中国語の新人・清水先生の歓迎会を、いつもの会議室で開き、
その後2次会に出かけるという話でした。行き先は通称「昭和のスナック」。
わたしは初めてでした。
今までにも行く機会がないわけじゃなかったのですが、
そして先週の金曜も、翌日に収録があるのはわかっていたのですが、
それでもちょっと行ってみる気になったのは……
会議室でおしゃべりしている途中、もちろん本気じゃないのでしょうが、
いつも頼りにしているドイツ語の菊池先生が、
「『ようこ』でテネシー・ワルツを聞かないと、総文のメンバーとは言えないな!」
とおっしゃいました。テネシー・ワルツの歌い手は、最年長の金井先生です。
不思議ですねえ、その時に限って、ああたしかにそうかもな、
と思ってしまったのです。
だから、一応帰る方向で支度していたのですが、結局最後は、
「ようこ」にお供することになりました。
「ようこ」は、カラオケ・スナックというんでしょう、
長細い店内の半ばまでカウンターが伸び、奥にはボックス席。
とはいえ、15人も入るのは難しかろう、という広さです。
ああ、そしてここはたしかに、「昭和のスナック」でした。
「ようこ」さんは、赤系の花柄プリントのドレス、
金井先生とは顔なじみのようです。どうも同世代のようだし。
さてカラオケです。ざっと曲目をご紹介しますと;
新人(中国語) :雨上がりの夜空に
中堅(中国語) :雨の御堂筋
中堅(英語) :人生を語らず
ベテラン(英語) :夢一夜
大ベテラン(英語):テネシー・ワルツ/上海帰りのりル
テネシー・ワルツ、聞きました。納得しました!
みんななかなかお上手で面白かったんですが、1つ新鮮だったのは、
やはり金井先生が歌うところの「リル」です。
若いみなさんはご存じないかもしれません。
この歌は、終戦後5年ほどたったころのヒット曲のようです。
わたしは、なぜか歌えます。(リアル・タイムじゃないですよ。)
で……
「リル」は、考えてみたら思いっきり「引き揚げ者」の歌です。
そしてわたしの父親も、金井先生も、引き揚げ者なんですね。
何度も聞いた「リル」なのに、金井先生が歌うのを聞いて初めて、
実感として「引き揚げソング」であることが身に沁みました。
店を出ると、雨が降っていました。
でも、こんな夜も、人生にはあってもいいかもしれません。