2012年2月16日木曜日

途中で


文藝春秋という雑誌がありますが、
今日風呂でそれを読んでいて、
ちょっと「ああ」と思うセリフがありました。

「内向の世代」という文学グループ(?)がかつてありましたが、
その中の1人、今年80歳になる黒井千次のセリフです。

「(……)途中で終わることを恐れてはいません。
何かを完成させようという心がけは大事ですが、
人間はいつ死ぬか自分ではわからない。
生きている途中で死ぬのだから、
途中で終わることは人間にとって自然なことなんです」

だから、無理はしないのだと。
なるほどねえ……

ちなみにわたしは、「内向の世代」よりも、
むしろ「第3の新人」に親近感を抱いたほうです。
とはいえ黒井千次はけっこう読みました。
1番印象に残っているのは、短篇、「袋の男」です。
夜、若い女性がゴミ捨て場にゴミを捨てる。
上が縛ってあり、それが、うさぎの耳のように見える。
男は、それをそっと部屋に持ち帰って……
(文庫『石の話』に入っています。)