今週は、シドニー・ルメット監督の遺作、
『その土曜日、7時58分』(2007)
を見てみました。
ルメット監督は好きなのに、
なぜかこれは見逃していました。
(原題は、Before the Devil Knows You're Dead ですが、
これはアイルランドの言い伝え、
"May you be in heaven a full half-hour before the devil knows you're dead"
「悪魔があなたの死を知る30分前に、あなたが天国にいますように」
から来ているそうです。
いいタイトル!)
フィリップ・シーモア・ホフマンと、イーサン・ホーク。
2人は兄弟で、
それぞれの事情でお金がありません。
(イーサンは、フィリップの妻と浮気中でもあります。)
そこでフィリップは、
自分の両親が営む小さな宝石店を襲う計画を立てます。
宝石には保険がかかっているので、
怪我さえしなければ、誰も痛まない、というわけです。
そして兄は、その実行役を弟のイーサンに振ります。
が、この弟が、絵に描いたような「ダメ男(loser)」。
彼は、別の男を引っ張り込み、
この男がすべてを無茶苦茶にして……
宝石店強盗を中心に、
そこに至る過程と、その後の経過が語られるんですが、
真の、というか、核心の問題は、
フィリップと父親の関係です。
父親と息子の物語はとても多いですが、
この映画は、その中でも、
かなり厳しい描き方です。
フィリップ・シーモア・ホフマンは好きな俳優の1人で、
もちろんそれなりに良かったですが、
この映画では、イーサン・ホークのダメぶりが素晴らしく、
こちらに目を奪われました。
いい映画だと思いました。