2019年1月17日木曜日

『おいしいフランス語』


白水社の、
ずいぶん前から知っているFさん。
彼は、最初編集部にいて、
その後長く営業部で活躍し、
去年また、(語学の)編集部に戻りました。
で、今は、
フランス語の教科書や参考書の担当です。

昨日彼とランチをして、
いろいろ話しました。
彼が、いつも書き手に言うのは、
「<売れる>と言うと、
なんだか本屋さんで山積み、みたいなイメージですが、
出版社としては、
初版が売り切れて、
重版がかかれば、
これは<売れた>ことなんです、
だから、初版だけ売り切れることを目指しましょう!」
だそうです。
たしかに、
ベストセラーは遠い遠い空のかなたですが、
これだと、
書き手にとってのハードルが
(少しだけ)下がるのでしょうか。

フランス語の教科書は、
白水社はもちろん、
朝日出版社や三修社などから、
毎春何冊か新刊が出ます。
わたしは、自信のあることなんてほとんどありませんが、
フランス語の教科書のデキの見分けについてだけは、
わりと自信があります。
以前、自分で作る前に、
ものすごくたくさんの教科書を、
見るだけじゃなく研究しましたし、
優秀な先生たちと、
教科書論議もけっこうしました。
そのときに、
かなり勉強したわけです。

ただもちろん、
この一冊!
という教科書はないんです。
というのも、学生がさまざまだから。
気質も、興味も、(背景となる)英語の力もマチマチなのに、
一冊で賄えるわけはないですね。
だから教科書は、
それぞれのレベルで、
デキ・不出来があるわけです。

ちなみにわたし自身は、
今までに6冊教科書を作らせてもらいました。
(ありがとうございました。)
中で一番思い出深いのは、
『おいしいフランス語』
でしょうか。(上の画像)
これは、
今は亡き須山さんとの仕事で、
イラストレーターとも(吉祥寺の聘珍楼で)話し合ったりしました。
表紙のデザインは、
たしか4通り作ってもらって、
当時わたしが担当していたクラスの学生に、
その中のどれがいいかを相談したりもしました。
この教科書、
Amazon には中古しかありませんが、
白水社にはまだ在庫があります。
(やさしめの教科書ですが、
独習用ではありません。)

今ラインナップされている各社の教科書の中では、
これが1番でしょう。

https://www.sanshusha.co.jp/text/isbn/9784384210460/

これは新訂版ですが、
旧版がすでに飛び抜けた◎でした。
著者の一人、渡辺隆司先生は、
フランス語の教科書を作らせたら、当代随一でしょう。