ゲーテがね、
はい、
もっと光をって言ったっていう話あるだろ。
あれは、近くにきれいな女の子がいて、
その子がよく見えないから、
もっと光を! って言ったってことらしいいんだ。
あらら、そんなことだったんですか。
どうもね。
でもまあ、川端だって、
晩年、踊り子たちを見にキャバレーに通ったって言うし。
そうそう。
バルザックも……
あれは精力の塊だったしな。
やっぱり、たくさん仕事する人たちって、
肉食系なんですかね?
じゃ、村上春樹は?
彼は草食系?
すごい肉食ってわけじゃないわな。
やっぱり、売れる人って、
時代の空気と合ってるんですね。
そうりゃそうだろ。
しかも、合わせるんじゃない、合っちゃうんだ。
それくらいじゃないと。
あのモーツァルトでさえ、
19世紀には人気がなかったていうだろ。
あのイケイケの時代には。
資本主義も。
帝国主義も。
で第二次大戦では、ワグナーが呼び出されて。
そういうこともあるな。
英語圏の研究者が、
たとえばフランス映画を語る場合でも、
やっぱり、このポスト・コロニアルな時代においては、
という感じの議論がまず基本にあるようなんですけど。
ドイツなんかは、そうでもない。
ドイツには、ポス・コロ的問題はあんまりない。
植民地競争には、
ずいぶんあとからさんかしたわけだし。
トルコ系移民は?
それは多少は、ポス・コロ的ではあるだろうけど、
たとえばアルジェリアみたいな旧植民地からの移民、
とはちがうわな。
たしかに。
でフランスでは、ポス・コロ的視点からの思考って、
アメリカほど熱心じゃないというか。
そりゃ、自分たちの過去の清算ていう問題に帰ってくるからな。
ドイツでは、ポス・コロがそれほどでもないなら、
そこはやっぱり?
そう、ナチ問題な。こっちのほうがはるかに大きいよ。
ですね。
たとえば、わたしB型なんで……、とか言う人もいるけど、
こうした言い方は、ドイツじゃあんまり歓迎されない。
それは?
この血液型=性格、みたいなのは、
ナチの考え方に通じるからさ。
ああ、たしかに。
北米でも、
自分じゃどうしようもないことは問題にしない、
みたいなのがあるって聞きました。
そこには血液型も入るわけですね。
そういうことだな。