今日はクリスマス、なんですが、
昼過ぎ、ふと思い立って、
立川の場外馬券場に向かいました。
有馬記念です。
競馬は、
もう30年以上前、
1,2 年けっこう集中的にやって、
それ以降は、完全に離れていましたが、
たしか一昨年の有馬記念のおり、
20数年ぶりに参加し、
競馬の世界の雰囲気が、
あまりに変わっていないことに衝撃を受けた記憶があります。
そして今日、一昨年の有馬記念以来2年ぶりに、
あの「異界」に参加してみたくなったわけです。
タナトス、というほどおおげさじゃないにしても、
場外馬券場には、
普段私たちが生きているのとは別の論理がみなぎっています。
9割以上が「オジサン」ですが、
女性たちの姿もちらほら見えます。
老女の姿もあります。
馬券を買ったら、
すぐに1階の、
大型モニターの前に向かいます。
すでに、100人以上の人たちが、
スクリーンを取り巻いています。
わたしも、その人ごみに加わります。
やがて、
GⅠレースのファンファーレが鳴り響こうとするとき、
集まった群衆たちは一斉に、
手拍子を打ち始めます。
ビル1階のホールは、異様な熱気に包まれます。
初めてここに来たらしい人たちは、
この手拍子の迫力に飲み込まれています。
画面の中では、
中山競馬場の群衆もまた、
そうしているのがわかります。
そしてスタート。
怒号に近い叫びが、
いくつもいくつも吐き出されます。
レース中盤、
ダイヤモンドが仕掛け始めると、
群衆は波のようにどよめきます。
そしてゴール前、
ダイヤモンドが差し切ると、
ついに歓声は弾け、
安堵とため息に変わってゆきます。
人々の表情はやわらぎ、
現実が帰ってきます……
だから、
馬券を買って、
家でテレビを見ているのでは、
ダメなのです。
場外馬券場という、
ごく身近にある異界に身を浸さなくては。
何年かに1度、
まだたしかに異界が失われていないことを確認するのは、
わるくないと思うのでした。
(もちろん、国家がカジノを運営し、
異界の論理を日常に持ち込み、
寺銭を巻き上げ、敗者の金を吸い上げ、
それを「経済政策の柱」に据えるなんていうのは、
まったく問題外だと思いますが。)