2021年10月30日土曜日

『ヒューマニティー通り8番地』(再)

もちろん日本語タイトルは、

『ユマニテ通り8番地』

とすべきだったと思いますが、それはともかく。

先日、
この映画はおもしろくなかった、
と書きましたが、
その気持ちは変っていません。
ただ、備忘録的に、
いくつかのエピソードを書いておくことにします。

・犬を貸す少年
ロック・ダウンの最中は、
「外出許可証」がないと、出かけられません。
でもどうやら、犬の散歩程度なら、
まあ許されるようで、
そこに目を付けた少年は、
自分が飼っているわけでもない犬を、
「外出許可証」を持っていない人たちに貸すことを思いつきます。
この犬を連れていれば、
犬の散歩ですという言い訳ができますよ、というのです。
ちょっとおもしろいですね。

・移民系の女性
登場人物たちは、1つのアパルトに暮らしていて、
外出禁止をきっかけに、
「知り合い」になってゆきます。
(それまでは、たとえ同じアパルトにいても、
おたがい「知らない人」同士。
「都会的」です。)
で、そんな中、
一人の女性だけは仲間に入ってきません。
移民系の彼女は、
夜になると、バイクで出かけていくのです。
それを怪しんだ住民たちは、
彼女のことを警察に通報します、怪しい人がいる、と。
しかし、いざ警察が来て彼女に問いただすと、
実は彼女、近くの大きな病院の医師で、
夜間の勤務が多い、そして、
コロナを移す危険を避けるため、
あえて住人たちと距離を取っていた、と……。
ここには、単純ですが、
移民系の一人暮らしの女性は、
夜に「怪しい」仕事をしているに違いないという、
古めかしい偏見が描かれています。
つまり、今も残っているということでしょう。

・コンシエルジュ夫婦
ポルトガル語を使っているようです。
変ってません。
ただし、夫は「フランス人だ」と言っていますから、
二(~)世なのでしょう。

その他の登場人物たちも、
ほとんどみんな、
何らかのタイプの戯画のようです。
ただその戯画が「浅い」ので、
おもしろくないわけですが、
まあ、こういう映画は、
これがフランスのステレオタイプね、
という感じで見ればいいと思います。

『やがて魔女の森になる』


好きな詩人はたくさんいますが、
現役の詩人で、ということになれば、
わたしはまず川口晴美さんの名を挙げます。
すごく好きなんですが、
もう、どこがというより、
リズムというか、呼吸というか、
読んでいて、とてもシンクロする感じがするのです。
特に、1行目。
どの詩でも、
1行目はすごくいい。
ああ、川口さんの詩だ、と感じます。

その川口さんの新詩集、

『やがて魔女の森になる』

を読みました。
もちろん、いいです。
気の利いた批評はできませんが、
わたしはとても好きです。

思いつくまま、一部分だけ引用します。
友だちに、スイカのおすそわけをしようとするのです。

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先週ともだちがわけてくれたサクランボはきれいだった
出かけるついでに朝の駅で待ちあわせて受け取って
夜の部屋でひとり食べると光の味がした
いつまでもからだのなかが明るむみたいに
思い出して
届けに行く
スイカスイカとペダルを踏めば
やがて切りわけて食べるひとの唇を濡らしながら
からだのなかを甘くゆるませる雫は
薄い血のように見えないところに滴って
体温に近づいていくだろう
触れあって
混じってゆくわたしたち
汗と雨のように
果物と果物のように
果物とからだのように
(「スイカタイフウ」)

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素晴らしい……

ガットと期日前

とても気持ちのいい天気だったので、
テニス・ラケットのガットを張り替えと、
期日前投票をしてくる気になり、
午後、出かけました。

スポーツ用品店のあるモールは、
「ふだん」と変らない混み具合で、
なんというか、
そういう人出であることそのものについて、
もう、あまり気が行かなくなっているようにも見えました。
(実際は、そんなことないのかもしれませんが。)
わたしはといえば、
休憩は、とりあえず「外」にあるテラス席にして、
『映画で考える生命環境倫理学』
を読んでいました。
これ、『アバター』についての章を最初に読み、
とてもおもしろくて驚きました。

ガットは、
貼りたかったものが置いてなくて、
その代わり、
ヨネックスのガットを選べば加工料タダ、
というキャンペーンをやっていたので、
初めてヨネックスを張ることに。
でも加工料タダって、
やっぱり安くなります。
ラッキー!

その後、期日前投票へ。
駐車場がいっぱいで、少し待たされるくらいだったのですが、
今ニュースを見たら、
期日前投票が過去最多になっている、とのこと。
さもありなむ、という感じ。
これで明日の投票率も上がれば、いいと思います。
そして個人的には、
「激戦区」が野党側に雪崩を打ち、
驚異の政権交代が実現すればいいと思っています。
実現の可能性が高いとは思いませんが、
それでも。

2021年10月28日木曜日

「過半数を取ったものが正しい」のロジック

選挙、近づいてきました。
激戦区の行方が結果を左右するって話ですが、
ポイントは、
激戦区が現にたくさん存在する、ということなんでしょう。

二人の知性のトーク、
これから読むつもりです。

『ヒューマニティー通り8番地』

ダニー・ブーンとフランソワ・ダミアン、といえば、
コメディー界のスターと言ってもいいと思いますが、
この二人が出演している映画が、
ネトフリに登場しました。

『ヒューマニティー通り8番地』(2021)


今年の映画で、舞台はパリ。
なんといっても新しいのは、
このコロナの時代を描いているところです。
たとえばダニー・ブーンは、
コロナに感染することを異様に恐れていたり、
登場人物たちが暮らすアパルトマンの、
スペイン系の管理人は、
ICUに入院していたり。

ただ……

これがおもしろくない。
安っぽくて表面的。
人物たちもステレオタイプで戯画的。
見所は……ない?
ほんとに、
こんな映画作る必要なかったと思うほど。

で、
フランスでの評判をネットで探すと、
ああ、やっぱり酷評されています。
よかった。
これが高評価だったら、
そりゃないよ、
と思ってしまうところでした。

2021年10月27日水曜日

国民審査のための

これ、誰がどんな意見だったかわかって、
おもしろいです。


実は最近、
かつて裁判官だったという人と知り合いになりました。
(今は現役を退いています。)
感じのいい、丁寧な物腰の人なんですが、
この前、特定秘密保護法案の話題を振ったときには、
さすがにまったく乗ってきてくれませんでした。
まあ、こんな素人相手じゃしょうがないか!

Lady Marmalade

今日のフランス語の授業(1年生)では、
vouloir や pouvoir を使う練習をしたんですが、
その授業の合間に、
久しぶりにこのヴィデオを見せました。
サビがフランス語、

Voulez-vous coucher avec moi ce soir ? 

で、思いっきり vouloir が出てきているからです。


なにしろアギレラが出ていて、
となると「上品」なものは期待できず、
やっぱりその通り(!)なわけですが、
まあ、かっこいい曲だし、
なにより、「クレオール」で、
「モカ・チョコレート」で、
「ニューオリンズ」で、
となると、
サビがフランス語であることも必然、
なのがよく理解できるので、
その意味では、いい教材とも言えるでしょう。

ちなみに LaBelle の原曲は1975年で、
ああ、一番ディスコに出入りしていた時期です。
ディスコは遠くなりにけり、
ですが、
こうしてワカモノと一緒聞くのは、
ちょっとおもしろい経験でした。
(まあ、学生は、
特に何も思ってないでしょうけど!)

2021年10月26日火曜日

『サムライ』

昨日の大学院ゼミでは、
アラン・ドロンの

『サムライ』(1967)

を見ました。
まあ、この手の映画だと大抵そうなんですが、
これを見るのも、30年振り? くらいで、
3,4回目です。

前週まで見ていたアンリ・ヴェルヌイユに比べると、
やっぱりメルヴィルは、時間の使い方がスマートだと感じました。
まあスタイルなので、甲乙と言うことではないですが。

見終わった後、
この孤独な殺人者を、
もし現代の俳優が演じるとすれば誰が適役か?
と(みんなで)想像してみたんですが、
これが、思い浮かばない。
ドロンの持つ冴えた美貌は、
フランスにも、アメリカにも、
見いだしにくい気がしました。
たとえばブラピももちろんカッコイイですが、
なにか違うものです。
ドロン二世と言われるラファエル・ペルソナにしても、
ちょっとお茶目すぎるし。
わたしはむしろ、
ある時期のジョン・ローンとか、
韓国のイケメン俳優の誰かとか、
がいいかもと思いました。

でも、
こんな「遊び」をしてみると、
アラン・ドロンがなかなか希有な存在であることに、気づかされます。
やはり、置き換えのきかない俳優なんですね。
(もちろん、ベルモンドも、ジャン・ギャバンも、
ジェラール・フィリップだってそうなんですが。)

2021年10月25日月曜日

Éric Zemmour



これが一昨日のニュース。


で、これが朝日新聞の今朝の記事。

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来年4月のフランス大統領選で、
極右の論客エリック・ゼムール氏(63)が
世論調査で2番手につける結果が相次ぎ、
社会に驚きが広がっている。
イスラム教徒や移民への差別発言を繰り返し、
罰金刑を受けてきた人物だ。
マクロン大統領の有力な対抗馬とみられていた右翼政党「国民連合」のルペン氏の支持基盤を奪った格好で、
ルペン氏は挽回(ばんかい)に躍起だ。

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ゼムールは、アルジェリア系ユダヤ人。
彼自身も「マイノリティー」でありながら、
ほかのマイノリティー集団を誹謗する人物です。
ルペンと同じ右翼に見られがちですが、
まあ、ルペンのほうが「まとも」に見えます。
もちろん、両者とも、
その意見に賛成ではありませんが。

そしてゼムールは、日本について、こうも言っています。

「移民を拒み続けている安全な国」なので「モデルにすべきだ」

これとまったく同じ趣旨の発言を、
以前は、ルペンもしていました、
と言っても、マリーヌではなく、
父親のジャン=マリのほうでしたが。
イメージは変ってないわけですね。

2021年10月24日日曜日

『雌猫たち』

金曜は、恒例の「会議デー」で、
Zoom会議×3、だったのですが、
今日もまた、2時間ほどZoomでした。
といっても今日の場合は、
レナさん、そして白水社の編集の女性とだったので、
これは楽しい打ち合わせでした。
新しい企画、進行しています。が、
まだ手探りの部分があり、
3歩進んで2歩下がる、という感じ。
でも、すでにある素材はとてもいいと思うので、
これをうまく形にしたい、と考えています。
文字通り、3人で知恵を出し合っています。
がんばろう! オー!

で……

今日は、これで何本目でしょう、
白石和彌監督の、

『雌猫たち』(2017)

を見てみました。
(ネトフリです。)
「日活ロマンポルノ」の、45周年記念の企画だそうです。


結論から言うなら、とってもよかった。

主人公は3人の女性たち。
彼女らは、池袋のデリヘルで働いています。
雅子は、大卒後就職、そして退職後借金を作り、
今は住む部屋もないまま漫喫などを転々とし、
デリヘルの日銭で凌いでいます。
彼女の常連客は、
もう10年も外に出ていないという男。
彼はビル持ちで、収入はあるのです。
この、生の現実と向き合おうとしない男と、
雅子はどんな関係を築けるのか。
二人目は結衣。
シングル・マザーである彼女は、
幼い息子を虐待しており、
一方やっとできたカレシ(お笑い芸人)には、
彼女自身が虐げられそうな強い予感が漂います。
3人目は美知枝。
自分が不妊ゆえ夫は浮気に走り、
自暴自棄になってこの仕事へ。
そんな彼女をいつも指名してくるのは、
妻を1年前に亡くした老人。
ただ彼は、なにもしないのです……。

軽い気持ちで見始めたのですが、
「現代」の、翳った肖像が次々に現れ、
引き込まれました。
「ロマンポルノ」ですから、
それ用のシーンは繰り返し現れるのですが、
その一つ一つが、
異なる意味、ないし文脈を背負っていて、
その辺はかなり技巧的だし、
また深さもありました。

池袋も、いい感じでした。

2021年10月23日土曜日

007 No time to die

というわけで、
先日話題にした 007、
一緒に盛り上がった院生が、
時評をアップしました。

そこらへんの雑誌のレヴューより、
だいぶよく書けていると思います。

2021年10月21日木曜日

無題



アメリカだったら、とか、
ヨーロッパだったら、とか、
ほんとは言いたくありません。が、
このニュース、
アメリカやヨーロッパだったら、
大々的に報道されて、
政権には大打撃になっているでしょう。

卑怯な政党と、
それを報道しない大手メディア。
世界の報道ランキング67位っていうのは、
フェイクじゃなさそうです。

2021年10月19日火曜日

『J・M・クッツェーと真実』


くぼたのぞみさんの新作、

『J・M・クッツェーと真実』

が発売されました。
クッツェーの翻訳では、
くぼた訳にさんざんお世話になり、
(アディーチェの『アメリカーナ』も、
ものすごい~くおもしろかったです。)
そのくぼたさんによるクッツェーをめぐるエッセイ集です。
日本で、
クッツェー論を書くのには、
もっともふさわしい人だと思います。

(実はわたしも、『恥辱』に関する章で、
ほんの一瞬だけ登場させてもらっています。
それは、このイヴェントに関連してです。


ほんとうに真摯な、くぼたさんなのでした。)

007

院生の一人が、
007の最新作公開に合わせて、
その旧作をたどり始めていました。
で、
彼が言うには、

「ひどいんですよ」

なにが「ひどい」のかといえば、
男性中心主義、家父長主義、ミソジニー、
などなどです。
情報を聞き出すためにボンドは、
女性に容赦なく平手打ちを食らわせ、
聞き出した後は、
殺してしまう(!)。
これって、フェミサイドですね。

ただ、第6作目の『女王陛下の007』は、
ちょっと違うんだそうです。


なかなかおもしろい指摘ですね。

で、
彼とだべっていて、
この007というのは、
もう、今の時代に成立させるのはムリじゃないか、
こうなったら、ボンドを死なせて、
それと一緒に家父長主義なんかも葬り去って、
たとえば003と名乗る、
女性、ないしアフリカ系、アジア系のボンドを登場させるしかないかな、
なんて言い合っていたんですが……

*****以下ネタバレあり******

そして今日、
彼が007の新作を彼が見てきて、
メールをくれました。

「ボンド、死にました!」

まさか当たるとは!
制作者も、
同じことを考えていたのでしょうか?

『恐怖に襲われた街』

対面授業になり、
とはいってもレポートのチェックはやっぱりあるので、
ちょっとタイトな感じになっています。

そんな中、
月曜の大学院ゼミでは

『恐怖に襲われた街』

を見ました。これです。


(↑ 国内盤ブルーレイ、出てます。)

ただし、院のゼミでは、
「ナショナル・アイデンティティー」をテーマに映画を見てきたので、
ここまで娯楽作品だと、
なんというか、
たとえば『ゲームの規則』の時代からすると、
なんと遠くまで来てしまったんだろう、
という思いがします。

来週は、もう1本アラン・ドロンを見るか、
もうドパルデューに行ってしまうか、
迷うところです。


2021年10月16日土曜日

『ペーパー・ハウス』完結


「はまって」いたスペインのドラマ、『ペーパー・ハウス』、
ついにパート5まで見終わりました。
パート1と2は抜群におもしろくて、
パート3ではほん一瞬「減速するかな」と感じたものの、
すぐに持ち直し、
その後はラストまで、
ものすごい力で引っ張っていかれました。

つらつら考えたんですが、
このドラマ、
わたしが今までに見たすべてのドラマの中で、
一番おもしろかった気がします。
(ふだんは、めったに
「一番」
とは言わないんですが。)
強盗団の話なので、
もちろん、好き嫌いはあると思いますが。

物語は、「教授」が、
強盗団のメンバーをスカウトしてくるところから始まります。
そして数ヶ月かけて、
造幣局襲撃計画を頭にたたき込み、
ついに決行の日が来ます。
これがパート1と2。
そしてその後2年ほど経ち、
まあいろいろあって、
彼らは再結集します。
そしてまた計画が実行されるのですが……

このドラマの魅力は、
まず第一に、
いわゆる「キャラが立った」登場人物たちの存在でしょう。
男も女もトランスジェンダーも、
老いも若きも中年も、
誠実なものもずるいものも、
強いものも弱いものも……。
そして制作者(たち) or 脚本家(たち)の、
人間についての理解に深さを感じました。

テーマは?
と問われたなら、これは、
<愛と死>
ということになるでしょう。

そしてなんと、
12月3日から、
volume 2 が始まるようです。
待ち遠しいです!!

『なぜ君は総理大臣になれないのか』

選挙も近づいてきたところで、
去年公開され話題になったドキュメンタリー、

『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2020)

を見てみました。

四国の、香川1区。
そこで、2003年、
32歳のワカモノが、エリート官僚の職捨てて、
国会議員に立候補します。
彼の名は小川淳也……。
このドキュメンタリーは、
彼、彼の家族、仲間たち、支援者たちの、
その後の17年間を追ったものです。
民進党から希望の党へ、
そして無所属となり、
立憲の会派に合流するという、
いわば「激動」の中で、
一人の人間がどう生きようとしたか、
が描かれていると言えるでしょう。

人間としては、真摯で、潔くて、とても好感が持てます。
今は、そもそもそういう政治家が稀少なので、
これは大事な点です。
ただ、作品内では、
ほとんど政策には触れられていませんでした。
彼は、新自由主義者である前原氏の側近です。
彼の国民を思う気持ちは強く伝わりましたが、
彼の言う「中道」は、
そのままでは、受け入れにくいとも感じました。

Stromae 帰ってきてくれた!(涙)

このまま、本格活動を再開してくれることを、
強く望みます!

ほんとに久しぶりの新曲。


この歌詞、
吹っ切れた感もあります。
もう正面から、「社会」と向き合っています。

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À ceux qui n'en ont pas
À ceux qui n'en ont pas

Rosa, Rosa, quand on fout l'bordel, tu nettoies
Et toi, Albert, quand on trinque, tu ramasses les verres
Céline (Céline), 'bataire ('bataire), toi, tu t'prends des vestes au vestiaire
Arlette, arrête, toi, la fête, tu la passes aux toilettes

Et si on célébrait ceux qui n'célèbrent pas
Pour une fois, j'aimerais lever mon verre à ceux qui n'en ont pas
À ceux qui n'en ont pas
Quoi les bonnes manières ? 
Pourquoi j'ferais semblant ?
Toute façon, elle est payée pour le faire, 
tu t'prends pour ma mère ?
Dans une heure, j'reviens, 
qu'ce soit propre, qu'on puisse y manger par terre, trois heures que j'attends
Franchement, ils les fabriquent ou quoi ? 
Heureusement qu'c'est que deux verres
Appelle-moi ton responsable et fais vite, 
elle pourrait se finir comme ça, ta carrière

Oui, célébrons ceux qui n'célèbrent pas
Encore une fois, j'aimerais lever mon verre à ceux qui n'en ont pas
À ceux qui n'en ont pas
À ceux qui n'en ont pas
Frotter, frotter, mieux vaut ne pas s'y frotter, frotter 
si tu n'me connais pas
Brosser, brosser, tu pourras toujours te brosser, brosser 
si tu n'me respectes pas

Oui, célébrons ceux qui n'célèbrent pas
Encore une fois, j'aimerais lever mon verre à ceux qui n'en ont pas
À ceux qui n'en ont pas

Pilote d'avion ou infirmière, chauffeur de camion ou hôtesse de l'air
Boulanger ou marin-pêcheur, 
un verre aux champions des pires horaires
Aux jeunes parents bercés par les pleurs, 
aux insomniaques de profession
Et tous ceux qui souffrent de peine de cœur, 
qui n'ont pas l'cœur aux célébrations
Qui n'ont pas l'cœur aux célébrations

Omar Sy signe un contrat avec Netflix

オマール・シーが、
Netflixと複数年契約をした、
というニュースが流れています。



この契約は、
俳優としてだけでなく、
プロデューサーとしても、なんですね。
で、2022年には、
『ルパン』や『トランスポーター』のルイ・ルテリエ監督による、
オマールの新作が発表されるとのこと。
記事の中では書かれていませんが、
別のところには、
ルイ・ルテリエ監督の2022の新作として、

Au-delà du périph

が予告されているので、そのことなんでしょう。
で、今回の新作は、この作品の続編のようです。


「ペリフ」が出てくる映画は、
基本みんな好きなので、楽しみです。

(ただ『ルパン』は、今思い出してみると…… 
70点いくかいかないか?
というデキだったし、
『トランスポーター』もわたしにはイマイチだったので、
ちょっと心配でもあります。)


2021年10月15日金曜日

La Tour Eiffel au cinéma

「映画の中のエッフェル塔」、ですね。


たくさんの映画が紹介されていますが、
見たことのあるものも多いです。
ただ、
こんなもんじゃないでしょう。
この何十倍もあると思います。
まあ、パリのアイコンですからね。

というわけで

先日颯爽と(?)登場した、
総合芸術系の YouTube チャンネル。
鞍田さんに続き、
今日、不肖わたしの回がアップされました。
聴衆がいないところでしゃべっているので、
いまいち落ち着きがありませんが。


でも、ヴィデオの雰囲気自体は、
作ってくれた院生のセンスがよくて、
品がいいものになっています。
Merci beaucoup !

2021年10月14日木曜日

授業で

そういえば昨日のフランス語の授業中、

J'ai vu le film dont vous m'avez parlé.

という例文が出てきたので、
ふと思い出して、
『シャン・チー』見た人いる?
と訊いてみたところ、
なんと手を上げたのはゼロ人でした。
3クラスともゼロだったので、
分母はざっと120(人)ほどになります。
なんというか、ちょっと残念……

じゃあ、というので、
ついでに『ペーパー・ハウス』について訊いてみると、
こちらもゼロ人。
少しはいるかと思ったんですが。

ただ、
LALISA にちらっと触れたときだけは、
ごく数人ですが、
強く頷いていた学生がいました。
こちらはファンがいるようです。
さすが。

2021年10月11日月曜日

アンリ・ヴェルヌイユ

大学院ゼミでは、
先週と今日とを合わせて、
アンリ・ヴェルヌイユ監督の作品を2本見ました。

『冬の猿』(1962)
『地下室のメロディー』(1963)



『冬の猿』では、
ジャン・ギャバンとベルモンドが共演、
そして『地下室』では、
ジャン・ギャバンとアラン・ドロンが共演しています。
つまり、
まさに往年のスターであったギャバンから、
新時代の2大スターへの、
いわばバトン・タッチのような位置づけの作品と考えられるわけです。

『冬の猿』は、
もう思い出せないくらい昔に見て、
「おもしろかった」という記憶だけが残っていたのですが、
どの場面を見ても、
かつての記憶はまったくよみがえりませんでした。
でも、
なかなかおもしろかったです。

ギャバンが演じるのは、
WWⅠでアジアに出兵し、
そのときの揚子江や上海の記憶を、
自分の輝ける青春の形見のように抱いている、初老の男です。
彼は今、
ノルマンディーの小さなホテルを、
妻とともに経営しています。
大酒を飲んで酔っ払い、
アジアでの記憶に浸ることが、
生きる支えになっているように見えます。

そこに、ベルモンドが客として現れます。
当初ベルモンドは、
近くの飲み屋で暴れてみたり、
無軌道で突拍子もない行動が目立ちましたが、
実は彼は、
寄宿舎に入れていた10歳になる娘を、
パリから迎えに来たのでした。
それが分かってみると、
それまでの彼の行動は、
青春に別れを告げる儀式であったようにも見えてきます。

物語は、ドイツ占領期のノルマンディーで始まり、
その後すぐに、ノルマンディー上陸作戦、
そして解放時代へと続きます。
そしてそうした時間の中で、
ギャバンはWWⅠの記憶にしがみついている……。
彼にとって、WWⅡは起こらなかったかのようです。
(これは、多くのフランス人が、
WWⅡの健忘症になっていたのと見合っているのでしょう。)

物語の終わり、
ベルモンドは娘とともにパリに帰ります。
彼は、「父親」になることを受け入れたわけです。
そしてそれは、
はぐれていた孤独な「冬の猿」が、
群れへ戻ることを意味してもいるのでしょう。
ただし、ギャバンの方は、
今後も「冬の猿」でい続けるしかない用に見えます。

『地下室のメロディー』は、
むしろはっきりしたエンタメです。
特徴的なのは、
出所したばかりのジャン・ギャバンが、
妻の待つサルセルヘ戻っていく冒頭のシークエンスです。
サルセルは、都市開発のまっただ中にあり、
ギャバンが知っていた街はもう、どこにも見当たらないのです。
ここでも、
時代から置き去りにされた男を、
ギャバンが演じているわけです。
そして彼は、
若いチンピラ、アラン・ドロンと「仕事」をするのですが……

1960年代。
これはヌーヴェル・ヴァーグの時代でもありますが、
ギャバンが去り、
2大スターが登場する時代でもあるわけですね。

2021年10月10日日曜日

ついに

ついに、明日から対面授業が始まります。
先週までは、
大学院のゼミだけだったので、
ちょっと緊張します。
(でもないか!?)
実は前期がそうだったのですが、
授業をする側にとっては、
オンラインと対面が入り乱れるのが、
一番やりにくいです。
オンラインならオンライン、
対面なら対面、
と一貫性があれば、
それなりの到達目標を決めて、
試験などもそれに対応させていけるのですが、
混じってると、
正直言って、ブレます。
このブレを、なんとかうまく調節するのが、
なかなか大変なわけです。
というわけなので、
また12月あたりに緊急事態宣言が出て……
というのが、もっとも避けたいシナリオです。

     ★

ところで、しばらく前から、
新聞をデジタルに切り替えています。
実家では、
新聞を4紙取っていた上、
縮刷版も買っていたので、
もう、新聞が山のように溜まっていました。
ここ数年は、2紙だけなので、
それほどではないんですが、
それでも、やっぱり溜まります。
また、これはという記事は、
以前は切り抜いていたわけですが、
ここ数年は、写メしていました。
が、これだと、検索はできないわけです。

で、デジタルです。
どんなもんかなあ、と半信半疑でしたが、
使ってみると、かなり快適。
ちょっとした空き時間に、
ネットを見る機会は多くの人があると思うんですが、
こういうとき、
朝日新聞デジタル、
を読んでいます。
はっきり言って、
ネット上のしょうもない記事とはまったくちがうし、
トッド、でも、ハラリ、でも、福山、でも、
検索すれば記事が出てくるし、
関連記事も付いてきます。
Mmm、べんり~。

AFPやロイターも読みますが、
これに朝日が加わり、
空き時間が濃くなりました。

2021年10月9日土曜日

『ミナリ』

日本ではこの春に公開された

『ミナリ』(2020)

その頃話題になっていたのですが、
コロナで映画館に行くのをためらっているうちに見逃したのですが、
早くもアマプラに登場したので、
さっそく見てみました。


これは、アメリカに移住した韓国系移民家族の物語です。
日本の公式HPなどには、
「1980年代」
と書かれていますが、
調べてみると、どうやら
「1983年」
が舞台のようです。
劇中でも、レーガン大統領の名前が出てきます。

わたしには、
この年号が真っ先に気になりました。
というのも、この家族の中心である夫婦は、
もう10年カリフォルニアでがんばってきた、
と話すからです。
つまり、1973年から83年までということで、
これはつまり、
軍事政権時代に韓国を離れ、
(光州事件を挟み)
祖国の民主化(1987)はいまだ達成されていない、
ということを意味するからです。
この『ミナリ』の物語は、
そういう、いわば過渡期にあった韓国が、
背後にあるわけです。
実際、途中からこの家族に合流する祖母は、
そういう韓国を離れてきたわけです。
(そしてこの祖母の夫は朝鮮戦争で亡くなり、
また、現地アーカンソーでこの家族を助ける男性は、
朝鮮戦争に従軍したもと兵士です。)

いい映画だと思うし、
最後まで集中して見られたのですが、
わたしにとっては、
好みのタイプの作品ではなかったかな。

2021年10月8日金曜日

「はまる」

これまでに、何かに「はまった」かといえば、
そうですねえ、
ここ数年で言えば、
やっぱりテニス、かな?
もちろん映画とかドラマとかも毎日見ますが、
これは「はまった」というより、
日常です。

とはいえ、
特定のドラマなどに、
短期集中で「はまる」ことはやっぱりあります。
で、
今、絶賛「はまり中」なのが、
先日もちょっと触れた

『ペーパー・ハウス』 (ネトフリ)

です。
パート5まであるうちの、今、パート2なんですが、
深く、はまっています。
これを見ても、
論文が書けたりするわけじゃないんですが、
なんてよくできたエンタメだろう!
と感じています。
ヒットするわけですね。

鞍田先生登場

総合芸術系の YouTube チャンネルに、
鞍田さんが登場しました。


Mmm... 
一見さらっと話していますが、内容は深いです……
きっと授業も、
血の通った、手応えのある言葉で行われてるにちがいありません。

鞍田さんは今、「民藝」については、
日本を代表する研究者です。
もちろん、ハイデガー研究がその背景にあります。
尊敬する同僚です。

2021年10月6日水曜日

『天使の入江』

で、Jacques Demyの作品、
アマプラにいくつかあったので、
とりあえず『ローラ』と時期の近い、

『天使の入江』(1963)


を見てみました。
パリで銀行勤めだった青年が、
先輩に連れられていったルーレットに嵌まり、
休暇を取ってニースに勝負に出かけると、
そこで、パリのギャンブル場でも見かけた女性を見つけ、
いつか、彼女と意気投合し、
二人でギャンブルの渦に巻き込まれ……
というお話。

アマプラの作品紹介では、
ジャンヌ・モローが「運命の女」を演じる、
とありましたが、
あまりそういう感じはしませんでした。
主人公は、彼女にはのめり込まないと思います。

映画としては、特に言うことがない感じ。
ジャンヌ・モローが好きなら、
というところでしょうか。

Jacques Demy

今週の大学院ゼミでは、
ジャック・ドゥミ監督の長編デビュー作、

『ローラ』(1961)

を見ました。


(←実際の画質はもっときれいです。)

『シェルブールの雨傘』で知られるドゥミ監督ですが、
正直なところ、
わたしはこれまでそんなに注目してきませんでした。
なので、そんなに期待してなかったんですが、
この『ローラ』はなかなかおもしろかったです。
ただ、そのおもしろさは、
いわゆる「おもしろい」とは違います。

舞台はナント。
物語は、どの仕事も長続きしないワカモノ、ローランと、
彼の幼なじみで、今はシングル・マザーになり、
ダンサーとして生活しているローラ(本名はセシル)の関係を中心に進みます。
初恋の相手であるローラと、15年振りに会ったローラン。
彼は、かつての情熱を再燃させ、
人生に喜びを感じ始めます。
けれどもローラは、アメリカ兵フランキーとベッドをともにし、
また、子供の父親であるミッシェルを忘れられません。
そしてついに、ミッシェルが南洋から、
金持ちになって戻ってくるのです……

おもしろいのはまず、
シングル・マザーが3人出てくること。
この父親不在の感じが、この映画のテーマの1つです。
そして、中心となる2組の一方の母親と、他方の娘が、
同じセシルという名前で、
ともにアメリカ人への「愛」を感じているのです。
フランス映画におけるアメリカ熱が、
これほど露骨に描かれている作品は多くないでしょう。
(『7月のランデヴー』などもそうでしたが。)

そして……

まず、この映画の発表が、
『勝手にしやがれ』の翌年であることがとても大事です。
というのも、劇中ローランは、
友人ポワカール(=『勝手にしやがれ』の主人公の名)について、
あいつはもう死んだ、と言ったりするのです。
それだけではありません。
ローラ(セシル)が同衾し、
また少女セシルが会いたがっているのは、
同じアメリカ人フランキーで、
『勝手にしやがれ』のヒロインの名は、
パトリシア・フランキーニでした。
またさらに、
この『ローラ』は、
『シェルブールの雨傘』『モデル・ショップ』とともに、
3部作を形成しているとされているのですが、
ローラン(・カサール)とは、
『シェルブールの雨傘』で、
ジュヌヴィエーヴと結婚することになる宝石商と同じ名前です。

こうしたこと全部が、
何を意味するのか、どういうネットワークになっているのかまでは、
まだはっきりしません。
それをするには、
『モデル・ショップ』を見る必要があるのですが、
このDVDの入手が(不可能じゃないですが)難しい感じ。
このあたりは、
おそらく研究され尽くしているのでしょうが、
わたしも知りたい気がします。

おもしろいというのは、
こういう意味で、ですね。

2021年10月4日月曜日

新首相、と言っても……

あれもあれも再調査はしない、
幹事長はこの人、こっちはあの人、
そして……

学術会議委員の任命拒否も、そのまま。


2021年10月3日日曜日

Stromae カヴァー

以前、NHKラジオ講座・応用編のオープニングで使っていた、
Stromae のこの曲、


これは、いろんなヴァージョンがあるんですが、
1ヶ月ほど前にも、新たなカヴァーが発表されていました。


Mmm、なかなかおもしろいかも!

『ペーパー・ハウス』

若いフランス人女性が書いたエッセイを読んでいたら、
スペイン発のドラマ、

『ペーパー・ハウス』

が、フランスでは大人気だと書いてあって、
ああ、それは、
ネトフリのマイリストに入れてあるやつだ、
と思って確認すると、
ありました、が、
なんとシーズン5まであると。
それはちょっと長いけど、
まあ、授業でこのドラマを紹介するかもだから、
とりあえず少しだけ見てみよう、
と思って見始めたら、
これが、ものすごく引き込まれる!
あっという間に、第5話まできてしまいました。
国立造幣局を襲う計画なんですが、
ルールは「人を殺さないこと」。
それをやってしまえばただの強盗。
やらなければ英雄だと、
リーダーは言うのです。

あしたも見よう!

2021年10月2日土曜日

『フォレスト・ガンプ』

学部でのゼミで、
「象徴」という言葉を使えるようになってもらおうと思って、
今までに見た映画なんでもいいから、
その中にあるなんらかの「象徴」を探してきて、
という宿題を出しました。
すると、
『アンパンマン』
『プリキュア』
『ガルパン』
『エヴァ』
などに混じって、
『フォレスト・ガンプ』
が登場しました。
なんと、グッド・タイミング!
というのも、これは院生の一人が、
時評をアップしたばかりの作品だったからです。
ソッコー、時評を読んでくださいと指示しました。

そしてこの文章については、
総合芸術系のアカウントでも、
いいフォローをしてもらっています。
時評共々、よろしかったら!


「水」は大事

大阪市の、水道管交換の民営化、
業者が辞退したそうです、
採算がとれないと。


これは朗報!
水は、民営化すべきじゃないと思っています。

2021年10月1日金曜日

ここに書き忘れていたことを、
備忘的に少しまとめると……

『シャン・チー』、2回目見てきました。
実は知り合いに「すごくおもしろかった!」と勧めたところ、
途中で寝ちゃった、と言われたので、
そんなはずある?
と思って2度見したところ、
やっぱり寝る箇所はありませんでした!
もう、1回目と同じくらいおもしろくて、びっくり。
ただ、物語を知っていて見てていると、
父親の哀れさが前回より際立って感じられました。
まあアメリカ映画なので、
哀れと言っても、
ウェットではないんですが。

『イップマン 序章』を見ました。
イップマンを扱った映画は多いですが、
これもその内の1本です。
もちろんカンフー映画で、
時は1930年代。
そう、日本軍が中国を侵略するんですね。
で、イップマンと日本兵の戦いが……
民族主義的な、
プロパガンダ的な映画ですが、
エンタメとして十分通用していると感じました。

『ノマドランド』を見ました。
これは、春頃でしょうか、
わたしの周りでもとても話題になっていた作品で、
遅ればせながら、という感じです。
でも、たしかにとてもよかった。
あまり見たことのない世界で、
とてもいい意味で淡々としていて、
同時に、今の現実がぬ~っと(奇怪な)顔を出してきて。
『ザ・ライダー』もよかったですが、


やはり『ノマドランド』の方がスケールが、
よりいいと思いました。

そして、今、唐突に気づいたのですが、
11月に公開されるマーヴェル映画、『エターナルズ』、
これに主演しているリチャード・マッデンは、
このドラマの主役を演じていました。


予告編を目にするたび、
ああ彼ね、と思ってはいたのですが、
実は他の映画と勘違いしていて、
ついさっき、その勘違いに気づいたのでした。

そして、大谷選手、
最後まで応援します!
相手が勝負してくれないので難しいですが、
あと1本だけ、お願いします!