2025年4月3日木曜日

『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』

テイラー・シェリダン特集、
今回は、先日見た『ボーダーライン』の続編、

『ボーダーライン:ソルジャーズデイ』(2018)

を見てみました。
テイラー・シェリダンは脚本を担当しています。


『ボーダーライン』で主人公(の一人)だったギリックが、
物語の中心にいます。
メキシコのカルテルに対する新たな作戦が始まるのですが、
今回、よりはっきりと示される前提事実は、
今やカルテルは、麻薬よりも、
むしろヴィザを持たない移民を、
アメリカに密入国させる仕事に中心をシフトしている、ということです。
一人1000ドル。
麻薬より簡単で、
客はどんどん来る。
途中で死んでも文句も出ない、
というわけです。
悪い奴らです。

ただこの作品は、
全体としては、わたしが思うシェリダンらしさは弱かった気がします。
ギリックの抱える悲しみの描写が少なかったこと、
彼の傍で変化する人物がいなかったこと、
風景描写が少なかったこと、
などが理由です。
特に、ギリックの行為や倫理を相対化する人物がいなかったことで、
物語の立体感が弱かったのだ残念です。
やはり「物語」には、変化する人物が必要なのでしょうか。

ただ、ギリックを演じたベニチオ・デル・トロは、
なかなかいいです。
古いタイプのフィルム・ノワールが似合うタイプですが、
わたしは好きになりました。
(ウェス・アンダーソンの『フレンチ・ディスパッチ』では、
異様な画家の役でした。
また、これには、カメオ出演していました;


古くは『ユージュアル・サスペクツ』にも出てました。)