2012年1月19日木曜日

センター試験大混乱


今年のセンター試験は、それにしても大混乱でした。
(大学関係者の端くれとして、
受験生のみなさんには、申し訳なく思っています。すみませんでした。)

結論から言えば、大学入試センターにも、
実際に試験をする大学側にも、
両方に落ち度があったというべきでしょう。

まず、改革そのものにムリがあったと思います。
たとえば社会は、
世界史や地理の学力を向上させるための変更と聞いていますが、
そしてその意見そのものには賛成しますが、
あの試験形式はムリですねえ。

その結果、配り忘れという、間の抜けたミスも起こったわけですが、
第1科目と第2科目の間の10分、これも問題だったと思います。
「休み時間ではない」ということですが、
トイレ希望者が集中した会場があり、
そこでは、実質、カンニングの監視は行われなかったといいます。
たとえば、第1科目で得意の化学を受けた受験生A君が、
第2科目で不得意な化学を受験するB君に、
トイレで答えを伝授しておくことが可能なわけです。
しかもマークシート! です。
(もちろん、今回このタイミングでトイレに立った全員が、
こんなことをしていると言うつもりはありませんけど。)

こんなこと、試験のやり方を聞いた瞬間に、誰でも思いつくでしょう。
(だから逆に言うと、ほとんどの受験生は、知っていてしなかったわけですね。)
友だちとトイレで落ちあうためには、
彼(女)が近くの教室で受験している必要がありますが、
それも十分ありえることでしょう。

センター側は、謝罪会見でも、
マニュアルは完璧だった、という趣旨の主張をしていました。
どうでしょう、時間配分や何やら、
まだまだ改善の余地はあるようにわたしは思いますが、
100歩譲って完璧だとしても、
マニュアルさえ完璧ならうまくいくと考えてること自体が、「?」ですね。
人間の仕事って、そんなもんじゃないでしょう。

それから入試センターは、
ミスした大学からの、指示を仰ぐ緊急問い合わせに対しても、
なかなか返事しなかったと言います。
シミュレーション不足、ということなんでしょう。なんとね。

そして大学側。
これはね、おそらく各大学に、危機感を持っていた人はいたと思うんです。
ただ、説明会を欠席したり、マニュアルをちゃんと読まなかったりと、
一部の担当者の、高をくくった態度が、今回の混乱を招きました。
彼らの準備が十分だったら、
たとえ入試センターのヘンテコな実施計画に沿ってでも、
これほどの混乱は来さなかっただろうと思うわけです。
無責任と言われても仕方ないでしょう。

そういえば東北大学は、リスニング用の機械を届け忘れましね。
こんなことが、ありえるんでしょうか?
受験生は2 時間待たされたといいますが、
ただでさえ終わるのは5時頃のはずですから、
2時間待ちは辛いです。しかも翌日も試験だし。
(ただこの件について、
気仙沼高校側の事前対応は報道されていませんが……)

というわけで、可哀そうだったのは受験生です。
ほんとに申し訳ないです。
今週末再試験を受ける受験生には、
ぜひもう1度がんばって欲しいです。

来年度は、制度も実施方法もシンプルにして、
こんな混乱が決して起こらないことを祈っています。