2023年1月26日木曜日

『パッション』

濱口竜助監督のデビュー作、

『パッション』(2008)

を、大学院のゼミで見ました。
院生のセレクションです。


院生たちの評価は高かったです。が、
わたしはあまり乗れませんでした。
脚本が、特にセリフが、
(まあ、あまり言い言い方じゃないんですが)
ややナイーブ過ぎると感じました。
ゲーム的で、
書いている「手」が見えて、
しかも深さはあまり感じませんでした。
まあ、もともとこういうワカモノたちの浮気がどうの、
みたいな話には、あまり惹かれないんですが。

ただよかったところもあって、
それはちょうど予告編に写っている煙突です。
実際には、あの煙を吐く煙突が映し出されているときに、
一人の女性の祖父の、臨終間際の「奇跡」が語られます。
彼は復活したのです。
そしてもし周囲がそれに気づかなかったら、
彼は荼毘に付されていただろう、と。
このエピソードを聞かされると、
延徳と煙は、
どうしても、火葬場のそれに見えてきます。
もちろん、違うでしょう。
でも、死が、
もうもうと湧き上がっているように感じられるのです。
そして映画と冒頭と終わりには、
26年生きた猫を弔うシーンがあります。