2024年6月7日金曜日

「鋳掛松」

先週から今週にかけての通勤では、神田伯山の

「畦倉重四郎」(全19話)

を聞きました。
凄惨な場面もあるのですが、
とてもおもしろかったです。
(第19話だけは、2ヴァージョンあり。)


これが無料っていうのは、
なんだか、申し訳ないです。

で、その流れで、これを聞きました;

「鋳掛松」



鋳掛屋の松五郎、の話です。
鋳掛屋というのは、鍋などを修繕する仕事。
人に感謝されるが、低収入です。
時代は江戸の天保年間です。

前半はコメディタッチだったんですが、
後半、鋳掛屋になった松五郎が、両国橋に来たときのこと。
隅田川には、芸者たちを乗せ、
高級な酒と料理に舌鼓を打つ、船遊びの客たちがいます。
一方橋の上では、炎天下の中、
赤ちゃんを背負い、幼い子の手を引いて、
枝豆を売っている女性がいます。
しかもこの幼い子は裸足なのですが、
それは草履を買うお金がないからなのです。

鋳掛屋松五郎は、自分も貧乏ですが、
草履のお金を母親に与えます。
で、そのままいい話で終わるのかと思いきや、
彼は突然、なぜ世の中には金持ちと貧者がいるのか、
という疑問と直面するのです。
ちょっとびっくりしました。

で、簡単に調べてみると、
この講談の作者は、
日本で最初に『共産党宣言』を翻訳した1人で、
社会主義者の堺利彦だと知り、二度びっくり。
「改造」に発表されたもので、
全体を通せば2時間はかかるらしいです。
(白山の講談は約30分。)

いろんな出会いがありますねえ。