2013年1月5日土曜日

『アイシャ・4』

新年のお楽しみ、ということで、
『アイシャ・4』を見てみました。
今回の副題は、Vacances infernales 「地獄のヴァカンス」です。
なんと、新作なのに全編版が YouTube に。

http://www.youtube.com/watch?v=2pva-FhTiZE

今までの3 作に比べると、軽い仕上がりだと思います。
(やっぱり、「1」が1番濃かった。
ブラームスの交響曲も、1番が1番濃いですね。
状況は似てると思います。)

大きな流れは、ブアマザ家がヴァカンスを過ごしているアキテーヌまで、
アイシャの恋人パトリックがやってくる、
そしてそれはアイシャの父親に、結婚の許可をもらうため。
さあ父親の答えは? ということです。

ただし話はそんなに単純ではなく、
このプロポーズ、まずアイシャが「?」出します。
「愛してる」んだけれども、まずは「自立」したい、というのです。
一方父親も、「あいつはおれたちのコミュニティーの出でもないし、
ムスリムでもない」と嘆くのですが、
アキテーヌで知り合ったばかりの同年代の友達に、
そんなこと言ったらおまえは「年取った間抜け」になっちまう、
なぜっておまえたちこそは、つまらない偏見と闘ってきたはずなんだから、
と諭します。
さて、この恋の行方は……?

それとは直接の関係はありませんが、
おもしろいのは、この国内旅行そのものが、
2年に1度のアルジェリアへの里帰りの代わりに敢行されたというその事情です。
そうです、「アラブの春」で政情不安定につき、今回は見送り、だったのです。

父親は母親は、この革命の行方が気になって仕方ありません。
一方子供たちは、それほどでもない。
以下は6分50秒あたりから。

「パパだって、フランスに養ってもらっただろ?」
「俺がなんだって? 養ってもらった?」
「パパは働いたの」とママ。
「いったい誰が工事したと、炭鉱で働いたと思ってるんだ? 
それは俺たちだぞ!」
「パパみたいな人をね、ソファーでくつろぐ革命家っていうんだよ」
「俺はソファーにたどり着く前に、30年働いたんだ。
お前はもう20年もソファーにいるがな」

なかなかいいですね!