2019年11月2日土曜日

『不安は魂を食いつくす』 

今週のゼミでは、
ファスビンダーの『不安は魂を食いつくす』(1974)を見ました。

60代のドイツ人掃除婦、エミ。
3人の子どもは独立し、
今は質素な一人暮らしです。
(エミの父親はナチの党員でしたが、
エミの夫はユダヤ人でした。)

ある晩、雨宿りに入った飲み屋で、
彼女は踊らないかと誘われます。
誘ってきたのは、モロッコ人の移民労働者アリでした。
そして……
二人は恋に落ちます。
ただ周囲は、
それを差別的な目で見ます。
やれ「黒人」だの、「不潔」だの、
年の差が20歳もあって不自然だのと。
(まあどれも、ヘイトの定番です。)
でも、二人は結婚し……
というお話。

70年代に作られたものとして、
とても鋭敏な作品だと感じました。
ナチの記憶、
移民の境遇、
労働者階級のメンタリティー、
一人だけ出てくる資本家の無関心、
そして、そうした「社会」的なもろもろだけでなく、
「人間」に迫る感じ……。
さすがです。

で、この映画は、
ファスビンダーに詳しい院生のN君によると、
『天はすべて許し給う』を下敷きにしているといいます。
こちらは、
ブルジョワ女性と庭師の恋、を描いていて、
階級の問題がより前面に出ているようです。
こちらも、確認する必要がありそうです。

ドイツ映画は、あまり見てなかったので、
これから勉強しなければなりません!