テレビ・シリーズ、Paris、
見終わりました。
なんと、すごく面白かったです。
昨日も書いた通り、
テレビ・ドラマにありがちな要素もありますが、
それを差し引いても、すごく。
予告編には、12の運命、
と書いてありますが、
このドラマの特徴の一つは、
それらの運命のうち、
特にどれかを強調することなく、
みんなちゃんと描いていることでしょう。
もちろん運命は、たがいに絡み合うわけですが。
人物も、弱さ、強さ、ずるさ、繊細さ、希望、嘆き、など、
多層的に描かれていて、
たいしたものだと思いました。
もうひとつ、社会性も重要な要素でした。
たとえば、アレクシアの弟が、
マリで戦死するというエピソード。
あるいは、かつてカリブが不安定化したとき、
当時海外県担当大臣だった現首相は、
しょっちゅうカリブを訪れ、そこで、
愛人ができたとか。
もちろんRATP のストもあるし、
アラブ系カップルの就職難もあります。
薬物中毒の女性も、
カフェで働くアフリカ系とアジア系のサン・パピエも。
で……
あえて一人中心人物を選ぶとすれば、
やはりそれはトランスジェンダーのアレクシアでしょう。
演じたのは Sarah-Jane Sauvegrain 女優です。
http://www.slate.fr/story/96839/alexia-transgenre
(↑ これ、いい記事でした。
彼女が、フランスのテレビ・ドラマで主役を演じた、
最初のトランスジェンダーだと言っています。)
わたしも初めて見た女優です。
日本ではまだほとんど知られていないようです。
ステキでした。歌もいいし。
彼女の両親は、RATP のバスの運転手です。
そして母親役は、ベテランのNanou Garcia。
たとえば『きらきらしてる』で、
ヒロインの母親役を演じていました。
ユダヤ人の役でした。
それから、すごく細かいけど印象に残ったのは、
『戦争より愛のカンケイ』の中で、
市役所の窓口業務をしていた姿です。
主人公の母親が、ユダヤ人なのかと問うのです。
そして、アレクシアの友達で、
彼女に生きる道を世話したらしいアンジュ役は、
イケメン、Jérôme Robart。
さらっとしたスーツに、
シルクっぽい白シャツで、
肝の据わった「正義派」のワルです。
(正義派のワルっているのは、
フィクションの世界にしかいない架空の人間でしょう。
高倉健が任侠もので体現したのも、
あくまで架空の人間なんでしょう。
ワルはワルですから。)
というわけで、
この3人が特に印象に残りました。
ちなみに、アレクシアの恋人役の Éric Caravaca は、
『イブラヒム』以来おなじみです。
日本でも売り出せばいいのに!