2011年7月31日日曜日

Aïcha, job à tout prix


見ました、『アイシャ2』!
いやあ、期待にたがわず、おもしろかった~!

予告です;

http://www.youtube.com/watch?v=jJkeBZ6mQYo&playnext=1&list=PL067BDBCFB815E2C5

それからこれは、「予告」と書いてありますがそうじゃなく、
映画の冒頭部分です。

http://www.youtube.com/watch?v=BV3qiol4LF8

こんなに大人数が集まる場面はほとんどないんですが、
まあ第1作を見ていれば、みんな知った顔で、
ああ元気そうでよかったな、という気にさせられます。

アイシャは、前作の最後で得た仕事を始めます。
立ちあがった企画は、「カールした髪は美しい!」。
つまり、アラブとアフリカ系の女性をターゲットとした商品です。

ここで1人、新顔が登場します。
スペイン系のグロリアという女性(画像・右)で、
彼女は仕事上のライバル、というか、
グロリアのほうがアイシャを出し抜こうとします。
でもこのグロリア、実はスペイン系なんかじゃなく……

アイシャの母親は、前作では筆記試験に合格し、
今回は路上です。
そうです、運転免許を取ろうとしているわけです。
(ただ彼女、フランス語が読めないんですが……)

彼女の教官がチベット系で、
まあフランスらしく「中国系」とくくられてしまうんですが、
母親と彼のエピソードは、
父親を巻き込んでコミカルです。

ちなみに教官は彼です;

http://www.facebook.com/notes/hoang-nghi/hoang-nghi-fait-la-com%C3%A9die/10150141246371974

前作で、Bac+5 であるにもかかわらず、
アラブ系の名前のために一切面接にも呼ばれなかったネジマは、
フェミニスト的な運動を始めます。
彼女は、ヘジャブをつけた女性たちを、
かつらをつけたユダヤ人女性たちを動員し、
デモを企画します……

監督のヤミナ・ベンギギは、
やはりとても人物描写が巧みです。
いや、描写、というより、人間に対する理解が深いのでしょう。
理解と愛、それに構成・編集する力も抜群です。
彼女なら、失敗作というのはない気がします。

『アイシャ2』は、ちゃんと訳せば、
『アイシャ ~なにがなんでも欲しい仕事』、くらいかな?

1と2、合わせて買っても20€ ちょっとです。
(+送料がかかりますが。)

http://www.amazon.fr/s/ref=nb_sb_ss_c_2_5?__mk_fr_FR=%C5M%C5Z%D5%D1&url=search-alias%3Ddvd&field-keywords=aicha&sprefix=aicha

パリ郊外のアルジェリア系移民家族、その長女の活躍に興味があれば、
おすすめします。
フランス語字幕も出ます。(完全にセリフ通りというわけではありませんが。)
もちろんPC で見られます。

2011年7月30日土曜日

英字幕版


金曜日にここに張り付けた児玉先生のヴィデオ、
わたしの周囲ではとても注目されています。

そして今日は、
英語字幕版が作られたという知らせも来ました。

Vous y trouverez l'intervention du professeur Tatsuhiko KODAMA,
venu témoigner devant le Parlement le 27 juillet.
M.KODAMA est le directeur du Centre de recherche
sur les radioisotopes de l'université de Tokyo.
Les sous-titres en anglais viennent d'être mis en place par un bénévole.


Certains passages sont ardus en raison des données scientifiques avancées,
mais je vous recommande de regarder jusqu'à la fin.
La colère de M.Kodama est contagieuse (je crois)...

http://ex-skf.blogspot.com/2011/07/video-with-english-caption-professor.html?showComment=1312027902149#c5219914157704833671

字幕が出ないときは、プレーヤー内のメニュー・バーの、
cc というところをクリック、だそうです。

『アイシャ』


去年の10月に、『アイシャ』という映画のことをここで書きました。

http://tomo-524.blogspot.com/2010/10/blog-post_30.html

とっても面白くて、
いつかちゃんと書こうと思って取っておいた(?)のですが、
そうこうするうち、パート2のDVD が発売され、
なんと9月には、パート3まで発売される予定です。
まずい! ネタが古くなっかちゃう!

というわけで、とにかくパート2を見ようと思うのですが、
そこは『アイシャ』ファンのわたしとしては、
やっぱり1をもう1度見てから、と思うわけですね。
で、今日見てみました。

Mmm、やっぱり面白い……
日本公開すればいいのになあ。

アイシャ役のSofia Essaïdi は、実は歌手でもあります;

http://www.youtube.com/watch?v=3NHY5l1HcLw

なかなかいいですね。
(でもこの曲のサビ、
明らかにリアーナの「アンブレラ」を<参照>してますね。)

1984年生まれと言いますから、まだ20代。
「バンリウーの女王」なんて言われ方もしてるみたいです。

2を見るのが楽しみです!(明日? 明後日?)

2011年7月29日金曜日

拡散希望


これこそ「拡散希望」。

http://www.youtube.com/watch?v=DcDs4woeplI&feature=youtube_gdata_player

そうだったのか……

そしてNHKのフォロー記事がこれ。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110727/t10014486711000.html

そして今日、
原発54基すべてが止まっても来夏乗り切れる」という事実に関して、
首相の会見がある予定ですね。
聞かないと。

2011年7月28日木曜日

賠償案

福島での事故、
「その責任は全国民にあるのだから東電ばかりを責めるな」
という意見もありました。
ただそれに対しては、
「それはかつての<一億総ざんげ>と同じ。責任の所在が不明確」
という応じ方もあり、
「だから全員がある責任を共有するのを前提としつつ、かつ、
東電の責任は明確にしなければ」
というところに落ち着いたように思っていました。

そして…… 賠償責任案が合意に至りましたが、
これでいいんでしょうか?

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011072702000046.html

こんなに見え見えの既得権益守りって……

17課


さて17課、いかがでしたか?

voir の過去分詞 vu は、
実は「デジャ・ヴュ」の「ヴュ」です。
これはたとえば、

J'ai déjà vu.  (I have already seen.)   わたしはすでに見た。

の最後の2語を取り出して、ハイフンでつないで名詞にして、

déjà-vu

となったと考えてもいいですね。

でタヒチ。
わたしが行ったのはもう5年も前ですが、
ああいう映像を見ていると、記憶がよみがえります。
いいところでした……❤

そしてタヒチと言えばヒナノ・ビール。
砂浜で飲むヒナノ・ビールは、もう最高と言ってもいいです!

2011年7月26日火曜日

オスロ

オスロでの痛ましい事件。
背景は移民問題のようです;

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22351920110725?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

ただ、
われらが(?)サルコジ大統領については、
移民にツラク当たったとしても、特に驚きはしませんが;

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22351920110725?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

隣り同士に存在するだけ、なのは、
むしろ受け入れ側の問題だという気もしますが……

ブレヒト作


今日は東中野で、演劇集団・風の公演を見てきました。
作品は、ブレヒトの『肝っ玉おっ母とその子供たち』です。

http://www.kaze-net.org/repertory/rep_kimo

第2次大戦中、ブレヒトが亡命先で書いたこの作品、
舞台は30年戦争にとられています。が、
テーマは普遍的、かつ現代的。
とてもたくさんのアプローチがあり、
こういう作品です! と言いきれないところがさすがです。

とはいえ中でも気になるのは、
戦争をすると誰かが儲かる、とういう指摘。
当たり前と言えばそれまでだけど、
このことは常に意識しておきたいことです。
(もちろん、原発も儲かるでしょう。)
WW1やWW2 で、アメリカがどれほど儲けたかを考えると、
今もアメリカが戦争を仕掛ける理由の一端がうかがえる気がします。
もちろんたとえばフランスだって、
紛争地域に(理由をつけては)武器を売り、
紛争を長引かせることがあったはずです。

もう1つは宗教。
カトリックとプロテスタントの対立。
宗教が、今の世界を見る時のキーの1つなのは、
今さら言うまでもないでしょう。
特に、国家と宗教がつるんだときは、ロクなことが起きない気がします。
これは映画監督のブニュエルが、繰り返し言っていたことでもあります。

それにしても演劇は、
役者さん達の肉体、動き、声、
そのどれもが具体的で直接的。
映像作品とは、そこが決定的に違いますね。
これも当たり前のことだけれど、
やはり見るたびにその思いを新たにします。

特に今回は、
エンディングに詩の朗読があり、
やはり黙読とはレベルが違うことを再認識しました。

そして今日は、終演後、
出演者の一人の柴崎美納さんと少しお話しできたのですが、
とても勉強家で、知識が広いのに驚かされました。
色々教えてもらいました。
そして、

「不思議なもので、舞台に立っただけで、
一言もセリフなんか言わなくても、
お客さんには見抜かれちゃうんです、
この役者はどう生きてるのか、なにか言いたいことがあるのか、どうか。
そしてそれは、普段の生活を充実させるしかない、
自分がちゃんと色んなものと向き合っていくしかない……」

このままじゃないですけど、
まあこういう内容のことをおっしゃっていて、
とても納得がいきました。
柴崎さんは持って生まれた声が魅力的なのですが、
もちろんそれだけじゃないんですね。

やっぱり、時に演劇を見るのって、
目がさめる感じがします。
いい舞台でした。

2011年7月24日日曜日

Refresh !

近場に、1泊で出かけてきました。
金曜はいい天気で、空気も澄んでいて、光もまた澄んでいました。




そして青々した竹林は、
その囁くような羽音とともに、
癒し系ですね。




そしてお馬さん。


そして若芽。


リフレッシュしました!

2011年7月21日木曜日

Pacific Cultural Arts Festival


うわ、これは面白そう!

http://www.pacific-fete.net/pcaf_jp/modules/pico/index.php?content_id=1

う~ん、仕事が早く終われば……

課題図書


今日はフランス語の試験だったのですが、
その中に1つだけ、こんなのも混ぜてみました。

「目的語の定義は?」

これは授業中にもちろんコンコンと言ったことで、
望まれているのは、

「動詞の働きかけの対象(となる語)」

です。
ざっと見たところ、正解率10%強、という感じ。
繰り返しますが、これは考える問題じゃなく、
授業を聞いていたかどうかが勝負になる問題です。

中に、

「~を」「~に」になるもの。

なん答えがありましたが、どうしてそうじゃないのかを、
コンコンコンと話したつもりなんですが。

もちろん、びしっと正解の答案もありますから、
話したのは夢じゃないはずです!

で……

その場の思いつきで(なんていったら学生に怒られそうですが)
夏休みにブック・レポートを書いてもらうことにしました。
これは昔、さんざんやったことなんですが、
セメスター制になってからなんとなく出しにくくなっていました。が、
まあとりあえず出してみよう! 
というわけで、課題図書はこの新書3 冊;

『ふしぎなキリスト教』
『イスラムの怒り』
『なぜフランスでは子供が増えるのか?』

はっきり言って、どれも面白いです。
『イスラムの怒り』も、
フランスのイスラム事情にかなりページが割かれていて、
勉強になります。
(学生のためには、ダサくなるのを我慢していただき、
各章のまとめなんかが添えてあったら、
さらに推薦しやすくなったでしょうけれど。)

そうそう、2年生のクラスでは、
管さん訳の『星の王子さま』のブック・レポートを全員に提出してもらったんですが、
これがね、大好評でした。
読んでよかった、課題出してくれてありがとう!
みたいなのが多いんです。

いや、これはお世辞じゃないんです。
今の学生は、嫌いなものは嫌いと書いてきます。
つまらないと感じているレポートは、すぐ分かります。

「ちび王子」、若者たちの胸を打っています!

16課

そうか、8×3=24 だから、
16課が終わった今、2/3 が終わったことになるわけですね。
早いもんですね!

今日のキーフレーズのような疑問詞の使い方は、
会話ではチョーフツーだけど、
教科書には載らないタイプの文の形です。
でもテレビ講座は実践重視ですからね、これでいきます!

さて明日は試験です。
今頃、みんな勉強してるかな??

2011年7月19日火曜日

テレビでフランス語 8月号


「テレビでフランス語」8月号、本屋さんに並びました。

連載の「パリは燃えているか?」は、
ついにモスクに突入します。

それにしても、もう8 月なんですね。
来月号が最後です!

そして友香さんの表紙、
今月もステキです。

芸術と冒険


写真家の藤部明子さんが、
こんな展覧会に出品なさっています;

***********************

芸術と冒険 

日時:2011年6月10日(金)~7月30日(土) 日・月・祝日休廊
会場:ツァイト・フォト・サロン
開廊時間:10:30~18:30(土曜日は~17:30)

出品作家:杉浦邦恵、藤部明子、田中麻記子、いとうまり、賀敏、山脇紘資

http://www.zeit-foto.com/exhibition/2011/art%20in%20adventure.html

http://www.zeit-foto.com/artist/tobu_akiko/index.html

ツァイト・フォト・サロン
〒104-0031 東京都中央区京橋1-10-5 松本ビル4F
tel: 03-3535-7188 fax: 03-3535-7112
email: zf@zeit-foto.com
URL: http://www.zeit-foto.com/index.html

**************************

藤部さん新しいシリーズ、

『3月11日のあとで思ったこと/My Notes After March 11』

が見られるようです。
お近くにおいでのかたは、ぜひ。

夜行バス


今日は最後のゼミ、
「ワールド映画」は全員に発表してもらいました。
(持ち時間:3分以上4 分以内)

それぞれに、整理されていたり、未消化だったり、
資料が正確だったり曖昧だったり、
編集の仕方がうまかったりフツーだったりしましたが、
まあおそらく全員、大学に入って初めてのプレゼンだったでしょうから、
これを糧にして、うまくなってくれればいいと思います。

(うまく、というのは、表面的に、
技術的にプレゼンがうまくなるということではなくて、
考えの深め方がうまくなる、というつもりです。)

入学してわずか3ヶ月ですが、
発表を聞いていて、
すでに入学時とはちょっと違っているはずだと感じられる学生もいて、
頼もしかったです。

「東京詩」のほうは、
先週の発表でやや不十分だった点を、
再度の発表で補ってもらったのですが、
これはわたしも新発見でした。
これは「夜行バス」です。

取り上げられたのは、「くるり」の「グッドモーニング」。
出だしはこうです;

*********************

夜行バスは新宿へ向かう
眠気とともに灯りは消えてゆく 君の腕枕で眠る
夜行バスは新宿に着いた 予定より三十分早く
冬の真夜中のようさ

白い息は道標にもなりゃしない
やけに広い横断歩道手を引きわたる
何処へ向かう

早朝喫茶は夜の香り
男女は音楽の話 女の方が趣味がいいね
早朝喫茶夜が明けて
街を見下ろすコートの群れは色とりどり
行き交う電車の渋滞

*************************

夜行バスで新宿に着き、
そのまま喫茶店に入ったわけですね。

学生の発表によると、
夜行バス的なものは、戦前からあったそうです。
ただそれが戦争で大打撃を受け、
再び活気を取り戻すのは50年代。
その後オイルショックなどで淘汰の時代があり、
やがて国鉄民営化に伴う路線の縮小を受け、
またもや出番が巡ってくる……

夜行バスの盛衰なんて、考えたこともなかったので、
おもしろいなあと感じました。

でもわたしは、乗ったことないんですよねえ……

2011年7月18日月曜日

Fou de toi


暑い日が続いていますが、
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

わたしはなぜか、体調がいいです。
1週間ほど前、唐突に暑さに「慣れた!」と思う日があり、
それ以降はあまり冷房を使わなくても大丈夫。
となると、もちろんいつもやや汗ばんでいる感じではありますが。

ただそうすると1つ問題なのは、
こうしてキーボードを打っている時、
腕の内側と机の接触する面が、
やがて汗でべたつき始めること。
これはちょっとイヤな感覚なので、
今はそこにタオルを挟んでいます。
つまり、机の1番手前のところに、
左右に長くタオルが横たわっているわけです。

では、休日に可愛い1曲。歌詞つきです。
Fou de toi.  Manu Chao;

http://alexandre.delan.free.fr/lyrics/index.php?p=1400

je te vois dans le metro
entre Barbes et Clichy

ぼくはメトロで君を見かける
バルベスとクリシーの間で

ということは、4号線の、18区と9区の境界線あたり、ですね。
東京でいえば、大久保と中野の間で、くらいかな??

ただこの曲が入っているアルバム、中古品で175€(!)もします。
ちょっと高すぎますねえ……

2011年7月17日日曜日

もうすぐ


夏休みが近づいて、
旅行に出かける学生が、ふいに研究室にやってくる時期になりました。
一昨日は、2年前のフランス語のクラスにいた建築学科の学生が、
東南アジアを回るんですが…… と言ってきました。
東南アジア? なぜわたし?
だって先生、社会学のほうですよね?
Non ! ちがいます!(そうだったらよかったけど。)

で速攻、中国語だけでなく広く東アジアに詳しい
林先生のところに連れて行きました。
林さんは「カモン、ベイビー!」スマイルで学生を迎えてくれました。
きっと、ナイス・アドバイスをもらえたことでしょう。

まあなんにせよ、思いだしてくれたのは嬉しいことでした。

2011年7月14日木曜日

twitter & 社説× 3

ツイッターによると、

「東京新聞が原発問題追及をしていることで、
大手企業の広告が減少。これは露骨な経済制裁(……)」
 
という書き込みが。

                           ◆

そして菅首相の「脱原発」表明、
これに対して、朝日、日経、読売の社説は……

http://allatanys.jp/A003/20110714.html

どんな思惑が……?

15課


そしてハート形のパンは、収録後に食べたのですが……
かた!
か~な~り堅かったです。
でも噛んでると、味はおいしいんですけどね、もちろん。

実は最近、パン焼き機を買いまして、
このところその機械で焼いたパンばかり食べています。
焼きたての、切ると、その断面から湯気が上がるパン……
そりゃおいしいですよね。

でももちろん、小麦粉の味の年度毎の差が分かるようになるには、
少なくともまだ10年はかかるでしょうけど。
おいしいパンて、おいしいですよね!

2011年7月13日水曜日

Focus


最近、ある授業のあるレポートで、
原発反対デモについて触れているものがありました。
もちろんそれはレポートのテーマではなく、
書いた学生が例として言及した、ということなんですが。

ただ、それを読んでちょっと気になりました。
その学生は、こんなことを書いていました。

「デモに参加している人の中には、
たんに盛り上がりたいだけの人がいる。
だから原発デモはいやだ」

そしてこれとよく似た展開が、他の個所にもあるのです。
明らかにピントがずれています。

そして先週、ちょうどその学生が研究室に来たので、
訊いてみました。

「で君自身は、原発は反対なの賛成なの?」
「それは……よく分かりません」
「あのね、それはもちろんどっちでもいいんだよ、君の意見なら。
でもね、大切なのは、それなんだよ、君はどう思うのかってこと」

学生は、何を言われているのか分からない表情。
まあそうかな。

「たとえば原発デモに関してなら、
1番重要なのは、原発の是非そのものでしょ?
デモに参加してる人の中に、盛り上がりたいだけの人いるって、
そんなの当たり前、み~~んな分かってる。
だけどそんなこと、重要度はすごく低い、でしょ?」

学生は、自分の書いたレポートを思いだそうとしている様子。

「問題があったら、その中心に切りこんで欲しいんだな、
周辺がどうのじゃなくて。
移民問題でも、騒ぐやつがいるからいやだ、で終わるんじゃなくて、
どうして彼らは騒ぐのか、騒ぐしかないんだとしたら、
それはどうしてなのか、どういう背景があるのか、って考えて欲しいの」

学生はやっと何を言われているのか分かってきた様子。
まあ役に立たないかもしれないけど、
たまたまレポートを通じて出会った仲ですから、
伝えられることは伝えとかないと、と思ったわけです、わたしとしては。

これが先週。
そして今週になって、学生は再び研究室にやってきました。

「もう1回自分のレポート読んでみて、分かりました……
で、ちゃんとした考えを持ちたいんですけど、
それは本を読めばいいんですか?」

本? それはサイコーだよ!
週2冊で、年100冊読めるんだよ。
想像してみて、今目の前に読みたい本が100冊並んでるとして、
それを全部読み終わった状態の自分を。
4年間やったら、400冊だよ。
夏休みにちょっと増やしたら、もっともっといけるよ。

「そうか、引き出しを増やせばいいんですね!」

引き出し……
ちがうとは言わないけど、というか、最初はそれでいいと思うけど、
いつかは、並んだ引き出しが、裏で繋がってくるつもりでね。
箇条書きじゃなくて、ネットワークになるように。
でもそれには、たしかにまずは引き出しだけど。

これは以前となりの研究室にいらした遠山先生の受け売りだけど、
「考え」を進めるときのピースは「概念」だから、
やっぱりたくさんの「概念」を知っておくと、
「考え」を進めやすくなるよね。
語彙が多ければ、文章が書きやすいように。

それから、その学生の好きな写真の話、
(もちろん『スナップショット』を勧めました。)
街の話などして、学生は帰ってゆきました。

ちょっとしゃべり過ぎたかもしれません。
(そこが教員根性のイヤなとこですね、我ながら。)
少しでも役に立てばいいけど。
ガンバレ、ワカゾー、ガンバレ!

2011年7月12日火曜日

Paris, je t'aime.


「ワールド映画」ゼミで実際に映画を見るのは、明日で最後です。
(来週は発表。)
で、何にしようか迷って、『永遠のハバナ』に決めかけ、
でもやっぱり、『パリ、ジュテーム』にします。
これだと、オムニバスなので、
話を膨らませそうなやつだけ見せて、おしゃべりして、
ということができそうだからです。

でも、半期はやっぱり短い。
もっと見せて、もっと読んでもらって、もっと発表してもらって。
そしたら、今より2段階くらい上に行けると思うんだけど。
まああとは、各自で「自分ゼミ」を続けてくれることを祈ります!

2011年7月10日日曜日

Cuisine Frankenstein


梅雨の明けた東京、ア・ツ・イです!

先日ジャニックさんとしゃべっていて、
まあ彼女としゃべっていると、色々面白いことを教わるのですが、
話が例の「フランケンシュタイン」の比喩に及ぶことがありました。
人間が作り出し、けれど手に負えなくなって暴走するもの、
というものの比喩でした。

「フランス語には、cuisine Frankenstein ていう表現があるの」

ジャニックさんが挙げていたのは、
OGM (Organisme génétiquement modifié・遺伝子組み換え作物)
のようなものだったんですが、
こんな記事もありました。

http://www.7sur7.be/7s7/fr/1524/Cuisine/article/detail/1141816/2010/08/06/L-assiette-Frankenstein-bientot-dans-les-cantines.dhtml

なるほど。
クローン技術や、遺伝子組み換え技術によって作り出される肉や野菜、
ということですね。
(英語でも、Food Frankenstein という言い方があるようです。)
この記事ではassiette と言っていますが、同じことですね。
でも、こんなものが学校の食堂で出されるとなると……

ああ、ちょっと涼しくなってきました。(背筋が……)

2011年7月8日金曜日

「こころ」創刊!


本が売れない、雑誌が……
というセリフを聞き続けてもう20年? 30年?
という感じですが、最近ある雑誌が創刊されました。
その名も「こころ」(平凡社)です。

このところ風呂で読んでいるのですが、
これがなかなか楽しい。
巻頭エッセイは堀江さんで、創刊号の巻頭ですからね、
雑誌の傾向を示しているのでしょう。
リレーエッセイには西江雅之先生も登場なさっています。

http://www.heibonsha.co.jp/kokoro/

対談あり、特集あり、コラムありで、840円!
安いです。

2011年7月7日木曜日

言葉が


3 日の日曜日、
渋谷での「言葉のポトラック」後の集合写真です。

*もっと大きくて見やすいものが、管さんのブログにアップされています。

http://monpaysnatal.blogspot.com/

この写真を見ると、ここでこのメンバーと、
そして来てくださったみなさんと一緒に過ごせたことの、幸せを感じます。

そして言葉が、いつか波紋のように広がりますように。

          ◆

3 月に行われた「言葉のポトラック・第1回」の作品が、
可愛くステキな冊子になりました。


1冊1000円で、その内200円は義援金に。
取扱店は以下の通りです;

●都内
池袋  ジュンク堂本店9階<カタリココと私>展会場
千駄木 古書ほうろう
目白  ポポタム
茅場町 森岡書店
東池袋 古書往来座
青山  ギャラリーときの忘れもの
渋谷  フライング・ブックス
西荻窪 音羽館
吉祥寺 百年

札幌  書肆吉成
金沢  オヨヨ書林
名古屋 シマウマ書房
名古屋 ちくさ正文館
大阪  イトヘン・ギャラリー
倉敷  蟲文庫
福岡  キューブリック

もちろん、サラヴァ東京でも買えます。
わたしも昨日、じっくり読みました。
ぜひ多くの方に、読んでいただきたいと思いました。

*サラヴァ東京は、渋谷の東急本店の奥、
Bunkamura 入口近い、松濤交差点に面したファミマのB1です。

14課


今日の第14課、いかがでしたか?

ハイチは、わたしもなぜか親しく思っている国です。
わたしにとって大きかったのは、佐藤文則さんの写真を見たこと。
今日の放送でも、佐藤さんの写真が使われていましたね。

http://www.k2.dion.ne.jp/~satofoto/

それともう1つは、やっぱり音楽かな。
メリッサ・ラヴォーや、エムリン・ミッシェルや、
ワイクリフ・ジョンや、アンポスや。

愛すべきハイチが、なぜあそこまで貧しくなってしまったのか、
その理由は、フランス帝国による長く激しい搾取以外にも、
いくつかあるだと思いますが、それはまたいつか……

そうそう、途中に出てきたお菓子のお皿に、
ピンク色のメレンゲが載ってましたね。
あれは、フランボワーズのメレンゲです。
舌に乗せるとサラッと崩れて、
後に甘酸っぱい香りが残るという、ステキなお菓子です。

ああ、食べたくなってきた!

2011年7月5日火曜日

フランス詩の現在と対話する


今発売中の「現代詩手帖・7月号」の特集は、

「詩人たちの春 2011 ~フランス詩の現在と対話する」

です。
結論から言うと、読み応えがあって、
今のフランスの詩に興味があるなら、まちがいなく「買い」です。

個人的に印象に残ったのは、
日仏の詩人たちの座談会での、フランス人詩人2人の発言です。
彼らはこの30~40年、
いかにシュルレアリスムを超えるかに腐心してきたというのです。

今フランスには、自ら「シュルレアリスト」だと公言する詩人たちがいます。
今回詩手帖に登場の2人は、
彼らの対極にいるのでしょう。
「現代詩シーン」なんて言葉があるかどうか知りませんし、
必ずしもそれ自体に興味があるわけでもありませんが、
この対照は面白いと思いました。

またこの座談会の中で、
日仏で話がかみ合わないところがあるのですが、
その噛み合わない感じがとてもリアルで、これも面白い。
そしてなんといっても、
どなたが訳したのか分からないのですが、
フランス人の発言が分かりやすく訳されていて、とても読みやすかったです。

もちろんフランス詩人の作品も掲載されています。
ね、面白そうでしょ?

2011年7月3日日曜日

「言葉のポトラック」


今日は渋谷のサラヴァ東京で、「言葉のポトラック」に参加してきました。
「ポトラック」というのは、「持ち寄り弁当」のことで、
つまり、言葉を持ち寄ろう、という企画なんですね。
きっかけは、3.11 だったそうです。

で今日、参加させてもらったわたしが言うのもへんですが、
とてもいいイベントでした!!
(わたしにとっては、参加させてもらって幸運でした。)

壮大な詩あり、ユーモアのある詩、音の面白さを感じさせる詩、
フランス語の詩、ポルトガル語の詩、
台湾語・中国語混じりの詩、
セルビア語混じりの独り芝居(?)、カフカの短篇、
そして締めには音楽演奏まであって、
まったく飽きない、あっという間の2 時間+α でした。
安くはない入場料で来てくださったみなさんには、
ありがとうございました。
(もちろん、お約束通り、経費以外は義援金に回ります。)
 
また今日のイベントは、やがてFM東京で放送される予定です。
また、You Tube にもアップされるかも。
またご報告しますね。

この前の水曜の吉増剛造特別講義と言い、
また今日と言い、
充実したイベントが続いて、いい日々です!

2011年7月1日金曜日

アニマ


今日の授業(の雑談!)では、
フランケンシュタインと「千の風になって」の話をしました。
(それは最近友人と話したことでもあります。)

フランケンシュタインは、人間(=博士)が作って、
でも一旦できてしまったら、もう人間の手には負えなり、
その暴走をとめられなくなるという話で……

それって「今」のこと?
と言いたくなるくらいです。
そして50年後100年後、
今の原発の何十倍、何百倍の威力をもった何物かを人間が作り出し、
いつかそれが暴走し、人間の手に負えなくなったとき、
人類は滅亡するのでしょう。

もちろんそんなことは望んでいません、もちろん。
なんとか回避して欲しいと願うわけですが……

そして「千の風」。
この歌がアニミスムだとは、繰り返し言われた気がします。
やっと原始宗教を乗り越え、近代宗教を打ち立てたのに、
と嘆いていたエライお坊さんもいました。
でもこの歌が流行るということは、
人々の中に、アニミスム的感性が残っているということなのでしょう。
もちろんわたしたちは、
合理主義的教育を受けてきたわけですが、
頭脳とメンタリティーは、また違うということなのでしょうか。

そしてもし、
そうしたメンタリティーをもって自然と相対していたら、
そういう感性を大事にしながら社会を作っていたら、
今のような日本にはなっていなかったかもしれません。

……というようなことを、話してみたわけです。
3,4年生の授業では、まあわりと聞いてもらえたかな。
でも1年生の授業では、あまり関心を呼ばなかった気がします。
話の展開を工夫して、来年こそは!