コリーヌ・セローの1992年の作品、
『女と男の危機』
は、ずっと少し気になりつつ見ていませんでしたが、
今日やっと見てみました。
英語字幕付きのフランス版(La crise) です。
主人公のヴァンサン・ランドンは、
ある朝妻に捨てられ、
その同じ日、会社も解雇されます。
そしてその<自分の>窮状を、
知り合いの誰彼に相談するのですが、
みんなそれぞれ<自分の>このがらで頭がいっぱい。
友人も、両親も、姉も……。
ただ一人だけ、彼の話に耳を傾ける人がいるのですが、
それは、たまたま知り合った半ばホームレスのミシューでした。
二人は、反発しながら交流を深め……
というお話。
メイン・ストーリーは
主人公が、いかに自分は<自分の>ことしか気にかけていなかったか、
に気づき、
新たな人間関係を模索してゆく、
という部分なのでしょう。
そしてサブ・ストーリーは、
自分は人種差別主義者だと公言していたミシューが、
実は育ての母であるアラブ系女性が大好きで、
アラブ系の友人たちを大切にしている、というあたりでしょう。
そしてこの2つが、
うまく溶け合ってゆきます。
今見るとちょっと古めかしいし、
ヴァンサン・ランドンも現在のような存在感はないし、
ちょっと戯画的すぎるかもしれません。
でも、
セロ―の世界を知るには、決して外せない映画だと思います。