2017年6月23日金曜日

Fureur

Fureur (2003)という映画を見ました。
これは……、もっと早く知っていなければならない映画でした。
見落としていたことを反省しています。

https://www.youtube.com/watch?v=sBnUCPWDQ5w

映画のストーリーも、人物造形も、その他もろもろも、
特筆すべきことはないんです。
ただ一点、ヒロインの背景と、
パリ13区のアジア街という舞台の出会いが、
映画史的には完全に要チェックだと思います。
オランピアッド広場も、オスロ商店街も、ユーロパズィも出てきます。

話しは込み入っていますが、
縦糸は、やはり「恋愛映画」の側面に現れる物語でしょう。
男はラファエル・ラミレス。
スペイン系フランス人で、
死んだ親が残した自動車修理工場を、
弟とともに切り盛りしています。
ただ、経営はかなり苦しい様子。
女はチン。
中国系ですが、生まれはカンボジア。
その後兄と二人で(おそらくは内戦を)タイへと逃れ、
さらに彼女は、一人中国に。
そして5年前から、パリにで暮らしています。
そしてこの二人の恋愛を邪魔するのが、
中国系有力者の息子、トニー・トランです。
彼は、映画の始まりにおいては、
まずはチンのフィアンセであり、
ラファエルのガレージを買い取ろうとする実業家(ワカゾーですが)です。
チンは、トニーなんか嫌いなんですが、
世話になっている親戚夫婦に恩返しするつもりで、
彼らの言いなりになって、結婚するつもりだったのです。
が、ラファエルと出会い、チンは変わります。
「わたしは売り物じゃない!」
と言い残し、親戚夫婦の家を飛び出します。
目覚めたんですね。
そして振られたトニーは、
怒り狂ってラファエルのガレージに放火してしまいます……

このメイン・ストーリーに絡むのが、
ラファエルの弟マニュと、チンの兄トイです。
この二人はそれぞれ、キックボクサーです。
マニュは、経営不振のガレージのため、
トイは、労働許可証を持っていないため、
違法な賭けキックボクシングに選手として参加します。
負けたマニュは、その時の殴られ方があまりにひどく、
命を落とすのです……

この映画、「激情」というタイトルで、
以前、フランス映画祭で上映されたことがあるようです。
13区を舞台にした映画としては、
代表的な1本と言えると思います。
(やっぱり見るのが遅かった! J'ai honte !)

『彼女が消えた浜辺』

ファルハディ監督の、
2009年の作品、

『彼女が消えた浜辺』

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=p5JYzTrO_aQ

イランの海岸に遊びに来た3つの家族。
そしてそのうちの一人の母親が、
自分の子供が通う幼稚園の女性の先生、エリを誘っていました。
ドイツから一時帰国している友人男性に、紹介するためです。
でも、その二日目、エリは姿を消します。
溺れた子供を救おうとして海に飲まれたのか、
黙って家に帰ったのか……

この映画の、わたしにとっての面白さは、
イランの人たちの「生活と信条」が伝わってくるところでした。
夫婦間のなんでもない会話、
彼らのまなざし、
特に女性たちの、
楽し気な、あるいは堂々とした態度。
まったく当たり前ですが、
すごく友達になれそうだと思いました。

群像劇風ですが、
主役はといえば、
エリを誘った母親、セピデーを演じる、
ゴルシフテ・ファラハニでしょう。
彼女は、ここでも主役の一人でした。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/04/just-like-woman.html

そしてこの映画、
(今気づいたんですが)
日本版がありました。
『マリリン&モナ』
です。
これ、面白いんですよね!

2017年6月22日木曜日

BWV1060

Mozart を聞いているときはMozart がいいし、
Brahms を聞いているときは Brahms がいいのですが、
それでも、
強いて一人を挙げるとするなら、
わたしは Bach が好きです。
で、
その中でも、
これもカナリ強いて挙げれば、
BWV1060 の、
2台のチェンバロのための協奏曲(第1番)
が好きです。
(2, 3日前、ラジオを聞いていて、
唐突にこの曲が始まり、
昔からの友人と、
その時いた新宿駅のホームでばったり会ったかのような気がしました。)

https://www.youtube.com/watch?v=KDn7kNOZ-E0&list=PL2CD9B01526286169 C mineur

ほんとに、名曲だと思います。
(ふだん愛聴しているのも、まさにこのピノック版です。
もちろん、CDの音はもっときれいです。)


そしてこの曲は、原曲があるとされていて、
それが、
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲
だとされています。
ただこちらの曲は、楽譜がなく、
仕方ないので、「2台のチェンバロ」を編曲して、
今あるこの曲が作られました。
(というか、復元されました、というべきでしょうか?)

https://www.youtube.com/watch?v=178rHC7EZEQ  D mineur

これもまた素晴らしいです。

そしておもしろいのは、
「2台のチェンバロ」はハ短調なんですが、
「オーボエとヴァイオリン」のほうは、
ハ短調ばかりでなく、
(このYouTubeのように)
ニ短調で演奏されることも多いということです。
というのも、
バッハが自分でチェンバロ用に編曲する際には、
全体が一音下げられていることが多く、
もしそれに倣うなら、
「オーボエとヴァイオリン」のほうは、逆にハ短調から一音上げて、
ニ短調になるんじゃ?
と考えられているようです。

たとえばホリガーは、
クレーメルとはハ短調で、
グリュミオーとはニ短調で、
録音しています。
個人的には、ハ短調のほうが好きです。
(ホリガーとヒラリー・ハーンの組み合わせで聞いてみたい、
ハ短調で!)

mersi は

「ありがとう」は、

mersi

なんですね、ペルシャ語では。
音は merci と同じに聞こえますが、
つづりが違うわけです。
これはフランス語からの借用語のようです。

<ペルシャ語における、フランス語からの借用語リスト>
https://fr.wikipedia.org/wiki/Liste_de_mots_persans_d%27origine_fran%C3%A7aise

イランが少し近くなりました。

2017年6月20日火曜日

陣野さん登場!

23日です。

<シャルリ・エブド襲撃事件について (いまだ)考え続けていること >

http://www.meiji.ac.jp/humanity/info/6t5h7p00000o8uhq-att/6t5h7p00000o8ujo.pdf

学外の方も参加可能です。
(要電話)

Bon Appétit

1か月ほど前にリリースされて、
今週もまたMouv' でかかり続けているこの曲、
Katy Perry のBon Appétit。

https://www.youtube.com/watch?v=dPI-mRFEIH0

ずっとラジオで聞いていて、
遅ればせながら今日MVを見てびっくり。
これ、いろいろマズイですね。
しかもご丁寧に、MVの始まりに、

NSFW  (not safe for work 「職場で(の閲覧)は危険」)

というネオンまで輝かせて。

まあ、彼女の品がないのは、
これが初めてってわけでもないんですけどね。


2017年6月18日日曜日

Histoire d'un amour

Marseille - de guerre lasse の挿入歌、
1958年の歌のようなので、
つまりアルジェリア戦争当時の歌ですね。

https://www.youtube.com/watch?v=zCPDJfDd9eU

Mon histoire
C'est l'histoire d'un amour
Ma complainte
C'est la plainte de deux cœur
Un roman comme tant d'autres
Qui pourrait être le votre
Gens d'ici ou bien d'ailleurs

C'est la flamme
Qui enflamme sans brûler
C'est le rêve
Que l'on rêve sans dormir
Un grand arbre qui se dresse
Plein de force et de tendresse
Vers le jour qui va venir.

C'est l'histoire d'un amour
Eternel et banal
Qui emporte chaque jour
Tout le bien, tout le mal
Avec l'heure ou l'on s'enlace
Celle ou l'on se dit "adieu"
Avec les soirées d'angoisse
Et les matins merveilleux.

Mon histoire
C'est l'histoire que l'on connais
Ceux qui s'aiment
Jouent la même, je le sais
Mais naïve ou bien profonde
C'est la seule chanson de monde
Qui ne finira jamais...

Marseille - de guerre lasse

マルセイユを舞台にした映画、

Marseille - de guerre lasse (2014)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=GnV9SNFXNHE

舞台はマルセイユ、2008年。
そしてこの映画の骨格は、
フィルム・ノワールの定番に沿っていて、
まずは、マルチアーノと、ヴェルニョー(チャッキー・カリョ)という、
二人の親分がいます。
で、ヴェルニョーの息子アレックスは、
4年前、マルチアーノの弟を殺し、
その追ってから逃れるため、
外人部隊に入隊しました。
さらに彼の父親も、
それ以上の追跡を止めることの見返りとして、
経営するすべての店の権利を、
マルチアーノに譲りました。
そして、4年後の今、
戦闘によるPTSDを抱えたアレックスが、
「街」に戻ってきます。
それは、恋人だったKatia(サブリナ・ウアザニ)と再会し、
彼女と一緒に逃避行に出るためでした。
けれど、アレックスが戻ったという知らせは、
あっという間にマルチアーノの耳に入り……
というわけです。

ただしこの映画、これは物語の1つの面で、
もう1つ、これと同じくらい重要な面があります。
それは、家族の秘密にかかわる物語です。
実はヴェルニョーは、
かつてアルジェリアで植民者として生きた、
ピエ・ノワールなのです。
しかも、今の彼のパートナーは、
当時彼の家にいたメイドだったアラブ系のライッサ(ヒアム・アッバス)で、
二人の3人の子供(アレックス、カティア、ラシッド)のうち、
アレックス以外は、ライッサと当時の夫との間の子供なのです。
アルジェリア戦争が終わった時、
ピエ・ノワールはヨーロッパに逃げ、
彼らの家で働いていたアラブ系の人たちは、
対仏協力者として、
アルジェリアを追われたわけです。

というわけで、このフィルム・ノワールと家族の物語の結合が、
この映画を独特なものにしています。が、
やはり見ていて、複雑すぎる、と感じないわけにはいきませんでした。
ちょっと詰め込み過ぎたかもしれません。

ただ、マルセイユを選んだ理由についての、監督のこの言葉、

"Un bon décor, ce n’est pas quelque chose de joli qui passe bien à l’image –
c’est un lieu qui raconte une histoire"

これはまったく同感です。

そして、作品が多少複雑すぎるにしても、
今回の俳優陣は、とてもよかった。
しかも馴染みの人たちが多く出ていて、

ジャリル・レスペール(Le Petit Lieutenant) ←母親はアルジェリア系
チェッキー・カリョ(『ニキータ』)
ヒアム・アッバス(『シリアの花嫁』)      ←アラブ系(イスラエル人)
サブリナ・ウアザニ(Mohamed Dubois )   ←アルジェリア系
ムアメッド・アゼルキ(Cheba Louisa)     ←アラブ系
オリヴィエ・ラブルドン(『君を想って海をゆく』)

こんな感じです。
みんなよかったですが、
特に、サブリナは今回、
堂々としていてよかったです。

2017年6月17日土曜日

遅すぎる新年会、また楽しからずや

昨日は、久しぶりの会議デーで、
10:30から5時過ぎまで、
なんと6つの会議がありました。
でもまあ、
一番長引きそうだった会議が意外にあっさり終わり、
おかげで6時過ぎとかにはなりませんでした。
(よかった!)

で、そのあとは、
われらが総合文化教室の、
遅すぎる新年会! でした。
去年は、忘年会もできませんでしたから、
こんな会は久しぶりです。
(昇格した先生のお祝いも兼ねています。)
出張中の先生たちもいて、
全員とはいきませんでしたが、
そこそこ盛り上がり、
楽しかったです。
(この総文の集まりは、
いつだって楽しいんですけどね!)

2017年6月15日木曜日

@池袋ジュンク堂

新しい帯の『フラ語入門』、
ついに本屋さんに並んでいます。
これは今日の、池袋ジュンク堂。



素晴らしい!
ジュンク堂にも、白水社にも、
Merci beaucoup !!

ちなみに、この赤い帯は、
この2,3か月程度使い、
その後は、緑のものに変えていく予定です。

2017年6月12日月曜日

「ひよっこ」

四月に、ふと見始めた「ひよっこ」。
朝の連続テレビをちゃんと(=録画して)見るなんて、
ずいぶん久しぶりだと思ったら、
そう、「ちゅらさん」以来です。
そして「ひよっこ」の脚本は、
「ちゅらさん」同様、
岡田惠和なのでした。

岡田惠和のドラマで印象深いのは、
「彼女たちの時代」です。
今調べたら、1999年でした。
これはなにかちがう、
と思ったのを覚えています。
山田太一もやっぱり好きですが、
この脚本家も好きです。

「ひよっこ」、
今では毎日の楽しみになっています。

『エール!』

カリン・ヴィアールとフランソワ・ダミアンの共演なら、
まあ、外れることはないだろうということで、

エール! (La Famille Bélier

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=3xWH1ljOJLg

なかなかいいお話で、
これが「ハート・ウォーミング」というやつなのでしょう。
安心して見られました。

(完全に「重箱の隅」的なことを言うなら、
一家がパリに着いた時、
まずビル=アケム橋を渡り、
そのあとエッフェル塔を間近に見て、
それからラジオ・フランスに到着したわけですが、
まあ、ビル=アケムから見て、
両者は反対方向ですね。)

2017年6月11日日曜日

「トランプ時代の中東」

今、BS・NHKで、
「トランプ時代の中東」
というドキュメンタリーを見ました。


とても引き込まれる内容で、
現場の空気が伝わってきました。
いろいろ記事は読みますが、
やはり、街の雰囲気というのは、
映像のほうがよく伝わります。
まとめ方もわかりやすく、
学生にも見せたいと思いました。
このところNHKは、
「大本営だ」という声も聞かれますが、
この番組はよかったです。
再放送されればいいと思いました。

Vilaine

2008年のフランス映画、

Vilaine

を見てみました。
このタイトルは、形容詞 vilain の女性形ですが、
意味は、映画の中のいろんな文脈に当てはまるので、
一つには決められません。
ロワイヤルの訳語を使うなら、
見苦しい/下劣な/いたずらな
という感じです。
なかなか面白い映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=v9Bt4jUZ-xQ

メラニーは、やや太っていて、
きれいじゃない子、という設定。
で彼女は、あまりに気持ちがやさしく、
周囲の人間たちは、近所の人も、
母親も祖母も、祖母のホームの老人たちも、
メラニーが働くダイナー風の店の店長も、
女友達たちも、みんな遠慮なく彼女を利用します。
でも、ついに、
メラニーは気づきます、これじゃだめだ! と。
その日から、彼女の復讐の物語が始まります……

コメディーですから、復讐と言ってもオモシロ系です。
特に、店長を嵌めるエピソードは面白くて、
彼がメラニーに書かせた求人広告に、
彼が口述させた言葉そのものではなく、
白人至上主義のラシストで女好きの彼の本音を書き、
それを掲示させたところで、
労働監視局に通報する、というものでした。
「求む、なんでもやってくれるホール係、
白人で金髪で25~35歳」
これはまずいですね。

この映画、見ればすぐに気づくのですが、
『アメリ』に似ています。
というか、そのパロディーみたい。
ヒロインの名前も似てるし。
(Mélanie Lupin と Amélie Poulain)

メラニー役のマリウー・ベリーは、
ジョジアーヌ・バラスコの娘で、
なんとリシャール・ベリの姪でした。
ということは、クロアチア系でもあり、アラブ系でもある、
ということになるのでしょう。
また、3人の女友達のうちの一人は、
『最強のふたり』にも出ていたジョゼフィヌ・ドゥ・モー。
もう一人は、『最高の花婿』で、
長女役をやっていたフレデリック・ベルでした。

もう9年も前の映画で、
部屋の棚でずっと眠っていたんですが、
見てよかったです。

「対米従属テクノクラートの哀しみ」

http://blog.tatsuru.com/2017/06/11_0910.php

Robots

ソフトバンクが買った、という話ですが、
それよりも、
そもそもロボットがこんなことになっているのを、
知りませんでした。
この動画、驚きでした。

https://www.msn.com/en-us/money/companies/softbank-buys-robotics-leader-boston-dynamics-from-alphabet/ar-BBCkltE

さらば、TGV ?

TGVから、inOui に、名前が変わるという話題。

http://toyokeizai.net/articles/-/174464

この記事の中にもある通り、inOui は、まずは、

inouï  (前代)未聞の (← in + ouïr「~を聞く」 の過去分詞) 

なんでしょうが、
確かに中に oui が入っています。
ただどうも、
あんまり評判がよくないみたいですが……

http://www.leparisien.fr/economie/tgv-renomme-inoui-la-sncf-critiquee-et-moquee-28-05-2017-6990561.php

2017年6月10日土曜日

『おとなの恋の測り方』

おお、このタイトル、

『おとなの恋の測り方』

と打つだけで、かなり恥ずかしい感じがありますが、
それはともかく、
来週、この七五調タイトルの映画が公開されます。

http://otonanokoi.jp/

で、これ、
少し前にここで触れた、これです。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/02/un-homme-la-hauteur.html

つまり、「測り方」あたりは、
なかなか上手いとも言えるわけなんですね、
恥ずかしいなんて書いちゃいましたけど。

とにかく、主演二人が魅力的なのは、
間違いありません。

2曲

まあちょっとイマサラ感があるのは否めませんが、
ラジオ(Mouv')を聞いていて、
今日もヘビロテで登場するのはこの2曲。

https://www.youtube.com/watch?v=KjGI3FyG3FY

https://www.youtube.com/watch?v=CTFtOOh47oo

たしかに、いいですねえ。

2017年6月9日金曜日

Yasmine

2004年のイギリス映画、

Yasmine

を見てみました。
いい映画でした。

https://www.youtube.com/watch?v=4BgbGugDUkk

時は2001年。
舞台は、ウエスト・ヨークシャーのKeighley。
その、パキスタン系の移民街に暮らすYasmineは、
敬虔な老いた父と、
心の通わない(つまり、親から押し付けられて結婚した)夫と暮らしています。
ただし彼女は、
この家庭内では「よきムスリマ」ですが、
養護関係の職場では、
通勤途中でババッと着替え、
Tシャツにジーンズという、いわば「ふつう」の格好。
つまり彼女は、二重の生活、二重の価値を生きています。

ただ、ヤスミンと夫は、
まったくうまくいっていません。
それどころか、ある夜など、
夫は彼女に無理やり襲いかかり、拒絶されると、
殴りさえします。
ヤスミンは、離婚を決意しますが、
父親は決してそれを許しません、家族の名誉のために。
そんな中、あの9.11 の日がやってきます。
ヤスミンが職場に行ってみると、
彼女が仕事で使うヴァンには、
「タリバンのヴァン」と落書きされ、
彼女の写真には、濃い髭が落書きされていました。
そして翌日には、
武装した警官隊が彼女の家を急襲。
彼女に、夫はどこだ、と迫ります。
そしてヤスミンも、父親も、
たまたま来ていたヤスミンの男友達も、
そして夫も、
みんな警察に連行されてしまいます。
生活能力さえ危うい夫は、実はテロとは全く無関係だったのですが、
テロ組織の一人の電話番号を知っていたという、
それだけがこの急襲の理由でした。
つまりヤスミンは、
二重の生活の、
その両方から拒絶されたのです……

もっともっと知られていい映画だと思いました。

2017年6月5日月曜日

クラシック局

月曜日は中野キャンパスへ。
で、電車の中で、
本が読めないときは、
インターネット・ラジオを聞いています。
ヒップホップなら、先日挙げたMouv' です。
クラシックなら……

インターネット・ラジオは、
星の数よりは少ないけれど、ずいぶんたくさんあります。
で、
クラシックに特化した局だけでもけっこうあるし、
もちろん全部聞き比べたわけではないのですが、
わたしが電車内などでよく使うのは、
まずはこれ。
ラジオ・スイス・クラシック。

http://www.radioswissclassic.ch/fr

なにしろ電車の中なので、
あまり長大な曲をかけられても全部聞けません。
で、この局のように、
楽章単位で流してくれるところが使いやすいです。
比較的落ち着いた曲が多くて、そこも好きです。

もう一つは、ギリシャの、バロック専門局。

http://stream.psychomed.gr/webstream%20baroque.html

いつ合わせてもバロックというのが、
とても安心。
ちょっと混んだ電車でも、落ち着きます。
これは、サイコメドという放送局の中の一つのチャンネル。
サイコメド自体には、ブルーズやラウンジのチャンネルもあります。

2017年6月3日土曜日

『アスファルト』

去年公開され、行けなかった映画、

『アスファルト』

を見てみました。

http://www.asphalte-film.com/

静かな映画ですが、
内面的なスリルとでも言うべきものがあり、
おもしろかったです。
3つの、言ってしまえば荒唐無稽な物語が並走するのですが、
その荒唐無稽さの中に、
たしかに「現実感」があり、
引き付けられます。
3つの話が、3つともイイのが、すばらしいところ。

中で、不時着した(?)宇宙飛行士の世話をするアラブ系女性が、
とてもサンパ。
彼女、マダム・アミダを演じるTassadit Mandi は、
映画の中でも現実でも、アルジェリア系。
そして彼女は、『アイシャ』シリーズの中では、
ゲイの息子を持った、
どちらかというと意固地な母親を演じていたのですが、
今回は、その優しさが全開しています。

1:08:57 のところ=自分の息子がゲイだと知って驚く場面
https://www.youtube.com/watch?v=-BawMiXNdU0


2017年6月2日金曜日

『ドイツ三〇〇諸侯  一千年の興亡』

昨日から読み始めたのが、これ。

『ドイツ三〇〇諸侯  一千年の興亡』 (河出書房新社)

週に一度はランチをご一緒する大先輩、
Mr. ハプスブルクこと、菊池先生の新刊です。
菊池先生らしい、バランス感覚のいい、
そして読みやすい文章です。
具体的なもろもろの面白さもさることながら、
要所にピリッと挟まるコメントから、
「物を見る角度」の勉強になっています。
アナ―二事件からアヴィニョン捕囚の背後にいた、
フィリップ4世も登場します。

「21世紀の左派のマニフェスト」

これは興味深いです。

https://news.yahoo.co.jp/byline/bradymikako/20170531-00071556/

読もう読もうよ思って、まだ読んでないんですが、
このブレイディみかこさんの本、
読んでみたいと思います。

2017年5月30日火曜日

palmarès

日曜日に、ダイアン・クルーガー主演の新作について触れましたが、
その作品で、
彼女がカンヌの主演女優賞をゲットしましたね。
これは、さらに期待が高まります。
ドイツを舞台にした「移民映画」としては、
代表的な1本になる予感がします。
(見てないのに!)

また、パルムドールのスウェーデン映画、The square。
これは情報が少ないのですが、
「寛容と連帯」というテーマの企画展を開催しようとしていた、
現代美術を扱うキュレーターが、
彼のケータイを盗まれたことで、
企画展そのものの開催が危ぶまれる……
みたいな話のようですが、
ちょっとよくわかりません。
でも、まずはおもしろそう。
こちらも楽しみです。


2017年5月28日日曜日

『男として死ぬ』

年老いたトランスジェンダーが、
「男として死ぬ」ことを考えるお話。

http://eufilmdays.jp/ja/films/2017/to-die-like-a-man/

https://www.youtube.com/watch?v=63WMokj1kKs  ←予告編

2009年の作品ですが、
わたしは不勉強で見たことがありません。
この監督の作品、おもしろそうなので、
見てみたいと思います。
去年、東京映画祭で上映された『鳥類学者』が最新作で、
今のところ、長編は5作ですね。

Cannes 2017 Ⅱ

ダイアン・クルーガーが、
初めて母語であるドイツ語で出演するという作品、
これが、とても気になります。

https://www.youtube.com/watch?v=BKBqOE3WNu0

https://www.youtube.com/watch?v=5r7NBwFMFa0  ←インタヴューも

ハンブルグ。
テロが起こり、
彼女は夫と幼い息子を失います。
これは誰の犯行なのか?
この夫が、かつて麻薬の売人だったため、
当初警察は、トルコ系とクルド人系のマフィアを疑いますが、
実は、犯人はネオナチでした。が、
証拠不十分で犯人は釈放。
彼女は、復讐を決意し……
ということのようです。
(見てないので、RFIの紹介の受け売りです。)

監督はFatih Akin 。
注目の人です。


2017年5月27日土曜日

Cannes 2017


Reuters の写真から。
とにかく、「役」がないと始まりませんからね。

2017年5月26日金曜日

『今日の宿題』

こんなのが出ました。

http://bookandbeer.com/news/shukudaib/

わたしも末席に加えてもらったのですが、
ゲラで、ほかの方々の「宿題」を(部分的にですが)読ませてもらって、
これがなかなかおもしろかったです。


2017年5月25日木曜日

19連勝

将棋の話題が「世間」に注目されているようです。
若き藤井四段の、19連勝ですね。

今回彼が勝ったのは、この戦い。


トーナメントですから、
実際竜王に挑戦するためには、
あと6勝しなければなりません。
しかも、後半はトップ棋士が控えています。

ただ、モト将棋部で、
モバゲー将棋で1600点台をキープしているもの
(がどれくらいなのか? わかりにくい!)
としては、
ただ勝った負けただけでは、
あまりおもしろくない。
居飛車党の藤井四段が、
どんな「世界観」を持っているのかを感じたい。
でもまた同時に、
ほんとにそれを感じられるのは、
わたしなどでは到底無理で……。

ちなみにプロ棋士としては、
一度だけ対戦した
(と言っても、いわゆる10面指しで、
もちろんこちらは10人のうちの1人。
もちろんあっさり負けました。)
ことのある、
鈴木大介九段押しです。

2017年5月24日水曜日

新しい帯、登場!


新しい帯、
なかなか立派なやつを作っていただきました!

https://twitter.com/hakusuisha/status/867239596861530113

それにしても、「たぶん」て……
(こういうところが、白水社っていいですよね💛

今後とも、どうぞ可愛がってやってください!

2017年5月23日火曜日

インドネシア

このニュース、
見出しだけ見ると、
インドネシアは同性愛に冷たい国なのかと思ってしまいます。

http://www.asahi.com/articles/ASK5K4V09K5KUHBI019.html

でも、
記事の中でもちゃんと触れられている通り、
インドネシアでは、アチェ州以外のすべての州で、
同性愛は合法です。
で、そうれはそうなんだけど、
それでも同性愛者への抑圧が強まりつつある、
ということなんですね。
(イスラム的には、同性による「行為」は禁じられていますが、
愛そのものが禁じられているわけではないそうです。)

http://www.parismatch.com/Actu/International/Indonesie-141-hommes-arretes-lors-d-une-fete-gay-1264223


「冗談だよ!」

vanne という単語、
これはロワイヤルを見ても、
仏和大辞典を引いても、
「悪口」「嫌味」などとしか書かれていないのですが、
wikitionnaire を見ると、それ以外に、

(Familier) Plaisanterie.

と書かれています。
くだけた表現で、「冗談」だということになります。

今日、授業で『最強のふたり』を見ていて、何度も、

C'est une vanne ! (「冗談だよ!」)

という表現が出てきました。
ま、そういうことですね。

2017年5月20日土曜日

リバティー@駿河台(2)

先週と今週の土曜は、
駿河台キャンパスのアカデミーコモン(という建物)で、
「フランス体験講座」
の中の、
わたしの担当日でした。
まあ、話はいつもの内容なんですが、
それでも少しずつは変化があります。

その一つが、授業で使うプリント。
たとえばこの頃は、


とか、

など、
映画のカットを並べたプリントを配布し、
それを見ながら話してゆきます。
もちろん映画も見るのですが、
映像は、見終わると目の前にはないので、
こうして複数の(えいがてき)時間が並んでいるほうが、
理解しやすいだろうというわけです。

とはいえこの方法は、
実は、若き同僚の先生に教えてもらったもので、
試してみたら、たしかにイイのでした。
ほんとにこの頃は、
若い世代から学ぶ日々です!

男たちが

男たちが占拠しているのは、
ラ・シャペル駅の北側、
パジョル通りがさらに北へ、
あのヒンドゥーのお寺がある方向に伸びるあたりです。

http://www.leparisien.fr/paris-75018/harcelement-les-femmes-chassees-des-rues-dans-le-quartier-chapelle-pajol-18-05-2017-6961779.php

C'est pas bien, ça.



2017年5月17日水曜日

chocolat !

Cho-Cho-Cho-Chocolat !

https://www.youtube.com/watch?v=NuXaPB_KWg8


T'es rentrée dans ma vie comme dans un freestyle
T'as voulu qu'on s'évade comme Bonnie & Clyde
J'ai voulu percer ton coeur en titane
J'ai vite compris que j'n'étais pas de taille
Baby, alors ? On va où ? On fait quoi ?
On s'enfuie, loin d'ici, on y va

On est si différent c'est ce qui nous attire
Bang, bang, bang! Autour ça tire
Viens avec moi si t'es prête a partir
J'veux pas rester là ils veulent nous asservir
Baby, alors ? On va où ? On fait quoi ?
On s'enfuie, loin d'ici, on y va

Elle est sexy raffinée (Sexy raffinée)
Elle est sexy raffinée (Sexy raffinée)
Elle est sexy raffinée (Sexy raffinée)
Chocolat, Cho-Cho-Cho-Chocolat
Cho-Cho-Cho-Chocolat
Cho-Cho-Cho-Chocolat
Cho-Cho-Cho-Chocolat
Cho-Cho-Cho

Cette go m'a tué (Tué)
Assassiné (Tué)
Sexy raffinée (Tué)
Comme dans les films au ciné (Tué)

Ce gars m'a tuée (Tué)
Assassinée (Tué)
Oui j'ai succombé (Tué)
Comme dans les films au ciné (Tué)
Cho-Cho-Cho-Chocolat, Chocolat
Cho-Cho-Cho-Chocolat, Chocolat

[Awa Imani]
Je l'ai cru, quand ses yeux se sont posés sur moi
Il m'a eue (ooh), mais je n'ose pas lui dire qu'il compte pour moi
Je l'avoue (ooh), qu'il en faut plus pour partir avec moi
Même si au fond je le veux (Eeh)
Prends les devant et fais-moi rêver

Oui j'ai ré-uni toutes mes affaires
On va où ? On fait quoi ? On s'enfuie
On s'en va sans pour autant tout foutre en l'air
Une voix me dit non n'y va pas
D'un côte j ai peur d'me tromper sur lui
Mais d'un autre je sais qu'il m'a conquise
Bon on y va
Si ça va pas je m'en mordrai les doigts 

2017年5月14日日曜日

hiphop なら

今、
Booba のことを書いて思い出しましたが、
通勤中など、
hiphop が聞きたくなると、
わたしはこのラジオ、Mouv' を聞いています。

http://www.mouv.fr/player

選曲がいい、とわたしは思います。
ざっくり言って、半分くらいは英語の曲ですが、
もちろん、残りの半分はフランス語の曲です。
(時々ニュースなんかも入ります。)

Le slalom exceptionnel de Benzema

ベンゼマの3人抜き、
すごかったですね。

https://www.youtube.com/watch?v=8svvqx06KFQ

そしてこのベンゼマの大ファンとして知られる、ラッパーのBooba。
彼は、自分のヴィデオクリップの中でも、
背中に BENZAMA と書かれたユニフォームを着ていたりします。

https://www.youtube.com/watch?v=IWftfp5cLCk  
← たとえば26秒あたり。ま、ずっと着てるんですが。

で、このBooba が、
今回のベンゼマのプレーに関して挙げた、
何とも言えないインスタがあるんですが、
なんとベンゼマ本人が、
このインスタに<like>を送ったので、
急に話題になっているようです。
こんな画像です。

https://fr.sports.yahoo.com/news/booba-se-moque-de-deschamps-giroud-et-valls-benzema-like-065640876.html

抜かれた3人の選手の顔が、
フランス・チームのデシャン監督、
エマニュエル・ヴァルス、
そしてジルー、
に代えられています。
まあ、デシャン監督は、
スキャンダルのあったベンゼマを、
代表チームに招集しないようなんですが、
まあ、それが関係ないとはどうしても言えない、でしょうね。

ペストとコレラ

今日は、
リバティー・アカデミー(駿河台校舎)で、
「パリ」について話しました。
まあ、いつものネタと、
大統領選挙に関する話題でした。

で、
今日会ったフランス語の先生から聞いて知ったのですが、
フランス語に、
「ペストとコレラからは選べない」
という表現があるそうです。
どちらに投票するの? と訊いたら、
こんな返事が返ってきたと。
なかなか強烈な表現ですね。

https://fr.wiktionary.org/wiki/choisir_entre_la_peste_et_le_chol%C3%A9ra

2017年5月12日金曜日

トッド

これはどうじても見ないと。
土曜です。

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/2779244/index.html

2017年5月9日火曜日

10万部突破!!


昨日、白水社から、

『フラ語入門』がついに、10万部を突破した!

というお知らせがありました。
Mmmm...
この本が発売された2003年、
(つまり14年がかりの10万部、ということですね)
そういう数字は考えたこともなかったですが、
まあとにかく、嬉しいというか、ありがたいというか……
使っていただいているみなさまに、しみじみ感謝。
Merci infiniment !

で、白水社からはご褒美(?)として、
この偉業(!)を入れ込んだ、
新しい帯(←本の下のほうに巻いてあるやつ)を、
作ってもらえるようです。
楽しみです!


そして思い出されるのは、
この「フラ語シリーズ」の生みの親であり、
シリーズ5冊すべてを担当してくれたタケちゃんのこと。

http://tomo-524.blogspot.jp/2010/05/salut-take-chan.html

このブログの日付が、2010年の5月8日。
つまり、それからぴったり7年経った昨日、
今回の知らせが届いたことになります。
ああ、なんと、
タケちゃんが天国から知らせてくれたような気がしてきました。
(こういう言い方はあまり好きじゃないんですが、
でもやっぱり、そう思えてしまいます)。

ほんとはこっちから報告するところなのに、
まさかそっちから知らせてくるとはね!
……タケちゃんと、一杯やりたいです。
Tu me manques énormément...

2017年5月8日月曜日

Je lève ma voix...

わたしにとっては好きな指揮者の一人である、
グスタボ・ドゥダメル。
彼の祖国であるベネズエラは、
この1か月ほど(というか、この数年)混乱が続いています。
もう、死者が22人に達したとかで、
しかも解決の気配がありません。

そもそもベネズエラは石油国家で、
以前石油が高値だった頃は、
その石油マネーにものを言わせ、
なにからなにまでどんどん輸入して、
国民の生活水準も上がったと言われています。
ただその間、
「貯金」をせず、
また国内産業を育てようともしなかった、
だから、
一旦石油が値崩れすると、
一気に経済が落ち込み、
輸入量が減り、
国内産物はあまりないので、
いきなり物不足&インフレが起こり、
ついには必需品は配給になり……
そしてそんな状態が長引き、
しかも政府は独裁色を強め、
とうとう大規模なデモに発展している、のでした。

で、ドゥダメルですが、
実は彼は、こんな政府を応援していて、
それが、ベネズエラ国民の批判を受けてきました。
明らかに政府寄りのコンサートに出たりして。
でも、
今回のデモで、
彼が率いる若手オーケストラのヴァイオリニストが亡くなり、
ついに彼も、
政府批判の声を上げました。
それが、これです。

https://www.equaltimes.org/je-leve-ma-voix-lettre-ouverte-de?lang=en#.WRAfMIVOJ9B

早く落ち着くことを祈るばかりです。

そして

選挙結果。

https://www.nytimes.com/interactive/2017/05/07/world/europe/france-election-results-maps.html?_r=0

そしてこれも。

https://news.yahoo.co.jp/byline/yamaguchikazuomi/20170506-00070683/

2017年5月7日日曜日

『となりのイスラム』

GWもついに終わり。
明日からはまた授業なんですが、
ここ数日、レポート読みに時間をかけています。
今、レポートはすべてネットを通して提出するので、
締め切りをたとえば「5月5日」に設定すれば、
休日でもレポートは集まってきます。

今回のブック・レポートの課題は、

『となりのイスラム』  内藤正典、ミシマ社

です。
以前は、池上彰『大人も子供もわかるイスラムの大疑問』を
指定していたのですが、
やや話題が古くなったので、
去年出たばかりのこちらに変更しました。
もちろん、いい本であることは言うまでもありません。
ちゃんと読んでくれた学生は、
とてもいい「発見」をしてくれていると思います。

推薦します!

2017年5月6日土曜日

GW


GW中盤に、
誘われて行ったBBQ。
山間のキャンプ場は、
気持ちのいい風が……

2017年5月4日木曜日

Khamsa

以前、「マルセイユ映画」

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/07/blog-post_24.html

の1本として、
Bye-Bye というフィルムを見ました。
いい作品でした。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/07/bye-bye.html

で今日は、このBye-Bye の監督である、
Karim Dridi の別の作品を見てみました。

Khamsa

です。
タイトルの khamsa というのは、
「ファティマの手」の別名で、
ここでは、
いつもこのペンダントを首から提げているジプシーの少年、マルコの、
あだ名でもあります。
そしてこのネックレスは、
アルジェリア系だった母の形見です。
結論から言うと、
とてもよかったです。

https://www.youtube.com/watch?v=tLR86VRTfrM ←全編版

https://www.youtube.com/watch?v=7MnYmZWy45M ←予告編

11歳のマルコは、
預けられていた家を逃げ出し、
生まれ育ったジプシーのキャンプ
(Marseille の北、Ruisseau Mirabeauにほんとにあります)
に戻ってきます。
でも、自堕落な父親(シモン・アブカリアン)は、
若い愛人といちゃつくばかりで、
マルコに何もしてやりません。
住むところさえ用意する気はない。
また、義母を訪ねるも、
男が愛人を出て行った今、
男の息子なんて顔も見たくない、
と追い払われてしまいます。
別の家で暮らす病気のおばあちゃんも、
ほとんど意識がなく、
マルコにはもう行き場がありません。
そんな彼を泊まらせてくれたのは、
いとこで小人のトニーだけ。
こうしてマルコは、
トニーのキャンピング・カーに住むのですが、
一方では、ジプシー仲間で幼馴染のコヨーテ、
近くのシテに住むアラブ系のRachitique たちと、
かっぱらいや空き巣狙いを繰り返します。
でも、
そんな生活が長く続くはずもなく……

主人公たちが住むジプシーのキャンプは、
こんな感じ。
(写真をクリックで拡大)


左手には太い自動車道(A55)が走り、
右手奥には海が見えています。
場所は、ここです。(Place des Ferrailleurs)

https://www.google.co.jp/maps/place/Chemin+du+Ruisseau+Mirabeau,+Marseille,+%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9/@43.3499469,5.3448699,3a,75y,45.71h,87.6t/data=!3m7!1e1!3m5!1sQEHKyENu-eY2Tk-RgjiiWA!2e0!6s%2F%2Fgeo2.ggpht.com%2Fcbk%3Fpanoid%3DQEHKyENu-eY2Tk-RgjiiWA%26output%3Dthumbnail%26cb_client%3Dmaps_sv.tactile.gps%26thumb%3D2%26w%3D203%26h%3D100%26yaw%3D12.491505%26pitch%3D0%26thumbfov%3D100!7i13312!8i6656!4m5!3m4!1s0x12c9c1d2796d7957:0x2b6772cbb3cfbe6e!8m2!3d43.350331!4d5.34926

マルセイユ、
奥が深いです。

2017年5月2日火曜日

ドバイ・フォント

http://www.bbc.com/news/business-39767990

マイクロソフトが、ドバイ・フォントを発表、
というニュース。
ラテン文字と、アラビア文字。
マイクロソフト・フォント持った最初の都市、って、
ちょっとうらやましいような。

2017年4月28日金曜日

2つの Les Halles

レ・アールが、
6年の改装工事を終え、
約1年前に新装オープンしたのは記憶に新しいところです。
まだ見てないわたしにとっては、
今後行くのが楽しみな場所です。
canapée と名付けられたガラスの天蓋も見たいし。

http://ovninavi.com/%E6%96%B0%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%80%81%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%80%82/

なにしろレ・アールは、
パリの臍ですから。

今日、

La vie au ranch(2010)

https://www.youtube.com/watch?v=x03hN0VSEvQ

という映画を見たのは、
ただ一点、
あの Paris

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/03/paris-6-episodes.html

でトランスジェンダー役を演じていた、
Sarah Jane Sauvegrain が見たかったからです。
映画は、
元気で裕福な若者たちの、
お気楽でイケイケの「青春」を描いていて、
2010年作とは思えない古めかしさで、
まあ、特にどうということはなかったのですが、
Sarah(パメラという女性を演じています)が友達を住んでいるのが、
Place Maurice Quintin(モールス・カンタン広場)の目の前のアパルトです。
この広場は、
レ・アールの北側の入り口、
Porte du Pont Neuf を半円形に取り囲むように広がっています。

で、Google Map で見てみたら、
小さな面白いことが起こりました。
この辺りには2本の、
ごく近接したストリート・ヴューのラインがあり、
それが、はっきり時代違いなのです。
つまり、古いほう、つまり工事前のレ・アールが見えるほうが、これ。

https://www.google.co.jp/maps/@48.8611125,2.3449155,3a,75y,34.55h,93.74t/data=!3m6!1e1!3m4!1sZzm7pwowBeucrQMJcH_KTQ!2e0!7i13312!8i6656



そして新しいほう、工事中のが、これ。


https://www.google.co.jp/maps/@48.8612754,2.3449963,3a,75y,36.82h,92.34t/data=!3m6!1e1!3m4!1siDF8vyLrjDpxQBF-jxieAg!2e0!7i13312!8i6656

Google Map も時間が経ち、
年代を設定して見られるようになれば
(というか、なるのでしょうけど)
さらに研究しやすくなるし、
なんといってもおもしろい!
(100年後、200年後の人も、
この画像を見ることになるのでしょう……)

GWにお勉強

以前も書いた気がしますが、
もう一度。

Journal en français facile  (やさしいフランス語ニュース)

https://savoirs.rfi.fr/fr/apprendre-enseigner/langue-francaise/journal-en-francais-facile

は、RFI(エレフィ←エール/エフ/イをアンシェヌマンで)
が提供するニュースです。
10分ほどの短いニュースナンスが、
これ、一聴すると、
そんなに「やさしい」わけじゃありません!
でも、RFI の通常放送に比べると、
明らかにわかりやすい。
語彙や表現が限定されているから、なんでしょう。
スピードも、人によっては、
あきらかにゆっくりめにしゃべっていたり。
(人によっては、まったくノーマル。)

そしてこのニュースの最大のメリットは、
トランスクリプションが付いていること。
(それぞれの日の、マイクの画像をクリック)
わからなかったところを、
目で確かめられるんですね。

毎日更新されます。
GWの勉強に!

第2回へ

さっき見たフランスのニュースによると、
第1回でメランションに投票した人は、
第2回に……

マクロンに投票 45%
ルペンに投票   16%
棄権        39%

この、16%の人たちは、
左端から右端に乗り換えるわけです。
そこにある共通点は……

2017年4月24日月曜日

Monsieur "et en même temps"

というわけで、
まあ、予想通りの二人が、
finalistes になったわけですが……

日本の新聞、テレビ、
またそれらを引っ張ってきただけのネットニュース、
そのどれを見ても、
違和感があります。
いろいろありますが、
一番目立つのは、
<グローバリズム=善>という視点からの解説です。
マリーヌは、
わたしは反グローバリズムだ、
と言っているわけで、
それを<G=善>という視点から切れば、
結論は見えています。
マクロンを批判している人たちは、
彼を(浅い感じの)グローバリストだ、と指摘しているわけです、
もちろんマイナスの意味で。
にもかかわらず、日本では、
彼はエリートで、高収入で、史上一番若くて、弁舌巧み、
だと紹介します。
たしかに(弁舌以外は)そうでもあるでしょう。
でも、そんな表面的なことでいいのでしょうか?
言葉を換えれば、
大企業寄りで、
経済のこと以外思想はなく、
庶民感覚からはるかに遠い人物、
とも言えるわけです。
そしてついたあだ名が、
Monsieur "et en même temps"
(ミスター<そしてそれと同時に>
→ミスター<どっちやねん!>とも訳せそう。)
あることを言った後に、
「そしてそれと同時に……」
と言いながら、それまでとは矛盾することを言うのが得意だというわけです。
言葉が軽い人、ということですね。

マリーヌとトランプは、
たしかに比較したくなるけれど、
やっぱりずいぶん違いもあります。
マリーヌはあんなにウソつきじゃないし。
それに、極右と言われますが、
まあ、自民党程度だとも言えるでしょう。

日本のメディアの浅さが、
実感されるのでした。
(残念!)

2017年4月23日日曜日

3本

『パリ警視庁:未成年保護部隊』の監督、マイウェンの、
見てなかった2つの監督作を見てみました。

Pardonnez-moi (2006)
Le Bal des actrices (2009)

https://www.youtube.com/watch?v=0GqtBI1kyqo
https://www.youtube.com/watch?v=u_Id_AHibv0

前者は、実質的なデビュー作。
母親や父親との関係を描きます。
また後者は、
カリン・ヴィアールやマリナ・フォイス、
さらにはあのシャルロット・ランプリングなど、
何人もの女優たちの仕事とプライベートを追ったものです。

両作ともに共通した点は、
まず、ヒロインであるマイウェンが、
さまざまなことをカメラで撮り続けることが、
タイム・ラインになっているということ。
そして、そうして撮っている彼女自身も映されていること、
また、要所に俳優が配置されることで、
どこまで現実でどこからが虚構か、
まったくわからなくなっていること、です。
後者の女優たちは、
みな本人役で出ているわけですが、
その夫は役者が演じていたり。
まあ、メタ構造とも言えるのでしょう。

そしてついでに(?)もう1本、
これは戦争映画の、

『レバノン』(2009)

も見てみました。
1982年の、レバノン戦争開戦の第1日を、
イスラエル兵の視点から描いているのですが、
実はこの兵士たちは、
映画の時間ずっと、
戦車から出ることはありません。
戦闘中の外界は、すべて、
戦車の照準越しに提示されます。

https://www.youtube.com/watch?v=AUDCp-Spuog

評価が高いようですが、
たしかに、娯楽性を追求せず、
兵士の煩悶と閉塞感をうまくとらえていると感じました。

途中、ファランヘ党の兵士として現れた男は、
アシュラフ・バルフムが演じていました。
(『シリアの花嫁』では、ナンパなあんちゃん役、
Héritage では弁護士役でした。)

2017年4月22日土曜日

Champs-Elysées

シャン・ゼリゼでのテロ。
しかも、選挙直前というタイミング。

この事件で、
得票数を増やす候補者がいるとすれば、それは、
ふつうに考えて、
マリーヌということになるのでしょう。
それを、IS がわからないとも思えない。
となると、
IS は彼女を当選させたがっていて、
自分たちとの対決姿勢を強めてもらって、
でも自分たちは(少なくとも簡単には)負けないし、
一方フランスの分断は深まり、
国民は疲弊し、
ひいてはヨーロッパも疲弊する……
これが、IS の考えていることだとしたら、
やっぱり、とてもイヤな感じです。

文藝春秋のインタヴューを読むと、
マリーヌは、
トランプと違って、
(思想的には共鳴できませんが)
そんなに変な人でも変わった人でもない印象があります。
でも、やっぱり、
マリーヌに勝って欲しいとは思えません。

最後の5行

これはびっくり。
朝日(東京版)で読んでいて、
とても印象に残っていたのですが、
こんなオチがあるとは。

https://twitter.com/asunokaori/status/855211138778136577

2017年4月20日木曜日

Babysitting & Babysitting 2

英語題のフランス映画、

Babysitting & Babysitting 2
(『真夜中のパリでヒャッハー!』
 『世界の果てまでヒャッハー!』)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=ysvDWlq84zE

それなりに笑いはあります。
(どちらか言えば、『真夜中』のほうが面白いです。)
そして両作とも、メインになる事件が、
現場に残されたカメラに録画されている、
そしてそれを、
警察官たちが見る、
という形で進むところに新奇さがあります。
ただ、
新奇ではありますが、
これはいわば、
すべてが回想シーンとして語られていることでもありますから、
その点では、
作劇の上、やや安易だという気もします。
この物語を、
時間軸に沿って作るほうが、
はるかに大変でしょうから。
また、さまざまな民族や人種に対しての、
冗談としての差別表現がふんだんに出てきます。
ただ、ヨーロッパ系白人に対するそれが少ないのは、
やはり問題でしょう。
特に『世界の果て』における、
黒人に対する表現は、いただけません。
白人に対して、
その優しさや失敗が細かく描かれているのに対して、
黒人に対しては、
きわめて類型的で、
大雑把な表現にとどまっています。

2017年4月18日火曜日

French Kiss

一昨日、
中野キャンパスの購買部で、
お茶を買っているとき流れていた、この曲。

https://www.youtube.com/watch?v=3-GVRJr72LU

カワイイ!

それにしても、
フランス語の歌が流れているなんて、
珍しいことでした。

『オマールの壁』

見たかった映画、
『オマールの壁』
のDVDが出たので、見てみました。
(原題は『オマール』)

https://www.youtube.com/watch?v=y5-lZMtHCSo

イスラエルの、
パレスチナ自治区を取り囲む、いわゆる「分離壁」。
その内側に住むオマールには、
その側に暮らす恋人ナディアがいます。
そして彼女の兄タレクとオマール、そして幼馴染のアムジャドは、
パレスチナ解放運動を進める同志でもあります。
ある日この3人は、
夜闇に乗じて、
一人のイスラエル兵を射殺します。
そして、
(密告があり)
オマールは捕まり、
一生獄中で暮らすか、
スパイになるかを迫られます……

<以下、ビミョーにネタバレします>
いい映画だとは思うのです。
ただ、息苦しい。
社会の歪みと、
人間存在の根底にある歪みが、
ともに露出しているから、なのでしょう。
誠意や愛情もたしかにあります。
でもそれらは、
いわば、抹殺されてしまいます。
評判の良かった『パラダイス・ナウ』も、
実はわたしは、
息苦しかった記憶があります。
もちろん、敢えてそうしているのでしょうし、
そういう作品もあっていいとは思いますが、。

2017年4月15日土曜日

1週間

大学院、そして大学の、さらにはリバティーの授業が始まり、
また昨日は今年度最初の「会議日」をこなし、
これでわたしにとっての今年の<一週間>が出揃いました。

で昨日は、恒例の4つの会議の後、
新任の先生たちを囲む会が、
大学近くの洋風居酒屋で行われました。
文系の教員は、
わたしを入れて二人だけで、
あとは全員理系の先生たちだったんですが、
なんといっても同じ大学所属ですから、
話しはいくらでもあって、
なかなか盛り上がりました。

新任の先生たちは、若くて、
「全力で」がんばります、という言葉も、
初々しくて、いい感じ💛でした。
春は、気持ちがリセットされていいですね。


2017年4月13日木曜日

Les Petits Princes

Les Petits Princes、と言っても、
星の王子様たち、じゃありません。
2013年公開の映画です。

https://www.youtube.com/watch?v=1mLBVZsCxR0

サッカーの大きな才能に恵まれた、16歳のJB。
彼は有力クラブの、育成センターに入れることになりました。
が、
実は彼は、心臓に問題を抱えていて、
医者から、激しい運動はしないように、と指示されています。
これがバレたら、
もちろんセンターには入れません。
JBは偽の書類をでっちあげて、提出します。
彼には、サッカーしかなかったからです……。
センターには、
さまざまな出自の同輩たちがいて、
たがいにライヴァルとして張り合っています。
ただその中でも、
JBの才能は抜きんでており、
それを見込んだコーチ(レダ・カテブ)は彼に、
(監督に知られないように)
特別練習を受けさせます。
やがてJBはキャプテンとして、
大事な試合に臨みますが、その試合中に……
というお話。

丁寧に作られていて、
感じのいい小品だと感じました。
JBのカノジョになる少女も、
堂々としていて感じがよかったです。

Jean-Luc Mélenchon

「フランスのバーニー・サンダース」
とも言われる、Jean-Luc Mélenchon.
どこまで行けるのでしょう。

http://melenchon.fr/2017/03/18/defile-6e-republique-18-mars-a-paris/

やっぱり、レピュブリック広場ですね。

2017年4月12日水曜日

さくらばな

今日は、
大学での「フランス語の授業」の初日。
しかも、リバティー・アカデミーの初日でもありました。
いい天気だったし、
快調な滑り出し!(たぶん)

そして生田キャンパスでは、
まだまだ桜が咲いています。


さくらばな陽に泡立つを目守りゐる
この冥き遊星に人と生まれて          (山中智恵子)


「目守りゐる」は「まもりゐる」。
「冥き」は「くらき」。

そういえば昨日、
青森出身だという学生が、
「生田のさくらはヴォリュームが足りない、
わたしの地元のさくらに比べると」
と言っていましたが、
それが本当なら、
どんなに「泡立」っていることでしょう。

2017年4月10日月曜日

体育の時間(?)


でもそれじゃ走れないでしょ!

授業開始

さて今日から、
2017年度の授業開始です。
赤飯を食べるわけでもありませんが、
(昼は丸亀うどんだったし)
また新年度のスタートです。

今日、月曜の授業は、
今年から中野キャンパスでの大学院の授業です。
おお、そうだ、ということは、
総合芸術系も、めでたく今日から授業が始まったことになります。
(パチパチパチ!)

今日の授業は、「映画と都市」。
わたしにとっては、今は、一番好きなテーマです。
都市計画を専門にしている理系の院生も二人いたので、
まず今日は、文系的な語彙の確認から。
民族とか、人種とか、ユダヤ人とか。
(ついでに、トランプ大統領以降の、
アメリカのイスラエル政策の変化も。)
院の授業なので、あまり手加減しませんが、
やはり理系と文系では、
ベースになる知識が違うのは、
ある程度仕方ないのでしょう。
ぜひこの授業で、
いいバランスにして欲しいと思います。

明日は生田キャンパスでの始動です。

2017年4月9日日曜日

大統領候補者 Tシャツ


フランス大統領選まであと2週間ほど。
エマニュエル・マクロンとマリーヌの優位は動きませんが、
最近は、メランションが支持ポイントを上げつつあるようです。

上の画像は、半年くらい前の、
あのシャルリ・エブドの表紙です。
右なの左なの? でもあんた誰なの、エマニュエル?
というわけです。
もちろんこのポーズは、
エマニュエル夫人のそれですね。
(日本には、こんなことをするシャルリのような雑誌はないわけですね、
今更ですが。)

で、候補者たちのセリフ入りのTシャツです。

https://wanted.the-shop.co/fr/

売れるの!?

2017年4月8日土曜日

Americano ~I'm so tired of you, America.

アニエス・ヴァルダを母に、
ジャック・ドゥミを父に持つ、
マチュー・ドゥミ。
彼にとって唯一の監督(&主演)映画である、

Americano (2011)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=Y5dMvHrnhbY

パリで恋人と暮らすマルタン。
ある夜更け、カリフォルニアから電話があります、
彼の母親が亡くなったというのです。
彼は、幼いころに3年間、アメリカで母と暮らし、
その後フランスから父親が迎えに来た時、
母はあっさりと、彼を父親に託しました。
だから彼は、自分は母に愛されていない、と思って育ちました。
でも、
いざカリフォルニアに着くと、
当時の記憶の断片がいろいろ浮かび上がってきます。
そんな中、
自分も子供時代に遊んだことがあり、
その後もずっと母親と仲良くしていた女性、
ローラの存在を知ります。
母は彼女にこそ、
小さな家を相続させるつもりだったのです。
ただしローラは不法移民(メキシコ人)であるため、
今はメキシコの、ティフアナにいるといいます。
で、
マルタンはローラを探しに、その国境の街に出かけてゆきます。

ローラは、そうとうヤバイ地区の、
それもどん詰まりのキャバレーで、
ダンサーとして働いていました。
でも彼女は、
彼の母親の話を一切したがりません。
そしてやがて、その理由が判明し……

とこの後の展開が、
おもしろいと言えばおもしろい、
でも、
かなりあざとい感じがあるのは否めません。
この辺りが、
監督として作品を発表し続けていない理由なのでしょうか。

この作品は、全体としては監督の手が見えすぎるのですが、
グッと引き込まれる個所もいくつかあります。
その一つが、
ローラがキャバレーで歌う場面。

https://www.youtube.com/watch?v=YoOr6okPJ0U

おお、これは、
モントリオール育ちのルーファス・ウェインライの、
Going to a town
です。

https://www.youtube.com/watch?v=o2wKv-c53vQ

この歌には、印象的なフレーズが。

I'm going to a town that has already been burnt down
I'm going to a place that has already been disgraced
I'm gonna see some folks who have already been let down
I'm so tired of America

(……)

I'm so tired of you, America.

Tell me, do you really think you go to hell for having loved ?
Tell me, enough of thinking everything that you've done is good
I really need to know, after soaking the body of Jesus Christ in blood
I'm so tired of America.

I really need to know
I may just never see you again, or might as well
You took advantage of a world that loved you well
I'm going to a town that has already been burnt down
I'm so tired of you, America

これを、
アメリカから追われ、
夢をあきらめ、
でも息子だけはアメリカに送り出そうと懸命に働く女性が、
キャバレーのステージで歌うのです。

この曲は、
最近では、リリー・アレンが、
ロンドンで行われた女性の権利のための行進のときに、歌いました。

https://www.youtube.com/watch?v=5NeqyLBHkCQ

でも、ふと、
America を、
別の国名で置き換えたくなる瞬間もあります。
(でも、そうは言いませんけど。)

桜は、
毎年井の頭公園のボートから眺めるのが習慣になっているのですが、
今年はどうも、
開花具合と天候のマッチングがビミョーで、
様子をうかがっていたのですが、
昨日の午後、
ついに行ってみました。
天気予報では、
多摩市、八王子市あたりは午後3時だけは「晴れ」でしたが、
武蔵野市はずっと「曇り」にだったので、
ちょっと不安でしたが。

でも、結局いい天気になりました!


桜は、9.5分咲き、くらいでしょうか。
見たからってどうということはないのですが、
新学期の授業前の、
ルーティーンというところです。
でも、
いいルーティーンでした。

2017年4月7日金曜日

La voie de l'ennemi

ここ数日、
Rachid Bouchareb のことを書いていますが、
今日も一本、彼の作品を見てみました。
最新作、ということになるのでしょう。

La voie de l'ennemi

https://www.youtube.com/watch?v=EHxQS3kTsEg

保安官補佐殺しによる、
18年の懲役を勤め上げ、
ついに出所した黒人のウイリー。
彼には、監視役の白人観察官がつきますが、
彼女は一見厳しいようで、
実は「信頼」をこそ重んじる誠実な女性です。
でも、
殺された補佐官とともにいた白人保安官は、
なんと5期も当選して今もその地位にあり、
ウイリーが幸福になるのを許すことができません。
また、
かつてのワル仲間で、
ウイリーが黙秘したおかげで収監を逃れた(おそらくはメキシコ系の)テレンスは、
今ではムスリムに転向し、
恋人もでき、
新たな人生を歩もうとしているウイリーに、
執拗に付きまとい、
ついには恋人に脅しをかけて……

やや重い映画で、
風景以外、
風が通る場面がほとんどありません。
印象に残ったのは、
観察官を演じるブレンダ・ブレッシン。
London river で主演した彼女もよかったですが、
ここでも存在感がありました。

もう一つだけ、やや屈折した印象を残したのが、
ウイリーと母親の関係です。
この母親は、息子が収監されていた18年間、
一度も面会に現れませんでした。
で、観察官の手配で、
この母子が再会する場面があるのですが、
この母親が、アイルランド系の白人だったのです。
白人の母親と、黒人の息子。
そこに父親の姿はありませんでしたが、
もともと母子家庭なのかもしれません。


ではせっかくなので(?)、
このブログに登場したRachid Bouchareb の作品をまとめておくことにします。

Hors-la-loi
http://tomo-524.blogspot.jp/2013/10/hors-la-loi.html

Little Sénégal
http://tomo-524.blogspot.jp/2011/04/little-senegal.html

Indigènes(『デイズ・オブ・グローリー』)
http://tomo-524.blogspot.jp/2010/01/indigenes.html

London River(『ロンドン・リバー』)
http://tomo-524.blogspot.jp/2014/04/london-river.html

Just like a woman
http://tomo-524.blogspot.jp/2017/04/just-like-woman.html

『ロンドン・リバー』は、
日本版が出ているので、
今年度の映画の授業で使うつもりです。

2017年4月6日木曜日

Omar Sy 新作へ!

つい数日前、
Rachid Bouchareb のJust a woman について触れました。
(思い出して考えるたび、いい映画だと感じています。)

で、
そのRachid Bouchareb の、かねてから予定されていた新作があるのですが、
ついに、その撮影が始まったようです。

http://www.programme-tv.net/news/cinema/112743-exclu-omar-sy-en-plein-tournage-a-paris-du-flic-de-belleville-photos/

驚きなのは、主演がOmar Sy であること。
というのも、実は、以前からずっと、
主演は Jamel Debbouze だとされていたからです。
このキャストの変更を、
わたしは今回初めて知ったのでした。

これは、期待するなというほうがムリですね!

2017年4月4日火曜日

ガイダンス

今日の東京はいい天気で、
先日の大学院に続いて、
理工学部のガイダンスがありました。
今年の1年生は、全部で約1100人。
それを午前と午後二部に分けて、
一番大きな階段教室でやります。
わたしも、
一般教育科目&外国語科目の説明のため、
参加しました。

といっても、
何単位取ればいいか、
といううようなことは、別に説明されるので、
わたしたちはもっと、
どうして教養科目が大事なのか?
というような、
いわば本質的な話をすることになっています。

持ち時間は10分。
で、
ポイントは2つに絞りました。
多様性とリテラシーです。
特に多様性については、
自分の中に多様性を育てる、みたいな話を、
言語の多様性や、文化の多様性・多層性と絡めて、
わりとマジでしてしまいました。

新入生の大半とは、
今日が一期一会。
何人かが、
何年後かに、
ちらりとでも思い出してくれれば!

2017年4月3日月曜日

「リヨンに漂う不安」

フランス大統領選挙まで、
あと3週間ほどですね。

http://globe.asahi.com/news/2017032500002.html

明日は、学部のほうの、新入生ガイダンス。
なにしろ1000人もいるので、
午前と午後の二部制です。
新入生たちと、初顔合わせです。


2017年4月1日土曜日

『その他の外国語 エトセトラ』

黒田龍之助さんの新しい文庫、

『その他の外国語 エトセトラ』

が出ました。
まあ、黒田さんの本ですから、
問題なくおもしろい&ためになる、のですが、
今回は、さらに特徴があります。

黒田さんは、かつて、
今わたしが所属している、
理工学部の総合文化教室の教員の一人でした。
で、その後フリーになられたのですが、
今回の文庫は、
彼が総文に在籍していたころに書かれたものがもとになっているので、
どうしても、
総文の他の先生たちも顔を出します。
しかも、解説を書いておられるのが、
ミスター・ハプスグルグ、菊池良男先生
(研究室は、わたしの研究室の隣の隣)
なんです。

語学をやっている、すべての方に推薦できる本です。

Just like a woman


わたしから見ると、
5歳年上に当たるRachid Bouchareb 監督。
彼の作品としては、

http://tomo-524.blogspot.jp/2014/04/london-river.html

などがあります。

その彼の、
2012年の年末にテレビで放送されたいわゆる téléfilm で、
のちにアメリカで劇場公開された作品、

Just like a woman

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=5TJth5Rfl9E

この作品は、全編英語(ときどきアラビア語)です。
(わたしはフランス語字幕で見ました。)
結論から言うと、
とてもよかったです💛

舞台はシカゴ。
小さなドラッグストアを経営している、アラブ系夫婦。
(夫はラシュディ・ゼム。英語を話しています。
これは、London River と同じ状況です。)
彼らには子供がなく、
同居している夫の母親は、
そのことについて息子の妻モナを責めます。
(この理不尽な責めに対して、
夫は妻を守り切れていません。)
一方、このドラッグストアの常連の一人に、
20代後半の女性、マリリンがいます。
彼女は、電話交換手として7年も働いてきたのに、
ある日、何の予告もなく、解雇されます。
で、怒りの内に帰宅すると、
失業中でグータラしている夫が、なんと浮気中。
しかも、「わたしたちのベッドで!」。
マリリンは速攻家出します。

ところでマリリンには、
目指しているものがありました。
ダンサーです。
それも、アラブ音楽に合わせて踊る、ベリー・ダンス。
で、レッスンを受けている先生から、
強く勧められていたオーディションを受ける決意をし、
その会場、サンタ・フェにクルマで向かいます。

その頃モナの家では、大変なことが起きていました。
夫の母親が、急死したのです。
でもその原因は、どうやら、
薬を用意したモナの不注意のよう。
決してわざとではないのですが、
こわくなったモナは、衝動的に家を飛び出します。
そして、モナとマリリンは……

アメリカの、
アラブ系の夫婦と、
ワーキングクラスの夫婦。
そのそれぞれの、夫と妻の関係。
そして、妻である女性同士の、連帯。
その背景には、アラブに対する偏見があり、
先住民がおり……というわけで、
たしかにシカゴが舞台なんですが、
その肌合い、
つまり、問題意識の所在や、社会を見る視線、
は、むしろ「フランス移民映画」的なものでした。

Rachid Bouchareb は、とてもいい監督だと思います。

新学期


今日から新学期。
今年度から開講する大学院、
建築・都市学専攻、総合芸術系でも、
ガイダンスという名の顔合わせが行われました。
(@中野キャンパス)
今年はわたしの研究室にも、N君が入りました。
彼は、戦後の日本映画を研究する予定です。
修士の2年間ありますが、実際はあっという間なので、
ゆっくり急いで欲しいです。
(Manon も応援しています!)

o-east

今日は、またしても冷たい雨の中、
渋谷の o-east まで、
岡崎体育のライブを見に行ってきました。

過剰なほどのサービス精神があり、
笑いも、もちろんイケテル音楽もありで、
なかなか楽しかったのですが、
彼の表現の中に、
PC的に?
という点が、
少なくとも2点はありました。
(1つはトーク、1つは即興の歌の歌詞。)
ビッグになって欲しいので、
こんなことでつまずかないことを祈っています。

関係者席のすぐ後ろだったのですが、
それはつまり、
エビ中のメンバーたちのすぐ後ろ、
という位置でした。

2017年3月29日水曜日

500 frères

日本での報道は(わたしは)見かけませんが、
フランスのニュースでは、
仏領ギアナでの大規模デモはかなりの話題です。
もちろん、大統領選挙への影響も。

そのデモで注目されているのが、
「500人の兄弟たち」。

https://www.youtube.com/watch?v=KtyBejE9DYM

本国に比べて、
犯罪は多いし、
失業は多い(若者は54%!)し、
何とかして、
というわけです。

ニュースと言えば、
パリ郊外で、
中国人の男性が、警官に射殺され、
中国系住民のデモが起こっています。
もっと安全を、というわけです。
そしてちょっと目を引いたのが、
中国政府が、
今回の事柄についてフランス政府に苦情を言ったこと。
ラジオを聞いていたら、
パリのアフリカ人の男性が、
オレの国の政府は何一つ言ってくれねえ!
と嘆いていました。
そうなんですね。

2017年3月28日火曜日

『クリムゾン・プロジェクト』

ドパルデューとジョーイ・スタールが共演する、
『クリムゾン・プロジェクト』(La marque des anges)を見たのですが……

印象的だったのは2点だけ。
まず、引退した刑事であるドパルデューが、
オランピアド広場に面した高層ビルに住んでいること。
(ただ、彼はベルヴィルの教会に所属していることになっています。
Possible ?)
2点目は、
Tellement proches で、
ベビーシッターの女子大学生を演じていた、
金髪でロン毛のLizzie Brocheré が、
ショートカットの弁護士役で出ていたこと。

映画は、ゴシックホラー的な仕掛けなんですが、
ちゃっちい感じで、残念でした。

『茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術』

昨日、
卒業式と学位授与式の間が、
ビミョーに2.5時間ほど空いてしまったので、
倉石先生に連れられて、
近代美術館で
「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」
を見てみました。

http://www.momat.go.jp/am/exhibition/raku/

茶碗なんて、ほんとに何もわからず、知らず、
はるか昔に吉左衛門展を見たかすかな記憶があるだけ。
で、
見始めても、
なにをどう見ていいかわからなかったのですが、
見ていると、
やっぱり好きな茶碗というものが出てくるから不思議です。


道入の茶碗です。
でも今調べてみると、
どうも有名なものらしく、
好きとか言うのが恐れ多いのですが。
とにかく、
やっぱり見てみるものですね。

ちなみに、
同僚の中には、
こういった方向(なんて言うと雑すぎるんですが)にも詳しい、
鞍田先生もいます。


そして近美のあと、
駿河台下でちょっとお茶。(というか寒かったのでココア)


壁から、
好きなカップを選ぶと、
それに入れて出してくれます。
この店も、
倉石さんの行きつけなのでした。

2017年3月26日日曜日

卒業式


というわけで、
武道館卒業式、
無事に終わりました。
卒業生のみなさんは、
おめでとうございました。
でもやっぱり冷たい雨だったので、
外に立って誘導する係の学生たちが大変そうでした。
お疲れ様でした。
(わたしは、スーツを一日来ているのが、
ちょっと疲れました。
スーツを着るのは、年に数回なので。)

夕方からは、
お茶の水で、
大学院生の学位授与式に。
こちらは10人ほどなので、
ふつうの教室で。

例年そうなのですが、
ここでは、先生たちが「贈る言葉」を一言しゃべります。
これがなかなかおもしろくて、
わたしも学生に帰った気持ちで聞いていました。
その1つのポイントは、
学び続けること。
修了しても、それはゼンゼン終わりじゃなくて、
これからも学び続けてください、ということです。
先生たちは、
最近読んだ本なども紹介したのですが、
それは、つまり、
学び続けているから。
卒業式しても学位を授与されても、
学ぶということに、終わりはないのですね。
(Kさん、上の画像、借りました!)

2017年3月25日土曜日

明日

明日は、卒業式です。
で、天気予報は、
一日中雨!
しかも寒い!
わたしも武道館まで行く予定なので、
ちょっとイヤなんですけど、
なんといっても、
袴や着物の卒業生たちがかわいそう!
なんとか、
曇りくらいで手を打ってもらえないでしょうか……?

2017年3月24日金曜日

『ラスト・ボディガード』

言ってしまえば、
ちょっとダサいだけでなく、
意味もずれているタイトルの映画、

『ラスト・ボディガード』(2015) ←フランス映画

を見てみました。
原題の Maryland は、
主人公であるボディーガードを雇う、
レバノン系フランス人の武器商人の、
広大な庭とプールのついた大邸宅のことです。

https://www.youtube.com/watch?v=wmDCzOcONlI

ヴァンサンは、
アフガニスタン紛争に参戦し、
精神的な傷を負っています。
その幻聴や眩暈の中で、
軍に復帰したいと思うものの、
それは難しそう。
で、食いつなぐため、
かつての軍人仲間とボディーガードの仕事をしています。
そして今回、
富豪の妻と子供を守ることになるのですが、
この奥さんを演じるが、ダイアン・クルーガー。
で彼は、一目ぼれしてしまうわけです。
そして幻聴と戦いながら、
彼女を守ろうとするのですが……

ちょっと変わった映画で、
なんというか、
たしかに彼女は狙われたりするのですが、
全般的には、
実際におきる事柄は多くありまえせん。
でも、緊迫感は持続し、
それはダイアンの美しさを際立たせもします。

主人公の、
もっと細かな情報が描かれていれば、
より陰影のある作品になったと思います。

『カミーユ、恋はふたたび』

昨日、『奇跡の教室』のことを復習しましたが、
蔦屋で見かけたもう一本は、
『カミーユ、恋はふたたび』
です。
これについても、
以前ここで書きました。
(日本版が出たのは、去年の夏ですね。)

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/04/camille-redouble.html

そして ↑ では触れませんでしたが、
実はこれも、「クレテイユ映画」です。
とはいっても、
舞台は駅周辺の再開発地区ではなく、
その外側の、
pavillon(低価格の一軒家)が立ち並ぶ地域です。
移民であるとかないとかいう話題はまったく出ませんが、
主人公の夫はアラブ系なのです。
それが、
何でもないふつうのこととして、話は進みます。

タイムスリップ物として、
十分楽しめる映画だと思いますが、




2017年3月23日木曜日

『奇跡の教室 受け継ぐものたちへ』(追記あり)

蔦屋でぶらぶらしていて、
この映画を見つけました。

『奇跡の教室 受け継ぐものたちへ』

去年、結構話題になった作品です。

http://kisekinokyoshitsu.jp/

原題は
Les Héritiers
で、今過去ログを見たら、
一昨年の7月に、簡単に触れていました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/07/blog-post_88.html

で、あまりに簡単にしか触れていなかったことに気づいたので、
ここでもう一度書いておくため、
また見直しました。

かなりアレテイル、パリ郊外の高校。
全校で見れば、
生徒たちの所属するコミュニティーは29にもなると校長は言いますが、
中心的に描かれるクラスもまた、
そう言う感じです。
で、
このアレテイル生徒たちをまとめ、
なにかある方向に向かって進むことを教えるためなのでしょう、
女性教師は彼らに、
ホロコーストに関わるコンテストに出場することを提案します。
それをきっかけに、
生徒たちは変わってゆく……

HPのコメント欄で、
バラカンさんが指摘している通り、
ストーリーそのものと同じくらい、
生徒たちのクローズアップの表情が印象的な作品です。
で、
わたしにとってはやはり、
これはまぎれもなく「クレテイユ映画」だなあという気が、
どうしてもします。
というのもクレテイユは、
移民の多い「郊外」であると同時に、
パリ有数のユダヤ人コミュニティーが存在する街だからです。
この映画で、ホロコーストが大きく扱われるわけですが、
それはクレテイユという街と切り離すことはできないのです。
実際クラスには、
ヨーロッパ系とアフリカ系、
二人のユダヤ人少女がいます。
また、主人公とも言えるマリック(=当然ムスリム)は、
イスラエルに出かけるという、
近所のマダムの飼っているエルヴィス(インコです)の
世話をすることを引き受けます。
ここにはもちろん、
共生という現実があるわけですね。

また途中、きれいなモスクが出てきますが、
これはクレテイユ湖の西側にある、
Mosquée Sahaba de Créteil
です。
このモスクは、
この映画でもメルクマールとして使われていました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/12/le-noir-te-vous-va-si-bien.html

そしてクレテイユ映画の代表格、
『セリ・ノワール』については、
ここで書きました。

http://www.jiji.com/jc/v4?id=hssfranse-007-16100001

◆追記:
主人公は、
マリックというムスリムの男子生徒。
彼は、ある場面で、
「カメリアっていい子だよね」
と言うのですが、
彼女はユダヤ人なのです。
で、
物語の最後、
二人は手を繋いだりもします。
(カメリアの父親は、
挨拶してくるマリックを無視しますが。)
つまりこの映画は、
「アラブ―ユダヤ映画」でもあるわけです。
これは、
とても重要な点だと思います。

◆追記2
生徒委員でアフリカ系のマックスが、
ルワンダ虐殺の話が出たところで、
「コルネイユだ!」
と叫んで歌い出すのは、
わたしも好きな、この歌です。

https://www.youtube.com/watch?v=BjIUDSK375Q

コルネイユが、両親をこの虐殺で失くしたことは、
やはり広く知られているようですね。


WBC

日本 vs アメリカ、
全部見ました。
おもしろかったです。が、
ちょっと不完全燃焼な試合でもありました。

日本は守備のミスが2つ、3つ出て、
一見それで負けたようにも見えますが、
得点がソロ・ホームランの1点だけでは、勝てません。
引いて見れば、やはり、
打てなかったのが敗因だと思います。
ピッチャーは、とてもよかったわけですから。

一番印象に残ったのは、
スタントンのサード・ゴロの場面。
恐るべき打球の速さ、
そしてそれをダブル・プレーにする
(実際は足が離れて不成立でしたが)
守備の華麗さ。
ああ、プロだなあ、
と思ったのでした。

2017年3月22日水曜日

人口

唐突ですが、
今後日本の人口が減っていくのは、
確実なようです。

http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/kaisetsu.pdf

これって、
みんななんとなく知っている気がしているものの、
ほんとうにじっくりとは味わっていないんじゃないでしょうか。
将来のことは、
この、ほぼ確定のことがら抜きでは、
語り得ないのでしょう。


「ふらんす」4月号、発売!

ついに出ました、
1年分の音声を詰め込んだCD付きの、
「ふらんす」4月号です。
特集は、
「もっともっとフランス語! 」

4月号には、
今のフランスをヴィヴィッドに伝える情報や、
さまざま角度からの含蓄あるエッセイ、
そしてフランス語を勉強するための、
さまざまな情報が網羅されています。
とてもお得!
じゃんぽ~るさんとの対談も、
たっぷり6ページもとっていただいて、
これはちょっと申し訳ないようですが、
でも、それなりに楽しんでいただけると思います!
ぜひ!


以前も貼りましたが、
じゃんぽ~るさんのマンガの立ち読みです。

https://twitter.com/JP_NISHI?lang=ja

AFP発の、フランス大統領選に絡んだ、
おもしろい表にも触れられています。

2017年3月20日月曜日

フランコフォニーのお祭り2017

この告知を見ると、
ああ、春だなあ、
と思うここ数年です。

http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/franco2017/

チュニジア系ユダヤ人の母と、
コートジボワール系ムスリムの父を持ち、
フランス語と英語で歌うLaetitia Dana、
見てみたいですね。

https://www.youtube.com/watch?v=AjAfoAvhzFE (←29秒あたりから)

https://www.youtube.com/watch?v=zWim-EyHJZM


Sing

大ヒット上映中、
とHPでは言っている、

Sing

を見てきました。
映画館内には、子供たちがおおぜい。

http://sing-movie.jp/

↑ 予告編、何種類もあります。

父親が、洗車をしながら貯めたお金で買った劇場、
それを受け継ぎながら、
一本もヒット作を作れないまま、
その劇場を差し押さえられそうになっている(ねずみの)ムーン。
彼は、起死回生を狙い、
賞金1000ドルのかかった歌のコンテストを企画します。が、
200歳になる(イグアナの)秘書がタイプミス、
賞金は10000ドルと公表され、
とんでもない数の出場希望者が押し寄せます。
で、オーディションを行い、
(賞金を支払える可能性なんかないまま)
何人かに、
本選の出場権を与えますが、
ちょっと凝った演出を仕掛けたことから、
古い劇場はなんと崩壊。
銀行もやってきて、
ムーンにはもう何もできなくなります……
(でももちろん、その後コンテストは行われ、
そのステージが一つの見せ場になってゆきます。)

ムーンか抱えているのは、
借金だけでなく、
父と子の問題です。
そして出場者の中の一人(一匹?)が抱えているのもまた、
それとパラレルな問題。
さらに出場者の中には、
主婦業に疲れ、
自分の歌の才能を試しに来るブタ、
自分を押さえつけていたカレシと別れ、
やっと思いのまま生きられるようになったハリネズミ、
などもいます。
いろんな人が、
思い入れを込めて見られるようになっていて、
それがわりとうまくいっていると思います。
(多少ナイーブすぎる気もしますが。)
そして曲目も、
テイラー・スイフト、ガガ、ビヨンセから、
ボウイ、ジプシー・キングス、シナトラ、パミュパミュまで、
いろんな年代、いろんな民族が、
ああ、これね、
と言いやすいように、仕掛けられています。
明らかに、
マーケットは世界、
なんですね。

ちなみに、
わたしにとって1番耳に残ったのは、
ほんのちょっとしか出てこない、
これでした。

https://www.youtube.com/watch?v=JptwkEhdNfY

ただ好きなだけか!?

2017年3月18日土曜日

『犯人は21番に住む』

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督のデビュー作、

『犯人は21番に住む』(1942)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=nUIOhu0j3Yw

コメディー・タッチの推理物で、
わたしとしては、
いったいどこの21番地?
という一点で見たのですが、
それは、
Avenue Junot の21番地でした。
モンマルトルの、
サクレ・クールの西側、
ラマルク・コーランクール駅の近くです。
また、映画内で最初に殺される酔っ払いは、
ジョレスに住んでいる設定です。
(セット内で撮られていますが。戦争中だし。)

戦争中ということで言えば、
「植民地」に関わる事柄が2つ。
まずは、売れない歌手が興行主に自分を売り込む際、
「わたしは未開の植民地と同じ、
支えてくれる人が必要なの」
と宣います。
また、「犯人」が住む21番地のミモザ館の間借り人の中には、
自慢げに、
オレは植民地で25年過ごしたと言う医者も出てきます。
(ウソなんですけど。)

この辺に注目して、
この辺りの時代の映画を見てゆくのも、
おもしろいかもしれないですね。

4刷

この頃、いい知らせが続きます。
去年出した教科書 LE FRANÇAIS CLAIR が、
めでたく4刷になりました。
こちらもまた、
授業が充実したものになる一助になれば、
とても嬉しく思います。

この教科書は、自分としては、
今までにこなした多くの文法の授業から学んだことを、
すべて踏まえて作ったものです。
ほんとに、役に立っているといいのですが。

2017年3月17日金曜日

Jusqu'à toi


メラニー・ロランは、
好きな女優の一人です。
アイドル的な扱いを受けることもあるようで、
まあその辺はよくわかりませんが、
画面に現れると、ちょっと見てしまいます。

で、そのメラニーと、
ジェラルディン・ナカシュが出演している
(そしてチョイ役ですが、ジェゼフィンヌ・ドゥ・モーも出ている)

Jusqu'à toi (2009)

という 映画を見てみました。

(で、また見終わってから調べて気づいたのですが、
『恋は3,000マイルを越えて 』というタイトルで、
日本版のDVDも出ていました。)

https://www.youtube.com/watch?v=3gXseYZwZRE

まあ、ラブコメです。
他愛無いです。
監督(とカメラ)は、
メラニーを可愛く可愛く撮っています。
それは成功していて、そもそも画面はよく構成されている感じ。
(上の画像のように。)

わたしにとって印象的だったのは、
ジェラルディン・ナカシュが、
おそらく肌の色を濃く見せる化粧をして、
明かな移民役で出ていたこと。
もちろん彼女は移民役を何度もやってますが、
今回は、中東系? という印象をあえて与えている感じ。
その意図ははっきりしませんが……。
とにかく、この演出、覚えておくことにしましょう。

2017年3月16日木曜日

完結編

「仁義なき」、
完結編を見て、
一応シリーズ5作を見終わりました。

https://www.youtube.com/watch?v=c7D-zKqaStU

評判通り、
なかなかいいシリーズでした。
ただ、この完結編だけは、
少しトーンが違っていて、
それは、主役級のふたり、
武田組組長(小林旭)と、
広能(菅原文太)の二人の中に、
死を見すぎたゆえの虚無感が、
色濃く立ち上がってしまったからなんでしょう。
観客、というか少なくともわたしは、
この虚無感にシンクロしてしまいました。
そこが、この完結編を、
他の4作と分けていると感じました。

「空襲被災者と戦後日本」

去年亡くなった伯母、
清岡美知子の遺品も出品されています。

http://www.tokyo-sensai.net/info/info2017/info2017-01.html

https://twitter.com/rantyo3141/status/841945366379524098/photo/1

2017年3月13日月曜日

日本的家族

今日は大学で、
4つの会議に参加してきましたが、
今年度については、
こういう連続会議の日は今日が最後。
いよいよ年度の終わりという感じです。
(あ、でもまだ卒業式があるんだった。)

「仁義なき戦い」シリーズは、
第3作の「代理戦争」と、
第4作の「頂上作戦」を見ました。
どちらも、緊張感が途切れず、
なかなかの出来栄え。
しかも、無理に引っ張っている感じはまったく感じられません。
そうした点では、
とてもよくできていると思いました。

トッドは、
各地域の家族形態の分析から始めて、
たとえば、
社会主義国家とのあまりに明確な関係を指摘しました。
(キューバ、ロシア、中国など、
外婚制共同体家族 (la famille communautaire exogame) の地域と、
はっきりした相関が認められる、というわけです。)

ヤクザの世界は、いわゆる擬制的な家族でできています。
そしてそのヤクザ的家族とは、とうぜん日本的な家族、
つまり、トッド流にいうなら、
直系家族 (la famille souche) (=親は子に対し権威的であり、兄弟は不平等)
なわけですが、
この映画の家族は、まさにそれ。
親は子に対し権威的であり、兄弟は不平等、そのものです。

当時この映画、どんな受け入れられ方をしたのかは知らないのですが、
(調べてみる価値はあると思います。)
ここで描かれた擬制的家族を通して、
日本の「会社」というものの在りように思いを馳せたということは、
あったに違いないと思います。

日本研究の教材として、
このシリーズは有効ですね。
(どこか海外の大学で、使っている先生がいるのでしょうか?)

2017年3月11日土曜日

モリエール条項(clause Molière)

フランスの言語覇権主義は、
いわば帝国主義的なわけですが、
この「モリエール条項」というは、
もっと「内向き」な印象があります。

http://www.afpbb.com/articles/-/3121039?cx_part=txt_topics

http://www.lefigaro.fr/conjoncture/2017/03/10/20002-20170310ARTFIG00256-imposer-le-francais-sur-les-chantiers-devient-un-enjeu-politique.php

ここで引用されているモリエールの一節、

... c'est n'estimer rien, qu'estimer tout le monde

(全員を尊重することは、何も尊重しないのと同じだ)

だから、
全員ではない人たちを尊重しよう、
ということなんでしょうが、
それはどうでしょうか?

6年目

一昨日の Le Point の記事。

http://www.lepoint.fr/monde/fukushima-l-invasion-de-sangliers-radioactifs-10-03-2017-2111009_24.php#xtor=CS3-190

これは、NYタイムズのこの記事に基づいているわけですね。

https://www.nytimes.com/2017/03/09/world/asia/radioactive-boars-in-fukushima-thwart-residents-plans-to-return-home.html?_r=0

そして放射能に汚染されたイノシシのことについては、
日本でもこんな記事が、
約1年前に出ています。

http://newsphere.jp/national/20160417-1/

人間の帰還を妨げる、というのは問題であるにしても、
イノシシたち自身もまた、
被害者であるわけですね。




2017年3月10日金曜日

『仁義なき戦い』

まあ、日本でそのタイトルを知らない人はほとんどいない、
有名なシリーズ、

仁義なき戦い』(5部作)

は、1973年1月から始まり、
翌74年の6月には「完結編」が公開されています。
これは、わたしにとっては、
中3から高1にかけて、ということになるのですが、
当時はたいして映画を見ていなかったし、
見ているたものの中で好きだったのは、
リバイバルで見た『歴史は夜作られる』や『暗黒街の弾痕』、
新作だと、『スティング』や『パピヨン』、そして『暗黒街のふたり』などでした。
(今挙げた5作、そういえば、すべて新宿で見ました。
ちなみに『ゴッドファーザー』は72年に、これは銀座で見ました。
映画の記憶って、見た映画館とけっこう結びついていることに、
今気づきました。
まあ、それはともかく。)
だから邦画を、それもヤクザ映画を見ることはありませんでした。

その後、レンタル・ヴィデオが広まったころに、
借りて見た記憶はおぼろげにあるんですが、
あまり印象に残っていません。
で、
おそろしく遅ればせながら、
まずは最初の2作を見てみました。
『仁義なき戦い』と、『仁義なき戦い 広島死闘篇』です。

https://www.youtube.com/watch?v=wfe4JCFKFTg

https://www.youtube.com/watch?v=F3_7wpLZ_dc

結論から言うなら、
これはおもしろい。
ネット上ですでにそういう指摘がありましたが、
まさに群像劇で、
冒頭の原爆の映像は、
そのドラマの背景を一挙に提示しているようです。
場所と、時代と。
ただし『広島死闘篇』のほうは、
群像劇の要素はやや薄まり、
ある青年の破滅的な行状を、
荒々しく追ってゆくものです。
この映像、


いいですね!
ザラザラした、という形容がぴったりだと感じました。

あと3本、見る予定です!

5刷

2年前にレナさんと作ったテキスト、
Dis-moi tout !
が、めでたく5刷りになりました。
来年度には、
統一教科書として使ってくださる大学もあり、
お役に立てばいいなあと願っています。
(でもこのテキスト、
自分で言うとバカみたいですが、
内容はかなりいいと思っています。
大半はレナさんのアイディアですけど!)

で昨日、
そのお祝い(?)&新しい企画の相談で、
レナさん、わたし、
そしてDis-moi tout ! を担当してくれたチョー優秀な編集者ミドリさんと、
新宿でランチをしました。
久しぶりに集合して、
とても楽しい時間を過ごせました。

でもやっぱり、
会っていろいろ話している中でこそ、
新しい何かは生まれるんだと感じました。
まだ卵でさえありませんが、
いつかは形にしたいと思います。

2017年3月8日水曜日

2017年3月7日火曜日

「ふらんす」4月号、予告

今年度も終わるなあ……
と思っていたら、
もう新年度号の発売予告が!

http://www.hakusuisha.co.jp/news/n18374.html

毎年のことですが、
1年分の音源(CD)がついた4月号は、
とにかく買っておかないと!

そして、じゃんぽ~る西さんとわたしの対談もあります。
じゃんぽ~るさんのお話、
おもしろいですよ!

発売は、22日頃です!

2017年3月5日日曜日

「最愛の子ども」

寡作で知られる松浦理英子の、4年ぶりの新作、

「最愛の子ども」 (「文学界」2月号)

を読んでみました。

17歳の、女子高校生たち。
男女共学なんだけれども、
男女別クラスという学校での、
<妻>である今里真汐、
<夫>である舞原日夏、
<子>である薬井空穂、
の3人を中心とした物語です。
語り手である「わたし(たち)」は、
なんというか、未分化な状態にあるナニカであり、
特定の「個」ではありません。

と書いても、わかりにくいですね。
女子高校生3人が、家族だなんて。
でも、そうなんです。
3人それぞれにとって、
そして「わたしたち」にとっても。

冒頭、この「わたしたち」の内実を形成するらしい人物が次々に登場するところでは、
人物が多くてちょっと不安になりましたが、
そこを過ぎれば、
もう、めくるめく物語の世界に引き込まれます。
多様なセクシャリティー、と言えばそうなんですが、
この小説は、
そうした「枠」からまったく自由。
デリケートで、
同時にそうした自分への視線は厳しくもあり、
エロティックで、
同時に冴えた覚醒もあり、
情愛にあふれ、
それははかなくもあるという、
これは、傑作と呼べると思います。

わたしは雑誌で読んだのですが、
当然やがて本になるでしょう。
そして、
大いに話題になるでしょう。

書評がありました。

http://www.nishinippon.co.jp/feature/literary_trend_story/article/305119

2017年3月4日土曜日

『海燕ジョーの奇跡』

かつて一世を風靡したドラマ、
『ふぞろいの林檎たち』。
そのパート1が始まったのは、1983年、
わたしが修士課程にいる頃でした。
そしてその「林檎」の一人に、
(わたしと同じ歳の)時任三郎がいました。
彼は翌84年、ある映画にも主演しました。
『海燕ジョーの奇跡』
です。
ただその頃わたしは、
日本映画を見る習慣がなかったのでスルーしてしまったのですが、
それを今日、見ることができました。

https://www.youtube.com/watch?v=NXrbcFrutMY

実は、
先日の『沖縄やくざ戦争』に続き、
「なにか離島ものを!」
というわがままな希望に対し、
倉石先生がDVDを貸しくれたのでした。

主人公ジョーは、日比の「ミックス」で、
沖縄でチンピラ稼業。
弟分を殺されて逆上し、
相手側の親分を射殺、
さらには大金も盗んで、
逃避行します。
その旅は、
宮古島~与那国島(=恋人の出身地)~台湾~フィリピン
と続くのですが、
この南へ向かう旅程は、
海のロードムーヴィーという感じで、
ちょっとうっとりします。
(闇の小舟の船頭が三船敏郎だったり。)

やがて、マニラに到着。
そこには、
ジョーを可愛がっていた「組長」の昔馴染み(=原田芳雄)がいて、
彼を頼って行ったわけです。
ただしそもそもそこは、
ジョーにとって(少なくとも半ばは)「おれの国」でもあるわけです。
実際、ずいぶん前に分かれた実父は、
今もマニラにいるはずです。
この父親からのエアメールを、
ジョーは手放すことはありません。
やがてそこに、
恋人の陽子も合流し、
彼の子を妊娠していることを告げます……

マニラの街は、
かなり克明に記録されています。が、
おそらくそれは、
細部が拡大されているのであって、
マニラ全体を映しているわけではないでしょう。
それでもやっぱり、
街中の風景はおもしろいです。

一般的に言って、
ヤクザ映画やギャング映画には、
命を捨てることを「美しい」とする倫理、
家父長的な家族主義の肯定、
新興勢力(≒グローバリスト)への抵抗、
などが見いだされるようです。
ただこうして書いてみると、
これらの要素は、
ヤクザ映画の専売ではないことにすぐ気づきます。
そしてこれらの要素の中には、
なかなかの危険なものも含まれていて、
たとえば、命に対する態度などは、
そのまま戦争へと突っ走る「勇気」に転換されることもあり得るわけです。
ただそれでも、こうした倫理がウケルのは、
わたしたちの中に、
そうしたオリエンテーションが残っているからなのでしょう。
いやそんなものはまったくない、
と言い切れる人は、
むしろ少数派なんじゃないでしょうしょうか。
だって、『ゴッドファーザー』は「おもしろい」と感じてしまいますからね。

……と話しが逸れてしまいましたが、
30数年遅れで見た『海燕ジョーの奇跡』、
なかなかおもしろかったです!

2017年3月3日金曜日

Made in France

以前ここで触れたこの映画、

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/07/made-in-france.html

気づかなかったんですが、
日本版が出てたんですね。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9-%E3%83%91%E3%83%AA%E7%88%86%E7%A0%B4%E3%83%86%E3%83%AD%E8%A8%88%E7%94%BB-DVD-%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%87%E3%82%A3/dp/B01HHQJDZW/ref=sr_1_37?s=dvd&ie=UTF8&qid=1488507874&sr=1-37&keywords=%E3%83%91%E3%83%AA

Islam requires it.

こんな記事が。

「ユダヤ人の墓は私たちが守る」
イスラム教徒の退役軍人たちが、シナゴーグの警備を申し出る

http://www.huffingtonpost.jp/2017/03/01/anti-semitic-threats_n_15102268.html

多くの人が、

Islam requires it.  「イスラムの教えに従わねばなりません」

と言っているのが、とても印象的です。

2017年3月2日木曜日

『あたらしい名前』

ジンバブエ人で、
今はアメリカに住んでいる、
1981年生まれの女性作家、ノヴァイオレット・ブラワヨ。
彼女の

『あたらしい名前』(早川書房)

は、去年の秋ごろ話題になっていましたが、
やっと読むことができました。
これは、おもしろい。

舞台は、前半はジンバブエ、後半はアメリカ。
時代は、2008年から、2011年まで。
これはつまり、
ジンバブエで選挙が行われ、
あのムガベが反対者を弾圧し、
そしてアメリカではオバマが選ばれた年から、
ビン・ラディンが殺害され、
東日本大震災が起こった年まで、
ということになります。
主人公のダーリンは、この間に、
10歳の少女から、思春期に向かいます。

というわけなので、冒頭は、
10歳の少女の一人称なので、
これは子供視点の小説?
と思うのですが、
ヒロインの成長にしたがって、
視点もまた深みを帯びてきます。
ただ、微妙なのは、
この「深み」が大人風のそれではないこと。
つまり、イデオロギー的でも、
政治的でも、達観のようでもない。
そして日常の、リアーナや、マックや、
男の子とのデートの背景に、
大きな現代史が溶岩のように流れているのです。

ちょっと探しただけで、
いい書評が2つもありました。

http://style.nikkei.com/article/DGXKZO06843800T00C16A9MY6001

http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2016092500006.html

2017年3月1日水曜日

天声人語

昨日の天声人語に、
管さんの
『本は読めないものだから心配するな』(左右社)
から、
一節が引用されていました。
それは、以下の文章中の、
ボールドの部分です。

**************************************

読書とは、一種の時間の循環装置だともいえるだろう。
それは過去のために現在を投資し、
未来へと関連づけるための行為だ。
過去の痕跡をたどりその秘密をあばき、
見出された謎により変容を強いられた世界の密林に、
新たな未来の道を切り拓いてゆくための行為。
(……)
読書の戦略とはさまざまな異質な過去を、
自分だけでなく無数の人々が体験しその痕跡によってなぞってきた過去を、
どのようにこの加速の機構をつうじてひとつに合流させてゆくかということにほかならない。
そしてこの流れだけが想念に力を与え、
自分だけでなく、「われわれ」の集合体の未来を、
実際にデザインしてゆく。

***************************************

今、管さんはUCLAに滞在中です。

6時間20分

今日は会議の日でした。
朝から 5 コの会議に出て、
その合計時間が6時間20分。
人間、生きているといろいろ起こるわけですが、
大学もまた、いろいろ起きます。

新年度まで、あと1か月!


2017年2月26日日曜日

『沖縄やくざ戦争』

わたしの場合、
ほんとに幸運なことに、
同僚にはとても恵まれています。
諸先輩方はもちろん、
若手の先生たちからも、
いつもいろいろ教えてもらっています。
そして今回も、
日本の写真批評の世界では、
今や屈指の存在となっている倉石信乃さんから、
おもしろい映画を教えてもらいました。
(で、DVDも貸してもらいました!)
それが、

『沖縄やくざ戦争』 (1976)

です。
「第四次沖縄抗争」に取材したとされている、
ヤクザ映画です。

https://www.youtube.com/watch?v=KpaaqLIvKxU

舞台は、1971年、
本土復帰を目前にした沖縄です。
それまで、ヤクザの団体同士のパワーバランスは、
なんとか保たれていました。
けれどもそこに、本土から新たな巨大勢力が参入してきます。
当初は、この脅威の新参者に対し、
沖縄の諸団体は団結するのです、が、
やがて、スケールメリットを優先しようとする裏切り者も現れ……

見どころは多いのですが、
やはり注目すべきは、
中里(松方弘樹)率いる弱小の団体内に、
組長自信を含め、4人の久米島出身者がおり、
彼らにとってその事実は、明らかに、
アイデンティティーの一部を形成していることでしょう。
勢い、本土に対しる意識も、
沖縄島の人間たちとは少し違っている……。
(佐藤優は、母親が久米島出身だそうです。)

そしてこの久米島出身者の中に、
具志川(=室田日出男)がいます。
この俳優は、いつ見ても強烈な存在感がありますが、
今回も例外ではありません。
わたしは残念ながら、
彼の代表作とされる『人妻集団暴行致死事件』はずっと見逃しているんですが、
やっぱり見たいと思いました。
(DVDは絶版中で、中古の値段が高騰しているのが難点です。)

2017年2月23日木曜日

「ふらんす」3月号

「ふらんす」3月号、発売になりました。
で、
「映画の向こうにパリが見える」の最終回も、
時事.com に登場です。

http://www.jiji.com/jc/v4?id=hssfranse-012-17030001

最後に取り上げた映画は、『サンバ』。
第一回の『最強のふたり』、
そして『アンタッチャブルズ』にも出ていた、
オマール・シーが主演です。

https://www.youtube.com/watch?v=vdIMj9PtKrw

記事の中では触れる余裕がなかったのですが、
この映画は、
原作小説を読んでから見ると、
監督たちの意図がよりわかりやすいと思います。
小説では、
サンバが苦労してパリに着くまでに、
全体の 1/3 ほどのページが使われていて、
もう小説と映画は別物なんですが、
それでも、当然、
完全に別物というわけでもありません。

1年間やらせてもらった連載もこれで最後。
長らくお付き合いいただき、
ありがとうございました!

ホウボウ

近所の、
新装なったスーパーでは、
魚屋さんが入れ替わっていて、
並んでいる魚の種類がずいぶん増えていました。
で、目立つところに、
ホウボウの姿が。

刺身だね、
と言うので、
下ごしらえをお願いして、
頭も味噌汁用にしてもらいます。

白身の刺身としては、
歯ごたえもあり、
甘みもあり、
très bon !

ついでに、
新装記念でとても安かった金目鯛も買ったので、
明日は煮つけです。
忘れずごぼうも買いました!
今週は、
もう「大晦日」週間にしました!

2017年2月22日水曜日

ここで大晦日

大学の業務が一段落しました。
成績もつけたし、
入試もほぼ終わったし。
今、気分としては、
大晦日です。

で、久しぶりにカラオケへ。
とはいえ歌える日本語の歌はまったく増えていないので、
おなじみの曲ばかりですが。
ただ今回行った店には、
Five years
という Bowie の曲が入っていて、
懐かしくて歌ってみました。

https://www.youtube.com/watch?v=dE2PR14tGeE

ぼくらにはもう5年しか残っていない……

学生の頃にこれを歌い、
もう、30年以上経ちました。
いつでも、
あと5年しか残っていない、
という気持ちで生きてこられたかどうかは、
まったく心もとないのですが。






2017年2月21日火曜日

『PLUTO』(プルートゥ)

先日、
ある文化人類学の先生と話していて、
AI、そしてロボットの話になり、
ロボットが死の恐怖を持つか、という話になり、
その時話題になったのが、
浦沢直樹による、『アトム』の「地上最大のロボット」の翻案、

PLUTO』(プルートゥ

でした。
10年ほど前の作品ですが、
わたしはまだ読んでいなかったので、
さっそく読んでみました。
全8巻、「大人買い」です。

一つ一つのエピソードには、
胸打たれるものがあり、
引き込まれて読みました。
原作との比較、という読み方ではなく、
これ自体を読みました。
ここでは、死、というよりも、
憎しみ、愛、悲しみ、
とロボットの関係が見つめられています。
(悲しみとしての他者の死、とも言えるかもしれませんが。)

まだ消化しきっていませんが、
なかなか面白かったです。
(というか、マンガ界では、有名な作品のようです、
わたしが知るのが遅かっただけで。)

でも、マンガを読むのって、
文章を読むのとは、
使っている頭の部分が違うなあと、
結構強く感じました。
個人的には、文章を読むほうが楽、かな。

2017年2月19日日曜日

リバティー終了

一昨日の金曜日、
今年度のリバティー・アカデミーの授業が終了しました。
いつも言うことですが、
このリバティーの講座では、
生徒さんたちにとても恵まれ、
楽しく授業をしています。
もちろん今期も例外ではありません。
レナさんと一緒に作ったテキスト、
『全部話して!』を使い、
最後まで楽しく終えることができました。
生徒さんたちに、感謝……

で、授業の後は、恒例のポトラック、
持ち寄りランチ会です。
女性たちが多く、
集まる料理&ケーキのレベルの高さに驚かされます。
(オジサンばかりだったら、
こうはいかないでしょう。
もちろん、料理の上手なオジサンたちいるわけですが、
なかなかこういう風なポトラックにはならないでしょう。)
キャロット・ラぺから、
赤飯、五目ずし、ドイツ風サンドイッチ、
ミニ・クロワッサン、ガトー・バスク、
それにおいしいジャムや珍しいドライ・フルーツ、
フルーツやさまざまなお菓子まで。
とてもいいランチでした。

生徒さんの中の一人、
もう何年か前、
新宿の高層ビルでの(単発の)講座や、
フランス体験講座からのお付き合いである生徒さんが、
海外に(3年ほど)いらっしゃることになり、
とりあえず今回が最後となってしまいました。
(なんだかもう、生徒さんというより、
ほとんどお友達みたいな感じなんですが。
そういえば、某博物館で偶然会ったこともありました。)
どうぞお気をつけて、そして楽しんできてください!

   ◆

そして、
2017年度前期の講座も、
「もうすぐ受付」開始です。

https://academy.meiji.jp/course/detail/3592/

今回は、以前某国立大学で講師仲間だった、
長野さんが作られたテキストです。
よろしければ!

2017年2月18日土曜日

Cultural appropriation

Cultural appropriation(文化的盗用)というのは、
外国の文化を研究する人たちにとっては、
広く知られている問題です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170217-00000010-jct-soci

その視点に立てば、
ここに挙げられた写真の場合は、
見た瞬間にアウトでしょう。

2017年2月16日木曜日

修士論文発表会

今日は、中野キャンパスで、
新領域創造専攻・ディジタルコンテンツ系の、
修士論文発表会がありました。
午後いっぱいをかけて、
合計8人の発表を聞いたのですが、
沖縄やキューバの美術を扱ったものあり、
賢治の詩における色彩論あり、
シェアリングエコノミーありで、
「ああ、若いっていいなあ!」
という感じでした。

賢治と言えば、
あの『シン・ゴジラ』で、
あの船に置かれていたのが、
『春と修羅』でしたね。

*********************************

心象のはひいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐植の湿地
いちめんのいちめんの諂曲てんごく模様
(正午の管楽くわんがくよりもしげく
 琥珀のかけらがそそぐとき)
いかりのにがさまた青さ
四月の気層のひかりの底を
つばきし はぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ


「春と修羅」
********************************

これを、
(とりわけラスト・シーンの)ゴジラの姿だというのは、
言いすぎでしょうか?






2017年2月14日火曜日

『その路地をぬけて』


去年の暮れ、
母親が新詩集を刊行しました。

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%9D%E3%81%AE%E8%B7%AF%E5%9C%B0%E3%82%92%E3%81%AC%E3%81%91%E3%81%A6-%E5%B2%A9%E9%98%AA-%E6%81%B5%E5%AD%90/dp/4783735549/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1487068612&sr=1-1

今回は、散文詩集です。

「臭気芬々とした汚泥のようなそれら堆積物を少しずつ取り出し、
辛抱強く捏ねあげ、かたちを整え、息を吹き込み、辛うじて世間に
通用する言葉というものに換えて、ふたたびこの世に旅立たせてやりたい」

装丁は弟の秀哉です。
静かで、
さびしく、
愛しく、
固い光を放つ詩集です。

2017年2月13日月曜日

2017年2月12日日曜日

クッションを


クッションを占拠中。
C'est à moi !



谷口ジローさん

ああ、残念……。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170211-00000076-mai-soci

日仏会館でのイベントで、
ご一緒させていただいた時、
サインをもらうための行列が長く続き、
その誰もが、
目をキラキラさせて谷口さんを見つめていたのが、
ありありと思い出されます。
(わたしも、イラストを描いていただいたのでした。)
ご冥福をお祈りいたします。


2017年2月9日木曜日

Half of a Yellow Sun

今日の東京は、
最高気温が5度ほどで、
みぞれまじりの雨が降り続く一日でした。
もちろん、日本海側と比べれば、
子供だましのようなものですが。

このところ、
ふだんあまり会わない先生たちと顔を合わせる機会が多く、
そこでさまざまな雑談になるわけですが、
なかなか興味深いネタを仕込むこともでき、
ありがたいことです。
で、わたしはと言えば、
ここでも何度か触れた『アメリカーナ』の話をしてしまうのですが、
実は今、
アディーチェのもう一つの長編、
『半分のぼった黄色い太陽』
を、久しぶりに読み直しました。
うまく言えないんですが、
『アメリカーナ』を読んで以降、
アディーチェの作品に対する感じが、
わたしの中で変化してしまった気がするのです。
(こちらの変化もあるのでしょうが。)
だから、この感覚で、もう一度、
と思ったわけです。

「半分のぼった黄色い太陽」とは、
ビアフラ共和国の国旗に描かれた太陽のこと。
この小説も、
どんどん引き込まれて、
読みだしたらとまりません。
愛と、性と、脆さと、強さと、嘆きと、虚無と、希望と、ため息と、
民族主義と、新植民地主義と、合理精神と、呪術と、戦争と……。
(この500ページの本が2800円て、チョー安くない!?)

それにしても、
訳者のくぼたのぞみさんは、
つくづくいい仕事をなさっていると思うのでした。

2017年2月6日月曜日

ディアスポラ

ヨーロッパの国々の、
移民していった人の「%」。

http://www.dailymail.co.uk/news/article-4182788/The-countries-population-moved-abroad.html?ito=social-twitter_mailonline

Bosnia and Herzegovina は43%。
突出してます。

それに引き換え、
スペインやフランスは低いですね。

シュピーゲル、物議

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170205-00000011-jij_afp-int.view-000

デア・シュピーゲルのことは、
全然くわしくないですが、
こんな表紙を試みるタイプの雑誌でしたっけ?

2017年2月5日日曜日

avec Florence

大学の
(所属している学部は違うのですが、広い意味では)
先輩同僚の、フロランス先生。
お目にかかると、
いつも映画の話で盛り上がります。
そして先日もまた、
大学の会議で会う機会があり、
昨日触れたヴィルジニー・エフィラや、
Divines の話をして、楽しかったです。
で、
新しいイベントの企画などを話し合う中で、
「このところナイジェリアのことを調べていて……」
と彼女が言うので、
すかさず『アメリカーナ』がとっても面白かったと話すと、
「あ、それ今読んでる!」
との答え。
フロランスさんの場合は、
フランス語で読んでいるわけですが、
「今、ロンドンのあたり」
なんて聞くと、
Mmm、
もう一度読みたくなってきます!

2017年2月4日土曜日

Un homme à la hauteur

ヴィルジニー・エフィラといえば、
今もっとも「いい女」がぴったりくる女優ではないかと感じています。
ただし「いい女」と言っても、
あくまで身近で、
飾らず、
あたたかく、
だから必ずしもエレガントというわけでもない「いい女」ではあります。
つまり、ドヌーヴのようなペルソナとは違います。

一方、ジャン・デュジャルダンと言えば、
コメディー的な、
にやけた雰囲気を発しながら、
顔立ち自体は完全に二枚目で、
おどけていて、
やはり身近で、
見ていてつい微笑んでしまう俳優です。
ただしもちろん、
二人とも、
スターのオーラはハンパナイです。

この二人が共演するなら、
とにかく(エンタメとしては)80点は固いだろうと思いますが、
今回のこの作品、

Un homme à la hauteur

も、
あくまでエンタメとしてですが、
80点はクリアしていたと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=_ZUCqTRXV7M

アレックスは、才能豊かな建築家。
バツイチで、もう成人した若い息子と暮らしています。
ただ彼の身長は、136cm なのです。
彼はある日、
ある美しい女性が忘れていったスマホをを手に、
<maison>と書かれた番号に電話します、
スマホ、落としませんでした?
そして持ち主の女性、
弁護士で、やはりバツイチのディアンヌは、
彼と近づいてゆきます……

ラブコメですから、
ラストはもちろん予想できるわけで、
そこまでの過程をどれだけ変化の富んだものにし、
同時に結末に説得力を与えるかが勝負です。
もちろん、主演の二人が魅力的に見えることが、
絶対条件です。
その点、この映画は、
まあうまくやったのではないでしょうか。

ジャン・デュジャルダンを小さく見せる特撮は、
どうやっているのかまったくわかりません。
(はめ込みなどを使ったようです。)
そして根本的に、
この主題に乗れるかどうかはビミョーですが、
つい最後まで見てしまうのは、
やはり俳優の魅力なんでしょうか。

2017年2月2日木曜日

avec Jean-Paul Nishi

昨日は、お茶の水にて、
じゃんぽ~る西さんと、
お話しする機会がありました。

https://twitter.com/JP_NISHI?lang=ja

わたしは彼のマンガのファンで、
単行本は全部持っています。
「モン・プチ」シリーズももちろん面白いですが、
「パリ三部作」は、
日本のマンガとしては唯一無二の存在でしょう。
パリを、内側から、体験を通して眺めているし、
よく読むと、場所も、
パリの様々な場所が、
その特徴とともに、
(論文風に言えば、その土地の固有性と響き合う形で)
描かれています。

で、
じゃんぽ~るさんに描いてもらったのが、これ。


Mmmm、似てます!

昨日の話の内容は、
3月下旬に活字になる予定です。
乞うご期待!

2017年1月31日火曜日

Alyah

3週間ほど前、
『アナーキスト』という映画を見て、
ここでも書きました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/01/blog-post_94.html

で、この映画の、
なんというか、問題意識の在り方が、
ちょっとそそられたわけです。
で、
同じ監督(脚本も)の、前作を見てみました。

Alyah (2012)

https://www.youtube.com/watch?v=mU5ucIgeOu0

この「アリーヤー」とは、ヘブライ語で、
「イスラエルの地への移民」
を意味しているそうです。

主人公のアレックスは、ユダヤ人。
麻薬のディーラーとして、
パリに生きていますが、
それでいいと思っているわけではありません。
(物語冒頭の売買は、シャトー・ドー駅のすぐ近く。)
また彼の兄は、いわば落伍者で、
アレックスのもとに現れては金の無心を繰り返し、
あげくは、商売物の麻薬を持ち逃げしたりもします。
そこでアレックスが考えたのが、
イスラエルへの移民です。
ユダヤ人である彼だからこそ可能なこの選択肢を、
今や具体的に考え始めるのです。
そんな時彼は、ユダヤ人ファミリーの集まりにおいて、
ジャンヌと出会い、恋に落ちます。
ジャンヌは訊きます、どうしてイスラエルへ?
「だって、誰もパリにいてって言わないから」
「……いてよ」
アレックスの心は揺れます。
テル・アヴィヴで心機一転を図るか、
パリで、麻薬を売りながら、
ジャンヌと付き合ってゆくか……

まず、いうまでもなく、「パリのユダヤ人」を描く映画です。
しかもその主人公が、犯罪者で、
それを清算するために、
イスラエル移民を考えるという、
今までにない展開です。
比較できるのは、これでしょう。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/02/la-petie-jerusalem.html

でもこの場合は、
反ユダヤ的活動に嫌気がさして、
イスラエルに向かうのでしたから、
今回とは意味合いがだいぶ違います。

監督は、さまざまなジャンルの要素を入れたかったと語っていて、
なるほどここでは、
犯罪映画、家族映画、恋愛映画、宗教映画、などの要素が、
混然一体となっています。
「パリ映画」を語る上では、
素通りできない作品だと思いました。
(Amazon USA では、
ヴィデオ視聴が購入できます。)

ジャンヌを演じたのは、
『黒いスーツを着た男』で、
R. ペルソナの婚約者を演じたアデル・エネル。
今回の彼女は、よかったです。
また、『アナーキスト』にも出ていた、
ギヨーム・グイも出ています。

音楽は、シェーンベルクの「浄められた夜」。
無論、「アリーヤー」が持つ意味と、
繋がっているのでしょう。

(備忘録として、これも。

http://tomo-524.blogspot.jp/2014/03/dans-la-vie.html )