2022年7月30日土曜日

R.I.P. 佐藤由美子さん

トランジスタ・プレスの代表にして、
詩人で、
文化活動を深く愛していた、
佐藤由美子さんが亡くなりました。
残念です。

一番の想い出は、
やっぱり『敷石のパリ』です。
佐藤さんは、発行人であり、
執筆者でもありました。
発刊記念のイベントでは、
あの新宿のお店で盛り上がり、
楽しかったです。

パリの写真集を出したいという話をしたときには、
発行元になってくれることを快諾してくださり、
その後打ち合わせも重ね、
もう、出版直前まで行っていたのですが、
別の事情とコロナが重なり、
発行を延期している内、
今度は佐藤さんが病を得てしまいました。
今思えば、
コロナにめげず、
あの4月に出しておけばよかった……
そうしたら、
佐藤さんにも見てもらえたのに。

佐藤さん、R.I.P.

『カピタニ』、終了

今日の3つの会議で、
前期のすべての会議が終わりました。
とはいえ、
もっと重責を担うメンバーは、
今後もまだまだ予定があるようで、
ちょっと申し訳ないんですが。

そして

『カピタニ』

エピソード2まで見終わりました。
まあ、どんどん先を見たくなるので、
おもしろいと感じていたんでしょう。


エピソード1に比べると、
展開はゆっくり目ですが、
まあこれで「ふつう」くらいでしょうか。
今度は都会が舞台で、
麻薬がらみの事件捜査です。
ただ、主人公カピタニは、
エピソード2が始まった段階で、
もう警察をやめていました。
というか、収監されていたわけです。
一方、エピソード1でカピタニの相棒だったエルザは、
警官から、麻薬捜査官に出世していました。
二人が絡むところは、
なかなかいいです。

<以下ネタバレします>

おもしろかったんですが、
気になる点もあります。
それはエルザに関することで、
エピソード1での彼女の恋人は、
結局麻薬を扱う軍人でした。
彼女からすれば、当然、
裏切られて思いです。
彼の子を妊娠までしていたのに。
そしてエピソード2でのカレシ
(でもないんですが、まあ、付き合って、
ベッドもともにしていたのは)
同僚の捜査官で、
でも彼はサイコパスでした。
つまり、
美しく強い女性であるエルザは、
男を見る目がぜんぜんない。
男に依存するわけではないんですが、
付き合った男は両方「くず」でした。
これは、シナリオとしてどうなんでしょう?
ひねったミソジニーにも見えてきます。
カピタニが、苦しい運命に翻弄されて、
それでも、
なんとか自分をコントロールしていくのとは、
大きく違います。
収監されたのだって、
ほんとは正当防衛だったし。
さらに、カピタニの周りの女性が、
二人も死にます。
二人ともワルではあるし、
もちろん男たちも殺されているので、
これは必ずしもミソジニーだとは言いませんが。

エルザが可哀想だと感じる人は、
きっと多いのだと思います。
エピソード2が配信されたばかりですが、
もう、エピソード3の予想も見かけます。
文句を言いつつ、
わたしも見たいです。


2022年7月28日木曜日

大学院ゼミ、前期ラスト

ラストの大学院ゼミは10時開始、
ランチを挟んで2本立てでいきました。

午前中に見たのが、

『白鯨』(1956)

です。
ジョン・スタージェス監督の作品の中では、
どうも「評価が低い」ものらしいのですが、
アダプテーションの観点からこの映画を取り上げている論文があったので、
見てみました。
でその後、みんなでその論文も読みました。
(『アメリカ文学と映画』所収)

映画内では、
あのヨナが鯨の体中で三日三晩過ごす物語が神父によって語られ、
主人公である偏執狂的船長エーハブは、
見た瞬間にリンカーンに似ていて、
船が白鯨を求めて向かうのはなんとビキニです。
(映画の公開は、第五福竜丸事件の2年後です。)
そしてこうしたかなりスパンの長い時間意識を背景に、
「白」い鯨と、「赤」い旗と、「黒」い肌の助手と、
ネイティブ・アメリカンの民族の名を持った船が登場する、
という指摘です。
おもしろい論文でした。

そして午後は打って変わって、

『キューティーブロンド』(2004)

です。
これは、映画そのものと言うより、
このヒット作がどこまでハリウッドの作劇セオリーに則っているか、
を確認するために見ました。
映画としてはとても浅いし、突っ込み処も満載ですが、
おとぎ話としてみれば、
やはり教科書通りの、
スムーズで明確な構成をなしていました。
職人技、ですね。

まだまだ勉強すべきことが多いです……

2022年7月25日月曜日

『ザ・グッド・ファイト』

成績付けはあるものの、
夏休みが近づいてきて、
今まで手が出せなかった長めのドラマが射程に入ってきました。
で、
『カピタニ』のシーズン2と並行して見始めたのが、

『ザ・グッド・ファイト』

です。
法曹もので、
主人公はどうやら女性弁護士3人。
まずは、巨大な詐欺を働いたらしい投資家の若い娘、
アフリカ系の、やはり若めの女性、
そしてベテランの白人女性です。
この最後の女性が、
最初の女性の父親に投資していて無一文になりそう、
というのが物語の始まりです。
せっかく引退しようと思っていたのに、
それもできなくなり……

イヤミの効かせ合いなど、
アメリカ的で、
なかなかおもしろい滑り出しです。

2022年7月24日日曜日

『カピタニ』

ルクセンブルク発の犯罪ドラマ、

『カピタニ』

を見てみました。
「カピタニ」とは、主人公である刑事の名前です。


物語は、なじみの型を使っています。
つまり、都会(正確には南部)から刑事が、
閉鎖的で秘密の多い田舎の村で起きた殺人事件を解決する、
という形式です。
ただこのドラマは、
型はごく単純ですが、
多くの文脈を複雑に絡ませていて、
最初の数話を見ても、
その後の予想がまったくつきません。
カピタニの相棒となる女性警官もいい感じです。
(ただ彼女にはフィアンセがいるんですが。)

ドラマ内で使われる言葉の90%ほどは、
たぶん、ルクセンブルク語なんですが、
ときどきフランス語も使われます。
特に印象的だったのが、
「検死報告書」を読み上げる場面。
これがフランス語で、
それまでルクセンブルク語で話していた若い警官が、
突然フランス語を読み上げるのです。
ルクセンブルクでは、
公用語は、ルクセンブルク語、ドイツ語、フランス語、
の3つがあるが、
公文書はフランス語が使われる、
と聞いていましたが、
ああ、ほんとにそうなんだ、
と感じられました。

ドラマと映画の違いは、
「時間」にあります。
それは物理的な時間の長さでもあるし、
それと表裏一体の、
時間感覚、の問題でもあります。
ただ、この『カピタニ』を見て思うのは、
ドラマは物語だ、
ということです。
もちろん映画だって物語ですが、
それだけじゃありません。
この、「それだけじゃない」の度合いが、
映画の方が大きいのだろうと思います。

それにしてもなぜ、人は物語が好きなんでしょうね?

Astrid et Raphaëlle

明日から、NHKに登場です。


フランスでは、すでにエピソード3まで放送済みですが、
NHKはどこまでやるんでしょう?
(ただ、NHKのHPには「初回 パズル前編」とあるので、
これは「エピソード」に入る前のパイロット版 Puzzle を、
2つに分けたものかもしれません。)
で、できれば、字幕で見たいところですが……

2022年7月23日土曜日

Corne de l'Afrique

「アフリカの角」における深刻な飢饉。


無駄な儀式に使うお金があったら、
すぐにこちらに回して欲しいと思います。
日本のメディアの取り上げ方も少なすぎると感じます。

2022年7月20日水曜日

前期授業(一応)終了

大学院のゼミを除き、
学部も院の、授業は終了しました。
いつものことながら、
長かったような、
でも終わってみればあっという間だったような。

今日の1年生のフランス語の試験では、

「彼女が寝ている特、君は彼女を見るか?」

という日本語をフランス語にせよ、
という問題を出したんですが、
これは、先週の授業で聞いてもらったこの曲のサビです。


Est-ce que tu la regardes, quand elle dort ?
Deviens-tu son ombre, quand elle sort ?

お気に入りの曲というわけじゃありません。
ただ、直接目的語代名詞が分かりやすく入っているので、
サンプルとして聞いてもらったのでした。
が、
どうもちゃんと聞いていなかった(!)ようで、
解答を見回ると、
正解がほとんどありません。
で、仕方ないので、
試験中にもう一度サビの部分を流しましたが、
それほど正解は増えなかったような……

2022年7月18日月曜日

最終週

大学の授業は最終週に入り、
通常の授業以外の、
オムニバス講座のレポートなども提出されてきて、
もうず~っとレポートを読んでいる感じです。

先週、
『戦争より愛のカンケイ』
を授業で見ました。
この映画については、
ここでも何度か触れているし、
かつて「ふらんす」でも、簡単に紹介しました。


ただ今年は、
いつもと違う観点から解説しています。
それは、「予防原理」であり、
その背後にある「リスク社会」、
そして「社会的費用」、などのことです。
主人公のアルチュールは、
政治的にはバイアに近い。
でも二人を決定的に分けるものがあって、
それは、鳥類学者であるアルチュールが従っている「予防原理」なのです。
そして映画は、
彼がこの原理を捨てる過程を描いているとも言えるのです。

もちろん、
この映画の最大のポイントが「雑種」であることは変わりません。
ただそれが、
リスク社会を背景にしていると考えると、
より現実感が強まる気がします。

何度見ても、
なにかしら思うものですね、
いい映画は。

2022年7月15日金曜日

ル・ポール

『クイーンとAJ』のことを書きましたが、
すみません、
主役のロバート/ルビーを演じているのは、
ドラッグクイーン界のスーパースター、
ル・ポールでした!


わたしはそもそも、
このスターの名前さえ知りませんでした。
困ったものです。
通りでファビュラスだと思いました!

で……

もしや『クイーンの帰郷』の彼/彼女も有名人?
と思って確認してみると、
名前はアンジェイ・セヴェリンで、
なんと、このポーランドものにも出てました。


まったく分かりませんでした……

それから彼は、またまたポーランドものの
『国家の女 リトルローズ』
にも出てるんですが、
実はこの映画、
半分くらい見たところで止まっているのを思い出しました!
これを見始めたのは、
このドラマ、


の主演の、
マグダレーナ・ボチャルスカがやはりヒロインだったからです。
ちゃんと最後まで見ることにします!

2022年7月12日火曜日

『クイーンとAJ』

先日、ポーランドからパリにやってきた、
華麗なドラッグクイーンのドラマを見たわけですが、
そのせいなんでしょう、
ネトフリがわたしに、
やたらと「ドラッグクイーン」ものを推してきます!
そんなに言うなら、
ということで見始めたのが、

『クイーンとAJ』

です。


NYの、やはり華麗なドラッグクイーン。
浅黒い肌のロバート/ルビーは、
必死に貯めた開店資金を全額恋人に騙し取られ、
仕方なく、元の「巡業」に出るのですが、
それに勝手に同伴してきたのが、
まだ10歳にもならない少女のAJです。
彼女の母親は、ジャンキー&娼婦で、
娘を置き去りにしているのです。
で、ここから、
二人の旅が始まるわけです……

これ、気楽に見るには十分おもしろいです。
やっぱり、ドラッグクイーンて、
すごく spectaculaire で fabuleux だと感じます。
しかも演じている俳優も、かっこいい。
(『クイーンの帰郷』の時もそうでした。)


楽しめそうです。

なんだか、
見たい映画やドラマが溜まってきています。
はやく夏休みになって欲しいです。
(でもその前に試験と採点!)

2022年7月11日月曜日

「沈んでゆく」のか

「東京選挙区」でわたしが投票した候補に、
やっと、やっと、最後の最後で、
当確がつきました。
おめでとうございます。
大暴れして欲しいです。

ちなみに、比例区の方は、
大阪方面で浪人していた女性候補に入れましたが、
見事返り咲いてくれてよかったです。
こちらも大暴れを期待します。

で、内田樹の tweet を retweetします。

*************************

8時から開票速報を見て、8時半に新聞の電話インタビュー。
有権者は「現状維持」を選んだということで、
「現状維持」というのは
「このままどんどん沈んでゆく」ということなので、
そういう運命を日本人は選んだようですという感想を申し上げました。

安倍元首相の銃撃は選挙に影響があったでしょうかという質問に
「あまりなかったと思います」とお答えしました。
あの事件はこれから後の日本の政治にどんな影響を与えるでしょうかという質問には、
メディアが自民党と統一教会の関係について報道しないなら
影響はないでしょうとお答えしました。

ネット上ではすでに周知になっている情報を
大手メディアは隠蔽しようとしていますが、
隠し通すことはできません。
でも、それは
「信者の親族から深い恨みを買っている宗教団体の支援を受けている政治家たち」
のリストを公開することを意味しています。

2022年7月8日金曜日

『ガガーリン』

日本でも春に公開されていた映画、

『ガガーリン』

を、アマプラで見てみました。


舞台は、パリの南東郊外に実在するガガーリン団地。
(Cité Gagarine)
映画は冒頭、この団地の竣工と入居の様子を映し出します。
そして、それから60年。
老朽化が進んだ団地は、取り壊しが決定します。
住民たちは、ためらいなく出ていく者、
立ち退きに抵抗しようとする者、さまざまです。
でも結局、
一家族、また一家族と去って行き、
残っているのはアフリカ系のユーリ(ガガーリンと同じ名前)だけ。
かつて彼の母親は、
子どもである彼を残し、
恋人のモトに走りました。
そして今、迎えに来るといっていたのですが……
ユーリは一人、誰もいないガガーリンに暮らし続けます……

とても評判がいいようで、
また題材もおもしろいし、
期待して見始めました。
ただ、こういう「詩的」な映画に、
最近はあまりうまく乗れません。
映像はキレイだし、
たしかに印象的なカットもあります。
ユーリと仲良くなる、ロマの少女も可愛らしい。
(これらの映画に出ていたリナ・クードリです。



ただ、なんというか、
「現実」が真綿でくるまれているような感じ。
麻薬の売人も出てくるのですが、
こんなにナイーブである可能性は低い気がします。
ロマのキャンプの取り壊しなど、
そうとう「現実」寄りのエピソードもあるのですが、
それでも、「現実」の手触りが伝わってこない気がします。

ある団地の誕生と死を見せるというのは、
アイディアとしてはとてもおもしろいと思います。が、
それにプラスするのに、
美しい映像だけでは、わたしには、
やや物足りないのでした。

蛇足ですが、この挿入歌、


この映画でも使われていました。


意識してる?

Ms. マーベル

Disney+ の新作、

『Ms. マーベル』

を見始めました。


Mmm、これ、かなり期待できます。
『ブラックパンサー』でアフリカ系の、
『シャン・チー』で中国系の、
そしてこの『Ms.マーベル』でパキスタン系の、
ヒーロー/ヒロインを作り上げようとしてるのでしょう。
それ自体「現代的」だと思うし、
またこの映像が、気が利いてる。
単純に、すごいの作るなあ、と思わせられます。

主人公のカマラ(16歳)は、
民族こそ違え、
『ブックスマート』のヒロインたち
(ちょっとイケテナイ女の子という役どころ)
を思い出させるところがあるんですが、
なんでも、
この『Ms.マーベル』の制作者たちは、
『ブックスマート』を意識していたとか。
さもありなむ、という感じです。

楽しみです!

2022年7月7日木曜日

五七五七七

ネット上で指摘されていて、
感心しました。
すごい短歌!



2022年7月6日水曜日

『シェーン』

今日の大学院ゼミでは、
西部劇の名作として誉れ高い

『シェーン』(1953)

を見てみました。
(『ゴジラ』の前の年、ですね。)


ある開拓農民一家。
両親と幼い息子の3人家族。
彼らは、木材で家を建て、
自ら畑を作り、
牛や馬を飼い、
がんばって生活しています。
が、
その一帯を我が物にしようとする一味に、
理不尽な立ち退きを(暴力的に)迫られています。
そんなとき、
通りすがりの男(シェーン)と知り合った一家は彼を歓待し、
4人は次第に仲良くなっていきます。
けれどもシェーンには、「過去」がありそうです。
そしてシェーンは、一家を助けるため、
ワルモノと戦うことになります……

院生たちとの感想会では、
これは、フィルム・ノワールの形式であることが話題になりました。
(取り返しのつかない)過去のある男がやってきて、
あるものたちを助けるため、
殺人もいとわず、
ただその一連のもめ事が終わると、
彼はまたそっと去って行く……という物語形式です。
なので、
この映画を現代にリメイクするのは容易だろうと思えます。
実際、院生によれば、X-MENシリーズのスピンオフ、
『ローガン』


は、『シェーン』を意識していて、
実際劇中で『シェーン』の音楽が流れるそうです。
(わたしも見ましたが、気づきませんでした!)

それにしても、
ここでも「臆病者」は一番ダメな存在で、
「男」はつらくても戦わねばならず、
そこには「銃」がもれなくついてくるのでした。
(シェーンが幼い子どもに銃の扱いを教えていると、
母親が現れ、それをやめさせます。
女性はすでに、ちがう原理を生きています。が、
それはほとんど、
男たちのマッチョで自己陶酔的な美学の引き立て役、
にしかなっていません。)

というわけで、
フィルム・ノワールの原初的な形を持ち、
現代アメリカを覆う価値観があらわに出ている西部劇でした。
ただ、映画としてやや弱いと感じるのは、
主人公シェーン(正しくはシェインですけど)の人間性が単純で、
屈折や葛藤がほとんど見えなかったことです。
バックストーリーは一切語られないし、
彼の個人的な事情はほぼわからないのです。
それがあれば、ちょっと違う映画になったと思います。

2022年7月5日火曜日

『わが谷は緑なりき』

先日の『駅馬車』に続いて、

『わが谷は緑なりき』(1941)

を見てみました。
監督である、ジョン・フォード繋がりです。


舞台はウェールズの、炭坑の村。
(ジョン・フォードはアイルランド系です。)
そこで暮らす一家と、
村の牧師、そして炭坑の社長などがからむ人間模様です。
いくつものストーリーが併走していますが、
目立つのは、一家の美しい娘アンハードと、牧師の恋です。
ただこれは、悲恋、というべきでしょう。
語り手はアンハードの弟で、
つまり子どもの目を通して描かれた世界です。

わたしとしては、
ウェールズの炭坑という存在に、一番興味を引かれました。
というのも、
授業で見せる定番となっている
『パレードへようこそ』
もまた、南ウェールズの炭坑が重要地点だからです。

いろんな繋がりがあるものですね。

2022年7月1日金曜日

『クイーンの帰郷』

ネトフリのミニ・シリーズ、

『クイーンの帰郷』

を見てみました。


物語の始まりはパリ。
そこに一人の、とても人気のある仕立て職人がいます。
とてもおしゃれな人で、
ただ彼は、ゲイ・キャバレーのショーの衣装も担当し、
またそのショーの主役(!)でもあるのです。
彼は、ドラッグクイーンです。
ただ彼は、引退を決意していて、
仕立屋もたたんで南仏へでも……と考えていたのですが、
そこに一通の手紙が。
それは、ポーランドからのもので、
それまでいることの知らなかった自分の孫娘からのものでした。
彼女の母親が病気になり、
腎臓の移植が必要。
それには、「おじいちゃん」しかいない。
彼は迷いますが、それでも、
40年前に捨てたポーランドを目指します……

ドラマとして、すごくデキがいいわけじゃないんですが、
なにしろ、主役のクイーンがかっこいい。
男性の時も、女装の時も。
また、彼の「親友」であるアフリカ系の振付師もカッコイイ。
パリとポーランドの村の対比もいい。
(ちょっとベタかもですが。)
『クイーンの帰郷』というタイトルも秀逸だし。

もう何十年も前、
ピガールのゲイ・キャバレーでショーを見たときのことを思い出しましたが、
もちろん、
ドラマのショーの方が何倍もステキ。
こういうの、見てみたいです!

CONCEPT TOURING

コンセプトは移動するけど、
アーティストは(ほとんど)移動しない、
コンセプト・ツアーリング。
そんなものがあるんですねえ。


CDラック

今や、CDなんか持ってない、サブスクで聞くから、
というワカモノも多いと思いますが、
だいぶ前にセイシュンを送った世代は、
結局手元に大量のCDが残ってしまったのではないでしょうか。
わたしもそうです……。
で、
いつの間には、
encombrant なCDは奥の部屋へと追いやられていたのですが、
その結果、
CDを聞く機会が激減していました。
(YouTubeなんかで済ませちゃうんですね、
特に仕事のBGMなんかは。)
で、
その状況を打破すべく、
可愛らしい脚付きのCD棚を買って、
リヴィングの隅に置く気になりました。
で、
よく選んで買って、
厳選して並べてみました。
たくさんは入りません。
でもこのデザイン、ちょっと気に入ってます。
CDに特化してるので、とっても薄くて邪魔にならないし。


何を選ぶのか迷いましたが、
やっぱり、「ヒラリー・ハーン」コーナーは作ったし、
バッハが一番多くなりました。
ただ、ポピュラー系は入れていないので、
もう1本買って、
ストロマエだのボウイだのシルク・ソニックだのスティーヴィーだの……
も並べてみたくなりました。
(でもまあ、当分はこのままかな……)

半分

今日は6月30日。
2022年も、これで半分終わったことになります。
日本では、「ハーフタイムデイ」みたいなのは聞きませんが。

また今日は、
1年生のフランス語クラスの、
ブック・レポートの締め切り日で、
約50本のレポートが提出されました。
こちらで用意したリストの中から、
好きな本を選んで読むのですが、
今回ザッと見たところ、
『パリのすてきなおじさん』
はいつも通り多くて評判もいいのですが、
『寝転んで読める構造主義』
や、
『三つ編み』
も選んだ学生がそこそこいました。
そしてレポートを読んでみると、
やっぱり、
ちょっとムリヤリでも読んでもらった方がいいな、
と感じます。

後期には、このリストに、
『現代思想入門』(千葉雅也)
を追加するつもりです。
「現代」と言っても、
主に前世紀の話なんですが、
それでも、主に取り上げられているのはフランスの思想家たちなので、
読みやすいし、
いいんじゃないかと思っています。