2017年11月9日木曜日

『リフ・ラフ』

『わたしは、ダニエル』がおもしろかったので、
やはりイギリスの労働者を描いた作品、

『リフ・ラフ』(1991)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=pDIWuV8gz-4 (冒頭)

これは、刑務所帰り、
と言っても優男のスティーヴと、
歌手を夢見てオーディションに通うけれど、
家賃もままならないスーザンの物語です。
そう、それはそうなんですが、
それと同じくらい、
スティーヴと、彼が働く建設現場の仲間たちとの、
連帯と言ってもいい付き合いの物語でもあります。

公開が1991年ですが、
ということは、
サッチャーによるネオ・リベ的政治がちょうど10年経ち、
そのしわよせがスティーヴたち「底辺労働者」に、
激しくのしかかっていた時代です。
サッチャーは、劇中で、
「あのマーガレット」と呼ばれています。

思い出すのは『パレードへようこそ』です。

http://tomo-524.blogspot.jp/2016/09/blog-post_99.html

こちらもまた、「マーガレット」の政治が描かれていましたが、
時代的舞台は1980年代ですから、
この『リフ・ラフ』より少し前の時代を扱っていたことになります。

この、サッチャー(とレーガン)の1980年代というのは、
今の世界の一つの大きな出発点である気がします。
その時代、
わたしは主に大学院にいたのですが、
「文学」をやっていて、
そうした世界の動きの大きさにまったく気づかず……
もっと社会を見るべきでした。

そういうバカな院生と違って、
ケン・ローチ監督は、
いつも社会のことを考えていたわけですね。