2017年12月31日日曜日

大晦日

さて、大晦日です。
17年の最後は何にしよう、と思って、
昨日からの「東京」つながりで、

Tokyo fiancée

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=RgZDeDSeAvU ←全編版!

ヒロインの女優さんは、
とても可愛らしい。というか、
「愛くるしい」とでもいうか。
ただ、冷静に映画として見ると、
レディーメイドな審美基準と、
ブルジョワ的趣味に終始している印象でした。
これから、
もう1本見るかな……?

そして今日、白水社からいいお知らせが。
『フラ語動詞、こんなにわかっていいかしら?』
『ぜんぶ話して!』
『ル・フランセ・クレール』
の3冊の、重版のお知らせでした。
今年もまた、白水社にはお世話になりました。
ありがとうございました!

さて今年もあと4時間。
みなさま、どうぞよいお年をお迎えください!

2017年12月30日土曜日

Les délices de Tokyo

今日は、

Les délices de Tokyo

という映画を観たんですが、実はこれ、

『あん』

の、フランス語字幕版です。

https://www.youtube.com/watch?v=t4OhrkllRsM

とてもいい映画でした。
もちろん原作もいいですけど。


なんとなく、フランス語字幕をそのままにして見たので、
いくつか、
セリフと字幕の関係で、
おもしろいなあ、と感じることがありました。
たとえば、「あん」が煮あがって、

こんな仕上がりになるんですね。
Ils donc prennent cet aspect.

こなれた訳ですねえ。
それから、やはり「あん」について、

蜜になじんでもらわないと。
Ils doivent se familialiser avec le sucre.

なるほど。
そして、おいしいどら焼きを食べた後に、

こんなの初めてです。
Je n'en ai jamais mangé d'aussi bons.

そして逆に、
やっぱりこれはフランス語にならないよねえ、
と思わせるのは、

世間て怖いよ。
La rumeur est effrayante.

これは「世間」ではないですが、
そもそもフランス語に、そんな概念がないのですね。

2017年12月28日木曜日

10枚

われらが総合芸術系では、
この暮れに来て、
急遽冊子を作りましょうという話になり、
5人の教員は全員、
原稿を用意することになりました。
(ほかに、卒業生などで、
すでに各方面で活躍している人たちなどにも、
お願いする予定です。)
わたしの担当は、10枚(4000字)。
で、せっかちなので、
一昨日から書き始め、
思いのまま書いていたら、
今日までに5000字ほどになっていて、
ああ、ちょっと長過ぎた……

テーマは「セネガル」で、
いくつかの映画から「セネガル」的要素を抜き出し、
その比較をする、という感じです。
いわゆる商業雑誌ではなく、
純粋な論文集でもなく、
こうして自由に書けるというのは久しぶりで、
年末に張り切って、ちょっと楽しかったです!
(でも、1000字削るのは、大変そう。
ほんとは、できれば削りたくないんだけど……)


2017年12月25日月曜日

Django

昨日に続いて今日も、
レダ・カテブの主演作を見てみました。

Django (2017)

これは、実在したロマ人ギタリスト、
ラインハルト・ジャンゴの物語です。
(日本では、『永遠のジャンゴ』というタイトルで、
現在公開中です。)

https://www.youtube.com/watch?v=EqkkBtApPIw

舞台は1943年、ナチ占領下のパリ。
ロマ人であるジャンゴに対しても、
ナチの監視が次第に厳しくなり、
ついには、ドイツに来て演奏しろと言いだします。
ただ、これに応じれば、
戻ってこられる保証はない……

ジャンゴの音楽を中心に、
占領下のフランス、および
ナチの非道さを描いている、のですが、
どうも歴史認識が単純過ぎるというか、
もしかしたらこういうウケ狙いもあるの? 
とも思いますが、
構図があまりに図式的だと感じました。
まずナチが、もう徹底的に非人間的に描かれていて、
あまりに類型的。
一方フランス人たちは、
(予告編でも出てきますが、)
ナチの映像をチマチマ改変して揶揄い、
それで留飲を下げているだけ。
たしかにレジスタンスの人たちも登場しますが、
これも浅い。
で、
映画の中で1番印象的だった人物は、
セシル・ド・フランス演じるルイーズだったのですが、
彼女は完全にフィクショナルな人物だそうで、
なんだかなあ……という感じ。

映画としては、イマイチでした。

*セシル・ド・フランスといえば、
これですね。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/04/blog-post_26.html

2017年12月24日日曜日

Les Derniers Parisiens

レダ・カテブ、スリマヌ・ダジ、
そしてメラニー・ロランも出ているとなれば、
それだけでも見ないという選択はないのに、
ましてやその映画のタイトルが、

Les Derniers Parisiens (2016)(『最後のパリジャン』)

とくれば、これはもう、見るだけです。
(この映画は、東京国際映画祭において、
『パリ、ピガール広場』というタイトルで公開されました。
わたしはDVDで見ました。)


舞台は、邦題にもある通り、モンマルトルのピガール広場。
この、ジェントリフィケーション進行中の街に、
刑務所帰りのナスが戻ってきます。
彼は、兄アレズキに、いわば身元引受人になってもらい、
彼が経営するバーで働き始めます。が、
ナスはそんな仕事には満足できません。
そもそもこのバーの開店資金を、
自分もかなり負担したわけだし。
で、このバーを使って、
大きなパーティーの開催を決行し、
それはうまくいくのですが、
兄のほうは、弟のこうした活動を、
快く思ってはいません……

このあたりまで、
映画は意外に淡々と進みます。
(パーティーなど、音楽を多用するシークエンスは、
いい感じに時間がたっぷりとってあります。
2人組の監督は、ともにラッパーです。)
でも後半、やや「家族の秘密」的物語が表面化してから、
単なる街のチンピラ映画から、
もう少しリアルな物語へと様相が一変します。
そしてナスは、ワル仲間に嵌められてしまい……

モンマルトル、ピガール広場と言えば、
最近取り上げたこの映画が思い出されます。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/09/blog-post_77.html

今回の映画にも、
『並木道』のときに何度も登場した噴水が、
繰り返し映し出されます。

で、「最後のパリジャン」というタイトルですが、
まず今回の映画の主人公は、
アラブ系の兄弟であり、
彼らの友人のほとんどは移民系です。
ということは、彼らこそ「最後のパリジャン」ということになります。
(「最後の」というのは、「最新の」ということでもあるのでしょう。)
また、人物たちのうごめく世界が、
いかにも旧来のギャング的なものであり、
そういう意味では、やっぱり、
(失われつつある世界の)「最後の」人たち、でもあるのでしょう。
もちろんわたしとしては、
前者の「意味」を重く見たいと感じます。

*街のジェントリフィケーションを背景にしているギャング映画、
という点では、
メニルモンタンを扱った、
『友よ、裏切りの街に眠れ』
と比較することもできそうです。

*両監督が所属しているラップ・グループLa Rumeurには、
18区を舞台にしたものが多く含まれるようです。

https://thebackpackerz.com/les-derniers-parisiens-premier-film-hame-ekoue-la-rumeur/

2017年12月23日土曜日

Chopin


ショパンというのは、
若い頃聞くと、
美しいのはわかるのですが、どこかで、
なにナヨナヨして!
と感じてしまったりもしました。
だから、もちろんそれなりに聞きましたが、
そして好きな曲もありますが、
やっぱり「甘い」印象は持っていました。

でも……

これは誰かが書いていたのですが、
歳を取ると、ショパンが良くなる……
そう、たしかにその通りで、
あの甘さも、気にならなくなってくるのでした。

で、先日、
YouTube をうろついていたときに、
ルビンシュタインによる、
ピアノ協奏曲1番が目に飛び込んできました。
で、ちょっと聞いてみると……
おお、これはなんと、昔よく聞いた盤です!
懐かしい!
で、
この(オケが単なる伴奏になっていると批判されることもある)協奏曲、
他のピアニストで聞いてみたのですが、
これ、気に入ってしまいました。

https://www.youtube.com/watch?v=2bFo65szAP0&t=456s

Olga Schepsというピアニストのことは、
実はあまり知らなくて、
調べてみると、
ブレンデルに指導を受けているとか。
たしかに、テクニックはすごいのに、
(ブレンデル風に?)コントロールが効いていて、
リストなんかを弾く方向には行かない印象があります。

この1週間、毎日聞いてしまいました!

『最愛の子ども』が

20日の東京新聞の夕刊で、
佐々木敦氏と小澤英実氏が、
「今年の10冊」を選んでいるのですが、
その両者の第1位が、
『最愛の子ども』
でした。
この小説は、たしかに傑作だと思ったのでした。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/03/blog-post_63.html

そしてこのお二人が第2位に選んでいるのは、
またも両者とも、
『ホサナ』
です。
この大部の本は、
春休みに読むことにします。
楽しみです!


2017年12月22日金曜日

仕事納め

今日22日、
今年は日付の巡り合わせ的に、
ちょっと早めの仕事納めとなりました。
で、今日はゼミ×2で、
ルイス・ブニュエルを2本、

『小間使いの日記』
を見ました。
実は昔、
この2本と『欲望のあいまいな対象』を合わせて、
「あいまいな女たち」という論文(?)を書いたことがあります。
院生にそれを読んでもらって、
一緒に確認したのでした。
わたしも久しぶりに見ましたが、
楽しかったです。

それからいくつか書類提出などの業務をこなし、
今年は仕事納めとなりました。
毎年のことながら、
たくさんの方々のお世話になり、
なんとか無事に今年も授業を終えられ、
感謝感謝です。

帰り道……。


2017年12月21日木曜日

うぐいす!

今日の午後です。


うぐいす、いるんですね。

by iPhone

朝。

夕方の交差点。


工事中。


双子の……

2017年12月20日水曜日

この漫才、きてます!

https://www.youtube.com/watch?v=TSuTqdwqKyU&t=2s

巷で話題のこの漫才、
これはいい! 
もっと!

2017年12月17日日曜日

Hausse des inégalités

各国で広がる格差。
その実態を、あのピケティーらの研究者がまとめ、
発表しました。

https://m6info.yahoo.com/hausse-des-inegalites-dans-le-monde-le-rapport-qui-inquiete-140446134.html

日本語では「格差」ということになるのでしょうが、
フランス語では

inégalités (「不平等」)

しかもここでは複数の s が付き、
具体的な「不平等」を指しているのでしょう。

このニュース、
日本でも報道すればいいのにと思います。

2017年12月16日土曜日

箱庭とノラ

家人が作った箱庭です。







初挑戦にしては、上出来?

おまけは、上野にいたノラネコちゃん。


Trop mignon !

2017年12月15日金曜日

ペーパーレスへ

今日の金曜日は、
今年最後の「会議 DAY」でした。
いつも通り、10:30から4つの会議。
いつも通り、長かった!

ところでこれらの会議、
最近急激にペーパーレス化が進んでいて、
ついに今日は、
ほんとにペラッと1枚だけの会議もありました。
先月までは、あんなに分厚い紙束だったのに!
でもやってみればできるわけで、
もっと早くやればよかったのにと、
今は思っています。

今年の授業も、あと1週間。
なんとか風邪休講もせず、乗り切れそうです!

2017年12月13日水曜日

リバティー・アカデミー、秋期終了!

もう、かれこれ数年続いているリバティー・アカデミー講座。
開始当初は、
生田でも始めたいのでお願いできませんか?
という担当者の呼びかけに協力する形で始まったので、
こんなに長く続くとは思っていませんでしたが、
良き生徒さんたちと巡り合い、
なんとかここまで続けてこられています。

先日の授業では、
ちょっと教科書を離れ、
ボードレールの詩(「美」「旅への誘い」)をみんなで読んだのですが、
ふつう、この手の韻文の詩は、
敬遠されることが多いのです。
(たとえボードレールでも!)
でも、その時も、
生徒さんたちの反応はとても生き生きしたもので、
このとき改めて、
この講座の生徒さんたちの吸収力の強さに驚きました。

まあわたしは、ふつうのことしか言っていないのですが、
生徒さんたちの吸収力に支えられて、
今日まで到達できたという感じです。
(と言ってもまだ終わったわけではなく、
来年度も開講の予定です。)
生徒さんたちの、
勉強への「愛」を見習って、
わたしもちゃんと勉強しないと!
と思うのでした。

生徒のみなさん、お疲れ様でした!

Nous nous verrons au printemps !

2017年12月11日月曜日

50 villes à visiter au moins une fois dans sa vie

一生に一度は訪れるべき都市、50! 

みたいな記事は時々見かけます。
これもその1つなんですが、
つい、ぜんぶ見ちゃいます。

www.yonder.fr/les-tops/destinations/50-villes-a-visiter-au-moins-une-fois-dans-sa-vie/athenes-grece

これはもう、
掛け値なしで、
ぜんぶ行ってみたいです。
(まあ、ムリでしょうけれど……)

で、注目の第1位は、なんと……!

2017年12月9日土曜日

『わたしは、幸福(フェリシテ)』

12月16日(土)に、
待望の映画が公開されます。
これです。

『わたしは、幸福(フェリシテ)』

https://www.youtube.com/watch?v=yQNfyUYlgSM

とても魅力的な映画でした。

舞台は、コンゴのキンシャサ。
歌手でシングルマザーのフェリシテは、
息子が事故に合ったという連絡を受けます。
急いで行ってみると、
ああ、けっこうな怪我です。
しかも、手術が必要なんですが、
前金で支払わないと手術はできないと。
彼女は、キンシャサ中を横切って、金策をします。
それは空間の移動ですが、
同時に、時間の移動でもあります。
一方、壊れた冷蔵庫の修理に現れた巨体の男は、
フェリシテに(静かに)言い寄ります。
でも彼女は、今はそれどころではなく……

ドキュメンタリー風のカメラも、
音楽も、
俳優も、
乾いたキンシャサの街の風景も、
わたしには「アフリカ的」と感じられるセリフも、
みんないいです。
映画内のすべての要素を理解できるわけではないのですが、
それさえもむしろ魅力的な謎といった感じ。
アラン・ゴミ(ス)監督らしい、
なんというか、にぎやかな静けさといったものが、
映画全体に漲っています。

そして、この映画を推薦したいもう1つの理由は、
出演者が全員アフリカ系であること。
それ自体はもちろん、
アフリカ映画では珍しいことではありませんが、
日本で公開される作品に限って言えば、
やっぱりかなり珍しいのだと思います。
「アフリカ映画」を日本で見る、数少ない機会でしょう。

監督のアラン・ゴミ(ス)の作品としては、
以前、これについて書きました。


アイサ・マイガ目当てで見たら、
映画自体のデキが良くて驚いた、
ということを思い出しました。
(残念ながら、これ以外の作品は、
DVDが入手できませんでした。)

また Félicité ですが、
一見 féliciter の過去分詞(「祝福されているもの/人」)
に見えるのですが、
ここではヒロインのことなのに女性形にはなっていない、
つまり名詞だと考えられるので、そうすると、
(ロワイヤルによれば)
「至福、浄福 /(主にpl.で)(文)幸福、喜び」。
(ちなみにリトレでも、「混じりけのない幸福」が第一義です。)

ここで思い出されるのが、
『ロミュアルドとジュリエット』(1989)です。
この映画に出てくる黒人の子どもたちは、

Félicité
Aimé
Désiré

というのでした。
こう並ぶと、過去分詞感がありますね。
祝福される人、
愛される人、
望まれる人……

もしあなたが映画ファンなら、
とにかく、
この『わたしは、幸福(フェリシテ)』は、
見ておいたほうがいいと思います!

*こんな記事もありました。

www.sankei.com/world/news/171209/wor1712090001-n1.html

中間発表

今日は、修士論文の中間報告の日。
院生たちは緊張の面持ちで、
でも、思ったより堂々と発表してくれて、
よかったです。
とはいえ、相手は院生ですから、
こちらも、つい本気になって、
やや厳しいことも言いましたが、
期待の裏返しだと思って欲しいところです。
今日中間報告された論文が、
来年の今頃、
どんな風に仕上がっているのか、
楽しみにしたいと思います!

2017年12月7日木曜日

『トランスアメリカ』

先日の Bread and roses に続いて、
ロスを舞台とした映画をもう1本見てみました。

『トランスアメリカ』(2005)

です。
ただこの映画の場合、
「ロスを舞台」というのは不正確で、
ロードムーヴィーの始まりと終わりがロスだ、
と言うべきでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=tK9LsGXTw9I

これは、設定を聞いただけで、
ちゃんと作れば面白くなるのは間違いなし、と思いました。

ロスで一人暮らしをしているブリーは、
1週間後に性転換手術を控えています。
ついに、生まれてこのかた願い続けてきた、
女性になれる日です。
でも、そんな盛り上がっていたブリーのもとに、
NYの警察から一本の電話があります。
あなたの息子さんを預かっているんですが……?
ああ、なんと。
それはまだブリーがスタンリーだった頃、
1度だけ付き合った夜にできた子だったようなのです。
しかも、その子の母親は亡くなっていて……。
ブリーは当初スルーしようとしますが、
彼(女)の手術にハンコを押すべきセラピストが、
その子に会ってこないならハンコは押せない、というのです。
仕方なく、ブリーはNYへ。
でも、もう身も心も99%女性になっているブリーには、
自分が父親だとはどうしても言えず、
そして二人は、やがて、ロスを目指すことになるのです……

もちろん、肝にあるのはLGBTの問題です。
でも、そればかりでなく、
先住民のことや、ユダヤ人のこと、
つまり「アメリカ」のさまざまな顔が見え隠れします。
(トランスアメリカ、とは、だから、
トランスジェンダーのアメリカ、と、
アメリカ横断、の、
二重の意味を背負っているのでしょう。)

アメリカ映画ですが、消費的でなく、
いい映画だと思いました。
(でもだから、アカデミー賞は候補どまりだった!?)

2017年12月4日月曜日

『ブレッド&ローズ』

1984年の、イギリスでの炭鉱デモを題材に、
労働者の問題とLGBTの問題を扱った映画、

『パレードへようこそ』

のことは、以前書きました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/09/blog-post_99.html

先週初めて、「ワールド映画ゼミ」でこの映画を見て、
もう一度この映画ことを調べる気になりました。

まずは歌。
この映画の中で歌われる、
感動的と言っていい歌が、

Bread and roses

です。
わたしたちに必要なのは、パンだけじゃない、
バラもまた必要なんだ……

https://www.youtube.com/watch?v=qNQs6gSOkeU

As we come marching, marching in the beauty of the day,
A million darkened kitchens, a thousand mill lofts gray,
Are touched with all the radiance that a sudden sun discloses,
For the people hear us singing: “Bread and roses ! Bread and roses !”

私たちは行進する 行進する 美しい昼間の街を
100万の煤けた台所が 数千の屋根裏の灰色の製粉部屋が
きらきらと輝き始める 突然の日の光に照らされて
人々が聞くのは私たちの歌 「パンと薔薇を! パンと薔薇を!」
(ブレイディみかこ訳)

この歌は、もとはと言えば、
1912年の、マサチューセッツでのデモの時歌われたものだそうです。
ほとんどが女子工員だった織物工場で、
そのデモは起こり、勝利しました。
その歌が、
1984年のイギリスでも歌われたわけです。

で、今日見たのは、ケン・ローチ監督の、
その名もずばり、

ブレッド&ローズ』(Bread and Roses) 2000年

です。
DVDがやっと手に入り、
見ることができました。

https://www.youtube.com/watch?v=5JdI9sCUP2s

舞台はロサンジェルス。
メキシコからの不法移民たちが、
清掃員として多く働く、とある巨大ビル。
そこでは、ひどい搾取が長年行われていたのですが、
それに対して、移民たちが立ち上がる物語です。
ただ、
そこはケン、ローチ、
単純でベタな、階級闘争のお話で終わりはしません。
移民たちそれぞれの「物語」の中には、
内臓を鷲掴みにされるようなものもあるのです……

いい映画でした。

2017年12月3日日曜日

Text and the City

昨日はシンポジウム、

「火山のめぐみ」

が開催され、
各スピーカーが入念に準備した発表が行われ、
<ここでしか聞けない>感じの話が満載で、
刺激的な一夜になりました。

また、シンポジウム後の懇親会では、
カリフォルニア大学アーヴァイン校の先生とお話しする機会があったのですが、
まずは、それぞれ太平洋に面した某大国と某小国の、
大統領と首相の態度についてから始まり、
あれこれ話している中で、
なんとその先生が、
わたしにとっては「運命の本」とも言うべき一冊、

『都市空間のなかの文学』(前田愛)

の、英訳版の編者であることを知りました。
これは驚きでした!
(そもそもわたしは、英訳が出ていることすら知らず……)

帰ってから、
さっそくAmazon USA で調べてみると、
ありました、これです。

https://www.amazon.com/Text-City-Japanese-Modernity-Asia-Pacific/dp/0822333465/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1512309882&sr=8-1&keywords=ai+maeda

とてもサンパな先生で、
ほんとに、お目にかかれてよかった、
と思ったのでした。

2017年12月1日金曜日

Radicalisation

昨日の投稿を書いていて、
思い出した記述があります。
それは、

Radicalisation(『世界はなぜ過激化するのか?』)

という本の一節です。

「市民であることを、
その社会へ経済的、社会的に統合されることと同義だと定義するならば、
過激化とは、
真の市民権を欠いた世界で生きる一部の人間たちが不満をぶつけ、
演じる場の一つということができよう。
そして過激化の最も明白な表現、
それがテロということになる」

そして現在、
「真の市民権を欠いた世界」
が、際立った形で前景化してきたことの背景には、
グローバル資本主義があると言えるのでしょう。

2017年11月30日木曜日

「フランス1789年人権宣言における『市民 』観念と外国人 」

フランスは一般に、
「人権の故郷」と考えられることがあります。
それはもちろん、
あのフランス革命があったからです。
(一般に、と書きましたが、
とりわけフランス人自身が、
そう考えたがっている印象もあります。)

ただ、今ではもう、
そのフランス革命的な「人権」は、
少なくともその時点では、女性たちにも、植民地の人たちにも認められなかったわけで、
いびつというか、不完全なものだったことがわかっています。

ところで「フランス人権宣言」は、正確には、

Déclaration des Droits de l'Homme et du Citoyen
「人および市民の権利宣言」

です。で、気になるのは、
「市民」て誰?
どっからどこまでが「市民」?
ということです。
言い換えれば、
「人」と「市民」は別物なのか、
はたまた、
「人」と「市民」は、
この宣言が書かれた時点において、
実質的に同じ(普遍主義的な)地平にあったのか?
ということです。
そしてもし、後者でないなら、
フランス的な普遍主義なんて、
限定的普遍、つまり語義矛盾じゃね?
と、つねづね思っていました。

今日、たまたま、
まさにこの問題を論じている論文を見つけ、
すぐに読んでみました。
これです。おもしろかったです。

file:///C:/Users/owner/AppData/Local/Packages/Microsoft.MicrosoftEdge_8wekyb3d8bbwe/TempState/Downloads/B422-20090630-13.pdf


著者である菅原先生は、
かつて、「市民」=「国籍保持者」という立場だったのだけれど、
その後の研究の結果、
革命当時の「市民」とは、
もっと普遍的なものだった、
という考えの側に移ったと書かれています。
わたしは、法の専門ではまったくないので、
学問的な判断はできません。
でもやっぱり、
この菅原先生の「転向」は、
説得力があるし、賛成したいです。
論文では、
「革命思想のパラドクス」
という表現が紹介された後、
「市民」と外国人の関係を念頭に、こう書かれています。

(……)「市民」とそうでない者との間に境界線が設定されることによって、
国民国家を「ロックアウトする」結果がもたらされたのだ。

これって現代の話?
と、ふと思ってしまうのでした。

2017年11月28日火曜日

『グローバリズムという病』

『グローバリズムという病』(平川克美)は、
3年前に出た本なのですが、
最近読んで、今でも十分読む価値がある内容だと思いました。
読みやすいし。
(平川さんの書いているものは、あちこちで読んでいるので、
わたしにとっては、まあ、「まとめ」のような感じなんですが。)

グローバリゼーションは、
人類の歴史過程そのものであり、
これは止められないし、止めようとするべきものでもない。
けれども、
グローバリズムというのは、それとはちがって、
ある種の経済思想であり、
歴史的な必然などというものではない。
そしてこのグローバリズムの根底にあるのは、
「株式会社」という幻想である。
この幻想は、もう1つの巨大な幻想である「国民国家」と、
鋭く対立する。
グローバリズムを掲げる企業にとっては、
国家による規制(関税とか)なんかないほうが、
活動しやすいに決まっているから。
つまりグローバリズムは、
国民国家そのものの存在理由を脅かしているのであり、
それは「右」とか「左」とかいうレベルの、
いわば「幅」の問題とは根本的に違っている……

大事なことだと思います。

2017年11月27日月曜日

辺野古反対派に国際平和賞

このニュース、

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201711/CK2017112502000242.html

あまり報道されていないように思えます。


「火山のめぐみ」

毎年、画期的なシンポジウムを開催している管研究室が、
今年送り出すのは、

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「火山のめぐみ」

われわれが暮らす列島は火山の列島。
火山が生み育んだ土地に、人々は住んできました。
火山の島々は人に何を与えてくれるのか。
私たちはどんな生活を営み、神話を考えてきたのか。
日本、ポリネシア、フィリピン、アイスランドなどをむすびつつ、
火山島で生きることの意味を考えてみたいと思います。

http://pac-meiji.tumblr.com/post/167541268363/12月2日土中野キャンパス5階ホールにて無料

******************************************

今週の土曜日です。
入場無料!

2017年11月25日土曜日

『ブルックリン』

昨日に続いてアメリカ映画、

『ブルックリン』(2016)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=I768tXFAI5I

1952年、
アイルランドの小さな町から、
1人の20歳の女性、エイリシュがブルックリンに向かいます。
仕事のない地元を離れ、
知り合いの神父が紹介してくれる仕事に就くのです。
船旅は辛く、
ホームシックは強烈でしたが、
イタリア系のトニーと仲良くなることから、
彼女はブルックリンと馴染み始めます。が、
そんな時、
故郷から、大好きな姉の死を告げる連絡があり、
帰郷することになります。そこでは……

アイルランド系アメリカ人と言えば、
J.-F. ケネディや、
レーガン、ビル・クリントンなどの大統領たちから、
ハリソン・フォード、ジョージ・クルーニー、ジョニーデップ、
マライア・キャリーなどのスターたちまでいて、
言うまでもなくアメリカの一部(約10%)になっていますが、
この映画は、いわばその典型の一つを描いているのでしょう。
そういう意味では、なるほどなあ、と思います。

どこかで見た風景だと思ったのは、
ヒロインが参加する、
生活困窮者のための慈善パーティーの場面。
やってきた大勢の年老いた男たちは、
かつてアメリカの橋を、道路を作った移民なのです。
でも今は仕事がない……
これって、石油ショック以降のフランスに似ています。
21世紀になってからも、なんなら今でも、
あの高速道路はおれたちが作った、みたいなセリフは、
耳にすることがあるわけです。

今ちょっとだけ調べてみたら、
実は原作では、
ホロコーストで親を亡くしたユダヤ人の先生が登場したり、
ヒロインが勤めるデパートで、
ついに黒人にも入店を認める、
なんていう場面があるようです。
(映画では、白人の客しかいません。)
もしこうしたことまで描かれていれば、
ずいぶんちがったブルックリンを感じることができたでしょう。
しばしば緑色(=アイルランド・カラー)の服を着たヒロインは、
しだいにブルックリンになじんでゆきます。
そして、イタリア系の彼氏もできるのです。
ブルックリンは、移民の街です。

弱点は、
人物の彫りが浅く、
ステレオタイプ的
(いじわるな女性店主、やさしい神父、病気の母親……)
であること、
時間がフラット過ぎると感じられること、
でしょうか。

『しあわせへのまわり道』

2014年のアメリカ映画、

『しあわせへのまわり道』(Learning to drive)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=zM1ahFgRzeM

舞台はNY。
本に没頭し続けた女性書評家ウェンディが、
ある日、夫に別れを告げられます。
君は本とパソコンだけを見ていたね、
ぼくは幽霊じゃない、
というわけです。
まあ、まずいですね。
で、今まで運転は夫に頼っていたウェンディは、
心機一転を期して、運転を習い始めるのですが、
この個人レッスンを受け持ったのが、
インドから政治亡命してきたシーク教徒、ダルワーンでした。
彼は、シーク教徒であるがゆえに、
インド政府からテロリストの仲間とみなされ、
長く投獄されていたのですが、
2000年、つまり9. 11 で移民の条件が厳しくなる直前に、
アメリカの市民権を与えられたのでした。
でも、インドでは大学教員だった彼も、
ここアメリカでは、
「髭とターバンのせいで」
そうした職を得ることはできずにいます。
そんな彼が、ウェンディと出会ったわけです……

まさに「アメリカ映画」的という印象の映画で、
おしゃれで、ハートウォーミングで、
適度にあけすけで、
適度に困難も描かれて、
でもその困難は、どこか消費の対象となっていて……
という感じ。
まあ、見ていて「楽しさ」はあるんですけどね。

<以下ネタバレ>
ウェンディとダルワーンが、
結ばれることはありません。
2人は好意を持ち合っているし、
ウェンディは、妹から紹介された銀行家と、
会ったその日に(お試しに)ベッドまで、
という行動もとれるのに、です。
物語上は、ダルワーンにはインドから花嫁がやってきて、
2人の波長は合っていないけれど、
なんとかやっていくしかないから、
またダルワーンはウェンディにとっても、
「誠実」の象徴であるから、
ということになっています。
でも、実は二人が結ばれないことは、
初めから分かっていました。
インド(というかアジア)系の男性と金髪白人女性のベッドシーンは、
アメリカ映画のタブーだからです。
で、予想通り、
映画のラスト、
ダルワーンはウェンディに告白するのですが、
あっさりフラれます。
ダルワーンは、ここでまたしても、
アメリカ社会(=ウェンディ)に拒否されるわけです。
自分に奉仕している間はいいけれど、
調子に乗ってベッドにもぐりこもうとしないで、
ということなのでしょう。
そして映画は、この拒否を肯定しているようにしか見えません。見かけのハートウォーミング感に反して、
白人中心主義的で、
排他的な映画だと言わざるを得ないでしょう。
これが今のアメリカの気分だとしたら、
イヤですねえ。

先輩教員と

今日は、数年前に退職された、
数学科のM先生とお話をする機会がありました。
彼女によれば、
学生時代から教員時代を通じて、
50年も数学と付き合ってきたので、
退職後は、違うことをしたいと思い、
オルガンにはまっているとのことでした。
で、
彼女が通っている教会のオルガニストにもなっていると。

「でも、そのためにいろいろ練習したけど、
やっぱりバッハが一番好き」

でしょうとも!

バッハがいいことの一つは、
いろんな楽器で聞いて楽しめることです。
わたしがマリンバのバッハを初めて聞いたのは、
20年前くらいの Jean Geoffroy でしたけれど、
今は、若い演奏者もたくさんいますね。

https://www.youtube.com/watch?v=CPKUg_3_gHg

2017年11月22日水曜日

French Kiwi Juice

今日、ダンスをやっている学生から教わった、

French Kiwi Juice 

は、フランス人ミュージシャン。
彼は「好きなミュージシャンは?」と訊かれて、
まっさきにこの名前を出したのでした。
たとえば、

https://www.youtube.com/watch?v=9Gq9N-sPdYg

これはいわゆる、チルアウトに入るのでしょうね。




2017年11月21日火曜日

Je suis chez moi

明日の1年生の授業、
ちょうど直説法が終わるので、
たまにはラップ・フランセでも聞くかと思って、
今、急遽作ったプリントを、
ここでも公開します。
(ってほどのものじゃなくて、
ただ歌詞を整えただけですが。)

曲は、これです。

https://www.youtube.com/watch?v=hsOqEhMumaw

歌っているBlack M は、
ギニア系フランス人。
彼は、林間学校に子供たちを引率するモニトゥールの役です。
そして、
ここで彼が着ているTシャツには、

Justice pour Amada

とありますが、
これは、去年の夏、
つまりこの曲が発表される直前、
パリ郊外で起こった「事件」のことを言っています。

http://www.afpbb.com/articles/-/3094879

で、それを踏まえて、

Je suis chez moi (おれは自分の場所にいるんだ、おれはフランス人だ)

と歌うわけですね。

(こうした態度を、
国家主義的だと批判することもできるかもしれませんが、
それは今は措いておきましょう。)

そうそう、3分15秒あたりに、
Amadou & Mariam が(歌詞に合わせて)登場しています。
お見逃しなく!
(そしてその直前、一瞬ですが、
Black M とおそろのTシャツを着たYoussouffa の姿も!
もちろん、政治的な意味合いでしょう。)
(でもうついでに書いておくと、
真ん中辺のクルマの女性、
彼女はユモリストのAnne Roumanoff ですね。)

********************************************

Je suis chez moi            Black MAlpha Diallo

Tout le monde me regarde 
A travers mon innocence je pense qu'ils me charment 
Ma maîtresse d'école ma dit que j'étais chez moi 
Mais mon papa lui pourtant se méfie d'elle, est-elle fidèle ? 
La France est belle 
Mais elle me regarde de haut comme la Tour Eiffel 
Mes parents m'ont pas mis au monde pour toucher les aides 
J'ai vu que Marion m'a twitté d'quoi elle se mêle ? 
Je sais qu'elle m'aime

  x 2  Je suis français                       
Ils veulent pas que Marianne soit ma fiancée 
Peut-être parce qu'ils me trouvent trop foncé 
Laisse-moi juste l'inviter à danser 
J'vais l'ambiancer 
Je suis français

J'paye mes impôts moi 
J'pensais pas qu'l'amour pouvait être un combat 
A la base j'voulais juste lui rendre un hommage 
J'suis tiraillé comme mon grand-père ils le savent, c'est dommage 
Jolie Marianne, j'préfère ne rien voir comme Amadou et Mariam 
J't'invite à manger un bon mafé t'chez ma tata 
Je sais qu'un jour tu me déclareras ta flamme, aïe aïe aïe

  x 2       

Je suis chez moi (x20)

  x 2

Je suis noir    
Je suis beurre   
Je suis jaune   
Je suis blanc 
Je suis un être humain comme toi 
Je suis chez moi 
Fier d'être français d'origine guinéenne 
Fier d'être le fils de monsieur Diallo 
Éternellement insatisfait

2017年11月20日月曜日

メディアって

暴行を働いたとされる横綱を、
まさに狂ったように、
執拗に追いかけるメディア。
どうしてその勢いで、
話題の学園の理事長も追いかけないのかと、
疑問の声が上がっているようです。
ほんとにね……。

当たり年なの!?

この秋、
もう20個以上りんごを食べたと思うのですが、
なんと、
ハズレが1個もありません!
今年はりんごの当たり年、なんでしょうか?
紅玉も、早生ふじも、サンフジも、
お隣さんからいただいた秋田紅あかりも、
みんなおいしかったです。
買った店も、あちこちのスーパーで、
特定の店じゃありません。
(もちろん、なるべくおいしそうなのにはしていますが。)

りんごがおいしいと、
朝が爽やかです!

2017年11月18日土曜日

池袋詩 ~六ツ又ロータリー

木曜は「池袋学」に興奮したのでしたが、
詩の世界で池袋というと、
わたしが思い出すのは、
小熊秀雄、
山本博道、
森原智子、
の3人です。
(あと、木坂涼さんも。
彼女とは池袋で会ったので。)
3人の詩は、『東京詩』の中にも引用したのですが、
特に山本の「想い出はサンシャイン60で」は、
池袋詩の白眉ではないかと思っています。
長いこの詩の冒頭はこんな感じ。


想い出はサンシャイン60で

よもや冥途である他のどんな予感が見渡せたか
高速5号線を越えて北は光る荒川の向こう筑波山
南は5本の巨大ビルの先霞む伊豆大島まで
隙間なんてない
わずかに眼下あれが雑司ヶ谷霊園?
ギッシリと石の道、焼けたモーターが水道橋方面に落ちつづけている
六ツ又ロータリーに回る風
(……)


で、年に1度くらい、
この六ツ又ロータリーをクルマで走るときには、
いつもこの詩を思い出します。

2017年11月16日木曜日

「都市、そして池袋の今」


           (「女性には<輪郭>がある……」)

行ってきました、
東京芸術劇場での、

森山大道 × 倉石信乃
「都市、そして池袋の今」

なんというか、感動しました!

森山大道は、1938年生まれだから、現在79歳。
でも彼は、毎日のように池袋を
「ぶらぶら」して、
スナップショットを撮り続けているそうです。

「とにかく、撮らないとはじまらないでしょ!」

言うは易く、行うは難し、なんですが、
これができるからこそ、
その「感覚」は、「今」を感知できるのでしょう。
そう、彼は言います、

「写真は<今>を撮るわけです」

それは言葉を換えれば、「時間を定着」させることでもあるわけなんですね。
そしてその時間(の堆積)が、「輪郭」を生むのでしょう。
それは個人にも、都市にもあてはまるのでしょう……

また今日は、倉石さんの質問があまりに的確で、
森山さんの答えも、その分穿ったものになり、
会場はみな聞き耳を立て、
緊張感が漲っていました。
とりわけ、写真というものの無名性に話が及んだところでは、
ちょっと異様なくらい。
2人のお話を総合すると……

たとえばわたしが撮ったということはゼロにはできないけれど、
写真の本質が無名性にあることには変わりがない。
つまりイメージは「わたし」の所有物ではなく、
写真はその意味で所有性から解放されている。
写真の潜在的可能性は、そこにこそ見いだされる。
アノニマスである写真は、大文字のARTではない……

今日のクロストークは、
倉石さんのキレ味と、
森山さんの年輪がともに際立ち、
しかも示唆に富む発言に満ちた、
とてもいい会でした。
わたしも、もちろん素人として、
パリを撮りたくなりました!

「『あたらしい野生の地―リワイルディング』映画上映会+トーク」

金曜日です!
下北沢のB&Bにて。

http://bookandbeer.com/event/20171117_rewilding/

わたしは以前渋谷で見ましたが、
いい作品でした。
とにかく、「再野生化」というのが新鮮。

2017年11月13日月曜日

森山大道 × 倉石信乃 !!!


あの森山大道が、
われらが倉石信乃さんを相手に、

「都市、そして池袋の現在」

について語ります。
これはそそられます!

今週の木曜。1000円です。(安い!)

http://www.rikkyo.ac.jp/events/2017/11/mknpps0000004m8b-att/mknpps0000006eqg.pdf

『マッドジャーマンズ ドイツ移民物語』


新聞の書評で見かけて、
読んでみたのは、

『マッドジャーマンズ ドイツ移民物語』

です。
マンガです。
帯には、

「移民問題に揺れる欧州
ドイツに衝撃を与えた
社会はコミック」

とあります。
この本、すごくよかったです。

そう、「よかった」のですが、
とても胸が痛む物語です。
モザンビークから、
統一前の東ドイツに渡ったワカモノたち。
彼らは、選ばれたものとしての希望と夢を持っていましたが、
行ってみると、
彼らは単なる単純作業労働者という身分しか与えられず、
勉強もキャリアもままなりません。
しかも給料の60%は天引きされ、
これが、貯まっているものとばかり思っていたのに、
いざ帰国した時、
そのお金はどこにもないのでした。
母国モザンビークは、
激しい内戦を経過し、
ドイツはドイツで統一のごたごたがあり、
そうしたしわ寄せが、
何年もまじめに働いた彼らに集中したのです。
(いや、そうじゃないのかも。
内戦は、国内に残った人たちに、
もっともっと過酷なものを突き付けたわけですから。)

絵もいいし、翻訳も抑制が効いていて読みやすいです。
これはお勧めできます。
こういう本を刊行した出版社も、素晴らしいです。

2017年11月12日日曜日

『ママはレスリング・クイーン』

今読んでいる本がかなり難解なので、
こういう時の映画はやわらかいものを、
ということで選んだのがこれ。

『ママはレスリング・クイーン(Reines du ring)』(2013)

https://www.youtube.com/watch?v=vPYDdzxPf8c

まあ、たわいない話ではありますが……

ヒロインは4人の女性たち、
刑務所帰りで、一人息子は里子に出しているローズ、
狙った男は必ず落とす、ジェシカ、
肉切り包丁を手放さない、強面のヴィヴィアンヌ、
浮気する夫に愛想をつかす、子持ちの組合委員長コレット、です。
この全員が、スーパーの店員で、
肉売り場のヴィヴィエンヌ以外の3人は、
みんなレジ係です。
この彼女らが、小さなきっかけから、
プロレス(catch)の世界に飛び込むお話。

年長のコレット役は、なんとナタリー・バイが。
全然イメージとは違いますが、
楽しんで演じているように見えます。
セクシー系という役どころのジェシカは、オドレ・フルロ。
そうです、『最強のふたり』で、
ドリスが言い寄ったレスビアン女性、マガリを演じた彼女です。
そして主演は、ローズを演じたマリルー・ベリ。
彼女は、何と言ってもこの映画の印象が強烈です。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/06/vilaine.html

そうそう、チョイ役ですが、
ビウーナも友情出演していました。
彼女のスーパーの店員です。

この映画は、B級痛快アクション映画であり、
そういうものとしては、十分楽しめると思います。
(細かいことを言えば、
ジェシカが好きになるのは黒人男性であり、
ちゃんとアラブ系ビウーナにも出てもらって、
政治的な正しさを確保することに腐心しているのは感じました。
特に、4人が戦う相手がメキシコ女性レスラーなんですが、
試合前にお互い罵詈雑言を浴びせ合う場面で、
さんざん「メキシコ女」をこき下ろした後、
でもあたしは外国人嫌いじゃないからな!
とヴィヴィエンヌが付け加える場面などは、
とても気を遣ってると感じました。
でもまあ、そうじゃないと、
観客も醒めてしまいますから、
それはいいことですね。)

「架橋できる存在に」

内田樹さんによる、
吉本隆明に関わるある本についての書評です。
彼は、高校生の時に、
吉本の本に出合ったそうです。

http://blog.tatsuru.com/

「大学生になって(吉本を)読んだ場合には、
大衆は「原像」として概念的に把持される他ないほど
すでに遠い存在になっていただろう。
だが、高校生は生活者大衆でもないし、知識人でもない。
まだ何者でもない。
それでも、親に内緒で退学届けを出したり、
家を出て働くことくらいはできる。
この特権的なポジションを利用して、
大衆でも知識人でもない、
その二つを架橋できる存在になろうと私は思った」

そして彼はほんとに高校を退学し、働き始めます、
ただそれは、長くは続かなかったようですが。
「都会の不良少年」として、
高校時代を送ってしまったわたしとしては、
あまりに大きな差を感じます。

わたしの大学時代、
友人たちとの間でよく話題になった吉本の本と言えば、
これは圧倒的に、
『言語にとって美とはなにか』
でした。
もちろん、よくはわかっていなかったんですけどね。

2017年11月11日土曜日

「上位3名の資産が国民50%」

これって……

「米国で進む富の集中、上位3名の資産が国民50%の合計以上に」

https://forbesjapan.com/articles/detail/18439

いくらなんでも、ひどすぎますね。
しかも、

「米国人のおよそ5人に1人は資産額がゼロ、
もしくはマイナスとなっている」




ケン・ローチ関連 × 2

ケン・ローチの作品を1つ、

『1945年の精神』(2013)

と、ケン・ローチに関わる作品を1つ、

『ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生』(2016)

https://www.youtube.com/watch?v=Ip8wvVmz6yU

を見てみました。

前者は、
「揺りかごから墓場まで」
で知られる、第2次大戦後のイギリス労働党の活動を、
というかその精神を、克明に伝えています。
この大戦前の1930年代、
イギリスはひどい不況にあえぎ、
街には、失業者が溢れていました。
それは、21世紀とは違う、
絶対貧困に近い状態でした。
で、
大戦に勝ったイギリスでしたが、
そのとき多くの人が思ったこと、
それは、戦前の生活に戻るのだけは嫌だ、
ということでした。
戦争中に国は自分たちを雇っていたのだから、
戦後も、そうできないはずはない、
そしてそのためなら、
イギリスを勝利に導いたチャーチルさえ、
落選させても構わない……
そして実際チャーチルは落選し、
労働党の政権ができたわけです……

後者は、
ケン・ローチの人となりを表現しながら、
彼のたくさんの作品を、
その時代と彼の人生の中に置き直して見せた映画です。
とても見易いものでした。

2本とも、できのいいドキュメンタリーでした。
勉強になりました。

『フィッシュ・タンク』

『子どもたちの階級闘争』の中で、

「英国の下層のティーン文化を知りたければ
若干ステレオタイプ的とはいえかなり正確に描かれていると思う」

とされた映画、それが

『フィッシュ・タンク』(公開年:英 2009 / 日 2012)

です。見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=QIkmk6imcZ8

最初は、上に挙げたような理由で見始めたわけですが、
映画としてもおもしろかったです。
(ほんの少~しだけ、長い気もしましたが。123分です。)

イースト・ロンドンに暮らす少女、ミアは15歳。
母親と妹との3人暮らし。
母の新しい恋人コナーは、
ミアにとっても魅力的。
(おそらく、父性的、男性的、両方のレベルで。)
学校にも行かなくなり、
仲が良かった女友だちとも喧嘩別れし、
ミアの希望はただ、ダンサーになることだけ。
そんなときちょうど、
女性ダンサー募集の張り紙を見つけ、
そこに応募してみるのですが、
オーデション会場に行ってみると、
それは実は、ストリップまがいのダンサーの募集で……

safe を「サイフ」と発音するミア。
いつもジャージを穿き、
人からの批判には犬のように吠えて返し、
おまえは中絶するつもりだったと母親に言われ、
人を、そして自分を愛したいのにできないミア。

ミアが今頃どうしているのか、
気になります……。

2017年11月9日木曜日

『リフ・ラフ』

『わたしは、ダニエル』がおもしろかったので、
やはりイギリスの労働者を描いた作品、

『リフ・ラフ』(1991)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=pDIWuV8gz-4 (冒頭)

これは、刑務所帰り、
と言っても優男のスティーヴと、
歌手を夢見てオーディションに通うけれど、
家賃もままならないスーザンの物語です。
そう、それはそうなんですが、
それと同じくらい、
スティーヴと、彼が働く建設現場の仲間たちとの、
連帯と言ってもいい付き合いの物語でもあります。

公開が1991年ですが、
ということは、
サッチャーによるネオ・リベ的政治がちょうど10年経ち、
そのしわよせがスティーヴたち「底辺労働者」に、
激しくのしかかっていた時代です。
サッチャーは、劇中で、
「あのマーガレット」と呼ばれています。

思い出すのは『パレードへようこそ』です。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/09/blog-post_99.html

こちらもまた、「マーガレット」の政治が描かれていましたが、
時代的舞台は1980年代ですから、
この『リフ・ラフ』より少し前の時代を扱っていたことになります。

この、サッチャー(とレーガン)の1980年代というのは、
今の世界の一つの大きな出発点である気がします。
その時代、
わたしは主に大学院にいたのですが、
「文学」をやっていて、
そうした世界の動きの大きさにまったく気づかず……
もっと社会を見るべきでした。

そういうバカな院生と違って、
ケン・ローチ監督は、
いつも社会のことを考えていたわけですね。

2017年11月7日火曜日

セネガル

ワールド映画のゼミでは、
フランス映画はほとんど見てこなかったのですが、
今年は、『最強のふたり』を見ています。
それは、まず、
『となりのイスラム』をブック・レポートにしているので、
この本の中にも出てくる『最強のふたり』を見せるのは、
両者を理解するための相乗効果があるからです。

内藤先生は、この本の中で、
ドリスはきわめてイスラム的な人間だ、と指摘されています。
実際、ドリスのモデルとなったアブデルはアルジェリア系ムスリムです。
で、アブデルが白人であるのに対して、
オマール・シー演じる、映画の中のドリスは黒人なわけですが、
実は映画のほうでは、ドリスはセネガル出身だとされています。

(この「セネガル」という固有名詞、
映画の字幕ではカットされています。

Ils(ドリスの育ての親)sont venus me chercher au Sénégal
quand j'avais 8 ans.

というドリスのセリフがあります。)

で、セネガルは、95%の国民がムスリムなので、
ドリスもまた、とても高い確率でムスリムだと考えられるでしょう。
内藤先生の指摘は、事実としても、正しいと言えると思います。

そして、ゼミでよく見る1本に、『扉をたたく人』があるのですが、

https://www.youtube.com/watch?v=Rn3K199kv6c



ここにも、セネガル出身の、ゼイナブという女性が登場します。
彼女は、NYにいる不法移民、という設定です。
ここで、セネガルが「線」になってくるはずです。

ちなみに授業では、
Little Senegal の冒頭も見せます。

https://www.youtube.com/watch?v=zHYXCKjkWmE&t=2010s

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/04/little-senegal.html

主人公は、奴隷積み出しの島であった、
ゴレ島のガイドなわけです。

もちろん、これらだけでセネガルのイメージを語ることはできません。
でも、第一歩として役立ってくれれば、と思っています。

2017年11月5日日曜日

あの二人から!

先日、わたしの誕生日に、
一通の誕生日カードがメールされてきました、
Neymar Jr. と Mbappé から!
それがこれです。


Paris Saint Germain に登録してあったので、
送られてきたんですね。
そんなこと考えてなかったので、
ちょっと嬉しい驚きでした!

I, Daniel Blake

ケン・ローチ監督の、
なんと50本目の作品、

『わたしは、ダニエル・ブレイク』

を見てみました。

http://www.longride.jp/danielblake/

↑ 公式HP(予告編も)

ダニエルは、長年大工として働いてきた実直な男。
精神を患った妻を長く介護し、
彼女がなくなった後は「抜け殻」になり、
しかもその後、
彼自身が心臓発作にも襲われ、
医者から、働くことを禁じられてしまいます。けれど、
国は彼に、
働けない人たちのための「支援手当」を払おうとはしません。
で仕方なく、彼は求職者手当の申請を試みるのですが、
さまざまな書類、手続き、証明書……が要求され、
それは、ほとんど個人の尊厳を踏みにじるものでした。
そして、彼は言うのです。

When you lose your self respect, you are done for.
自尊心を失ったら、終わりなんだ。)

この映画のすべての背後にあるのは、
イギリス政府が進める緊縮政策です。
この映画は、たしかに「心温まる」ものかもしれません。
しかし、ちがうのです。
この、諸悪の根源とも言うべき緊縮政策こそ、
この映画のすべてが指さしているものだと感じます。

わたしは、とてもいい映画だと思いました。
ケン・ローチ監督の作品は、
もちろんいくつかは見てきましたが、
ちゃんと見直す必要がると思いました。

2017年11月3日金曜日

Nice catch !

WS後の、
ドジャースの選手たちへのインタヴューを、
YouTubeであれこれ見ていたら、
ふと出てきたのがコレ。

https://www.youtube.com/watch?v=W1ofxTxlrlg

Nice catch !

『女猫』

1958年の映画、

『女猫』(La chatte)

を見てみました。
(動画が見つかりませんでした。)

1943年、ドイツ占領下のパリ。
レジスタンスに加わっていた夫を亡くした妻は、
代わって自分が活動に入ります。が、
彼女がたまたまバーで仲良くなった男は、
(スイスの新聞記者というのは嘘で)
ドイツのスパイでした。
そうとも知らず、レジスタンス組織の秘密を漏らす彼女。
でも、二人は本気で魅かれ合い、
スパイも彼女を助ける道を探るのですが……
というお話。

面白くないわけではないのですが、
この映画、要は、
主演のフランソワーズ・アルヌールを見せるのが主眼です。

<以下ネタバレ>
このヒロインは、
本筋とは外れたところで、
ストッキングを脱がされる場面や、
身体検査をされる場面があり、
しかも最後は、裏切り者として、
仲間の手で射殺されてしまいます。
つまり、
肉体的魅力を発散する女性として描かれながら、
その描き方はややマゾヒスティックで、
最後には殺されてしまう……となれば、
これはやはり、ミソジニー的だと言わざるを得ません。

監督は、『筋金を入れろ』の、アンリ・ドコアンです。
(今ちょっと調べたところ、
『筋金を入れろ』はDVD化されていないようです。
ジャン・ギャバンが出てるのに……、ちょっとびっくり。
フランス語版はもちろんあります。
https://www.amazon.fr/Razzia-sur-Chnouf-Lino-Ventura/dp/B002DGQBR0/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1509715630&sr=8-1&keywords=Razzia+Sur+la+Chnouf
そういえばこの映画も、
(遠い記憶なのであいまいですが)
ホモソーシャルだった気がします。

2017年11月2日木曜日

3本

ダルヴィッシュ、残念でした……。
捲土重来を。



このところ、
「パリ」と名がつく日本版DVDを何本か見てみました。

『パリ、ディストラクション』
これはパニック映画。
ゼネストの影響でごみ収集車が来ないパリで、
異常発生したネズミが媒介する伝染病が発生。
ヒロインである医師の娘もネズミに噛まれ……

『パリの大晦日』
ドキュメンタリー風のロードムーヴィー。
ケルン、パリ、バルセロナ、と、
恋人を追ってゆくアジア系の青年の物語。
カメラはたびたび固定され、
ロードムーヴィーでありながら、
登場人物たちは固定されたカメラの中からなかなか出られません。

『パリ、恋人たちの影』
ドキュメンタリー映画を作ろうとしてる夫婦。
浮気中の夫は、
妻が浮気中であることを知ると、
自分のことは棚に上げて妻をなじります。
で、結局は夫の不貞も露見し……

三者三様ですが、
わたしには、もう一つピンときませんでした。

2017年11月1日水曜日

『日本の夜と霧』

今日の大学院ゼミでは、
大島渚監督の『日本の夜と霧』(1960)を見ました。

https://www.youtube.com/watch?v=FyHUnzwZo4Y

有名な作品なので、
調べればいろいろ出て来るに違いありませんが、
今回、大島監督作品はあくまで「補助線」なので、
まずは、ほとんど周辺知識なしで見てみました。

1960年制作で、その年の安保運動を扱っているのですが、
事実は、そのもう一つ上の世代こそが、
ほんとうの主役のようです。
つまり、安保デモをする現役大学生たちの、
10歳ほど上の活動家たちです。

先日見た、同じ大島監督の、
同じ年に撮られた作品、『青春残酷物語』と、
この構図はパラレルになっています。
『残酷」では、
「上の世代」が渡辺文雄と久我良子、
「現役世代」が川津祐介と桑名真由美、
でしたが、
『日本の』では、
「上の世代」が渡辺文雄と小山明子、
「現役世代」が津川雅彦と桑名真由美、
となっています。
(実際には、彼ら以外にも多数います。)
そして、どちらの作品のどちらの世代のカップルも、破綻します。
また、『日本の』は、
渡辺文雄と桑名真由美の結婚式を舞台としているのですが、
この二人は、実は別々の世代に属していて、
この二人もまた、今後の幸せを予感させはしません。
二つの作品は、ともにペシミスティックで、
ほとんど虚無的でさえあります。(ただ、その虚無が煮えたぎっているところが、
大島の個性なのでしょう。)

そして大島は、『日本の』を撮ったすぐ後に、
小山明子と結婚します。
彼に中の虚無は、
このとき、現実とある種の和解を果たしたのでしょう。

2017年10月30日月曜日

記憶に残る試合

海の向こうでもこちらでも、
それぞれワールドシリーズと日本シリーズが、
大詰めを迎えています。
特にWSでは、
今日、アストロズが3勝目をもぎとり、
王手をかけました。

それにしても、
今日の試合は凄まじかった。
たまたま授業が、
院生たちのフィールドワークと重なり休講だったので、
家でみっちり見てしまいました。
結果は、延長10回、

13x 対 12

という、これだけでも異例のスコアですが、
ここに至るプロセスが、尋常じゃありませんでした。

チーム10  計  
ドジャース12
アストロズ 1X13
ドジャースを応援していたわたしは、
何度となく、ああ、これで勝ったな!
と思ったり、
もう今日はあきらめたし!
と嘆いたりしたのですが、
そのたびに追いつかれたり、追いついたり。
もう、言いようのない試合で、
アストロズの監督が、
「生涯最高の試合」
というのも、十分わかります。
ほんとに凄かった……

ドジャースは負けましたが、
こんな記憶に残る試合が見られて、
一野球ファンとして、
とても満足しました。
両チームの選手たち、Many thanks !

2017年10月29日日曜日

DVDを待ちながら

待ち遠しい映画、っていうのは、
いつでも何本かあるわけですけど、
たまには、そういうものを並べて見ましょう。
(やがてDVDが出た時のための、備忘録でもあります。)

まずは、
ダイアン・クルーガー、
二コラ・デュヴォーシェル、
が共演している、これ。
Tout nous sépare.

https://www.youtube.com/watch?v=RvFp4-rHJYI

ドヌーヴの姿も見えますね。

次は、これ。Noces です。

https://www.youtube.com/watch?v=Zi4qkAimAF4

ベルギー系パキスタン人である少女が、
愛する家族から、
伝統にのっとった結婚を勧められるのですが、
現代的な彼女には、
それは簡単には受け入れられないこと……
これは、わりと「ベタ」な設定ですが、
やはり興味が沸きます。
主演のLina El Arabi は1994年生まれで、
この映画でも主演していました。
とても強く印象に残っています。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/05/ne-mabandonne-pas.html

それから、Les grands esprits も面白そう。

https://www.youtube.com/watch?v=UFqz8Ect6bI

名門であるアンリ4世校から、
パリ郊外の「教育困難校」に移った先生の葛藤、ですね。
これも設定は単純ですが、
やはりおもしろそうです。

そしてオマール・シー。
彼は今回、田舎町にやってきた(前科のある)黒人医師を演じています。

https://www.youtube.com/watch?v=xxAio5hVUtE

オドレ・ダナの顔も見えますね。
予告編を見た限りでは、
すごくソソラレルとまではいきませんが、
見ることは見るでしょう。

最後は、夏にパリでポスターをよく見かけた、
Le prix du succès

https://www.youtube.com/watch?v=LM7Ykl7uzQY

まあ、
ロシュディー・ゼム、
タハール・ラヒム、
マイウェン、
ですから、何も調べずとも、
見ること決定です。

早く見たいです!

「でも法人税は下げてね」

http://bogonatsuko.blog45.fc2.com/

2017年10月28日土曜日

オオカミ少年による「崩壊詐欺」

「中国崩壊」というのは、
たしかに、何度も目にしてきた記事ですが、
たしかに、ゼンゼン「崩壊」していません。
おもしろい指摘ですね。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/post-8772.php

Houston, we have a problem

WS(ワールドシリーズ)も第3戦まで進みました。
ドジャースのダルヴィッシュ、
今日はデキがイマイチでしたが、
もう一度投げる機会が来ることを祈っています。

ドジャースに対するのはアストロズ。
このチームの本拠地は、
NASAの宇宙センターで知られるヒューストンです。
そうです、アポロ13のときの、

Houston, we have a problem.

という飛行士のセリフでで知られる、ヒューストンです。

で、
チーム名もアストロズだし、
今日のBS放送のゲストにも、
宇宙飛行士の野口聡一さんが来ていました。

ただ、この街は、ドリーマーの街でもあると、
先日書きました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/09/blog-post_48.html

この街の背後に、
『闇の列車、光の旅』的な物語がいくつもあるかと思うと、
ヒューストンという名前の響きさえ、
ちがって聞こえます。

*******************

WSに関して、ちょっと残念だったのが、
この陽気なキューバ人、グリエルについてのニュース。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171028-00090308-fullcount-base

https://www.youtube.com/watch?time_continue=18&v=1X5_QLKX-6s

たしかにアレは、
アジア人をからかうときのジェスチャーだと言われても、
仕方ないですね。

『労働者階級の反乱  地べたから見た英国EU離脱』

最近お気に入りの、
ブレイディみかこさんの新刊、

労働者階級の反乱  地べたから見た英国EU離脱』

を読みました。


なぜでしょう、
こういう内容が読みたい!
と思っていたことが書かれていて、
ちょっとびっくりしました。
でもそれは、考えてみたら、
彼女の本をすべて読んできたから生まれた希望なので、
著者の思考の文脈に、
わたしが導かれているということなんでしょう。

もちろん、おもしろかったです。
もっと書いて欲しいです!

2017年10月24日火曜日

めでたし!

今日は、
午前中に生田キャンパスで授業をした後、
夜7時からお茶の水で会議という、
変則的な一日でした。
こういう日は、
1日が2度ある気がしますね。

で……

昨日のことなんですが、
同僚の敬愛する先生に、
初孫が誕生なさいました。
これ、わたしもとてもうれしいです!
お写真を見せてもらったのですが、
なぜ赤ちゃんというのは、
見ているだけで、
涙が出て来るような気がするのでしょう?
赤ちゃんはみんな可愛いですが、
もちろん、このお孫さんもとっても可愛いです。
うれしいです!

うれしいといえば、
実はひそかに応援していたベイスターズが、
下剋上を果たし、
日本シリーズ出場を決めました。
素晴らしいです!

お茶の水への行き来の間は、
ラジコで中継を聞いていたんですが、
特に、試合終了後のラミレス監督のインタヴューも、
なかなかよかったです。
この優勝は? と訊かれた監督は……

まずは神に、
そしてベイスターズ・ファンに、
支えてくれた球団関係者に、
そして広島カープと、
その素晴らしいファンたちに感謝します……

ラミレス監督、
一層好きになりました。

2017年10月23日月曜日

『パリ、カウンドダウン』

『パリ、カウンドダウン』
という映画を見始めたら、
これはすでに見たコレでした。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/08/le-jour-attendra.html

またもや、
日本版が出ているのに気づきませんでした。
これ、フィルム・ノワール好きには、
おもしろいです!

https://www.youtube.com/watch?v=y6TQL44O3Kw  予告編

2017年10月22日日曜日

選挙の朝は

選挙当日に、
やるほうも、
やらせるほうも……

https://twitter.com/mas__yamazaki/status/921986670370570240


ヒットラーと射殺と副大臣

日本では、
きわめてナショナリスト的な副大臣の、
北朝鮮やヒットラーについての発言が、
ほとんど問題にならなかった件。
ル・モンドです。

http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/article/2017/10/22/le-vice-premier-ministre-japonais-taro-aso-roi-des-gaffes-douteuses_5204387_3216.html?utm_term=Autofeed&utm_campaign=Echobox&utm_medium=Social&utm_source=Twitter#link_time=1508661706

ドイツはもちろん、
ヨーロッパの国ならどこでも、
とっくの昔に更迭だったでしょう。

選挙


雨の選挙日。
長年、いわゆる「死に票」ばかりを投じてきたわけですが、
さて今回は……

何人かの人が、
それぞれの言葉で書いていましたが、
なんらかの政治集団が実現する社会というものは、
その集団そのものの性格を反映する、
つまり、
上に物を言えないような集団が権力を持てば、
社会もまたそのようにぎすぎすするし、
お互い協力し合う集団が権力を握れば、
社会もまた、包摂的なものになる……
たしかにそうだろうと思います。

明日は、「東京詩」の授業があるので、
今日はその予習です。
配布資料として、明治時代の地図を用意したり。
そしてそれ自体は楽しいのですが、
読みたい本まで手が回らず、
積読がどんどんたまっています。
そんな中、
これはマンガなのであっという間に読めて、
なかなかおもしろかったです。
『サトコとナダ』です。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B5%E3%83%88%E3%82%B3%E3%81%A8%E3%83%8A%E3%83%80-1-%E6%98%9F%E6%B5%B7%E7%A4%BECOMICS-%E3%83%A6%E3%83%9A%E3%83%81%E3%82%AB/dp/4063695727/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1508677773&sr=1-1&keywords=%E3%81%95%E3%81%A8%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A0

アメリカで、
日本人のサトコと、
ムスリマのナダがルームシェアする物語。
おすすめできます!

2017年10月21日土曜日

ゼロの日

今週は、急に寒くなって、
雨も続き、
大学では風邪ひきの学生が増えています。
先生の中には、
風邪予防用のマスクの装着を開始した方もいます。

そういえば一昨日のフランス語の授業で、
sans(=without)という前置詞が出てきたときに、
「サン・トワ・マミー」という曲のことを、
知っている人?
と訊いてみたところ、
手を挙げたのは57人中ゼロ。
で、アダモ繋がりで、
「雪は降る」
も訊いてみたのですが、
こちらもゼロ。
もちろん、そんなに多いなんて思ってはいませんが、
これはもうきっぱりゼロなんですね。
時は流れ……

2017年10月17日火曜日

「電流によって増強されるルテニウム酸化物の異常な熱電効果」

わたしは理工学部に所属しているので、
当然、理系の先生たちと仕事をする機会もとても多いです。
ただ、そうした先生たちの専門分野の研究内容については、
何一つ分かりません。

たとえば、わたしの研究室から、
徒歩10秒ほどの研究室のY先生を含む研究チームは、
最近、物理学の著名な論文賞を受賞されたのですが、
その内容が、これです。

http://www.isc.meiji.ac.jp/~yyasui/20171002_JPSJ_Editors-choice.pdf

ここまでわからないと、
むしろ清々しいです!

2017年10月16日月曜日

Don Giovanni - Commendatore

金曜に見た『青春残酷物語』。
この映画の中に何か所か、
オヤ? と思うところがあったのですが、
その一つが、
主人公たちがラジオを聞く場面です。
適当に選曲していくと、ふと、
聞き覚えのあるメロディーが流れだします。
主人公は、つまらなさそうに、
「ベートーヴェンか」
とつぶやき、椅子を立つのですが、
それは、Don Giovanni のハイライト、
石の騎士がやってくる場面です。

https://www.youtube.com/watch?v=7cb1QmTkOAI

なぜ大島監督は、
主人公に「モーツァルトか」と言わせなかったのか?
主人公が、クラシックと無縁の生活をしていることを言いたかったのか、
と最初は思いましたが、
(そしてそれもあるとは思うのですが)
今日、ふと気になってその場面をYouTubeで見ていて(上の動画です)、
それはこの主人公がDon Giovanni そのものでもあるからじゃないのか、
と思い直しました。
この主人公は、
最後はチンピラに殺されるのですが、
それはそのチンピラの情婦に手を出したからでもありました。

きっともう誰かが気づいていて、
もしかしたら常識なのかもしれませんが、
わたしには新鮮な発見でした。

2017年10月15日日曜日

カイケルという投手

ふだん、アストロズの試合を見る機会がなかったので、
今年18勝もしたカイケルを、
今日初めてじっくり見ることができました。
そうです、Yankees vs. Astros の、
リーグ・チャンピオンシップ決定戦です。

このピッチャー、球がすごく速いわけじゃないんですが、
おそろしくコントロールがいいのには、驚きました。
ピンチで、
今Yankees で一番好調と言ってもいいガードナーと当たった時です。
カウント2 - 2 から、
カイケルは4球続けてスライダーを投げたのですが、
それがすべて、
外角低めにピタリとコントロールされていたのです。
おそらく、ボール 1/2 から1個くらいの範囲に、4球とも。
しかもそれが、ストライクとボールの境界あたりなんです。
打者の側は、
前の打席で苦しめられた内側のツーシームが、
いつくるかいつくるかと思っているので、
最後は、結局スライダーを空振り。
ついに、ツーシームは1球も来なかったのでした。
こうした配球の文脈は、
スポーツニュースではまったくわからないので、
これが試合を見る醍醐味の一つです。

https://the-ans.jp/news/11280/3/  ←22秒のところ

田中投手は、十二分に自分の仕事はしたと思います。
ただ今日は、カイケルが良すぎました。
いいピッチャーでした。

2017年10月13日金曜日

「世界と歴史の不透明な厚み」

先日の波戸岡さんの新刊もそうですが、
わたしが所属している総合文化教室は、
素晴らしい仕事をしているまぶしい同僚が多くて、
いつも「すごいなあ~」と思っています。

写真の倉石さんも、もちろんそんな一人ですが、
その文章を読むと、
わたしのぐにゃぐにゃした頭の中にも、
一筋の火花が走るようです。
たとえば、この

「不透明性について、再び」

という文章もそう。

http://fiatmodes.blogspot.jp/2017/10/blog-post.html

「写真という場所は、
世界と歴史の不透明な厚みに触れる回路の起点たりうるはずだ」

そうだったんですね……



大学院ゼミ

秋学期に入ってから、
3回のゼミを開きました。
そこで院生のN君と見て分析したのは、
この4本です。

増村保造監督
『闇を横切れ』(1959)
『妻は告白する』(1961)

大島渚監督
『愛と希望の街』(1959)
『青春残酷物語』(1960)

焦点は、増村の初期作品に絞っているので、
この中でそれに当てはまるのは『闇を横切れ』だけなのですが、
比較する対象として、
他の作品も見ています。
大島の場合は、
増村に対する批判的コメントがあるので、
その意図を正確に見定めるため、
まずは大島自身の作品を見ています。

で今日見たのは、
大島監督の代表作の1つとされる『青春残酷物語』なのですが、
これを見たのは30年振りくらいで、
まったく覚えていませんでした。が、
当時はただ見ただけで、
ほとんど理解していなかったのでしょう、
今日はとてもおもしろく感じました。

https://www.youtube.com/watch?v=Toi1RwMp7CQ

1960年作で、実際この年が時間的舞台
(この年公開された映画が、街の映画館でかかっています)
なんですが、
この戦後15年目、
『ゴジラ』の6年後で東京オリンピックの4年前、という時代が、
大島にどう映っていたのかが、よくわかります。
要は、ブルジョワ的メンタリティーに毒され、
混乱の中で方向を失った時代、ということなのでしょう。
大島は、こうした状況認識から出発し、
なぜこうなったのか、
今後はどうなるのかを、
3つの世代を通して示してゆきます。

1つのキーワードは、「欲望」だと思えました。
主人公である大学生は、
まさに欲望のままに生きるのですが、
その意味は、
幼稚で甘えた動物的エネルギー、
資本主義的な人間のモノ化へ向かう社会への反抗、
刹那主義と結びついたニヒリズム、
ということになるでしょうか。
彼は、自らの欲望に、報復されることになります。
そして高校3年生のヒロインは、
ブルジョワへの憧れの中で愛されることを願うのですが、
結局は、
ブルジョワからも、愛からも、
転落せざるを得ません。

まさに青春、
まさに残酷ですが、
誰(何)が誰(何)に対して残酷なのかは、
いくつかの答えがあるのでしょう。

Yankees

今日の午前中は、
Yankees vs. Indians の、
ディヴィジョン・シリーズ最終戦をテレビ観戦しました。
どちらか勝ったほうが、
次のリーグ・チャンピオンシップに進めるという、
まさに真剣勝負です。
こういう、決して「捨てゲーム」にならない試合は、
ほぼ間違いなくおもしろいものですね。
(たとえ短期決戦でも、
お客さんにわからないように捨てゲームを作るのが監督の仕事だ、
とかつて森監督は言ってました。)

野球は、結局のところ、
1つのプレー、1つの投球で決まります。
今日は、Indians が打った1本の併殺打が、
ポイントだったように思います。

Yankees は勝って、
土曜(日本時間)からのリーグチャンピオンシップに
臨むことになりましたが、
今の観測では、
第1戦の先発は TANAKA。
楽しみです!
(そしてワールド・シリーズで、
ダルヴィッシュとの投げ合いが実現したら!)

それにしても、
新人で50本以上ホームランを打ったジャッジが、
おそろしいほどの絶不調ぶり。
ポストシーズンの27打席で、
なんと半分以上が三振!
この、200cmを越えるオオモノが、
いつ目を覚ますのかも楽しみです。

2017年10月11日水曜日

Lagerfeld-Stromae 

われらが Stromae と、
あのカール・ラガーフェルドの対談です。

http://next.liberation.fr/culture-next/2017/10/06/lagerfeld-stromae-votre-gueule-et-votre-silhouette-restent-les-memes-mon-vieux_1601504

2年前のアフリカ・ツアーの際に飲んだ抗マラリア剤が体に合わず、
今も不調が続いていると Stromae は言っています。
かわいそう……

インタヴューの中で、
Stromae が好きだと言っているのは……

https://www.youtube.com/watch?v=PUdyuKaGQd4

https://www.youtube.com/watch?v=b9jo4mk0VQU

前者は、I have no roots. と歌っていますね。
これは、直前に、ドイツ人を自称するラガーフェルドが、
「わたしは二重国籍は嫌いだ」と言っているのと、
鋭いコントラストをなしているようにも見えます。
ここ以外にも対立点はあって、
ちょっと風変わりなインタヴューではありますね。

2017年10月8日日曜日

『映画原作派のためのアダプテーション入門』


若き同僚、
波戸岡景太さんの新刊、

映画原作派のためのアダプテーション入門』

が発売になりました。


わたしは、昨日から今日にかけて一気に読んで、
いやあ、おもしろかったです!
なんというか、とてもスリリングな本で、
しかも新鮮なカードが次々に出て来るので、
どんどん引っ張られるというか、
贅沢というか。
内容は十分論文になるようなものですが、
分かりやすい日本語で、
きっちり順を追って説明されているので、
ぜんぜん迷子になりません。

で、内容は、上のリンクに詳しいのですが……

このタイトルを見ると、まず、
アダプテーションてなに?
と思いますよね?
(つい先日80人のクラスでこの語について尋ねたところ、
知っているのは数人でした。)
これは、この本に合わせてごくざっくり言えば、
小説などの「映画化」のことなんですが、
大丈夫、本はまず最初に、
この語そのものを説明してくれます。
それからもう一つ、「原作派」もよくわかりませんが、
これはつまり、映画化された作品より、
その「基」になった原作のほうを偏愛する人たちのこと。
(ちなみに波戸岡さんは、
そういう人が多いと考えているようなんですが、
そして実際そうかもなんですが、
わたしは原作派ではありません。)

ただここで、最初の発見がやってきます。
今「原作」と言ったけれど、
これ、実は映画化されて初めて、
「(ふつうの)小説」は「原作」になるんじゃない?
なるほど、おっしゃる通り!
そしていったん「原作」になってしまうと、
その作品はもう、「(ふつうの)小説」に戻ることはできません。
だって、原作と映画の間には合わせ鏡的な、
消せない関係が生まれてしまうからです。
しかもたとえばその映画に出ている俳優たちは、
他の映画にも出ているわけです。
となると私たちは、
ある「原作」を読んだときに、
その映画化された作品だけではなく、
その映画に出演してる俳優の別の映画をも思い浮かべ、
俳優の持つ映画的ペルソナは、何層にも重なり&滲みながら、
「基」になった小説との、響き合いを生み出す……
(このへんの説明は、
本書のほうがずっと明快ですので、
ぜひそちらをご覧ください!)

この本には、
大昔に見てもう覚えていない映画
(『華麗なるギャツビー』、『レスザンゼロ』……)
も、まだ見ていない映画も、
まだ読んでいない小説も登場します。
でも!
それが気にならずに読み進められるのは、
作品紹介が分析の中に溶かされていて、
知らないうちに、
読者は作品のあらましを知ってしまうからなのでしょう。
(こういうのを、筆力というのでしょうか?)

『パリ移民映画』の中で取り上げた
『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』
は、『モモの物語』という小説の映画化でした。
ただこの映画化に際して、
監督は舞台を、
ある(アシュケナジムの)ユダヤ人街から、
別の(セファラッドの)ユダヤ人街に移しました。
そしてその移った先には、
並行する、ただし高低差のある2本の通りがあり、
それはたった15段の階段で結ばれていて、
あたかもその階段は、
2つの世界の通路のように見えるのです。
これが、この映画におけるアダプテーションの核だなのだと、
今は思うのでした。

映画が好きで小説も好き、というあなた。
この本、おもしろいです!

2017年10月7日土曜日

独立運動

独立運動と言えば、

ケベック
スコットランド
カタルーニャ
クルディスタン
コルシカ
沖縄……

などが思い浮かびます。
そして先週から今週にかけては、
もちろんカタルーニャ独立関連のニュースが気になっていました。
が、
ここにきて、政治や文化というより、
経済の問題が大きく浮上してきて、
これはやはり大きな要素となりつつあるように見えます。
なんと言っても、
2つの大手銀行が、
本社をバルセロナから移転するという決定が、
インパクトがあったでしょう。
またそもそも、
独立賛成90%と言っても、
投票率が40%程度では、
もう一つ説得力がありません。

スコットランドの場合は、
民族主義的という印象が強くありませんでした。
血統ではなく、
スコットランドに住んでいるかだけを問題にしたからです。
それに、社会民主的な方向付けだったし。

もちろん、クルディスタンも気になります。
ただしこちらは、とても民族主義的に見えはしますが。

まだそこまで手が出せていないのですが、
独立運動の比較研究もあるそうです。
でも、たしかに面白そうな分野ですね。

2017年10月6日金曜日

ある日の MOV'

セットリスト、とまでは行きませんが、
この頃 MOV' でよくかかっている曲といえば……

1>
https://www.youtube.com/watch?v=9sV983UQ6dQ

J'suis dans mon bolide, j'pense à toi
Ger-char mon brolique, j'prends sur moi

オレはクルマにいて、おまえを想ってる
オレのピストルに装填する、責任は持つぜ

ger-char = charger 、なんでしょうね。

2>
https://www.youtube.com/watch?v=bZbI9rmpaEw

Hip Hop が多い中で、目立つこの曲。
ちょっとこぶし回ってる!?

3>

音楽は聞きやすいんですが、
ヴィデオはちょっと、工夫がないような気も……

4>
https://www.youtube.com/watch?v=9dahgYU_dUc

Mais il était joli garçon
(Joli garçon)
Beau garçon
(Beau garçon)
Il était joli garçon
(Joli garçon)
Était mignon
(Bête et mignon)

これもヴィデオは……

5>

ここ2,3か月に限れば、
わたしは(Hip Hopとしては)これが一番好きかも。
Major Lazar は、ストロマエの曲を remix したりしていて、
やっぱりちょっと共通した味わいを感じます。
Camila Cabello (カミラ・カベロ=2>の人。21歳。若い!)
も登場しています。

「I am a 弱者」

学生にとって大学とは?

https://twitter.com/okazaki_taiiku/status/913709884712951808

そうである人も、
そうでもない人も……


2017年10月4日水曜日

magret de canard au cassis

今日のリバティー・アカデミーの授業で、
食事関連の表現を少し練習したのですが、
そういえばパリ滞在中、
1度だけ、と思って、
オールド・スタイルのフレンチの店にも行ったことを思い出しました。
夜は高そうなので、ランチの時間に。
マレ地区にある老舗、Camilleです。
観光案内にも、時々紹介されています。


ランチの formule から、
entrée+plat を注文。
これは plat の、magret de canard au cassis。
magret というのは、
(フォワ・グラを取った後の)鴨の胸肉。
そしてカシス・ソース。
繊細なというより、
肉には脂肪ものっていて、
迫力がありました。
マッシュポテトもおいしいかったです。

そしてこれは、連れが頼んだおなじみ steak frites。


いつ見てもおいしそう!

この Camille は、
場所もいいし、
店もシックで小綺麗だし、
店員さんたちも清潔できびきびしているし、
いい意味で「おフランス」的だと思いました。

ちなみに、ここのデザートで使われているアイスクリームは、
シテ島の人気店、
ベルティヨンのもののようです。

そのベルティヨン自身は、
8月はヴァカンスのため全休でしたが、
この店のアイスは、
何か所かで売られているのを見かけました。
たとえば、Forum des Halles の最上階とか。
そしてこの店のアイス、
人気があるのもうなずけるおいしさでした。
(立ち食いでしたけど!)

2017年10月2日月曜日

『セカンド・ウインド』

あの『最強のふたり』には、
原作があります。
といってもそれは、小説ではなく、
自伝的エッセイで、

Le second souffle

というタイトルです。
これ、映画とはまったくちがっていて、
貴族出身で超がつく大金持ちの筆者が、
庶民とはまったくかけ離れた人生を42年間送ったのち、
趣味のパラグライダーの事故で全身麻痺となり、
その苦しみの中で18年間を過ごす、
その間のさまざまな思いを、
「文学」的につづった作品です。
映画に登場するエピソードに近いものは多少ありますが、
映画は、ほとんど創作と言えるでしょう。
とにかく、全体のトーンがまるで違います。

今日たまたま、
この原作の日本語訳の本(The second wind)を見る機会がありました。
なんだか、ずいぶん記憶と違う印象なので、
家に帰って原書と見比べると、
なんと、翻訳書冒頭に置かれた「悪童」という章は、
原書では第Ⅱ部の途中の章でした。
しかも訳書は、その「悪童」に続けて、
何の断りもなく第1章が置かれているので、
これではまったく繋がりが分からないのでした。
ちょっと残念!

ご当地めいじろう

現在、ゆるキャラコンテストで奮闘中の、
われらが「めいじろう」。

で、今回、その「ご当地」版が完成したようです。

http://www.meiji.ac.jp/koho/meijiro/local.html

特にコメントはありませんが……

ただ、ハーヴァード大学でもイェール大学でも、
グッズの売り上げは相当なものだと聞いたことがあります。
もしめいじろうが、ドラえもんみたいになったら……(J'exagère ! )

2017年9月30日土曜日

『ハンナ・アーレント』

『エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告』
で知られる思想家、
ハンナ・アーレント。
彼女が、まさにその本を準備し、執筆、発表し、
理不尽な非難にさらされても、
理由なき妥協など一切することのなかった日々を、
落ち着いた表現で追った映画です。


映画として「デキ」は、
あまり言う必要がない気がしました。
この映画は、
あくまでハンナ・アーレントの人と思想を描いているのであり、
当然、映画を貫くのはアーレントの思想そのものです。
そしてその思想とは、
「悪の凡庸さ」として広く知られている通りです。
これは、
たとえばナチによるユダヤ人迫害を、
ユダヤ民族だからこそ見舞われた特殊な不幸ととらえるのではなく、
(≒広島・長崎を、日本人だからこそ味わわされた悲運ととらえるのではなく)
思考することを止めた平凡な人間による、
まさに凡庸な悪だと指摘したのです。
ナチは、悪魔的な、根源的な、特殊な悪なのではなく、
どんな人間でも犯しうる、凡庸な悪なのだと。
思考せずただ命令に従う人間は、
ことの善悪など考えてはいないのです。
その結果、巨大な悪の一翼を担うことになる……。

でも多くの場合、人は、
自分(たち)の不幸を、特殊なものだと考えたがります。
特にそれが、民族のアイデンティティーでさえある場合には。
だから(自身もユダヤ人である)アーレントは、
友人を含む多くのユダヤ人から非難されたわけです。
彼らにとって、ナチの悪は、
根源的で特殊なものであるべきだったからです。
(沖縄の場合も、
民族主義的に権利を主張するのではなく、
普遍的な人間としての権利を主張するべきなのだ、
という考え方もあります。)

印象に残ったのは、
アーレントのこのセリフです。
きわめて親しい友人から、
この著作に関連して、
おまえはユダヤ人を愛していないのか、
と詰問されたとき、
彼女はこう答えたのです。

「わたしは一つの民族を愛したことなんかないの」

そして彼女は、
わたしは友人を、あなたを愛している、
と続けるのですが……。
こんなはっきりした言明は、
初めて聞いた気がします。
感覚的には、とてもよくわかります。
もちろん、アーレントがここに込めている意味の全体を、
ちゃんと把握しているとは言えませんが。

2017年9月29日金曜日

プルーストでさえ

そうでしたか、
プルーストでさえ、
そんなことを思い、
かつ実行したわけですね。
となると、
アマゾンの書評欄に、
あるいは雑誌の投書欄に、
「自画自賛」のコメントが出ても、
驚くにはあたらないわけですね。

http://www.afpbb.com/articles/-/3144846



選挙難民

選挙難民、なんて、
初めて聞きましたが、
まさにその通りという印象です。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170929-00000048-mai-pol

ただ、
「違和感」といっても、
サイズの合わないシャツみたいな、というレベルから、
ほぼ銀河系くらいの大きさの、というレベルまで、
色々なんでしょうけどね。

バーニー・サンダース、
ジェレミー・コービン、
ジャン=リュック・メランション、
パブロ・イグレシアス、
で、
日本には……

2017年9月28日木曜日

カンペは 3 × 5

おもしろいですけど、
そもそもなぜ、
カンペがアリなんでしょう!?

http://www.huffingtonpost.jp/2017/09/25/student-outwits-professor-with-cheat-poster_a_23221511/

久々の『東京詩』

大学の秋学期が始まって、
今日でまだ1週間と1日ですが、
とても長く感じます!

秋学期、わたしにとって新鮮なのは、
<東京詩>の授業です。
正式な科目名は、「文学と都市」といって、
これは大学院・総合芸術系の授業なんですが、
久しぶりにテキストとして『東京詩』を使っています。

今週は第1回で、
『新体詩抄』から始めて、
「鉄道唱歌」を経て、
啄木の(18歳の時の)詩を読んだところまでですが、
やっぱり、詩はいいですね。

意外だったのが、
「鉄道唱歌」のメロディーを知っていた学生が、
たった一人だけだったこと。
これって、「スタンダード」じゃなかったんですね?

この授業は、予習に時間がかかりますが、
むしろ歓迎、という感じです。
学生たちと一緒に『東京詩』が読めるのが、楽しみです!

2017年9月25日月曜日

『国際市場で逢いましょう』

北朝鮮のことが話題になることの多い昨今、
学生たちに勧められる、
韓国のことを理解するのに役立つような映画を探していて、
以前から気になっていたこの映画を見てみました。

『国際市場で逢いましょう』

https://www.youtube.com/watch?v=VxAJyEY16lY

(YouTube で、300円で全編見られます。)

この映画は、
演出等の面では、<優>とは言いづらいところがあります。
un peu trop dramatisé(ちょっと過剰演出)なんです。
でも、そこに嫌味はないし、
その演出の根底には事実があるわけです。
で、
トータルで考えて、
(特に学生には)ぜひ見て欲しい映画だと思いました。

物語は、1950年12月の、
いわゆる「興南(フンナム)撤退」で幕を開けます。
朝鮮戦争のただ中、
今は北朝鮮領にある興南に、
北から中国軍が南下してきます。
アメリカは撤退を開始し、
取り残された住民は、
なんとか一緒に連れて行ってくれと米軍に頼むのです。
米軍は、彼らを救うことを決断します。
しかし……

その後は、
(実はこういう事実があることを、
わたしは恥ずかしながら知らなかったのですが)
若い韓国人のドイツ炭鉱への移民があり、
ヴェトナム戦争があり……

そうした物語を、
ある一家の運命を通して描いてゆくわけです。
韓国の近代史を大まかに、
そして民衆視点で辿り直すには、
とても適切な映画だと思いました。

明日、明後日の授業で、
学生に勧めたいと思います。

<Web ふらんす>、開設!

待ちに待った、Webふらんす、
ついに今日から店開きです!

http://webfrance.hakusuisha.co.jp/

中条志穂さんの、
「イチ推しフランス映画」で紹介されている、

『汚れたダイアモンド』

は、ここでも(簡単にですが)触れたことがありますね。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/07/diamant-noir.html


2017年9月23日土曜日

「自民党の公約案はパクリ?」

「何年もかけて構想し、
学者の知見やデータをまじえて練り上げた政策を、
総理大臣がいとも簡単にパクるというのは前代未聞。
なりふり構わないのは政治家の常だが、
総理がここまで恥も外聞もなく他人の政策を平然と“密輸入”したとしたら、
早晩、国民にそっぽを向かれるだろう」

https://dot.asahi.com/dot/2017092100023.html

文大統領

韓国の文大統領のことは、
正直言ってよく知りません。
でも、
この「大騒動」の真っただ中で、
北朝鮮に対する経済支援を提案したり、
また、
北朝鮮にオリンピック参加を呼び掛けたりと、
これにはとても感心しました。
もちろんそこには、
韓国国民を守るという目的があるのでしょう。
でも、
その手段としてこうしたことを訴えるというのは、
一つ覚えのように「圧力」を言う人たちに比べると、
人間の格が違うように感じます。
誰が考えたって、
平和的にやるのが一番いいわけだし、
「圧力」によって苦しむのは庶民なわけです。
そしてあの暴君が、
自分の国の庶民の苦しみを慮っているようには見えないとすれば、
たとえば彼らの食糧事情は、
やはり、誰かが考えなければならないことでしょう。

2017年9月21日木曜日

Si j'étais un homme film

オドレイ・ダナと言えば、

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/04/welcome.html

での、主人公の妻役や、

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/07/tellement-proches.html

での、ユダヤ教に心酔してゆく妻の演技が印象深いです。
そして今日は、彼女が監督・主演したコメディー映画、

Si j'étais un homme film   (2017)『もしわたしがオトコだったら』

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=dBrNYeOdTEo


オドレイ・ダナだ、というだけで見始めたので、
タイトル以外、なにも予備知識がなかったのですが、
まさかこのタイトルが、
こんなにリアルに再現されているとは、思ってもいませんでした。

建築会社で働くジャンヌには、
ステキな夫と、
かわいい二人の子供がいました。が、
ある日突然、夫が言うのです、
J'ai rencontré quelqu'un.  Elle est enceinte.
(カノジョができたんだ。妊娠してる。)
そこから彼女の生活は一変するのですが、
実はもっと大きな変化がジャンヌを待っていました。
あるあらしの夜以来、
Elle a une bite !
彼女は「男性」になってしまいます。

こういう話は、
まあ、昨今よく見かけます。
だから、ああここでもか、と最初は思ったものの、
そこは大人向けコメディー、
ジャンヌはそれを使って、いろいろ試し始めます。
実際、会社の同僚の女性(“Je suis pucelle, quoi. ”)と、
関係を持ってしまったり。
でもその後、彼女はある男性と恋に落ち、
自分の体の変化に悩み……
というお話。

この映画で、1つ、
通奏低音のように提示され続けるのは、
ズバリ、子育てです。
ジャンヌも、親友のマルセルも、
そして男たちも……

どうということはない話なのに、
最後まで楽しく見られました。
オドレイ・ダナは、やっぱりいいですね。