2010年に亡くなった、
アフリカ系の名優、Sotigui Kouyate(ソティギ・クヤテ)。
このブログで取り上げた映画で言えば、
大きい役で登場していたのはこの2作。
魔術師役:http://tomo-524.blogspot.jp/2013/09/black-mic-mac.html
アルーン役:http://tomo-524.blogspot.jp/2011/04/little-senegal.html
そしてつい先日書いた『堕天使のパスポート』の中でも、
闇で腎臓を売り、その後の手当てがいい加減だったため、
傷口の痛みに苦しむ移民の役を演じていました。
また、『パリ空港の人々』
(http://tomo-524.blogspot.jp/2013/07/tombes-du-ciel.html)
にも出ていました。
ありきたりな表現ですが、存在感がある俳優、
と言って間違いないと思います。
そして今日見たのは、(やはりロンドンつながりで)
London River です。
https://www.youtube.com/watch?v=-YCzPTnUX7E
2005年、7月7日、
ロンドンのキングス・クロスでテロが起きました。
その直後から、
自分の子供と連絡が取れなくなった2人の母親。
一人は、フランスすれすれのイギリス王室領の島、
ガーンジー島に住む、農業を営む女性。
敬虔なクリスチャンである彼女は、
1982年のフォークランド紛争で夫をなくしていて、
今ロンドンに居る一人娘は、父親を知りません。
そしてもう一人は、
アフリカ、おそらくはマリにいて、
ロンドンに居る息子と連絡が途絶え、
パリにいる息子の実父に要請するのです、
すぐロンドンに行って、息子を連れ帰れと。
しかしこのムスリムの父親は、息子が6歳の時家族を離れ、
それ以来一度も会っていないのです。
そしてこの娘とこの息子は、
ロンドンで一緒に暮らしていたのです。
クリスチャンで、いい人で、悲しいほど差別主義的な母親は、
娘が移民街のただなか(48a, Blackstock Road。ロンドン郊外)に
暮らしているのを知っただけで、
とても動転しますが、
それどころか娘は、
アフリカ系ムスリムと暮らし、
アラビア語を学び始めてもいたことが、
次第に分かってきます……
悲痛な、いい映画だと思いました。
そうそう、監督は、
上に挙げたLittle Senegal や、Indigenes を撮ったRachid Bouchareb です。
*娘と息子が暮らす部屋のオーナーである肉屋の主人は、
ロシュディ・ゼムが演じていました。
そして彼と、ガーンジーから来た母親と、
ムスリムである白人刑事は、みな英語とフランス語を話します。
(パリから来た父親は、フランス語とアフリカの民族語を。)
少なくとも、ゼム演じるアラブ系肉屋は、
旧フランス植民地出身、ということなんでしょう。
ちなみに、クヤテ演じるウスマンが泊まるホテルは、
Shelton Hotel 60-62 Wightman Road です。