2017年4月7日金曜日

La voie de l'ennemi

ここ数日、
Rachid Bouchareb のことを書いていますが、
今日も一本、彼の作品を見てみました。
最新作、ということになるのでしょう。

La voie de l'ennemi

https://www.youtube.com/watch?v=EHxQS3kTsEg

保安官補佐殺しによる、
18年の懲役を勤め上げ、
ついに出所した黒人のウイリー。
彼には、監視役の白人観察官がつきますが、
彼女は一見厳しいようで、
実は「信頼」をこそ重んじる誠実な女性です。
でも、
殺された補佐官とともにいた白人保安官は、
なんと5期も当選して今もその地位にあり、
ウイリーが幸福になるのを許すことができません。
また、
かつてのワル仲間で、
ウイリーが黙秘したおかげで収監を逃れた(おそらくはメキシコ系の)テレンスは、
今ではムスリムに転向し、
恋人もでき、
新たな人生を歩もうとしているウイリーに、
執拗に付きまとい、
ついには恋人に脅しをかけて……

やや重い映画で、
風景以外、
風が通る場面がほとんどありません。
印象に残ったのは、
観察官を演じるブレンダ・ブレッシン。
London river で主演した彼女もよかったですが、
ここでも存在感がありました。

もう一つだけ、やや屈折した印象を残したのが、
ウイリーと母親の関係です。
この母親は、息子が収監されていた18年間、
一度も面会に現れませんでした。
で、観察官の手配で、
この母子が再会する場面があるのですが、
この母親が、アイルランド系の白人だったのです。
白人の母親と、黒人の息子。
そこに父親の姿はありませんでしたが、
もともと母子家庭なのかもしれません。


ではせっかくなので(?)、
このブログに登場したRachid Bouchareb の作品をまとめておくことにします。

Hors-la-loi
http://tomo-524.blogspot.jp/2013/10/hors-la-loi.html

Little Sénégal
http://tomo-524.blogspot.jp/2011/04/little-senegal.html

Indigènes(『デイズ・オブ・グローリー』)
http://tomo-524.blogspot.jp/2010/01/indigenes.html

London River(『ロンドン・リバー』)
http://tomo-524.blogspot.jp/2014/04/london-river.html

Just like a woman
http://tomo-524.blogspot.jp/2017/04/just-like-woman.html

『ロンドン・リバー』は、
日本版が出ているので、
今年度の映画の授業で使うつもりです。