時に、手元にあるのだけれど、ちょっと空いた時間に読むっていうのがもったいなくて、時間があって体調もいい時に読もうと思って大事に取っておくうち、結局なかなか手に取れず、いつもいつも気にかかったまま、という本があります。
最近では、『彼女のいる背表紙』(堀江敏幸)がまさにそんな本でした。(それにしても魅力的なタイトル!)で、今日やっと読み始めたのですが……
堀江さんの本は、もう安心して読めるのに、それでもこちらに、いい緊張感を強いてくるところが素晴らしいです。ちょっと、ピリッとします。
わたしは商売柄、こういうエッセイ集からネタを頂くこともあります。まるで、10年前から知ってたような顔をしてしゃべる(!)わけです。はっきりいいましょう、ネタ満載です! だからみなさんは、決して読まないでください!(←まさか本気にしないですね?)
最初のほうに、ああ、これは今は無き「高田馬場パール座」かな? と思う文章があります。パール座は、もう閉館して20年くらい経つでしょうか? 今の学生諸君にはピンとこないでしょうが、わたしたちが学生だった頃は、そもそもレンタル・ビデオなんてものが存在しなかったので、映画を見るのは映画館でした。で、お金もないし、当然パール座のような、2本立て3本立てで、しかも面白そうなものがかかっている「小屋」(なんて言い方は、わたしはしませんでしたが)に行くことになります。
パール座で見た映画は随分ありますが、一番印象に残っているのは、『天井桟敷の人々』です。映画を見た、という気がしました、長いしね。(後になって、パリでアルレッティを見かけるなんて、その時は考えもしませんでした。)
本を読んでなにかを思い出すってのは、悪くないですね。