2021年12月31日金曜日

2021

コロナの時代、になって、
約2年が経ちました。
第一波に襲われた頃、
これは4,5年はかかる、
と言っていた専門家がいたのを覚えています。
なんとなく、まあそうだろうな、とは思いつつ、
意外に早く終わったりして、
と、どこかで根拠なき希望に逃げ込みたい気持ちがありました。
で、今です。
オミクロン株は、
もう別種の何かだと見なすなら、
これが落ち着いた頃にはまた、
新たな変異株が現れるでしょう。
(ワクチン・ナショナリズムが、それを後押しします。)

大学で言えば、
たしかに去年よりはだいぶよかったと言えるでしょう。
授業も、たとえば後期なら、
最初の4回はオンラインでしたが、
残る11回は対面でできました。
オール・オンラインとは、まったく違います。

誰にも分からないことですが、
来年の今頃、
少なくとも今よりはマシな状態になっていることを願っています。
特にアフリカで、
安全にワクチン接種が進むことを。

個人的には、
まあ細かいことはいろいろありましたが、
大枠では、無事に過ごせた一年でした。
ありがたいことです。
そして今年お世話になったのは、
1にネトフリ、
2にテニス、
でしょうか。
テニスは、絵に描いたような「下手の横好き」ですが、
それでも好きは好き。
とくにプレーが始まる前、
風のない水面のようなコートを前にすると、
そこで繰り広げられた、繰り広げられるであろう、
無数の影が踊っているのが見えるような気がします。

2022年が、
みなさまにとっていい年になることを、祈っています。

Que cette année nouvelle soit pour vous un cadeau...

2021年12月30日木曜日

『オスロの少女』


タイトルを見て、
ああ、ノルウェーのドラマも見ておきたいな、
と思って見始めたところ、
思いもしない展開に驚いています。
(今、半分くらいまで見たところです。)

舞台は、(ここまでのところ)
オスロ、
エルサレム、
ガザ地区、
シナイ半島(エジプト)の砂漠、
の4箇所です。
それぞれの土地が、
「オスロ合意」が成された場所、
イスラエルの政治・軍事的中心、
実効支配するハマスの拠点、
IS の活動地域、
に当たっています。
物語は、この4つの「力」の関係を背景にした、
ある少女の誘拐物語です。

このドラマのポイントは、
「オスロ合意」から約30年経ち、
特にアラブ側では、
この合意に対する失望、後悔が広がっているという事実です。
こういう状況の中で、
ある必然的理由からイスラエルを訪れた「オスロの少女」が、
友人と一緒にシナイ半島(←当然危険地帯)に渡り、
IS に誘拐されてしまうのです。
そして彼女の母親は、
「オスロ合意」で活躍した人物で、
彼女は、イスラエルの高官とも個人的繋がりを持っていて……
というわけです。

オスロと言えば「オスロ合意」。
たしかに、それが最初に思い出される事柄かもしれません。
こんなドラマがあるわけですね。

2021年12月29日水曜日

バッテリー

ど~~でもいい話です。

iPhone は、今や 13 が登場しています。
値段も10万を越えていて、
もう完全にパソコン並みです。
一方、
その半分以下である 6あたりを使っている人もいて、
実はわたしも 6s という、
古い方から数えて 3, 4 番目という機種を使い続けています。
別に不都合はありません。
ただこのところ、バッテリーの減りが早く、
近所の店でバッテリー交換をしてみました。
プラス1000円で、容量が 137%のものにできる、
と言うので、それを。

これが、驚くほど違いました。
朝 100%で、
大学から帰ってくると 30%だったものが、
もう、まる 2日以上使っていますが、
まだ 40%残っています。

年季の入った 6s、
まだまだいけそうです!

ちなみに、お気に入りのケースはこれ。

Parisien と書かれていますが、日本製です。
ただこれも、
かなり使い込まれているので、
新年には、
気分を変えたい気もしますね。

2021年12月28日火曜日

ラスト・テニス

昨日、論文の発表会も無事終わり、
やっと気分は冬休みです。
(まあ、あれとあれとあれはやらないとですが。)

で、
振り替えが残っていたテニス、
今年の打ち収めに行ってきました。
ふだんは行かない曜日なので、
久しぶりのMコーチです。
まだ20代中盤の元気な彼女、
フォームのキレイで好きなコーチです。
が!
なんと今日で退職するというのです。
しかも、わたしが出ていたのが最後のレッスンだと。
わたしもびっくりして、
しかも、もうおそらく会うこともないのかと思うと、
とても寂しい感じ。
お別れには、こんな時代ですが、
固い握手を交わしました。
いろいろいいアドヴァイス、ありがとうございました。
新しい職場でも、がんばって欲しいです。

サヨナラだけ人生だ……

2021年12月27日月曜日

今年の3作(2)

というわけで、(2)です。
今度は、ちょっと狭い(?)ベスト3です。

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2021・女性刑事ドラマ、ベスト3

新しい時代の手触りは、女性刑事たちの造形の中にも見いだせるでしょう。凍てつくヘルシンキを生きる『Deadwind 刑事ソフィア・カルピ』。ポーランドが舞台の『泥の沼 97』のヒロインは、ロマの血をひくレスビアン刑事。『コラテラル』では、妊娠中のキップが、サウス・ロンドンの移民街を走ります。


Deadwind 刑事ソフィア・カルピ』:夫を亡くし、仕事に打ち込むことで生きのびようとするシングル・マザー、ソフィア。有能ながら、麻薬を縁を切れない若き同僚ヌルミ。氷が押し寄せる海岸で事件が起き、そこにはソフィアの娘の影が。ヘルシンキとタリン(エストニア)の繋がりもかなり新鮮。


『泥の沼‘97』:レスビアンで、母親とは疎遠で、ロマ語も話すウィテク。不敵な笑みを浮かべる彼女は、ワルシャワを追放され田舎の町へ。そして洪水の後、町外れの森で少年の遺体と不審な骨が見つかります。かつてドイツに占領され、その後ソ連軍に解放されたこの森の深い闇に、よそ者刑事が迫ります。

 

『コラテラル』:サウス・ロンドンで不法就労する移民たち。その一人が殺害され、妊娠中のキップが担当することに。この移民地区には、労働党の幹部も、移民女性と暮らす女性司祭もいます。そして第一容疑者は、シリアでの戦闘後、PTSDに苦しむ誠実な女性大尉。彼女が受けたむごいハラスメントとは……


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実は『ペーパー・ハウス』にも、
印象に残る女性刑事が二人出ていました。
どても好きな二人ですが、
ここでは、
明らかに主人公である女性刑事に限定しました。
もちろん、作品のデキも加味しています。

それにしても、
この「女性刑事」という映画的存在は、
一つの突破口になり得ると思っています。

2021年12月25日土曜日

EXIT

そういえば、韓国映画の 

EXIT

を見ました。


ある種のパニック映画で、
街が有毒ガスに覆われてゆく中、
なんとかそのガスから逃れようと奮闘する男女の物語です。
この二人、実はかつて学生時代、
ボルダリング部(?)の先輩後輩でした。
ただし男は後輩女性に振られた経験があり、
しかも今「無職」なので、
再アタックしたくてもできない……
みたいな状況だったのです。

まあ、これはお風呂で、
「休憩」として見ました。
ヒロインのユナは、
HUSH のときより親しみやすい感じで、
軽いアイドル・エンタメ映画としては、
よろしいのではないでしょうか、
という感じでした。

今年の3作(1)

今年見た作品の中で、
ベスト3を選ぶという企画、
これを twitter の「総合芸術系アカウント」でやろう、
っていう話になっているんですが、
ここで、わたしの分を、
先行発表しちゃいましょう。
(字数は、twitter に合わせてあります。)

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2021・映像作品、ベスト3

ベスト1は、スペイン・ドラマ『ペーパー・ハウス』。圧倒的なドライブ感と、人物たちの魅力。そして韓国ドラマの『ハイエナ』は、ヒロインの生き方も、隠れテーマも強烈。またご存じ『シャン・チー』は、力と力ではなく、新たな原理を生きる可能性を、萌芽的にせよ示したのではないでしょうか?


『ペーパーハウス』:「人を傷つけない」強盗団が、貨幣制度の権化である造幣局を占拠し、ボニー&クライドとは別のタイプの英雄になる物語。警察側も含めた群像たちは、偉大と卑小、歓喜と悲嘆、そして変幻する美の化身です。セリフもほろ苦く、パルチザンの音楽も嵌まってる。サイコー!


『ハイエナ』:地べたを這いつくばって生きてきた女性キムと、エリート判事の息子チュ。この二人の弁護士の、アンビヴァレントな恋の物語。それはとりわけ、キムの大胆な行動力によってドライブされるのですが、驚くのは、父親殺しのテーマ。父親たちが迎える「死」は、家父長主義の死なのです!

 

『シャン・チー』:帝国主義的で、所有と支配に取り憑かれた男と、自分の心身に耳を傾け、その希望を生きようとする女。この二人を親に持つシャン・チーは、暴走する「力」と向き合ったとき、行動原理の選択を迫られます。その答えは、これまでのマーベルとは違う地平を示しているように思えるのです

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実は、『ペーパー・ハウス』は今2周目の最中、
というか、今日、見終わる予定です。
登場する女性たち、つまり、
シングル・マザーで刑事であるラケル、
やはりシングル・マザーであるナイロビ、
衝動的で野性的なトーキョー、
まじめで純情なモニカ、
妊娠中の女王様アリシア、
トランスジェンダーのマニラ、
ピアニストで強盗のタチアナ……
驚くのは、彼女らがみんな、
それぞれに魅力的なことです。
主人公だと言ってもいいトーキョーは別格だとしても、
年齢もオリエンテーションもバラバラな女性たちを、
これだけ魅力的に見せただけでも、
たいへんなことだと思います。
BEST 1 は、『ペーパー・ハウス』です。



2021年12月24日金曜日

1月の新刊

白水社からのお知らせ、に登場。



黒田さんの新刊と一緒っていうのが、
また嬉しいです!

今年1番か?

今年の授業も昨日終わり、
(来週まだ論文審査などがあるんですが)
一応、一段落です。
コロナになることもなく、
風邪をひくこともなく、
まあ、何回かは医者に行ったりもしましたが、
なんとかここまで無事たどり着きました。
パチパチパチ。

というわけで、
クリスマスも近いし、
今日は、豪華版のディナーに行ってきました。
ときどきランチで行くビストロなんですが、
夜は値段的になかなか……
でもまあ今日は、お疲れさまということで。

で、素晴らしくおいしかったので、
写真を挙げていきます。

まず、オードブル盛り合わせ。
(テリーヌが抜群。自家製ハム、鴨とオレンジ、3種のチーズ、
ブリとホタテ。これで2人前。)



洋梨のコンポートとイチゴとフランボワーズのサラダ。
かかっているのはチーズ。これも2人前。



オマール、赤海老、いくらの、chaud-froid(冷製ー温製)
(オマール食べたの、いつ以来?)



金目鯛の雲丹ソース。ゴボウのフリット。
(ソース、おいしい。)



鴨と、牛ヒレ&フォアグラの重ね焼き。ソース・ペリグー。トリュフ添え。)
(コンビネーション、火の遠し具合、シャープなペリグー、みんな素晴らしい。)



リンゴのケーキ&アイス。
(黒っぽく見えるのは、コーヒー・ソース。)



アラカルトで、それぞれの量を少なめにしてもらって頼みました。
で……
ほんとに、どれもおいしくて、驚きっぱなし。
安くはないですが、
でもビストロなので、
これに加えて3杯飲んで、7000円ちょっと。
内容を考えたら決して高くないと思いました。
(パリだったら、ゼッタイもっと高いでしょう。)
この店、来るたんびに、
また来たいと思うのでした。

おいしゅうございました。

2021年12月20日月曜日

『パリの確率』

大学院ゼミ、いよいよ今年の終わりに近づいてきました。
で、今回は、
ベルモンドとロマン・デュリスという、
(間にドパルデューを挟んだ)
2つの時代のスターの共演作を見てみました。
わたしも、10年振りくらいです。

『パリの確率』(Peut-être)


ロマン・デュリスは、基本、
父親にあるとか、
「ちゃんとした男」になるとかを拒否し、
ただ蝶のように、
きれいな女性たちの間を飛び回るのが好きな、
大人になれないやつ、
を演じさせたら天下一品です。
そしてその分、
イライラさせられもするのですが。

ただこの作品では、
彼は「引き受ける」のです。
クラピッシュ監督と組んだ別の作品では、
(例の3部作のことですが)
一貫して「幼年」、「未成熟」の人なのに、です。

それはともかく、
落ち着いて見ると、
たとえば卵とか、ピストルとか、
もちろん砂とか、
象徴性を持った小物が上手く使われていました。
さすがクラピッシュ、という感じ。

で、今日見て、
今まで以上に印象に残ったのが、
ロマン・デュリスの恋人役の、
ジェラルディーヌ・ペラスです。
彼女はこれにも出てました。


そして最近では、ドパルデューの妻役も。


ここでも、ちょっと愁いを含んでいるあたり、
かわらず魅力的でした。

2021年12月19日日曜日

「囚人の精子で体外受精…のはずが パレスチナ舞台の映画に猛批判」

今日の朝日新聞のニュースです。


「ワールド映画」ゼミでは、
今年も『オマールの壁』を見たのですが、
どうしても思い出してしまいます。
で、
さっそく学生にも、
この記事を読むように指示しました。

そして実は、春にもこんな記事がありました。


こちらもまた、学生に指示しました。
まあ、成績には関係ないので、
読まない学生もいるでしょうが、
読む学生もいると信じて。

2021年12月18日土曜日

「読むことの小道をたどるうちに」

先日ご紹介した管さんの新詩集、

PARADISE TEMPLE

さっそく読んでみました。

言葉の、
ささやくようなフットワークと、
時に振り下ろされる垂直的な剣が、
「世界」を押し広げ、
「時間」への眼差しを、未来へ、過去へ、
深く伸ばしてゆきます。

まず、最初に目に飛び込んでくる目次が印象的。

砂浜、図書館、地形、気象、
モロッコ、西瓜、Mac Air、水……

こんな世界。
こんな響き。

でたとえば、「かぶとむし」の始まりは;

夏休みになって森が近くなった
二階の屋根の高さを緑の樹木が歩いて行く

Mmm、いいですねえ。
「かぶとむしの季節がやってきた」のです。

それから、論理から遠く離れて魅了されたこの一節。

すると友人が、この子のお兄ちゃん
なんていう名前だと思う、と訊いてくる
ぼくが間髪入れずという感じで
現実
と答えると
友人と母親が目を丸くして驚く
どうしてわかったんですか、と母親に訊かれて
え~、わかるでしょ、と答えたが
自分でも理由はわからなかった
いい名前だな、とは思う
兄妹にとって、すると友人が
ゲンジツだけど reality じゃないんだよ、と言う
それで頭の中でただちに別変換して
あ、幻の、
というと二人がそうそうと肯く
そこではじめて
すごい名前だなあ、と感心する
幻日か、Sun Dog か
偽の太陽か、それもいい          (Sun Dog)

思いも寄らない言葉の「別変換」が起き、
見慣れない世界が突如目の前に現れてきます。

そして……
『東京詩』の授業でも、
詩の対象の拡大、について話題にするのですが、
もう、それが全方向的に試みられています。
如実に分かるのが、ここ。
「文学とは何か」という詩の、冒頭の1行です。

そんな主題で詩が書けるものだろうか

けれども詩は、すでに書かれているという……。
そしてこの詩にはこんな一節も。

読むことの小道をたどるうちに
書くことの空き地にたどりつく

そしてその空き地で、
人は歩き、
さまざまな気象に包まれ、
また歩き続けるのだろうと、
この詩集を読むと、
思えてきます。

2021年12月17日金曜日

学生たちと

はっと気づくと、
今年もあと2週間ほどで、びっくりします。
レポートまみれ(!)の日常が続いていて、
授業もあれば会議もあり、
廊下での根回しもありで、
やはり時の経つのが速いので、
しみじみする暇はなかなかないのですが。

でも、この頃、
学生たちとしゃべる機会が増えた気がします。
1つには、レポートに対するコメントに対して、
質問に来る学生がいること。
「本能じゃなくて文化的にって、ほんとにそうなんですか?」
もちろんそう。
大昔ですが、伊丹十三の名台詞、
人間は本能が壊れて生まれてくる、
を紹介したり。
あるいは授業後の廊下で、
秋田出身の女子学生から、
そのふるさとの様子を教えてもらったり。
あるいはトイレで会った学生が、突然、
「先生の話、おもしろいです!」
と言ってきてくれたり。
そしてこうしたことすべては、
対面授業だからこそなんですよね……。

(いやもちろん、
「雑談」に興味を示さない学生もいます。
あるクラスでは、こちらが話していても、
おかまいなくキーボードをたたき作業を続ける学生がかなりいて、
また顔を上げている学生が一人もいなくて、
まったく聞く気がない雰囲気だったので、
その旨を告げ、急遽「雑談」は中止。
「授業」に戻ったこともあります。
ただ、授業後、
先生、あの続き聞きたかった、
とわざわざ言いに来た学生もいたんですが。
彼には、廊下で個人的に話しました。
あのファイザーなどの、悪名高いオピオイドの話です。
もちろんこれは、試験に出ません。)

そういえば、さっき読んだブック・レポートでは、
本の内容が、
以前の授業内容や、
以前見た映画の内容と結びつく点があり、
「先生がそうしてるんだろうけど」
でも、そのリンクがおもしろい、
と書かれていました。
そう、もちろんそうしています!
でも、なかなか気づかれないので、
気づいてくれる学生がいて、少しほっとしました。
この授業は、
かなりハードな宿題を出してるんですが、
ついてきてくれる学生は、
のびてるなあ、と感じることが多いです。
大変だろうけど、
あと少し、がんばって欲しいです!

2021年12月16日木曜日

PARADISE TEMPLE

管さんの新詩集が発売になりました!

PARADISE TEMPLE



もう、第八詩集になるんですね。

さっき机の上に置きました。
体調のいい日に、読みます!

2021年12月11日土曜日

レポート・続

今日の午後は、
レナさんと編集者とわたし、
3人で Zoom打ち合わせをしました。
仲良しの3人なので、
仕事とはいえ楽しいです。
しかも、今回の企画は、
かなり画期的なものだと思っています。
(リーダーはレナさんです。)
モノ的には、
大きな売り上げにつながったりすることはないんですが、
やりがいがあります。
実際に完成するのは、
来年の秋以降の予定です。

で、レポートです。
徐々にですが読んでます。
ほとんどのレポートはちゃんとしていて、
というのは、ちゃんと課題の本を読み込んでいて、
読んでもらってよかったなあ、という感じ。
なるべくヴァリエーションを持たせた10数冊から、
好きなのを選べるようにしてるんですが、
学生の選択はかなりばらけていて、
まあ、こちらも飽きないのでいいです!
ちなみに、特に評判がいいのは、

『パリのすてきなおじさん』

です。
たしかにおもしろいですからね~。

レポート

今手元に、
読むべきレポートが140本ほど集まっていて、
この週末にも、
20本以上来る予定です。
読んで、
やはりちょっとはコメントすることになるのですが、
全部読み終わるのは、いつになるのでしょうか……?

『フラ語ボキャブラ』&『フラ語動詞』、
ついにわたしの手は離れました。
とりあえず、よかったよかった……
編集のMさんのアイディアのおかげで、
いい「増補」が付いたと、
わたしは思っています。

早くも、出てるんですね。



いや、早い!

2021年12月9日木曜日

追い込み

もちろん授業もあり、
もれなく予習&レポート読みもあり、
という日常プラス、
今、2冊の「増補」版の追い込みです。

1冊は、『フラ語ボキャブラ』。
これは、ボーナス・レッスンを3課付けました。
テーマは、
「SNS」
「世界市民として(!)」
「コロナの時代」
です。
それぞれ、新鮮な語を揃えました。

もう1冊は、『フラ語動詞』。
こちらは、ボーナス問題を100問、
付けることにしました。

もちろん全体を見直しますが、
メインはそれぞれの「増補」部分なので、
仕事量がすごく多いというわけじゃないんですが、
やっぱり、ちゃんとしようとすると気を遣います。

両方とも、1月中旬に出る予定です。

そして実はもう1冊、
こちらは教科書で、
出るのは随分先になりそうですが、
こちらもけっこうできてきています。
リーダーはレナさんです!

2021年12月4日土曜日

弁当は大事

今日は土曜日、だったんですが、
業務のために大学へ。
で、お昼には弁当が支給されたんですが、
これがちょっとひどかった(涙)
ご飯の上に、
串から外した焼き鳥が転がっているんですが、
その3分の1ほどは黒焦げ。
で、となりに卵焼き、
そして人工色でペラペラの漬物、以上おわり。
Mmm...  これはひどい。
弁当がこれだと、はっきり言って、
モチヴェーションが下がります。
もちろん、もっとマシな弁当が支給されることもあるんですけどね。
(どっちにしろ、仕事はちゃんとやりますが。)

ふと思い出すのは、
「テレビでフランス語」の時の弁当。
あれは、スタッフが、
渋谷周辺のおいしそうな店を本気で探してくれて、
毎回いろんな弁当が出て、楽しみでした。
みんなも盛り上がるし、
やっぱり弁当は大事ですね!

2021年12月2日木曜日

『ソフィー・マルソーの刑事物語』

大学院ゼミ、今回見たのは、

『ソフィー・マルソーの刑事物語』(1984)

です。
ジェラール・ドパルデューを見るために選んだ映画です。
(が、院生の一人は、
監督であるモーリス・ピアラが「好き」で、
4,5本は見ていると言ってました。)
本当は、同じピアラの『ルル』が見たかったんですが、
これは国内盤がないんです。
(英語字幕で、今後見るかもしれませんが。)

思えば、ソフィー・マルソーが『ラ・ブーム』でデビューしたのが、
1980年。
わたしが大学3年の時です。
フランス文学科ですから、
もちろん話題になり、
新宿に見に行った記憶があります。
ただその時は、「ブーム」っていうものもよく分かってなくて、
年下の子たちの映画を見るのにも慣れなくて、
けっこう戸惑ったのでした。
あれから40年! ですねえ。

今回見た『刑事物語』のほうは、
舞台がパリなのに、
いわゆる「花のパリ」がまったく登場せず、
くすんだ警察署や、
むしろ殺伐とした街角ばかりが背景となっていました。
もちろん、そうしたものを選んだのでしょう。

素晴らしくおもしろいわけでもなく、
つまらないというほどでもなく、
でもやはり、ソフィー・マルソーを見る映画なんだろうとは思いました。

2021年11月28日日曜日

『アンダーカバー:秘密捜査官』シーズン1

先にスピンオフ映画『フェリー』から見始め、
今日やっと、シーズン1を見終わったのが、

『アンダーカバー:秘密捜査官』

です。
『フェリー』の舞台はアムステルダムでしたが、
今回は、オランダ国境沿いにあるベルギーの町、
ロンメルが舞台です。
フェリーをボスとする麻薬密売組織は、
ロンメルのキャンプ場を根城にしているのですが、
そこに、男女二人の覆面捜査官、
ペーターとキムが潜入し、
フェリーたちと仲良くなり、
最後は、偽の「仕事」を持ちかけてはめようという作戦です。

フェリーは単なる「太ったおじさん」にも見えますが、
その独特な風貌はなかなか魅力的です。
こんな家業だし、誰も信用してないし、
酒が入ると特に家父長的態度が丸出しですが、
誠実な人間で、妻を愛し、
受けた恩を忘れない人間でもあります。
(イーストウッドの描く人間が、
「差別的でいい人」なのが思い出されます。)
そして、フェリーの妻がダニエル。
キャンプ場で一人暮らしし、
夜店の売店で働いていた彼女が、
ある晩、元彼にしつこくからまれていたところを、
居合わせたフェリーが助けたのが、
二人が仲良くなる初めでした。
この恋愛は、何度も頓挫しかかったのですが、
ぎりぎりのところでうまくいったのです。
ただダニエルは、今も、
夫の仕事についてほとんど知らされていません。

このドラマ、マフィア物なのに、とても静か。
銃撃戦や乱闘シーンはほとんどありません。
でも、なぜか、
するすると最後まで見てしまいました。
もちろん、潜入捜査の成否もサスペンスを作りますが、
ドラマの後半で気づいたこと、
それは、ダニエルが気になるということです。
というのも、なにも知らない彼女は、
女性捜査官であるキムに誘惑され、
レスビアンとしての自分に目覚め、
キムを愛し始めるのです。

(左がダニエル)


そしてキムは、苦しみます。
麻薬組織撲滅のためとはいえ、
素朴なダニエルを、深くだましていることに違いはないからです……

まさか、
こんな隠し球が用意されているドラマだとは思っていませんでした。
わたしはおもしろかったです。
(映画『フェリー』を先に見ておいてよかったと思っています。
映画の方が、時間的に前だし、
フェリーやダニエルのことが、
よく分かってみる方が、
まちがいなく味わい深いからです。)

シーズン2に入ります!

2021年11月26日金曜日

pour lutter contre la maltraitance animale

今週記憶に残ったニュースの1つがこれ。



2024年ですから、まあ、すぐですね。
フランスのニュースを見ていると、
「もう店をたたむ」
と言っている店主もいれば、
「犬と猫だけって、なんて不徹底」
と憤るブリーダーもいました。
まあ、たしかにそういう面もあるのでしょうが、
この法律が画期的なのは間違いないでしょう。

ヨーロッパでは、
環境問題や動物愛護に関わる法律が厳しく、
それはまったく日本の比ではないのでしょう。
その是非は措くとしても、
今回のフランスのような法律は、
日本では検討された形跡すらないわけですから。

ただ、ここで思い出されるのは、生類憐れみの令。
この、悪法として知られた法律が、
1980年代以降、
とりわけ2010年代以降、
動物愛護の文脈から見直されていると言います。
(『いのちへの礼儀』より)
いろんな分野での地殻変動を感じるこの頃ですが、
ここでもまた、
なにかが変ろうとしているのでしょうか。

2021年11月25日木曜日

『マリリン&モナ』

4年前にフランス語版で見たこの映画、


日本語版が出ているのを知って、
DVDを買っておいたんですが、
先日、院生と一緒に見ました。
彼はかなりのシネフィルなんですが、
ラシッド・ブーシャレブ監督は見たことがないと。
わたしは好きな監督なので、
じゃあ見てみてよ、
となったわけでした。


90分弱で、
シカゴと、そこからサンタフェに向かう道中と、
二人の生き生きした女性たち、
彼女らを取り巻くさまざまな人たちが、
過不足なく描写されていて、
やっぱりわたしは好きな映画でした。

2021年11月23日火曜日

『バルスーズ』

今週の大学院ゼミでは、

『バルスーズ』(1974)

を見ました。
原題は Valseuses。
「女性バレリーナ」ですが、
隠語として別の意味もあります。


日本ではあまり知られていないようですが、
アラン・ドロンとベルモンドの次の時代の幕開けを告げる映画だと、
ピエール・マイヨは指摘しています。
ゼミでは、その文脈で見ました。

主演は、ジェラール・ドパルデューとパトリック・ドヴェール。
とにかく、
これは極めつけの「不道徳」な映画です。
まず冒頭、この二人が画面の登場するわけですが、
それは、
スーパーのカートに乗ったドパルデューを、
パトリックが早足で押しています。
ふざけた登場です!
しかも二人は、中年女性をつけ回している最中で……


彼らは、殺人を犯したりはしませんが、
細かな不道徳はいくらでもやらかす人間なのです。

でこの二人は、
クルマを盗んだことがきっかけで、
ある若い女性と仲良く(?)なります。
彼女は、勤め先の美容室の店長の愛人で、
まあ、セックスをさせることに抵抗がありません。が、
実は彼女は「不感症」なのです。
でこの「不感症」と、
男たちの持つピストルが、
大きな象徴性を持つことになるように見えます。
彼女は、ピストル(=パターナリズム)を持つ男性とはダメで、
初めてピストルを持たない男性を関係したとき、
やっと「感じる」ことができるのです。
それは、抑圧から解放された女性像のようにも見えるでしょう。

パトリックの役名は「ピエロ」で、
これは『きちがいピエロ』を踏まえているでしょう。
また、彼ら3人の逃避行は、
ボニー&クライドを思い出させもします。
また彼らの他に、
刑務所から出所してくる女性(ジャンヌ・モロー)や、
ピエロたちと初体験をする女性(イザベル・ユペール)なども登場し、
「読み」を誘ってきます。

『フェリー』

主人公の風貌に惹かれて(ネトフリで)見始めたのは、

『フェリー』(2021)


舞台はアムステルダム。
麻薬組織のボスの右腕として働くフェリーは、
どんな汚れ仕事もこなしてきました。
で、今回は、
彼らの事務所を襲い、
ボスの息子を撃った3人組を「始末」する指示を受けます。
一人、二人……、
順調に「始末」しますが、
3人目を探して潜り込んだキャンプ場で、
ほがらかでサンパな女性ダニエルと出会い、
二人は心を通わせていきます。が、
ダニエルの弟が現れ……
というお話。

「ふつう」の物語で、
なにか目新しいものがあるわけではありません。
でも、フェリーとダニエル、
二人の雰囲気がよくて、
楽しく見ることができました。

で……

『アンダーカバー:秘密捜査官』というドラマがあり、
マイリストに入れてあったのですが、
この『フェリー』、
実は『アンダーカバー』のプロローグになっていました。
(見終わってから気づきました。)
しょうがないので(?)、
『アンダーカバー』も見始めました!

2021年11月20日土曜日

今年一番

今日は……
朝9時頃から、
今、夜の11時10分前まで、
食事時間以外は

ず~~~~~~~~~っと

パソコンの前にいて、
一昨日編集者と打ち合わせた仕事を進めていました。
おそらく、
仕事時間は今年一番です。
でも、
一応今日の目標は達成できて、
よかったです。
明日もまた、がんばります!
(明日は、授業の予習もあるので、
今日より厳しくなる……!?)

そして!
ついに管さんが登場。


必聴です。

2021年11月19日金曜日

iel

この問題、ずっと気になっています。



文法的性は、
自然の性を模倣しているもの。
自然の性とは、
もう少し正確に言えば、
人間が「自然」だと認識しているものの、
さらに、「性」だと認識しているもの。

はっきり言って、
伝統がどうの歴史がどうのという論議は、
頭の固い「国語」学者のよう。
言語は人間の認識の反映。
認識が変れば言語は変る。
当たり前のこと。

2021年11月18日木曜日

ロイホで

というわけで、
今日は久しぶりに、
対面で打ち合わせを敢行しました。
「ええと、2年振り? 3年振り?」
もう、最後にいつ会ったのか思い出せないくらい。

で、以前使っていた店が営業しておらず、
中ではテーブルが広いロイヤルホストへ。
昼間のファミレスって、
打ち合わせ、って感じです。
ドリンクバーもあるし、
打ち合わせし放題!

こちらの増補版は何にして、
あちらの増補版はこんな感じ、
こんなのも入れたらどうでしょう、
それからそれらの、新しい帯の色、
あの有名語学者の3月予定のイベント、
それに合流させてもらうかどうか……

かれこれ4時間ほど、
楽しく盛り上がりつつ、
打ち合わせできました。
やっぱり、対面がいいですね!

fortnitiser

毎週のことですが、
授業が週の前半に偏っているので、
月・火・水はあっという間に過ぎてゆきます。
授業があるということは、
その前になるべくレポートも読んでおきたいので、
日曜日、あるいは土曜日も、
けっこうレポート読みに時間を使っています。
なので、
ちょっと余裕があるのは、
木・金、なんですが、
金は会議日になることもわりとあるので、
結局、木曜が一番ほっとします。
ただし!
明日(というかもう今日ですが)は、
ほんとに久しぶりに、
編集者と対面で打ち合わせする予定です。
ついにここまで来たなあ、という感じ。
もちろん、
また今後次の波がやってくるのはほぼ確実なんでしょうが。

打ち合わせの資料を求めて、
ネット上をさまよっているうち、
1つおもしろい動詞を発見しました。
それは動詞、

fortnitiser 

です。
これなんでしょう? 
そう、あのゲーム、
「フォートナイトをする」
です!
そして調べてみたところ、
「~にフォートナイトのキャラを与える」
の意味もあるようです。
ウルヴァリンとか、
ミスティークとか、
いましたね。

たわいないですが、
こういうの、好きです!

2021年11月14日日曜日

「コンテンポラリー・リリックの世界」

現代詩手帖で、
不定期(?)に連載されているこのシリーズ、
トヨザキ社長と広瀬大志さんの対談形式なんですが、
今回(11月号)のは、
なかなか読み応えがありました。
これはつまり、
いわゆる「詩」の世界と、
歌謡曲~J-POP的な「歌詞」の世界との、
分岐したり合流したりする関係を読み解こうとする試みです。

まず、1つの足がかりとされている、
吉本隆明の「戦後詩」解釈があるんですが、
(平出隆の「吹上坂」と、さだまさしの「無縁坂」の間に、
決定的な違いはないんだ、という指摘)
これは、ここでも展開されている論議です。


で……

ここで広瀬氏が示している説は、
全面的に賛成、とはいきませんでしたが、
少なくとも、とてもおもしろいと思いました。

まず、
「戦前の詩は、近代史の流れと歌謡曲の流れがリンクしていて、
北原白秋にしても西條八十にしても、
詩が自然と定型的な歌になっています」
というわけですが、
なるほど「鉄道唱歌」にしたところで、
「リンク」した地点に成立しているとも言えそうです。

そして戦後については、
「荒地」と「歌謡文芸」が、
「列島」と「新歌謡界」が、
それぞれ同じ年の出版である(なんと!)ことを踏まえて、
そこにある「分岐」の徴を読み取ります。
なるほどね~

でその後は、1970年代から現在まで、
代表的な「歌詞」の読み込みを中心に、
この流れの跡をたどるのですが、
1つのエポックとされているのは椎名林檎で、
彼女の登場は、
分岐の合流を意味しているとされるのです。
これはいわれてみれば、
たしかにそんな印象もあります。
(『東京詩』を書くとき、
入れようかどうしようか、
最後まで迷ったのが「歌舞伎町の女王」でした。)

そしてここ数十年ほどの「代表曲」については、
わたしが知らないものも複数混じっていたので、
さっそく YouTube で勉強しました。
正直言って、
ここで褒められているほどとは感じないものもありましたが、
でも、とてもおもしろかったです。
1つだけ例を挙げるなら、これかな。


明媚 洛上 折々の
汲み取るストイック 不安だけ
浮世さ
負う 鎮火 鎮火

というのがサビですが、
これ、空耳が起きるのを計算して作っているそうです。
たしかに、英語混じりの、
別の言葉に聞こえます。
(まあ、ギャグ、っていうレベルにも聞こえますけど!)

次回も楽しみです。

2021年11月12日金曜日

『24時間の情事』

今週の大学院ゼミでは、
予定していた『きちがいピエロ』を急遽取りやめて、

『24時間の情事』(1959)

を見てみました。
(『エターナルズ』を見てきた院生が、
「ヒロシマ」も途中言及されていた、と言いだし、
訊いてみたら、
『24時間の情事』は未見だというので、
それなら、となったのでした。)


これは、デュラス&アラン・レネ作品だけあって、
物語を説明するのは難しいのですが、
まあ表面的には、
日本人男性と、
映画撮影でヒロシマを訪れていたフランス人女優との、
「行きずりの恋」、
ということになるのでしょう。

構図的には、当然、
男(岡田英次)はヒロシマ・日本、
女(エマニュエル・リヴァ)はフランス、
なんですが、同時に、
男はWWⅡにおけるあるドイツ兵(のイメージを形象化)、
でもあるのです。
実は、女は大戦中、ドイツ兵(←殺される)と恋仲になり、
終戦後は、対独協力者として、
村人たちに髪の毛を切られた経験を持っています。
で、
一人の女性が二重化され、
男もまた二重化されていくのです。

評価するのはなかなか難しいですが、
エマニュエル・リヴァは、
40年前に見たときより魅力的に感じられたし、
見ていて飽きませんでした。
何が可能で何が不可能なのか、
それが問題なのかもしれません。

『ザ・テキサス・レンジャーズ』

先日見た『最後の追跡』がよかったので、
やはりテキサス・レンジャーが登場する、
その名もズバリ、

『ザ・テキサス・レンジャーズ』(2019)

を見てみました。
主演はケビン・コスナーです。


舞台は、1934年のアメリカ。
もちろんテキサスは出てきますが、
州内におさまる物語ではありません。
というのも、この映画、
あのボニーとクライドを追う、
引退していたテキサス・レンジャーの話だからです。
この、世界恐慌から5年後のアメリカで、
とりわけテキサスには、
貧しい移民キャンプがありました。
ボニーもクライドも、
そうした場所で育ったのです。
ただ物語は単純で、
引退して「老後」を送っていた、
かつての「凄腕」「テキサスレンジャー」に、
ボニーたちを捕まえてくる(というか射殺も可)仕事が回ってきます。
で彼らは、紆余曲折ありながら、
その仕事を完遂させるのですが、
その過程そのものが映画の物語です。

ボニーとクライドは、
テキサスの移民キャンプで育ったようなんですが、
テキサスでは、

*******************************

植民地時代にテキサスを領有していたスペインをはじめ、

ドイツ、アルザス、スイス、オーストリア、

チェコなどからの移民が持ち込んだ文化が融合して

食文化、ビール、建築、音楽に影響を及ぼし、

南部や南西部の他地域とは異なる「テキサス的」な文化が創り上げられた。

例えば、ドイツから持ち込まれたアコーディオンは、

土着のメキシコ系テキサス人(テハノ)の音楽に影響を及ぼし、

19世紀にはテハノ音楽におけるポピュラーな楽器となった。

 映画『セインツ-約束の果て-』公式サイト (u-picc.com)

*******************

というのです。
たしかにそういう雰囲気が感じられました。
監督自身もまた、テキサス出身です。

まあ、映画自体はそれほど魅力は感じませんでした。
主人公たちも、
わたしには無駄にマッチョに見えて、
惹かれるところはなかったし、
ちょっと中途半端な印象でした。
ただ、移民キャンプの描写だけは、
なかなか新鮮でした。

<Let's go Brandon !>

今朝のBSニュースで知りましたが、
これ、もとは誤解
(Brandonというカーレーサーのインタヴュー中、
Fu** Joe Biden という歓声を、
同じリズムの Let's go Brandon と聞き間違え、
それ以来、逆にこのLet's go Brandonが、
Fu** J B の意味で使われるようになったとか。)
から始まった、
バイデン大統領への悪口だそうです。
もう wiki までできてました。


ただ、ようは「悪口」であって、
ちゃんとした批判からは程遠いので、
イイ感じはしませんね。


2021年11月9日火曜日

倉石さん登場!

日本を代表する写真批評家、
倉石さんの登場です。
そしてもちろん、
詩人としても、
劇作家としても、
バリバリ活躍中です。


倉石さんと話していると、
その話の中から、
いろんな「パースペクティブ」が浮かび上がってくるので、
いつも感心させられます。
そうなりたいものです。


2021年11月7日日曜日

「読めなかった本と出会い直すには」 『本は読めないものだから心配するな』(ちくま文庫)刊行記念

11月10日です。


リアルタイム配信&アーカイブ、ですね。

下北沢、
もうずいぶん行ってないなあ。


2021年11月6日土曜日

「自民側から1100万円受注 支払いの一部は税金」

大メディアは、
なぜこの問題を報じないんでしょうか?
選挙前だって、
ある程度報じることはできたはずだと思うんですが。


お金のこともありますが、
やってることが下品。

『最後の追跡』

テキサスレンジャー、というものになんとなく惹かれ、
見始めたのがこれ、

『最後の追跡』(2016)

です。
原題は Hell or High Waterで、
「地獄、あるいは絶頂」
くらいでしょうか?
ほとんどなにも期待してなかったんですが、
引き込まれました。
おもしろかったです。


クリス・パイン演じる中年男トビーが、
出所したてのワルの兄と銀行強盗を働き、
それを、定年間近のテキサスレンジャーとその相棒が追う、
というお話です。
こう書くと単なる犯罪もののようですが、
それほど単純ではありません。
そもそも、まじめなトビーが銀行強盗するに至ったのは、
つい最近亡くなった彼の母親が、
まさにその銀行に、
ほとんど詐欺のような手口で、
先祖代々守ってきた牧場を差し押さえられそうだったからでした。
それが執行される前に借金を払おう、
それについては、銀行に払ってもらうことにしよう、強盗してでも、
というわけなのです。
でも、背景はまだ奥があります。
レンジャーの一人は、
先住民とメキシコ系のダブルで、
(先住民系であることを、
彼の上司は執拗にからかい続けます。)
その彼が、あるとき銀行を前にしてつぶやくのです、
「かつて、ここはすべておれたちの土地だった、
それを軍隊が奪い、
いまやまたそれを、
こいつらが奪おうとしている……」
こいつら、とは、銀行のことなのです。
それはつまり、強欲資本主義の象徴のようなのです。
で、さらに、微妙な伏線もあります。
実はトビーたちもまた、
コマンチの血をひいているらしいのです。
トビーの兄は、ある賭博場で、
コマンチの子孫と一触即発になります。が、
そのときこの兄は、
これもコマンチだ、
と言い放つのです。
最初は冗談のようにも聞こえましたが、
やはりこれは事実なのでしょう。
ということは、トビー名義になっている広大な牧場
(そこから石油が出ました!)
は、コマンチの時代以来の所有物なのかもしれないのです。
そう考えると、トビーが子供たちに、
「(相続しても)ゼッタイに売るな」
と言っていたこととも符合します。
つまり、一見単純な銀行強盗は、
背後に、先住民以来の土地に関わる問題が絡んでいたわけです。

邦題は、トビーたちを追うレンジャーに焦点を合わせていますが、
そしてそういう部分もたしかにあるのですが、
やはりこれは、
トビーの土地を巡る物語だと考えるべきでしょう。

乾いた映像が美しく、
その点では『ノマドランド』を思い出しました。
いい映画でした。

2021年11月4日木曜日

お菓子

今日、久しぶりにケーキを食べましたが、
やっぱり、なかなかおいしいもんですね。
人間の手作業はすごいな、と感じます。
もちろん、料理にも。

たまたま、中東のお菓子のレシピを見つけました。
作ったのは一橋大学。
最後の方にある写真だけでもおもしろいです。


『アルジェの戦い』の舞台となったお店、
というのが気になります。
いつか、アルジェに行くことができるかな?

2021年11月3日水曜日

ジョナタン・コーエン/3

今度は、ジョナタン・コーエンが刑事役の、

『アーミー・オブ・シーブズ』

を(ネトフリで)見てみました。
(「シーブズ」って、thieves です。)


この映画は、
<『アーミー・オブ・ザ・デッド』の前日譚>という位置づけで、
『デッド』でも活躍するらしい金庫破りの達人の、
なぜそのようなものになったのか、
が描かれています。(まあ、一応。)

ポツダム。
マティアスは、「退屈」で「平凡」で「オタク」な生活を送っていた。
そこに現れたの魅力的な女性、グウェンドリン。
彼女は彼の金庫破りの腕を見込んで、
強盗仲間に引き入れに来たのだ。
そして彼は、お金よりも、
仕事そのものに魅了されてゆく。
伝説の金庫作りである、ハンス・ワグナーの作品を、
順に3つ攻略しようというのだ。
これを破れば、
自分もまた伝説になれる……

で、ジョナタン・コーエンは、
この強盗団を追い続けているインターポールの刑事。
基本英語でしゃべりますが、
ときにフランス語も。

エンタメとしては、
それなりにおもしろかったです。
金庫破りなら単純にスリリングだし、
人が死んだりしないので安心だし、
そしてやっぱり、
マティアスやグウェンドリンに魅力があるのが大きいです。
グウェンドリンを演じているのは、
『ワイ・スピ』にも出ているナタリー・エマニュエル。
彼女はイギリス人ですが、
母親はドミニカ人とイギリス人を、
父親はセント・ルシア人とイギリス人を、
両親に持っていたようです。

で、おもしろいんですが、
まあ、ラストあたり、
ちょっと違和感もなくはないです。
でもそうしないと、
次作との繋がりが悪い、
ということでしょうか?

『監禁面接』

エリック・カントナ主演のミニ・シリーズ、

『監禁面接』

を見てみました。


(原題は Dérapages。
「横滑り」のことですが、
ここでは、事態がとんどん思わぬ展開を示すことを指しているのでしょう。
複数形だし。
となると、この恐ろしげな邦題は、
ちょっとな~、とも思いますが、
これは原作小説の邦題を、
無視できなかった結果とも言えるでしょう。)

設定はそれなりに現実的ですが、
そこで展開する物語はかなり荒唐無稽で、現実離れしています。
主人公はアラン。
57歳、月収500ユーロ。
二人の娘は独立し、今は妻と二人暮らしです。
彼は、70人程度の規模の会社で、
人事部長として働いていましたが、
6年前にリストラされ、
それ以降は、求人広告を見ては仕事を得る生活。
アパルトマンのローンも残っていますが、
それよりなにより、
彼の自尊心がボロボロに傷ついています。
「失業者」という自分を、どうしても受け入れられないのです。
だから最近の彼は、かなり短気で暴力的。
自己中心主義的でもあります。
そんな彼から、妻や娘たちの心も、
薄皮が剥がれるように、遠ざかってゆきます。
また彼の長女は妊娠中ですが、
その銀行員である夫、つまり義理の息子とはそりが合いません。
次女は弁護士で、
父親のケース(その内1つはクレテイユの裁判所)を担当することになります。
……と、ここまでは、現実的です。

物語は込み入っています。
ある大企業が、大リストラを担当する重役を選ぶため、
偽装テロ事件を企画します。
そんな中でも、会社を守ろうとするのは誰か、
というわけです。
(ひどい話です。)
で、その企画にモニター越しに参加し、
重役を評価する仕事があるわけですが、
その仕事が、
新規採用のためのテストに使われることになります。
アランは、そこに参加することになります。
ただ、この馬鹿馬鹿しく非人間的な企画の途中、
アランが大きく「横滑り」を見せるのです。
彼は、用意してあった銃を抜き、
本物の人質事件を起こすのです……

物語はこの後も、
「横滑り」を続けます。
このあたりを、おもしろいと感じる場合もあるかもしれませんが、
わたしは、ピンときませんでした。
失業者と新自由主義者の対決、
という構図の中で、
権威主義的で暴力的な主人公の、
ある種の逆転を描いているとも言えるのでしょうが、
残念ながら、
このアランが好きになれない。
そこが苦しいところです。


アランの次女を演じたのは、
『パリ警視庁:未成年保護特別部隊』
の中で、
暴行されて妊娠し、
その子を産む女性を演じていたアリス・ドゥ・ランクザン。
彼女は、Noces や『水の中のつぼみ』にも出てましたね。


またアランの妻は、これらに出ていました。



後者は、ソフィー・マルソー主演ですから、
日本版が出てもいいと思うんですが。
(この監督、かなり好きです。)

『喜劇急行列車』

渥美清ですねえ。
6日(土曜)の21時まで、
無料だそうです。


1967年と言えば、
おお、最近見たばかり、
『サムライ』の年ですね。

2021年11月2日火曜日

筋が

政治がらみのことを書きたいわけじゃないんですが……

枝野氏が辞任を発表して、
まずはまっさきに、
小川淳也氏が、実質的な立候補宣言をしました。
もちろん、
まだまだまだまだ流動的なのでしょう。が、
もしも小川氏が勝つようなことになると……

先日、
『なぜ君は総理大臣になれないのか』
の感想のところにも書きましたが、
小川氏自身は、真面目で、信用できる人のように見えます。
ただ、彼の政治信条は、
ネオリベであるように見えるわけです。
なにしろ、彼自身が、
自分は「前原さんの最側近」
と公言しているわけですから、
間違いないでしょう。
となると、
もしも小川氏が勝つと、
これは、維新との接近が強く予想されます。
維新は自民よりネオリベ性が強く、
わたしにとっては自民より避けたい存在です。

なぜ大阪で維新が連勝したのかについて、
いくつか仮説を読みました。
その中で目立ったのは、
維新支持者の反知性主義的傾向です。
彼らがもっとも嫌うのは、維新に批判的な
「<頭いい感じの>リベラル」
「<上から視線の>知性」
なのだと。
(これって、海の向こうでも起こりましたよね?)
カジノ、民営化、合理化、選択と集中、
どれも維新的で、ネオリベ的。
演説が上手いんだとか、
ルックスがいいんだとか、
そんな説明もありましたが、
彼らのネオリベ性について、
大阪の人たちはどんな風に評価しているのでしょう?
大阪的なるものが、
全国的になっていくのが嬉しいという部分もある、
という説明もありましたが、
それならタイガース優勝の方が!

話がどんどんそれましたが、
とにかく、
最大野党が維新と合流するのは、
とても筋が悪いと思っています。
返す返す、
辻元氏がいないのがイタイです……

「打つ手はある」

retweet です。

**********************

依然として温暖化に打つ手はある。
二酸化炭素排出量のほぼ75―80%は
世界20カ国の4大排出源
(発電所、自動車、建物、工場)
での化石燃料燃焼が原因だからだ。
つまり、
これら20カ国の四つの産業部門の
クリーンエネルギー化を試みれば
状況は大きく変化する。


********************************

いわゆる「貧しい国」は、
そもそも CO2 を出す燃料を、
大量に買うことなどできません。
G20、豊かな国の、自己欺瞞?

2021年11月1日月曜日

高尾山

今日、
予定していたゼミが諸事情のため休講になり、
(というか、本来、文化祭のため休講なんですが、
まあ暇だしやるか、という感じだったのです)
ふと思い立って、高尾山に行ってきました。
紅葉にはまだだいぶ早いんですが。

まずケーブルカー。



で中腹に到着。これは東京方面。




そこから10分ほどで薬王院。




さらに20分上ると、頂上です。




薄曇り。
で、時々太陽が顔を出す、という感じでしたが、
晴れの日よりむしろしっとりして、
山の静けさが深まる印象でした。

自宅から高尾山口まで、
クルマで1時間弱。
今日も、
家を出たのは昼食後、1時過ぎでした。
でもこれで、
行こうと思えばすぐ行けることが、
はっきり分かりました。

ジョナタン・コーエン/2

ジョナタン・コーエンと、
マニュ・パイエ主演のコメディー映画、

Budapest 『クレイジー・プラン・イン・ブダペスト』(2018)

を見てみました。
ネトフリです。


パリ。
上司にいびられたりするうち、
だんだん仕事がイヤになった二人の中年男性、
アルノーとヴァンサン。
彼らは、ほんの思いつきで、
バチュラー・パーティーを催行する仕事を始めます。
その行き先はブダペスト。
何でも安いし、「美人が多い」からです。

ところで二人は、
アルノーの方は特に、
妻との関係を正面から受け入れることができず、
つまり、
まだ子供でいたがっているような子供、でした。
(ロマン・デュリスが得意なキャラですね。
まあ今回は、そこまでじゃないですが。)
だからこそ、
自分の願望の代理として、
他人のバチュラー・パーティーを盛り上げようと思ったのでしょう。

ドタバタから浮気、ベンチャー・ビジネスまで、
盛りだくさんではあるのですが、
やはり、フランスのコメディー映画によくある雰囲気で、
ご都合主義と軽薄さが目立ちます。

ただし、映画としてのデキはイマイチでも、
興味をひく点はいくつかありました。
まず、まあ紆余曲折合った後、
もともと仲のよかったヴァンサンと妻は、
なんとかよりを戻すのですが、
アルノーの妻は、
たとえアルノーが改心したように見えるとしても、
彼を許さず、拒絶するのです。
つまりふたりの男性について、
(妻ふたりが、ひとりの女性の分身なのだと考えれば、)
選ばれるのは、大人になることを受け入れたひとりであり、
もう一方は、過去の未熟さゆえ、
信用を勝ち取ることはできません。
これはピエール・マイヨ風に言うなら、
ここには、「フランス/マリアンヌ」が長らく求めてきたフィアンセの、
もっとも重要で、
もっとも見つけにくい資質がある、ということになるでしょう。

そして、
これはまたまったく別のことですが、
映画のラスト、
ほんの1分足らずですが、
今度は女性ふたりが、
女性のためのバチュラー・パーティーを企画するというオチの中で、
その女性客たちが「人間狩り」をするシーンがあるのですが、
そのとき(もちろんおもちゃの銃でですが)
「狩り」の対象となるのは、
登場人物の中でもっとも弱い不法移民である男性、なのです。
これは、監督も脚本も男性であることを考えると、
女性に対する悪意があると感じられました。
女性たちは男性を「狩る」のであり、
だから、男性は女性から逃げるのだ、
とでも言っているように見えるからです。

まあ、65点くらいの映画ですが、
結果的に、考えるポイントはありました。

そうそう、最後になってしまいましたが、
ヴァンサンの妻は、この映画


で、主人公の妹を演じていました。
アラブ系なので、
ちょっとレイラ・ベクティにも雰囲気が似ていて、
華がありました。

ジョナタン・コーエン/1

ネトフリのドラマ、

『ファミリービジネス』

そう言えばちょっと前に見終わっていました。が、
それほどどうということはない作品で、
忘れてました。


ようは、マリファナが合法化されるという(ガセの)情報を得たユダヤ人一家が、
その法律の成立に先駆け、
一家総出でマリファナ栽培に打って出る話です。
コメディなんですが、
まあ……

主人公はジョナタン・コーエン。
その恋人が、この映画


に主演していたリナ・エル・アラビ。
彼の姉が、この映画


などのジュリア・ピアトンです。
やはりここでも、
レスビアンの役です。

フランスのコメディらしく、
適度な下ネタ、民族ネタ、ブラック・ジョークなどがちりばめられていますが、
全体としては、
早く続きが見たい、
とはあまり思わない程度のおもしろさ? でした。

一夜明け

一夜明けて、
もろもろ全貌が見えてきました。
今後、さまざまな分析がなされるのでしょう。

とりあえず、
東京比例区については、
1議席を確保できて良かったです。
朝起きて、
寝床の中で確認してしまいました。
ただ、
全体としては、
野党の敗北ということになるのでしょう。

とても残念だったのは、
辻元氏が落選したこと。
彼女は、首相候補だと思っているので、
捲土重来を期待しています。

MOYAMOYA

そろそろ日が変りますが、
選挙情報は続いています。
小選挙区、わたしが入れた候補者は勝てませんでした。
残念……
で、
東京比例区、
まだ結果は出てませんが、
なんとか1議席を確保して欲しいです。
彼一人いるといないとでは、
違うと思っています。

久しぶりに、この時間にテレビをつけ、
いくつかのチャンネルを見ていましたが、
なんというか、
敬意のない質問者たちの態度が、目に余るように感じました。
自分の役割に過剰適応した、あるいはそれを曲解したと思える人、
自己顕示とマウンティングに余念がない人、
いつも通りピントの外れた、高学歴の人、
それぞれに lamentable でした。
そしてこうした人たちを起用する制作者のレベルをして、
メディアの劣化、が指摘されているのでしょう。

それにしても、
選挙の後は、(1回を除いて)いつも、
こう、モヤモヤが残りますねえ……

とりあえず、
明日のゼミに全集中します!



2021年10月30日土曜日

『ヒューマニティー通り8番地』(再)

もちろん日本語タイトルは、

『ユマニテ通り8番地』

とすべきだったと思いますが、それはともかく。

先日、
この映画はおもしろくなかった、
と書きましたが、
その気持ちは変っていません。
ただ、備忘録的に、
いくつかのエピソードを書いておくことにします。

・犬を貸す少年
ロック・ダウンの最中は、
「外出許可証」がないと、出かけられません。
でもどうやら、犬の散歩程度なら、
まあ許されるようで、
そこに目を付けた少年は、
自分が飼っているわけでもない犬を、
「外出許可証」を持っていない人たちに貸すことを思いつきます。
この犬を連れていれば、
犬の散歩ですという言い訳ができますよ、というのです。
ちょっとおもしろいですね。

・移民系の女性
登場人物たちは、1つのアパルトに暮らしていて、
外出禁止をきっかけに、
「知り合い」になってゆきます。
(それまでは、たとえ同じアパルトにいても、
おたがい「知らない人」同士。
「都会的」です。)
で、そんな中、
一人の女性だけは仲間に入ってきません。
移民系の彼女は、
夜になると、バイクで出かけていくのです。
それを怪しんだ住民たちは、
彼女のことを警察に通報します、怪しい人がいる、と。
しかし、いざ警察が来て彼女に問いただすと、
実は彼女、近くの大きな病院の医師で、
夜間の勤務が多い、そして、
コロナを移す危険を避けるため、
あえて住人たちと距離を取っていた、と……。
ここには、単純ですが、
移民系の一人暮らしの女性は、
夜に「怪しい」仕事をしているに違いないという、
古めかしい偏見が描かれています。
つまり、今も残っているということでしょう。

・コンシエルジュ夫婦
ポルトガル語を使っているようです。
変ってません。
ただし、夫は「フランス人だ」と言っていますから、
二(~)世なのでしょう。

その他の登場人物たちも、
ほとんどみんな、
何らかのタイプの戯画のようです。
ただその戯画が「浅い」ので、
おもしろくないわけですが、
まあ、こういう映画は、
これがフランスのステレオタイプね、
という感じで見ればいいと思います。

『やがて魔女の森になる』


好きな詩人はたくさんいますが、
現役の詩人で、ということになれば、
わたしはまず川口晴美さんの名を挙げます。
すごく好きなんですが、
もう、どこがというより、
リズムというか、呼吸というか、
読んでいて、とてもシンクロする感じがするのです。
特に、1行目。
どの詩でも、
1行目はすごくいい。
ああ、川口さんの詩だ、と感じます。

その川口さんの新詩集、

『やがて魔女の森になる』

を読みました。
もちろん、いいです。
気の利いた批評はできませんが、
わたしはとても好きです。

思いつくまま、一部分だけ引用します。
友だちに、スイカのおすそわけをしようとするのです。

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先週ともだちがわけてくれたサクランボはきれいだった
出かけるついでに朝の駅で待ちあわせて受け取って
夜の部屋でひとり食べると光の味がした
いつまでもからだのなかが明るむみたいに
思い出して
届けに行く
スイカスイカとペダルを踏めば
やがて切りわけて食べるひとの唇を濡らしながら
からだのなかを甘くゆるませる雫は
薄い血のように見えないところに滴って
体温に近づいていくだろう
触れあって
混じってゆくわたしたち
汗と雨のように
果物と果物のように
果物とからだのように
(「スイカタイフウ」)

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素晴らしい……

ガットと期日前

とても気持ちのいい天気だったので、
テニス・ラケットのガットを張り替えと、
期日前投票をしてくる気になり、
午後、出かけました。

スポーツ用品店のあるモールは、
「ふだん」と変らない混み具合で、
なんというか、
そういう人出であることそのものについて、
もう、あまり気が行かなくなっているようにも見えました。
(実際は、そんなことないのかもしれませんが。)
わたしはといえば、
休憩は、とりあえず「外」にあるテラス席にして、
『映画で考える生命環境倫理学』
を読んでいました。
これ、『アバター』についての章を最初に読み、
とてもおもしろくて驚きました。

ガットは、
貼りたかったものが置いてなくて、
その代わり、
ヨネックスのガットを選べば加工料タダ、
というキャンペーンをやっていたので、
初めてヨネックスを張ることに。
でも加工料タダって、
やっぱり安くなります。
ラッキー!

その後、期日前投票へ。
駐車場がいっぱいで、少し待たされるくらいだったのですが、
今ニュースを見たら、
期日前投票が過去最多になっている、とのこと。
さもありなむ、という感じ。
これで明日の投票率も上がれば、いいと思います。
そして個人的には、
「激戦区」が野党側に雪崩を打ち、
驚異の政権交代が実現すればいいと思っています。
実現の可能性が高いとは思いませんが、
それでも。

2021年10月28日木曜日

「過半数を取ったものが正しい」のロジック

選挙、近づいてきました。
激戦区の行方が結果を左右するって話ですが、
ポイントは、
激戦区が現にたくさん存在する、ということなんでしょう。

二人の知性のトーク、
これから読むつもりです。

『ヒューマニティー通り8番地』

ダニー・ブーンとフランソワ・ダミアン、といえば、
コメディー界のスターと言ってもいいと思いますが、
この二人が出演している映画が、
ネトフリに登場しました。

『ヒューマニティー通り8番地』(2021)


今年の映画で、舞台はパリ。
なんといっても新しいのは、
このコロナの時代を描いているところです。
たとえばダニー・ブーンは、
コロナに感染することを異様に恐れていたり、
登場人物たちが暮らすアパルトマンの、
スペイン系の管理人は、
ICUに入院していたり。

ただ……

これがおもしろくない。
安っぽくて表面的。
人物たちもステレオタイプで戯画的。
見所は……ない?
ほんとに、
こんな映画作る必要なかったと思うほど。

で、
フランスでの評判をネットで探すと、
ああ、やっぱり酷評されています。
よかった。
これが高評価だったら、
そりゃないよ、
と思ってしまうところでした。

2021年10月27日水曜日

国民審査のための

これ、誰がどんな意見だったかわかって、
おもしろいです。


実は最近、
かつて裁判官だったという人と知り合いになりました。
(今は現役を退いています。)
感じのいい、丁寧な物腰の人なんですが、
この前、特定秘密保護法案の話題を振ったときには、
さすがにまったく乗ってきてくれませんでした。
まあ、こんな素人相手じゃしょうがないか!

Lady Marmalade

今日のフランス語の授業(1年生)では、
vouloir や pouvoir を使う練習をしたんですが、
その授業の合間に、
久しぶりにこのヴィデオを見せました。
サビがフランス語、

Voulez-vous coucher avec moi ce soir ? 

で、思いっきり vouloir が出てきているからです。


なにしろアギレラが出ていて、
となると「上品」なものは期待できず、
やっぱりその通り(!)なわけですが、
まあ、かっこいい曲だし、
なにより、「クレオール」で、
「モカ・チョコレート」で、
「ニューオリンズ」で、
となると、
サビがフランス語であることも必然、
なのがよく理解できるので、
その意味では、いい教材とも言えるでしょう。

ちなみに LaBelle の原曲は1975年で、
ああ、一番ディスコに出入りしていた時期です。
ディスコは遠くなりにけり、
ですが、
こうしてワカモノと一緒聞くのは、
ちょっとおもしろい経験でした。
(まあ、学生は、
特に何も思ってないでしょうけど!)

2021年10月26日火曜日

『サムライ』

昨日の大学院ゼミでは、
アラン・ドロンの

『サムライ』(1967)

を見ました。
まあ、この手の映画だと大抵そうなんですが、
これを見るのも、30年振り? くらいで、
3,4回目です。

前週まで見ていたアンリ・ヴェルヌイユに比べると、
やっぱりメルヴィルは、時間の使い方がスマートだと感じました。
まあスタイルなので、甲乙と言うことではないですが。

見終わった後、
この孤独な殺人者を、
もし現代の俳優が演じるとすれば誰が適役か?
と(みんなで)想像してみたんですが、
これが、思い浮かばない。
ドロンの持つ冴えた美貌は、
フランスにも、アメリカにも、
見いだしにくい気がしました。
たとえばブラピももちろんカッコイイですが、
なにか違うものです。
ドロン二世と言われるラファエル・ペルソナにしても、
ちょっとお茶目すぎるし。
わたしはむしろ、
ある時期のジョン・ローンとか、
韓国のイケメン俳優の誰かとか、
がいいかもと思いました。

でも、
こんな「遊び」をしてみると、
アラン・ドロンがなかなか希有な存在であることに、気づかされます。
やはり、置き換えのきかない俳優なんですね。
(もちろん、ベルモンドも、ジャン・ギャバンも、
ジェラール・フィリップだってそうなんですが。)

2021年10月25日月曜日

Éric Zemmour



これが一昨日のニュース。


で、これが朝日新聞の今朝の記事。

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来年4月のフランス大統領選で、
極右の論客エリック・ゼムール氏(63)が
世論調査で2番手につける結果が相次ぎ、
社会に驚きが広がっている。
イスラム教徒や移民への差別発言を繰り返し、
罰金刑を受けてきた人物だ。
マクロン大統領の有力な対抗馬とみられていた右翼政党「国民連合」のルペン氏の支持基盤を奪った格好で、
ルペン氏は挽回(ばんかい)に躍起だ。

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ゼムールは、アルジェリア系ユダヤ人。
彼自身も「マイノリティー」でありながら、
ほかのマイノリティー集団を誹謗する人物です。
ルペンと同じ右翼に見られがちですが、
まあ、ルペンのほうが「まとも」に見えます。
もちろん、両者とも、
その意見に賛成ではありませんが。

そしてゼムールは、日本について、こうも言っています。

「移民を拒み続けている安全な国」なので「モデルにすべきだ」

これとまったく同じ趣旨の発言を、
以前は、ルペンもしていました、
と言っても、マリーヌではなく、
父親のジャン=マリのほうでしたが。
イメージは変ってないわけですね。

2021年10月24日日曜日

『雌猫たち』

金曜は、恒例の「会議デー」で、
Zoom会議×3、だったのですが、
今日もまた、2時間ほどZoomでした。
といっても今日の場合は、
レナさん、そして白水社の編集の女性とだったので、
これは楽しい打ち合わせでした。
新しい企画、進行しています。が、
まだ手探りの部分があり、
3歩進んで2歩下がる、という感じ。
でも、すでにある素材はとてもいいと思うので、
これをうまく形にしたい、と考えています。
文字通り、3人で知恵を出し合っています。
がんばろう! オー!

で……

今日は、これで何本目でしょう、
白石和彌監督の、

『雌猫たち』(2017)

を見てみました。
(ネトフリです。)
「日活ロマンポルノ」の、45周年記念の企画だそうです。


結論から言うなら、とってもよかった。

主人公は3人の女性たち。
彼女らは、池袋のデリヘルで働いています。
雅子は、大卒後就職、そして退職後借金を作り、
今は住む部屋もないまま漫喫などを転々とし、
デリヘルの日銭で凌いでいます。
彼女の常連客は、
もう10年も外に出ていないという男。
彼はビル持ちで、収入はあるのです。
この、生の現実と向き合おうとしない男と、
雅子はどんな関係を築けるのか。
二人目は結衣。
シングル・マザーである彼女は、
幼い息子を虐待しており、
一方やっとできたカレシ(お笑い芸人)には、
彼女自身が虐げられそうな強い予感が漂います。
3人目は美知枝。
自分が不妊ゆえ夫は浮気に走り、
自暴自棄になってこの仕事へ。
そんな彼女をいつも指名してくるのは、
妻を1年前に亡くした老人。
ただ彼は、なにもしないのです……。

軽い気持ちで見始めたのですが、
「現代」の、翳った肖像が次々に現れ、
引き込まれました。
「ロマンポルノ」ですから、
それ用のシーンは繰り返し現れるのですが、
その一つ一つが、
異なる意味、ないし文脈を背負っていて、
その辺はかなり技巧的だし、
また深さもありました。

池袋も、いい感じでした。

2021年10月23日土曜日

007 No time to die

というわけで、
先日話題にした 007、
一緒に盛り上がった院生が、
時評をアップしました。

そこらへんの雑誌のレヴューより、
だいぶよく書けていると思います。

2021年10月21日木曜日

無題



アメリカだったら、とか、
ヨーロッパだったら、とか、
ほんとは言いたくありません。が、
このニュース、
アメリカやヨーロッパだったら、
大々的に報道されて、
政権には大打撃になっているでしょう。

卑怯な政党と、
それを報道しない大手メディア。
世界の報道ランキング67位っていうのは、
フェイクじゃなさそうです。

2021年10月19日火曜日

『J・M・クッツェーと真実』


くぼたのぞみさんの新作、

『J・M・クッツェーと真実』

が発売されました。
クッツェーの翻訳では、
くぼた訳にさんざんお世話になり、
(アディーチェの『アメリカーナ』も、
ものすごい~くおもしろかったです。)
そのくぼたさんによるクッツェーをめぐるエッセイ集です。
日本で、
クッツェー論を書くのには、
もっともふさわしい人だと思います。

(実はわたしも、『恥辱』に関する章で、
ほんの一瞬だけ登場させてもらっています。
それは、このイヴェントに関連してです。


ほんとうに真摯な、くぼたさんなのでした。)