2012年12月31日月曜日

よいお年を

今年もあと、6 時間ほど。

今朝は食事をしながら、
昨夜録画したNHK の旅番組を見ました。
われらが友香さんが、イスタンブールを訪れるのです。

魅力的な街ですね、イスタンブールは。
いくつかの番組でこの街が紹介されるのを見てきましたが、
今回が1 番よかった、かな。
(アジア側にはいかなかったけれど。)
ただ途中、友香さんが料理教室に参加する場面があるのですが、
その参加者の中に、1人フランス人がいらしたので、
友香さんに一言、Bonjour ! と言って欲しかった!
(それとも、言ったのだけど、編集されてしまったとか?)

実は昨日見たAmerica America でも、コンスタンチノープルの場面は長くあり、
また『移民』の中でも、
ちらりとコンスタンチノープルの名前が登場し……
なんとなく、奇遇だなあと思ったのでした。

さて、もうすぐ西暦2013年です。
(イスラム歴なら、明日は1434年2月18日で、11月4日には35年に。)
みなさんにとって、よい年になりますように!

2012年12月30日日曜日

傑作

で、見てみました、America America。

一言でいうなら、これは傑作です。
すばらしい。
見始めてから気づいたのですが、
実は3 時間弱の長尺です。が、
飽きるところ、間延びするところ、一切なし。
貧しさ、厳しさ、狡さ、激しさ、温かさ、弱さ、後悔、希望、愛……
3 時間かかるのもやむなしです。

この映画、もとはと言えばエリア・カザン自身が書いた小説の映画化。
トルコからの、ギリシャ系移民という、自らのルーツと向き合った、
監督が50 歳過ぎた頃の作品で、
まあ若い監督には撮れない気がします。
話の内容はまったく違うけれど、
ヴィスコンティの『若者のすべて』を思い出したりもしました。

goo 映画の「あらずじ」をコピペしますね。
ちょっと長いですが、まあ3 時間ものですから。
でもこれだけでも、すごそうなのは伝わると思います。(一部改変)

1896年のトルコでは、ギリシャ人やアルメニア人が政府の弾圧に苦しめられていた。
ギリシャ人の青年スタブロスは、
親友のアルメニア人バルタンからアメリカの話を聞き、
そのきらびやかで自由な国アメリカに対して異常なまでの憧れを持つようになっていった。
そんなとき、親友バルタンが、トルコの圧政に反抗したために殺された。
スタブロスの自由への渇望は爆発し、彼はアメリカへ行く決心を固めた。
その頃、素足を引きずりアメリカを目指して旅するアルメニア人ホハネスと出会い、
スタブロスは靴を与えてやった。
スタブロスの父親は、息子のアメリカ行きを許すことにした。
息子が成功し、家族を一人ずつ呼び寄せること、
これ以外にこの家族が託せる希望はなかったからだ。
家族の全財産を託されたスタブロスは、
まずコンスタンチノープルで敷物商を営むいとこのオデッセのもとへ。
しかし道中スタブロスは、悪賢いトルコ人アブダルに貴重品をまきあげられてしまう。
オデッセは、無一文のスタブロスを、町の金持ちの娘トムナと結婚させようとする。
が、独力でアメリカに渡ろうとするスタブロスはこれを断り、港の運搬夫となって働く。
アメリカへ行くという目的が、彼をどんな重労働にも耐えさせた。
そんな彼の口ぐせから、スタブロスは“アメリカアメリカ"と呼ばれるようになった。
しかし、そんな苦労をしてためた金も微々たるもの。
再び金を盗まれたスタブロスは、ついに金持ち娘トムナとの結婚を選ぶ。
彼は自分の意図を隠し続けるが、ついにはトムナに本心を打ち明け、
持参金のかわりに渡航費をもらい、アメリカに向かって出発する。
船中スタブロスは、靴みがきの一団に加わってアメリカに向かうホハネスに再会する。
ホハネスは、正式な手続をしていないスタブロスがアメリカに上陸できないことを知り、
肺病で先の短い我身を海に投げて、
スタブロスを自分の身がわりとして上陸させるのだった。
そしてアメリカの街の片隅で、懸命にブラッシを使うスタブロスの顔は、明るく輝いていた。

ここで「金持ち娘」と簡単に片づけられているトムナですが、
彼女はとてもやさしい娘さんです。
(時代や場所を考えると、自立心がない、という批判をする気にはなれません。)
そして彼女がいい人だからこそ、スタブロスは、
「アメリカに行ったって、君みたいな人には二度と会えないだろう」
と言うのです。ただそれでも、
彼はアメリカ行きの船に乗ります。
それはもちろん、家族が、
妹たち、弟たち、母、父が待っているからです……

英語版(吹き替え? オリジナル?)で、
字幕はフランス語ですが、
大傑作だとわたしは思いました。

2012年12月29日土曜日

America America

エリア・カザンと言えば、
『欲望という名の電車』や『波止場』、
そして『エデンの東』で知られる監督ですが、
彼の1963年の作品に、『アメリカ アメリカ』があります。

この映画、わたしは見たことがないのですが、
今日読んでいた記事に登場し、ぜひ見たくなりました。
ところが探してみると、有名監督の作品なのに、
日本版のDVD もVHS もないんですね。
で、まずはアマゾン・フランスで見ると……
あるんですが、現在入手不可。
で、やっぱりアマゾン・USAはと見ると……
やっぱりありました。
なにしろ、『アメリカ アメリカ』ですからね。
しかも送料込みで、17ドル。
でも待てよ、もしかして……
なんと、ありました、YouTube に!

http://www.youtube.com/watch?v=3hnI-nKoJug

この作品は、いわゆる「移民映画」(というグループがあるとするなら)に
分類されるようです。
そういえば、Amerrika もまた、移民映画でした。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/11/amerrika.html

そしてこれもまだ未見のNous York。

http://tomo-524.blogspot.jp/2012/12/blog-post_1311.html

これはフランス映画ですが、
『アメリカ アメリカ』の遠い木霊とも言えるだろうと、
見る前から確信しているのでした。
(明日に続く)

2012年12月28日金曜日

Merci mille fois.

昨日あたりからそういう報道もありましたが、
ついに松井選手がユニフォームを脱ぐんですね。
彼のプレーに、何度も一喜一憂しました。
ずいぶん、楽しませてもらいました。
超一流の選手だと、(みなさん同様)わたしも思います。
今思えば、ファンだったんだなあ、とも。
ほんとに、気持ちのいい選手でした。

小学校の頃、最初に好きになった選手は、
ドラゴンズの中暁生でした。
やわらかくて、しなやか。
それから、いかつくてごつい江藤慎一。
そして江夏、藤田平、平松、近藤雅、ワンポイントの平岡……
と並べても、あまり通じない、かな?

      
         ◆

年末なので、
なにか静謐なものを読みたい気がして、
本棚を眺め……、選んだのはゼーバルト。  
久しぶりに『移民』を読み始めました。



2012年12月26日水曜日

マラウイ

北国の方には笑われること必定ですが、
今日の東京は風が冷たくて、外にいると、
寒い! と感じる日でした。が、
それでも午後、近くの(大きな)公園を散歩していると、
池のそばの芝生に座り、ラジカセを響かせている3 人組が。
どうやら3 人ともアフリカ系のようです。
音楽はズークのリズム。

で、彼らの脇に通りかかると、
「コンニチハ! サムイネ!」
と、気の良さそうな1人が声をかけてきました。
話してみると、彼はマラウイから働きに来ているそう。
「洗い場、タイヘンヨ」
とニコニコしながら話します。
残りの2 人は、あんまり日本語ができないらしく、
あとは英語で。
(ただ訊いてみると、わたしが加わる前に3 人が使っていたのは、
チェワ語、だそうです。
今 wiki で見たら、チェワ語は国語だということで、
それなら当たり前ですね。)

気のいいお兄さんが、
おれはこの近くに住んでるんだけど、
この2 人はオレに会いに来たんだよ、
と言うので、わたしは、
それはずいぶん遠かったでしょ?
と言うと、3 人ともポカンとしています。
でもないよ、2 人は厚木に住んでるから。
なんだ、わざわざアフリカから会いに来たのかと思った!
で、みんなで笑い合うという、
じつに他愛なくて、でもちょっと楽しい雰囲気でした。

アラウイは南アとも近い関係ですから、
『ツォツィ』のことを尋ねてみると、
やはりよく知っていて、
「ツォツィ」っていうのは、theif のことなんだよ、と。
(ただ以前調べた印象では、
もう少し強い(=悪い)意味でしたが。)

そうそう、彼らが聞いていたのは、
ザンビアのミュージシャンの曲だということでした。
名前は、忘れちゃったよ! だそうです。

Nice to meet you. と言い合って、
それぞれと握手して別れた午後でした。

2012年12月24日月曜日

『日本美術全集』、第1 回配本!

今日本屋さんに寄ったところ、
レジのすぐ脇のワゴンに、
なにやら立派な本のサンプルが。
その名も、『日本美術全集』。
第1回配本の、「法隆寺と奈良の寺院」でした。

http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%BE%8E%E8%A1%93%E5%85%A8%E9%9B%862-%E6%B3%95%E9%9A%86%E5%AF%BA%E3%81%A8%E5%A5%88%E8%89%AF%E3%81%AE%E5%AF%BA%E9%99%A2-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%BE%8E%E8%A1%93%E5%85%A8%E9%9B%86-%E5%85%A820%E5%B7%BB-%E9%95%B7%E5%B2%A1/dp/4096011029/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1356354202&sr=8-1

なにしろ1冊 15,750 円、しかも全20 冊ですから、
おいそれとは買えないシリーズです。が、
それでもちょっと揃えたくなるのは確かです。
カヴァーしている範囲は、「創世記」からなんと「未来」まで!

実はこの小学館から出ているこの全集、
編集長は大学時代からの友人です。
で、彼から、この壮大な全集については聞いていたのですが、
今日初めて、書店で本物を見た、というわけです。

でもこのスケールになると、
編集長としても、ほとんどワイフ・ワークに近いのでしょうか。
いい全集になることを祈念しています!

2012年12月23日日曜日

La Vérité si je mens ! 3

今年の興行成績 TOP 10 in France です。

http://fr.cinema.yahoo.com/blogs/actualite/films-les-plus-vus-au-cinema-en-2012-100836069.html

Top 10 : les films les plus vus de 2012 en France

1. Skyfall
2. L'Âge de glace 4 : La Dérive des Continents
3. Sur la piste du Marsupilami
4. La Vérité si je mens ! 3
5. Avengers
6. The Dark Knight Rises
7. Twilight - Chapitre V : Révélation - 2e partie
8. Astérix et Obélix : Au service de Sa Majesté
9. Madagascar 3 : Bons baisers d'Europe
10. Le Prénom


第4 位は、これ。

http://www.youtube.com/watch?v=pxQ4Et2_-BM

シリーズの「1」は、
『エキゾチック・パリ案内』のなかでも触れた『原色パリ図鑑』。
これは国内版(VHS 版ですが)があります。
「2」は、フランス版DVD のみ。
そして実は、「3」もすでにDVD が出ています。

フランスにおけるユダヤ人社会、が舞台であるこの映画、
やっぱり日本では、公開されにくいのでしょうか。



2012年12月22日土曜日

2012年12月21日金曜日

一応ほっと

今日をゴールと思っていたわけではないのですが、
大学関連の授業や会議が終了した今日は、
やはりすこしほっとした感じがあります。
なんとか乗り切れてよかった!

特に今週は風邪気味で、
ちょっと心配だったのですが、
休講するところまではいかずにすみました。

そして今日は、大学にクリスマス・カードも届きました。
(Merci !)
なんでも今年は、
東京でもWhite Christmas になるかもしれないとか。
でもまあこんなこと、雪の多い地方の方から見れば、
「苦笑」というところなのでしょうけど。

そういえば今日は、
北海道出身で、ロシア語を選択している学生が、
年末の挨拶によってくれました。
そういうのも、うれしいですね。

2012年12月20日木曜日

待ち受け


このところのPC の待ち受けには、
あのKUSAMA の絵(?)を使わせてもらっているのですが、
先日朝日新聞の夕刊に、
建畠哲によるこの草間ブームの分析が掲載されていました。

その中の一節で、
ああ、なるほど、と思ったのは、
彼女の作品が、いわゆる「近代的な自我」なんていうものを超え、
いわば宇宙的なものへの回路を開いているから、
というものでした。
(このままの言葉ではありませんでしたが。)

そうなんですね。
そういうものを感じていたんだと思います。
たとえそれが、アーティストの極私的隘路から、
不可避的に湧き出たものであっても、
あるいはだからこそ、
超える、ということが起きているのかもしれません。

人気があるのは当然ですね。

『朗読ダイエット』

朝日新聞の人生相談コーナーでその名を見かけると、
必ず読むことにしているドリアン助川さんの新刊、

『朗読ダイエット』(!)

http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%97%E8%AA%AD%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88-%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3-%E5%8A%A9%E5%B7%9D/dp/490350087X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1355970130&sr=8-1

相当の効果があった実例が紹介されているのですが、
まずはなんといっても、
絶対安全 & 副作用ゼロ、は間違いないですね、朗読ですから。

しかも読んでみると、タイトルに反して、
「ダイエットそのものは目的ではない」(!)と書かれています。
朗読を通して、

「古今東西の文芸作品に触れること。
あるいはオリジナルの作品を書き上げること。
自分の声で物語を再構築すること。
理想的な声を得ること。」

背景にあるのは、
「脳は脳だけで生きるにあらず」。
という視点です。
(そういえば、スーフィーである「イブラヒムおじさん」も、
こんなこと言ってましたね。)

さ、やってみますか?

http://www.youtube.com/watch?v=OaRL95rYt1g

巻末には、朗読用のフランス語のテキストもついてます。
そうか、フランス語でもいいわけですね!
(もちろん何語でも!)

ドリアンさんは、これで仏検4 級取得したそうです。
朗読恐るべし!

(そしてこの本の表紙で、
可愛らしい女性が手にしている本は……)

2012年12月18日火曜日

B & B で会いましょう!

『エキゾチック・パリ案内』の刊行を機に、
港千尋さんとおしゃべりをすることになりました。
年明けの、1月8日です。

http://bookandbeer.com/blog/event/20130108_paris/

港さんの『パリを歩く』については、
「ふらんす」で書評も書いたし、
ここでも触れました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/08/blog-post_15.html

このブログを書いたときは、
こんなこと考えてもいなかったので、
不思議&新鮮です。

よろしければ!





Bon anniversaire, Janick !

昨日の夜は、神保町のワインバーで、
ジャニックさん(ともう一人のフランス人女性)の(合同)誕生会でした。

40人ほどもいたでしょうか、
8 割ほどがフランス人で、とても賑やかな会でした。
ロシア系、アフリカ系の人たちもいて、いい感じ。

中に1人、ジェーン・バーキンとも仕事をしていた、
フランス人女性歌手が。
彼女が仕切って、
まあずいぶんたくさん歌を歌いました。
輪唱の曲では、3 パートに分かれて。
フランス人がこんなに歌うの、初めて見ました!

わたしにとっては、
久しぶりにNHKの人に会ったり、
またなかなか会えない先生たちにも会えたりして、
+α の楽しみもあり。

ただ……
実は昨日から風邪気味です。
なんとか明日を乗り切らないと!

2012年12月15日土曜日

リツイート

リツイートします。

http://twitter.com/quikion

小熊英二
自民圧勝を避けたいなら、当面の方法は一つ。
「選挙区内の非自民候補で一番勝てそうな人」に入れること。
現状なら自民は得票率3割で圧勝できる(比例区の得票率はその程度)。
残りの7割が分裂していて、選挙協力もせず、みんな共倒れするからだ。
脱原発支持の世論が7割以上でも選挙結果はそうなる。


2012年12月14日金曜日

未来の

新潮社の本が、kindle から引き上げられている、
という報道がありました。
詳細はわかりませんが、
なんらかのトラブルがあったようです。

電子書籍については、
多くの人が多くのことを語ってきたし、そのなかには、
なるほど! という内容もありました。

たとえば、「電子書籍は友達に貸せない」。
紙じゃないので、その通りですね。
(つき昨日も、紙の本を同僚から借りました。
ああいう風に、気軽に貸し借りできないんですね。)

あるいは、「本棚に並べられない」。
もちろん画面上では並べられますが、
そういうことではないんですね。
この物言いの背景にあるのは、
本棚という存在についての理解そのものです。
つまり、本棚とは、読んだ本を並べる場所ではなく、
これから読もうと思う本を並べる場所、
それを読み終わっている自分になりたいような本を並べる場所、
だというわけです。
だからこそ、日々その前を通ることで、
ああ、これを読まなくちゃな、と思うのでしょう。
電子の場合、わざわざ先に買っておかなくても、
「実際に読むときに」買えばいいわけですから、
未来の本棚にはならないわけです。

Mmmm、
たしかにわたしの本棚にも、
これを読み終わっていたい本、
見終わっていたいDVD が、
たくさん列をなしています。
冬休みこそ!

まじめな

昨日は1限から3コマ授業があり、
その後数時間開いて18 時から会議を1.5 時間、
さらに同じメンバーで駅前の焼肉屋に移動し、納会。
なかなか長い1日でしたが、
焼肉屋さんが期待以上においしくてラッキーでした。

その店でわたしが座った大きなテーブルは、
計7人で囲んだのですが、
事務の方が3人、物理、応用化学、情報科学の先生が各1名で、
ふだんとは違う話題で盛り上がり(?)ました。
理系の先生たちって、基本、素直を言うか、まじめと言うか、
すれてないというか、そういう方々であるという印象です。
(何も文系教員が、その反対だというわけじゃありません!)

年の瀬ですねえ。

2012年12月11日火曜日

現代詩年鑑 2013

今年もこの時期になりました。
現代詩手帖12月号は、恒例の「現代詩年鑑」。
もちろん「2013」ということになります。

http://www.amazon.co.jp/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E8%A9%A9%E6%89%8B%E5%B8%96-2012%E5%B9%B4-12%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E9%9B%91%E8%AA%8C/dp/B00A7BI5VS/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1355233467&sr=1-1

安くはないけれど、
詩人たちの「今年の1作」が収められていて、
全然気づかないうちに発表されていた作品も少なくありません。
今年の1月に亡くなった新井豊美さんの詩もあります。
(来年は、ないんですねえ……)

まだ全部読んだわけではないのですが、
木坂涼さんや川口晴美さんのやわらかな詩も、
粒来哲蔵さんのようなギュッとした詩もいいです。

 腐ったまま菌類の餌食と変わり果てた巨木の骸の洞から、
どうかすると当の蔓の新芽の葉先が、木漏れ日を浴びてう
ねうねと体をくねらせながら、なおも新たに身を委ねるのに
適わしい頃合いの樹幹を探索する姿勢を見ると、それは
もはや妄執としか言いようがない。見るがいい。新芽の葉
先はまるで光る舌のようだ。もしかすると、巻かれ巻かれ
て巨木は喜悦のうちに倒壊したのではあるまいか。
                           (粒来哲蔵「妄執」より)

さすが。

そしてもちろん、われらが管啓次郎さんの作品も収録。
しかも4 篇。
ぜひ!

2012年12月9日日曜日

朝日・紹介

今日の朝日新聞の書評面、
の「新書」コーナーで、
『エキゾチック・パリ案内』が紹介されています!

http://book.asahi.com/reviews/column/2013012700001.html?ref=rss2&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

このコーナーは、
ふだん自分でも毎週チェックする場所です。
だから、というわけでもないのですが、
この「新書」紹介コーナーで取り上げてもらえることが、
目標(というのも変な言い方ですが)の1つでした。
それが、発売から1か月も経たずに取り上げてもらって、
感謝感謝です。
多くの方が手に取ってくださいますように……

保存のためにコピペします。

***********************************

パリのユダヤ、アラブ、アフリカ、アジア、インド人街を取りあげ、豊富な写真や地図と共にパリの歴史の奥深さを紹介している。読みすすむほど、パリのざわめきや匂いが伝わり、街中を歩いているかのような気持ちとなる。

 ユダヤ人街のロジエ通りには「アディダス・オリジナル」がある。特別なお店がなぜこの通りにあるのか。それは創業者のダスラーがドイツ系ユダヤ人だから。アラブ人街のバルベスのマルシェ(市場)は、パリで最も活気があり、また物価が一番安いところで、著者はその混沌とした様子を「眩暈(めまい)」と表現する。ヨーロッパ最大の中華街がある13区は、様々な経緯を経てやってきた中華系移民のうねりが集結した魅力ある場所だ。“オシャレで洗練”ではなく“ダイナミックで壮大”な文化がある。

 おいしそうなイディッシュ料理店、クスクス料理店、アフリカ料理店などが紹介されるのもうれしい。よそ者たちがパリに溶け込み文化の華を咲かせた。その種が実らせたエキゾチックな果実を味わえる本だ。

2012年12月8日土曜日

多謝!

若き友人中村さんが、
書評を書いてくれました。

http://mangrove-manglier.blogspot.jp/2012/12/blog-post_7.html

パリでも、ほんとに中村さんにお世話になりました。
中村さんがいなかったら、この本はできなかったかも。
(本文中に、13区のガブリエル・フォーレ高校の写真があるのですが、
これは、わたしが撮り忘れてしまい、
あとで中村さんがわざわざ撮りに行って、送ってくれたものです。)

多謝!!

2012年12月6日木曜日

子供たちの子供たちの子供たちのために

選挙の季節です。
世論調査によれば、自民党圧勝、なのだとか。

自民党と言えば、最近話題は、国防軍、でしょうか。
早稲田大学の水島朝穂教授(憲法学)によれば、

「国防軍になれば、必要最低限の力という憲法解釈上の制約からも解き放たれる。
軍隊なのだから、あれもこれもできて当たり前という論議が起きるだろう。
核武装も、徴兵制も、という話が出てきてもおかしくない」

ということだそうです。

国防軍、わたしは賛成できません。
それに今投票権を持っていない人たちは、
やがて自分が徴兵に取られることを、
望んではいないでしょう。

見に行きた~い!

11月07日公開、だそうですが、
早くDVD にして!

http://www.youtube.com/watch?v=f_fl8uDiDmI

軽そうですけど、
これって実質 Tout ce qui brille 『きらきらしてる』の続編ですね。

物語の始まりは、(メディの実家のある)ナンテールのようです。
そこから、移民系フランス人たちが、
NY に繰り出すわけですね。
郊外フランス人の星であるオバマのTシャツを着て。
(彼らがこのTシャツを着るのは、
単に「おのぼりさん」的状況を示しているだけではないのですね。)

なんでも

今日、通勤の途中で聞いていたラジオによると、
「アクチュアルに本を買う人」、
つまり月に何冊か本を買い続けている人は、
おそらく10万人程度だろうという説があるそうです。
(昔はよく買った、という人は含まれません。)

でも待てよ、ベストセラーって、100万部??

これはつまり、普段は本を買わない層まで買った結果だ、
というのです。
まあ、言われてみれば当たり前という気もしますが、
もしこれが本当だとすると、
いわゆる固い本は、おいそれとは売れないわけですね。
出版社がどこも苦労するはずです……

子供のころから、本があるのが当たり前、
という生活になるような教育が、期待されます。
ただその場合、わたしが思うには、
「名作」である必要はないと思うんです。
子供のころに「名作」を押し付けられたばかりに、
本そのものに対して敬して遠ざける感じが身についてしまうなら、
それはモッタイナイと思うからです。
最初は、楽しく読めるものなら、なんでもいいと思うのです。

一夜

というわけでジュンク堂のセッションでは、
なかなか楽しいひと時を過ごせました。
翻訳者である管さんのフランス語原文朗読、
それに続く、金沢碧さんのしっとりした訳文朗読。
いいものです。

金沢碧さんは、
わたしが高校生の頃見たイメージを、
品よく保っていらっしゃいました。
あの頃、こんな風な形でご尊顔を拝する日がこようとは、
考えられるはずもないですねえ。

そしてイベント後は、
初めて『エキゾチック・パリ案内』の読者だとおっしゃる方とお話したり、
テレビを見てくださっているという、
こちらはジュンク堂の若い担当者の方とお話したり。
こうして、リアル世界に読者や視聴者がいてくださることがわかるのは、
やはり励みになります。

2012年12月3日月曜日

明日!

明日、池袋ジュンク堂にて、こんなトークセッションが。

http://www.junkudo.co.jp/tenpo/evtalk.html#20121204_talk

Mmmm...
金沢碧さんと言えば、やはり「俺たちの旅」をまぶしく思い出します。
高校生の頃、毎週見てました。
そして、それを知った国語の先生も見てみたらしく、
ある日授業で、
「あれは刹那主義だ」
と言い切りました。
刹那主義という言葉を知ったのは、その時でした。

2012年12月1日土曜日

新宿の

昨日の夜は、新宿で、
『エキゾチック・パリ案内』を担当してくれた若手編集者と、
打ち上げをしました。
といっても、総参加者は2名ですが。
楽しい一夜でした。

彼女とは、もう色々だべってきたはずなのですが、
それでも、思わぬところで繋がりがあることが発覚したりして、
やっぱり世間は狭いなあ、と思わざるを得ませんでした。
たとえば、わたしがパリでとてもお世話になった中村隆之さんが、
平凡社新書のかつての編集長、
つまりかつての直属の上司と知り合いだったとか。
まあ編集長ともなると、
もちろん知り合いはとても多いのでしょうけれど。

それにしても、夜の新宿は、
わたしが1番よく知っている1975年頃、
つまり35年以上前と、
ほぼ同じにおいがします。
(これが60年代、50年代まで遡ると、
そこにははっきりした差があるのでしょうか?
たぶん、ないのだろうと思います。
新宿のにおい、でしょうか。)
そして、やや「文学」的に言うなら、
あの雑踏の中に、
かつての自分がいそうな気さえしたのでした。

明日の土曜は、学内業務のため出勤です!