2014年5月1日木曜日

『ウィ・アンド・アイ』

ミッシェル・ゴンドリーはフランス人ですが、
その活動は、
むしろ英語とフランス語が半々か、
むしろ英語がらみのものが多いかもしれません。
実は、わたしが担当している大学院の授業に、
ゴンドリーを研究対象としてる学生がいて、
それではということで、
ゴンドリーの最新作、The WE and the I を見てみました。

http://www.weandi.jp/intro.html

舞台はNYのサウス・ブロンクス。
学期の最後の授業が終わり、
さあこれから3か月の夏休みだ!
と教室を飛び出した高校生たち。
映画は、彼らの帰途、
つまり帰り道のバスの中だけで展開します。
(といっても、バスは走り続けるし、
想像場面ではバスを離れるし、
息苦しさはまったくありません。)

特にこれといったストーリーはなく、
いわゆる「日常の断片」をつなぎ合わせたこの作品、
結論から言えば、とても好感が持てました。
もちろん、「悪ガキ」たちの不品行はひどいもので、
言葉の汚さも相当なので、
これでは真面目な観客はイライラするだろうと想像されます。が、
この作品には、今そこに人間がいる手応えがあります。
少なくとも、
かつて見た『恋愛睡眠のすすめ』なんかよりは、
はるかにデキがいいと思いました。

舞台となったバス、<Bx 66, Barretto Point>は、
調べてみると、架空の路線でした。
そしてこのインタヴューを読むと、

http://archive.wikiwix.com/cache/?url=http://www.lexpress.fr/actualites/1/culture/quinzaine-des-realisateurs-gondry-cadre-les-debordements-d-une-bande-d-ados-du-bronx_1115722.html&title=lire%20en%20ligne

最初に着想したのは、パリの<80>番に乗っていた時だとか。
そして舞台をパリにしなかったのは、いろんな事情があるけれど、
アメリカの都市郊外の黒人コミュニティーに、
ずいぶん前から興味があったからだとか。

パリで作っていたら、『パリ20区』的なものになっていたんでしょうか?