテーマの1つになっています。
『クルエラ』の場合、
それは「型破りだけどやさしい娘」と、
「強烈な才能を開花させる自己本位な女性」です。
(ただ、後者が最後「やさしく」なるのが、ちょっと日和ってるかも。)
そして『シー・ハルク』の場合は、
「がんばってるに報われない善良な女性」と、
「強烈な能力を獲得した善良な女性」でしょう。
こちらは、後から獲得した能力であること、
そしてキャラがもつ価値観は変わらないこと、
が、『クルエラ』とは違います。
この辺、詳しく比較すると、
もっとおもしろいかもですね。

2022年12月26日月曜日

『クルエラ』

ディズニー映画の『クルエラ』、
院生がこれについて書きたいというので、
見てみました。
『101匹ワンチャン』の前日譚で、
悪役のクルエラの誕生秘話、だそうです。


エマ・ストーンは役に嵌まっていて、
物語も一応おもしろいと言っていいと思うんですが、
(オイディプスの物語の女性版で、
それにヒネリを加えたという感じではありますが)
ただ、時間の進み方が単調で、
ちょっと必要以上に長い気がしました。
往年のヒット曲
(パープルありクイーンありストーンズあり……)
を流すために、
その部分での物語の進行がほぼ止まるので、
それもあるのでしょう。
もっと緩急が欲しいところです。
あとは、クルエラが「悪い」女ってことなんですが、
そんなに悪くもない。
なんかもっと、もっとキレタ感じも欲しかったかな。

2022年12月24日土曜日

Paris résonne

ちょっと古いですが。

橋の手すりなどにクリップを付けて、
音階が出るようにして、

『キャン・ユー・ヒア・ミー』saison 2終了

モントリオールを舞台にしたこのドラマ、
Saison 2 まで見終わっています。
明らかに続きがあるんですが、
まだ 3 は見られません。
早く見せて!

ヒロインは3人。
アダは、イタリア系の売春婦の娘で、
父親は誰かも分からず、
自分もときにはそれ的なことでお金を稼ぎ、
とにかく怒りっぽくて、直情径行。
そしてすごく、友だち想い。
白人のカロは寡黙で、本が好き。
でもDVの父親に育てられ、
(ということは、仲良しである母親もまた、
DVのパートナーと暮らしているわけです)
今のカレシもひどいDV。
でも「愛し合ってる」って思ってる……。
ファブはアフリカ系の、大柄な女性。
姉がヤク中で、幼い娘をほったらかすので、
彼女がその子の世話をしています。
とても大切にして。
敬虔なクリスチャンで、歌がとっても上手。

そして3人それぞれが、
男問題を抱え、
それ以外の問題も抱え、
うまく未来を描くことができない、
社会のシステムからこぼれ落ちてしまった女性なのです。
(『わたしは、ダニエル・ブレイク』のケイティのように。)

あまり出番は多くないですが、
実は第4の女性もいます。
アダが通っているクリニックの、
若くてきれいで、
いつもかっちりしたスーツを着ているセラピストです。
彼女は、ビジネスライクに見えて、
彼女なりにアダに親身になっているように見えます。
Saison 3 で、彼女の出番が増えればいいなと思っています。
(でもそもそも、配信はいつ!?)

2022年12月22日木曜日

4兆円

4兆円の「防衛増税」だという話が、
1月ほど前に唐突に浮上しました。
この先まだ2年半以上選挙がないわけですから、
今は、まあ、自民党の一番本音が出る時期なんでしょう。
どうせ選挙の頃には忘れてるだろう、「あんな人たち」は、
というわけでしょうか。

日本のすべての大学の学費を無料化するために必要な金額は、
3兆円
だと言われています。


『オーバー・フェンス』

昨日のゼミではもう1本、
佐藤泰志原作、山下敦弘監督、高田亮脚本の、

『オーバー・フェンス』(2016)

も見ました。
2016といえば、『シンゴジラ』と『君の名は』の年です。


これはもう、いい映画だったな、という余韻が残る作品でした。
離婚して、東京から函館に戻った男は、
大手ゼネコンをやめた今、
職業訓練校に通っています。
「壊れてる」と自分を呼ぶ若い女性は、
昼間は遊園地(動物園?)で、夜はパブで働いています。
この二人が、
奇妙な出会い方をし、
奇妙は関係をもつれさせていく物語です。
ただ、二人にとって関係を深めることは、
そうでしかなかった、と感じられてきます。
そこが、いい映画である理由なんでしょう。
印象的なエピソードもいくつかあるし。

ラスト近く、ラスト近く、
女性が、動物園の動物たちを逃がそうとするシークエンスがあります。
けれども、ハクトウワシだけは、
その鉄格子のケージから出ようとしないのです。
そしてその格子の向こうには、
あの男の顔が見えるのです。
男もまた、囚われているのです。
でもなにに?
それは、家族や、愛や、親子とも呼ばれることのある、
深い「幻想」のようにも見えてくるのです。

『マイレージ・マイライフ』

ジョージ・クルーニーが、
リストラの宣告を代行するという、
なんというか地獄のような仕事をする会社で活躍する映画、

『マイレージ・マイライフ』(2009)

を、ゼミで見てみました。
この映画を選んだのにははっきりした理由があるんですが、
それは、

『fimlmaler's eye   映画のシーンに学ぶ構図と撮影術』

という本の冒頭で紹介されていたあるエピソードを、
実際に試してみたかった、ということなんです。
そのエピソードとは、
著者が映画仲間たちとこの『マイレージ・マイライフ』を見たとき、
映画の評価はさまざまだったものの、
一番いいショットは?
という質問に対しては、全員が一致したというものです。
そして、ゼミでもそれを見て、
同じ結果になるかどうか、
試したみたのです。

結果は、おもしろいものでした。
わたしは、2つのショットが特にいいと感じました。
Mくんも、2つのショットが。
Nくんは、1つのショットがよかったと言いました。

もちろん、本と同じになるのが「正解」というわけじゃありません。
それはもちろんそうなんですが。

わたしとMくんの「2つ」は、同じショットで、
その内一方が、本で示されているモノでした。
そしてNくんが挙げたのは、
わたしとMくんの、本じゃない方のショットと同じだったんです。
つまり、3人は、同じショットを挙げていたわけです。

ちょっとびっくりしました。
そのショットは、いわばサブストーリーに関わるもので、
まったく派手なものではなかったからです。

映画好きって言うのは、こういうものなんでしょうか?

2022年12月19日月曜日

Presque !

午前3時、なんだか、120分の激闘の後にしては、
少しあっけない終わりでした……

前半が終わったときには、
このまま終わるんじゃあまりに……と思いましたが、
さすがにそんなことはありませんでした。
2-2 に追いついたあのシュートは、
素晴らしかったですね。
でも、まあ……
とにかく、最後の試合まで、
つまり一番多く試合を見せてくれました。
お疲れさまでした。
(今日学生と話したら、
さすがに見てる人が多かったです。)

(それにしても、あの表彰式でのマルティネスの振る舞い。


フランスのネット民たちは、
「刑務所に送れ」だの、
「トロフィーを剥奪しろ」だの、
かなり憤慨しています。
特に、あそこがイスラム圏であることを考えると、
とんでもなく破廉恥と言わざるを得ないでしょう。
かなり残念。
アルゼンチンのためにも。)

2022年12月18日日曜日

「ジェンダー格差の改善を阻むものとは」

大学のHPで紹介されていたこの記事、
知っていたけど知らない概念で、
勉強になりました。


そしてわれらが大澤先生も!


「ポスト」とは言うけれど、
フェミニズムはまだまだ役割があると感じています。

2022年12月17日土曜日

Ça ne m’intéresse pas 💥

ベンゼマのインスタが話題ですね。


興味ない、っていうわけですが、
問題は、Ça が何を指しているか、です。
体調は回復した、というニュースもありますが……

2022年12月16日金曜日

激突!

それにしても……
フランス vs. モロッコ、おもしろかったですね。
ムバッペやグリーズマンのプレーはもう1試合見たいし、
モロッコにも勝って欲しいし、
どちらを応援したらいいのかわからないまま見てましたが、
やっぱり、2点目、
あの密集地からあのパスを出すムバッペには、
感嘆しました。
(これでベンゼマがいたらどうなってたんでしょう!?)

明日の夜はモロッコを応援します。
(クロアチアもゼンゼン嫌いじゃないですが。)
明後日の夜は、体調を整えて、がっつり見ないと!
メッシとムバッペがワールドカップであたるなんて、
しかも決勝戦だなんて。
こんなものが見られるとは!

(ただ、ウクライナのニュースも毎日見てるので、
完全に浮かれることはできませんが。)

2022年12月15日木曜日

Douce nuit

今日の東京は寒かったですね。

12月に入り、
1年生のフランス語は条件法も登場し、
終わりが見えてきました。
で、
以前一般向けのフランス語講座で、
授業の後にクリスマス会をやったときには、
みんなでDouce nuit (きよしこの夜)を歌ったのを思い出し、
授業でもやってみることにしました。

この歌、歌詞が何通りもあるみたいなんですが、
使ったのはこれです;


Douce nuit


Douce nuit, sainte nuit 

Dans les cieux ! L’astre luit.

Le mystère annoncé s’accomplit.

Cet enfant sur la paille endormi,

C’est l’amour infini ! C’est l’amour infini !

 

Saint enfant, doux agneau !

Qu’il est grand ! Qu’il est beau !

Entendez résonner les pipeaux

Des bergers conduisant leurs troupeaux

Vers son humble berceau ! Vers son humble berceau !

 

C’est vers nous qu’il accourt,

En un don sans retour !

De ce monde ignorant de l’amour,

Où commence aujourd’hui son séjour,

Qu’il soit Roi pour toujours ! Qu’il soit Roi pour toujours !

 

Paix à tous ! Gloire au ciel !

Gloire au sein maternel,

Qui pour nous, en ce jour de Noël,

Enfanta le Sauveur éternel,

Qu’attendait Israël ! Qu’attendait Israël !


で、このままだと1年生には難しいので、
ヒントも付けて宿題にしました。
こんな感じです;

cieux cielの複数形。詩的な表現。(意味は単数と同じ。)

luit luire(輝く)

s’accomplit < s’accomplir (実現する、起こる)

Cet enfant sur la paille endormi ←通常の語順ならCet enfant endormi sur la paille ここは、前の行と脚韻( [ i ])を踏むために、語順が変わっています。

Qu’il est grand ! Qu’il est beau ! <Que +節 !>は、感嘆文。

Entendez résonner les pipeaux 命令文。通常の語順ならEntendez les pipeaux résonnerで、<entendre +モノ+動詞原形>=「モノが~するのを聞く」。ここでは、les pipeauxに、後に続く2行が全部かかっていて長いので、順番が入れ替わっています。

conduisant < conduire の……?

C’est vers nous qu’il accourt ←○○構文(c’est que ... という形です。)

accourt < accourir(「(~の方へ)駆けつける、走ってくる」

En un don sans retour !  en は前置詞で、ここでは「~として」。

De ce monde ignorant de l’amour ここは、2行下のRoi から繋がっています。Roi de ce monde ... ということです。詩なので、音の数を合わせるために、語順が入れ替わっています。

ignorant  もともとは動詞 ignorer の……?(今はもう形容詞扱いです。)

Où commence aujourd’hui son séjour 通常の語順なら、Où son séjour commence aujourd’hui

Qu’il soit Roi pour toujours ! <Que +接続法 !>で、祈願文です。soitは、êtreの接続法現在形です。

Roi  ふつうにroiといえば「王」のことですが、ここは大文字で始まっているので、固有名詞です。(絶対的な)「王」という感じ。

Qui pour nous, en ce jour de Noël, / Enfanta le Sauveur éternel  pour nous en ce jour de Noëlは、それぞれ挿入句なので、カッコに入れて考えてください。

Enfanta enfanter(「(作品・子どもなどを)産み出す」)の単純過去形。訳としては、ふつうに過去でOK。文頭のQuiは関係詞。先行詞はciel=sein。(同じモノを言い換えているだけなので、単数とみなしています。)

attendait attendre の○○形。

Israël ここでは、古代のイスラエル王国のこと。ダビデ王、ソロモン王の後、良き王が現れなかったイスラエルでは、メシア(救世主)の到来が待たれていたました。

ただし、キリスト教において「イエスがキリスト(=メシア)であるのは、彼が王の権力をもってこの世を治めるからではない。自ら僕(しもべ)として苦難の道を歩み、十字架による処刑の死にまでわたされることによって、人間の罪を贖(あがな)い、罪からの解放、救いを人々に与えた。この点にキリスト教的メシア思想の特質がある。」(コトバンク)


そこそこ親切で、
そこそこ不親切、
つまりある程度調べないと分からない程度のヒントにしてあります。
できるかな?

2022年12月11日日曜日

「中央フリーウェー」

明日の「東京詩」の授業では、
ユーミンの「中央フリーウェー」が登場します。
で、授業プランを確認してたんですが、
流れとしては、

64  東京オリンピック
70  大阪万博
73  オイルショック
74  日本初のコンビニ
76  「中央フリーウェー」/中央高速と首都高連結
77  「渚のシンドバッド」「勝手にしやがれ」
78  「勝手にシンドバッド」/池袋サンシャイン・シティー開業
79  「テクノポリス」/渋谷PARCO「デザイナーズ・ブランド」
80  「TOKIO」
83  ディズニーランド開園

という感じかな、となりました。
キーワードは「消費」と「世界へ」。
前者は、コンビニからDCブランドを経て「TOKIO」へ繋がる流れ。
後者は、五輪~万博
(というのは、都市が国際デビューするときのお決まりのコース。
ただし万博は「大阪」でしたが)
から、Yellow Magic
(「テクノポリス」は、トキオ、という坂本龍一の言葉で始まる)
の席捲、そしてやはり「TOKIO」からディズニーランドへ、という流れ。
で、ジュリー&糸井の「TOKIO」だけは、
2つの流れを両方飲み込んでいるように見えるわけです。

という感じの授業でいきたいと思います!
(この時代は、自分が学生だったので、
リアルに体験していて、話しやすいですね。)

2022年12月9日金曜日

『キャン・ユー・ヒア・ミー』

ネトフリのドラマ、

『キャン・ユー・ヒア・ミー』(2020)

を見始めました。
これ、このタイトルを見るとまったく気づきませんが、
フランス語の映画です。


無体はモントリオール。
3人の女性たちの物語、なんですが、
この3人が、それぞれ個性的。
とりわけ主役のアダは、
売春婦である母親と暮らし、
自分も、お金がなくなると売春をし、
また、アンガー・マネージメントのためにクリニックに通っています。
(で、そこの女性医師が気に入らないので、
隙を見てその医師の観葉植物の鉢で用を足します!)

というわけで、ほんとに下品極まりないドラマなんですが、
意外なのは、3人の女性たちが、
ストリートで歌を歌って稼ぐこと。
歌、うまいんですね。
特に、アフリカ系の女性が。

この後どうなるか心配なので、
ちゃんと見守ってあげることにします(!)

『すずめの戸締まり』

院生がこの作品について語りたがる(!)ので、
一応、(あまりアニメは得意じゃない)わたしも見てきました。

『すずめの戸締まり』

です。


で、
さっき院生に送ったメールはこんな感じ。

(ネタバレ、というほどじゃありませんが、
でも、少しバレます。注意!)

*****************

『すずめ』、見てきました。見てる間はなかなか楽しめたんですが、なにか言おうとすると、言いにくい感じがしますね。それは1つには、ストーリーの曖昧さがある気がします。一番分かりにくいと感じたのは、猫たちです。どういう存在なのか? なぜ「猫」なのか?また、白猫の視点でこの物語を見直すと、けっこうきびしい悲恋ものですよね? それはどうかんがえればいいのか?また、「常世」には、あらゆる時間が存在すると言っていて、時系列を無効化してしまうのがちょっとビミョーな気も。ロードムーヴィー的なところ、冒頭、いきなり物語を始めるところ、絵のクロースアップとワイドの切り替えがリズミカルなところ、などは「いい」とは思うんですけどね。

*************************

続きはゼミで話すことになるでしょう!

2022年12月8日木曜日

しわす

12月に入り、
あわただしい日々になってきました。
授業も残り数回で、
最後の着地地点を見定めながらの授業だし、
修士論文の予備登録は始まるし、
来年度の大学院の受験希望者への対応はあるし、
博士課程の院生の論文チェックはあるし、
12月末が締め切りの原稿はあるし、
来年度の担当授業のシラバスの作成は、明日が締め切りだし!
まあそうは言っても、
今日の午前中にテニスするくらいの余裕はあるんですが。
(ランチには、久しぶりに、ピザ屋さんで、

「アボカドとスモークサーモン わさび醤油風味の豆乳クリームソース 生スパゲッティ」

を食べました。
やっぱりおいしい!)

そして4月刊行予定だった新書は、
1ヶ月早まって、
3月刊行になりそうです。
先月は新しい教科書ができて嬉しかったですが、
新書もまた楽しみです!
今、イラストも入れたらどうかな、
なんて話しています。
ただ新書は、スペースが限られていて……

2022年12月3日土曜日

「朔太郎と歩く」

できました!


わたしも詩で参加しました。
タイトルは、

「これはきみの群集ではない」

です。
「きみ」とは、朔太郎のことです。

2022年12月2日金曜日

デンベレ

ちょっと古くなってしまいましたが、
そう言えば先週、
このヴィデオの字幕を起こし、
和訳とヨミガナをつける、
という宿題を、
1年生のフランス語のクラスで出しました。


ただこのヴィデオ、

L'Allemagne vient de perdre contre le Japon.

の直前に、字幕のない1文が入っています。
(正確には「文」ではないですが。)
5語です。
学生に聞き取りを挑戦してもらいましたが、
ちょっと難しかったようです! 

ヒントは、今回最初に起きた波乱です。

総合芸術系「成果発表会」

今日は、
総合芸術系の芸か発表会がありました。
これ、コロナのために2年間対面ではできなかったのですが、
あらためて「対面」でできて、
やっぱりよかったな~、と感じました。

発表は、
木村伊兵衛、
増村保造、
ジョン・ケージ、
クリムト、
岡本太郎、
などが登場し、
変化に富んでおもしろかったです。
これ以外に、
作業療法と芸術、
みたいなのもあり、
さすが「総合芸術系」と思ってしまいました。

そして対面だと、
しばしば指摘されるように、
聴衆の反応というものが目の前にあり、
発表者もそれに呼応する部分が当然あるわけです。
ああ、雰囲気みたいなものって、
こうやって醸成されるのね。
来年も、ぜひ対面で。

『ホーム・フォー・クリスマス』シーズン2終了


ノルウェーのドラマ、

『ホーム・フォー・クリスマス』

シーズン2まで見終わりました。
やっぱりこれは、
わたしの好きなタイプのドラマで、
最後までおもしろかったです。
やや「甘い」というか、「ロマンチック」というか、
そういうところもあるのですが、
他の部分がリアルで、許せます。
『フリーバッグ』の北欧版、という感じもしますが、
あそこまで挑戦的ではないかな。

次は、今人気の、『ウェンズデー』にしようかと思っています。

2022年11月28日月曜日

『ホーム・フォー・クリスマス』

先日ここでもご紹介した「芸術羅針盤」で、
お話をしてくれた大澤先生から教わったドラマ、

『ホーム・フォー・クリスマス』

を見ています。
こういうの好き。
おもしろいです。

舞台はノルウェー。
30歳で看護師で、独身&恋人なしのヨハンネ。
ただ彼女の母親は、
韓国ドラマに出てくる母親たちに似て、
結婚こそが娘の「幸せ」だと信じて疑いません。
(困りました。)
で、仕方なく、
ヨハンネはいい男捜しをするんですが、
目の前に現れるのは、
これでもかってくらいダメンズばかり。
で、このダメンズぶりが笑えるというか。
そしてまたヨハンネ自身の(日本的に言えば)「奔放さ」も、
見ていて気持ちいいです。

シーズン2まであるので、
しばらく(食後は)楽しめそうです!

2022年11月26日土曜日

マーラー・マラソン

先日の勤労感謝の日、
この日は天気もイマイチの予報だったので、
もう前日から1日仕事をしようと決めて、
実際1日がんばりました。

で、その間、
ちょっとやってみたかった「マーラー・マラソン」を、
個人的に開催してみました。
といっても大したことではなくて、
仕事している間ずっと、
マーラーの交響曲を1番から順に聞いていく、
ただそれだけです。
で、どこまでいくのかな? と思ったら、
7番の第3楽章まででした。
まあ、7~8時間は仕事したことになりますが、
なんだか、もっとやった気もするんですが!

このマラソンの続き、もちろんいずれやります!

2022年11月23日水曜日

「芸術羅針盤」第1回!!

同僚の大澤先生、
修士課程の谷山さんに、
多大なるご協力を頂いて、
ついに完成しました。

われらが総合芸術系が順次発表してゆく、

「芸術羅針盤」

第1回です。
よろしければ!


2022年11月22日火曜日

古川日出男『天音』、本日発売!


現代日本を代表する作家の一人、古川日出男。
彼にとって初めての詩集が、
今日、発売になりました。

アマゾンでも、明後日から発売開始のようです;


この詩集の紹介文はこんな感じ。

******************************

閉塞の日本を飛び出して小説家が旅をする。天の音を聞き、見届けるために。圧倒的な1007行。現代日本最大の小説家、初めての詩作品。小説家・古川日出男が空白に挑戦した。
空白とは、詩。
COVID-19状況の閉ざされた日々を脱出し、カリフォルニアへ、イタリアへ。
「さあ、歌ってゆこう」
の掛け声とともに始まる1007行は、驚くべき滞空の試みとなった。
著者初の本格的な詩作品は、天の音を聴きとりつつ歴史と惑星をさまよう。

「天には半島があって
天には大陸があって
天には孤島もあって
その孤島の岬には いろいろな生き物が訪れる
倍音は訪れる?

ダンテがウェルギリウスにみちびかれたように、
宮沢賢治と吉増剛造の詩魂にみちびかれて、
作家にまったく新しい創造のフェーズが訪れた。
必読の書き下ろし長篇詩。

******************************

ここに「最前線」がありますね。
これから、体調のいいタイミングを見つけて、
みっちり読んでみます。

2022年11月20日日曜日

『ランジェリー・イン・シネマ』

という本を読み始めました。
まさにタイトル通り、
映画の中の、
ランジェリーが登場する場面にフォーカスしたエッセイ集です。
見ている映画でも、
そんなランジェリー着てた!?
と思ってばかり。
それほど、そういうことを気にしてなかったのを感じます。
こういう注目点もあるのかと、
教えられた気持ちです。

で、
アマプラで無料の『007  スカイフォール』にも触れられていたので、
さっそく再見して、
ランジェリー・イン・シネマをチェック。
その場面では、たしかに美しいランジェリーが登場するんですが、
こちらの感性ないしリテラシーが足りないためか、
むしろ本の中で紹介されている場面、
というかランジェリーというか、
のほうが、魅力的に感じます。

雑誌のコラムをまとめたようなので、
1本1本は短いです。
もっと長く書いて欲しい、
と思いましたが、
とにかく、わたしにとっては新しい視点でした。
紹介されている映画をぽつぽつ見ながら、
読み進めます。

2022年11月17日木曜日

『ロスト・ブレッド2』

先日見た『ロスト・ブレッド』の『2』が
(ネトフリに)あったので見てみました。

これが……、おもしろくない。
というか、レベルが低い。
ストーリーもありきたりだし、
俳優も生かされていない。
(本来はいい俳優なのに。)
それが端的に出ているのが、
かなり長いカーチェイス。
もう、何十年前?
という感じの演出で、
見飽きた&子供だまし。

いくらB級とは言え、
もうちょっと勉強して撮って欲しいと思いました。

『ジャック・メスリーヌ』

大学院ゼミでは、
わたしにとっては十数年ぶりで、

『ジャック・メスリーヌ 社会の敵N.1』

を見てみました。
第1部と第2部、
合わせて4時間、
2週に分けて見ました。

以前、第1部について、
こんな風に書いていました。
(もちろん、自分でも内容は忘れていました。)


そして第2部もまた、
おもしろいのでした。

いや、おもしろいんですが、
なぜそう感じるのか?
まず、画面に緊張感がある。
長い映画なわけですが、
その時間の流れの背後に、
フランス社会の戦争~70年代がはっきり横たわっている、
最小限のセリフしかない、
説明ではなく、行動を通して物語は提示される……
という感じでしょうか。

特に「戦後」に関して言えば、
まず、ジャックの父親は、
戦争中、ヴィシー政権に加担していた。
(ジャックはそれを恥じ、
小市民である父親自身は、仕方なかったと弁明する。)
ジャックは、アルジェリア戦争で当地に送られ、
そこで上官から、捕らえたアラブ人女性を殺すように強要される、
そしてジャックは、彼女ではなく、
容疑者であるその夫を射殺する。
(これが、ジャックの中の何かを壊したのは明らか。)
また、映画のラスト近くに登場する極右の記者は、
ちょうどその時期、
つまり1961年頃、
パリでのパポンが指示したアラブ人虐殺を賛美する。
Vive la Québec libre !   が登場する……
というわけです。

そして、極左のテロリスト、シャルリの存在も見逃せません。
一時、ジャックとシャルリは行動を共にします。
ジャックに「思想」はありませんが、
彼なりの「論理」や「信条」はあるのです。
つまり、襲うのは銀行や金持ちだけ。
これは、大衆から搾取を続ける奴らよりマシ。
また、仲間は決して裏切らない。
この2つです。
もちろん実際には、
まともな市民生活を送れない性分であり、
時には女性たちにも手を上げ、
必要のないところで殺人を犯したりするわけなので、
愛すべき人物などとはとても言えませんが、
ある種の「魅力」(虚構の人物としてなら)があるのは事実でしょう。

ギャング映画として、
かなりいいデキだとわたしは思います。
まあ、ヴァンサン・カッセルの存在に負うところは、
間違いなく大きいですけど。

2022年11月14日月曜日

総合芸術とは何か ―場所と意識、そのあいだを往還する芸術へ

先週の土曜にあったシンポジウム。
YouTube で見られます。


わたしは会場で聞きましたが、
たしかにおもしろかったです。
「場所」「芸術」
などに興味があれば、
間違いなくおもしろいと思います。
ぜひ!

ちなみに、
最初に登壇する大澤さんとわたしの対談(?)が、
もうずぐアップされる予定です。
その時の話題は、たとえば映画『パレードへようこそ』です。
宮川さんのお話は、
ふだんあまり聞けないロシアの「街」についてであり、
貴重でした。
「クレムリン」とは、「要塞」のことだそうです。
世俗権力と宗教権力が、
文字通り同居しているわけですね。
山本さんとは、
シンポの前日お話をして、
わたしはあわてて『ラ・ラ・ランド』を見てから、
この会に臨みました。
バウハウスの水野さんは、ランチ仲間の一人です!
彼女の話、建築の青井先生の鋭いコメントがあって、
より一層深みが出ています。

わたしも、
パリのことを話したくなる瞬間が何度かありましたが、
おとなしくしてました!

1週間

先週末は、
会議、シンポジウム、イベント参加、
と目まぐるしく、
それ以外の突発的なことがらもあり、
なんだかイッパイイッパイでした。
また新たな1週間。
新鮮な気持ちでいきたいです!

2022年11月9日水曜日

皆既月食

今日は日本中で、
こんな写真がアップされていることでしょう。
ここでも乗っかって。


もう、月食が終わりかけていて、
赤くありません。
といっても、
これはわたしが撮ったものではなく、
知り合いから送られてきたものです。
でも、うまく撮れてますよね?

朔太郎展

今年、没後80年を迎える萩原朔太郎。
彼を巡る展覧会が、
まさに日本中で行なわれますが、
その中心にあるのは、
やはり前橋文学館です。
その紹介ヴィデオがありました。


1分50秒あたりに、
われらが総合芸術系の名前も見えています。
(展示の準備を始めようとしています。
わたしも1篇詩を書きました。)
そして動画の後半に登場する学芸員の女性は、
われらが(←2回目)総合芸術系の前身である、
デジタル・コンテンツ系の出身です。
朔太郎の写真について、論文を書かれていました。
立派になられて、影ながら嬉しく思います!

B&B 「オールド台湾の食と記憶 」

先日ご紹介した、

『オールド台湾  ー祖母、母、私の行きつけの店』

読んでます。おもしろいです。
しみじみして、知らないのに懐かしい。
筆者の目が、微細な事実をを捉え、
しかもそのピントがピタリと合っているので、
匂いや食感、あるいは人々の息づかいまで伝わってくるようです。

で、
筆者が台湾から緊急来日することになり、
これまた緊急で、
B&Bでの対談が設定されました。

これです;


楽しそうです!

この日は、先日お伝えしたシンポジウム、
「総合芸術とは何か?」
の日でもあります。
忙しくなりそうです!

*このシンポジウムの、YouTubeライブ配信は;


です。
よろしければ!



2022年11月8日火曜日

『ノートルダム』


ロシュディ・ゼム主演のドラマ、

『ノートルダム』

見終わっています。
評価は、まあ、68点くらい?

原題は

Notre-Dame, la part du feu

で、後半は、
faire la part du feu
(一部を犠牲にして残りを救う/ロワイヤル中辞典)
なのでしょう。

メインとなる出来事は、
もちろんノートルダムの火災で、
それに立ち向かう消防士たちの葛藤や決断が描かれます。
その中心にいるのが général であるデュクール。(写真中央)
彼は、ほんの数ヶ月前、
ある火災限現場で、消防士である息子を失っており、
これまで多くの部下を失ってきたこともあり、
退職を決意しています。
そんなとき、ノートルダムで火災が起こり、
彼は現場のリーダーとして出動するのです。

ただ、このドラマはサブ・ストーリーが多い。
簡単に整理すると、
まず、デュクールの亡くなった息子の恋人アリス(右端)がいます。
彼女もまた消防士で、妊娠しているのです。
次に、このアリスの行きつけのカフェの主人、マックス(左端)もいます。
彼の妻は、余命数日で、
ノートルダムのすぐとなりのHôtel-Dieu病院に入院していて、
また彼の娘(左から二人目)は、この2年家でしたままで、
実際にはヤク中の娼婦に成り果てています。
ただ彼は、妻が逝く前に、
妻の元に娘を連れて帰ってやりたいのです。
マックスの追跡が始まります。
3番目は、lieutenant であるアントニーと、
フリーの女性リポーター、エレナの物語です。
二人はレユニオン島の出身で、
実はかつて婚約していたのです。
けれどもエレナは、いわゆる華やかな生活への憧れが捨てきれず、
フィアンセを残してパリへ行ってしまいます。
これは7年前。
そして今、消防士になったアントニーを見つけ、
彼を利用して火災現場に入りこもうとするのです。
4番目は、デュクールのすぐ下の部下、
ヴァレーズ(右から二人目)の物語。
彼女は敬虔なクリスチャンで、
ノートルダムを救いたい気持ちは人一倍強いのですが、
一方で彼女は、同性愛者でもあります。
ここに彼女の、信仰者としての屈折があります。
5番目は、ノートルダムで働いていた屋根職人。
アラブ系の彼は、実はシリアでは医師で、
難民となってパリに来て、今の仕事をしているんですが、
実はパリまでやって来る道中、
婚約者とはぐれてしまったのです。
そして火災の混乱の中、
彼はある女性から目が離せなくなり……

という感じです。
そして残念ながら、
これらのサブスーリーのどれもが、
まあ、イマイチ。
ついでにメインも、イマイチ。
なので、70点に到達しない印象でした。
ちょっと詰め込みすぎたし、
全体に浅い感じでした。
残念!

2022年11月6日日曜日

『Deadwind  刑事ソフィア・カルピ』

というわけで、

『Deadwind  刑事ソフィア・カルピ』

ついにシリーズ3まで、
つまりシリーズ完結まで見終わりました。



そして今回3を見たわけですが、
これは明らかに、
1から3までトータルで作られています。
つまり、評判がよかったから続編を、
みたいなやつじゃないってことです。
というのも3は、
1や2で放置されていたさまざまな事柄を、
どんどん回収していく展開なんです。

この回収がうまくいっていたかどうか、
それはちょっと微妙。
というか、
3の物語がちょっと複雑すぎた気がします。
ただ、
ヒロインであるソフィア・カルピや、
若き相棒であるヌルミはもう顔なじみで、
しかも二人ともなかなかいいキャラなので、
最後まで見ること自体は楽しかったです。
特にソフィアは、
完全に「扱いにくい女」であり、
そこがとてもいいのでした。
(管理的で、常識的な女性上司と、
いいコントラストがついています。)

ソフィアの夫は、
物語が始まる直前に亡くなっていて、
だから彼女はシングル・マザーです。
そして3において、
子どもたちはソフィアの元を離れ、
一人は自立し、
一人は、亡くなった夫の父親と暮らしています。
つまりソフィアは、
事実上、まったく自由なのです。
これは、斉藤美奈子さんが「少女小説」について指摘していたこと、
「少女」はたいてい「みなしご」で、
親の庇護/管理から外れた存在であり、
だからこそ物語上の行動の自由が生まれる、
を想起させます。
ソフィアの夫がいないことは、
物語上の要請でもあったわけなんですね。

2022年11月5日土曜日

ブッラータ

おいしそうなブッラータをもらったので、
ちょっとにぎやか目に盛ってみました。
(この後、生ハムも投入。)


で、ワインにいくとこなんでしょうけど、
今日は、この頃お気に入りのヒューガルデンと。

新しい友だち?

新しいクッションがやって来ました。
Manon に似てる!?


でも本人は怪訝そう。
"Vous êtes qui ?"

2022年11月4日金曜日

カウンターの中は

今日、近所に冬物のスリッパを買いに出て、
ついでに寄ったスタバ。
この店の前は、何度も通り過ぎたことはありましたが、
実際に入ったのは初めて。
(近くに、チャイラテがおいしいカフェがあるので、
いつもはそっち。
今日もそっちに行ったら、
混んでいたので予定変更。)

で、座ったのはカウンターの側面だったんですが、


カウンターの中は、男子3人。
おお、いいですね。
今後はこういう店も増えていくかな?

2022年11月2日水曜日

「総合芸術とは何か」

来週の土曜日、
総合芸術系のメンバー、
総合文化教室のメンバー、
そして建築系のメンバーが登場して、
シンポジウムを行ないます。
YouTubeでライブ中継を予定しています。
これです;



11 月 12 日(土)14 時~17 時 主催:明治大学理工学部建築学科/同大学院理工学研究科建築・都市学専攻 共催:明建会

詳細はまた追ってお知らせします!


2022年11月1日火曜日

Mahler - Symphony No 3 - Abbado

この頃、
仕事の時はこれをよく聞いています。


マーラーって、
とても好きな時期があって、
そのころは、
テンシュテット&ロンドン・フィルの演奏が一番のお気に入りでした。
もちろん、バーンスタインも、
アバドも、
もっと古いものも聞きましたが、
なぜかテンシュテットが一番しっくりくる感じでした。

あれから幾星霜。
何年もバッハ中心に聞いてきて、
この夏くらいだったでしょうか、
たまたまYouTubeにあったこのアバドの演奏を聞いて、
グッと来てしまいました。
それから、
(手持ちのCDではなく)
YouTube のマーラー/アバドをありったけ聞き、
この3番がやっぱり、今は一番いい感じ。
(1や5がいいのはもちろんですが。)

まあ、指揮するアバドのかっこよさも、
関係あるんでしょうか?

『ソフィア・カルピ』シーズン3/『ノートルダム』

今週は、大学の文化祭で授業がないので、
つい新しいものを見始めてしまいます。
まずは、シーズン1と2がなかなかよかった

『ソフィア・カルピ』

のシーズン3。
今3話くらいまで来て、
話がかなり広がってしまっています。
(広げている真っ最中、なんでしょう。)
今後、どんな風に収斂していくのか、
いかないのか、
見守りたいと思います。
(ただ、ヒロインの若い娘、
彼女が巻き込まれている悪の道が、
なんとも言えずリアル。
猟奇殺人なんかとはちがった切迫感があって、
その分、彼女が心配になります。)

そしてもう1つは、
パリのノートルダムの火災に題材を取った

『ノートルダム』

です。
こちらは、主役がロシュディ・ゼムなので、
もう説明もろくに読まず、見始めました。
彼が出演している映画はずいぶん見ましたが、
ドラマを見る機会は少ないので、
楽しみです。
こちらも3話ほど見ましたが、
やや、「見せよう」とし過ぎかなと感じます。
シモン・アプカリアン演じる酒場の店主がいるんですが、
家でしたままの娘が娼婦になっているとか。
で、それらしいシーンを挟んでくるんですが、
いらないなあ、という感じ。
まあ、第1話の冒頭で、
いきなりボウイの「ヒーローズ」が流れ始めたときは、
まさか消防士たちを単純に礼賛する気じゃないでしょうね?
と不安になりましたが、
そこまでひどくはないようです。

すごく雑に言って、
ドラマは、フランスものより、
アメリカものやいぎりすもののほうが上、
だと感じます。
フランスのドラマは、一言で言えば、「ローカル」。
内輪ウケ、というと厳しいですが、
そういうところがあると思います。

ただ!
数日前にネトフリで見たアメリカ映画、

『21ブリッジ』(2019)

は、ひどかった。
シエナ・ミラーが出てる、
という1点で見たんですが、
しょーもなかったです。
監督というより、
もう、脚本がダメ。
まあ、もちろんそういうケースもありますね。

2022年10月31日月曜日

全日程終了

2022年度の日本のプロ野球、
今日の試合で全日程が終了しました。
おかげさまで、
野球の超人たちのプレーを、
今年も楽しく見ることができました。
ありがとうございました!

そして日本シリーズ、
かなり見応えのある試合が多く、
素晴らしかった。
(ただ、今日の試合に限っては、
外野手のエラーが残念でしたが……)

もし第8戦にもつれ込んだら、
午前0時からのチケット販売にアタックしようかと思ってたんですが……

以前も書いたことがある気がしますが、
小学生の頃は、
毎年、授業をサボって日本シリーズに行きました。
いや、連れて行ってもらったわけですが。
父親は、当時セントラル・リーグに勤めていたので、
チケットの入手は容易だったのでしょう。
今思えば、いつもかなりいい席でした。

当時はジャイアンツのV9時代だったので、
行くのはいつも後楽園球場でした。
王と長島がいました。
柴田も、高田も、土井も、堀内も、城ノ内も。
あと阪急の山田、足立……

あしたからは、
アストロズを応援します!
(まあ、あと数日ですが。)

2022年10月28日金曜日

「首席エクソシスト」

プーチンが「首席エクソシスト」? 
なんのこと?
と思ったら、
マジだったんですね。


あっちもこっちも、
大国のトップが、
見え見えの茶番を演じ続ける世界って、
冷静に考えるとほんとに奇妙……

(まあ、「奇妙」だけで終わらせるわけにもいかないんですが。)



2022年10月27日木曜日

サヨナラHR !

ああ、なんてバッファローズは弱いんだろう、
と思って見てましたが、
大変申し訳ありませんでした!
先日の1-0もそうですが、
今日の吉田のサヨナラHRは、
痺れました!
あそこで打てるって、すごい……

猛牛のファンでも燕のファンでもないわたしは、
ただ、長くいい試合が見たいだけなんですが、
今回の日本にシリーズ、
ここまではなかなかスリリングでした。
ここからどうなるのか、
ワクワク度が上がってます!

そこには……

先日、ある先生から聞いた話。

大学生だった頃、
彼はあるスポーツの全日本レベルの選手でした。
であるとき、
ちょっとおしゃれをしてみたくて、
髪を染め、カッコイイ服も着てみたところ、
厳しい父上が大激怒。
というのも、
この父上は、そのスポーツの世界では有名人で、
子どもたちの指導などにも当たっていたので、
自分の息子がこんなんじゃ、指導もできん!
というわけです。
しょげたワカモノは、
髪を黒く染め直しました。

そして数日後、
ほんとにたまたま、
彼が実家でアルバムを開いていたところ、
そこに、
父上の成人式の写真を発見しました。
父上の髪型は、
アフロでした!

『レバノン』

今週の大学院ゼミでは、

『レバノン』(2009)

という戦争映画を見ました。
先週、たまたまこの映画に触れたところ、
院生たちが「見てない」というので、
見せることにしました。


この、レバノン内戦を舞台にした映画には、
際だった特徴があります。
それは、映画の99%が、
戦車の、あの狭い空間のなかで起きる、ということです。
そして「外界」はつねに、
砲撃用のスコープを通して見ることになります。

この映画、今見ると、
どうしてもウクライナを想起してしまいます。
新米兵士は、砲撃のレバーを握るものの、
人間に向かって発射することができないのです。
そしてその結果、仲間が撃たれる……
逆に、今後こそと思って、目を閉じて発射すると、
そこには、民間人しかいなかった……

戦車内で、兵士や捕虜が、小便をする場面が何度かあります。
エロ話をする場面も。
でもそれらは、
強く「死」に取り囲まれているので、
その意味合いが、
日常とはまったく違ってきます。

引き締まった、なかなかよくできた映画だと思います。

2022年10月22日土曜日

『ボーン・アルティメイタム』

というわけで、「ボーン・シリーズ」の3作目、

『ボーン・アルティメイタム』(2007)

を見てみました。
Mmm...  なるほどこれは、出色のデキ。
『サスペクト』に100点を付けたのでしたが、
たしかにそれよりさらにいいかもしれません。
103点、ということにしましょうか。

プラス3点は、
CIA内部にいる女性捜査官の存在です。
きびしく、堂々としていて、
『サスペクト』には登場しないキャラでした。
院生のコメント、さすがです。

2022年10月21日金曜日

『ガールフッド』

たまたまさっき気づいたのですが、
アマプラに、

『ガールフッド』

がありました!

これは、これです。


当時は日本版がなかったのですが、
なんと、アマプラで見られる日が来るとは。
この映画、好きです。