2013年11月2日土曜日

La vie devant soi

この1年以上負けなかった投手が、
この、最後の大一番で負けてしまう。
そんな予感が、誰の胸にも(かすかには)あったかもしれません。
でも、言うまでもなく、
おそろしくいい投手。
勝手なことを言うなら、
やっぱり大リーグで投げているところを見てみたい。

で今日は、これを見ました。

http://www.youtube.com/watch?v=l5yj-jETPFo

原作小説は同名の『これからの一生』(早川書房)で、1975年のゴンクール賞作品。
元娼婦で、引退後は、
現役娼婦たちの子供たちを預かって、生計を立てているローザ。
けれど寄る年波、病気は進行し、体力は衰え、
子供たちは減ってゆき、お金はなくなる。
でも、1人モモだけは、
ローザのもとを離れません。
それは、両親が(この11年間1度も)会いにさえ来ないからでもあるけれど、
だからローザは1銭も受け取っていないのに、
自分を育ててくれたことを知っているから。
そして大事な点、
それはローザがユダヤ人で、
モモはモハメッド、つまりアラブだということ。

ローザ役のシモーヌ・シニョレ、
彼女の父親はユダヤ人で、
「シニョレ」は母方の姓だそうです。
無論、迫害を恐れたわけですね。
ちょっと変になったローザが、
「フランスの警察が迎えに来るの……そしたら、
電車に乗ってドイツに行って……なにも心配ないって……」
とうわごとのように語る場面、
静かな恐怖感があります。
彼女については、ここでも2度触れています。

http://tomo-524.blogspot.jp/2012/01/blog-post_27.html

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/01/le-chat.html

ところでこの映画、
日本版VHS(『これからの人生』)があったようですが、
現在は入手困難。
DVDはなし。
で、実はフランス語版もVHSしかなく、しかも見当たらず。
かろうじて英語版がありましたが、2万円(!)ほど。
それがYouTube にあがっていて、ほんとうに助かりました。
(英語字幕、ときどきピントがずれてる気もしますが、
やはりあったほうが安心ですね。)
ちょっとだけ長いけど、そして重い部分もあるけれど、
苦しい愛のある、いい映画だと思います。
性転換したやさしい黒人娼婦ローラも印象的。
舞台はベルヴィルです。