2011年2月6日日曜日

片付け?


今日はちょっと整理をしていたとき、
ふとある文庫が目に入りました。
なぜその文庫を買ったのかが思い出せず、
(かつてその授業に感嘆していた)村上陽一郎先生の解説抜粋を読むうち、
なんとなく前書きも読み、そのまま第1章に入り、
結局最後まで読むことに。

その文庫は『動物の人間の世界認識』(日高敏隆)です。
文章はきわめて平易で読みやすいんですが、
動物や昆虫についての具体的な話は、初めて聞く内容も多く、
まったく本を置くきっかけがありませんでした。

かつて岸田秀は、
人間は本能が壊れているので、その代わりに自我が必要になり、
しかもその自我とは「幻想」なので、
つまり人間は「幻想」に支えられているのだ、
という論を展開し、わたしたちも学生時代は感心した覚えがあります。

で、この『動物と……』で主張されているのは、
たしかに人間を支えているのは「幻想」だが、
それは本能が壊れているからではない、
なぜなら、本能をしっかり備えた動物たちもまた、
彼らの「幻想」を生きるしかないからだ、
ということなんです。
そしてその文脈で、さまざまな動物たちの、
生物学的条件(=枠)のもとでの「幻想」が紹介されるわけです。

たとえば、モンシロチョウの場合、
メスだけはその羽根が紫外線を反射し、
チョウたちはお互いにそれが「見えて」いるといいます。
わたしたちが、「白」としか見ていないチョウたちは、
実は仲間同士では、違う「環世界」を生きている……

そしてそんな例を多く見ていると、
著者が言う通り、わたしたちの言う「客観」が、
そうとうに主観的なものだと言わざるを得なくなります。
人間の「幻想」とチョウのそれは、本質的には同じものだからです。

そうです、たとえば「世界」という言葉は、
なにがしか「客観性」みたいなものをまとっている、
ような気がしています、わたしたちは。(ですよね?)
でもそれは怪しい、ということですね。

片づけは中途半端な状態ですが、
ま、おもしろかったからいっか!
(なぜ買ったのかは思い出せないまま……)

さて、明日からの週は、
わたしにしては忙しくなりそうです。
張り切っていきましょうね!