2016年12月31日土曜日

『ずべ公番長 夢は夜ひらく』

大晦日です。
年末最後に何か一本、
と思って見てみたのは、

『ずべ公番長 夢は夜ひらく』(1970)

です。
この作品が封切られたのは、
1970年9月22日。
で実は、先日ここでも取り上げた
『野良猫ロック セックスハンター』が
同じ1970年の9月1日なので、
ちょうど3週間違い。
ということは、
2作品が同時に公開されていた期間があっただろうと
想像されるわけです。
しかも、いわゆる「不良少女」が主人公、
舞台は東京というわけなので、
ちょっと比べたくなったわけです。

この『ずべ公番長 夢は夜ひらく』(←それにしても、「ずべ公」はもう完全に死語ですね)
は、同名シリーズの中の1本で、
主演は大信田礼子です。
鑑別所を出た彼女が、
同じ鑑別所出身の先輩女性が新宿で経営するバーで働くのですが、
彼女らは、そのバーの乗っ取りをたくらむ組長にはめられ、
窮地に追い込まれる、というお話です。
大信田が演じるのは、70年代らしい、
いわば新しく清々しい(?)「不良」なのでしょうが、
後半、バーを経営する女性の恋人が、
刑務所を出て帰ってくるあたりから、
任侠物の定型に嵌ってゆきます。
今度こそ足を洗おうと思ったワルが、
どうしても、
かつての論理に絡めとられてゆく……

1970年の新宿。
たとえばアルタ(79年竣工)はまだなくて、
なつかしの二幸が映っています。
南口も、まだ全然開発されていなくて、
懐かしい風景でした。
(わたしが一番新宿に行ったのは、
1975年頃です。)

『野良猫』は、立川、梶芽衣子、基地、アメリカ文化、でしたが、
『ずべ公』は、新宿、大信田礼子、大都会、ヤクザ文化、というところでしょうか。
だから、と言うべきか、
前者はアメリカ映画的な雰囲気もあるし、
後者はヤクザ映画的な雰囲気があります。
おもしろいのは、
両作品とも、ゴールデン・ハーフが登場し、
「黄色いサクランボ」を歌っていたこと。
後者には、トランスジェンダーの子も出てきます。

さて、今年も残すところ1時間半ほど。
今年は、特にこれ、ということもありませんでしたが、
中では、「ふらんす」での連載(=時事ドットコム配信)が、
月1とはいえ連載だったので、
わたしにとっての「今年」という感じです。
あとは、前半での日仏会館でのシンポジウムや、
後半の上智でのシンポジウムも記憶に残っています。

来年の目標は……、特になし!
とはいえ、総合芸術系が始まり、
中野キャンパスでも授業をする予定です。
2年ぶりなので、これは新鮮です。
まあ、新鮮なことが1つあれば、
それでいいことにしましょう!

では、どうぞよいお年をお迎えください。
Que la nouvelle année soit encore plus riche pour vous !

2016年12月29日木曜日

イスラム映画祭2

東京だと、ユーロスペースでの企画。

http://cineville.jp/iff/

あとは名古屋と神戸。

この中で、『ガザを飛ぶブタ』とされているのは、
これですね。

http://tomo-524.blogspot.jp/2012/09/le-cochon-de-gaza.html

これ以外に、手元にDVDがあってまだ見ていないものが2本。
早く見ないと!
(ただし、持ち帰った業務を先に、
できれば年内に終わらせないと!)

2016年12月28日水曜日

2016


https://twitter.com/saritaallison?lang=ja

ボウイ、モーリス・ホワイト、
プリンス、アリ。
エリ・ヴィーゼル、ピエール・ブーレーズ。
そして、年下だったロニ・エルカベッツは、
ほんとに惜しかった。
彼女の作品では、
Origine contrôlée
が一番記憶に残っています。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/04/origine-controlee.html

日本で公開されているものでは、
『迷子の警察音楽隊』がもよかったですね。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/05/blog-post_14.html


2016年12月26日月曜日

『女はみんな生きている』&「ふらんす」1月号

「映画の向こうにパリが見える」の第10回、

目指せブルジョワ!(でいいの?) ~『女はみんな生きている』

の配信が始まりました。

http://www.jiji.com/jc/v4?id=hssfranse-010-17010001

今回は特に、
編集のMさんと議論を重ね、
最終的にこんな内容に至りました。
これはまあ「問題作」であり、
いろいろ考えることがある作品だと思います。
来年度は、総合芸術系の授業で取り上げ、
ワカモノたちとも話し合ってみるつもりです。

そしてもちろん、
「ふらんす」1月号も発売になっています。
今回の特集はオペラ。
こちらもぜひ!

異界へ

今日はクリスマス、なんですが、
昼過ぎ、ふと思い立って、
立川の場外馬券場に向かいました。
有馬記念です。

競馬は、
もう30年以上前、
1,2 年けっこう集中的にやって、
それ以降は、完全に離れていましたが、
たしか一昨年の有馬記念のおり、
20数年ぶりに参加し、
競馬の世界の雰囲気が、
あまりに変わっていないことに衝撃を受けた記憶があります。
そして今日、一昨年の有馬記念以来2年ぶりに、
あの「異界」に参加してみたくなったわけです。

タナトス、というほどおおげさじゃないにしても、
場外馬券場には、
普段私たちが生きているのとは別の論理がみなぎっています。
9割以上が「オジサン」ですが、
女性たちの姿もちらほら見えます。
老女の姿もあります。

馬券を買ったら、
すぐに1階の、
大型モニターの前に向かいます。
すでに、100人以上の人たちが、
スクリーンを取り巻いています。
わたしも、その人ごみに加わります。
やがて、
GⅠレースのファンファーレが鳴り響こうとするとき、
集まった群衆たちは一斉に、
手拍子を打ち始めます。
ビル1階のホールは、異様な熱気に包まれます。
初めてここに来たらしい人たちは、
この手拍子の迫力に飲み込まれています。
画面の中では、
中山競馬場の群衆もまた、
そうしているのがわかります。

そしてスタート。
怒号に近い叫びが、
いくつもいくつも吐き出されます。

レース中盤、
ダイヤモンドが仕掛け始めると、
群衆は波のようにどよめきます。

そしてゴール前、
ダイヤモンドが差し切ると、
ついに歓声は弾け、
安堵とため息に変わってゆきます。
人々の表情はやわらぎ、
現実が帰ってきます……

だから、
馬券を買って、
家でテレビを見ているのでは、
ダメなのです。
場外馬券場という、
ごく身近にある異界に身を浸さなくては。
何年かに1度、
まだたしかに異界が失われていないことを確認するのは、
わるくないと思うのでした。

(もちろん、国家がカジノを運営し、
異界の論理を日常に持ち込み、
寺銭を巻き上げ、敗者の金を吸い上げ、
それを「経済政策の柱」に据えるなんていうのは、
まったく問題外だと思いますが。)

2016年12月24日土曜日

「軍拡競争になればいい」

http://www.afpbb.com/articles/-/3112312?cx_part=txt_topstory

世界でもっとも影響力のある政治家が、この発言。
やっぱり、オバマのほうがはるかにいいと思います。

レクチャー・シリーズ

昨日は、お茶の水で、
レクチャー・シリーズが開催されました。
ちょっとネット上には書けない内容も飛び交い、
なかなかスリリングな展開でした。

船橋方面から来てくださった方、
浅草方面から来てくださった方、
ありがとうございました!

2016年12月22日木曜日

Il y a eu un accident.

今日の午後、クルマを運転中、
わたしの20mほど前を走っていたクルマが、
かなりひどい事故を起こし、大破しました。
わたしが一番近くにいたので、
救急車とパトカーを呼び、
その到着を待ちました……

帰宅しても、しばらくドキドキが収まりませんでした。
年末年始、
交通事故にはくれぐれもご注意を。

2016年12月21日水曜日

無事に

というわけで、
今日で、今年の授業を無事終えることができました。
ただ、
不思議なくらい、
ほっとする気持ちにはなりません。
なぜ? と思うに……
やっぱり、
年が明けたらすぐに定期試験があり、
そのあとは入試あり、
そうしたことが落ち着くまでは、
なかなかほっとはできないのでした。
(とはいえ、特にほっとしたいわけでもないので、
何の問題もありませんけど!)

今日は冬至で、
明日からは少しずつ、
陽が伸びてゆきます。
それは、なんとなく嬉しいです。

「悪意が微塵もない差別発言」

これ、共感します。
こういうこと、たしかに多いです。
わたしも、なるべく(うざがられながらも)
しつこく言っていこうと思っています。

https://www.waseda.jp/inst/weekly/column/2016/11/22/16897/

2016年12月19日月曜日

C'est quoi, le Japon ?

「シリアでの死者の95%は、
アサド政権軍による空爆、タル爆弾、戦車等による攻撃の犠牲者」

https://www.washingtonpost.com/posteverything/wp/2016/12/14/stop-calling-the-syrian-conflict-a-civil-war-its-not/?utm_term=.a102dc2bcc90

95%。

アサドの隣にはロシアがいます。

G7の、日本以外の6か国は、
アレッポの即時停戦を求めています。

一方、

日本は、ロシアと共同声明。
3000億円投入すると。

(世界は日本を、ロシアの仲間だと思うでしょう。)

で、そのお金で、北方領土を返せという。

一方、

日本の南の、
アメリカの「植民地」では、オスプレイが墜落。

住宅に落とさなかったんだから感謝しろ、と、
在沖縄・海兵隊のトップ。
それに対し、日本の中央は何も言わない。

そしてロシアは、この南のアメリカの「植民地」がある限り、
北の土地を返しはしない、という見方もあります。

そして、プーチンとトランプが歩み寄る。

日本て、なに?

Incredibly

https://twitter.com/SenSanders/status/809768013494964224

「驚くべきことに、
トランプが選んだ17人の閣僚の資産を合わせると、
アメリカの世帯の3分の1に当たる4千300万世帯の資産を超えてしまう」
(想田和弘さんの訳より)

2016年12月17日土曜日

『兵隊やくざ・強奪』

シリーズ第8作にして、完結編。
戦争が終わり、
その後の大陸における混乱を背景に、
いつものコンビが活躍するお話、なんですが、
Mmm、イマイチ……
やはり、「日本軍」という得体のしれない巨大組織との格闘こそが、
このシリーズの神髄だったのでしょう。
戦争が終わり、
武装解除されると、あとは、
町場のギャングと「男気」が前面に出て、
よくわからない感じです。

やはり、第1作が1番よかったかな。
というわけで、やっと、
シリーズ8作、全部見終わりました。

「橋を架ける、国境を越える」/「声の届く場所、ことばが伝わるとき」

来年度からの、
総合芸術系立ち上げイヴェントとして、
レクチャー・シリーズを開催します。

http://pac-meiji.tumblr.com/

************************************************************

日時 2016年12月23日(金・祝)14:00~17:30
場所 明治大学駿河台校舎グローバルフロント1階 グローバルホール

第1回 陣野俊史+木村元彦 14:00~15:30
「橋を架ける、国境を越える」

第2回 大竹昭子+宮沢章夫 16:00~17:30
「声の届く場所、ことばが伝わるとき」

予約不要・入場無料

************************************************************

素晴らしいゲストをお迎えすることができました。

ぜひ!

http://www.meiji.ac.jp/sst/grad/information/2016/6t5h7p00000mdp1t.html

「外国語学習者、君の名は。」

http://www.hakusuisha.co.jp/news/n17386.html

By 黒田さん。
名前ねえ……。

Douce nuit...

今日は、
リバティー・アカデミーの、
年内最後の授業でした。
で、
授業後に開いたランチ・クリスマスでは、

Douce nuit, Sainte nuit

を歌ったのでした。

https://www.youtube.com/watch?v=seTqmo2V-NY

Douce nuit, sainte nuit !
Dans les cieux ! L'astre luit.
Le mystère annoncé s'accomplit
Cet enfant sur la paille endormi,
C'est l'amour infini !  x2

みなさんすぐに歌えて、
いい感じでした!

(クリスマスには、クリスチャンだった母方の実家で、
さまざまな讃美歌を歌ったことが、
思い出されました。)

これは、フランス語&英語です。

https://www.youtube.com/watch?v=OLMgcFAypno

このリバティーの授業は、
生徒さんたちのおかげで、
いつも楽しく進んでいます。

Merci beaucoup et "Joyeux Noël" !

2016年12月15日木曜日

年末と言えば……

気が付けば、
もう12月15日。
もういくつ寝ると……

これ、
見入ってしまいます。
(ドイツ語も、やりたくなります。)

https://www.youtube.com/watch?v=L0CBi2zuUxw


2016年12月12日月曜日

Zero dark thirty

ウサマ・ビン・ラディンの「確保」に至る、
7年以上に及ぶ捜査と実行を描く、

『ゼロ・ダーク・サーティー』(2013)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=wdMkSTp0rjI

動機は単純で、
キャストに、レダ・カテブの名前があったからです。
彼の役は、冒頭、
CIAからひどい拷問を受けるアラブ系の捕虜でした。
彼は、こんな役でも、いつも通り、
強さと繊細さをたたえていて、
さすがでした。

映画としては、
こうしたアメリカ映画らしく、
アメリカの論理一辺倒で、
ほぼプロパガンダ映画だと言えるのでしょう。
そしてラストの30分ほどは、
エンターテイメントとしては最上級の緊張感で、
こうしたエンタメ映画としての作りの巧みさと、
イデオロギー的な不均衡の組み合わせという、
見慣れたアメリカ映画の王道でした。

(たしかに、イラク戦争の失敗が繰り返し語られ、
それがCIA のトラウマになっているのはよくわかりましたし、
かなりむごたらしい拷問を、
CIAが組織的に行っている場面も多くあります。
さらには、作戦が成功した後、
主人公を襲うのは高揚感ではなく、
むしろ敗北感に近い虚しさのようでもあります。
ただそれでも……
それでも、描かれてしまったものは、
やはり「アメリカ」なのであり、
それ以外ではありません。
虚しさをエクスキューズにしたプロパガンダだとも、
あるいは、
虚しさをも含んだプロパガンダだとも、
言えると感じました。
(オバマの、ということではなく、アメリカの、ということです。)
そう思う決定的な理由は、
イスラムの人間で、
その内面まで含めてきちんと描かれた人物は、
一人もいないという事実です。
監督が見つめているのは、
「アメリカ」以外ではなく、
その視野は閉ざされているように思います。)

2016年12月11日日曜日

600 kilos d'or pur

オドレー・ダナという女優は、
わたしにとっては、
まずは『君を想って海をゆく』のマリオンであり、

Sous les jupes des filles

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/05/sous-les-jupes-des-filles.html

の監督です。
で、彼女の名前がクレジットされているという1点で見た映画が、これ。

600 kilos d'or pur (『ゴールドハンター』)  2010

https://www.youtube.com/watch?v=1jnRQ8RDQ-c

舞台は仏領ギアナ。
(というのはとても珍しいですね。)
そこで、小さな金の発掘会社を運営している夫婦がいます。
夫であるリオネルは、
他のワル仲間と一緒に、
地元のギャングが仕切っている闇で採掘された金を、
横取りする計画を立てます。
が、その直前、
夫婦の事業を妨害しようとするギャングに殺されてしまいます。
(実はギャングの陰に、
大企業と軍部と警察など、もろもろの利権集団がいます。)
妻のカミーユには、借金だけが残り、
焦った彼女は、リオネルの代わりに、
横取り計画のメンバーに入ります。
うまくいけば、1人2億円以上になるはずなのですが……。
金塊を盗むところまではよかったのですが、
逃げる途中、カミーユは、
ギャングに捉えられていたかつての従業員女性を見かけ、
彼女を救い出すのに手間取り、
逃走用のヘリがやられてしまいます。
あわれヘリはジャングルに不時着。
ギャングたちの猛追が始まります……。

助け出した元従業員女性は、実は妊婦さんです。
なので、カミーユたちは、
基本的に泥棒であるにもかかわらず、
人助けはするわ、
そもそも盗む相手もギャングだわで、
観客が感情移入しやすいようになっています。
ただ、
映画としては、
やや単調だし、
無理は多いし、
人物の行動に「?」なところが残るし、
B級としか言いようがない気がします。
ダナは悪くないのですが、
作品のレベルが……

カミーユを愛する、
リオネルの友人役で、
クロヴィス・コルニヤックが出ていますが、
彼は、1988年の『サンドイッチの年』で、
ブブールというかっこいい不良少年を演じた俳優です。
(たしか当時、おすぎさんが、彼のことを「タイプだ」って言ってた記憶が。)
今彼は、
明らかにディカプリオに似ていて、
ちょっと損してるような気もします。
意外なところで、
意外な人に会った気分でした。

2016年12月10日土曜日

『野良猫ロック セックスハンター』

Tout ce qui brille や Bande de filles など、
「女子(ないし女性)のグループ」(の連帯など)を描く映画は、
基本的に好きなんですが、
じゃあ日本には? と思って少し調べると、
出てきた映画がこれでした。

『野良猫ロック セックスハンター』 (1970)

https://www.youtube.com/watch?v=JDSwh51BI6c

制作は1970年と言いますから、
1968年の2年後です。
で、舞台は立川。
このころの立川は、
米軍は基地から引き揚げたものの、
まだその記憶も痕跡も生々しい、
実際施設などはまだ残っていて……
という時代でした。

物語は、主演の梶芽衣子率いる「女子グループ」と、
藤竜也率いるチンピラグループ・イーグルスとの対立を軸に、
破滅的な若者群像が描かれています。
(チンピラと言っても、多くのライフルを隠し持っていて、
「本格派」です。)

この映画には、はっきりしたイデオロギーの問題があります。
藤竜也は、かつて姉が米兵に暴行されるのを見たことがトラウマとなり、
性的不能者です。
そして彼は、「ハーフ」を憎んでいます。
(それは米兵でもなければ、アメリカ人でもないのです。
ふつうに解釈すれば、「アメリカ」は彼の上位者であり、
反抗の対象とはならない。
けれども/だから、
彼の憎しみは、「アメリカ」の落とし子である「ハーフ」に向かうのでしょう。
構図として言えば、上位の「アメリカ」に対して、
藤と「ハーフ」はいわば同じ階級にいるわけですが、
藤自身はそれに気づかないようです。
藤は、「日本」の隠喩なのでしょう。

ところでもう一人、安岡力也も重要な役で登場します。
彼は孤児院育ちの「ハーフ」という設定で、
幼いころ別れた妹を探しています。
(彼女は「女子グループ」のメンバーです。)
また、梶芽衣子が彼に惚れたため、
実は梶が好きな藤の怒りを買い、
また安岡は「ハーフ」でもあるため、
藤とは決定的に対立し、
最後、藤と安岡は壮絶な戦いを演じることになります。
ただしこの壮絶さが、本質的にむなしいものである点が、
この映画なのでしょう。
そもそも藤は、「ハーフ」を憎みながら、
おそらくは米軍払い下げのジープに乗り、
英語の本を読み、白人たちに日本の娘を「売り」ます。
ここには矛盾がありますが、
それがこの映画のテーマでもあるのでしょう。

もう一つ、
実はラスト近くで、
安岡は妹を射殺してしまいます。
これにはさすがに驚きましたが、
理屈で言えば、「ハーフ」による自己否認、ということになるでしょう。

米軍不在の街で、
その影とむなしく格闘するものたち。
必ずしも「女子グループ」的な映画ではありませんでしたが、
そして破綻している部分もあると思いましたが、
トータルでは、興味深い作品でした。

*対アメリカ、という点で、
『7月のランデヴー』を、少し、思い出しました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/09/7.html

2016年12月8日木曜日

Chocolat

来年(てもうすぐ!)の1月に公開予定の、

『ショコラ 君がいて、僕がいる』

を(DVDで)見てみました。
(それにしてもこの邦題……。
 「君がいて、僕がいる」って??
そこポイントじゃありません。
あまり邦題にいろいろ言おうとは思いませんが、
これはあまりに……)

https://www.youtube.com/watch?v=tmGgjspbFAs

これはリアルなやつ。

https://www.youtube.com/watch?v=XjHZ_z23BZY

内容紹介は、ここでしてくれています。

http://unifrance.jp/festival/2016/films/chocolat

印象として、このえいがに1番近いのは、
ケシシュ監督の Vénus Noire でしょう。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/07/venus-noire.html

もちろん、時代的には100年近く違うのですが、
根本的な状況は変わっていません。
そしてどちらの作品も、
この21世紀まで届く射程の長さがあります。
監督のロシュディー・ゼムはアラブ系であり、
だからこれは単に「黒人」の問題ではなく、
もっと広く差別の問題だと言えるでしょう。

俳優についての個人的な記憶を書くなら、
まず、
ショコラ=ラファエルと仲良くなる看護婦を演じているクロティルド・エスムは、
『黒いスーツを着た男』で医学生を演じた女優です。
また、パリのNouveau Cirque を率いていたオリヴィエ・グルメは、
Vénus Noireで、サラをパリへ連れて行った男でした。
(両作の、はっきりした交感が感じられます。)
さらに、
ショコラ/ラファエルが後に出演する劇団の演出家を演じるオリヴィエ・ラブルダンは、
『君を想って海をゆく』で、
移民に冷たい刑事を演じていました。
彼のフローというか、しゃべり方は、とても特徴があって、
見かけはまったく変わっているのに、
すぐわかりました。
あとは、ノエミ・ルヴォヴスキが、嫌われ役を引き受けています。
(彼女が主演の、『カミーユ、恋はふたたび』のDVDが、
日本でも出ましたね。)

2016年12月5日月曜日

pistolet

ヴェルレーヌがランボーを撃った銃。

http://www.afpbb.com/articles/-/3109739

こんなものが見られるなんて、
思ってもいませんでした。
実物を見ると、
どれほど切羽詰まっていたのか、
いままでとはちょっと違う印象があります。

2016年12月3日土曜日

年間1位!

おお、これは素晴らしい!

**********************

紀伊國屋書店新宿本店さんの語学書年間ランキング、
フランス語部門で
『フラ語入門、わかりやすいにもホドがある!(改訂版)』
が第一位に輝きました!


https://twitter.com/hakusuisha/status/804614139939209216

*********************

使っていただいているみなさま、
merci beaucoup !
お役に立っていればいいのですが。


2016年12月1日木曜日

Stro­mae arrête de chan­ter

これはちょっとショックなニュース。
ストロマエが、この先数年は歌は歌わず、
曲を提供する側に回ると発表しました。

http://www.huffingtonpost.fr/2016/12/01/stromae-chanter/?xtor=AL-32280680

実はつい昨日、
ストロマエの曲を授業で使ったのでした。
こうなったら、
授業で使った資料を、
ここに貼っちゃいましょう。
フランス語と日本語です。
(日本語は授業用なので、ほんの参考程度に。)

ぜひ、ヴィデオを。

公式:https://www.youtube.com/watch?v=CAMWdvo71ls

テレビ出演:https://www.youtube.com/watch?v=70slr7skdtI
          ☝
この歌、男女のケンカで、
歌う部分が分かれているわけですが、
一番最後の「男なんてみんな同じ」が、
一見女性の側の歌詞のように見えて、
実は男の開き直りでもあることが、
このヴィデオを見るとわかります。
また、
この歌を(男女ペアではなく)一人で歌うことで、
一人の人間の中の男性性と女性性、
という感じも出て、いいと思います。)

アカペラ:https://www.youtube.com/watch?v=-mwtzO7uA0I
       ☝
これもわりと好き。
Stromaeが、実は歌もうまい(というかセンスがいい)のが感じられます。

ダンス:https://www.youtube.com/watch?v=xoqCU03tTtU
       ☝
これも、魅かれます。
他にもいくつかダンスがありますが、
わたしはこれが好きです。


Tous les mêmes (アミかけが男の部分)

Vous, les hommes, êtes tous les mêmes
Macho mais cheap
Bande de mauviettes infidèles
Si prévisibles, non je ne suis pas certaine,
que tu m’mérites
Z’avez d’la chance qu’on vous aime
Dis-moi “Merci”

Rendez-vous, rendez-vous,
rendez-vous au prochain règlement
Rendez-vous, rendez-vous,
rendez-vous sûrement aux prochaines règles   

Cette fois c’était la dernière
Tu peux croire que c’est qu’une crise
Mate une dernière fois mon derrière,
il est à côté de mes valises
Tu diras au revoir à ta mère,
elle qui t’idéalise
Tu n’vois même pas tout c’que tu perds
Avec une autre ce serait pire
Quoi toi aussi tu veux finir maintenant ?
C’est l’monde à l’envers !
Moi je l’disais pour t’faire réagir seulement toi t’y pensais  


Facile à dire, je suis gnangnan
Et que j’aime trop les bla bla bla
Mais non non non, c’est important
Ce que t’appelles les ragnagnas
Tu sais la vie c’est des enfants
Mais comme toujours c’est pas l’bon moment
Ah oui pour les faire là tu es présent
Mais pour les élever y’aura qu’des absents

Lorsque je n’serais plus belle
Ou du moins au naturel
Arrête je sais que tu mens
Il n’y a que Kate Moss qui est éternelle
Moche ou bête,
c’est jamais bon !
Bête ou belle,
c’est jamais bon !
Belle ou moi,
c’est jamais bon !
Moi ou elle,
c’est jamais bon !   


Tous les mêmes, tous les mêmes,
tous les mêmes et y’en a marre……
男なんてみんな同じ
あなたたち男ってみんな同じ
いきがってるけど安っぽい
ひ弱な浮気ものの集まりなの
ほんとに予想通りのことするんだから
あなたでいいのか自信がない
男たちが愛されるなんて、ラッキーなの
わたしにMerrci って言いなさいよ




次のケンカの時にまた会おうな
(→次に会ってもまたケンカだな)
きっとまた、次の生理の時に会おうな
(→で、またケンカだな)

もう今度こそ、これが最後だったの
一時の発作だとでも思ってればいい
わたしのお尻もこれで見納め
スーツケースが隣にあるでしょ(→出ていくの)
あなたのママにサヨナラって言っといて
あなたを理想の男だって思ってる人にね
あなたは何を失うか分かってさえない
別の女だったら、もっとひどいことになってたのよ
何? あなたも別れたいっていうの?
それは話が逆でしょ!
わたしはあなたの様子を見るために言ってみただけなのに…… 
あなたはマジだったのね


言うのは簡単、わたしが単細胞だとか
おしゃべりが好きすぎるとかね
でもちがうの、大事なものなの
あなたがラニャニャって呼んでるものは
人生は、こどもがすべて
でもいつだって、あなたには「今じゃない」の
そう、こども作りには参加するけど
育てるとなるといなくなるの








 わたしがもうきれいじゃなくなったら
 少なくとも、年齢相応になったら……
 やめて、あなたがウソついてるのはわかってる
 永遠にきれいなのはケイト・モスだけ
 ブサイクとバカなら、どっちがいい?
 正解なんてないじゃん!
 バカと美人だったら?
 正解なんてないじゃん!
 美人とわたしだったら?
 正解なんてないじゃん!
 わたしと彼女だったら?
 正解なんてないじゃん!

 *
  
 男なんてみんな同じ、男なんてみんな同じ
 男なんてみんな同じ、もうウンザリ……



  

「『忙しさ』に自滅する日本の大学」

「事務職員数/教員数」というレシオがあること自体、
知りませんでした。

http://webronza.asahi.com/science/articles/2016112400003.html

事務の方々がいないと、
大学はまったく回りませんね。