2019年11月23日土曜日

Ma fille

ロシュディ・ゼム主演の映画、

Ma fille (2018)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=o6uCtk__u3Y&t=24s

ロシュディ・ゼムだけではなく、
あのネドラ・アヤディ()の、
初監督作品だという点でも、注目していました。
で……
とてもいい映画だと思いました。

スイスとの国境近くの町に住むアラブ系の3人の家族。
製材所で働く父親(ロシュディ・ゼム)、母親、
そして娘ネジマは高校生くらいでしょう。
ただこの家族にはもう一人、パリで暮らす長女レイラがいます。
彼女は、美容学校に通いながら、
インターンとして働いてもいる、はずだったのですが……
クリスマス前に、
どうしてもレイラに会いたいという母親の願いを聞き入れ、
なかなか連絡の来ないレイラを連れ帰りに、
父親とネジマがパリを訪れます。
けれども、働いているはずの美容室に彼女はおらず、
通っているはずの学校はやめているのでした。
父親と妹は、必死にレイラを探し始めますが、
彼女はどうも、夜の世界に入ってしまったようで……

これは偶然ですが、
「ふらんす」の書評で取り上げた『移民の記憶』と、
深く呼応する作品の1つでした。
寡黙で、自分たちの苦労をなかなか語らない第一世代の父と母、
そして彼らから見れば、
まぶしいくらいの独立を自由を生きる第二世代。
でも彼らにとってもまた、
周囲の視線はいつも暖かいわけじゃありません。
そしてパリ。
ここで華やかな生活を求めすぎてしまうことは、
いつも危険と隣り合わせです。
このあたりのことが、
丁寧に、きめ細かく描かれていたと思います。

というわけで、ネドラ・アヤディ監督、
第1作は上々のデキでした。
むろん私小説的ではあるのでしょうが、
完全に「普遍」に触れていると思います。
第2作以降を期待します!

それにしても、ロシュディ・ゼムは素晴らしい。
労働者の「身体」が彼の中にあると感じます。
彼の映画的ペルソナの原点には、

Vivre au paradis

があると思います。

http://tomo-524.blogspot.com/2013/02/vivre-au-paradis.html

ほんとにいい俳優だと思います。