2012年12月30日日曜日

傑作

で、見てみました、America America。

一言でいうなら、これは傑作です。
すばらしい。
見始めてから気づいたのですが、
実は3 時間弱の長尺です。が、
飽きるところ、間延びするところ、一切なし。
貧しさ、厳しさ、狡さ、激しさ、温かさ、弱さ、後悔、希望、愛……
3 時間かかるのもやむなしです。

この映画、もとはと言えばエリア・カザン自身が書いた小説の映画化。
トルコからの、ギリシャ系移民という、自らのルーツと向き合った、
監督が50 歳過ぎた頃の作品で、
まあ若い監督には撮れない気がします。
話の内容はまったく違うけれど、
ヴィスコンティの『若者のすべて』を思い出したりもしました。

goo 映画の「あらずじ」をコピペしますね。
ちょっと長いですが、まあ3 時間ものですから。
でもこれだけでも、すごそうなのは伝わると思います。(一部改変)

1896年のトルコでは、ギリシャ人やアルメニア人が政府の弾圧に苦しめられていた。
ギリシャ人の青年スタブロスは、
親友のアルメニア人バルタンからアメリカの話を聞き、
そのきらびやかで自由な国アメリカに対して異常なまでの憧れを持つようになっていった。
そんなとき、親友バルタンが、トルコの圧政に反抗したために殺された。
スタブロスの自由への渇望は爆発し、彼はアメリカへ行く決心を固めた。
その頃、素足を引きずりアメリカを目指して旅するアルメニア人ホハネスと出会い、
スタブロスは靴を与えてやった。
スタブロスの父親は、息子のアメリカ行きを許すことにした。
息子が成功し、家族を一人ずつ呼び寄せること、
これ以外にこの家族が託せる希望はなかったからだ。
家族の全財産を託されたスタブロスは、
まずコンスタンチノープルで敷物商を営むいとこのオデッセのもとへ。
しかし道中スタブロスは、悪賢いトルコ人アブダルに貴重品をまきあげられてしまう。
オデッセは、無一文のスタブロスを、町の金持ちの娘トムナと結婚させようとする。
が、独力でアメリカに渡ろうとするスタブロスはこれを断り、港の運搬夫となって働く。
アメリカへ行くという目的が、彼をどんな重労働にも耐えさせた。
そんな彼の口ぐせから、スタブロスは“アメリカアメリカ"と呼ばれるようになった。
しかし、そんな苦労をしてためた金も微々たるもの。
再び金を盗まれたスタブロスは、ついに金持ち娘トムナとの結婚を選ぶ。
彼は自分の意図を隠し続けるが、ついにはトムナに本心を打ち明け、
持参金のかわりに渡航費をもらい、アメリカに向かって出発する。
船中スタブロスは、靴みがきの一団に加わってアメリカに向かうホハネスに再会する。
ホハネスは、正式な手続をしていないスタブロスがアメリカに上陸できないことを知り、
肺病で先の短い我身を海に投げて、
スタブロスを自分の身がわりとして上陸させるのだった。
そしてアメリカの街の片隅で、懸命にブラッシを使うスタブロスの顔は、明るく輝いていた。

ここで「金持ち娘」と簡単に片づけられているトムナですが、
彼女はとてもやさしい娘さんです。
(時代や場所を考えると、自立心がない、という批判をする気にはなれません。)
そして彼女がいい人だからこそ、スタブロスは、
「アメリカに行ったって、君みたいな人には二度と会えないだろう」
と言うのです。ただそれでも、
彼はアメリカ行きの船に乗ります。
それはもちろん、家族が、
妹たち、弟たち、母、父が待っているからです……

英語版(吹き替え? オリジナル?)で、
字幕はフランス語ですが、
大傑作だとわたしは思いました。