1976年公開の映画、
『歌う女、歌わない女』
を見てみました。
監督はアニエス・ヴァルダです。
http://www.youtube.com/watch?v=pRkrhF3Cbuc
(ボビニー裁判所前のシーン)
この映画は、2人の女性の自立・解放と、
彼女らの間の友情を描いていると言っていいでしょう。
ただし、見てすぐ気づくのは、
「中絶」が大きなテーマになっていること。
そして中絶合法化へのきっかけとなったと言われているのが、
1972年の「ボビニー裁判」です。
そう、『アイシャ』の舞台であるあのボビニーです。
以下は、http://hello.chikyumaru.net/?day=20080310
からの引用です。
もちろん、フランスの話。
***************************
女性が夫の同意なしに、自分の財産管理をし、
銀行口座を開き、職をもつことができるようになったのは、
驚くなかれ、1965年のことだ。
1972年には、ボビニー裁判というのがあった。
これは、レイプで妊娠した未成年の少女が、
母親の同意を得て非合法の中絶をして訴えられた事件だ。
「私の娘が悪いのではないでしょう、ムッシュー、
あなたたち男性が作った法律で女性を裁くのがまちがっているんです」
****************************
wiki に、この母親のセリフが出ていました、
« Mais, monsieur le juge, je ne suis pas coupable !
C'est votre loi qui est coupable ! »
http://fr.wikipedia.org/wiki/Proc%C3%A8s_de_Bobigny
「私の娘」ではなく、「私」のようですが、
実質は同じでしょう。
というのも、このとき容疑者になったのは、
娘だけではなく、
母親、ヤミ中絶師、紹介者、の計4人だったわけですから。
またwiki には、こんなスローガンも出ています。
« L'Angleterre pour les riches, la prison pour les pauvres ! »
「金持ちはイギリスへ、貧乏人は監獄へ!」
これは当時、(そこそこの)お金持ちたちは、
イギリス(やスイスやオランダ)で、
合法的に中絶手術を受けていたという背景があります。
でもなぜ「そこそこの」と付けたのかというと、
実は『歌う女、歌わない女』の主人公もまた、
そんなにお金持ちではないけれど、
アムスで手術を受けたからです。
(中絶ツアー、があるのです。)
はっきり言って、やや冗長な映画だと感じます。が、
歴史的な価値はやはりあると思います。