2008年10月5日日曜日

お会式


以前もちょっと書きましたが、わたしは大田区池上というところで生まれ、そこで中二まで過ごしました。この池上には、池上本門寺という、由緒正しいお寺があります。どれくらい正しいかというと……

実は本門寺は、療養のために常陸の国に向かう途上の日蓮が立ち寄り、そこでそのまま没した寺です。(なくなる直前に、日蓮本人が、開堂供養をしたらしいです。)それが1282年、10月13日。そう、来週ですね。

で、この日蓮の命日には、「お会式(おえしき)」という法要、というかかなり大規模なお祭りがあります。その人出、約30万人! 

わたしは特に祭り好きというんじゃないのですが、子供の頃は、たしかにお会式は楽しみでした。なんといっても、池上駅から本門寺まで、その参道は屋台で埋め尽くされます。その頃は、これが東京を代表するお祭りの一つだなんて知りませんから、お祭りとはこういうものだ、と思っていました。花咲く木に見立てたような万灯や、纏なども登場していましたが、子供の関心はもっぱら金魚すくいと綿あめでした。

中原中也には、「お会式の夜」という詩があります。出だしはこうです。

十月十二日、池上本門寺、
東京はその夜、電車の終夜運転、
来る年も、来る年も、私はその夜を歩きとほす、
太鼓の音の、絶えないその夜を。

これを書いた頃、中也は洗足池(池上から10分ほど)に住んでいました。まだ『山羊の歌』も出版されていなかった25歳の中也は、どうやら何度目かのお会式のようですね。そうそう、じゃあついでに芭蕉も。

御命講(おめいこう)油のような酒五升

御命講というのは、お会式のことです。酒、飲んでますね!(画像は広重の「お会式」)

こんなお祭りが、一週間後にあります。残念ながらわたしは、フランス語教育学会(@京都外国語大学)に出る予定なので、行かれないんです。みなさん、これはお金もそんなにかからないし、お勧めです。(詳しくは「池上本門寺」HPを。)

ああ、大事なことを忘れてました。池上駅徒歩30秒の浅野屋。ここの葛餅、かなりいけます! 

ああさらに、「池上線」という曲が昔はやりましたが、あの舞台はこの駅です。ただし駅前の果物屋(さんざん買いました)は、もうありませんが。

さ、また一週間、はりきっていきましょう!