2020年10月31日土曜日

♫ オ~ モッテサンドー 

「東京詩」の授業準備に、
久しぶりに J-POP チェックしていたところ、
もう5年前の曲ですが、
こんなのを見つけました。


タイトルだけ見て、
「表参道」の注目した歌って珍しいかな、
(そういえば「ペニーレインでバーボンを」なんてものあったけど。
で、ペニーレインを見に表参道行ったけど、高校生の頃!)
と思って YouTube で聞いてみると……

「おさいふゆるめちゃうよ n'importe quoi 」

というのがちょっとウケました。
(まあ、「欲しいものなんでも」というより、
「なにバカなこと言ってんの」
というニュアンスになってしまう気もしますけど、
それは措いといて。)

『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』

ネトフリの韓流ドラマ、

『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』

を見終わりました。
これは……
まあ、40点くらい? でしょうか。
出だしの数話はそんなに悪くなかったのですが、
回を追うごとに質が低下した印象です。
この内容なら、半分以下の時間に編集できるでしょう。
人物たちの「行動」が少なく、
やたら対面して説明するので、
「ドラマ」チックじゃないし。



仲良しの女性二人、ジナとギョンソン。
ジナの家庭は中の上、
一方ギョンソンの母親は早く亡くなり、
父親は他の女性と去り、
ギョンソンは弟のジュニを苦労して育ちました。
で、ジナが、ジュニと恋に落ちるのですが、
ジナの母親は猛反対し……
というお話。
またジナは、コーヒー・ショップをチェーン展開する会社で働いていて、
ギョンソンはその一店舗の店長。
ただこの会社、ひどいセクハラが蔓延していて、
ジナはそれとも戦わなければなりません。

以下ネタバレします。***************

ポイントを握る人物は、ジナの母親ででしょう。
彼女は、ギョンソンやジュニを、
「実の子よりかわいがった」と言いつつ、
その正体は上からの同情で、
ジュニがジナと恋愛関係にあることを知った途端、
態度を一変させます。
こんな、両親もいない、家柄の悪い、
一流どころか大学も出ていない男なんか、
というわけです。
そして娘には、あなたのため、と言いながら、
自分の価値観を押し付けることをやめず、
女の幸せは結婚に、しかも家柄のいい男性との結婚にある、
と信じて疑いません。
(彼女が怒鳴り始めると、いつも音を消していました。チョーうるさい。)

でも……
この毒親のおかげで、
ジナとジュニの恋は破綻します。
ジナは負けるのです。
さらに彼女は、セクハラ訴訟でも故なきバッシングを受け、
勝訴したものの、実質負けたように見えます。
二連敗です。
で……
ジナの母親は「女性」ですが、彼女が象っているのは、
実は、男性中心主義、であるように見えます。
自立しようとする女性の足を引っ張り、
男性中心的な構造への挑戦を諦めさせようとするわけです。
ミソジニー、と言っていいでしょう。
競争に勝ち残った男性を見つけてゲットすること、
それこそが女のすべきことだ……
だとすると、
ジナの二連敗は、
ともに男性中心主義的社会を愛艇にした結果だということになります。
実際ジナは、強く「処罰」されます。
倉庫係に左遷され、
愛する男性はアメリカに行ってしまい、
その原因は自分だと思い込まされてしまうのです。

ジナとジュニは、
こうしたことに気づいていません。
気づいて、無視したり、かわしたりはできないのです。
見てるこちらは、2人を応援しているのですが、
彼らもまた煮え切らず……

というわけで、
いろいろイラっとするドラマでした!

「反フランス」デモ、拡大

コロナ第二波に苦しんでいるフランスですが、
今中東を中心に、
「反フランス」の動きが強まっているようです。
エジプトやクウェートなどでは、不買運動も。
で、このニュース。


この、「表現の自由」や「ライシテ」のあり方と、
イスラム過激派によるテロの関係は、
シャルリー・エブド事件の時に深く考察されました。
たとえば、雑誌ふらんすが特別編集した
『シャルリ・エブド事件を考える』
は、とても濃い内容で、
ある授業ではテキストとして使ったりもしました。
あれから5年経ちますが、
根本的な問題は変わっていません。


2020年10月28日水曜日

1コマが大事

あんまり「大変だ~」って言いたくないんですけど、
先週末から今週初めは、
オンライン授業の準備、けっこう大変でした。
それもこれも、

映画『判決、ふたつの希望』

の解説が、かなり込み入っていたせいです。
調べることも、確認すべきことも多くあり、
まずはそれらを片っ端から片付けていき、
学生の常識からみて必要そうなことをピックアップし、
わかりやすそうな順番に並べ、
順にパワポにしていくわけです。
結局でき上ったものは3本。

1)状況説明(48分)
2)分析準備(40分)
3)分析例   (48分)

となり、
1コマの時間(100分)を越えてしまいました。
まあ、学生は「長すぎ!」と思うでしょうが、
今回ばかりは許してもらいましょう。

最後の「分析例」は、
とりあえず3通りしてしておきました。

①主人公二人の対立は、レバノン内戦の再現である
 ただしその背景には、この内戦の記憶が、
 「恩赦法」などによって封印されてしまった、
 ということがあります。
 その点を指摘するのが大事、としました。

②主人公ふたりは、ともに「難民」だ
 一方は「ダムール虐殺」の、
 他方はもう、放浪のパレスチナ難民です。
 この両者が難民となってゆく過程の対比が、
 映画の構造にもなっている、と考えてみるわけです。

③「男」と「女」の対立
 主人公二人、そしてかれらを取り巻く「男」たちは、
 みな一様に「マッチョ」です。
 (戦争を引き起こしてきたのは、いつだって「マチズモ」なのです。)
 彼らに対比されているのが、
 主人公たちの妻たち、女性弁護士、などです。
 この対立軸で見るのは、「映画を見る」練習になると思います。

というわけで今回は、
この「ワールド映画」の1コマを充実させるため、
週末丸ごと使い切りました!

2020年10月24日土曜日

『ル・フランセ・クレール』(三訂版)、表紙



『ル・フランセ・クレール』の、
新しい表紙です。
Mmm、いいです。
緑、青、と来ての、これです。
今の気分にもあっているし、
これが一番好きかも。

「たそがれの銀座」

『判決、ふたつの希望』、
まずはスタートラインに立つためのパワポを作り、
それで動画を作ってみました。
48分。
まあ、映画を見ながら調べ、
パワポを作るまでに5時間以上はかかってますから、
このくらいの時間にはなってしまうでしょう。
アラファト議長はともかく、
バシール・ジュマイエルも、
サミール・ジャアジャアも、
学生が出会う可能性はかなり低いので、
ここでの出会いが、
一期一会になる可能性もあるかもしれません。
それもいいです。
でこれから、
いよいよ「分析」のパワポ作りに入りますが、
まあ、この映画は、
むしろ「準備」のほうが大事なのかもしれません。

ただその前に、
「文学と都市」の動画を作らなくては。
昨日の金曜日は、
午後、会議が3つあったせいで時間をとられたので、
予定より進んでいません。
こちらのアップが先なので、
まずはこちらからです。

で今週は、金子光晴から始まり、
「東京行進曲」へと進みます。
イメージを膨らますため、
YouTube で「東京行進曲」を聞き、
(東京大衆歌謡楽団、なるグループが歌っている動画があり、
ちょっと気に入りました。
懐メロに特化しているわけですが、
なんとなく清々しく、
様式美、という風情です。)
でその流れで、「東京ラプソディー」や、
ついでに「たそがれの銀座」も聞いてみたり。

ところでわたしの記憶の中では、
「たそがれの銀座」の一節に、

   プラタナスの木陰に ネオンが灯る
   銀座を見なきゃ 眠れない

という箇所があったはずなんですが、
これが記憶違いそのものでした。
ほんとうは、

   プラタナスの葉がげに ネオンがこぼれ
   思い出がかえる 並木通り

   ぼくの好きなあの娘は 毎日一度
   銀座を見なきゃ 眠れない

なのでした。
ぼ~っとした小学生は、
自分が思い入れられる箇所だけを、
つなぎ合わせていたわけです。
(それでもまだ、記憶の歌詞のほうが親しいです。
「思い出がかえる」も「並木通り」も字余りだし!)

それにしても、
動画アップが、月、火、水、なので、
どうしても、土、日、はずっとデスクの前にいます!

2020年10月23日金曜日

『判決、ふたつの希望』

「ワールド映画ゼミ」では、
もろもろの説明の後、
まずは『オマールの壁』を見ました。
これは前期と同じ。
でも、前期の2本目として見た
『おじいちゃんの里帰り』
が、なんとAmazon Prime で見られなくなっていました。
で、新たに選んだのが

『判決、ふたつの希望』

です。
この映画については、
以前、ここでも触れたのですが、
今回もう一度(というか、かなり細かく2度)見て、
おもしろいしいい映画だと思うんですが、
ちょっと難しかったかも、
と思っています。
いや、ストーリーは難しくないんです。
ただ、たとえば電線だらけの入り組んだ路地が出てくるんですが、
これはつまり、パレスチナ難民のキャンプなんです。
(西ベイルートにあるマール・エリアス・キャンプです。)
あるいは、白黒画面で演説している男、
彼はバシール・ジュマイエル、
つまりレバノン軍団の創始者です。
さらには、ファッスーフ通りの名前が出ますが、
これはグーグル・マップでは見つかりません。
東ベイルートの、
つまりキリスト教徒地区であるアーシュラフィーク地区にある通りです。
こうしたことは、
大学1年生だと、
そもそも見つけ出すのが難しいかも、ということです。

この記事を読んでいくと、


監督の実家が、
サブラやシャティーラから1キロのところだと書いてありました。


パレスチナ難民は、
もちろんイスラエル国内にいて、
彼らが『オマールの壁』の主人公なわけですが、
実は、イスラエル国外にも、
ほぼ同じ数の難民がいると言います。
今回は、レバノンにいるパレスチナ難民の物語です。
2つの映画を並べることで、
この問題の広がりを感じてもらえると思っています。

2020年10月17日土曜日

デスクトップ

デスクトップの画像は、
スタジアムやテニスコート、
あるいはピアニストやヴァイオリニストなどを使うことが多いですが、
図書館も、わりと使います。
で、
さっきアポリネールのことを調べていて出てきたのが、
このマザラン図書館。


この wiki のページの途中に、
図書館内部の写真があります。
今、試しにそれを壁紙にしてみたところ、
なかなか落ち着いていていい感じ。
しばらくこれを使うことにします。

2020年10月13日火曜日

やっぱり

「大阪都構想」って、

まあうさんくさいことこの上ないと感じてましたが、

やっぱりね……

https://www.facebook.com/photo?fbid=3486437638088882&set=a.153821271350552

ほぼ責了

大学で使われるフランス語の教科書は、
一般的に言って、
11月の終わり頃、
全国の教員たちに見本版が提供されます。
で、それをするためには、
11月の初旬から中旬には、
本が完成していなければならず、
ということは、
10月中旬、
つまりちょうど今頃までには、
3~4回の校正を終え、
責了にする、
つまり印刷&製本に回す必要があります。
この秋は、新刊ではありませんが、
2冊の教科書の改訂を進めていて、
ここ数日は、最後の追い込みで忙しかったです。
たとえば昨日は、夜9時過ぎに来た校正内容のまとめを、
午前3時頃までかかって確認し、
今朝10時の打ち合わせでその結果を伝える、という感じ。
でも!
これでもうほとんど責了となり、
急に解放されました。
もちろんその間もオンライン授業はあり、
2冊の教科書と授業、
3つのタスクの間を行ったり来たり、だったわけですが、
それも終わりです。
編集の仕事は、
いつもこんな感じかと思うと、
アタマが下がります。
今回もすご~~~く助けてもらいました。

約1か月後、新装版との出会いが楽しみです!

2020年10月10日土曜日

オイストラフ/ハイフェッツ

オンライン授業の「雑談」に、
エッフェル塔~トロカデロ広場~パッシー墓地、
ときて、その墓地に眠るDebussy の話になり、
じゃあついでに 
Claire de lune 
の一節でも YouTube で聞かせようかと思って探していると、
ピアノではなくヴァイオリンではありますが、
オイストラフの動画あることに気づき見てみると……


いいですねえ。
わたしは小学生の頃、
親に連れられてオイストラフを見たんですが、
その時の印象は、
(と言っても、子どもなのでなにも分かっちゃいないんですが)
弓を削るように引く激しいヴァイオリニスト、
という感じでした。
でもこの動画は、
フィルム自体は古いのに、
音は柔らかくて、まさに「夢見るよう」で、
なかなかステキ。

で、近くにハイフェッツも発見。


中高生の頃は、
自分の部屋に置いてあったバッハはハイフェッツのレコードだけだったので、
それを繰り返し聞いていました。
で、バッハ=ハイフェッツでした。


ああ、こういう音ですね。
なつかしい!

2020年10月9日金曜日

神楽坂

今週の『東京詩』は、

「物理学校裏」(北原白秋)
「狂者の詩」(高村光太郎)
「九段坂」(与謝野晶子)

これらに加えて、
斎藤茂吉と吉井勇の短歌を取り上げます。
場所的には、

神楽坂
お茶の水
九段
柳橋

などです。
暁星やアンスティテュ、
クレープのル・ブルターニュ、
柳橋の小松屋などにも触れる予定です。

なかでもメインは神楽坂。
わたしも特によく知っているわけではないんですが、
知り合いのデザイナーがアトリエを
(友たちと共同で)借りていたり、
仲良しだった編集者と何度となく行ったそば屋などがあります。

そのそば屋とは、蕎楽亭。
この店は以前、市ヶ谷の近くにあって、
その頃から行ってました。
で、神楽坂に移転したわけですが、
とても印象深いのは、
ある年の暮れに行った時のこと。
編集者と飲んでいると、
きれいな着物を着た女性たちが4,5人入ってきたのですが、
彼女らはどうやら、
近所の芸者さんたちで、
年末の御挨拶に来たようでした。
その時、店内がパ~~ッと明るくなったのは、
言うまでもないですね。
料亭などには縁のない衆生にとっては、
その時の光景が、「神楽坂」のイメージの基底になっています。

で、
この蕎楽亭のあるのは、
「見番横丁」の近くです。
でまた、芸者小道もあり、
それをうねうね辿っていくと、
白秋が明治の終わりに住んでいた家があった場所に出ます。
ここには旧居跡、という掲示があるんですが、
その場所はまさに、物理学校(=理科大)裏、なのです。

白秋の詩の「官能性」も、
それなりに面白いと思うのですが、
わたしとしては、
この詩が着目した土地の(文化的)多層性のほうに、
気が行ってしまうのでした。

2020年10月6日火曜日

本を焼くなら

ネットをつらつら見ていたら、
今回の学術会議関連のコメントの中に、

Dort wo man Bücher verbrennt, verbrennt man auch am Ende Menschen.

というハイネの言葉を引用してるものに出会いました。

あなたが本を焼くなら、ついには人も焼くことになる。

くらいの意味のようです。
その通りですね。

2020年10月5日月曜日

『東京詩』

オンライン授業が再開しましたが、
後期は、大学院(総合芸術系)で、
「都市と文学」
という授業を担当しています。
これは、実質的には、
「東京」と「近代詩」の関係を見ていくもので、
テキストには、2009年に刊行した、

『東京詩』

を使っています。
ただ院生たちも、
そんなに詩に親しんできたというわけでもないでしょうから、
まずは、
この本に出ている詩をよく味わってもらうことを大事にしています。
で、具体的には、
毎回4~5篇の詩を朗読し、
それを音声ファイルで提出してもらうことにしました。
はじめての試みですが、
いいんじゃないかと思っています。
もちろん授業では、
タイプの違う詩を作ってもらったり、
発表してもらったり、
ヴァリエーションを広げていく予定です。

それにしても、
『東京詩』は、
よく売れたとはとても言えないんですが、
わたしにとっては思い入れのある本です。
掲載されている詩、一篇一篇パワポを作っていくのは、
かなり時間もエネルギーもかかるんですが、
根本的には、
院生と詩を読んでいくのは、
やはりおもしろいです。

2020年10月2日金曜日

学術会議

が推した候補者のうち6人を、

新政権は任命しませんでした。

これは学術への、

そして民主主義への挑戦だとも言えるでしょう。

6人のうちの一人、宇野重規先生は、

講演を聞きに行ったこともあります。

彼はこう語っています。

https://www.asahi.com/articles/ASNB25QS2NB2UTIL02B.html?fbclid=IwAR0Mfly5QvrFHX7zat402k1mJK4uA_jhgA0yXuTQH9dp6gXZ-JLm8zK8yfc

格が違います。


そういえば数日前、

トランプ氏とバイデン氏の討論中継をテレビで見ました。

といっても、約15分ほどだけ。

というのも、

現大統領の態度のあまりのひどさに、

うんざりしてしまったからです。

相手の話を聞かない、遮る、

根拠のないことをまくし立てる、

自己宣伝しながら、二言目には、

「おまえにはできなかっただろう」と、

意味のない下品な罵倒を繰り返す……

なんと、こんな人がアメリカの大統領!

もう何度も味わってきた思いが、

またしても大波としてやってきました。

そして……

この点に関して、

岸の彼此に差はないということなのでしょう、

残念ながら。