2014年3月5日水曜日

アンネ・フランク

杉並などの図書館で、
アンネ・フランク関連の書籍が傷つけられているというニュース。
言うまでもなく、それはアウト。

ただ、このことを伝えるニュースにも、
やや違和感を感じました。
『ホロコースト大辞典』によれば、

1970年代以降いわゆる「アンネ・フランクの神格化」に対する、
(捏造説とは)別の、より信用できる批判が展開された。
あいかわらず大衆はアンネを崇拝し日記を珍重しつづけたが、
(ラジオ・テレビの)解説者は、
彼女の名前とイメージの多用、
頻繁になされる奇異な利用法を問題にした。」

「アンネ・フランクの賛美は
<ホロコーストという大破滅を犠牲にした安っぽいお涙頂戴>
の一形態であるという、
1962年のハンナ・アーレントの評言をしばしば引用しながら、
批判者たちは、
思春期のひとりのオランダの少女が
600万の犠牲者の声」を代弁しうるはずがないと論じてきた」

「ドイツ人によるこのジェノサイドについてはっきり知らないうちに
直接経験しないところで終わっているアンネの日記は、
この未曾有の歴史的大殺戮のおそるべき実態
あるいは重大な意味を伝えていない。
彼女の本はホロコーストにかかわる代表的なテキストとはいえないし、
またそう呼ぶべきではない」

「ホロコーストの犠牲者のシンボルとして
もっぱらアンネにのみ焦点を絞ることによって、
途方もない災いは、
お尋ね者にされた人や無垢の子どもたちへの襲撃の一物語にすりかえられ、
ひとつの民族と文化全体を滅ぼそうとした組織的な企図が忘れられてしまう、
と批判者たちは論じる」
 
たしかにそう感じます。