2016年8月31日水曜日

抜糸

プチ手術から1週間、
今日は抜糸でした。
何も問題なく、治療は今日で終了。
(傷口が目立たなくなるまでには、
もう少しかかりそうですが。)

それにしても抜糸って、
麻酔も何もなしなんですね。
糸も、「それほど細いほうじゃない」と、
先生は言ってましたが。
先週、訊かれたので、
「映画のことを勉強してます」
と話したからでしょう、
「孫と、ジャングルブック見ましたよ」
と先生がおっしゃり、
それからちょっとディズニーの話をしました。
赤狩りとか、CGとか。
もっと話したかったですが、
診察中なのでそうもいかず。
いきなり手術&抜糸という、
最小の回数できっちり終わらせていただいて、
助かりました!

Grand Central

1980年生まれという、
若いレベッカ・ズロトヴスキ監督と、
レア・セドゥーが組んだ映画と言えば、
これがありました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/01/blog-post_94.html

で、
これがわたしにはイマイチだったので、
同じコンビによるこの作品もスルーしていたのですが、
とはいえ原発を扱っている映画は少ないので、
やはり見てみることに。
『グランド・セントラル』です。

https://www.youtube.com/watch?v=G_0kYJ8izhQ

原題は Grand Central
←普通名詞として訳せば「大きな(原子力)発電所」。
邦題も、むしろ、
「恋のフランス原発」(!)
くらいに訳しておけば、
もっと注目された気もします。
(この邦題だと、駅の話かと思う人も多いでしょう。)
まさに、原発を舞台とした、恋物語です。
この映画の特徴は、
いわば個人的なレベルの恋愛、結婚、連帯、家族、
みたいなものを、
いわば社会的なレベルの原発という状況と、
合体させた点にあるわけですが、
今回は、これがうまくいっていると思いました。
この監督の場合は、
自分の問題にこだわりすぎないほうがいい結果が出るのかも。
そして原発作業が赤裸々に映し出され、
それが、レア・セドゥーの、
最後のセリフに流れ込むことになります。
こういう映画は、作られるべきだと思います。

新作は、この秋に公開されるこれ。
ナタリー・ポートマン主演ということは、
監督と主演、どちらもユダヤ系ですね。

https://fr.news.yahoo.com/lily-rose-depp-natalie-portman-duo-charme-planetarium-124609431.html

https://www.youtube.com/watch?v=0MvPkq1Um_o

2016年8月30日火曜日

『ペット』

3週目で30億円を突破したという、

『ペット』

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=li5MWnILG_I

地元のシネコンがやたら混んでると思ったら、
『君の名は』目当てのワカモノが多いのでした。
で『ペット』ですが、
エンターテイメントのカートゥーンとして見れば、
十分楽しめるものなのでしょう。
犬や猫の習性をうまく取り入れていて、
そのへんは、「擬人化」感を和らげてはいます。
また、ハリウッドのサスペンスで培われた危機の演出は、
見慣れた感があるとはいえ、
ちゃんと機能していると思いました。
で、
問題点があるとすれば、
それはやはり、根本的な人間とペットとの関係なのでしょう。
それは完全に、どこまで行っても、
<かわいがるもの>vs.<かわいがられるもの/依存するもの>
という関係以外ではありません。
連帯や、共感はありません。
ペットたちは、ただ、愛されることだけを望むのです。
でもこれ、
すくなくともManon は、
そうは見えません。
(ネコだってこともあるでしょうが。)

NYの風景はきれいでしたが、
高層ビルと、主人公が住む建物との位置が、
「こういうことありえる?」
という気もしました。
ただ犬たちが、
意に反してブルックリン行きのフェリーに乗った後、
最近はブルックリンも人気だしね、
と、人間気取りの時事ネタをかますところは、
逆に人間がからかわれている感じがして、
ちょっとうけました。
(大人向けに、往年のヒット曲の断片がいくつも使われています。)

『大いなる幻影』

『マリアンヌのフィアンセたち』という本を読み始めたら、
第1章で、
ジャン・ギャバンのことがみっちり語られていたので、
懐かしくなって、見てみました、

『大いなる幻影』(1937)

です。
監督はルノワール。
脚本はルノワール&シャルル・スパーク。
そう、シャルル・スパークの代表作でもありました。

https://www.youtube.com/watch?v=hctrYzVYmfM

まあ、あまりに有名な映画ですから、
いまさら付け加えることもほとんどありませんが、
やはり、ジャン・ギャバンが一緒に脱獄した男、
彼がユダヤ人(で金融ブルジョワの子息)であることは、
はっきり意識する必要があるのでしょう。

そしてもう1か所。
脱獄した二人が逃げ込んだ農家で、
ジャン・ギャバンが牛の世話をする際、
おじいちゃんの牛と同じ匂い云々、
と語る場面があるのですが、
この祖父――世代的に言えばパリコミューン世代――は、
農家の人だったことになります。
一方ギャバン自身は、パリを、そしてマキシムスよりビストロだ、
などと語り、都市(パリ)生活を送っていることが示されます。
つまり彼は、
どこかの時点でパリに出てきたワーキング・クラスであり、
それが、ちゃきちゃきのブルジョワ、ボアルデュー大尉との、
鋭いコントラストを作るわけです。
(『マリアンヌ~』でも、こうした視点が示されています。)
勉強になりました。

*このDVD、10枚セットで 2000円!

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E6%98%A0%E7%94%BB-%E5%90%8D%E4%BD%9C%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-2-DVD10%E6%9E%9A%E7%B5%84-BCP-065/dp/B00BCWKM4Y/ref=sr_1_15?ie=UTF8&qid=1472565135&sr=8-15&keywords=%E5%A4%A7%E3%81%84%E3%81%AA%E3%82%8B%E5%B9%BB%E5%BD%B1

Le code a changé

『パリ警視庁未成年特別保護部隊』で共演していた

カリン・ヴィアール(離婚専門弁護士)
マリーナ・フォイス(産婦人科医)

が共演し、

ダニー・ブーン(カリンの夫。失業中。名前はピョートル。ポーランド系。)
パトリック・ブリュエル(フォイスの夫。内科医。ユダヤ人。)

も出ている、

Le code a changé

を見てみました。
(タイトルは、アパルトの玄関ドアを開ける「コードが変わった」と、
人生における「コードが変わった」をかけているようです。)

https://www.youtube.com/watch?v=EvxsBhMNtO0

大人の恋愛もので、
(といっても「カラミ」のシーンはほぼ皆無)
出てくるのは弁護士や医者だし、
とても会話が多く、
ハードボイルドに「行動で示す」ことはありません。
あくまで、食事の場面とか、
カフェの場面とか、
会ってする話の中で、物語が語られます。
ということは、
ちょっと説明的で、
ややスリルに乏しいのですが、
今回に限って言えば、
俳優たちが達者なので、
それなりに楽しく見ていられます。
単なる「おフランス」になっていないのには、
やはり、一人ユダヤ人が入っていることでしょうか。
パトリック・ブリュエルは、
ユダヤ人じゃない役は見たことがないかも。

小粒だし、ブルジョワ趣味だし、説明的だし、
ほんとは好きなタイプじゃの映画じゃないんですが、
俳優のうまさが、それをカヴァーしていました。
そうそう、
劇中で中心になる食事会は、
6月21日、つまり「音楽祭」の日に行われるので、
そこに向かう客たちは、さまざまなステージを目にするのですが、
中で、
ほんもののアンジェリック・キジョが(数秒)いたのには、
驚きました。

https://www.youtube.com/watch?v=cbRgTaiOh_U

ブルキニ禁止法は「違憲」

当然だと思います。

http://www.afpbb.com/articles/-/3098942

サルコジたちは、
それでも出すのでしょうか。
(きっと出すな。)

ちなみにマルセイユはOK.

http://www.dailymotion.com/video/x4qo9sd_sur-la-plage-du-prado-a-marseille-on-se-baigne-en-burkini-et-ca-ne-choque-personne-le-28-08-2016-a-1_news

マルセイユはね、
アラブ系の人が多いし。

2016年8月28日日曜日

Le jour attendra

フィルム・ノワールって、
やっぱり結構好きだなと、
この映画を見て思いました。

Le jour attendra

https://www.youtube.com/watch?v=XvdsInX28KE

もともとこれを見る気になったのは、
そのキャスティング故でした。

オリヴィエ・マレシャル(ミラン)
ジャック・ガンブラン(ヴィクトール)
レダ・カテブ(ウィルフリード)

この3人が出ているとなると、
それだけで見たくなります。
で、
実際おもしろかったです。

ミランとヴィクトールは、
ベルシー河岸でナイト・クラブを経営。
でも、資金繰りが悪くなって借金し、
その支払いに困った時、
ウィルフリードからある仕事を持ちかけられます。
「荷物」を、メキシコに運び、
そこにいるセルキ(かつてのクレイジーな取り立て屋)に渡す、
それだけでいいと言います。
堅気のヴィクトールは反対しますが、
結局ミランとともにメキシコへ。
でも、そこで逮捕され、拷問にあい、
セルキを売ることになります。
それが、6年前。
そしてついに、釈放されたセルキが、
復讐しにパリに戻ってきました……

メインの物語は、
ミランとヴィクトールの友情です。
ただ二人には、妻と子供たちがいて、
それが彼らの行動に影響します。

夜のパリもきれいだし、
撃ち合いの撮り方も落ち着いてるし、
3人の性格もうまく表現されていて、
いい出来だと思いました。

『ゼイリブ』

これも学生推薦の映画。

They live (1988)

です。
解説を見ると、
エイリアンによる地球支配が進む中、
主人公は、エイリアンの姿が見分けられるサングラスを手に入れる、
そして、彼らを倒すために戦う、
ということで、
ジョン・カーペンター監督らしいB級SF?
という予想の中で見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=7hbtKYEnyYo

たしかに、全体としてはB級なのでしょう。
ただ、ブラック・マンデーの翌年に発表されただけあって、
1980年代アメリカの、
物質主義、拝金主義(→レーガノミクスということですね)などが風刺され、
また同時に、
支配階級というものの「本音」がはっきり示されていました。
というもの、
例のサングラスをかけて街に出ると、そこここに、

従え
考えるな
眠ったままでいろ
結婚しろ、子供を産め
想像力を持つな
服従せよ

というメッセージが掲げられているのです。
つまり、
何も考えずただ働いて物質主義に溺れていてくれ、
ということなんですね。
(今の日本の話ではありません!)

そして支配階級と主人公たち弱者の差は、
高層ビル群を背景にしたバラックだらけのキャンプ、
という映像によって、
はっきり示されていました。
LA中心部と、スキッド・ロウです。

そして主人公役は、プロレスラーのロディ・パイパー。
このキャスティングには、
マッチョでたくましい戦う男性という、
「アメリカ」の神話が生きているのでしょう。
また、彼の相棒となる黒人男性は、
最初なかなか真実を見ようとしませんが、
結局は、主人公と協力することになります。
ただ、先に死ぬのは彼のほうです。
さらに一人、人間なのにエイリアンに協力する女性がいるのですが、
彼女は白人です。

闘いのシーンの長さを除けば、
なかなかおもしろかったです。

2016年8月27日土曜日

Je suis à vous tout de suite

『戦争より愛のカンケイ』の監督は、
ミッシェル・ルクレールでしたが、
脚本はといえば、
彼と、
Baya Kasmi の共同脚本でした。
で、今度は、
彼女が監督した作品を見てみました。

Je suis à vous tout de suite

https://www.youtube.com/watch?v=UmAf-hZacFY

面白かったです。
で、確かに少し、
『戦争より~』的なものを感じました。

パリ郊外のゴネス。
アルジェリア人の父親、
(アラブ系)フランス人の母(←演じるのはチュニジア系ユダヤ人)、
ヒロインである長女アンナ・ベルカセム、
そして弟のドナディウー。
この両親、ともに「親切病」で、
人の頼みは断れないし、
またその頼みをきくことが、
自分の生きがいでもあります。
娘のアンナはその性質を受け継ぎ、
頼まれれば、セックスも受け入れ、
ほとんど娼婦状態です。
弟は、子供のころ、
自分の宗教を周りのワルがきにからかわれ、
その後はいじめられ、
やがて「過激化」して、
当然姉の生き方に強く反発します。
で、
この対立は続くのですが、
ある時弟の腎臓が悪くなり、
移植に適合するのはアンナだということになります。
そして、アンナは、
弟の主治医(アラブ系)と恋に落ちますが、
彼はアンナを、娼婦だと思い込んでいる……
という話です。

『戦争より~』との共通点の1つは、
ヒロインの父親が「親切病」だということ。
これはどうも、監督の父親がそうだったようです。
また、ヒロインたちが、
子どもの頃の性的虐待を克服するというテーマも共通で、
これもまた、監督の体験のようです。
これもおもしろい映画でしたが、
比べると、『戦争より~』のほうが、
少し上でしょうか。

2016年8月26日金曜日

『ステップフォード・ワイフ』

学生推薦の映画、

『ステップフォード・ワイフ』(1975)

を見てみました。
(原題は複数の wives 。)

https://www.youtube.com/watch?v=Y9WOMDsMy78

ステップフォードというのは、
コネチカットの架空の町。
そこに住む、ブルジョワの妻たちは、
みんな「完璧」です。
夫を崇め、家をきれいに保ち、
ケーキを焼き、アイロンをかけ、
子どもと遊び、
それ以外には何もしません!
まあ、ごく古いおバカな男たちにとっては、
「完璧」なんですね。
で、
NY から家族で越してきた若い母親、ジョアンナは、
その異常さに気づきます。
最初は自分と同じように感じていた友達も、
ある日から急に、
「完璧」になります。
ジョアンナは、次は自分に何かが起きるだろうと確信し……

このステップフォードという町には、
男性だけが入れる名門クラブがあります。
どうも、そこが怪しい。
となるとこれは、
ホモソーシャルとか、
ミソジニーとかいう単語が浮かんできます。
アメリカ映画には、
西部劇も含めて、
そういう系譜があるわけだし。
逆に言うとこの映画は、
この系譜の中での、
ニュータウン時代の表現だと言えるのかもしれません。
(ただ、みんなまりにブルジョワですけど。)

また男たちは、
古めかしい考えを体現するために、
最新の技術を使うわけですが、
ここには、ある皮肉な逆説が成立していることになるのでしょう。


現代詩手帖・9月号

あす発売の「現代詩手帖・9月号」に、

『鏡のなかのボードレール』(くぼたのぞみ)

の書評を書かせていただきました。
この本、もうすでに、
素晴らしい書評がたくさん出ていて、
やっぱりいい本はいい書評を呼ぶのだと、
実感しています。
こういういい本に関われて、
わたしも嬉しいです!

http://esperanzasroom.blogspot.jp/

Félix et Meira


戦後、はじめてフランスで作られた「ユダヤ人映画」といえば、
これでした。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/04/les-aventures-de-rabbi-jacob.html

そしてこの映画の出発点は、
ブルックリンのユダヤ人コミュニティーだったわけですが、
これは、もう少し正確に言うと、
ブルックリンの、ウイリアムズバーグ橋を渡ったあたりの、
(そのままですが)ウイリアムズバーグ地区。
そのほぼ真ん中には、東西に、
ブロードウェーが走っているのですが、
その南側が、ユダヤ人地区であるようです。

http://www.brooklynize.jp/city/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%89%E3%80%80%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%83%E3%82%AF/

この地区、調べたら面白そうですね。

で、今回見た映画

Félix et Meira

にも、このウイリアムズバーグ・サウスが登場します。
ただし、メインの舞台は、モントリオールです。

https://www.youtube.com/watch?v=_fbiiQssaTQ

これ、すご~くいい映画でした。
セリフは少な目で、
画面は美しく、でも、わざとらしくない。
人物たちの屈託や葛藤に陰影があり、
別々に見えたものが、
深いところで繋がってゆく……。
素晴らしいです。

モントリオールの、rue Saint-Viateur に、
一人の若い女性メイラが、赤ちゃんと夫とともに暮らしています。
この一家は、かなり厳格なユダヤ教ハシディック派コミュニティーのメンバーで、
夫はメイラに、彼女のお気に入りの音楽を聞くことさえ禁じます。
(その曲とは、Wendy Rene の名曲、After laughter ( comes tears )

https://www.youtube.com/watch?v=F7pqO7YKBt0

笑いの後には、涙が……)

そして同じ通りに、中年の男性Félix が、
10年ぶりに戻ってきます。
喧嘩して別れた父親が、危篤なのです。

映画は、この二人の、偶然で必然的な出会い、
付き合い、そして…… を描きます。

この監督の別の作品、ないないと思ったら、
Amazon Canada で発見。注文しました。
楽しみです。


*ゴスペル&ブルース歌手、ロゼッタ・サープのまさにこのヴィデオが、
そのまま劇中で流れます。
映画の流れと、とても合っていました。

https://www.youtube.com/watch?v=SR2gR6SZC2M

フランスが/カナダが

ブルキニの禁止とか、
もうありえない! と思っていたら、
なんと、
武装警官が脱がせてる!

http://www.dailymail.co.uk/news/article-3754395/Wealthy-Algerian-promises-pay-penalty-Muslim-woman-fined-France-wearing-burkini.html

ひどい。

一方カナダは、
女性警官にヘジャブの着用を認めるとのこと。

http://english.alarabiya.net/en/variety/2016/08/24/Canada-s-Mounties-allow-women-officers-to-wear-hijab.html

素晴らしい。



2016年8月25日木曜日

『ヴィーナス・ビューティ』

ある映画の本をぱらぱらしてたら、
この映画のことが触れられていて、
久しぶりに復習してみました。

https://www.youtube.com/watch?v=U94qhheK9n8

ナタリー・バイが、
「愛」が信じられず、
「出会い」のスリルばかりを追う女性を演じますが、
最後は……です。
見ていると、女性監督が撮ったのだろうというのは、
(女性ではなく)男の描き方で、
すぐにわかります。
冒頭のジルベール・メルキ。
彼が出ていたのは完全に忘れていました。

女性監督&エステサロンが舞台といえば、
ベイルートの『キャラメル』が思い出されます。
やっぱり、『キャラメル』のほうが好きかな。

『ホワイト・ドッグ』

サミュエル・フラーの『ホワイト・ドッグ』(1982)は、
アラン・ジェシュアの Les Chiens(1979)に似て、
犬が人間を襲う話です。

https://www.youtube.com/watch?v=IhkrvBNnAcw

ホワイト・ドッグというのは、
アメリカの奴隷制時代、
逃亡奴隷などを捕まえる、
あるいは殺してしまうために調教された犬で、
それが現代によみがえる話です。
もちろん、それには、
よみがえらせた人種差別主義者がいるわけですが。

↓ は、イヌ科の動物が登場するホラーの一覧のようです。

https://fr.wikipedia.org/wiki/Liste_de_films_d%27horreur_avec_des_canid%C3%A9s

両作品とも、もちろん入ってますね。
89年の『バクステール』、なつかしい。

*Les Chiens

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/09/alain-jessua.html

の日本語版は、
VHS(『護衛犬都市』)のみ出ています。

2016年8月24日水曜日

プチな

今日は、形成外科で、
左前腕のプチ手術を敢行。
まあ、15分?
もちろん終わればすぐに帰れて、
痛くもないのですが、
さすがにこうしてキーボードを打つと、
ちょっとピリッと来るので、
また明日ということで。
(来週には抜糸して、それで終わり。
ほんとにトレ・プチなのでした。)

2016年8月23日火曜日

ふらんす・9月号


「ふらんす」9月号、発売になりました。
今月号のテーマは、

「フランス映画の愉楽」

おお、これは個人的にもチョー魅かれます!
最新情報(by 元編集長)から、音楽、セリフの話もあります。

そして今回の「映画の向こうにパリが見える」では、

『憎しみ』

を取り上げました。
まあねえ、1年間こんな連載をさせてもらって、
『憎しみ』をパスするっていうのは、
できない相談ですね。
今回の記事は、
一読、ストーリーを追っているように見えますが、
(実際そうなんですが)
そこここに場所などの固有名詞を出すことで、
映画を見ながら、
具体的に受け止める手掛かりになるようにつとめました。
ご参考になれば幸いです。

文中に出てくるポペックとは、この人です。

https://www.youtube.com/watch?v=G0HjLM27Pnk

『ザ・キャピタル』

コスタ=ガブラス監督の作品を見たいと思って、
モロッコ系ユダヤ人として知られるガド・エルマレ、
彼が主演した「ポリティカル・サスペンス」映画、

『ザ・キャピタル』

を見てみました。
原題は Le Capital で、
これはフランス語では、『資本論』と同じタイトルです。
(英語は Capital)

https://www.youtube.com/watch?v=jTIHYcG6lLs

グローバル金融業を舞台に、
策略と、駆け引きと、金と……思想の対立、
が描かれます。

フランスは、基本的には、
(反アメリカ主義というニュアンスもありましたが)
反グローバリズムの立場でした。
が、サルコジ以降、
それもずいぶん変わってしまったわけですが。

前半に登場する銀行マンたちには、
まだそうしたメンタリティーが残っている人たちがいて、
やはりそこは、アメリカとの違いなんだろうと感じました。

日本にも、グローバリズムを正面から扱った映画って、
あるのでしょうか?

(日本語字幕版で見たのですが、
あまりに意訳! と感じる部分がありました。
こういうのを見ちゃうと、
自分の知らない言葉が使われている映画を字幕版で見て、
もちろん見ること自体はいいのですが、
それについてなにかコメントを書いたりするのは、
怖くなります。)

2016年8月22日月曜日

"Sécurité !"

死者も出たアジア系市民に対する攻撃。
「安全!」
を求めるデモが続いています。

http://www.metronews.fr/info/aubervilliers-seine-saint-denis-la-communaute-chinoise-dans-la-rue-pour-denoncer-les-violences-qui-la-visent/mphu!JGN2oHCiJ4Dac/

オーベルヴィリエは、もともと労働者の町。
『パリ移民映画』では、
『サンドイッチの年』の舞台の1つとして取り上げました。
ここは今、
中国系の繊維・洋服関係の業者がたくさんいます。

裏磐梯へ

台風の中、
たった一泊ですが、
裏磐梯に行ってきました。
空模様が安定せず、散歩していても、
陽がさしたり、小雨が降ったり。

五色沼です。止まっています。



桧原湖は、もう夕暮れ。



泊まったのは、裏磐梯レイクリゾートというホテル。
想像していたより、はるかに豪華&快適で、驚きました。
そして、内装・外装の立派さを、いい意味で裏切って、
若いスタッフが元気に対応してくれて、
とても活気ある雰囲気でした。


夕食は贅沢して、poêlée de fruits de mer 。(海の幸のポワレ)
ホタテもアスパラもおいしかったですが、
エビの塩加減&火の通り具合が素晴らしく、
さすがプロ!
と唸ってしまいました。

こうなったらデザートも上げてしまいましょう。



赤いゼリーはハイビスカス。
ハイビスカスと言えば、
ビサップ・ジュースや、
インド風の、花びらの砂糖漬けなどを思い出しますが、
このゼリーも、シャープ過ぎない酸味があり、
すっきりしたいい味でした。
そして、モモは地元のもの。
アイスはココナッツ。
Mmm、さすがプロ!

たった一泊&台風、でしたが、
ホテルがおいしい&快適だったので、
満喫しました!

2016年8月21日日曜日

話題の書

あちこちで話題になっている、
「コンビニ人間」と
「野良ビトたちの燃え上がる肖像」
を読んでみました。

ちょうど、この2編の書評が。

http://www.nishinippon.co.jp/feature/literary_trend_story/article/262896

なるほどね。


2016年8月20日土曜日

Tour La Villette

ここ数日、
「映画の向こうにパリが見える」
を書いています。
取り上げる作品は何度も見て、
さらに、あっちこっち、探しては見るので、
一つの映画が、
体になじんだシャツのようになってきます。

今日は、Tour La Villette のことを調べたりしたんですが、
結局、書く紙幅がありませんでした。
ちょっと書きたかったんですが!


ここにも書いてある通り、
以前(=1999まで)このビルのてっぺんには、
DAEWOO
の大きな文字が見えていました。
造られたのは、モンパルナス・タワーとほぼ同時期。
どちらも、デザインはイマイチ、かな?

ちょっと面白いと思ったのは、
このタワー、
あと5m というところで、
「パリ」の外側に出ているんですね。
惜しかった!?

2016年8月18日木曜日

Et ta soeur

ジェラルディン・ナカシュとヴィルジニ・エフィラが姉妹を演じる、
という一点に魅かれて、

Et ta sœur

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=1ntG_dngaow

この映画は、このアメリカ映画の実質的なリメイクだと言えるでしょう。

Your Sister's Sister
https://www.youtube.com/watch?v=obkXTBwlmTc

この映画の邦題は、
『ラブ・トライアングル』です。
あらすじはここに。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB-DVD-%E3%82%A8%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88/dp/B00FYH5V8K

たしかに、シナリオが気が利いていて、
本になってれば、
テキストとしておもしろいだろうと思いました。

「ボルトが速いのは『黒人』だから?」

4年前、前回のオリンピックの時の記事です。
これは、もうずいぶん前から言われている気がしますが、今も、状況はあまり変わっていないような。

http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20120806/E1344217115998.html

黒人は「身体能力が高い」とされたのは、近代オリンピック以降。

「敗北を喫した白人たちは、
以前から彼らの心理に潜在していた差別的な意識や志向によって、
黒人の勝因を先天的な資質や才能にあるとした。
それは、
敗北の屈辱や決まり悪さを紛らわす格好の口実となった」
(『人種とスポーツ』)

2016年8月17日水曜日

30° Couleur

La Première Étoile という、おもしろい映画がありました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/07/la-premiere-etoile.html

その監督&主演だったLucien Jean-Baptiste が、
その次に撮った映画、

30° Couleur

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=w3NNziyYqFY

https://www.youtube.com/watch?v=Q_iu4jp-WUs ←全編版

マルチニック出身で、
今はパリで歴史学者として成功しているパトリック。
(とはいえ、少し微妙なところも。
彼は最近賞を取ったのですが、ある会食に席で、
「黒人がこういう賞を取ったっていうのは、画期的よね」
「そうさ、フランスは、ダイヴァーシティーを重んじているからね」
などと言われてしまいます。
彼はそこで、
「私が賞を取ったのは、政府の方針じゃなく、
わたしの業績だけがその理由ですよ」
を言わずにはいられません。)
彼は(おそらく)離婚していますが、
元妻とも良好な関係。
一人娘はブルジョワ的な小学校に通っています。
住んでいるのは、デファンスの、Euler Hermès です。

こんな多忙なパトリックのところに、
マルチニックにいる妹から電話があります、
母が死にそうだ、すぐ帰れ、
と言うのです。
もうヴァカンスの予約もしてあるし、
最初はいやそうな彼でしたが、
仕方なく、娘と一緒に帰ることに。
なんと、30年ぶりです。
(ちなみに彼は、パリの友人たちには、
両親は死んだ、俺はパリ生まれだ、と言っています。
彼がパリに来たのは、本当は11歳の時です。)

マルチニックに帰ってみると、
それはちょうどカーニヴァルの時期でした。
旧友や家族たちは、30年ぶりの彼を大歓迎しますが、
ヨーロッてき価値観、ヨーロッパ的時間感覚を生きる彼には、
まったく煩わしいだけ。
そして翌朝、ママは亡くなってしまう
(遺言は、「パリに埋葬して」です)
のですが、
なんとその翌日、ママの遺体が行方不明に!
カーニヴァルの大騒ぎの中、大捜索が始まります……

もちろん結論としては、
パトリックはこの土地と、人々と和解します。
自分の「根っこ」に愛情を持てるようになるのです。
自分ひとり、パリに無理やり送られた、
と思っていたのですが、
その陰で、彼に教育を受け続けさせるために、
どれだけ家族が苦労してきたか、
やっと理解するのです。
家族など、お金を送るだけで、完全に無視してきたのですが。
そういうお話です。
とてもにぎやかで、マルチニックの雰囲気が伝わる映画でした。

出演俳優たちは、
きっちりカリブ系で揃えてあります。
La Première Étoile では、主人公の娘として、
とてもいい役を演じていた女の子が、
再び彼の娘役を。
そしておなじみÉdouard Montoute
(エドゥアール・モントゥートゥだと思いますが、
日本ではなぜか「エドゥアルド・モントート」と表記。)

Lucien Jean-Baptiste の第3作、
Dieumerci !
のDVDも発売されました。
これも見たいです。

2016年8月15日月曜日

『日本のいちばん長い日』

というわけで、
71年前の今日、玉音放送があったわけですが、
予定通り、
『日本のいちばん長い日』
を見てみました。(1967年・岡本喜八版)

何十年かぶりですが、
畑中少佐のファナティックな様子は、
記憶の底からもよみがえる気がしました。

https://www.youtube.com/watch?v=rfYkl2nOGxw&list=PLFa3he_I_McMAn03_J2mNv3SXIpQ6-thC

https://www.youtube.com/watch?v=8v2bDBxAw4g 新版

まず、
あと2週間早く降伏していれば、
あの2発はなかったのに、と思うと……

マッチョなものはもちろん、
時にはそしてそれをやさしく包むものさえ、破滅への道を切り開いてしまうこと。
製作者の意図とは別に、
そうしたことを思いました。

*************************************

昭和二十年八月十五日午後東京駅       及川均
正面降車広場


だまっていた。
だまって拡声器の前に立っていた。
壁がくずれていた。
赤錆びた鉄骨の間から空が陥ちていた。
莫大量の重さをせおって。
そして風呂敷包をさげておれは歩きだした。

2016年8月14日日曜日

Ce que le jour doit à la nuit

アレクサンドル・アルカディー監督と言えば、

Grand Pardon Ⅰ, Ⅱ
L'Union sacrée

などが強く印象に残っています。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/09/lunion-sacree.html

で、今日は、
彼の「最高傑作」(Paris Match の評)とされる、

Ce que le jour doit à la nuit 

を見てみました。160分という長尺です。



これは、感動しました。
大河ドラマというか、叙事詩というか、
大きな歴史のうねりを背景にしながら、
ほとんど天上的な愛を描き、
そんな愛がそれほど不自然に見えないという、
かなりの離れ業を達成していると感じました。

舞台の99%はアルジェリアです。
(オラン及びその近くの町。そしてアルジェ。)
時代的には、
1939年のアルジェリアから始まり、
戦争を経て、
戦後、そしてアルジェリア戦争、戦争終結、
そして一瞬1970年を挟んで、終わりは2010年。

主人公は、1930年頃に生まれたはずの男の子。
彼はユネスというアラブ名を持つアラブ人。
(ただし、ベルベル系のなのでしょう、青い目と白い肌です。)
でも、彼の一家がワルの企みにはまり、
彼は、薬局を営む叔父のもとに預けられ、
そこで成人することになります。
彼はとても愛されますが、そこでは、名前を、
ジョナスと変え、アラブ性を隠すことを強いられます。
(友達はみな知っていますが。)
そうした彼が、ユダヤ人の女性と恋に落ちます……。

俳優も充実していて、
ユネスの叔父が、『ムッシュ・ラザール』のモハメッド・フェラグ。
そのフランス人妻(カトリック)に、
La première étoile のアンヌ・コンシニ。
ユネスの恋人の母親が、『ニキータ』のアンヌ・パリロー。
友人の父親に、ヴァンサン・ペレーズ。
そして恋人役は、
エジプト系ユダヤ人を父に持つノラ・アルネゼデール。
ユネスはと言えば、
ベルベル系モロッコ人の父とフランス人の母を持つ
Fu'ad Aït Aattou です。

こういう映画が日本で公開されないのは、

また、同じヤスミナ・カドラ(←女性名ですが、本人は男性)の小説の映画化としては、
これがあります。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/09/lattentatkamikaze.html

これも『テロル』という邦題で、訳されています。

2016年8月13日土曜日

『ぜんぶ、フィデルのせい』

ギリシャ系フランス人監督として知られるコスタ・ガヴラス。
彼の娘であるジュリー・ガヴラスも監督なんですが、
彼女の撮った

『ぜんぶ、フィデルのせい』(La Faute à Fidel !

を(タイトルに惹かれて)見てみました。
(「フィデル」とは、カストロのことで、実際キューバでは、親しみを込めて、
またラウルと区別するためもあり、
フィデルと呼ばれているそうです。)

https://www.youtube.com/watch?v=mrdolzPS3zo

1970年。
主人公は9歳の女の子アンナ。
弁護士の父と雑誌(「マリ・クレール」)の編集者の母、
庭付き一戸建てのパリの家、
キューバ出身の家政婦、
カトリック系私立小学校、
に囲まれてブルジョワ生活を満喫していた彼女ですが、
スペイン系の父親の妹が、
フランコ政権を逃れてパリにやってきたことで、
事態は一変します。
父親は、今まで妹たちを助けなかったことに罪悪感を感じ、
また、妻とのチリ訪問をきっかけに、「コミュニスト」に変身。
ブルジョワ的環境をすべて捨て去り、
チリ移民らの支援に乗り出します。
妻もまた、(ヴェイユ法以前なので)中絶の権利獲得に奔走します。
そんな中、ブルジョワ的生活が恋しいアンナは、
なかなか変化を受け入れられないのですが……
というお話。
(すべての変化は、だから、フィデルの(革命思想の)せい、
となるわけです。
もちろん、「ヴォルテールのせい」という表現を、
踏まえているのでしょう。
こんな映画もありました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/01/la-faute-voltaire.html

時事的エポックは2か所あって、

・ド・ゴールの死(le 22, 11, 1970)
・チリ・クーデタ(le 11, 09, 1973) ←もう一つの 9.11

です。
70年代のフランスの左派にとって、
このチリの問題が大きかったことは、
『戦争より愛のカンケイ』でも描かれていました。

父コスタが、チリのクーデターを描いた『ミッシング』をとった時、
ジュリーは11歳だったと言います。
アンナの造形には、監督本人の経験が使われているのでしょう。

映画としては、やや単調&単純だと言えなくもないですが、
こうした作品も、日本映画ではお目にかかりません。
アンナは、かわいかったです。

2016年8月11日木曜日

L'Ennemi intime

おととい見た Loin des hommes を見て、
そういえば、見ずにきてしまった映画を思い出しました。
ブノワ・マジメル主演の、

『いのちの戦場 ――アルジェリア1959――』(2007)

(原題は L'Ennemi intime 『親しき敵』)

https://www.youtube.com/watch?v=Ma_1v8aMYIY

この戦争を、フランスが「戦争」として認めたのは、なんと1999年。
でもこれは、まぎれもなく戦争でした。
しかも、フランス軍による拷問、
(禁止されていた)ナパーム弾の使用、
一般人の虐殺、
など、完全なる戦争犯罪の宝庫です。
(独立派のFLN もまた、
ナパーム弾こそ持っていなかったものの、
一般人虐殺などを繰り返しました。)

これがヴェトナム戦争と違う点の一つは、
たとえばこうした映画などを通しての検証の量の差です。
ヴェトナム映画は、ほんとに多い。
でも、アルジェリア戦争がらみは、数えるほどです。
その意味では、作られる価値があったのだと思います。
ただ、Loin des hommes に比べると、
登場人物たちがわりと単純で、
良くも悪くも分かりやすいです。

途中、『ぼくたちのムッシュ・ラザール』で主演した、
フェラグが出てくるのですが、
彼の役は、第二次大戦にフランス兵として参戦し、
勲章までもらったアルジェリア人で、
しかも今は、独立側にいる、という設定です。
彼は、フランス兵たちに銃殺されそうになった時、
この勲章を取り出し、胸につけるのです……

やっぱり、戦争は、サイテーです。

Rio フォント

リオ・オリンピックで使われているフォント、
いいですね。

https://www.youtube.com/watch?v=hsuzs_tJqxQ

これを見ると、
(繋がり具合はともかく)
字自体の形は真似できますね。
さすが Dalton Maag.



Qui vive

レダ・カテブ主演の映画、

Qui vive

を見てみました。
このタイトル、 qui-vive という形だと「誰だ」、
être sur le qui-vive だと「監視する」、
となるわけですが、
主人公の仕事が大型スーパーの警備員であることから、
このタイトルが付いているのでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=kILoqQjLUPs

主人公シェリフは、看護師を目指していますが、
すでに3回、受験に失敗しています。
で、次の受験を目指し、今は警備員をしているんですが、
そこに、毎日、まだ高校生くらいの、悪ガキたちがやってきます。
これがウザイやつらで、
なにかとシェリフにちょっかいを出してきます。
シェリフは、バスで知り合った女性と仲良くなりますが、
一緒に出掛けたクラブで、またそいつらと出会い、もめごと。
そのご、さらに大きなトラブルに発展し……
というお話。

スーパーの警備員といって思い出すのは、
これです。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/02/cesar-2016.html

この映画、今月末から、
日本でも公開されるんですね。
La loi du marché
『ティエリー・トグルドーの憂鬱』というタイトルです。

http://measure-of-man.jp/

当たり前ですが、どちらの作品の場合も、
「スーパーの警備員」という仕事が、
フランス社会で持っている意味を踏まえることが必要です。

しかしそれにしても、
映画の日本語訳タイトルって、相変わらずですねえ。
アメリカ版(英語版)のタイトルは、
たいてい直訳なので、
日本語タイトルの超訳ぶりが目立ちます。
もちろん、フランス語と英語のほうが、
はるかに訳しやすいということはあるにしても。
一概に否定はしませんが、
いつまでたっても「愛」と「憂鬱」と「眠れ」(的命令形)ばかりでは、
ほとんどラベリングにも感じます。
この『ティエリー・トグルドーの憂鬱』は、
決して個人の「憂鬱」ではなく、
フランス社会の問題だと思うのですが。

Loin des hommes

レダ・カテブ出演の映画、

Loin des hommes(2014)

を見てみました。

見終わった後に気づいたのですが、
この映画、去年日本で公開されていたのですね。

http://www.farfrommen.com/aljeria.html

日本版のDVD は、これから出るんでしょうか?
出るといいですね。
予告編です。

https://www.youtube.com/watch?v=77G5AmsL9xQ

アルジェリア戦争は複雑です。
フランス VS. アルジェリア
みたいな簡単な話じゃないんですね。
上に示した日本版のHP から引用すれば、

******************************
フランス本土とフランス領であったアルジェリアの内戦であると同時に、
アルジェリアでフランス本国と同等の権利を与えられていた
コロンと呼ばれるヨーロッパ系入植者と、
ベルベル人やアラブ系住民などの先住民との民族紛争
及び親仏派と反仏派の先住民同士の紛争、
かつフランス軍部とパリ中央政府との内戦でもある。
*****************************

これが映画の背景です。

主人公ダリュは、フランス人入植者の子どもで、
アルジェリア生まれ、アルジェリア育ち。
第2次大戦では、司令官としてイタリア戦線に参加、
スナイパーでもありました。
今は、退役軍人として、アルジェリアの田舎の小学校で、
アラブ系のこどもたちにフランス語を教える静かな日々を過ごしていました。
そしてやがて、1954年が巡ってくるのです。

ある日、フランスの憲兵が彼のもとに、
一人のアラブ人(=殺人容疑者・レダ・カテブ)を連れてきます。
そして彼を、Tinguit の裁判所まで連行しろ、と命じられます。
彼はしぶしぶ、この大人しく敬虔な容疑者を一緒に出発します。

ところが、道中は危険だらけ。
まさに、1954です。
二人は無事につけるのか、
そもそも、このアラブ人の殺人とは何だったのか、
なぜ彼は逃げようとしないのか、
が、次第に明らかになります。

原作はカミュの、『追放と転落』の中の一篇、「客」。
映画の後読み直してみましたが、
短かいとは思っていましたが、
予想以上に短くて、
まあ、原作とはいっても、
枠組みだけ、という感じです。
(カミュの他の作品のエピソードも使われているとのことです。)

でも、レダ・カテブもいいし、
(ちょっと予習は必要だけれど)
いい映画だと思いました。

2016年8月10日水曜日

Attention à l'omelette !

さ、わたしは誰でしょう?
(ヒント:オムレツじゃありません。)


正解は、もちろん、あの子です。

(本人は、バレてないつもりのようです。)

2016年8月9日火曜日

ハズレの日もある

今日は、「フランス映画」を2本見たのですが、
両方ともハズレでがっくりきました。
他の作品にいいのがある監督なんですが、
あれはまぐれなのでしょうか?

で、気分転換に、近場のプールへ。
混んでます。当然です。
それでも水は、やっぱり気持ちいいですね。

もうすぐ8/15 日がきますが、
今年は、14日に、
『日本のいちばん長い日』(岡本喜八版)
を見ようと決めました。
ある学生からのメールにこのタイトルがあり、
30年ぶりくらいに、見てみる気になったのでした。




2016年8月8日月曜日

アルタ・ドブロシ

最近、

『黒いスーツを着た男』

を見直す機会がありました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/03/blog-post_11.html

で、そういえば、
ここでモルドヴァ移民を演じているアルタ・ドブロシは、
『ロルナの祈り』にも出ていたことを思い出し、
久しぶりに引っ張り出して見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=HIShW3LZ4ws

いい映画ですよね。

で、アルタ・ドブロシですが、
ここで彼女は、アルバニア移民を演じています。
(彼女は両作品とも、基本的には、
フランス語を話しています。)

見ていて、
『黒いスーツを着た男』と『ロルナの祈り』の間には、
1つ共通点があるのに気づきました。
それは、ともに都市を舞台に、移民を登場させ、
その背景も観客に意識させながら、
いわばそうした時事的問題を、
最終的に、普遍的な問題に接続させている点です。
それは、「命」の問題。
前者は、事故で死んだ男を通して、
後者は、ヤク中の死と、
彼の子を妊娠しているという幻想を通して。

そしてアルタ・ドブロシですが、
彼女の存在感はなかなかすごいです。
画面に現れるだけで、そこにいる、という感じがします。
もっと見てみたいと思いました。

2016年8月5日金曜日

『シン・ゴジラ』(2e)

『シン・ゴジラ』、
昨日見て、
今日も見てしまいました。
劇場で、同じ映画を二日続けて見るのって、
いつ以来? という感じですが、
それくらい、この映画は魅力的です。
(というわけで、昨日の投稿は引っ込めました。
まあ、基本的な印象は変わっていないのですが。)
映画館のモギリのバイトの学生によれば、
早くも「5回目(!)」という人もいたそうです。


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以下、ネタバレあります。
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この映画には、
つい語りたくなるような細部が、
多く仕込まれています。
これは、言うまでもなく、
作品にとって重要なことがらで、
これは今回、かなりうまくいっていると思いました。
(海外の観客には、たとえば日本の現実への皮肉などは、
伝わりにくいかもしれませんが。)

ただ、この映画のポイントはやはり、
ゴジラとは何者か?
ということに尽きるでしょう。
そしてこの問いには、当然、
ゴジラはどこに向かっていたのか?
という問いも含まれるわけですが、
こちらの答えは明白です。
ゴジラが向かっていたのは、
皇居以外ではありえません。
最後、東京駅で、西向きに倒れ、
そしていったん起き上がるゴジラは、
皇居の和田倉門まで、
あと200m の地点で凍結したことになります。
もちろん、皇居のほうを向いて。
実際、何度か映し出される地図の中でも、
明らかにゴジラの道程は皇居を目指しています。
登場人物たちは、
誰一人そのことに触れませんが、
製作者が気づいていない可能性はゼロです。

で、ゴジラは何者なのか?
これも、それほど答えにくい問いではないかもしれません。
ゴジラはまず、原子力技術の化身であり、
F 1 (暴走した原発)の化身でもあるのでしょう。
夢の技術であると同時に、人間には手に負えないもの、
また、
凍結されるか核攻撃で破壊するほかないもの、
というわけです。
(もちろん凍結は、最終処理ではまったくないわけですが。)
そしてゴジラはまた、
東北を代表とする「地方」の抱く、
東京に対する屈折した怨嗟そのものとも言えるでしょう。
東北は、もう100年ほども、
様々な形で東京に奉仕する役目を押し付けられてきました。
しかも今、帰宅困難だの避難だのという実のない言葉で、
故郷を捨てさせられているわけです。
(棄民政策、という指摘さえあります。)
その、積もり積もった怨念を考えないなら、
ゴジラのあれほどの怒りは理解しえないでしょう。
ゴジラが東京を破壊するシーンは、
カタストロフィックで、
美しくもあり、悲しくもあります。
その無類の破壊能力は、まさに原子力エネルギー的ですが、
その根底にある怒りを、
見逃すことはできません。
原子力技術と東北の怒り。
この二重性こそ、ゴジラの本体だと感じました。

というわけで、とてもいい映画だと思うのですが、
どうしても気になることが一点あります。
それは、自衛隊賛美です。
(自衛隊についての態度ではなく、
その賛美を、作品のモチーフの1つとしてしまったということです。)
また、国のために命を捨てるのは尊いという思想も語られます。
(登場人物の言葉ではあるけれど、
映画の声でもあると言えるでしょう。)
この思想には賛成できません。
わたしには、ここがとても残念です。
この一点がなければ、手放しで褒めることができたのに。

でもやっぱり映画はおもしろいです。
そして映画は、やっぱり、最低2回は見ないと。
2回目で気づいたことが、
いくつもありました。
それにしても『シン・ゴジラ』は、
モニターじゃなく劇場で見るほうが、ずっと良さそうです。

2016年8月1日月曜日

Rihanna 登場

Stade de France に、
先週のBeyoncé に続き、
今度は Rihanna が登場したようです。

http://www.lemonde.fr/musiques/article/2016/08/01/rihanna-feline-perdue-dans-l-arene-du-stade-de-france_4976865_1654986.html

ちょっと目を引くのは、二段落目。
かつて(ワールドカップを制した)1998年、
この(同じ)場所で une France black-blanc-beur を夢見た人々、
さまざまな出自を持ち半分は女性である人々が、
今は、カリブ出身の女性(リアーナ)に魅せられている……
のあたり。

そうでした、リアーナはデビュー当時、
カリビアンであることがウリでしたね。
それから、1998。
気にしているせいか、
このところよくこの1998を見かけます。
1つの大きなエポックなんですね。

それにしてもリアーナは、
わたしが最初に、渋谷のショーケースで、
3メートルくらいの距離で見た時から比べると、
なんとビッグになったことでしょう!