2023年1月6日金曜日

『ローマの休日』

アマプラで無料だったので、
つい、何十年振りかで

『ローマの休日』

を見てみました。
日本での公開は1954年なので、
『ゴジラ』と同じ年です。
(この年、モンローが日本を訪問してもいます。)

ラブ・コメなので、
気楽に見ていたんですが、
あまりにうまく作られているので、驚きました。
構成も、テンポも、物語の起伏も、
連続する表層の問題も、
深いところで進行する実存的問題も、
お手本のような作り込まれ方。
随所に、シンボリックなイメージも(わかりやすく)挿入されているし。
この時代に、「文法」はここまでできあがっていたんですね。

で、
今見ると唯一の弱点にも見えるのが、
ヒロインの「王女」という設定。
そして彼女が、
近代的個人としてではなく、
世襲の君主制を肯定する生き方を選択すること、なのでしょう。
王女であるオードリーが、
花屋から花束を渡される場面。
店主はムリヤリ渡して売りつける算段ですが、
花をもらい慣れている王女は、
Oh, thank you.
と言ってもらおうとする。
ここはおもしろいのですが、
落ち着いて考えると、「?」という気もしてきます。
まあ、エンタメにそれを求めるな、
という意見があるのも分かりますが。

というわけで、
映画としてのデキの良さが、
体現してしまった価値観と齟齬を来たしている、
というのが、
久々に見た感想でした。

ちなみに有名な話ですが、
脚本は、実はトランボが書いていたことが、
後に発覚しました。